説明

ガスまたはガス混合物を極低温技術により液化するためのプラントおよび所属の精製方法

【課題】保守に手間がかからず、かつ製品損失を招かないプラントを提供する。
【解決手段】装入ガス流Eを極低温技術により液化するためのプラント100の液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲10と、当該プラント100の液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲とが設けられており、両範囲が、流体連通されたプラントコンポーネントを有しており、当該プラント100の液化運転中に極低温の温度に保持された範囲10と、当該プラント100の液化運転中に、より高い温度に保持された範囲との間の流体連通を遮断するために調整されている遮断手段40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装入ガス流を極低温技術(kryotechnisch.)により液化するためのプラントならびにこのようなプラントのための精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極低温液化機、すなわちヘリウム、水素、ネオン等のようなガスを液化するためのプラントは久しく以前より知られている。このようなプラントは一般に、多かれ少なかれ異種ガスにより不純化されたプロセスガスによって連続的に負荷される。この異種ガスは、装入ガスの流れで見て上流側に接続された精製器(Reiniger)により十分に除去される。残った残分はプラント内で液化運転中に凍結分離される。
【0003】
前記異種ガスは、液化したいガスよりも高い融点および/または沸点を有しており、したがって使用される温度で凍結分離または凝縮分離されるので、特に相応するプラントの膨張段を危険にさらしてしまう。このような汚染物(以下において「極低温濃度増大された不純物」と呼ぶ)は、極端な場合には、液化機内の管路を閉塞させ、これによりプラント停止状態を生ぜしめる。いずれにせよ、あまり深刻ではない場合を含めて、液化プラントは時間と共に汚染増大により出力を損失し、かつ/または時間にわたり各製品の純度が減少する。
【0004】
以下の説明の枠内では、主としてヘリウムを液化するためのプラントもしくは方法に関連して述べるが、もちろん、たとえば上で挙げたような別のガスを液化するためのプラントにおいても、比較可能な利点を使用して、相応する装置を使用することができる。また、本明細書中において「極低温濃度増大された不純物」とは、固体の、つまり凍結分離された汚染物の他に、凝縮分離された汚染物をも意味し、このような凝縮分離された汚染物も、やはりプラント出力を減少させる恐れがある。
【0005】
極低温濃度増大された不純物でますます負荷されていった液化プラントは、周期的に清浄化されなければならない。このために、大型のプラントはしばしば並列の複数の交番床吸着器(Wechselbett-Adsorber)を有している。これらの吸着器の床のうちの1つが濃度上限に達すると、この床を遮断して別の床に切り換えることができる。分析学により、その都度、残りの可使時間が監視され、コントロールされた再生が行われる。
【0006】
しかし、小型のプラントにおいては、コスト理由から、たいていこのような交番運転が放棄される。一層単純なプラントの場合には、プロセスガスを清浄化するための吸着器さえも設けられていないので、残留不純物はプラント内で凍結分離され得る。これに加えて、このような小型のプラントは通常、不連続的に運転される。十分に液化された製品が提供されると、プラントは停止され、昇温する。濃度増大された不純物は再び気相に戻り、プラント全体に分配される。進行する濃度増大を最小限に抑え、ひいてはこれに伴う出力損失を最小限に抑えるためには、一般にプロセスガスの大部分が吹き出される。したがって、相応するプラントは保守に手間がかかり、製品損失を招く。
【0007】
したがって、このような背景に基づき、上で挙げた不都合を克服するために適した、ガスまたはガス混合物を極低温技術により液化するための単純でかつ廉価な手段を求める要求が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上で挙げた不都合を克服するために適した、装入ガス流を極低温技術により液化するための単純でかつ廉価なプラントを提供することである。
【0009】
さらに本発明の課題は、このようなプラントから、極低温濃度増加された不純物を除去するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために本発明のプラントの構成では、装入ガス流を極低温技術により液化するためのプラントであって、当該プラントの液化運転中に極低温の温度(kryogen. Temperaturen)に保持された少なくとも1つの範囲と、当該プラントの液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲とが設けられており、両範囲が、流体連通されたプラントコンポーネントを有している形式のプラントにおいて、当該プラントの液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲と、当該プラントの液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲との間の流体連通を遮断するために調整されている遮断手段が設けられているようにした。
【0011】
さらに上記課題を解決するために本発明の方法では、このようなプラントの液化運転中に極低温の温度に保持された範囲から、極低温濃度増大された不純物を除去するための方法において、当該方法が:
