説明

ガスクラスタ・イオン・ビームを測定しかつ制御する方法とそのための装置

平均クラスタ・イオン速度v、平均クラスタ・イオン質量m、平均クラスタ・イオン・エネルギーE、平均クラスタ・イオン電荷状態q、電荷当たりの平均クラスタ・イオン質量(m/q)average及び電荷当たりの平均エネルギー(E/q)averageを含むクラスタ・イオン・ビーム(306)におけるクラスタの特性を測定/制御するための方法と装置(300)が開示されている。測定値は、ガスクラスタ・イオン・ビーム照射によるワークピースの最適処理にとって極めて重要なガスクラスタ・イオン・ビームの特性を監視しかつ制御するためにガスクラスタ・イオン・ビームのプロセス・システムにおいて使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してクラスタ・イオン・ビームの特性の測定及び制御に関し、より特定的にはガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均電荷状態、平均クラスタ・イオン質量及び/または平均クラスタ・イオン・エネルギーを測定しかつ/または制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
表面処理のためのクラスタ・イオン・ビームの使用は、技術上周知である(例えば本参照により開示に含まれるデグチ外の米国特許第5,814,194号参照)。本論の目的に添って、ガスクラスタは、標準温度及び標準気圧の条件下で気体である物質のナノサイズの集合体である。このようなガスクラスタは、典型的には千、二千乃至数千個に達する緩く結合されてクラスタを形成する分子の集合体で構成される。クラスタは、電子ボンバードメントまたは他の手段によってイオン化されることが可能であり、制御可能なエネルギーの配向されたビームへと形成されることが可能にされる。
【0003】
このようなイオンは各々、典型的にはq・eの正電荷を帯びる(但し、eは電子電荷であり、qはクラスタ・イオンの電荷状態を表す1乃至5,6程度までの整数である)。クラスタ・イオン・ビーム内には、非イオン化クラスタも存在する可能性がある。より大きいサイズのクラスタ・イオンは、クラスタ・イオン当たりでかなりのエネルギーを運ぶその能力に起因して最も有効である場合が多いが、それでも分子単位ではそこそこのエネルギーしか保有しない。クラスタは衝撃で壊変され、個々の分子は各々、クラスタ・イオンの合計エネルギーの僅かな部分しか運ばない。その結果、大きなクラスタ・イオンの衝撃による影響は甚大であるが、極めて浅い表面領域に限定される。これはクラスタ・イオンを、従来のモノマー・イオン・ビーム・プロセシングに特徴的な表面下のより深い損傷をもたらす傾向のない、様々な表面改質プロセスにとって有効なものにする。
【0004】
このようなガスクラスタ・イオン・ビーム(GCIB)を生成しかつ加速するための手段は、先に引用した引例(米国特許第5,814,194号)に説明されている。現時点で入手可能なクラスタ・イオン・ソースは、広範なサイズ分布Nを有するクラスタ・イオンを生成する(但し、Nは各クラスタ・イオン内の分子の数であり、本論を通じて、アルゴン等の単原子気体の場合、単原子気体の原子を分子と呼び、このような単原子気体のイオン化原子を分子イオンまたは単にモノマー・イオンと呼ぶ)。
【0005】
多くの有益な表面処理効果は、GCIBで表面を衝撃することにより達成されることが可能である。これらの処理効果には、クリーニング、スムージング、エッチング及び膜成長が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。表面の処理速度に影響するガスクラスタ・イオン・ビームの物理学を予測しかつ制御し、よってこれらの速度が最適化されることを可能にする改良された診断測定に対するニーズが存在する。GCIB表面の相互作用の基本は、表面を衝撃し、直接スパッタリングにより、及び/または溶融及び蒸着を介して物質を移動/射出させ、様々な深さ及び直径のナノスケールのクレータを生成する個々のクラスタ・イオンである。GCIBクレータは、何十乃至何百オングストロームの規模である可能性があり、クラスタ・イオンの質量及び速度に依存する。GCIBによって形成されるクレータの性質(延ては表面処理特性)は、クラスタ・イオンの質量及びその衝撃速度に依存する。
【0006】
クラスタ・イオンの速度は、(本参照により開示に含まれる、例えばJerald P.Dykstraの米国特許出願公報2002−0036261A1及びMack外の2002−0070361A1に教示されているような)飛行時間形の技術を使用して測定されることが可能である。また、イオンが主として個々に帯電されるようにイオン化条件を使用する場合、よってqがほぼ1であることが周知であったとすれば、質量/電荷状態比(m/q)を検出する様々な磁気及び静電測定技術により、イオン化クラスタのモーメント、エネルギー及び質量を決定することができる。さらに、平均質量/電荷状態比、即ち〔m/q〕averageを測定するための技術が存在すること、または(本参照により開示に含まれる、例えばTorti外の米国特許出願公報2001−0054686A1に教示されているような)従来技術が基礎とされ得ることは周知である。
【0007】
多くの場合、GCIB処理において産業上実際的なスループットを達成するためには、約何百乃至何千マイクロアンペアものGCIB電流を必要とすることが発見されている。最近は、GCIBの強度及びイオン化を増大させるために、より高い追加的な電荷状態クラスタ(q>1)を生成することに努力が傾倒されている。イオン化が電子ボンバードメントによって実行される場合、イオン化はランダムな電子衝撃によって生成される。高い割合のイオン化対非イオン化クラスタを生成するためには、電子衝撃の確率は高くなければならず、結果的に生じる電荷状態分布はほぼポワソン統計学に準じ、電荷状態qの近似確率P(q)は、
(式1)

で与えられる。但し、〈q〉はイオナイザを出た後の平均イオン化クラスタの電荷状態である。従って、高イオン化分数を有するイオン化されたクラスタ・ビームは、幾重にも帯電されたビームともなる。
【0008】
例えば理論上、クラスタの95%がイオン化されているGCIBビームの平均クラスタ電荷状態は3になり、8%を超えるビームは電荷状態6及びそれ以上になる。しかしながら、このような高電荷クラスタは分断され、異なる電荷状態で分布する結果となる可能性がある。真空システムにおけるクラスタ・イオンと残留ガスとの相互作用もまた電荷交換反応及びクラスタ・イオンの断片化を引き起こす可能性があり、よって実際のビームでは、正確な電荷状態は容易に予測されない。高電荷状態クラスタの存在は、全てm/qまたはエネルギー/電荷状態比E/qの何れかを測定する磁気分析計、静電スペクトロメータ、RF四極質量スペクトロメータ、飛行時間形減速電位質量スペクトロメータ及び圧力計測定値等の現在の計装の使用によっては決定され得ない。
【0009】
約10000AMU以下のイオン化クラスタm/qの場合、異なる電荷状態ファミリをm/qスペクトルに分解することが可能であるが、m/q状態を実際には分解または重ねることができないより大規模なクラスタ・イオンにとってこれが実際的でないことは留意されるべきである。電子スプレー技術によって生成される巨大超高電荷(q>1000)分子に関しては、及び太陽風または静電加速された塵粒における高電荷原子に関しても、これらのパラメータは他の方法を使用して決定されている。これらの技術は、前者の場合には電荷状態が低すぎることから、また後者技術の場合にはクラスタ・イオンの衝突エネルギーがほぼ全て熱蒸着され、故に実際的な周知方法の使用では検出され得ないことから、GCIBには適用不可である。従って、これらのクラスタ・イオンのm、q及びEを測定しかつ制御する改良された方法及び装置が必要とされる。
【0010】
従って本発明の目的は、クラスタ・イオン・ビームの平均電荷状態〈q〉を測定するための方法及び装置を提供することにある。
【0011】
本発明のさらなる目的は、ビーム内の高エネルギー、イオン化ラスタの平均質量〈m〉及び/または平均エネルギー〈E〉を測定するための方法及び装置を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、ワークピースの改良されたGCIB処理のためのGCIB処理システムにおいてガスクラスタ・イオン・ビームの特性を測定しかつ制御するための改良された方法及び装置を提供することにある。
【0013】
本発明の上述の目的及びさらなる、及び他の目的及び優位点は、以下で説明する本発明の実施形態によって達成される。
【0014】
第1の実施形態では、本発明は、クラスタ・イオン・ビームのサンプルに関する電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕average、平均速度〈v〉及び平均電荷状態〈q〉の個々の測定値を包含する方法を提供する。電荷当たりの平均エネルギーは静電スペクトロメータを使用して測定され、速度は飛行時間を使用して測定される。平均電荷状態〈q〉は測定され、イオン化クラスタ分布のm及びEの平均値を決定するために他の測定値と組み合わせて使用される。平均電荷状態は、イオン・ビームの小さいサンプルに関して、高速粒子カウンタを使用して粒子(クラスタ)の流量Γを測定することにより、かつ好適にはファラデー・カップである電流センサを使用して電気ビーム電流Iを測定することにより計算される。(下記の式2による)粒子の流れに対する電流の割合は、クラスタの平均電荷状態〈q〉の測定値をもたらす。平均電荷状態のこの測定値は、下記の式2、式3及び式5が示すように、〔E/q〕averageの静電スペクトロメータ測定値と組み合わされて平均クラスタ・イオン・エネルギーを決定し、かつ平均速度〈v〉の飛行時間形測定値と組み合わされて平均質量〈m〉を決定する。
