説明

ガスを分析装置に供給する装置

【課題】試料ガスおよび/または標準ガスがオープンスプリットを経て分析装置に供給され、キャリアガスを付加することが可能である、同位体比を分析するための方法と、ガスを分析装置に供給する装置とを提供する。
【解決手段】所定のガス流がガス管内で調節可能である、ガスを分析装置に供給する装置であって、供給管80と、少なくとも1本の後続の管97と、供給管80と後続の管97との間に設けられた複数の弁89〜96とを備え、この弁89〜96が互いに並列に接続され、かつ段階的に、すなわちバイナリ式にまたは漸次式に切換え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの試料ガスおよび/または少なくとも1つの標準ガスが少なくとも1個のオープンスプリット(offene Kopplung)を経て少なくとも1個の分析装置に供給され、キャリアガスを付加することが可能である、同位体比を分析するための方法に関する。本発明はさらに、オープンスプリットを備え、このオープンスプリットが混合領域と待機領域とを有し、この際、試料ガス、キャリアガスおよび/または標準ガスのための毛管と、ガスを取り出すための毛管、特にガスを分析装置に供給するための毛管が、待機領域に配置され、この際、毛管が混合領域の中へまたは混合領域に近づくように及び再び戻るように移動可能である、特に上記方法を実施するための、少なくとも1個の分析装置にガスを供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同位体比を測定するための装置の特徴は、分別を生じないように、すべての構成要素を構成しなければならないことにある。この分別は例えば拡散によって輸送が生じる場所ならどこでも発生する。
【0003】
同位体比の分析に適した質量分析計(同位体質量分析計またはIRMS)とガスクロマトグラフィ装置との間のインターフェースとしてのオープンスプリットは例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1には、キャリアガスとしてヘリウムを使用する場合の、CO2とN2の分析が述べられている。供給されるキャリアガスの量は、分析すべき両ガスの希釈を互いに適合させることができるようにするために変更可能である。キャリアガス量の変更は適当な弁を介してあるいはオープンスプリットに挿入される毛管の位置変更によって行われる。いろいろなガス流およびガス量を、得ようとする結果に従って、正しく調節できるようにするために、操作者は非常に多くの経験を必要とする。分析結果は操作者の器用さに左右され、多かれ少なかれ偶然的に変動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第4333208A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、同位体比を分析するための冒頭に述べた方法を改良することである。特に、分析結果が実際の比を一層正確に表すようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る方法は、それぞれのキャリアガスを供給することによってあるいは試料ガスを分析装置に直接供給することによって、分析装置に達する試料ガスおよび/または標準ガスの濃度を調整することを特徴とする。好ましくはコンピュータ制御による調整、特にセンサ情報に基づいてフィードバックする方法および/または以前に使用したパラメータを繰り返す方法による調整が行われる。調整の概念は原則的に広く解釈すべきであり、フィードバックしない調節または制御と、(オートメーション化技術におけるような)フィードバックする狭い意味の調整とを含んでいる。調整はソフトウェアまたはハードウェアによって実現可能である。好ましくはプログラム制御される調整である。少なくともキャリアガス用のこのような公知のアジャスタとして、例えばオープンスプリットに入る毛管のための電子的に調整可能な弁および/またはアクチュエータが調整される。調整はキャリアガス供給をゼロまで調整する可能性も含んでいる。さらに、試料ガスと標準ガスはオープンスプリットに入る前に既にキャリアガスを含むことができる(予備混合ガス)。
【0007】
分析装置として、好ましくは質量分析計、特に同位体比測定のために適した質量分析計(IRMS)が設けられる。しかし、本発明はこれに限定されない。他の例えば光学式分析器、分光計、干渉計、分光分析計等を使用することができる。
【0008】
本発明の有利な実施形では、少なくとも1つのガス、すなわち試料ガス、キャリアガス、標準ガスのうちの少なくとも1つのガスのためのオープンスプリットが、異なる有効流量を有する毛管を備え、そして所望の流量を有する毛管を選択および作動させることによってガス流が調整される。付加的にまたは代替的に、ガス流が他の方法、例えば調整可能な弁によって調整される。最初に、所定の毛管の選択に基づいて大まかな調整を行い、そして適当なアクチュエータによって微細な調節を行うことができる。個々の毛管の異なる有効流量は、例えば毛管の異なる横断面積または長さによってあるいは例えば毛管の端部分の特定の横断面収縮部によって生じる。各々のガスのために複数の毛管を設けることができる。
【0009】
その都度のキャリアガスの流入だけが調整され、残りのガス流が調整されないままであると有利である。この手段は装置構造と、調整システム内の切換え技術的またはプログラミング技術的作業を簡単にする。
【0010】
キャリアガスの供給が段階的に変更され、同じかまたは異なる規模の並列のキャリアガス分割流が、作動可能および互いに組み合わせ可能であり、その結果生ずる一つのキャリアガス流を調整できると有利である。
【0011】
試料ガスおよび/または標準ガスの濃度が、少なくとも分析装置にとって最適な測定範囲において、ほぼ一定のままであるように、その都度のキャリアガスの流入が調整されると有利である。試料ガスの体積流量は使用される源に依存して変動する。例えばガスクロマトグラフまたは元素分析器からガスを供給することが知られている。その際、試料の量は、試料毛管を通ってオープンスプリッタに流入するガス流内で変動する。これはキャリアガスを相応して流入させることによって相殺可能であるので、試料ガスは常に分析装置にとって最適な濃度で達する。これは標準ガスについても同様に当てはまる。
【0012】
多数の用途、特に標準ガスの正確な希釈のために、希釈制御と分析器信号との関係を予め記録し、そして予め較正した調節を測定過程で直接使用することが得策である。これは後述する本発明にかかる漸次的な流れ調整/制御との関連においてきわめて効果的である。すなわち、本来の測定プロセス中の再調整を完全に除去することができる。
【0013】
本発明の有利な他の実施形では、試料ガスと標準ガスがほぼ同じ強度の信号を分析装置に供与するように、交互に連続した測定を行う間にそれぞれのキャリアガスの流入が調整される。試料ガスと標準ガスは通常のごとく、キャリアガスと一緒に交互に分析器に供給される。測定の不正確さを低下させるために、試料ガス測定および/または標準ガス測定中のキャリアガス流入は、できるだけ同じ信号強度が分析器に達するように調整される。質量分析計の使用の際、これは、試料ガスと標準ガスが質量分析計の検出器で単位時間あたりほぼ同じヒット数を生じるようにキャリアガスを供給することを意味する。その際、キャリアガスの流入を調整するために、強度のフィードバックを行うことができる。
【0014】
試料ガスの濃度が分析器によって行われる測定から求められ、測定の結果がその都度のキャリアガスの流入調整のために使用されると有利である。この実施形の場合、分析器の測定結果が制御回路に供給される。それに基づいて、試料ガスおよび/または標準ガスのため、さらに後続の測定のためにキャリアガスの流入を調整することができる。
【0015】
試料ガスが分析器に入る前、特にオープンスプリットに入る前の濃度測定から、試料ガスの濃度が求められ、測定の結果がキャリアガスの流入調整のために使用されると有利である。これは上述の調整の代替または補足である。
【0016】
本発明の発展形態では、試料ガスの濃度が熱伝導率から求められる。それに適した検出器は知られており、キャリアガス流入調整のための制御回路内に比較的に簡単に統合可能である。
【0017】
オープンスプリットが並流原理で作動すると有利である。これはこの方法を実施する場合の装置構成と、流れ技術的なパラメータの管理を容易にする。
【0018】
本発明の他の思想では、2つ以上の試料ガスをオープンスプリットに供給することができ、この際、各試料ガスについてキャリアガスの流入が調整される。これにより、異なる試料ガスの測定を互いに比較することができる。従って、複数のオープンスプリットの準備および設置を回避することができる。
【0019】
本発明の発展形態では、試料ガスを、オープンスプリットに入る前に2つ以上の部分ガス流に分割することができ、この部分ガス流がオープンスプリットに供給される。好ましくは、試料ガスが2つ以上の毛管に分割される。これらの毛管は、オープンスプリット内に互いに並行に入っている。異なる毛管内の部分ガス流には、オープンスプリットに入る前に、異なる方法で影響を与えることができ、例えば物理的または化学的に変化させることができる。さらに、異なる毛管の使用も可能である。
【0020】
少なくとも1つの部分ガス流が、オープンスプリットに入る前に、トラップを通って案内され、それによってこの部分ガス流に含まれる成分または物質の少なくとも一部が取り除かれると有利である。例えば、CO2とN2を一緒に含む試料ガスを、N2測定時に邪魔になるCO2を取り除くアスカライト(Ascarite)トラップに通して案内することができる。CO2は、長い尾部によって、後続のN2測定の邪魔になる好ましくない特性を有する。本発明に係る方法では、この場合CO2を含んでいなくそしてN2の質的に高価値の測定を可能にする部分ガス流を作ることができる。
【0021】
2つのクロマトグラフのピークの間に、(例えば通過する標準ガスの測定のための)時間を作るために、場合によっては遅延ループ、例えば適当な長さの毛管の形をした遅延ループを接続することができる。
【0022】
