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ガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置
説明

ガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置

【課題】高濃度のガスを用いても評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価することができる、ガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置を提供する。
【解決手段】評価対象物が内部に設けられている反応部1、評価対象物を加熱する加熱部2、反応部1の内部へガスを流入させるガス供給流路3、反応部1からガスを流出させるガス排出流路4、ガス供給流路3の内部に設けられている流量調整部5、およびガス排出流路4に設けられている検出部7を備えており、評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を分析する分析部8が、検出部7及び反応部1に連結しており、ガス排出流路4に不活性ガスを注入する不活性ガス注入部9が、ガス排出流路4に設けられており、検出部7が、反応部1から流出させたガスと不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの吸着性及び/又は反応性を評価するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、触媒材料等の表面におけるガスの吸着性、反応性等を評価する手法として、昇温脱離(Temperature-programmed desorption/TPD)法が知られている。ガスの吸着性、反応性等を評価するための従来の装置は、図2に示すような構造である。
【0003】
図2に示す従来のガスの吸着性、反応性等の評価装置110を作動させるには、まず、ガスボンベ(ガス貯蔵部)106からガス供給流路103を経て供給されるガス(例えば、He、N、O、Hなど)を、マスフローコントローラ(MFC、流量調整部)105を用いて適当な流量に調整し、場合によっては複数のガスを混合し、サンプル部(反応部)101に流通させて前処理を行う。このとき、必要であればサンプル部101を囲うヒーター(加熱部)102を利用して触媒材料等の試料の加熱を行う。サンプル部101を通過したガスは、ガス排出流路104を経て排気口から系外へ放出される(通常は検出部107へは供給されない)。
【0004】
前処理の後、所望の温度において、プローブガスを、MFC105を用いてガス供給流路103に流通させ、サンプル部101にて触媒試料に吸着させる。ここで、プローブガスとは、触媒試料との相互作用(吸着性、反応性等)を評価したいガス成分を含むガスのことを指す。触媒試料へのプローブガスの吸着の後、HeやNなどのキャリアガスを、MFC105を用いてガス供給流路103に流通させながら、ヒーター102によってサンプル部101を加熱する。このとき、サンプル部101を通過したキャリアガスは、触媒試料から脱離するガス成分を伴ってガス排出流路104を経て排気口へと流れ出る。その一部をスプリッターによって検出部107(質量分析計)に導入することで、昇温に伴う反応脱離ガスを連続的に分析する。データ取得部(分析部)108の設置によって、ガス分析データとヒーター出力とを同一時間軸上に取得し、後にそれぞれを相関させることで、図3に示すようなTPD曲線を取得することができる。
【0005】
図3は、NHのTPD曲線を示しており、Aは水蒸気処理無しの場合、Bは水蒸気処理1回の場合、Cは水蒸気処理2回の場合、Dは水蒸気処理3回の場合を示している。図3において、NH−TPDは表面酸性質を評価している。低温では、水蒸気処理によって弱酸上のNHが水で置換されて消失する。一方、高温では、水蒸気処理によって影響を受けない。このことは、水蒸気処理なしの測定におけるNH−TPD曲線の低温脱離成分は、弱酸もしくは物理吸着種などに対応し、高温脱離成分は、化学吸着種に対応することを示している。
【0006】
TPD法の応用として、プローブガスを連続的に流通させながら加熱し、プローブガスとその触媒試料上での反応生成ガスとを計測することで、対象物表面におけるガスの吸着性や反応等を評価する昇温反応(Temperature-programmed reaction/TPR)法も知られている。
【0007】
また、検出部には、質量分析計の他に、安価な熱導検出器、個別ガスもしくは他成分ガスの検出に威力を発揮する各種ガス分析計(NDIR、FT−IR、化学発光NOx計、SO計など)を用いた装置、またはそれらを組み合わせた装置、さらにはサンプル部にFT−IRのような分光分析計を接続することでTPD曲線と同時に脱離温度における触媒表面吸着種を観察することができる装置など、種々のアレンジTPD装置が知られている。
【0008】
例えば、非特許文献1には、ガス供給流路、流量調整部、反応部および検出部(熱伝導検出器/Thermal Conductivity Detector/TCD)によって構成される、ガスの吸着性、反応性等の評価装置(初期型)が示されている。また、非特許文献2には、ガス供給流路、ガス流量調整部、反応部および検出部(質量分析計)によって構成される、ガスの吸着性、反応性等の評価装置(普及型、市販品)が示されている。また、非特許文献3には、種々のガス分析計(化学発光型NOx計や紫外線蛍光方式のSO計など)を検出部に利用した例が示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R. J. Cvetanovic and Y. Amenomiya, Application of a Temperature-Programmed Desorption Technique to Catalyst Studies, Adv. Catal., 17, p.103-149, (1967)