【0015】
第2の実施形態では、本発明は、クラスタ・イオン・ビームのサンプルに関するビームの電荷当たりの平均質量〔m/q〕average、及び電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕average及び平均電荷状態〈q〉の測定を行う方法を提供する。電荷当たりの平均エネルギーは静電スペクトロメータを使用して測定され、電荷当たりの平均質量は圧力チャージ・センサを使用して測定される。平均電荷状態〈q〉は測定され、イオン化クラスタ分布のm及びEの平均値を決定するために他の測定値と組み合わせて使用される。第1の実施形態の場合と同様に、平均電荷状態は、イオン・ビームの小さいサンプルに関して、高速粒子カウンタを使用して粒子(クラスタ)の流量Γを測定することにより、かつ好適にはファラデー・カップである電流センサを使用して電気ビーム電流Iを測定することにより測定される。(式2による)粒子の流れに対する電流の割合は、クラスタの平均電荷状態〈q〉の測定値をもたらす。平均電荷状態のこの測定値は、下記の式2、式3及び式4が示すように、〔E/q〕averageの静電スペクトロメータ測定値と組み合わされて平均クラスタ・イオン・エネルギーを決定し、かつ電荷当たりの平均質量〔m/q〕average測定値と組み合わされて平均質量〈m〉を決定する。
【0016】
式2におけるα及びβは、各々電流及び粒子検出器の検出効率である。

(式2)






(式3)



(式4)



(式5)



本発明及び本発明の他の、及びさらなる目的をより良く理解するために、添付の図面及び詳細な説明を参照する。
【0017】
図1は、GCIBプロセッサ100の典型的な構成の基本エレメントを略示したものであり、これは、真空容器102が3つの連絡するチャンバ、即ちソース・チャンバ104、イオン化/加速チャンバ106及びプロセス・チャンバ108に分割されると説明することができる。3つのチャンバは、真空ポンプ・システム146a、146b及び146cによって各々適切な動作圧力まで空気を抜かれる。
【0018】
ガス貯蔵シリンダ111に貯蔵された凝縮可能なソース・ガス112(例えばアルゴンまたはN2)は、ガスメータの栓113及びガス供給管114を介して圧力下で滞留チャンバ116へ入り、適正に成形されたノズル110を介して実質的により低い圧力である真空内へと噴出される。その結果、超音速ガスジェット118が生じる。ジェットの膨張の結果として生じる冷却は、ガスジェット118の一部を、各々が数個乃至数千個の結合の弱い原子または分子より成るクラスタに凝縮させる。ガス・スキマ開口120は、クラスタ・ジェットとクラスタ・ジェットに凝縮されていない気体分子とを部分的に分離し、このようなより高い圧力は好ましくないと思われる下流領域(例えば、イオナイザ122、高電圧電極126及びプロセス・チャンバ108)における圧力を最小限に抑える。凝縮可能なソース・ガス112として適切なものには、アルゴン、窒素、二酸化炭素、酸素及び他の気体が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0019】
ガスクラスタを含む超音速ガスジェット118が形成された後、クラスタはイオナイザ122においてイオン化される。イオナイザ122は典型的には、1つまたは複数の白熱フィラメント124から熱電子を生成しかつ上記電子がガスジェット118内のガスクラスタと衝突するように加速して方向づける電子衝撃イオナイザであり、ジェットはこのイオナイザ122を通過する。電子衝撃はクラスタから電子を噴出させ、これによりクラスタの一部は陽イオンを帯びるようになる。適切にバイアスされた高電圧電極セット126はイオナイザからクラスタ・イオンを抽出してビームを形成し、次にこれらを所望されるエネルギー(典型的には1keV乃至数十keV)まで加速しかつGCIB軸129を有するGCIB128を形成すべく集束させる。
【0020】
フィラメント電源136は、イオナイザ・フィラメント124を加熱するためのフィラメント電圧Vfを供給する。陽極電源134は、フィラメント124から放射される熱電子を加速し、これらにガスジェット118を含むクラスタを照射させてイオンを生成させるための陽極電圧VAを供給する。抽出電源138は、高電圧電極をバイアスしてイオナイザ122のイオン化領域からイオンを抽出し、GCIB128を形成するための抽出電圧VEを供給する。加速器電源140は、高電圧電極をイオナイザ122に対してバイアスし、最終的にVAcc電子ボルト(eV)に等しい合計GCIB加速エネルギーにするための加速電圧VAccを供給する。1つまたは複数のレンズ電源(142及び144が例示されている)は、高電圧電極を集束電圧(例えばVL1及びVL2)でバイアスしてGCIB128を集束させるために供給されることが可能である。
【0021】
GCIBプロセスによって処理されるべき半導体ウェーハまたは他のワークピースである可能性のあるワークピース152は、GCIB128の経路内に配置されたワークピースホルダ150上に保持される。大部分のアプリケーションは、空間的に一様な結果を伴う大型ワークピースの処理を企図することから、走査システムはGCIB128を広い領域に渡って一様に走査し、空間的に均一な結果を生成することが望ましい。2対の直交して方向づけられる静電走査プレート130及び132は、所望されるプロセス・エリアに渡ってラスタまたは他の走査パターンを生成するために使用されることが可能である。ビーム走査が実行されると、GCIB128は走査GCIB148に変換され、これがワークピース152の全表面を走査する。
【0022】
図2は、機械的に走査されるワークピース152を伴う固定ビームを有し、かつビーム測定用の従来型のファラデー・カップ及び従来型の熱イオン中和物を有する先行技術による機械走査式のGCIBプロセス装置200の基本エレメントを略示したものである。GCIBの生成は図1に示したものに類似しているが、図2の機械的走査式GCIBプロセス装置200では、GCIB128は固定式であり(走査されない)、ワークピース152はGCIB128を介して機械式に走査され、GCIB128の効果がワークピース152の表面に渡って分散される。X走査アクチュエータ202は、(用紙面内外への)X走査動作208の方向へワークピースホルダ150の線形動作を供給する。Y走査アクチュエータ204は、典型的にはX走査動作208に直交するY走査動作210の方向へワークピースホルダ150の線形動作を供給する。X走査動作及びY走査動作の組合わせは、ワークピースホルダ150によって保持されるワークピース152をGCIB128を介してラスタのような走査動作で移動させ、ワークピース152の一様なプロセスのためのGCIB128によるワークピース152の表面の一様な照射を生じさせる。
【0023】
ワークピースホルダ150は、GCIB128がワークピース152の表面に対してあるビーム入射角206を有するように、ワークピース152をGCIB128のGCIB軸129に対して角度をつけて配置する。ビーム入射角206は90度または他の何らかの角度である可能性があるが、典型的には90度であり、または90度に極めて近い。Y走査の間、ワークピースホルダ150によって保持されるワークピース152は、図示された位置から各々指示子152A及び150Aで表示された代替位置「A」まで移動する。2つの位置間の移動において、ワークピース152はGCIB128を介して走査され、かつ両極限位置においてはGCIB128の経路から完全に外れて移動される(オーバースキャン)ことに留意されたい。
【0024】
図2には明示されていないが、類似の走査及びオーバースキャンが(典型的には)直交するX走査動作208の方向(用紙面内外)でも実行される。合計ビーム電流センサ218は、ワークピースホルダ150がGCIB128の経路を外れて走査されるとGCIB128の合計GCIBビーム電流ITのサンプルを傍受するように、GCIB128の経路内にワークピースホルダ150を超えて配置される。ビーム電流センサ218は、典型的にはビーム入口開口以外は閉止されたファラデー・カップまたはこれに類似するものであって、電気絶縁されたマウント212により真空容器102の壁に付着される。マイクロコンピュータ・ベースのコントローラである可能性のあるコントローラ220は電気ケーブル216を介してX走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204を接続し、X走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204を制御してワークピース152をGCIB128の内側または外側へ配置させ、かつGCIB128によりワークピース152の一様なプロセスを達成させるべくワークピース152をGCIB128に対して一様に走査させる。