a)プラントの液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲と、当該プラントの液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲との間の流体連通を、遮断手段の操作によって遮断し、
b)プラントの液化運転中に極低温の温度に保持された前記範囲を、より高い温度にまで加熱する、
を包含するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明により提案されたプラントには、当該プラントの液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲と、当該プラントの液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲との間に、液化運転中に存在していた流体連通を休止運転中に、もしくはプラント休止時に遮断するために調整されている遮断手段が設けられている。
【0013】
本発明は、極低温液化機の液化運転が中断されると、この液化機は当然ながら昇温し、この昇温は低い温度の範囲、つまり本明細書中において「極低温の温度(kryogen Temperaturen)に保持された範囲」と呼ばれる範囲では特に迅速に進行することを確認したことを出発点としている。このことは、この範囲において使用されている材料の比熱容量が一般に極めて小さいことに帰因し得る。
【0014】
吸着器を有しないか、または遮断器械なしの吸着器を有するプラントでは、清浄化ステップの枠内で、運転時間にわたってこの範囲において濃度増大された異種ガスが所定の時間毎に蒸発される。このためには、一般にプラント全体が加熱される。このときにプロセスガス、すなわち液化機のガス容量内に不純物が放出されてしまうので不都合となる。これにより、システム全体の汚染が生ぜしめられる。なぜならば、プラントの連通している全ての容積、すなわち流体連通している全ての容積において、不純物の度合いが増大するからである。
【0015】
温かいプロセス室、つまり本明細書中において「より高い温度に保持された範囲」と呼ばれるプロセス室は、一般に、相応するプラントの幾何学的な容積を決定し、全ての管路およびコンポーネントの全容積の約6/7を占めている。それと同時に、「より高い温度に保持された範囲」には、一般に極めてきれいなプロセスガスが存在する。しかし、この範囲のガス内容量は、含まれているガスの低い密度に基づき小さく、このようなプラントの全内容量の約1/3でしかない。
【0016】
逆に、「極低温の温度に保持された範囲」の幾何学的な容積は著しく小さく、プラントの全容積の約1/7でしかない。しかし、「極低温の温度に保持された範囲」は、この範囲に存在する低い温度に基づき、ひいては相応するガスの著しく大きな平均密度に基づき、全ガス内容量の最大約2/3を有している。しかし、全ての不純物がここで再び放出される。これによって、比較的大きなガス量が、比較的小さな容積内で放出されて、幾何学的な容積を規定する「より高い温度に保持された範囲」を著しく不純化してしまう。
【0017】
液化運転中に「より高い温度に保持された範囲」の汚染もしくはこの範囲に存在するプロセスガスまたは最終製品の汚染は、慣用のプラントにおいては、全てのガスまたは全てのガスから液化された成分を、「極低温の温度に保持された範囲」の加熱時に吹き出すことにより回避することができていた。しかし、プロセスガスは一般に、このようなステップを行うためには高価値過ぎる。
【0018】
以下においても詳しく説明するように、本発明は遮断手段の形で、このような汚染問題の簡単でかつ信頼性の良い解決手段を提供する。
【0019】
さらに本発明は、一般に液化運転中に「より高い温度に保持された範囲」に設けられている、汎用的に使用されている圧縮機が、通常、規定された再始動圧を必要とすることを前提としている。不純化されたプロセスガスの大部分が吹き出されてしまうと、このプロセスガスはきれいなガスにより代えられなければならない。これによって、液化機出力の一部が失われる。
【0020】
相応する液化機の再スタート時では、膨張段、たとえば膨張タービンが、広い温度範囲にわたってプラントの最低温点を形成する。不純物はこの段階で有利にはこの場所で凍結分離される。プロセスガス中の異種ガスの濃度増大に基づき、膨張段は深刻な危険にさらされる。したがって、プラントが出力を失う時間はますます短くなる;事情によっては、1つの膨張段の故障に基づき停止の危険も生じる。
【0021】
このような問題も、本発明により確実にかつ廉価に解消される。
【0022】
特に有利には、このようなプラントの前記「極低温の温度」が、−270℃〜0℃の温度範囲、特に−200℃〜−50℃の温度範囲を有している。前記「より高い温度」は0℃〜100℃の温度範囲、特に10℃〜50℃の温度範囲を有していると有利である。したがって、前で挙げたガスを液化するために、相応するプラントを使用することができる。
【0023】
特に有利には、本発明により提案された遮断手段が遮断弁、特に自動式に作動する遮断弁として構成されているか、またはこのような遮断弁を有している。このような弁を提供することにより、自動的に、つまり使用者の付加的な干渉が必要となることなしに、液化運転中に「極低温の温度に保持された範囲」と、液化運転中に「より高い温度に保持された範囲」との間の流体連通を遮断することが可能となるので特に有利である。このことは、たとえば「極低温の温度に保持された範囲」の意図された加熱あるいは意図されていない加熱時に、または意図された圧力降下あるいは意図されていない圧力降下時に行なわれ得る。このためには、相応するセンサまたは測定装置が設けられていてよい。たとえばソフトウェアにより規定された清浄化ルーチンへ組み込むことも同じく有利になり得る。