本方法は軽量元素〜中量元素の同位体比を分析する。試料ガスは特に、ガス相に移行可能なこれらの元素の化合物である。例えばH2、CO2、CO、N2、SO2、N2O、NO、SF6、SF3、SO、Cl2、希ガスである。H、C、N、O、S、Clの化合物、特にH2、CO2、CO、N2が好ましい。
【0023】
本発明の他の思想によれば、試料ガスと標準ガスが異なるオープンスプリットを経てキャリアガスと共にまたはキャリアガスなしに分析装置に供給される。従って、この代替的方法では、試料ガスが標準ガスと異なるオープンスプリットを経て供給される。混合および希釈のためにキャリアガスを両オープンスプリットに供給することができる。
【0024】
両オープンスプリットの少なくとも1つへのキャリアガスの供給が、キャリアガス流を複数の並行な部分ガス流に分割することによって調節され、この部分ガス流の1つまたは複数が選択されてオープンスプリットに供給されると有利である。部分ガス流は互いに並列にオープンスプリット内に達するか、あるいはオープンループに入る1つのキャリアガス流に前もって合流させる。個々の部分ガス流を遮断または通過させることにより、生ずるキャリアガスを所望の流量を持って調節することができる。
【0025】
並列の部分ガス流の一部またはすべては好ましくは異なる規模である。これにより、生ずるキャリアガス流の調節時にきわめて多数のバリエーションが可能になる。
【0026】
本発明の他の思想によれば、試料ガスが、オープンスプリットに供給される前に、オープンスプリットに案内される流れと、この流れから分割された、オープンスプリットに供給されない流れとに分割される。これにより、多すぎる試料ガス流を少ない流量に減らすことができるので、所望の試料ガス流だけがオープンスプリットに達する。
【0027】
本発明に係る装置は、試料ガスのための2本以上の毛管が設けられていることと、これらの毛管がそれぞれ、混合領域と待機領域の間の移動のための固有の駆動装置を備えていることを特徴とする。この装置によって、複数の試料を同時におよび/または同じ装置条件で、1個以上の分析器または分析装置に供給することができる。従って、測定の実施前に通常行われる較正をかなり簡素化することができる。というのは、最も有利な場合には、1個のオープンスプリットによって作業が行われるからである。好ましくは標準ガスと試料ガスのために、複数の毛管がオープンスプリット内に設けられ、場合によっては異なるキャリアガスのために複数の毛管がオープンスプリット内に設けられる。
【0028】
毛管用の駆動装置がアクチュエータであると有利である。その際、毛管用の駆動装置が共通の中央制御ユニットによって制御可能であるので、毛管はコンピュータ支援によって移動可能であり、必要な毛管だけを混合領域内におき、不要な毛管は待機領域に待機させられる。
【0029】
本発明の他の思想によれば、待機領域が混合領域よりも大きな横断面積を有する。待機領域の大きな横断面積は多数の毛管を収容するために望ましい。混合領域の比較的小さな横断面積は、ガスの溢流や混合時のむだ時間を短縮する。なぜなら、混合領域の比較的小さな横断面積によって、混合領域の体積も大幅に減るからである。
【0030】
待機領域の横断面積が、混合領域の横断面積の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍の大きさであると有利である。毛管の数と必要スペースに応じて、横断面比も大幅に一層大きくすることができる。
【0031】
本発明の他の思想によれば、オープンスプリットが混合領域と待機領域との間に、ほぼ円錐状の形を有しかつ横断面積が混合領域の方へ縮小している漏斗状範囲を有する。この形状によって、待機領域と混合領域との間で毛管を問題なく移動させることができる。毛管は好ましくは柔軟に曲げることができ、漏斗状範囲において壁に沿わせることができる。
【0032】
(毛管の方向の)混合領域の長さが混合領域の幅よりも長く、特に2〜3倍の長さであると有利である。他の比も可能である。混合領域の体積の制限が重要である。さらに、混合領域内に毛管を異なる位置に配置することができる。
【0033】
本発明の発展形態では、ガスを取り出すための毛管の待機領域内の待機位置を、その他の毛管の待機位置よりも混合領域に近い位置にすることができる。ガスを取り出すための毛管は、例えば同位体質量分析計または同位体比を検査するための他の分析器まで案内されている。ガスを取り出すための毛管の上記待機位置により、待機位置にある他の毛管からこのガスを取り出すための毛管内に物質が達しないことが保証される。
【0034】
ガスを取り出すための毛管の混合領域内の取り出し位置が、その他の毛管の混合位置よりも待機領域に接近していると有利である。それによって、ガスがガスを取り出すための毛管に入る前に、関与するガスの十分な混合、例えば試料ガスとキャリアガスの十分な混合が、最も良好な方法で行い得ることが達成される。
【0035】
本発明の他の思想では、ガスを取り出すための毛管が、収縮箇所を有する管に接続されている。縮小個所によって、体積流量に大きな影響を与える管の最小横断面積が正確に定められる。
【0036】
ガスを取り出すための毛管が不活性化された特殊鋼からなる管に接続されていると有利である。それによって、管とそれを通るガスとの広い意味での反応(化学的反応、バックグランド効果等)が回避される。これは特に、普通の同位体比測定方法で分析されるガスに当てはまる。
【0037】
本発明の発展形態では、オープンスプリットが分析器内に、特に同位体質量分析計内に配置されるようにすることができる。従来の測定装置では、分析器は1個または複数の周辺部に接続される。そのために、分析器は適当なインターフェース、例えば1個以上のオープンスプリットのための接続部を備えている。従って、公知の装置の場合には、オープンスプリットは分析器の外に設けられている。これは、オープンスプリットが分析器の外の条件、例えば変化する温度にさらされることを意味する。これは室内においてもそうである。本発明に係る装置により、既存のオープンスプリットは分析器内に設けられるので、測定の精度にとって重要な周囲条件をコントロールすることができるかまたは一定に保つことができる。具体的には、分析器はケーシングを備えることができ、このケーシング内には1個以上のオープンスプリットが配置されている。試料ガス、キャリアガスおよび標準ガスの接続のためのインターフェースがオープンスプリットに接続され、このインターフェースが、ケーシングにまたはケーシングから外に案内されている。インターフェースは、弁と組み合わせられた原則的に公知の管継手である。弁は好ましくは個別的に特にコンピュータ制御によって調整可能である。中央制御ユニットは冒頭に述べた自動電子流入調整を実施する。
【0038】
オープンスプリットが並流原理で、すなわちガスが同じ方向だけから流入するように構成され、そして特に混合領域の片側が閉じていると有利である。比較的に軽いキャリアガスの使用時に、待機領域は混合領域の下方に配置されている。一方、比較的に重いキャリアガスのために、逆の配置が用いられる。
【0039】
本発明の他の思想では、ガス、すなわち試料ガス、キャリアガス、標準ガスの少なくとも1つのために、異なる有効流量を有する毛管が設けられるようにすることができる。異なる流量は例えば、異なる横断面積、特定の横断面縮小部、異なる長さ等を有する毛管によって達成され得る。適当な毛管の選択または作動により、ガスを所望の流量でオープンスプリットに適切に供給することができる。流量の微調節は付加的にまたは代替的に電子制御弁によって行うことできる。
【0040】
所定のガス流がガス管内で調節可能である、ガスを分析装置に供給する装置であって、供給管と、少なくとも1本の後続の管と、供給管と後続の管との間に設けられた複数の弁とを備え、これらの弁が互いに並列に接続され、かつこれらの弁が段階的に、すなわちバイナリ式にまたは漸次式に切換え可能である、装置も本発明の対象である。従って、ガス管内のガス流は、1個の弁の多かれ少なかれ強い操作によっては調節されない。むしろ、1個の弁は、少ない(好ましくは2つの)不連続の切換え状態を取ることができるというのが前提である。開放した1個の弁は所定のガス流を通過させることができ、開放した2個の弁はほぼ2倍のガス流を通過させることができる、等々である。弁の段階的な開放、例えば閉鎖/4分の1開放/2分の1開放/完全開放の調節による開放も考えられる。
【0041】
適当な流量を有する特定の絞りが各弁に付設されていると有利である。その都度の弁の完全開放時にガス流は絞りを介して定められる。絞りは弁に付加的に設けられるかあるいは弁に一体化されている。
【0042】
少なくとも2つの弁の絞りが異なっていると有利である。それによって、少ない並列弁によって、異なるガス流量を生じることができる。
【0043】
複数の絞りが設けられ、これらの絞りの流量が同じ倍数だけ異なっていると有利である。倍数は例えば2または2.5とすることができる。その場合、流量は単位を記載しないで、1/2/4/8・・・または1/2.5/6.25/15.625、等々である。同様に、他の倍数であることもできる。
【0044】
弁が、手動で、電気的にまたは電子的に制御可能であると有利である。弁は制御回路の一部であることもできる。最も簡単な実施では、弁は手動で予備調節される。
【0045】
供給管と後続の管を接続するために、弁を備えていない並列管が付加的に設けられていると有利である。並列管は弁に対して並列に伸び、常に所定のガス流を流すことを確実にする。このガス流は、好ましくは、付設のオープンスプリットの最小流れ要求を満たす。
【0046】
本発明の他の思想では、装置は、ガス流と他のガス流を混合するためのオープンスプリットを後続の管の後に備えていることを特徴とする。オープンスプリット内に達するガス流は弁によって調節される。
【0047】
本発明では、後続の第2の管を設けることができ、この際、この後続の第2の管と供給管との間に複数の弁が互いに並列に配置される。従って、この供給管は後続の2本の管にガスを供給し、この際、これらの管はそれぞれのガス流を調節するために、それぞれ別個の弁群を備えている。
【0048】
後続の第2の管のための弁にそれぞれ、適当な流量を有する特定の絞りが付設されていると有利である。
【0049】