【0025】
コントローラ220は、ビーム電流センサ218によって収集されるサンプリングされたビーム電流をリード214を経由して受信し、これによりGCIBを監視し、かつ予め決められた所望される線量が送られるとGCIB128からワークピース152を除去することによりワークピース152によって受信されるGCIB線量を制御する。
【0026】
図3A及び3Bは、本発明によるGCIB128のビーム測定を行うためのGCIB測定装置300の第1の実施形態を略示したものである。図3Aは、分析器の電圧がゼロである事例を描いたものであり、図3Bは分析器の電圧が非ゼロである事例を描いたものである。GCIB測定装置300は、例えば図2に示すような走査されていないGCIB128を有するGCIBプロセス装置200(図2)の真空容器102(図2)内に位置決めされることが意図されている(任意選択として、サポート電子回路、電源及び制御装置のうちの幾つかまたは全てを除く)。GCIB測定装置300は、GCIB減衰サブシステム、GCIB視準サブシステム、GCIB交換サブシステム、GCIBエネルギー・スペクトル測定サブシステム、GCIB粒子フロー測定サブシステム、GCIB電流測定サブシステム、GCIB飛行時間形測定システム、測定対象であるガスクラスタ・イオン・ビームに対して様々なエレメントを再配置するための再配置アクチュエータ及び様々な電子、電力及び制御システムを備える。
【0027】
図3Aを参照すると、GCIB減衰サブシステムは、ビーム減衰器302と、関連のアクチュエータ及び制御装置とを備える。ビーム減衰器302は(例えば)小さい円形の減衰器開口303を有する金属板であり、GCIB128の減衰されたサンプル(減衰されたGCIB306)はこの開口を介して通過されることが可能である。減衰器開口303は(例えば)小さい円形の開口である場合もあれば長方形のスリット開口である場合もあり、また円形開口のアレイである場合すらあり、絞りまたは調整可能なスリット等の調整可能な開口である可能性があることは認識される。ある好適な、非限定的実施形態では、減衰器開口303は1ミリメートルの直径を有する円形のナイフエッジ・ホールである。
【0028】
ビーム減衰器302は分析器取付け及びアライメント・プレート324に堅固に取り付けられ、これにより電気的に接地されかつ放熱される。分析器取付け及びアライメント・プレート324は、ビーム減衰器302をGCIB軸129に位置合わせされた減衰器開口303によりGCIB128内へ挿入する、またはGCIB減衰器サブシステムをGCIB128から完全に取り外すための双方向性の動作(矢印380の方向)を供給すべく、機械的リンク機構326により機械的アクチュエータ328へ接続される。
【0029】
引き続き図3Aを参照すると、GCIB視準サブシステムはビーム減衰器302と、減衰器開口303と、コリメータ開口305を有するビーム・コリメータ304と、関連のアクチュエータ及び制御装置とを備える。ビーム減衰器302及びビーム・コリメータ304は分析器取付け及びアライメント・プレート324へ堅固に取り付けられ、これにより電気的に接地され、放熱されかつこれにより位置合わせされて保持される。減衰器開口303及びコリメータ開口305は、実質上GCIB軸129に平行に位置合わせされるように、分析器取付け及びアライメント・プレート324により位置合わせされて固定される。コリメータ開口305は(例えば)小さい円形の開口である場合もあれば長方形のスリット開口である場合もあり、また円形開口のアレイである場合すらあり、絞りまたは調整可能なスリット等の調整可能な開口である可能性があることは認識される。好適には、コリメータ開口は減衰器開口303と同じ形状(円形またはスリット)であり、かつ減衰器開口303とほぼ同じサイズであり、またはこれより小さい。従ってコリメータ開口は、減衰されたGCIB306を視準しかつ減衰されたGCIB306をさらに減衰させる働きをする。
【0030】
ある好適な実施形態では、コリメータ開口305は20乃至160マイクロメートルの範囲の直径を有する円形のナイフエッジ・ホールである。分析器取付け及びアライメント・プレート324は、GCIB視準サブシステムを共にGCIB軸129に位置合わせされた減衰器開口303及びコリメータ開口305によりGCIB128内へ挿入する、またはGCIB視準サブシステムをGCIB128から完全に取り外すための双方向性の動作(矢印380の方向)を供給すべく、機械的リンク機構326により機械的アクチュエータ328へ接続される。GCIB視準サブシステムが挿入されると、図3Aに示すように、ビーム減衰器302及びビーム・コリメータ304は(各々)減衰されたGCIB306及び減衰されかつ視準されたGCIB307を送信する。従って、減衰されかつ視準されたGCIB307は、GCIB128のサンプルである。
【0031】
引き続き図3Aを参照すると、GCIB交換サブシステムはビーム減衰器302と、減衰器開口303と、コリメータ開口305を有するビーム・コリメータ304と、静電偏向板394と、関連のアクチュエータ、電源及び制御装置とを備える。ビーム減衰器302及びビーム・コリメータ304は分析器取付け及びアライメント・プレート324へ堅固に取り付けられ、これにより電気的に接地され、放熱されかつ位置合わせされて保持される。減衰器開口303及びコリメータ開口305は、実質上GCIB軸129に平行に位置合わせされるように、分析器取付け及びアライメント・プレート324により位置合わせされて固定される。
【0032】
分析器取付け及びアライメント・プレート324は、GCIB視準サブシステムを共にGCIB軸129に位置合わせされた減衰器開口303及びコリメータ開口305によりGCIB128内へ挿入する、GCIB128の減衰されかつ視準されたサンプル(減衰されかつ視準されたGCIB307)を送信する、またはGCIB視準サブシステムをGCIB128から完全に取り外すための双方向性の動作380を供給すべく、機械的リンク機構326により機械的アクチュエータ328へ接続される。静電偏向板394は、減衰されたGCIB306に近接しかつ実質上これに平行してGCIB306が通るビーム減衰器302及びビーム・コリメータ304間に位置決めされ、図示されていない電気絶縁手段により分析器取付け及びアライメント・プレート324へ堅固に固定される。
【0033】
電気リード線396は、ビーム・ゲーティング・コントローラ398からのビーム・ゲート電位を静電偏向板394へ導くために、静電偏向板394をビーム・ゲーティング・コントローラ398へ接続する。ビーム・ゲーティング・コントローラ398は、減衰されたGCIB306をビーム減衰器302とビーム・コリメータ304との間の範囲で制御可能式に偏向する、または偏向しない電気信号を供給する。ビーム・ゲーティング・コントローラ398は、静電偏向板394へ偏向信号を制御可能式に供給するために、より高位の制御システム(本図には示されていない)によって遠隔制御され得ることは認識される。減衰されたGCIB306を偏向する、または偏向しないことにより、減衰されかつ視準されたGCIB307はゲートオフまたはゲート・オンされることが可能である。
【0034】
従って、GCIB交換サブシステムがGCIB128へ挿入されると、これは、後にさらに詳述するように飛行時間形のビーム測定のためのビーム・スイッチを形成することができる。
【0035】
引き続き図3Aを参照すると、GCIBエネルギー・スペクトル測定サブシステム(エネルギー・スペクトロメータ)はビーム減衰器302と、減衰器開口303と、ビーム・コリメータ304と、コリメータ開口305と、接地された電極312と、エネルギー分析器電極308と、分析スリット318と、電流センサ322と、関連のアクチュエータ、電源及び制御装置とを備える。接地された電極312は3つの開口、即ち減衰されかつ視準されたGCIB307を受け入れるための第1の接地された電極開口313と、減衰されかつ視準されたGCIB307’の伝送を許容する第2の接地された電極開口314と、分析されたビームレット316(図3Bに示されている)を伝送するための第3の接地された電極開口315とを有する。
【0036】
ビーム・エネルギー分析器は、接地された電極312と、エネルギー分析器電極308とを備える。接地された電極312及びエネルギー分析器電極308は、減衰されたGCIB306の経路(従って、GCIB軸129)に対してある角度(好適には約45度)を成して配置される。接地された電極312は分析器取付け及びアライメント・プレート324に堅固に固定され、これにより電気的に接地される。エネルギー分析器電極308は、図示されていない電気絶縁手段によって分析器取付け及びアライメント・プレート324に堅固に固定される。
【0037】
電気リード線336は、分析器電圧VAnをエネルギー分析器電極308へ供給するために、エネルギー分析器電極308を分析器電源386へ接続する。分析器電源386は調整可能であり、かつ好適には本図には示されていないより高位のコントローラによる遠隔制御が可能である。分析電圧VAnは、ゼロからGCIB128の加速に使用される最大加速電圧VAccにほぼ等しい電圧までの範囲で制御可能である。例えば、VAccの予測される最大値が25kVであれば、VAnはゼロから25kVの範囲で制御可能であるように選択されることが可能である。エネルギー分析器電極308は、電極を介して減衰されかつ視準されたGCIB307の伝送を可能にするエネルギー分析器電極開口310を有する。エネルギー分析器電極開口310を介して伝送されると、減衰されかつ視準されたGCIB307の続きは減衰されかつ視準されたGCIB307’で示される。
