説明

ガスエンジン、ガスエンジンを利用したガスヒートポンプ装置およびコージェネレーション装置、ならびにガスエンジンの制御方法

【課題】 ストイキ運転とリーン運転との切り替えをスムーズに行えるガスエンジン、それを利用したガスヒートポンプ装置およびコージェネレーション装置、ならびにガスエンジンの制御方法を提供する。
【解決手段】高負荷時にはストイキ運転し、中低負荷時にはリーン運転するガスエンジン1であって、ガスエンジン1に空気と燃料ガスとの混合気を供給するバルブ2は、ストイキ運転を実現する一定の開口面積が確保され、ストイキ運転からリーン運転への切替運転終了までの間、経時的に一様に開口面積が減少し、リーン運転を実現する一定の開口面積が確保され、リーン運転からストイキ運転への切替運転終了までの間、経時的に開口面積が一様に増加する、ようにストイキ用バルブ部21と、リーン用バルブ部22とを直列でストイキ用バルブ部21をミキサー24側につなげてバルブの開口面積の制御を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジン、それを利用したガスヒートポンプ装置およびコージェネレーション装置、ならびにガスエンジンの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスヒートポンプ装置およびコージェネレーション装置の駆動源として、ガスエンジンが知られている。
【0003】
従来より、このようなガスエンジンとしては、ストイキ運転とリーン運転とを切り替えるようになされたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−24465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のガスエンジンのように、ストイキ運転とリーン運転とを切り替える場合、ストイキ運転において制御すべき理想空燃比の空気過剰率(λ=1)に対して、リーン運転において制御すべき空気過剰率(λ=1.4〜1.6)は、制御領域に幅があり、両者の制御精度が大きく異なるため、リーン運転用の空燃比制御バルブでは、リーン運転からストイキ運転まで移行できたとしても、ストイキ運転において、理想空燃比の空気過剰率(λ=1)を制御することができなかった。
【0006】
そのため、ストイキ運転用に設定した空燃比制御バルブを用いることが考えられるが、この場合は、ストイキ運転用に制御精度を設定しているので、リーン運転の領域まで空気過剰率を上げることはできなかった。
【0007】
また、ストイキ運転用の空燃比制御バルブとリーン運転用の空燃比制御バルブとの間の切り替えによって両運転をカバーすることが考えられるが、両バルブの制御精度が大きく異なるため、切り替え過程において、スムーズな移行ができない。特にガスエンジンの場合、ストイキ運転からリーン運転に移行する途中に、排気ガス中のNOの発生量が多くなる空気過剰率の領域(λ=1〜1.3)があるため、ストイキ運転とリーン運転との間のスムーズな移行ができなければ、一時的に排気ガス中のNOが高くなったり、ガスエンジンの回転数の変動が高くなったりするといった不都合を生じることとなる。
【0008】
本発明は、ストイキ運転とリーン運転との切り替えをスムーズに行うことができるガスエンジン、それを利用したガスヒートポンプ装置およびコージェネレーション装置、ならびにガスエンジンの制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明のガスエンジンは、エンジンの高負荷時にはストイキ運転し、中低負荷時にはリーン運転するガスエンジンであって、ガスエンジンに空気と燃料ガスとの混合気を供給するバルブは、ストイキ運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積が確保され、ストイキ運転からリーン運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに一様に開口面積が減少して空気過剰率が上昇し、リーン運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積が確保され、リーン運転からストイキ運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに開口面積が一様に増加して空気過剰率が減少する、ように開口面積制御が行われるものである。
【0010】
また、上記ガスエンジンにおいて、バルブは、ストイキ運転の空気過剰率を実現するストイキ用バルブ部と、リーン運転の空気過剰率を実現するリーン用バルブ部とを直列でストイキ用バルブ部をエンジン吸気側につなげてバルブの開口面積の制御を行うものである。
【0011】
ストイキ運転では、リーン用バルブ部を全開にし、ストイキ用バルブ部でバルブの開口面積の制御を行い、ストイキ運転からリーン運転に切り替える際は、ストイキ用バルブ部を全開にするとともに、リーン用バルブ部を閉じながらバルブの開口面積の制御を行うものであってもよい。
【0012】