【0024】
前記遮断手段に制御装置を装備させることも有利になり得る。この制御装置は、プラント特性量、規定されたシーケンスおよび/または使用者入力を基礎として前記遮断手段を制御するために調整されている。このような制御装置は、たとえば使用者により要求された清浄化プログラムを基礎として作動することができる。この清浄化プログラムは個々の清浄化ステップの規定されたシーケンスの枠内で、たとえば遮断手段の操作および液化運転中に「極低温の温度に保持された範囲」の規定された加熱を規定する。
【0025】
上で説明したように、本発明により提案されたプラントは、少なくとも部分的にガス状の不純物で負荷された装入ガス流、つまり少なくとも部分的にガス状の不純物を含む装入ガス流を、極低温技術により液化するために調整されていると特に有利である。この場合、相応するプラントは装入ガス流を前清浄化するためのシステムを備えている必要はない。このことは製作コストおよび/または保守コストを著しく減少させる。したがって、現場で、たとえば寒剤として使用するために液化された所要量のガスを取り扱うために使用される特に小型のプラントでは、提案された手段が有利となる。
【0026】
この場合、「極低温の温度に保持された範囲」が、極低温作動する少なくとも1つの熱交換器を有しており、かつ「より高い温度に保持された範囲」に、少なくとも1つの圧縮機および/または少なくとも1つのフィルタおよび/または少なくとも1つの吸着器が提供されていると特に有利である。上で述べたように、この場合、提案された遮断手段により、「極低温の温度に保持された範囲」よりも著しく大きな幾何学的容積を有している「より高い温度に保持された範囲」の汚染を確実に回避することができる。
【0027】
特に、当該プラントが、ヘリウム液化、水素液化またはネオン液化のためのプラントであると、本発明による手段はその有利な作用を発揮することができる。相応するプラントは特にしばしば現場で(オンサイトプラントの形で)提供されているので、たとえば吸着器の保守は必ずしも常に保証されているわけではない。
【0028】
相応するプラントから極低温濃度増大された不純物を除去するための、同じく本発明により提案された方法については、前で述べた特徴および利点を参照するものとする。相応する方法は特に、前記遮断手段により、液化運転中に「極低温の温度に保持された範囲」と、液化運転中に「より高い温度に保持された範囲」との間の流体連通を遮断し、次いで、その前に、つまり液化運転中に、極低温の温度に保持されていた範囲を、より高い温度にまで加熱することを内容としている。既に述べたように、相応する方法は、特に有利には制御装置に組み込まれていてよく、そしてたとえば使用者要求に基づいて、自動的に実行され得る。
【0029】
相応する方法は、「極低温の温度に保持された範囲」における作動圧を減少させ、「より高い温度に保持された範囲」における作動圧を維持することをも包含し得る。これにより、特に有利には、「より高い温度に保持された範囲」における新たな圧力形成もしくは増圧を不要にすることができる。これにより、さもないと、この場所に設けられた1つまたは複数の圧縮機のための前圧を調節するまでに必要とされる保守時間が回避される。きれいなプロセスガスが、寒冷循環路内に流れ込む代わりに、製品流に留まる。
【0030】
上で述べたように、本発明による方法は特に、極低温の温度において固体物質として存在するガスのために適しているが、しかし相応する液体のためにも同様に適している。たとえばヘリウムを液化するための従来公知のシステムでは、きれいなシステム内でのヘリウムの完全な貯蔵、ひいてはガス状の不純物の連続的な濃度増大と、加熱されたガスの最大50%の、回収部への吹出しとのいずれか一方を選択することができた。後者の場合、一般には、加熱された、回収部へ吹き込まれたガスが、引き続き再び全清浄化プロセスに通されるようになっていた。しかしこれにより、きれいなシステム内での不純物を50%にまで希釈することしか達成することができなかった。それに対して、本発明による手段を導入することにより、システム内のガス内容量の約10%よりも少ない量しか回収部へ到達させないことが可能となる。温かいプロセス室内の比較的きれいなプロセスガスは高い圧力において維持される。低温のプロセス室は、たとえば当該プラントの遮断後に直ちに純ガスバッファへ放出され得る。なぜならば、加熱がまだ行われていなかったからである。遮断手段が作動させられると、この室は昇温し、不純物が放出される。この著しく汚染されたプロセスガスをガス回収システムへ移すことができる。
【0031】
この場合、有利には「より高い温度に保持された範囲」に設けられた遮断手段を、相応するプラントに廉価にかつ簡単に後装備させることができるので特に有利である。これにより、極低温遮断装置と交番床吸着器とを備えた大型プラントに比べて著しいコスト利点が得られる。したがって、本発明は既存のプラントに簡単にかつ実用的に組み込むことができる。
【0032】
本発明のさらに別の利点および構成は、以下に図面につき説明する発明の実施形態に記載されている。
【0033】
もちろん、前で挙げた特徴および以下において説明する特徴は、それぞれ記載された組合せの形でのみ使用可能であるのではなく、本発明の枠から逸脱することなしに別の組合せの形または単独の形でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の有利な実施形態によるガスまたはガス混合物を低温技術により液化するためのプラントを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0036】