【0038】
エネルギー分析器電極開口310は、分析器取付け及びアライメント・プレート324によって減衰器開口303及びコリメータ開口305と固定式に位置合わせされて保持される。VAnがゼロのとき、減衰されかつ視準されたGCIB307’は、減衰器開口303及びコリメータ開口305及び第1の接地された電極開口313及びエネルギー分析器電極開口310及び第2の接地された電極開口314を通って直進する。
【0039】
図3Bを参照してGCIBエネルギー・スペクトル測定サブシステム(エネルギー・スペクトロメータ)の論議を続けると、VAnがゼロより大きいとき、エネルギー分析器電極308と接地された電極312との間には、減衰されかつ視準されたGCIB307が偏向されて分散されるように静電界勾配が存在し、クラスタ・イオンはそれらの関数E/q(電荷当たりのエネルギー)として分散される。分析スリット318は電流センサ322のための受容開口を形成し、電流センサ322は好適には電子サプレッサ電極320を有するファラデー・カップである。
【0040】
電気リード線330は、電流センサ322内の二次電子を抑制するためにサプレッサ電圧VS1をサプレッサ電極320へ供給すべくサプレッサ電極320をサプレッサ電源384に接続する。VS1は、好適には500ボルトから1500ボルトの範囲である。周知の原理により、VAnの異なる値は結果的に特定範囲のエネルギーのクラスタ・イオンを、第3の接地された電極開口315を通過しかつ電流センサ322による測定のために分析スリット318を通過する分析ビームレット316を形成するように、VAnに依存して偏向させることになる。分析ビームレット316におけるクラスタ・イオンのE/qの範囲とは異なるE/qを有するクラスタ・イオンは、分析ビームレット316より大きく、または少なく偏向され、分散されたビームレット317を形成する。分散されたビームレット317は分析スリット318を通過せず、電流センサ322によって測定されない。電流センサ322は、電流センサ322を電流測定システム334へ接続するための電気リード線332を有する。
【0041】
静電エネルギー分光学の周知の原理に従って、VAnのその電圧範囲を介する調整を電流センサ322内の電流測定値に調和させることにより、GCIB128の減衰されかつ視準されたGCIB307サンプルのエネルギー・スペクトル(クラスタ・イオン・エネルギーの関数としてのビーム電流形式、或いはビーム電流の関数としてのクラスタ・イオン・エネルギー形式のデータ)が測定され、E/qの平均値(式3の〔E/q〕averageに相当する)が計算される。
【0042】
さらに、クラスタ・イオン・エネルギーに対しては、クラスタ・イオン・エネルギーの関数としてのビーム電流の測定値を積分することにより、減衰されかつ視準されたGCIB307における合計クラスタ・イオン電流Iを得ることができる。クラスタ・イオン電流Iのこのような測定値は、減衰されかつ視準されたGCIB307の平均電荷状態を計算するために流量Γと組み合わせて使用されることが可能である。
【0043】
再度図3Aを参照すると、GCIB粒子フロー測定サブシステムは、ビーム減衰器302と、減衰器開口303と、ビーム・コリメータ304と、コリメータ開口305と、エネルギー分析器電極開口310と、第4の接地された電極開口343を有する接地された電極342と、ダイノード338と、任意選択である電子レンズ・アッセンブリ344と、シンチレーション測定システムと、関連のアクチュエータ、電源及び制御装置とを備える。GCIB粒子フロー測定サブシステムは、GCIB100のサンプルにおけるクラスタの流量Γを測定する。
【0044】
ビーム減衰器302及びビーム・コリメータ304は分析器取付け及びアライメント・プレート324へ堅固に取り付けられ、これにより電気的に接地され、放熱されかつ位置合わせされて保持される。分析器電圧VAnは、減衰されかつ視準されたGCIB307がエネルギー分析器電極開口310を介して減衰されかつ視準されたGCIB307’として伝送されるようにゼロに設定される。第4の接地された電極開口を有する接地された電極342、ダイノード338、使用される場合は好適にはアインツェル・レンズである任意選択の電子レンズ・アッセンブリ344、シンチレータ348及び光電子増倍管(PMT)350は全て、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352へ堅固に取り付けられる。電子レンズ・アッセンブリが使用される場合、電気リード線358は、二次電子軌道346をシンチレータ348上へ集束させる集束電圧VL3を供給するために、電子レンズ・アッセンブリをレンズ電源388へ接続する。
【0045】
粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352はこれに取り付けられるエレメントを支持しかつその位置合わせを維持し、これらのグループとしての位置決めを可能にする。粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352は、クラスタ・イオン流量測定のためにダイノード340を減衰されかつ視準されたGCIB307’へ挿入するための双方向性の動作(矢印382の方向)を供給すべく、機械的リンク機構362により機械的アクチュエータ360へ接続される。接地された電極342は粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352へ堅固に取り付けられ、これにより電気的に接地される。ダイノードは、図示されていない電気絶縁手段によって粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352へ堅固に取り付けられる。接地された電極342及びダイノードは共に、減衰されかつ視準されたGCIB307’の経路(従って、GCIB軸129)に対してある角度(好適には約45度)を成して配置される。
【0046】
ダイノード338は導電体であって好適にはアルミニウムであり、ダイノード面340、好適には天然酸化アルミニウム薄膜を有する。電気リード線364は、ダイノード338へダイノード電圧VDyを供給するために、ダイノード338をダイノード電源390へ接続する。ダイノード電源390は、好適には、粒子検出が行われていないときはVDyをゼロボルトに設定し、粒子検出が実行されているときはこれを好適には20乃至45kVの範囲かつ典型的には30kVである一定の値に設定するように、より高位のコントローラによって遠隔制御が可能である。作動中、減衰されかつ視準されたGCIB307’は接地された電極342内の第4の接地された電極開口343を通過する。ダイノード338と接地された電極342との間の電位勾配は、減衰されかつ視準されたGCIB307’をダイノード338内へと加速する。加速されたクラスタ・イオンがダイノード面340に突き当たるにつれて、1つまたは複数の二次電子の放出が誘発される。
【0047】
二次電子は、ダイノード338と接地された電極342との間の電場勾配により軌道346沿いにダイノード面340に対して実質上直角の方向へ加速され、電子レンズ・アッセンブリ344によりシンチレータ348上へ集束される。電子レンズ・アッセンブリ344は任意選択であるが、シンチレータにおける電子の検出を比較的小さいシンチレータの使用によって確実にする上で有用である。ダイノード面に到達する各クラスタ・イオンは1つまたは複数の二次電子のバーストを放出し、これはシンチレータ348により光子パルスに変換される。シンチレータ348は、技術上周知の従来型粒子検出シンチレータ(好適にはプラスチック・シンチレータ)である。
【0048】
シンチレータ348は薄いアルミ蒸着マイラー・フィルムにより外部光源から遮蔽され、任意選択で高速PMT350に結合される。電気ケーブル354は、PMT350を従来型のPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356へ接続する。PMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356はさらに後述するように、PMTへ電源電位を供給しかつこれを制御し、パルスレート測定値を供給すべくPMT出力パルスを処理し、また飛行時間形測定の間の信号減退を測定するためにPMT出力信号の周期的サンプルを収集すべくPMT出力を処理する。PMT350は、検出された各光子パルスに対応する、従ってダイノード面340に突き当たる各クラスタ・イオンに対応するパルス出力を生成する。PMTは、少なくとも100MHzの光子パルスレートを計数する能力のあるものが市販されている。
【0049】
PMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356は遠隔制御が可能であり、遠隔からの読取り用にそのパルスレート及びサンプリング測定値を出力することができる。ビーム減衰器開口303は、減衰されかつ視準されたGCIB307’におけるクラスタ・イオン流量がPMT350によって正確に計数され得る流量であることを確実にするために、GCIB128の全体的な減衰を供給し得る直径を有するように予め選択される。GCIB100の現時点での典型例の場合、この減衰定数は約10-6乃至10-7であり、これは直径約20マイクロメートルの減衰器開口の使用により達成されることが可能である。減衰されかつ視準されたGCIB307’におけるクラスタ・イオン流量の測定値はΓで示され、式2におけるΓに相当する。
【0050】
引き続き図3Aを参照すると、本発明を実装するためのGCIB電流測定サブシステムの第1の例は、接地された開口372と、二次電子サプレッサ374と、ビーム電流センサ376とを備える。開口372、二次電子サプレッサ及びビーム電流センサ376は、GCIB128のGCIB軸129に位置合わせされる(従って、減衰されかつ視準されたGCIB307’にも位置合わせされる)ように、堅固に取り付けられる(本図には示されていない)。GCIB128またはGCIB128のサンプル(例えば減衰されかつ視準されたGCIB307’)は、仲介エレメントなしに電流センサ376によって収集され、測定される。電流センサ376は、好適にはファラデー・カップである。電気リード線366は、電流センサ376内の二次電子を抑制するために、サプレッサ電圧VS2を二次電子サプレッサ374へ供給すべく二次電子サプレッサ374をサプレッサ電源392へ接続する。VS2は、好適には500乃至1500ボルトの範囲である。電気リード線368は、電流測定のために電流センサ376を電流測定システム370へ接続する。
【0051】
再度図3Bを参照すると、本発明を実装するためのGCIB電流測定サブシステムの第2の好適な例は、エネルギー・スペクトル測定サブシステムの電流センサ322(好適にはファラデー・カップ)を使用して減衰されかつ視準されたGCIB307のビーム電流Iを測定する。VAnがゼロより大きいとき、エネルギー分析器電極308と接地された電極312との間には電場勾配が存在して減衰されかつ視準されたGCIB307は偏向されかつ分散され、クラスタ・イオンはそれらのE/q(電荷当たりのエネルギー)の関数として分散される。分析スリット318は電流センサ322のための受容開口を形成し、電流センサ322は好適には電子サプレッサ電極320を有するファラデー・カップである。
【0052】
電気リード線330は、電流センサ322内の二次電子を抑制するためのサプレッサ電極320へサプレッサ電圧VS1を供給すべくサプレッサ電極320をサプレッサ電源384へ接続する。VS1は、好適には500ボルト乃至1500ボルトの範囲である。VAnのその電圧範囲を介する調整を電流センサ322内の電流測定値に調和させることにより、GCIB128の減衰されかつ視準されたGCIB307サンプルのエネルギー・スペクトル(クラスタ・イオン・エネルギーの関数としてのビーム電流形式が測定され、かつクラスタ・イオン・エネルギーに対しては、クラスタ・イオン・エネルギーの関数としてのビーム電流の測定値を積分することにより、減衰されかつ視準されたGCIB307におけるクラスタ・イオン電流Iを得ることができる。
【0053】
Γは、減衰されかつ視準されたGCIB307における対応するクラスタ・イオン流量測定値である。収集効率α及びβは従来の校正技術によって決定され、よって〈q〉は式2に従って計算される。電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageもまた、先に説明したように測定され、従って、〈E〉は式3に従って計算される。減衰されかつ視準されたGCIB307’はGCIB128のサンプルであることから、〈q〉及び〈E〉の計算値はGCIB128のそれらに相当する。
【0054】
図4は、第1の例の電GCIB流測定サブシステムを使用してサンプル・ビームの電流測定を行うように構成されたGCIB測定装置の第1の実施形態400の略図である。機械的アクチュエータ360は、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352をGCIB128のサンプルである減衰されかつ視準されたGCIB307’の経路から外している。(図4に示すように)GCIB減衰及び視準サブシステムがGCIB128内へ挿入されかつ粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352が減衰されかつ視準されたGCIB307’の経路から外されるように分析器取付け及びアライメント・プレート324が位置決めされると、GCIB128のサンプルである減衰されかつ視準されたGCIB307’は、測定用の電流センサ376により、減衰されかつ視準されたGCIB307’における電流である式2のサンプル・ビーム電流値Iとして収集され、Γは減衰されかつ視準されたGCIB307’における対応するクラスタ・イオン流量の測定値となる。収集効率α及びβは従来の校正技術によって決定され、よって〈q〉は式2に従って計算される。電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageもまた先に説明したように測定され、従って〈E〉は式3に従って計算される。減衰されかつ視準されたGCIB307’はGCIB128のサンプルであることから、〈q〉及び〈E〉の計算値はGCIB128のそれらに相当する。
【0055】
図5は、ビーム・サンプルの飛行時間形測定を行うためにGCIB128のサンプルをゲーティングするように構成された、本発明によるGCIB測定装置の第1の実施形態410の略図である。分析器取付け及びアライメント・プレート324と粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352とは共に、(図3に示したように)GCIB減衰及び視準サブシステムがGCIB128内へ挿入されかつ粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352が減衰されかつ視準されたGCIB307’の経路内にあるように位置決めされる。飛行時間形測定は図3Aに示したビーム条件で開始されることによって行われ、減衰されかつ視準されたGCIB307’はダイノード338に突き当たり、PMT350によって検出される。
【0056】
再度図5を参照すると、ビーム・ゲーティング・コントローラ398は電気信号を供給し、減衰されたGCIB306をビーム減衰器302とビーム・コリメータ304の間の領域で制御可能式に偏向する。その結果、減衰されたGCIB306(図3A)は減衰されかつ偏向されたGCIB412(図5)として偏向されることになる。偏向は結果的に先に(図3Aが示したように)減衰されかつ視準されたGCIB307−307’の急激なゲート・オフをもたらし、これにより、PMT350における信号の減退が(減衰されかつ視準されたGCIB307−307’に様々なエネルギーを有する成分クラスタの飛行時間によって)遅延される。電気ケーブル354は、PMT350を、減衰されかつ視準されたGCIB307−307’のゲーライング・オフ後に発生するPMT350における遅延された減退信号を測定するためのPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356へ接続する。
【0057】
飛行時間形分析制御システム414は、各々電気ケーブル416及び418によりビーム・ゲート・コントローラ398及びPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356の双方へ制御可能式に接続される。飛行時間形分析制御システム414はまた、電気ケーブル418を介してPMT350における遅延された減退信号に関する測定情報を受信する。クラスタ・イオンの飛行時間を測定するためのプロセスは先の図3Aが示すように構成されるGCIB測定装置300で開始され、減衰されかつ視準されたGCIB307’がビーム電流センサ376によって収集される。飛行時間形分析制御システム414はPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356へ制御信号を送り、これにPMT350で検出された周期的な信号サンプルを収集させかつ送信させる。
【0058】
時間T0において、飛行時間形分析制御システム414はビーム・ゲーティング・コントローラ398へ制御信号を送り、減衰されかつ視準されたGCIB307’に図5が示すようにゲートオフされるように命令する。結果的に生じるビームPMT350における信号の減退は周期的にサンプリングされ、PMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356により飛行時間形分析制御システム414へ送られる。PMT350における信号減退の速度及びタイミングは、例えばDykstraの米国特許出願公報2002−0036261A1及びMack外の2002−0070361A1に教示されているような原理に従って、ビーム・ゲーティング・コントローラ398によりビーム・ゲーティングの時間T0に関連して分析される。Dykstraの米国特許出願公報2002−0036261A1及びMack外の2002−0070361A1は、本参照により開示に含まれる。