リーン運転では、ストイキ用バルブ部を全開にし、リーン用バルブ部でバルブの開口面積の制御を行い、リーン運転からストイキ運転に切り替える際には、リーン用バルブ部を全開にするとともに、ストイキ用バルブ部を閉じながらバルブの開口面積の制御を行うものであってもよい。
【0013】
ストイキ運転からリーン運転に切り替える際またはリーン運転からストイキ運転に切り替える際に、ストイキ用バルブ部の開口面積とリーン用バルブ部の開口面積との合計を推定計算して開口面積の制御を行うものであってもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するための本発明のガスヒートポンプ装置は、上記のガスエンジンを有するものである。
【0015】
さらに、上記課題を解決するための本発明のコージェネレーション装置は、上記ガスエンジンを有するものである。
【0016】
さらに、上記課題を解決するための本発明のガスエンジンの制御方法は、エンジンの高負荷時にはストイキ運転し、中低負荷時にはリーン運転するガスエンジンにおいて、ガスエンジンに空気と燃料ガスとの混合気を供給するバルブは、ストイキ運転の際には、当該ストイキ運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積を確保し、ストイキ運転からリーン運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに一様に開口面積を減少させて空気過剰率を上昇させ、リーン運転の際には、当該リーン運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積を確保し、リーン運転からストイキ運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに開口面積を一様に増加させて空気過剰率を減少させる、ように開口面積制御を行うものである。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によると、一時的にNOが高くなったり、エンジンの回転数の変動が高くなったりすることを防止することができる。
【0018】
また、高負荷が必要な場合にはストイキ運転を行い、中低負荷時はリーン運転を行うことができ、対応可能な負荷の範囲が広がるので、ガスヒートポンプ装置やコージェネレーション装置などの各種設備装置にこのガスエンジンを使用する場合、小排気量であっても最適なガスエンジンを使用することが可能となり、コストの低減および省エネルギーを図ることができる。
【0019】
したがって、このようなガスエンジンを使用したガスヒートポンプ装置は通年エネルギー消費効率(APF)の向上を図ることができるとともに、コージェネレーション装置についても総合的なエネルギー効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るガスエンジンの全体構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るガスエンジンのストイキ運転からリーン運転へと移行する際のバルブ開口面積の変化を示すグラフである。
【図3】本発明に係るガスエンジンのリーン運転からストイキ運転へと移行する際のバルブ開口面積の変化を示すグラフである。
【図4】本発明に係るガスエンジンのリーン運転からストイキ運転へと移行する際の移行時間と回転数変動との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1はガスエンジン1の全体構成の概略を示すブロック図を示し、図2は同ガスエンジン1によりストイキ運転からリーン運転へと移行する際のバルブ開口面積の変化を示し、図3は同ガスエンジン1によりリーン運転からストイキ運転へと移行する際のバルブ開口面積の変化を示している。
【0023】
このガスエンジン1は、高負荷時にはストイキ運転し、中低負荷時にはリーン運転するガスエンジン1であって、バルブ2は、ミキサー24からレギュレータ23にかけてストイキ運転の空気過剰率を実現するストイキ用バルブ部21と、リーン運転の空気過剰率を実現するリーン用バルブ部22とを直列でストイキ用バルブ部21をミキサー24側につなげてレギュレータ23とミキサー24との間に設けて構成している。
【0024】
ストイキ用バルブ部21は、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)をピンポイントで制御するために、燃料ガスが通過する開口面積を調整できるように設計された比例制御弁によって構成されている。このストイキ用バルブ部21は、開度0−100%のうちの所定開度の範囲で、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)を制御することができる流量特性のものであれば特に限定されるものでは無いが、ガスエンジン1を使用する環境雰囲気温度やガスエンジン1の使用回転数域の変化に対応する必要があるため、これらの変化に追従して理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)を制御可能な流量特性を有する精度のものが使用される。
【0025】