【非特許文献2】丹羽幹,片田直伸,「アンモニア昇温脱離法によるゼオライトと金属酸化物薄層の固体酸性質」,表面科学,Vol.24, No.10, p.635-641, (2003)
【非特許文献3】Evangelos A. Efthimiadis et. al., Selective catalytic reduction of NO with C3H6over Rh/alumina in the presence and absence of SO2 in the feed, Appl. Catal., B 22, p.91-106, (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1,2に示されている、ガスの吸着性、反応性等の評価装置では、検出濃度域は検出部に依存するため、広範囲な濃度、特に検出上限を超える高濃度のガスを連続流通させる試験に用いることが困難である。また、触媒試料に吸着させたガスをHeなどのキャリアガスを流通させながら検出する際には、検出上限を超える高濃度のガスが発生する場合、当該ガスの成分を検出することができず、触媒試料におけるガスの吸着性、反応性等を評価することができないという問題がある。また、非特許文献3に示されている方法は、ガスの吸着性、反応性等の評価を目的としていない。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、検出器の検出上限を超える高濃度のガスを用いても評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価することができる、ガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題に鑑み、非特許文献1,2に示されている、ガスの吸着性、反応性等の評価装置において、評価対象物におけるガスの吸着性、反応性等を評価する手法を検討した。非特許文献1,2に示されている、ガスの吸着性、反応性等の評価装置は、反応部を出たガスがそのまま検出部に導入される構成である。このため、当該ガスが検出部の検出上限以下の濃度となるように、予め低濃度のガスを供給すること、または反応部にて評価対象物に吸着および脱離するガスの量を減らすために当該評価対象物の重量を減らすこと等が必要である。
【0013】
本発明者らは、反応部を出たガスを希釈して濃度を低下させた後に検出部に導入することができれば、検出部の検出上限を超える高濃度のガスを用いた場合や、吸着した成分が一度に脱離し、検出部の検出上限を超える高濃度ガスを発生する場合でも評価対象物におけるガスの吸着性、反応性等を評価することができることを見出した。そして、本発明者らは、反応部を出たガスに対して不活性ガスを混合することによって、当該ガスを希釈することができるということを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。本発明によれば、検出部の検出上限を超える濃度域のガスを用いて、当該ガスの検出を行うことができ、また、ガスを吸着させた評価対象物から検出部の検出上限を超える濃度域のガスが脱離する場合でも、当該評価対象物の量の調整等を行わずに脱離ガスを検出することができる。その結果、本発明は、高濃度のガスを用いても評価対象物におけるガスの吸着性、反応性等を評価することができる。
【0014】
すなわち、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、上記の課題を解決するために、評価対象物が内部に設けられている反応部、該評価対象物を加熱する加熱部、該反応部の内部へガスを流入させるガス供給流路、該反応部からガスを流出させるガス排出流路、該ガス供給流路の内部に設けられている流量調整部、および該ガス排出流路に設けられている検出部を備えており、上記評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を分析する分析部が、上記検出部及び上記反応部に連結しており、上記ガス排出流路に不活性ガスを注入する不活性ガス注入部が、上記ガス排出流路に設けられており、上記検出部が、上記反応部から流出させたガスと上記不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出することを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、上記ガス排出流路に不活性ガスを注入する不活性ガス注入部が、上記ガス排出流路に設けられているので、反応部から流出させるガスに不活性ガスを混合することができる。これにより、当該不活性ガス注入部が、反応部から流出させるガスを希釈して、当該ガスの濃度を低下させることができる。
【0016】
また、上記の構成によれば、上記検出部が、上記反応部から流出させたガスと上記不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出するので、濃度を低下させた後のガスを検出することができる。これにより、当該検出部が、検出上限を超えない濃度域でガスを検出することができる。
【0017】
その結果、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、高濃度のガスを用いても評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価することができる。
【0018】
ここで、特開2010−243180号公報には、燃料電池、排ガス処理システム等のガス分析装置にガス希釈装置を組み込んでガスを希釈するというガス分析手法が示されている。このガス分析手法は、供給ガスの流量調整部よりも上流にガス希釈装置を組み込んで不活性ガスを供給しているだけであり、分析計(検出計)に流入する直前のガスの濃度を低くしていないので、分析計(検出計)によって分析(検出)することが可能なガスの濃度範囲を広くすることができない。また、このガス分析手法は、ガスの組成分析を行うにあたり、流量調整用のマスフローコントローラ内部における水分の凝縮を抑制するとともに、マスフローコントローラの構造に起因する分析計の応答遅れを抑制するためのものであり、昇温脱離法を用いていない。