【0059】
従って、減衰されかつ視準されたGCIB307−307’の飛行時間形分布が測定される。従来の平均化技術により、飛行時間形分布から平均飛行時間が計算され、平均速度〈v〉は平均飛行時間の逆数である。平均速度〈v〉のこの計算値は、式5の値〈v〉である。〈v〉のこの値と式3によって計算される〈E〉の値を組み合わせて、次は式5により平均質量〈m〉が計算される。従って、本発明の第1の実施形態の方法及び装置により、ビーム・サンプルの、従ってGCIB128の平均質量〈m〉、平均速度〈v〉、平均エネルギー〈E〉、平均電荷状態〈q〉及び電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageが決定される。飛行時間形分析制御システム414は、任意選択としてより高位の、またはより一般的な制御システム、マイクロコンピュータ・システムまたはGCIBプロセス・システムの全体的な制御システムの一部である可能性のある他の汎用コンピュータ・システムの一部として実装される可能性もあることは認識される。
【0060】
図6は、本発明によるGCIB測定装置の第1の実施形態420の略図であるが、測定の改良点はGCIB128全体の電流測定を可能にするためにビーム経路から外されている。分析器取付け及びアライメント・プレート324は、それが支持するサブシステムがGCIB128から完全に外れるように位置決めされ、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352もまた、それが支持するサブシステムがGCIB128から完全に外れるように位置決めされる。GCIB128は中断されることなく電流センサ376へと進み、ここで測定のために収集される。これは、ワークピースの処理線量測定を目的とするGCIB128の合計ビーム電流ITの測定を可能にする。
【0061】
図7は、GCIB128に対して本発明のビーム測定を行うためのGCIB測定装置の第2の実施形態430の略図である。本第2の実施形態では、本方法は飛行時間形測定を含まず、代わりにクラスタ・イオン・ビームのサンプルに対してビームの電荷当たりの平均質量〔m/q〕average、電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕average及び平均電荷状態〈q〉の測定を行う。電荷当たりの平均エネルギー及び平均電荷状態は同じ方法で、かつ第1の実施形態で使用された、先に述べたものと同じ装置で測定される。電荷当たりの平均質量は、周知技術による圧力−電荷センサを使用して測定される。この測定装置は先に述べた第1の実施形態の装置に類似するものであるが、飛行時間形測定は不要であることから、先に述べたGCIB交換サブシステムの静電偏向板394、電気リード線396及びビーム・ゲーティング・コントローラ398は不要である。
【0062】
同様に、先に述べた別個の二次電子サプレッサ374、ビーム電流センサ376、電気リード線368及び電流測定システム370も不要である。ビーム電流及び電荷当たりの平均質量の測定は、これから説明する装置及び方法を使用して実行される。(m/q)センサ432は、二次電子サプレッサ436を有する有孔ファラデー・カップ434と、圧力センサ442とを備える。接地された開口372及び(m/q)センサ432は、GCIB128のGCIB軸129と位置合わせされるように堅固に取り付けられる(本図には示されていない)。有孔ファラデー・カップ434は、仲介エレメントなしに電流を測定するためのGCIB128を収集する。GCIB128内のガスクラスタ・イオンは、有孔ファラデー・カップ434に衝突して完全に解離され、逃げる際に(m/q)センサ432内の圧力を上げる。圧力センサ442は解離されたガスクラスタ・イオンに起因する圧力の上昇を測定し、かつセンサの温度を測定する。
【0063】
電気リード線366は、有孔ファラデー・カップ434内の二次電子を抑制すべくサプレッサ電圧VS2を二次電子サプレッサ436へ供給するために、二次電子サプレッサ436をサプレッサ電源392へ接続する。VS2は、好適には500乃至1500ボルトの範囲である。電気リード線448は、電流を測定するために、有孔ファラデー・カップを従来型の電流測定システム446へ接続する。電気ケーブル438は、圧力及び温度信号及びセンサ電力を伝送するために、圧力センサ442を(m/q)測定システム440へ接続する。電気リード線444は、電流測定システム446から(m/q)測定システム440へ電流測定信号を伝送する。電流測定システム446及び(m/q)測定システム440は共に遠隔制御が可能であり、データ信号を本図には示されていないより高位のコントローラへ供給することができる。(m/q)センサ432、電流測定システム446及び(m/q)測定システム440は、例えばTorti外の米国特許出願公報2001−0054686A1に教示されている原理に従って動作する。Torti外の米国特許出願公報2001−0054686A1は、本参照により開示に含まれる。Torti外の2001−0054686A1の式10は、クラスタ当たりの平均分子数〈N〉の測定について記述している。
【0064】
こうして取得される〈N〉に40(アルゴンの原子量)及び原子質量単位kgの値を乗算すれば、GCIB128におけるクラスタの電荷当たりの平均質量〔m/q〕averageが得られる。電荷当たりの平均質量のこの値が、式4に必要な〔m/q〕averageである。電流測定システム446からのGCIB128の電流測定値はGCIB128の合計ビーム電流ITであり、GCIB処理線量測定に使用される。電荷当たりの平均質量のこの値を、先に述べた本発明の第1の実施形態の方法及び装置によって取得されるΓ、I及び電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageの測定値と組み合わせることにより、かつ式2、式3及び式4を適用すれば、本発明の第2の実施形態によりGCIB128の平均質量〈m〉、平均電荷状態〈q〉及び平均エネルギー〈E〉が決定される。
【0065】
図8は、本発明によるGCIB測定装置の第1の実施形態450の略図であるが、測定の改良点は、GCIB128全体を使用するGCIB照射によるワークピースの処理を可能にするためにビーム経路から外されている。分析器取付け及びアライメント・プレート324は、それが支持するサブシステムがGCIB128から完全に外れるように位置決めされ、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352もまた、それが支持するサブシステムがGCIB128から、及びワークピース152を伴う機械走査用ワークピースホルダ150の走査経路から完全に外れるように位置決めされる。GCIB128は中断されることなくワークピース152へと進み、ここでワークピース152をGCIB処理するためにワークピースを照射する。ワークピースホルダ150及びワークピース152は、機械的走査式GCIBプロセス装置200に関する論議において先により詳細に説明したものと等価の装置及び方法(先の図2に関する論議参照)を使用して、X走査及びY走査動作208及び210によりGCIB128を介して走査される。
【0066】
図9は、本発明の第1の好適な実施形態による改良されたGCIB測定及びプロセス装置500を示す略図である。GCIB測定及びプロセス装置500は先行技術である機械的走査式GCIBプロセス装置200に類似しているが、本発明の第1の実施形態を実装するためのGCIB測定、監視及び制御改良点を有する。先行技術プロセス・システムのガスメータの栓113は、電子制御が可能なガスメータの栓512に代わっている。先行技術システムのビーム電流センサ218とその電気リード線214は、先に説明したGCIB測定装置300の開口372、二次電子サプレッサ374、ビーム電流センサ376及び電気リード線368に代わっている。先行技術システムのコントローラ220は、先に述べたコントローラ220及び飛行時間形分析制御システム414の全ての機能性を含む、但しこれらに限定されない改良されたケイパビリティ及び機能を有するデジタル・プロセス及び制御システム510に代わっている。
【0067】
デジタル・プロセス及び制御システム510はまた、分析器電源386を制御し、電流測定システム334から信号を受信し、VAnの調整をビーム・エネルギー・スペクトル測定を実行すべく電流センサ322からの電流信号測定値に、かつGCIB128のサンプルである減衰されかつ視準されたGCIB307の、クラスタ・イオン・エネルギーの関数としてのビーム電流形式の、或いはビーム電流の関数としてのクラスタ・イオン・エネルギー形式のデータに調和させ、かつ減衰されかつ視準されたGCIB307におけるクラスタ・イオン電流Iを決定すべくクラスタ・イオン・エネルギーに関してビーム電流の測定値をクラスタ・イオン・エネルギーの関数として積分するケイパビリティを含む。
【0068】