本発明の他の思想では、後続の第2の管に、固有のオープンスプリット、すなわち第2のオープンスプリットが付設されている。従って、ガス流を異なる2つのオープンスプリットに分割することができる。
【0050】
1個または2個のオープンスプリットの後に、分析器として質量分析計が配置されていると有利である。この質量分析計は特に、同位体質量分析計、プラズマ源を有する質量分析計(ICP−MS)、衝突セルおよび反応セルのための衝突ガス制御を行う質量分析計である。本発明に係る装置によって、好ましくは、分析器または分析装置に至るキャリアガス流または衝突ガス流が調節または制御される。
【0051】
本発明では、供給管は弁を迂回するためおよびオープンスプリットに直接供給するための分岐部を備えることができる。この分岐部は絞りを備えていないかあるいは比較的に小さな絞りしか備えていないので、他の場合には最も大きな絞りを通るガス流に等しいかまたはそれよりも多いガス流が可能である。
【0052】
本発明の他の思想では、オープンスプリットまたは複数のオープンスプリットの1個が高流量のガスを供給するための第1毛管と、これより低流量のガスを供給するための第2毛管を備えている。好ましくは、第1と第2の毛管を経て、異なる濃度の試料ガスが供給される一方、次の毛管を接続した後続の他の管を経て、キャリアガスがオープンスプリット内に達する。
【0053】
本発明では、オープンスプリットが、ガスを取り出すための毛管、すなわちガス抜き毛管(Schnueffelkapillare)を備えることができ、この毛管が第1または第2毛管に対して並流式に配置され、かつ各々の他の毛管、すなわち、第2または第1の毛管に対して向流式に配置されている。好ましくは流量の少ないガスを供給するための第2毛管が、ガス抜き毛管に対して向流式に配置されている。これに相応して、第1毛管、すなわち流量の多いガスを供給するための毛管が、ガス抜き毛管に対して並流式に配置されている。
【0054】
本発明の他の思想では、ガス抜き毛管は、ガスを供給するための第2毛管の内径よりも小さな外径を有する。さらに、ガス抜き毛管と第2毛管は、或る位置ではガス抜き管が第2毛管に挿入されそして他の位置では両毛管が互いに離れているように、相対的に移動可能にかつ互いに同軸に配置される。
【0055】
本発明の他の思想では、オープンスプリットまたは複数のオープンスプリットの1個がガスを供給するための毛管を備えている。この際、この毛管は弁を介して閉鎖可能な分岐部を備えている。この弁は好ましくは毛管を通る流量またはガス流を減らす機能を有する。弁の開放時に、分岐部から部分ガス流が流れるので、然るべき部分ガス流だけが毛管を経てオープンスプリットに達する。
【0056】
本発明の他の思想では、オープンスプリットまたは複数のオープンスプリットの1個がガスを供給するための毛管を備え、この際、2本以上の供給管がこの毛管に通じている。これにより、異なるガスまたはガス試料を毛管に供給することができる。
【0057】
本発明では、供給管が多路弁を備え、この多路弁が一方の切換え位置でオープンスプリットの方へガスを通過させ、他の切換え位置でガスを排出するようにすることができる。この多路弁は好ましくは三方弁である。この三方弁はガスをオープンスプリットの方へあるいは他の目的の方へ導く。それによって、供給管の手前に設けられた範囲、すなわちいわゆる周辺部において、一定の圧力比が達成可能である。
【0058】
本発明の他の思想では、キャリアガスを、供給管を経て異なる2個のオープンスプリットに供給可能であり、この際、試料ガスは、毛管を経て一方のオープンスプリットに供給可能であり、標準ガスは、毛管を経て他のオープンスプリットに供給可能であり、両オープンスプリットから分析装置までガス抜き毛管が案内されている。
a)キャリアガス用の第1毛管がオープンスプリットに案内され、
b)低流量の試料ガス用の第2毛管が上記オープンスプリットに案内され、
c)これより高流量の試料ガス用の第3毛管が上記オープンスプリットに案内され、
d)第4毛管がガス抜き管として上記オープンスプリットから分析装置まで案内されていることを特徴とする、試料ガスとキャリアガスを分析装置に供給する装置も、本発明の対象である。
【0059】
これに応じて、いわゆる低流量試料ガスと高流量試料ガスが同じオープンスプリットを経て分析装置に達する。
【0060】
有利には、第1毛管の手前に、分岐部を有するキャリアガス供給管が配置され、この際、分岐部が低流量の試料ガス用の第2毛管に接続されている。分岐部に弁を設けることができる。この弁は分岐部内のガス流を遮断するかまたは通過させる。
【0061】
第4毛管がガス抜き管として低流量の試料ガス用の第2毛管中に有利に挿入することができる。それによって、低流量の試料ガスはガス抜き毛管に直接送られる。
【0062】
本発明の他の特徴は特許請求の範囲とその他は明細書から明らかである。次に、図に基づいて本発明の有利な実施の形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】反応器、ガスクロマトグラフ、オープンスプリット、イオン源、方向変更ユニット、検出器および電子制御装置を備えた、本発明に係る方法を実施するための装置の略図である。
【図2】図1の一部、すなわち反応器、ガスクロマトグラフおよび熱伝導性用の検出器を示す。
【図3】試料供給のための分割部を備えた図2の一部を示す。
【図4】質量分析計に一体化されたオープンスプリットを示し、このオープンスプリットはそれに接続された2つの周辺部を有し、この周辺部によって全部で3つの異なる試料ガス流が発生し、オープンスプリットは標準ガスのための4本の毛管とキャリアガスのための2本の毛管を備えている。
【図5】オープンスプリットの異なる2つの状態、すなわちオフ状態と、キャリアガスで希釈された標準ガスを質量分析計に送る状態を示す。
【図6】図5a、5bに示すようなオープンスプリットの3つの異なる状態、すなわち2本のキャリアガス毛管の1本を作動させた状態またはキャリアガス毛管の両方を作動させた状態を示し、それによって後続のバックグランドの乏しい実験を実施できるようにするために、存在するかもしれない吸収性の強いガスが混合領域から排除される。
【図7】図5a、5bのオープンスプリットの3つの状態を示し、同時に2つの標準ガスパルスと2つの試料ガスパルスについての信号示す。
【図8】オープンスプリットの4つの異なる状態を示し、同時に2つの標準ガスパルスと2つの試料ガスパルスについての信号強度を示す。
【図9】2つの標準ガスパルスと2つの試料ガスパルスの信号強度を示すと共に、オープンスプリットの4つの状態を示す。
【図10】2つの標準ガスパルスと2つの試料ガスパルスの信号強度を示すと共に、オープンスプリットの4つの状態を示す。
【図11】一定の希釈の場合と希釈が変化する場合の試料ガスパルスの信号強度を示すと共に、図5のオープンスプリットの3つの状態を示す。
【図12】互いに並列な弁によるガス流の制御または調整の略図である。
【図13】低流量試料ガス、高流量試料ガス、(異なるガス流を有する)キャリアガスおよび標準ガスを質量分析計に供給するための2つのオープンスプリットの組み合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明に係る方法を説明するために先ず最初に図1を参照する。反応器20内で燃焼される試料の同位体比を分析する場合の個々の構成要素の協働作用が示してある。ガス状の燃焼生成物はガスクロマトグラフ21を通って案内され、このガスクロマトグラフから試料ガスとして出る。
【0065】
試料ガスは少なくとも1つのオープンスプリット22を経てイオン源23に流れる。そこで形成されたイオンは方向変更ユニット24を経て検出システム25に達する。この検出システム25は好ましくは多数の検出器を備えている。
【0066】
分析の目的は試料ガスの同位体比測定である。そのために、試料ガスは、標準ガス源26からの標準ガスと交互にオープンスプリット22に連続的に供給される。そのほかに、キャリアガス源27からのキャリアガスをオープンスプリット22に供給することができる。
【0067】
図示を簡単化するために、図1では、試料供給部28、キャリアガス供給部29および標準ガス供給部30はそれぞれ1個だけ記入されている。実際には、それぞれ複数の供給管および供給源を設けることができる。
【0068】
個々のガスは複数の毛管、すなわち試料ガス毛管31、キャリアガス毛管32および標準ガス毛管33を経てオープンスプリット22に達する。そのほかに、イオン源23に通じる毛管34が設けられている。この毛管はガス抜き管とも呼ばれる。この場合にも、存在する供給管に応じて、それぞれ複数の毛管を設けることができる。
【0069】
毛管31〜34は動かすことができる、すなわち詳しく示していない公知のアクチュエータ35〜38によってオープンスプリット内に入れたり、再び戻すことができる。さらに、毛管31〜34を電子的に制御できる弁39〜42を設けることができる。分別の危険のために、(分析装置に至る)毛管34はできるだけ弁を用いないで操作される。
【0070】
ここで、毛管31〜34、アクチュエータ35〜38および弁39〜42を備えたオープンスプリット22、イオン源23、方向変更ユニット24および検出システム25は、分析装置としての同位体質量分析計43の一体化された構成部材であり、それと同時にできるだけケーシング44によって取り囲まれた同じ1つの装置ユニットの構成部材である。
【0071】
質量分析計43には、電子制御装置、ここではデータを伝送するためのインターフェースを備えたコンピュータ45が付設されている。このコンピュータ45は質量分析計43と一体化可能であるかあるいは(図1に示すように)質量分析計に接続可能である。破線で示した導電線またはデータラインおよび/または制御ラインは、コンピュータ45を、少なくとも検出システム25、アクチュエータ35〜38および制御可能な弁39〜42に接続する。
【0072】
ガスクロマトグラフ21と試料ガス供給部28との間には、例えば熱伝導率を検出するために、好ましくは試料ガスの濃度の検出器46が設けられている。検出器46は同様にデータラインを介してコンピュータ45に接続されている。
【0073】