図1には、本発明の特に有利な実施形態が図示されている。図1には、ヘリウム液化のためのプラント100が示されている。このプラント100は主としてクロード法(Claude-Verfahren)により作動する。プラント100は著しく簡略化されて描かれており、特に個々の管路、バッファタンク、弁、測定装置および制御装置等の間を接続するクロス接続部は図示されていない。
【0037】
プラント100は寒冷遮断された範囲もしくはコールドボックス10を有している。この範囲もしくはコールドボックス10の内部では、コンポーネント22〜26,51〜54,71,72が、極低温(kryogen.)の温度に保持される。コールドボックス10の外部に位置するコンポーネントは、より高い温度、特に周辺温度にさらされると有利である。
【0038】
液化したい、相応して圧力負荷された装入ガス流E、有利にはガス状の不純物を有する粗ヘリウムが、ドライヤ21を介してプラント100に供給される。ドライヤ21では、装入ガス流Eから湿分が分離される。
【0039】
引き続き、装入ガス流Eはコールドボックス10内に流入する。コールドボックス10内で装入ガス流Eは、たとえば4つの熱交換器22,23,24,25を有する凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20を通過する。第2の熱交換器23を通過した後に、たとえば分離器26において凝縮された窒素が装入ガス流から分離される。この窒素は、あとで説明する熱交換器51において寒剤として働く。
【0040】
凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20の4つの熱交換器22,23,24,25のための寒剤としては、本液化法の枠内で冷却されたヘリウムと、凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20により精製されたヘリウムとが使用され、このヘリウムは4つの熱交換器22,23,24,25を向流で通過する。
【0041】
凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20を通過した後に、精製された装入ガス流Eは冷却ユニット50に供給される。この冷却ユニット50内で装入ガス流Eは、新たに4つの熱交換器51,52,53,54を通過する。
【0042】
第1の熱交換器51では、冷却したい装入ガス流Eが、蒸発する液体窒素LINの向流により冷却される。液体窒素LINはプラント100に一部は外部から供給され、その他の一部は凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20の分離器26からのものである。蒸発した窒素は環境ATM中へ放出される。
【0043】
第2の熱交換器52では、冷却したい流れの一部が、分岐路を介して膨張タービン71に供給され、この膨張タービン71において膨張させられて冷却される。こうして冷却された流れは寒剤として第3の熱交換器53において使用され、引き続き新たに膨張タービン72において膨張させられる。
【0044】
冷却したい流れの別の部分は第3の熱交換器53の下流側で分岐路を介して凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20に供給され、この凍結分離式もしくは凝縮式の精製システム20において寒剤として使用される。
【0045】
冷却したい流れの残分は全ての熱交換器51,52,53,54を通過し、これらの熱交換器51,52,53,54において順次に所定の温度にまで冷却され、この温度で、かつ存在する圧力においてヘリウムは凝縮分離を開始する。凝縮分離されたヘリウムはコールドボックス10の外部の断熱された液体ヘリウムタンク60内に捕集されて、この液体ヘリウムタンク60において取り出され得る。
【0046】
冷却したい流れの、凝縮分離されなかったガス状の画分は、向流の形で熱交換器54,53,52,51を通って案内されて、順次にそれぞれ分岐された部分流と合流される。合流された流れは、引き続き、たとえば圧縮機31、特にオイル噴射部を有するスクリュ型圧縮機を備えた圧縮機プラント30と、2つの精密フィルタ32,33と、オイル分離のための吸着器34とに供給される。付加的にまたは択一的に、別のオイル分離装置、たとえば重力分離器が用意されていてよい。
【0047】
1実施形態では、有利には自動的に切り換わる遮断弁40が設けられている。この遮断弁40は、コールドボックス10の極低温の温度に保持された範囲と、コールドボックス10外部の、より高い温度に保持された範囲との間の分離を行うことを可能にする。この遮断弁40により、前で述べたように、コールドボックス10の、極低温の温度に保持されていた範囲が放圧されかつ/または加熱された場合でも、コールドボックス10外部の、より高い温度に保持された範囲において比較的純粋なプロセスガスを高い圧力に保持することができる。
【0048】
清浄化のためには、まず、コールドボックス10の極低温の温度に保持された範囲に存在するプロセスガスが、コールドボックス10外部の純ガス貯蔵部内へ放出され、あとからの再供給のためにこの純ガス貯蔵部内に貯えられる。引き続き、遮断弁40が閉鎖され、コールドボックス10の、極低温の温度に保持されていた範囲が加熱されかつ/または放圧され、これにより、前で説明したように、極低温濃度増大された不純物が除去される。
【符号の説明】
【0049】