デジタル・プロセス及び制御システム510は、例えばGCIBプロセス・システムの一般制御のための小型汎用コンピュータであることが可能である。デジタル・プロセス及び制御システム510は、他のデバイス及び/またはサブシステムと通信しかつこれらを制御するための制御バス504を有する。陽極電源134、フィラメント電源136及び加速器電源140は各々遠隔制御ケイパビリティを装備し、デジタル・プロセス及び制御システム510による制御バス504を介する制御のためにデジタル・プロセス及び制御システム510へ制御可能式に接続される。電子制御が可能なガスメータの栓512もまた、デジタル・プロセス及び制御システム510による制御バス504を介する制御のためにデジタル・プロセス及び制御システム510へ制御可能式に接続される。電気リード線508は、電流センサ322からの電流測定信号を伝送するために、電流測定システム334をデジタル・プロセス及び制御システム510へ接続する。
【0069】
改良型GCIB測定及びプロセス装置500はさらに、先に述べたGCIB測定装置300のエレメントを全て組み込んでいる。デジタル・プロセス及び制御システム510は、少なくとも下記のデバイス、即ちVS1をオンまたはオフ切換するためのサプレッサ電源384と、ビーム・ゲーティング・コマンドを送るためのビーム・ゲーティング・コントローラ398と、分析器取付け及びアライメント・プレート324及び粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352のGCIB軸129に対する位置決めを命令するための機械的アクチュエータ328及び360と、VAを制御するための陽極電源134と、VFを制御するためのフィラメント電源136と、VAccを制御するための加速器電源140と、ノズル110を介するソース・ガス112の流れ及び/または滞留チャンバ116におけるソース・ガスの圧力を制御するための電子制御が可能なガスメータの栓512と、VAnを制御するための分析器電源386と、任意選択として、包含されていればVL3を制御するためのレンズ電源388と、VDyを制御するためのダイノード電源390と、VS2をオンまたはオフ切換するためのサプレッサ電源392と、PMT350への供給電圧を制御するためと、PMT350によるパルスの検出及び信号サンプリングを有効化または無効化するためと、電気リード線506を介するPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356から510へのパルス・カウント(Γ測定値)情報の伝送を制御するためのPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356と通信しかつ(制御バス504を介して)これらを制御する。
【0070】
デジタル・プロセス及び制御システム510は電気ケーブル216を介してX走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204に制御可能式に接続し、X走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204を、ワークピース152をGCIB軸129の経路の内外へ配置するように制御しかつワークピースホルダ150を図9に示すような、それが粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352上に取り付けられるコンポーネントの機能に衝突もせず妨害もしない場所まで外すことができる。分析器取付け及びアライメント・プレート324、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352及びワークピースホルダ150が図9に示すように位置決めされると、〔E/q〕average及びΓはデジタル・プロセス及び制御システム510により先に述べた方法に従って測定される。デジタル・プロセス及び制御システム510が粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352のGCIB軸129からの後退を命令すると、図4に示す構成が得られ、先に述べた方法に従ってビーム電流値Iが測定される。図4及び5に示す構成を使用して、デジタル・プロセス及び制御システム510はビーム・ゲーティング・コントローラ398にビームをゲートオフするように命令し、先に述べた方法の時間により平均速度〈v〉を測定する。デジタル・プロセス及び制御システム510は、式2により〈q〉を計算し、式3により〈E〉を計算しかつ式5により〈m〉を計算する。
【0071】
図10は、ワークピースの処理を可能にするためにビーム測定装置がビームから外されている、本発明の第1の好適な実施形態による改良されたGCIB測定及びプロセス装置550を示す略図である。図が示すように、分析器取付け及びアライメント・プレート324及び粒子検出器取付け及びアライメント・プレートは共に、デジタル・プロセス及び制御システム510のコマンドによりGCIB128の経路から後退されている。半導体ウェーハである可能性のあるワークピース152は、ワークピースホルダ150により保持される。ワークピースホルダは、ワークピース152をGCIB128の経路の内外へ配置しかつGCIB128によるワークピース152の一様な処理を達成すべくワークピース152をGCIB128に対して一様に走査するように、デジタル・プロセス及び制御システム510の制御下でX走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204によって操縦される。
【0072】
コントローラ510は、ビーム電流センサ376によって収集されるサンプリングされたビーム電流をリード線368及び電流測定システム370を経由して受信し、これによりGCIB128を監視しかつ予め決められた所望の線量が送られていればGCIB128からワークピース152を外すことによりワークピース152が受け入れるGCIB線量を制御する。GCIBによるワークピース処理の開始に先立って、〈E〉、IT、〈m〉及び〈q〉の何れか、または全てについて所望される目標値または限界値が選定され、デジタル・プロセス及び制御システム510内に格納される。目標値または限界値が格納されるGCIBパラメータについて、デジタル・プロセス及び制御システム510は、GCIB128に対し先に述べたようなGCIBパラメータを測定する。格納されている限界または目標に適合しないとして測定されるGCIBパラメータは何れも、デジタル・プロセス及び制御システム510の制御下で調整される。
【0073】
〈E〉は、例えばVAccを調整することによって調整される。ITは、例えば電子制御が可能なガスメータの栓512を調整することにより、かつ/またはVAを調整することにより、かつ/またはVFを調整することにより調整される。〈m〉は、例えば電子制御が可能なガスメータの栓512を調整することにより調整される。〈q〉は、例えばVA及び/またはVFを調整することにより調整される。所望される目標値または限界値が格納されているGCIBパラメータが自動調整により全て取得されていれば、デジタル・プロセス及び制御システム510はワークピース152の処理に進む。デジタル・プロセス及び制御システム510は、各ワークピースの処理に先行して、所望される目標値または限界値が格納されているGCIBパラメータを監視しかつ必要であればこれを調整する。デジタル・プロセス及び制御システム510は、システム調整により格納されたビームの目標値または限界値を達成することができなければ処理を中断してオペレータに(図示されていないディスプレイ手段を介して)信号を送り、こうして1つまたは複数のワークピースの誤った処理を回避する。
【0074】
図11は、本発明の第2の好適な実施形態による改良型GCIB測定及びプロセス装置600を示す略図である。GCIB測定及びプロセス装置600は先行技術による機械的走査式GCIBプロセス装置200に類似するものであるが、本発明の第2の実施形態を実装するためのGCIB測定、監視及び制御改良点を有する。先行技術のプロセス・システムのガスメータの栓113は、電子制御が可能なガスメータの栓512に代わっている。先行技術システムのビーム電流センサ218とその電気リード線214は、開口372、(m/q)センサ432及び電気リード線448に代わっている。先行技術システムのコントローラ220は、先に述べたコントローラ220の全ての機能性を含む、但しこれらに限定されない改良されたケイパビリティ及び機能を有するデジタル・プロセス及び制御システム510に代わっている。
【0075】
デジタル・プロセス及び制御システム510は、例えばGCIBプロセス・システムの一般制御のための小型汎用コンピュータであることが可能である。デジタル・プロセス及び制御システム510は、他のデバイス及び/またはサブシステムと通信しかつこれらを制御するための制御バス504を有する。陽極電源134、フィラメント電源136及び加速器電源140は各々遠隔制御ケイパビリティを装備し、デジタル・プロセス及び制御システム510による制御バス504を介する制御のためにデジタル・プロセス及び制御システム510へ制御可能式に接続される。電子制御が可能なガスメータの栓512もまた、デジタル・プロセス及び制御システム510による制御バス504を介する制御のためにデジタル・プロセス及び制御システム510へ制御可能式に接続される。改良型GCIB測定及びプロセス装置500はさらに、先に述べたGCIB測定装置300のエレメントを全て組み込んでいるが、先に述べたGCIB交換サブシステムの静電偏向板394、電気リード線396及びビーム・ゲーティング・コントローラ398は使用されない。