適当なインターフェース、例えば継手47、48、49を介して、様々なガス供給部28、29、30を質量分析計43に接続することができる。
【0074】
同位体比を測定する際、様々なガス流がコンピュータ45によって調整される。そのために、弁39〜42が調節され、および/または毛管31〜34を動かすためのアクチュエータ35〜38が制御される。さらに、測定結果、特に検出システム25の分析結果および/または検出器46の濃度測定によって、調整に影響を与えることができる。
【0075】
他の図に基づいて、測定プロセスの様々な例を説明する。
【0076】
図2では、反応器20内で物質が転化される。この物質から例えばCO2とN2が発生する。これらのガスはガスクロマトグラフ21内で一時的に互いに分離され、そして試料ガス供給部28を経て図示していない質量分析計に達する。
【0077】
検出器46の信号に基づいて、N2よりも実質的に多量のCO2の発生を確認することができる。これはオープンスプリットの範囲においてキャリアガスによる希釈によって考慮することができる。
【0078】
しかし、CO2は特に同位体比測定との関連において測定技術的な問題の原因である。試料ガスは標準ガスと交互に測定され、従ってCO2も交互に測定される。このCO2が尾部の長いクロマトグラフのピークを有するので、後続の測定でのN2の測定が妨害される。さらに、質量分析計のイオン源内でCO2からCOが形成される。このCOはN2と同じ質量:電荷比を有する。
【0079】
上記の問題を解決するために、試料ガス供給部28は、図3に示すように、分割器50を介して2本の供給管51、52に分割されている。供給管51にはトラップ53が組み込まれている。このトラップはここでは、CO2を引き留めるために、アスカライトトラップとして形成されている。従って、供給管51を介してはN2だけがオープンスプリットに達する。一方、管52からは試料ガス供給部28と同じガスが流れる。もちろん、試料ガス流の他の処理も可能である。
【0080】
供給管51、52はそれぞれ固有の継手、弁および毛管を介してオープンスプリットに接続されている。この接続は図1の図示に類似しておよび例えば図4の周辺部(Peripherie)Aの範囲に示すように行われる。同位体比を測定する際、図3の構造体により、測定の過程で、N2とCO2が同じ試料から同じオープンスプリットを経て流れるようにして測定可能である。その際、質量分析計では常に測定技術上理想的な信号の強度が存在するように、オープンスプリットの範囲内で供給管52を経て流れるガスの希釈を行うことができる。濃度は検出器46から供給される信号に基づいて計算され、かつ適合させられる。濃度監視と希釈による適合のこの方法は、図2の実施形によっても実施可能である。
【0081】
図4は質量分析計43の構成部材としてオープンスプリット22を有する本発明に係る装置を示している。オープンスプリット22にはここでは、多数の毛管からガスが供給される。この毛管には多数のアクチュエータ(図示せず)と弁が付設されている。見やすくするために、質量分析計の他の構成部材と、付属するデータラインを備えた電子制御用コンピュータ45は記入していない。
【0082】
例として、4本の標準ガス毛管54〜57、2本のキャリアガス毛管58、59および3本の試料ガス毛管60、61および62並びに質量分析計に通じる毛管63が設けられている。上記の参照番号は図5a〜11dにも記載されている。
【0083】
ここで、周辺部Aとは、試料調製のためのユニットであると理解される。このユニットは例えば図1〜3に示すようなユニットであり、かつ図3から判るように2本の供給管51、52を備えている。同様に、周辺部Bは試料調製のための他のユニットを示し、このユニットは例えば図1、2に相当する。すなわち試料ガス供給部28と同様に1本だけの供給管64を備えている。
【0084】
イオン源に通じる毛管63の範囲内には特徴がある。すなわち収縮箇所65が設けられている。毛管63は不活性化された特殊鋼から作られ、収縮箇所65の範囲において狭められて厳密に定められた横断面積を有する。それによって、この毛管に再現可能な状態が作られる。縮小個所65の後には、図1の弁42に類似して、遮断弁66が配置されている。
【0085】
オープンスプリット22は並流原理に従って構成されている。特に図5a以降参照。すなわち、毛管は同じ方向から互いに並列にオープンスプリットに挿入され、これに相応して試料ガス、標準ガスおよびキャリアガスは同じ方向からオープンスプリットに流入する。
【0086】
オープンスプリット22は混合領域67、待機領域68およびその間にある移行領域69を備えている。混合領域67は一方の側が閉鎖され、待機領域68よりも小さな横断面積を有する。互いの横断面積の比は、待機領域の範囲内における毛管の必要スペースに依存する。交互に供給されるガスのためにできるだけ迅速なガス交換を達成できるようにするために、混合領域67のできるだけ小さな横断面積が望まれる。
【0087】
混合領域67には少なくとも2つの異なる位置が設けられている。すなわち、イオン源に通じる毛管63のための、この毛管の取り出し位置としての外側の混合位置70と、その他の毛管のための内側の混合位置71とが設けられている。その際、用語「内側」と「外側」は、オープンスプリットの入口範囲72までの両混合位置70、71の間隔に関連している。入口範囲72に近い混合位置70が外側の混合位置と呼ばれる。というのは、この混合位置が内側の混合位置71よりもオープンスプリットの唯一の開口の近くにあるからである。毛管63の取り出し位置は、図に示すような混合領域の境界上にではなく、混合領域67の若干外に設けることもできる。
【0088】
待機領域68は同様に、2つの待機位置、すなわち毛管63を除くすべての毛管のための外側の待機位置73と、毛管63のための内側の待機位置74を有する。例えば図5a参照。
【0089】
移行領域69は円錐形に形成され、その最小横断面を混合領域67に至る移行範囲内に有し、最大横断面を待機領域68に至る移行範囲内に有する。混合領域67及び待機領域68自体は、それぞれ、その長さにわたって一定の横断面を有するように形成されている。これとは異なる実施形も可能である。毛管を混合領域67内まで容易にかつ再現可能に挿入することが重要である。
【0090】
本実施例の形態では、下向きの入口範囲72を有するオープンスプリット22が設けられ、それによって特に(空気と比較して)軽いキャリアガスの使用に適している。このガスは混合領域67に範囲内に集まり、重いガスを押しのける。
【0091】
図5aではキャリアガス毛管59だけが作動している。これは、この毛管だけが混合領域67内まで達していることを意味する。毛管59から出るキャリアガスはその他のすべてのガスを混合領域67から押しのける。他の毛管から出るガスは毛管63内に達しない。というのは、この毛管は、それの待機位置74において、作動していないその他の毛管よりも深くオープンスプリット内に突き出ているからである。
【0092】
図5bの図示では、キャリアガス毛管59と標準ガス毛管4並びにイオン源に通じる毛管63が作動している。これにより、キャリアガスによって希釈された標準ガスがイオン源に案内される。
【0093】
図6a、6bおよび6cには、混合領域67の作用体積内への1本または複数本のキャリアガス毛管の挿入が示してある。2本のキャリアガス毛管を有する図6cの配置は、例えば、非常に高い試料濃度を強く希釈するために、作動させた試料ガス毛管60〜62と組み合わせ可能である(図6cでは毛管60〜62はどれも作動させていない)。
【0094】
混合領域67内へのキャリアガスの搬入は、例えば、続いてバックグラウンドの少ない実験を行うことができるようにするために、SO2のような吸収性の強いガスを急速に押しのける働きをする。図6dは図6a〜6cのいずれか一つに係る配置の場合の検出器の信号の時間的な変化を示している。先ず最初に、強いバックグラウンド信号が認められる。カーブ区間75参照。短時間後、バックグラウンド信号は急激に衰えるかまたはきわめて弱い。カーブ区間76参照。
【0095】
図7a〜7dは、キャリアガスを有する標準ガスの信号(毛管57、59、63)、他のキャリアガスを有する試料の信号(毛管60、58、63)、および最初に使用したキャリアガスを有する他の標準ガスの信号(毛管59、56および63)の交互の測定を示している。図7dから、異なる信号強度と、(中央の両)試料信号が認められる。第1の(大きな試料信号)はほとんど同じ強度の毛管57の標準ガスの信号に続いており、他方で、(弱い)試料信号には毛管56からの標準ガスの(同様に弱い)信号が続いている。異なる標準ガス信号強度は、毛管56、57の特性としての異なる流量によってあるいはそれぞれ付設された電子式弁によって調節される。この弁は図1〜4にのみ示してある。希釈調整のこれらの両方法は互いに組み合わせ可能である。
【0096】
図8a〜8eは様々な毛管の作動と、1つの周辺部の2つの試料流れの測定の際の信号強度を示している。その際、試料ガス毛管60、61が順々に作動させられる。ここでは、キャリアガスで様々に希釈された標準ガスパルスが試料信号の両側に位置している。図8eの最初と最後の方形信号参照。試料ガスはオープンスプリット内では希釈されない。これに応じて、図8b、8cは作動したキャリアガス毛管を示していない。すべての信号は一つの測定シーケンス内で分析される。これは図示した他の測定にも当てはまる。
【0097】
図9a〜9eの例の場合、前述の図8a〜8eのように、測定シーケンス内で周辺部Aの両試料流れが切換えられる。図9eの中央の両ピーク参照。しかしここでは、試料ガスはオープンスプリット内で、毛管58からのキャリアガスによって希釈される。第2の試料信号の強度は比較的弱い。これに応じて、毛管56からの標準ガスの強度が適合させられる。
【0098】
図10a〜10eは両周辺部A、Bからの2つの試料流れを測定する測定−シーケンスを示している。両試料信号の前に、各標準ガスが検出される。この場合、毛管57からの標準ガスは毛管59からのキャリアガスによって希釈され(第1の試料信号の前)、毛管56からの標準ガスは再び毛管59からのキャリアガスによって希釈される。周辺部ガスの異なる試料濃度を、分析器にとって最適な範囲に調節するために、キャリアガスはその都度異なる量で添加される。従って、両周辺部信号をほぼ同じ強度にすることができる。