【0019】
また、特開2010−13989号公報には、排気ガス後処理装置の評価装置に希釈ガス流路を組み込んで排気ガスを希釈するというガス評価装置が示されている。このガス評価装置は、検出ガスの流量調整部よりも上流に希釈ガス流路を組み込んで不活性ガスを供給しているだけであり、検出計に流入する直前のガスの濃度を低くしていないので、検出計によって検出することが可能なガスの濃度範囲を広くすることができない。また、このガス評価装置は、排気ガスの性能を評価するにあたり、当該排気ガスの成分を検出するためのものであり、昇温脱離法を用いていない。
【0020】
上記2つの特許公報(特開2010−243180号公報および特開2010−13989号公報)に記載された技術は、内燃機関や燃料電池等の駆動システムから排出されるガスの成分分析を精度及び応答良く行うため、ガス分析システム内に不活性ガス希釈部を設けており、特定の対象物とガスとの吸着性、反応性を評価することを目的としていない。
【0021】
このように、従来、昇温脱離法を用いて、検出ガスの濃度を低くすることによって検出可能なガスの濃度範囲を広くするという技術は見出されていない。
【0022】
これに対して、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、昇温脱離法を用いて、上記ガス排出流路に上記不活性ガス注入部を設けることによって、検出ガスの濃度を低くして検出可能なガスの濃度範囲を広くするという装置である。
【0023】
また、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、上記不活性ガス注入部が、第2の流量調整部を有していることが好ましい。
【0024】
これにより、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、上記不活性ガスの注入量を調整することができる。その結果、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、ガスの吸着性及び/又は反応性を効率的、且つ定量的に評価することができる。
【0025】
また、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、触媒機能を有する対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価するために用いられることが好ましい。
【0026】
これにより、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、触媒機能を有する当該対象物を用いる分野に広く適用することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、以上のように、評価対象物が内部に設けられている反応部、該評価対象物を加熱する加熱部、該反応部の内部へガスを流入させるガス供給流路、該反応部からガスを流出させるガス排出流路、該ガス供給流路の内部に設けられている流量調整部、および該ガス排出流路に設けられている検出部を備えており、上記評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を分析する分析部が、上記検出部及び上記反応部に連結しており、上記ガス排出流路に不活性ガスを注入する不活性ガス注入部が、上記ガス排出流路に設けられており、上記検出部が、上記反応部から流出させたガスと上記不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出する装置である。
【0028】
それゆえ、本発明におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、高濃度のガスを用いても評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価することができるという効果を奏する。例えば、高濃度ガスを連続流通させる場合におけるガスの反応性評価(TPR法)や、過剰吸蔵の結果、昇温に伴い高濃度ガスが発生する場合におけるガスの吸着能評価(TPD法又はTPR法)が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】従来のガスの吸着性、反応性等の評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】一般的なガスの吸着性、反応性等の評価装置における温度と脱離ガス量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態について、以下に詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施し得るものである。
【0031】
(I)本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の構成
本実施形態のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、評価対象物が内部に設けられている反応部、該評価対象物を加熱する加熱部、該反応部の内部へガスを流入させるガス供給流路、該反応部からガスを流出させるガス排出流路、該ガス供給流路の内部に設けられている流量調整部、および該ガス排出流路に設けられている検出部を備えており、上記評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を分析する分析部が、上記検出部及び上記反応部に連結しており、上記ガス排出流路に不活性ガスを注入する不活性ガス注入部が、上記ガス排出流路に設けられており、上記検出部が、上記反応部から流出させたガスと上記不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出する。