リーン用バルブ部22は、リーン燃焼となる空気過剰率の範囲(λ=1.4〜1.6)を制御するために、燃料ガスの通過経路20の開口面積を調整できるように設計され、かつ、開度100%の状態で、燃料ガスの通過通路20を完全に開くことができるように設計された流量特性の比例制御弁によって構成されている。すなわち、このリーン用バルブ部22は、上記したストイキ用バルブ21に供給されるガスの上流側、つまり、レギュレータ23と、ストイキ用バルブ21との間に設けられるため、開度100%の全開状態で、ストイキ用バルブ部21による理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)の制御を邪魔しないように開口しなければならない。したがって、リーン用バルブ部22は、開度0−100%のうちのある所定開度範囲で、リーン燃焼となる空気過剰率の範囲(λ=1.4〜1.6)を制御できるように設計されており、かつ、開度100%の状態で、燃料ガスの通過通路20を完全に開いて、ストイキ用バルブ部21による理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)の制御を邪魔しないように開口し、ストイキ用バルブ部21の制御領域と一部重複するようになされている。
【0026】
レギュレータ23は、常に一定の圧力で燃料ガスを供給できるように、燃料ガスの圧力を制御するようになされている。
【0027】
ミキサー24は、燃料ガスと空気とを混合するベンチュリ管によって構成されている。このミキサー24は、下流側に設けられたスロットル弁25の開度に応じて吸入される空気のベンチュリ効果で燃料ガスと空気とを混合するようになされている。
【0028】
上記構成のバルブ2は、ガスエンジン1のシリッダヘッド10の吸気口11に接続される。このガスエンジン1には、排気ガス中の酸素濃度などを測定するセンサ(図示省略)が、排気経路などに設けられており、この測定検出結果に基づいて空気過剰率を測定するようになされている。ガスエンジン1は、このセンサ等による測定検出結果に基づいてバルブ2等の制御を行うことで、ストイキ運転とリーン運転とをスムーズに切り替えることができる。また、ストイキ運転では、排気ガス中のNO濃度が高くなるが、排気経路に三元触媒を設けて還元処理される。
【0029】
次に、このガスエンジン1の制御について説明する。
【0030】
まず、高出力を必要とする運転環境の場合、ストイキ運転が行われる。このストイキ運転は、理想空燃比の空気過剰率(λ=1)となるように、ストイキ用バルブ部21の開度を制御して行われる。この際、ストイキ用バルブ部21は、開度を上げれば開口面積が増えて燃料ガス濃度が濃くなる、すなわち、空気過剰率が下がり、開度を下げれば開口面積が減って燃料ガス濃度が薄くなる、すなわち、空気過剰率が上がる。
【0031】
この際、リーン用バルブ部22は、開度100%の全開状態で、ストイキ用バルブ部21による理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)の制御を邪魔しないように開口しておく。
【0032】
上記ストイキ運転から、高出力の必要が無い運転環境になった場合は、ストイキ運転から空気過剰率λ=1.4〜1.6のリーン運転へと切り替える。
【0033】
この切り替えを行うには、図2に示すように、ストイキ用バルブ部21の開度を100%の全開状態にまで上げてリーン用バルブ部22による空気過剰率λ=1.4〜1.6の制御を邪魔しないように開口させる。この際、ストイキ用バルブ部21による開口面積が増えて、空気過剰率は、低くなる方向に作用することになってしまうが、この開口面積の増加に同調させて、上記ストイキ運転を邪魔しないように全開していたリーン用バルブ部22の開度を100%から徐々に下げる。これによって、リーン用バルブ部22の開口面積が減って、空気過剰率は、実質的に理想空燃比の空気過剰率(λ=1)のままで、空気過剰率の制御は、ストイキ用バルブ部21からリーン用バルブ部22へと移行することとなる。なお、ストイキ用バルブ部21の開口面積の増加にリーン用バルブ部22の開口面積の減少を同調させるには、ストイキ用バルブ部21の制御精度とリーン用バルブ部22の制御精度とから、ストイキ用バルブ部21の開度の変化により増大する開口面積の増加割合と、リーン用バルブ部22の開度の変化により減少する開口面積の減少割合とが合致するように、ストイキ用バルブ部21の開度の変化に対するリーン用バルブ部22の開度の変化を推定計算して行う。
【0034】
その後、リーン用バルブ部22の開度を制御することで、空気過剰率λ=1.4〜1.6のリーン運転へと切り替えることができることとなる。この際、空気過剰率λ=1.4〜1.6のリーン運転への移行は、既に理想空燃比の空気過剰率(λ=1)の領域で、ストイキ用バルブ部21の制御からリーン用バルブ部22の制御へと移行しているので、スムーズに行うことができる。したがって、NOの発生量が多くなる空気過剰率領域(λ=1〜1.3)をスムーズに通過して運転切り替えによるNOの発生量を最低限に抑えることができる。
【0035】
上記リーン運転から、高出力が必要な運転環境になった場合は、空気過剰率λ=1.4〜1.6のリーン運転から、再度、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)のストイキ運転へと切り替える。