【0099】
図11a〜11eは同じ試料毛管60からの連続する3つの試料信号を示している。一方では、任意の毛管からの希釈は一定とし(図11a)、他方では、検出器で同じ信号強度を得るために希釈をその都度異なる度合いとしている(図11b〜11e参照)。図11bの配置はキャリアガス毛管58からの強い希釈を示している。キャリアガス毛管59からの簡単な希釈は図11cに示してある。図11dの配置では、希釈は行われない。異なる強さの希釈により、図11eに示す同じ信号強度が生じる。そうでない場合には、図11aに示す異なる信号強度が予想される。ここで同様に存在する標準ガスパルスは見やすくするために図示していない。他の測定−シーケンスの場合のように、試料及び標準体の各測定の後で、分析器の自動的なガス配置の交換、例えば方向変換ユニットの磁界強度の変更やイオン源のパラメータの変更が行われる。
【0100】
キャリアガス流れを増減することによって標準ガスと試料ガスの濃度をコンピュータ制御式または電子制御式に調節することは、多大の利点がある。
【0101】
標準ガスの消費は従来よりも非常に少ない。というのは、一般的に、予圧調節の後では、他の制御は不要であり、それ故減圧器をエア抜きするための他の場合には慣用のブリーダー毛管はもはや不要であるためである。これは、運転コスト、整備コスト、標準ガス較正コストおよび有毒または可燃性標準ガスの使用時の危険性を低減する。
【0102】
信号強度制御のための正確な試料測定および試料知識はもはや必ずしも必要ではない。というのは、標準体と試料の信号強度をコンピュータ制御によって互いに自動的に適合させることができるからである。例えば、標準ガスパルスの強度は、最適な測定精度を達成するために、オープンスプリット内での希釈の制御によって、測定される試料に応じて調節可能である。さらに、手前に接続された周辺部が例えばフレームイオン化検出器(FID)または熱伝導率検出器(TCD)のような予備分析ユニットを備えているときには、ガス内の試料の濃度調節はリアルタイムに最適化可能である。この検出器の結果から試料濃度を推測することができる。最高の測定精度を得るために、試料はオープンスプリット内でコンピュータ制御によって最適に希釈可能である。
【0103】
線形性検査またはしばしば実施されるH3−ファクタ測定のような機器診断測定は、コンピュータ制御によって同様に自動化することができる。実験者が居合わせる必要がもはやなく、較正係数決定が測定に付随して実施可能であるので、実験の精度がさらに高まる。
【0104】
オープンスプリット内の標準ガスまたは試料ガスの混合比の変化を前提とする複雑な測定手順は、今や、その合間に介入することなく、プログラミング可能なシーケンスとして自動的に実施可能である。それによって、装置の測定能力の利用がさらに高められる。
【0105】
図示したオープンスプリットに関連して一つまたはそれ以上のキャリアガスを電子制御するときわめて有利である。というのは、オープンスプリットが自動化された測定シーケンスの可能性を大幅に拡張するからである。
【0106】
多数の同じ試料信号が連続する場合において、状況によって発生するドリフトは自動希釈調節によって適合させることができる。
【0107】
試料ピークの保持時間が周辺部から正確に知られていないとき、標準信号の前の試料ピークの検出が有利である。この状況では、試料ピークに続いて記録すべき標準信号の強度はリアルタイムに最適に調節可能である。
【0108】
希釈調節による濃度コントロールは分別を起こさない。
【0109】
上記装置は次の利点を有する。オープンスプリットと分析器の間の供給管はもはや周辺部と分析器の間において分析器の外に配置されないで、分析器の中に配置されている。従って、毛管を温度変化やその他の妨害作用に対して良好に保護することができる。信号安定性が改善され、またこれには測定精度の向上が伴う。この作用は、分析器に通じる供給管のための収縮絞り部(Krimprestriktion)を有する不活性化された鋼製毛管の使用によってさらに強まる。
【0110】
多数の周辺部が接続する場合、コストが低減される。というのは、インターフェースとして、分析器あたりオープンスプリットを1個しか必要とせず、前述のように周辺部毎に1個のインターフェースを設ける必要がないからである。
【0111】
1個のオープンスプリットをキャリアガスで洗浄すればよいので、キャリアガスの消費およびそれに伴うコストが低減される。
【0112】
従来の分析器の設計と比較して、遮断弁が少なくて済み、漏洩を起こしにくくなるので、メンテナンス作業およびコストが低減される。
【0113】
比較的に多数の周辺部を分析器またはオープンスプリットに同時に接続することができる。待機領域68は数が増えた毛管に十分なスペースを提供する。
【0114】
試料ガスが分割される周辺部から、異なる試料ガス流を、必要に応じて異なる毛管を経て、オープンスプリットひいては分析器に供給することができる。
【0115】
標準ガス間のまたは周辺部間もしくは異なる周辺部供給管間の切換えは非常に簡単である。というのは、オープンスプリット内におけるコンピュータ制御される毛管位置によってのみ、プロセスが決定されるからである。
【0116】
周辺部の設置または周辺部間の切換えは、分析器内に空気を供給せずに、それ故最小のむだ時間および起動時間によって可能である。
【0117】
接続された標準ガス間、周辺部間または異なる周辺部供給管間の自動切換えは、分析器稼働率を高め、経済的な稼働を可能にする。というのは、手動介入することなく、異なる周辺部と周辺部分岐部を含めた自動測定シーケンスが可能であるからである。
【0118】
用途、例えば空気分析の用途のために、複数の標準ガスを質量分析計に同時に供給できると有利である。それによって、異なる同位体の干渉作用を調べて較正することができる。さらに、例えばCO2、SO2のような異なるガスや塩化メチルや他の成分のような重い成分を入れる場合、分析器の多成分質量較正を行うことができる。これは大幅に改善された分析器の質量較正を可能にする。なぜなら、これは、多数の点を介して定められた分析器の質量較正、それ故、より高い測定精度が達成されるからである。
【0119】
試料調製に高いバックグランドおよび/またはドリフトが伴う周辺部の場合、標準ガス信号の測定時に周辺部のバックグランドガスを一緒に分析器に入れることも得策である。慣用技術の場合、これは試料のために確保したオープンスプリットの別個の供給管を介して行われる。本発明による実施形の場合、これはキャリアガス毛管、試料ガス毛管、標準ガス毛管および分析器に通じる毛管の作動によって実現可能である。それによって、標準ガス流を5分の1以下に減らすことができる。これにより、標準ガス容器の寿命が5倍以上に延び、交換に伴うコストおよび作業が低減される。
【0120】
流入量が異なる複数のキャリアガス供給管を設置する場合、測定ルーチンの範囲内で、標準ガスと試料ガスの濃度を、或る限度内でかつ分別しないで最適な測定手順に適合させることができる。例えば図11a〜11e参照。
【0121】
分析器に通じる毛管63のための待機位置74は、オープンスプリット内で他の毛管の待機位置73よりも深いところにある。それによって、停止状態の配置では(図5a参照)、キャリアガスだけが分析器内に達し、待機している他の供給毛管からガスは達しない。
【0122】
混合領域67の縮小直径によって最小に保たれる混合体積は、ガスの短い切換え時間と最適な混合状態をもたらす。
【0123】
周囲の空気の密度よりも小さな密度を有するキャリアガスは、(図示のように)開放端部が下に向いているオープンスリットにおいて、インターフェースへの空気の侵入およびそれに伴う障害を、方向を180度回転した場合よりも効果的に防止する。方向を180度回転したオープンスプリットは、空気よりも大きな密度を有するキャリアガスの使用にとって有利である。この場合、図に基づいて示した装置は180度回転して配置される。
【0124】
オープンスプリットに出入りするすべての管または毛管は、常時、すなわち待機モードでも、適当な運転ガスによって洗浄される。従って、新たに使用する際に、水や空気等のような不純物による故障が発生せず、起動時間やむだ時間が大幅に短縮される。
【0125】
本発明に係る装置、特にオープンスプリットは、毛管配置の無数の可能性と、非常に様々な分析の問題のための無数の切換え順序を提供する。図に基づいて示した配置順序は多数の用途のために任意に組み合わせ可能であり、およそ完全ではない。
【0126】
図12は、互いに並列の弁による、管内のガス流の調節原理を示している。例として、キャリアガスであるヘリウムのための供給管80が、8本の支流管81〜88に分割されている。各支流管81〜88には、固有の弁89〜96が配置されている。この弁は好ましくは、2つの切換え位置、すなわち開放位置と閉鎖位置との間で電気的に切換え可能である。図12に示していない絞り、例えば支流管81〜88の所定の横断面収縮部が、弁89〜96に付設されている。それによって、個々の支流管内の流量が異なっている。この流量はここでは、例えば供給管80の流量の1%/2%/2%/5%/10%/20%/20%/40%である。個々の弁89〜96を開放することによって、1%と100%との間のほぼ任意の値に調節することができる。弁89〜96に続いて、支流管81〜88は再び、結果として生ずる流量を有する後続の管97に集合している。
【0127】
支流管81〜88に対して並列に、固有の弁99を有するバックフラッシュ管98が設けられている。このバックフラッシュ管を介して、後続の管97の範囲において圧力を低下させることができる。この管97は例えば、以下に図13に基づいて詳しく説明するように、オープンプリットに通ずる毛管の一部である。
【0128】
質量分析計MSに至る、分析すべきガスの供給装置として、2個のオープンスプリット100、101を確認することができる。オープンスプリット100は試料ガスを供給するためのものであり、オープンスプリット101はこの場合5つの異なる標準ガスを供給するためのものである。別個の試料ガス供給部と標準ガス供給部に分割すると、非常に少ない試料流れも良好に測定可能であるという利点がある。試料流れがオープンスプリット100に直接入るようにしてもよいし、オープンスプリット内の比較的に小さな混合領域において試料流れをキャリアガスと混合してもよい。分離供給はさらに、「試料ガスのバックグラウンドに対し」標準ガスを簡単かつ確実に測定できるので有利である。