【0032】
すなわち、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、ガス試料部(反応部)から流出させたガスに不活性ガスを添加する部材(不活性ガス注入部)を、試料部(反応部)と検出部との間に設けることによって、検出部における検出上限を超える濃度のガスであっても、不活性ガスとの混合ガスとすることによって成分を検出することができる。
【0033】
具体的には、図1を参照しながら具体的に説明する。図1は、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10の概略構成を示す断面図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10は、例えば、反応部1、加熱部2、ガス供給流路3、ガス排出流路4、流量調整部5、検出部7、分析部8、不活性ガス注入部9を備えている。また、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10は、ガス貯蔵部6をさらに備えていてもよい。その場合、ガス供給流路3、流量調整部5およびガス貯蔵部6を1セットとして1種類のガスを供給してもよく、ガス供給流路3、流量調整部5およびガス貯蔵部6のセットが複数あってもよい。なお、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10は、不活性ガス注入部9を有していること以外、従来公知であるガスの吸着性、反応性等の評価装置の構成を備えていればよい。各部材等の詳細については、以下に説明する。
【0035】
<評価対象物>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、評価対象物(サンプル)は、少なくとも1種類のガス成分を吸着するものであれば特に限定されない。当該評価対象物としては、例えば、触媒機能を有する対象物(セラミックス類、シリカ、活性炭等)、熱分解する対象物(硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩等)、ガス吸蔵合金(水素吸蔵合金等)、などが挙げられる。触媒機能には、酸化還元性、酸塩基性などがある。
【0036】
<ガスの吸着性及び/又は反応性>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10は、評価対象物における、ガスの吸着性及び反応性のうちの少なくとも1つを評価する。
【0037】
ここで「吸着性及び/又は反応性」には、評価対象物へのガスの吸着や脱離といった物理的反応(評価対象物がガス成分をどれだけ吸着させ、どの温度でどれだけ脱離させるか等)、並びに、評価対象物表面で起こる化学的な反応(酸化還元反応や酸塩基反応等)といった、評価対象物とガスとの間に起こる全ての相互作用が含まれる。
【0038】
<反応部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、反応部(試料部)1は、評価対象物を内部に設けている部材である。また、反応部1は、耐熱性を有する材料からなっていることが好ましい。
【0039】
ここで、「評価対象物が内部に設けられている反応部」とは、当該反応部において、当該評価対象物が、上記ガス供給流路から流入したガスに接触し、かつ接触後のガスを上記ガス排出流路に流出させることができる位置に設けられている構成であり、当該評価対象物が当該反応部の内部の一部分に設けられている態様であっても、当該評価対象物が当該反応部の内部の全体に設けられている態様であってもよい。当該評価対象物が当該反応部の内部の一部分に設けられている態様とは、当該評価対象物が当該反応部の内部のいずれかの部分、例えば、当該反応部の内部の中心部分、当該反応部の内壁に沿った部分等、に設けられていればよい。
【0040】
<加熱部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、加熱部2は、評価対象物を加熱する部材である。加熱部2としては、例えば、ヒーター等が挙げられる。
【0041】
なお、反応部1に加熱機能がある場合には、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10が加熱部2を備えていなくても本実施形態の範囲に含まれる。
【0042】
<ガス供給流路>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、ガス供給流路(ガス供給部)3は、反応部1の内部へガスを流入させる部材である。流入させるガス(プローブガス)は、評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性、すなわち、評価対象物のガス吸着能及び/又は評価対象物とガスとの反応性を評価したいガス成分を含むガスである。例えば、He、N、O、H等の成分を含むガスが挙げられる。具体的には、HeやNはキャリアガスとして利用し、OやHはプローブとして利用する場合もあれば、プローブガスを流通させる前に吸着(反応)させるために利用する場合もある。
評価対象物とガスとの相互作用を評価するためのプローブガスとして種々のものが考えられるが、通常、NHやCO、CO、NOx、SOなどが用いられる。
【0043】
<流量調整部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、流量調整部5は、ガス供給流路3の内部に設けられ、流入させるガスの流量を調整する部材である。流量調整部5としては、例えば、マスフローコントローラ(MFC)等が挙げられる。
【0044】
なお、ガス供給流路3に流量調整機能がある場合には、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10が流量調整部5を備えていなくても本実施形態の範囲に含まれる。
【0045】