【0036】
この切り替えを行うには、図3に示すように、リーン用バルブ部22の開度を100%の全開状態にまで上げてストイキ用バルブ部21による空気過剰率(λ=1)の制御を邪魔しないように開口させる。この際、リーン用バルブ部22による開口面積が増えて、空気過剰率は、低くなる方向に作用するが、開度が100%になる手前で理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)に達してしまうので、それより開度を上げると、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)よりもさらに空気過剰率が低下してしまう。そこで、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)よりもさらに空気過剰率が低下してしまう領域では、リーン用バルブ部22の開口面積の増加に同調させて、上記リーン運転を邪魔しないように全開していたストイキ用バルブ部21の開度を100%から徐々に下げる。これによって、ストイキ用バルブ部21の開口面積が減って、空気過剰率は、実質的に理想空燃比の空気過剰率(λ=1)のままで、空気過剰率の制御は、リーン用バルブ部22からストイキ用バルブ部21へと移行することとなる。この場合も、リーン用バルブ部22の開口面積の増加にストイキ用バルブ部21の開口面積の減少を同調させるには、リーン用バルブ部22の制御精度とストイキ用バルブ部21の制御精度とから、リーン用バルブ部21の開度の変化により増大する開口面積の増加割合と、ストイキ用バルブ部21の開度の変化により減少する開口面積の減少割合とが合致するように、リーン用バルブ部22の開度の変化に対するストイキ用バルブ部21の開度の変化を推定計算して行う。この際、理想空燃比(λ=1)の領域までの移行は、リーン用バルブ部22によって行い、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)の領域で、リーン用バルブ部22の制御からストイキ用バルブ部21の制御へと移行するので、空気過剰率λ=1.4〜1.6のリーン運転の領域から理想空燃比の空気過剰率(λ=1)の領域までの移行を、スムーズに行うことができる。したがって、NOの発生量が多くなる空気過剰率領域(λ=1〜1.3)をスムーズに通過して運転切り替えによるNOの発生量を最低限に抑えることができる。
【0037】
また、図4に示すように、空気過剰率λ=1.4〜1.6のリーン運転の領域から理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)の領域までの移行を行う際、急激に短時間で切替を行うと、回転数変動を生じてガスエンジン1とその被駆動物を傷めてしまうこととなる。本願発明の場合は、この移行時間については、リーン用バルブ部22の制御によって自由に設定できるので、ガスエンジン1等を傷めることの無いように、ガスエンジン1の回転変動が所定の閾値A以下となる切替時間をかけて行うことができる。
【0038】
その後、ストイキ用バルブ部21の開度を制御することで、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)のストイキ運転を制御することができることとなる。この際、ストイキ運転の領域では、リーン用バルブ部22の制御からストイキ用バルブ部21の制御へと移行しているので、優れた制御精度で理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)の制御を行うことができる。
【0039】
このようにして構成されるガスエンジン1は、リーン運転からストイキ運転に切り替える場合、あるいはその逆の場合、NOの発生量が多くなる空気過剰率領域(λ=1〜1.3)をスムーズに通過して運転切り替えによるNOの発生量を最低限に抑えることができるとともに、回転数の変動によるガスエンジン1の損傷を防止することができる。
【0040】
また、理想空燃比となる空気過剰率(λ=1)でのピンポイントの制御精度が要求されるストイキ運転では、ストイキ用バルブ部21によって制御を行い、リーン運転を行うリーン用バルブ部22との切替により、リーン運転とストイキ運転とを両立させることができる。
【0041】
さらに、ストイキ制御時は、リーン制御時と対比してバルブの応答速度を速くする必要があるところ、ストイキ用バルブ部21をリーン用バルブ部22よりもミキサー24に近い側に配置しているので、ストイキ用バルブ部21とミキサー24との距離が近くなり滞留ガスを減らせられるので制御遅れを小さくできる。
【0042】
このようにして構成されるガスエンジン1は、ガスヒートポンプ装置(図示省略)の駆動源として好適に使用することができる。すなわち、ガスヒートポンプ装置は、冬場や夏場は高負荷が必要とされるが、春や秋の季節には中低負荷で十分対応できる。しかも、ガスエンジン1は、高負荷が必要とされる場合は、複数台のコンプレッサーを駆動しており、逆に低負荷の場合は、一台のコンプレッサーを駆動しているのか通常である。したがって、このガスエンジン1を使用したガスヒートポンプ装置は、中低負荷の場合には、リーン運転を行い、高負荷が必要となった場合にはストイキ運転に切り替えて対応することができるので、小排気量のガスエンジン1を使用してコストの低減を図ることができる。