【0129】
ここでは、標準ガスを供給するために、5本の供給管102〜106が設けられている。この供給管を経て、例えばH2、N2、SO2、COおよび/またはCO2を標準ガスとしてオープンスプリット101に供給することができる。3本の供給管102〜104は共通の1本の毛管107に通じており、この毛管はアクチュエータを介してオープンスプリット101内に移動可能であるかまたはこのオープンスプリットから外に移動可能である。他の供給管105、106は共通の1本の毛管108に通じており、この毛管は毛管107と同じように、アクチュエータによって軸方向に移動可能である。
【0130】
各供給管102〜106は手動の制御弁109、所定の絞り110および電気切換え式弁111を備えている。その都度作動する標準ガス(単数または複数の標準ガス)は弁109または111を介して予備選択され、毛管107または108を上昇してオープンスプリット101の混合領域112に移動する。図13に示した毛管107、108は混合領域の外の待機位置にある。
【0131】
上記の構造により、場合によっては(ガス)クロマトグラフィの後で、例えば試料内の2つ以上の元素を分析する際に、2つ以上の標準ガスを、平衡を保って交互に供給することができる。他方では、コストを最小限に抑えて、多数のまたはほぼ任意の数の標準ガスを自動化して準備することができる。
【0132】
キャリアガス、本例ではヘリウムが毛管113を経てオープンスプリット101に入る。そのために、弁装置が図12に示すように設けられている。毛管113は図12の後続の管97の機能を有する。図13では、キャリアガス供給部は、最少のキャリアガスが常にオープンスプリット101内に達するように形成されている。それによって、このオープンスプリットは周囲に対して常にシールされている。
【0133】
試料ガスは、図示していない周辺部によって決まる流量に応じて異なって供給される。高流量(HF)試料は毛管114を経てオープンスプリット100の混合領域115内まで案内される。ここでは、高流量試料のための供給管116、117が2本示してある。両供給管は毛管114に通じ、切換え弁118を介して切換え可能である。
【0134】
低流量(LF)試料は反対側(毛管114の向かい側)からオープンスプリット100に入る。オープンスプリット100から質量分析計MSまで達する毛管119(ガス抜き管)は、アクチュエータによって2つの位置の間で、すなわち混合領域115と低流量試料用毛管120との間で移動可能である。
【0135】
毛管119(ガス抜き管)は毛管120の直径に合わせられており、(図13に示すように)毛管120に挿入可能である。従って、試料ガス流は実質上その全てが質量分析計に達する。これは試料の流量が非常に少ないときに有利である。
【0136】
毛管119が毛管120に差し込まれないで、混合領域50内に移動しているとき、毛管120から向流でオープンスプリットに流入する試料ガスは通常はキャリアガスによって希釈される。キャリアガスは供給管80から供給される。しかし、図13では、上述のように毛管115が毛管120に挿入されている。
【0137】
低流量試料ガスを準備するための周辺部が設けられていない場合には、その代わりに、例えば供給管80の分岐部121を毛管120に接続することにより、毛管120を経てキャリアガスを供給することできる。
【0138】
例えば高流量試料を測定しているときには、余剰の低流量試料はエア抜き弁122を経て毛管120から排出可能である。
【0139】
弁118の位置に応じて、高流量試料が毛管114を経てオープンスプリット100に達する。ここで、弁118が三方弁として形成されているので、その都度不要な高流量試料流れを遮断および排出(エア抜き)することができる。それによって、ガス流は手前に配置された図示していない周辺部内では常に一定である。従って、拡散による測定不良が回避される。
【0140】
供給管116、117が毛管114に合流した後で、この毛管はエア抜き分岐部123を有する。このエア抜き分岐部は固有の弁124を備えている。毛管114内に達するガス流は、オープンスプリット100には減少したガス流が達するように、弁124の適当な切換えによって、エア抜き分岐部123から部分的に排出できる。
【0141】
混合領域115において、試料ガス流はキャリアガス流によって希釈され、毛管119を経て質量分析計に達する。質量分析計の代わりに他の適当な検出器を設けることもできる。
【0142】
試料ガス流の希釈はキャリアガス流の調節によって制御される。キャリアガス流は毛管125を経てオープンスプリット100に達する。供給管80と毛管125との間には、複数の弁126、ここでは3個の弁126が互いに並列に配置されている。この弁に続いてそれぞれ、様々に形成された絞り127、128、129が設けられている。個々の弁126の選択またはその組み合わせによって、非常に様々なキャリアガス流を毛管125内に調節することができる。供給管80から毛管125への連続供給は不要である。というのは、多くの場合に高流量周辺部が既に基本流または個別のキャリアガスを含んでいるからである。弁126のコンピュータ制御により、常に十分な流れがオープンスプリット100内に生じ、それによって周囲ガスは流入することができない。
【0143】
供給管80と毛管113との間には、本例の場合、5個の弁127が互いに並列に配置されている。この弁127は弁123と同様に電気的に切換え可能である。各弁127には特定の絞り131〜135が付設されている。さらに、弁130と並列に、弁を持たない管136が設けられている。キャリアガスの基本流がこの管136を経てオープンスプリット101に常に流入する。この管136も特定の絞り137を有する。
【0144】
絞り131〜135(絞り127〜129に類似する)は、例えば図12に示すようにあるいは例えばバイナリステップで、すなわち2倍づつの流量(1倍、2倍、4倍、8倍等)で、段階的に形成されている。その際、流量は絞りから絞りへ2倍に増える。その代わりに、より大きな倍数、例えば2.5を使用することもでき、その場合流量は1/2.5/6.25/15.625等となる。倍数が大きければ大きいほど、高ダイナミック範囲にとって必要な弁は少なくなり、ステップの幅が大きくなる。弁126、130の適切な制御による、標準ガスまたは試料ガスの所望の希釈への変更は、コンピュータ制御の制御ユニットによって行われる。この制御ユニットはその都度最も達成しやすい希釈ステップを調節する。
【0145】
流入圧力(周辺部)を一定に保持するためには、或る程度の最少流れが必要である。そのために、絞り137を備えた管136から必須の最少供給が行われる。その代わりに、簡単に、切換え制御において付帯条件のみを設けてもよい。この付帯条件の場合、弁130または126のうちの少なくとも1つを開放しなければならないかあるいは付加的なエア抜き部が設けられている。このエア抜き部は場合によっては、目的の流れの方向へのすべての流れが遮断されているときにのみ使用される。
【0146】
供給管80に接続されたすべての絞りは好ましくは互いに調和される。例えば絞り129/128/127/131/132/133/134/135および137は、7/2/1/35/16/5/2/1および2の流量を有する。
【0147】
図12に基づいて既に説明した弁99は図13に示していないが、図13においても設けることができる。この弁は、きわめて迅速な調節が望まれるとき、圧力を急速に低下させるべきとき、あるいは後続の管97が背圧を発生させる早めに閉鎖されるシステムに接続されているときに、エア抜き部としての働きもする。
【0148】
上記の絞り110、127〜129および131〜137は、例えば異なる長さの同じ毛管、フローダイヤフラムの異なる開口、特定の横断面等によって、様々な方法で実施可能である。
【0149】
キャリアガスのためのガス流の上記制御は、弁126または130または89〜96が一旦所定の通りに設定されそしてフィードバックによる制御がもはや行われないときに、きわめて有利である。所望の流量は実際上直ちに達成される。測定は再制御プロセスによって妨害されない。さらに、従来の流量調節器よりもむだ量(Totvolumina)が少ない。公知の簡単な部品と不活性の材料から容易に構築可能である。弁89〜96、126および130によってバイナリ式にあるいは漸次式に形成された流量調節器の使用は、特にオープンスプリットとの関連できわめて有利である。というのは、ここでは(キャリアガス供給部の通常機械的な圧力調節器による)予圧と、(オープンスプリットを周囲/大気にさらすことによる)目標圧力が一定であるからである。
【0150】
並列の弁による上記のバイナリ式または漸次式の流量調整は、いろいろな機器や方法で可能である。すなわち、同位体質量分析における試料や標準ガスを希釈するためだけでなく、例えばICP−MSのためのキャリアガス調整、衝突セルおよび反応セルの衝突ガス調整等においても、上記の流量調整が可能である。
【0151】
エア抜き弁122および/またはエア抜き分岐部123内の弁124は、コンピュータ制御によって切換え可能であり、図13に基づいて説明した残りの部分と調和させて操作可能である。
【符号の説明】
【0152】
20 反応器
21 ガスクロマトグラフ
22 オープンスプリット
23 イオン源
24 方向変換ユニット
25 検出システム
26 標準ガス源
27 キャリアガス源
28 試料ガス供給部
29 キャリアガス供給部
30 標準ガス供給部
31 試料ガス毛管
32 キャリアガス毛管
33 標準ガス毛管
34 イオン源に至る毛管
35 アクチュエータ
36 アクチュエータ
37 アクチュエータ
38 アクチュエータ
39 弁
40 弁
41 弁
42 弁
43 同位体質量分析計
44 ケーシング
45 電気制御用コンピュータ
46 検出器
47 継手
48 継手
49 継手
50 分割器
51 供給管
52 供給管
53 トラップ
54 標準ガス毛管
55 標準ガス毛管
56 標準ガス毛管