<ガス貯蔵部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、ガス貯蔵部6は、反応部1の内部へ流入させるガスを蓄えておく部材である。ガス貯蔵部6としては、例えば、ガスボンベ等が挙げられる。また、ガス貯蔵部6としては、1個のガスボンベ等を用いてもよいし、複数個のガスボンベ等を用いてもよい。
【0046】
<ガス排出流路>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、ガス排出流路4は、反応部1からガスを流出させる部材である。流出させるガスとしては、例えば、評価対象物の表面に吸着後、加熱等によって脱離した、反応脱離ガス等が挙げられる。
【0047】
ガス排出流路4は排気口に連結されており、当該排気口からガスを系外へ放出することができる。
【0048】
<検出部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、検出部7は、ガス排出流路4に設けられており、反応部1から流出させたガスと後述の不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出する部材である。検出部7としては、例えば、質量分析計、熱導検出器、各種ガス分析計(NDIR、FT−IR、化学発光NOx計、SO計など)、またはそれらを組み合わせた装置、等が挙げられる。
【0049】
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、検出の対象ガスは、(i)評価対象物に吸着後、昇温に伴いまたは昇温を伴わず脱離するガス、(ii)評価対象物に吸着後、昇温に伴いまたは昇温を伴わず化学反応を起こし、脱離するガス、(iii)評価対象物に吸着せず、化学反応もせずに反応部1から流出するガス、(iv)評価対象物に吸着せず、当該評価対象物との接触によって化学反応を起こし、反応部1から流出するガス、などである。
【0050】
上記のガスを検出することで、間接的に評価対象物表面とガスとの相互作用(物理的反応:吸着脱離、化学的反応:酸化還元、酸塩基等の電子のやり取りで記述されるもの(CO+1/2O→CO等)、など)を評価する。
【0051】
<分析部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、分析部8は、評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を分析する部材である。分析部8は、少なくとも検出部7及び反応部1に連結している。なお、分析部8は、検出部7及び反応部1以外の他の部位に連結していてもよい。
【0052】
分析部8は、検出部7にて検出されたガスの成分、並びに、評価対象物が有するガスの吸着性及び/又は反応性を分析する。その際に、例えば、ガス貯蔵部6に含まれるガス等から、反応部1の内部に流入させたガスの情報を得る。
【0053】
なお、検出部7に分析機能がある場合には、本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10が分析部8を備えていなくても本実施形態の範囲に含まれる。
【0054】
<不活性ガス注入部>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10において、不活性ガス注入部(ガス添加装置)9は、ガス排出流路4に設けられており、ガス排出流路4に不活性ガスを注入する部材である。不活性ガス注入部9は、ガス排出流路4に不活性ガスを注入することができるものであれば、材質、大きさ等は特に限定されない。また、不活性ガス注入部9が注入する不活性ガスとしては、例えば、He、N等の成分を含むガスが挙げられる。
【0055】
不活性ガス注入部9は、第2の流量調整部を有していることが好ましい。これにより、不活性ガスの注入量を調整することができる。
【0056】
第2の流量調整部は、不活性ガスの注入量を調整することができるものであれば、特に限定されない。例えば、流量調整部5と同様のものを用いることも可能である。
【0057】
反応部1から流出させたガスと上記不活性ガスとの混合ガスにおける、上記不活性ガスの割合は、10%以上、90%以下の範囲内であることが好ましく、50%以上、90%以下の範囲内であることがより好ましく、80%以上、90%以下の範囲内であることが特に好ましい。不活性ガスの割合が50%未満であると、反応部1から流出させるガスを十分に希釈することができない。一方、不活性ガスの割合が90%よりも多いと、反応部1から流出させるガスが希釈されすぎて、検出部7において正確に検出することができない。
【0058】
<その他の部材>
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置10は、反応部1、加熱部2、ガス供給流路3、ガス排出流路4、流量調整部5、検出部7、分析部8および不活性ガス注入部9以外の他の部材を備えていてもよい。
【0059】
(II)本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の製造方法
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の製造方法は、不活性ガス注入部9を備えること以外、従来公知であるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の製造方法を用いることができる。不活性ガス注入部9を製造する工程は、ガス排出流路4を製造した後の工程であればよい。不活性ガス注入部9を製造する工程は、不活性ガス注入部9の機能を有するように製造すること以外は特に限定されない。
【0060】
(III)本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の製造装置