10 コールドボックス
20 精製システム
21 ドライヤ
22,23,24,25 熱交換器
26 分離器
30 圧縮機プラント
31 圧縮機
32,33 精密フィルタ
34 吸着器
40 遮断弁
50 冷却ユニット
51,52,53,54 熱交換器
60 液体ヘリウムタンク
71,72 膨張タービン
100 プラント
E 装入ガス流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装入ガス流(E)を極低温技術により液化するためのプラント(100)であって、当該プラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲(10)と、当該プラント(100)の液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲とが設けられており、両範囲が、流体連通されたプラントコンポーネント(21〜71)を有している形式のプラントにおいて、当該プラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲(10)と、当該プラント(100)の液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲との間の流体連通を遮断するために調整されている遮断手段(40)が設けられていることを特徴とする、装入ガス流を極低温技術により液化するためのプラント。
【請求項2】
極低温の温度が、−270℃〜0℃の温度範囲、特に−200℃〜−50℃の温度範囲を有しており、より高い温度が、0℃〜100℃の温度範囲、特に10℃〜50℃の温度範囲を有している、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記遮断手段(40)が、遮断弁、特に自動式の遮断弁を有している、請求項1または2記載のプラント。
【請求項4】
前記遮断手段(40)が、制御装置を有しており、該制御装置が、当該プラント(100)の特性量、規定されたシーケンスおよび/または使用者入力を基礎として前記遮断手段を制御するために調整されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のプラント。
【請求項5】
当該プラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲(10)が、極低温作動する少なくとも1つの熱交換器(22〜25,51〜54)を有しており、かつ/または当該プラント(100)の液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲が、少なくとも1つの圧縮機(31)、フィルタ(32,33)および/またはオイル分離器(34)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のプラント。
【請求項6】
当該プラント(100)が、少なくとも部分的にガス状成分を含む装入ガス流(E)を液化するための、吸着器なしのプラント(100)として構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のプラント。
【請求項7】
当該プラント(100)が、ヘリウム液化プラント、水素液化プラントまたはネオン液化プラントとして構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のプラント。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のプラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された範囲(10)から、極低温濃度増大された不純物を除去するための方法において、当該方法が:
a)プラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲(10)と、当該プラント(100)の液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲との間の流体連通を、遮断手段(40)の操作によって遮断し、
b)プラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された前記範囲(10)を、より高い温度にまで加熱する、
を包含することを特徴とする、極低温濃度増大された不純物を除去するための方法。
【請求項9】
当該方法がさらに、プラント(100)の液化運転中に極低温の温度に保持された少なくとも1つの範囲(10)における作動圧を減少させ、当該プラント(100)の液化運転中に、より高い温度に保持された少なくとも1つの範囲における作動圧を維持する、請求項8記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−159285(P2012−159285A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18724(P2012−18724)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(391009659)リンデ アクチエンゲゼルシャフト (106)
【氏名又は名称原語表記】Linde Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Klosterhofstrasse 1, D−80331 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】