57 標準ガス毛管
58 キャリアガス毛管
59 キャリアガス毛管
60 試料ガス毛管
61 試料ガス毛管
62 試料ガス毛管
63 イオン源に至る毛管
64 供給管
65 収縮箇所
66 遮断弁
67 混合領域
68 待機領域
69 移行領域
70 外側の混合位置
71 内側の混合位置
72 入口範囲
73 外側の待機位置
74 内側の待機位置
75 カーブブランチ
76 カーブブランチ
80 供給管
81 支流管
82 支流管
83 支流管
84 支流管
85 支流管
86 支流管
87 支流管
88 支流管
89 弁
80 弁
91 弁
92 弁
93 弁
94 弁
95 弁
96 弁
97 後続の管
98 バックフラッシュ管
99 弁
100 オープンスプリット
101 オープンスプリット
102 供給管
103 供給管
104 供給管
105 供給管
106 供給管
107 毛管
108 毛管
109 手動制御弁
110 絞り
111 電動弁
112 混合領域
113 毛管
114 毛管
115 混合領域
116 供給管
117 供給管
118 切換え弁
119 毛管(ガス抜き管)
120 毛管(低流量)
121 分岐部
122 エア抜き弁
123 エア抜き分岐部
124 弁
125 毛管
126 弁
127 絞り
128 絞り
129 絞り
130 弁
131 絞り
132 絞り
133 絞り
134 絞り
135 絞り
136 管
137 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料ガスおよび/または少なくとも1つの標準ガスが少なくとも1個のオープンスプリットを経て少なくとも1個の分析装置に供給され、キャリアガスを付加することが可能である、同位体比を分析するための方法において、それぞれのキャリアガスを供給することによってあるいは試料ガスを分析装置に直接供給することによって、分析装置に達する試料ガスおよび/または標準ガスの濃度を調整することを特徴とする方法。
【請求項2】
キャリアガスの供給が段階的に変更され、この際、同じかまたは異なる規模の並列のキャリアガス分割流を作動可能および互いに組み合わせ可能であり、その結果生ずる1つのキャリアガス流を調節し得ること特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのガス、すなわち試料ガス、キャリアガス、標準ガスのうちの少なくとも一つのガスのためのオープンスプリット(22)が、異なる有効流量を有する毛管(31〜33、54〜62)を備えていることと、所望の流量を有する毛管を選択および作動させることによってガス流が調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのガス、すなわち試料ガス、キャリアガス、標準ガスのうちの少なくとも一つのガスのためのオープンスプリットが、異なる横断面積を有する毛管(31〜33、54〜62)を備えていることと、所望の横断面積を有する毛管を選択および作動させることによってガス流が調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
その都度のキャリアガスの流入だけが調整され、残りのガス流が調整されないままであることを特徴とする請求項1または請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
試料ガスおよび/または標準ガスの濃度が、少なくとも分析装置にとって最適な測定範囲において、ほぼ一定のままであるように、その都度のキャリアガスの流入が調整されることを特徴とする請求項1または請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
試料ガスと標準ガスがほぼ同じ強度の信号を分析装置に供与するように、交互に連続した測定を行う間にそれぞれのキャリアガスの流入が調整されることを特徴とする請求項1または請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
試料ガスの濃度が分析装置によって行われる測定から求められ、測定の結果がその都度のキャリアガスの流入調整のために使用されることを特徴とする請求項1または請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
試料ガスが分析装置に入る前、特にオープンスプリット(22)に入る前の濃度測定から、試料ガスの濃度が求められ、測定の結果がその都度のキャリアガスの流入調整のために使用されることを特徴とする請求項1または請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
試料ガスの濃度が熱伝導率から求められることを特徴とする請求項1または請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
オープンスプリット(22)が並流原理で作動することを特徴とする請求項1または請求項2〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
2つ以上の試料ガスがオープンスプリット(22)に供給されることと、各試料ガスについてその都度のキャリアガスの流入が調整されることを特徴とする請求項1または請求項2〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
オープンスプリット(22)の手前にガスクロマトグラフ(21)が設けられ、流出するガスが試料ガスとしてオープンスプリットに供給されることを特徴とする請求項1または請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
試料ガスがオープンスプリット(22)に入る前に2つ以上の部分ガス流に分割され、この部分ガス流がオープンスプリットに供給されることを特徴とする請求項1または請求項2〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの部分ガス流が、オープンスプリット(22)に入る前に、物理的または化学的に変化せしめられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの部分ガス流が、オープンスプリット(22)に入る前に、トラップ(53)を通って案内され、それによってこの部分ガス流に含まれる成分/物質の少なくとも一部が取り除かれることを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の試料ガスが、軽量元素〜中量元素またはその化合物、特にH2、CO2および/またはN2を含み、この化合物または元素が分析装置内で分析されることを特徴とする請求項1または請求項2〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
分析装置が同位体比測定に適した質量分析計(43)であることを特徴とする請求項1または請求項2〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
試料ガスと標準ガスが異なるオープンスプリット(100、101)を経てキャリアガスと共にまたはキャリアガスなしに分析装置に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
両オープンスプリットの少なくとも1つへのキャリアガスの供給が、キャリアガス流を複数の並行な部分ガス流に分割することによって調整され、この部分ガス流の1つまたは複数が選択されてオープンスプリットに供給されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
平行な部分ガス流の一部またはすべてが異なる規模であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
試料ガスが、オープンスプリット(100)に供給される前に、オープンスプリットに案内される流れと、この流れから分割された、オープンスプリットに供給されない流れとに分割されることを特徴とする請求項19または請求項1〜18、20および21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
オープンスプリット(22)を備え、このオープンスプリットが混合領域(67)と待機領域(68)とを有し、試料ガス、キャリアガスおよび/または標準ガスのための毛管(31〜33、54〜62)と、ガスを取り出すため、特にガスを分析装置に供給するための毛管(34)が待機領域に配置され、この際、毛管が混合領域(67)の中へまたは混合領域に近づくように及び再び戻るように移動可能である、特に請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法を実施するための、少なくとも1個の分析装置にガスを供給する装置において、試料ガスのための2本以上の毛管が設けられていることと、毛管がそれぞれ、混合領域と待機領域との間の移動のための固有の駆動装置を備えていることを特徴とする装置。
【請求項24】
毛管用の駆動装置がアクチュエータ(35〜38)であることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
毛管(31〜34、54〜63)用の駆動装置が共通の中央制御ユニットによって制御可能であることを特徴とする請求項23または24に記載の装置。
【請求項26】
待機領域(68)が混合領域(67)よりも大きな横断面積を有することを特徴とする請求項23または請求項24および25のどちらか一項に記載の装置。
【請求項27】
待機領域(68)の横断面積が、混合領域(67)の横断面積の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍の大きさであることを特徴とする請求項23または請求項24〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
オープンスプリット(22)が、混合領域(67)と待機領域(68)との間に、ほぼ円錐状の形を有しかつ横断面積が混合領域の方へ縮小している漏斗状範囲を有することを特徴とする請求項23または請求項24〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