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の製造装置は、不活性ガス注入部9を備えること以外、従来公知であるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の製造装置を用いることができる。不活性ガス注入部9を製造する装置は、不活性ガス注入部9の機能を有するように製造すること以外は特に限定されない。
【0061】
(IV)本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の具体例
検出部7としては、NOx及びSO計を用いることができる。検出部7の上流には不活性ガス導入ラインが設計されており、不活性ガス注入部9が接続されている。不活性ガス注入部9の役割は、反応部(サンプル部)1から流れ出る、検出上限以上の高濃度被検出ガスに、HeやNなどの不活性ガスを添加し、希釈することによって検出部7の検出レンジ内に最適化することにある。
【0062】
不活性ガス注入部9は、マスフローコントローラ(MFC)を利用して、供給する不活性ガスの流量調整を行ってもよい。したがって、搭載するMFCの容量を大きくすることによって、希釈可能なレンジを広くすることができる。また、検出部7には検出成分に応じて種々のガス分析計を適用可能であるが、より高感度な分析計を用いることによって、検出レンジを広げることが可能である。
【0063】
具体的には、従来のTPDシステムは、多くの場合、予め低濃度に希釈されたガス、もしくは各種ガスボンベとMFCとを同時使用し、流通ガスを混合することで希釈したガスを試料部に流通させる。これは、検出部に導入するガスの濃度を検出部の検出レンジ内に最適化するためである。すなわち、従来のシステムでは、測定可能なTPDもしくはTPR測定の濃度が検出部の性能に左右されていた。例えば、高感度分析計である質量分析計では約数ppb〜1ppmオーダー、化学発光方式NOx計では数100ppb〜0.1%程度が検出範囲である。
【0064】
これに対して、本実施形態の不活性ガス注入方式を用いる場合、検出下限は検出部の性能によって決定されるが、評価用ガスをHeやNなどの不活性ガスで希釈することによって、検出上限を広げることができる。例えば、本実施形態の不活性ガス注入方式を用いるTPDシステムでは、評価用ガスの最大流量が100mL/min.であるのに対し、不活性ガスを最大1200mL/min.まで添加することが可能であるため、検出範囲が数100ppb〜5000ppmである化学発光方式NOx計を検出部に用いた場合、測定可能である検出範囲は数100ppb〜6.5%(検出上限は、従来のTPDシステムの検出上限の約13倍)となる。この検出範囲は、より高感度な検出器を使用すること、不活性ガス注入部に搭載するMFC容量を増大させること等でさらに広げることができる。すなわち、本実施形態では、従来対応できなかった幅広いガス濃度条件下でのガス成分の分析が可能となる。
【0065】
(V)本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置の用途
本実施形態におけるガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、種々の用途に用いられる。例えば、触媒機能を有する対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価するために用いられる。これにより、本発明のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置は、触媒機能を有する当該対象物を用いる分野に広く適用することができる。
【0066】
(VI)その他の実施形態
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、工業化学関係、医薬品関係、食品関係、電気電子関係、燃料電池関係、排ガス処理関係、二次電池(リチウムイオン電池等)関係、などの広範な分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 反応部
2 加熱部
3 ガス供給流路
4 ガス排出流路
5 流量調整部
6 ガス貯蔵部
7 検出部
8 分析部
9 不活性ガス注入部
10 ガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象物が内部に設けられている反応部、該評価対象物を加熱する加熱部、該反応部の内部へガスを流入させるガス供給流路、該反応部からガスを流出させるガス排出流路、該ガス供給流路の内部に設けられている流量調整部、および該ガス排出流路に設けられている検出部を備えており、
上記評価対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を分析する分析部が、上記検出部及び上記反応部に連結しており、
上記ガス排出流路に不活性ガスを注入する不活性ガス注入部が、上記ガス排出流路に設けられており、
上記検出部が、上記反応部から流出させたガスと上記不活性ガスとの混合ガスに含まれている成分を検出する、ガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置。
【請求項2】
上記不活性ガス注入部が、第2の流量調整部を有している、請求項1に記載のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置。
【請求項3】
触媒機能を有する対象物におけるガスの吸着性及び/又は反応性を評価するために用いられる、請求項1または2に記載のガスの吸着性及び/又は反応性の評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−194001(P2012−194001A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57010(P2011−57010)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(390000686)株式会社住化分析センター (72)
【Fターム(参考)】