【0043】
また、高負荷時には、ストイキ運転するため熱効率は低下するが、複数台のコンプレッサーを駆動したりすることで機械効率が高くなるので、熱効率は、中低負荷時のリーン運転と同等となる。当然、この中低負荷時の熱効率は、リーン運転するため優れている。したがって、通年エネルギー消費効率(APF)の高効率化を図ることができることとなる。
【0044】
また、このガスエンジン1は、コージェネレーション装置(図示省略)の駆動源としても好適に使用することができる。すなわち、コージェネレーション装置は、通常運転時はリーン運転を行い、高負荷となる熱主運転に切り替える際に、ストイキ運転を行うことで、省エネルギー化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るガスエンジンは、各種省エネルギー設備の駆動源に用いられる。
【符号の説明】
【0046】
1 ガスエンジン
2 バルブ
21 ストイキ用バルブ部
22 リーン用バルブ部
23 レギュレータ
24 ミキサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの高負荷時にはストイキ運転し、中低負荷時にはリーン運転するガスエンジンであって、
ガスエンジンに空気と燃料ガスとの混合気を供給するバルブは、
ストイキ運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積が確保され、
ストイキ運転からリーン運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに一様に開口面積が減少して空気過剰率が上昇し、
リーン運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積が確保され、
リーン運転からストイキ運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに開口面積が一様に増加して空気過剰率が減少する、
ように開口面積制御が行われることを特徴とするガスエンジン。
【請求項2】
バルブは、ストイキ運転の空気過剰率を実現するストイキ用バルブ部と、リーン運転の空気過剰率を実現するリーン用バルブ部とを直列でストイキ用バルブ部をエンジン吸気側につなげてバルブの開口面積の制御を行う請求項1記載のガスエンジン。
【請求項3】
ストイキ運転では、リーン用バルブ部を全開にし、ストイキ用バルブ部でバルブの開口面積の制御を行い、
ストイキ運転からリーン運転に切り替える際は、ストイキ用バルブ部を全開にするとともに、リーン用バルブ部を閉じながらバルブの開口面積の制御を行う請求項2記載のガスエンジン。
【請求項4】
リーン運転では、ストイキ用バルブ部を全開にし、リーン用バルブ部でバルブの開口面積の制御を行い、
リーン運転からストイキ運転に切り替える際には、リーン用バルブ部を全開にするとともに、ストイキ用バルブ部を閉じながらバルブの開口面積の制御を行う請求項2記載のガスエンジン。
【請求項5】
ストイキ運転からリーン運転に切り替える際またはリーン運転からストイキ運転に切り替える際に、ストイキ用バルブ部の開口面積とリーン用バルブ部の開口面積との合計を推定計算して開口面積の制御を行う請求項3または4記載のガスエンジン。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一記載のガスエンジンを有するガスヒートポンプ装置。
【請求項7】
請求項1ないし5の何れか一記載のガスエンジンを有するコージェネレーション装置。
【請求項8】
エンジンの高負荷時にはストイキ運転し、中低負荷時にはリーン運転するガスエンジンにおいて、
ガスエンジンに空気と燃料ガスとの混合気を供給するバルブは、
ストイキ運転の際には、当該ストイキ運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積を確保し、
ストイキ運転からリーン運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに一様に開口面積を減少させて空気過剰率を上昇させ、
リーン運転の際には、当該リーン運転の空気過剰率を実現する一定の開口面積を確保し、
リーン運転からストイキ運転に切り替える際には、切り替え運転を終了するまでの間、時間の経過とともに開口面積を一様に増加させて空気過剰率を減少させる、
ように開口面積制御を行うことを特徴とするガスエンジンの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92082(P2013−92082A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233851(P2011−233851)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】