(毛管の方向の)混合領域の長さが混合領域(67)の幅よりも大きいことを特徴とする請求項23または請求項24〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
ガスを取り出すための毛管(34、63)のための待機領域(68)内の待機位置が、その他の毛管の待機位置よりも混合領域(67)に近いことを特徴とする請求項23または請求項24〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
ガスを取り出すための毛管(34、63)のための混合領域(67)内の取り出し位置が、その他の毛管の混合位置よりも待機領域(68)に近いことを特徴とする請求項23または請求項24〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
ガスを取り出すための毛管(34、63)が、収縮箇所(65)を有する管に接続されていることを特徴とする請求項23または請求項24〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
ガスを取り出すための毛管(34、63)が不活性化された特殊鋼からなる管に接続されていることを特徴とする請求項23または請求項24〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
オープンスプリット(22)が分析装置内に、特に同位体質量分析計(43)内に配置されていることを特徴とする請求項23または請求項24〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
オープンスプリット(22)が並流原理で、すなわちガスが同じ方向だけから流入するように構成され、そして特に混合領域(67)の片側が閉じていることを特徴とする請求項23または請求項24〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
ガス、すなわち試料ガス、キャリアガス、標準ガスの少なくとも1つのために、異なる有効流量を有する毛管(31〜33、54〜62)が設けられていることを特徴とする請求項23または請求項24〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
ガス、すなわち試料ガス、キャリアガス、標準ガスの少なくとも1つのために、異なる横断面積を有する毛管(31〜33、54〜62)が設けられていることを特徴とする請求項23または請求項24〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
所定のガス流がガス管内で調節可能である、ガスを分析装置に供給する装置であって、供給管(80)と、少なくとも1本の後続の管(97)と、供給管(80)と後続の管(97)との間に設けられた複数の弁(89〜96)とを備え、この弁(89〜96)が互いに並列に接続され、かつ段階的に、すなわちバイナリ式にまたは漸次式に切換え可能である、装置。
【請求項39】
適当な流量を有する特定の絞りが各弁(89〜96)に付設されていることを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】
少なくとも2つの弁の絞りが異なっていることを特徴とする請求項39に記載の装置。
【請求項41】
互いに異なる複数の絞りが設けられ、これらの絞りの流量が同じ倍数だけ異なっていることを特徴とする請求項39または40に記載の装置。
【請求項42】
弁(89〜96)が、手動で、電気的にまたは電子的に制御可能であることを特徴とする請求項38または請求項39〜41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
供給管(80)と後続の管(97)を接続するために、弁を備えていない並列の管(136)が付加的に設けられていることを特徴とする請求項38または請求項39〜42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
後続の管(97または113)の後に配置された上記ガス流と他のガス流を混合するためのオープンスプリット(101)を備えていることを特徴とする請求項38または請求項39〜43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
後続の第2の管(毛管125)を備え、この後続の第2の管と供給管(80)との間に複数の弁(126)が互いに並列に配置されていることを特徴とする請求項38または請求項39〜44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
弁(126)にそれぞれ、適当な流量を有する特定の絞り(127〜129)が付設されていることを特徴とする請求項45に記載の装置。
【請求項47】
後続の第2の管(毛管125)に、第2のオープンスプリット(100)が付設されていることを特徴とする請求項45または46に記載の装置。
【請求項48】
1個または複数のオープンスプリット(100、101)の後に、分析器として質量分析計が配置されていることを特徴とする請求項38または47あるいは請求項39〜46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
供給管(80)が弁を迂回するためおよびオープンスプリット(100)に直接供給するための分岐部(121)を備えていることを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項50】
複数のオープンスプリット(100、101)またはその1個が高流量のガスを供給するための第1毛管(114)と、これよりも低流量のガスを供給するための第2毛管(120)を備えていることを特徴とする請求項44または請求項38〜43および45〜49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
オープンスプリット(100)がガスを取り出すための毛管(119)、すなわちガス抜き毛管を備え、この毛管が第1または第2毛管(114、120)に対して並流式に配置され、かつ他の毛管(120、114)に対して向流式に配置されていることを特徴とする請求項50に記載の装置。
【請求項52】
低流量のガスを供給するための第2毛管(120)が、ガス抜き毛管(119)に対して向流式に配置されていることを特徴とする請求項50または51に記載の装置。
【請求項53】
ガス抜き毛管(119)が、低流量のガスを供給するための第2毛管(120)の内径よりも小さな外径を有することと、ガス抜き毛管と第2毛管が、両毛管の或る位置で両毛管が互いに嵌合するように、相対的に移動可能にかつ同軸に配置されることを特徴とする請求項52に記載の装置。
【請求項54】
オープンスプリットまたは複数のオープンスプリット(100、101)の1個が、ガスを供給するための毛管(114)を備えていることと、この毛管が弁(124)を介して閉鎖可能な分岐部(123)を備えていることを特徴とする請求項44または47あるいは請求項38〜43、45、46および48〜53に記載の装置。
【請求項55】
オープンスプリットまたは複数のオープンスプリット(100、101)の1個が、ガスを供給するための毛管(114)を備えていることと、2本以上の供給管(116、117)がこの毛管に通じていることを特徴とする請求項44または47あるいは請求項38〜43、45、46および48〜54に記載の装置。
【請求項56】
供給管(116、117)が多路弁(118)を備え、この多路弁が一方の切換え位置でオープンスプリット(100)の方へガスを通過させ、他の切換え位置でガスを排出することを特徴とする請求項55に記載の装置。
【請求項57】
キャリアガスが、供給管(80)を経て異なる2個のオープンスプリット(100、101)に供給可能であることと、試料ガスが毛管を経て一方のオープンスプリットに供給可能であることと、標準ガスが毛管を経て他のオープンスプリットに供給可能であることと、両オープンスプリットから分析装置までガス抜き毛管が案内されていることを特徴とする請求項38または請求項39〜56のいずれか一項に記載の装置。
【請求項58】
試料ガスとキャリアガスを分析装置に供給する装置において、
a)キャリアガス用の第1毛管(125)がオープンスプリット(100)に案内され、b)低流量の試料ガス用の第2毛管(120)がオープンスプリット(100)に案内され、
c)これより高流量の試料ガス用の第3毛管(114)がオープンスプリット(100)に案内され、
d)第4毛管(119)がガス抜き管としてオープンスプリットから分析装置まで案内されていることを特徴とする装置。
【請求項59】
第1毛管(125)の手前に、分岐部(121)を有するキャリアガス供給管(80)が配置され、この際、分岐部(121)が低流量の試料ガス用の第2毛管(120)に接続されていることを特徴とする請求項58に記載の装置。
【請求項60】
第4毛管(119)が、低流量の試料ガス用の第2毛管(120)にガス抜き管として挿入可能であることを特徴とする請求項58または59に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−163570(P2012−163570A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101047(P2012−101047)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【分割の表示】特願2009−501923(P2009−501923)の分割
【原出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(508291847)サーモ・フィッシャー・サイエンティフィク・(ブレーメン)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】