【0076】
同じく、先に述べた別個の二次電子サプレッサ374、ビーム電流センサ376、電気リード線368及び電流測定システム370も使用されない。(m/q)センサ432は、二次電子サプレッサ436を有する有孔ファラデー・カップ434と、圧力センサ442とを備える。電気リード線448は、電流を測定するために、有孔ファラデー・カップを従来型の電流測定システム446へ接続する。電気ケーブル438は、圧力及び温度信号及びセンサ電力を伝送するために、圧力センサ442を(m/q)測定システム440へ接続する。電気リード線444は、電流測定システム446から(m/q)測定システム440へ電流測定信号を伝送する。電流測定システム446及び(m/q)測定システム440は共に遠隔制御が可能であり、データ信号をデジタル・プロセス及び制御システム510へ供給することができる。
【0077】
デジタル・プロセス及び制御システム510は、少なくとも下記のデバイス、即ちVS1をオンまたはオフ切換するためのサプレッサ電源384と、分析器取付け及びアライメント・プレート324及び粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352のGCIB軸129に対する位置決めを命令するための機械的アクチュエータ328及び360と、VAを制御するための陽極電源134と、VFを制御するためのフィラメント電源136と、VAccを制御するための加速器電源140と、ノズル110を介するソース・ガス112の流れ及び/または滞留チャンバ116におけるソース・ガスの圧力を制御するための電子制御が可能なガスメータの栓512と、VAnを制御するための分析器電源386と、任意選択として、包含されていればVL3を制御するためのレンズ電源388と、VDyを制御するためのダイノード電源390と、VS2をオンまたはオフ切換するためのサプレッサ電源392と、圧力センサの電力を制御するためと(m/q)の測定及び送信を命令するための(m/q)測定システム440と、PMT350への供給電圧を制御するためと、PMT350によるパルスの検出を有効化または無効化するためと、電気リード線506を介するPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356から510へのパルス・カウント(Γ測定値)情報の伝送を制御するためのPMTコントローラ/パルス・カウンタ/サンプリング・システム356と通信しかつ(制御バス504を介して)これらを制御する。電流測定システム446は、合計ビーム電流ITの測定信号を電気リード線444を介して(m/q)測定システム440へ供給し、また電気リード線604を介してデジタル・プロセス及び制御システム510へも供給する。(m/q)測定システム440は、(m/q)測定信号を電気リード線602を介してデジタル・プロセス及び制御システム510へ供給する。デジタル・プロセス及び制御システム510は電気ケーブル216を介してX走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204に制御可能式に接続し、X走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204を、ワークピース152をGCIB軸129の経路の内外へ配置するように制御しかつワークピースホルダ150を図が示すような、GCIB128の合計ビーム電流ITの測定を容易にする、または他のGCIBパラメータの測定を容易にする場所まで外すことができる。
【0078】
デジタル・プロセス及び制御システム510が分析器取付け及びアライメント・プレート324、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352及びワークピースホルダ150に図9に類似する位置へ位置決めするように命令すると、〔E/q〕average及びΓがデジタル・プロセス及び制御システム510により先に述べた方法に従って測定される。デジタル・プロセス及び制御システム510が分析器取付け及びアライメント・プレート324、粒子検出器取付け及びアライメント・プレート352及びワークピースホルダ150に図11に示すように位置決めすべく命令すると、先に述べた方法に従ってIT及び(m/q)が測定される。デジタル・プロセス及び制御システム510は、式2により〈q〉を計算し、式3により〈E〉を計算しかつ式4により〈m〉を計算する。
【0079】
図11が示すように、分析器取付け及びアライメント・プレート324及び粒子検出器取付け及びアライメント・プレートは共に、GCIB照射によってワークピースを処理するために、デジタル・プロセス及び制御システム510のコマンドによりGCIB128の経路から後退されている。半導体ウェーハである可能性のあるワークピース152は、ワークピースホルダ150により保持される。ワークピースホルダは、ワークピース152をGCIB128の経路の内外へ配置しかつGCIB128によるワークピース152の一様な処理を達成すべくワークピース152をGCIB128に対して一様に走査するように、デジタル・プロセス及び制御システム510の制御下でX走査アクチュエータ202及びY走査アクチュエータ204によって操縦される。
【0080】
コントローラ510は、有孔ファラデー・カップ434によって収集されるサンプリングされたビーム電流をリード線448及び電流測定システム446及び電気リード線604を経由して受信し、これによりGCIB128の合計ビーム電流ITを監視しかつ予め決められた所望の線量が送られていればGCIB128からワークピース152を外すことによりワークピース152が受け入れるGCIB線量を制御する。
【0081】
GCIBによるワークピース処理の開始に先立って、〈E〉、IT、〈m〉及び〈q〉の何れか、または全てについて所望される目標値または限界値が選定され、デジタル・プロセス及び制御システム510内に格納される。目標値または限界値が格納されているGCIBパラメータについて、デジタル・プロセス及び制御システム510は、GCIB128に対し先に述べたようなGCIBパラメータを測定する。格納されている限界または目標に適合しないとして測定されるGCIBパラメータは何れも、デジタル・プロセス及び制御システム510の制御下で調整される。〈E〉は、例えばVAccを調整することによって調整される。ITは、例えば電子制御が可能なガスメータの栓512を調整することにより、かつ/またはVAを調整することにより、かつ/またはVFを調整することにより調整される。
〈m〉は、例えば電子制御が可能なガスメータの栓512を調整することにより調整される。〈q〉は、例えばVA及び/またはVFを調整することによって調整される。所望される目標値または限界値が格納されているGCIBパラメータが自動調整により全て取得されていれば、デジタル・プロセス及び制御システム510はワークピース152の処理に進む。デジタル・プロセス及び制御システム510は、各ワークピースの処理に先行して、所望される目標値または限界値が格納されているGCIBパラメータを監視しかつ必要であればこれを調整する。デジタル・プロセス及び制御システム510は、システム調整により格納されたビームの目標値または限界値を達成することができなければ処理を中断してオペレータに(図示されていないディスプレイ手段を介して)信号を送り、こうして1つまたは複数のワークピースの誤った処理を回避する。
【0082】
以上、ガスクラスタ・イオン・ビームの測定に関連して本発明を説明したが、発明者は、本発明が標準温度及び標準気圧の条件下で気体である原料物質を含まないクラスタ・イオン・ビームのパラメータの測定にも適用可能であり、従って、ガスクラスタ・イオン・ビーム及び例えば金属クラスタ・イオン・ビーム等の非ガスクラスタ・イオン・ビームを含むクラスタ・イオン・ビームのより一般的な測定事例において有用であるものと認識している。発明者はさらに、本発明がかなり重い分子を含む分子イオン・ビームのパラメータの測定に有用であるものと認識している。様々な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は本発明の精神の範囲内にある広範なさらなる、及び他の実施形態においても可能であることは認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】静電走査ビームを使用する先行技術によるGCIBプロセス装置の基本エレメントを示す略図である。
【図2】ワークピースの機械的走査を有する固定ビームを使用するGCIBプロセス装置の基本エレメントを示す略図である。
【図3A】分析器の電圧がゼロである事例を描いた、本発明によるビーム測定を行うための装置の第1の実施形態を示す略図である。
【図3B】分析器の電圧が非ゼロである事例を描いた、本発明によるビーム測定を行うための装置の第1の実施形態を示す略図である。
【図4】ビーム・サンプルの電流Iを測定すべく構成された本発明によるビーム測定を行うための装置の第1の実施形態を示す略図である。
【図5】ビーム・サンプルに関する飛行時間形測定のためのビーム・ゲーティングを示す、本発明によるビーム測定を行うための装置の第1の実施形態を示す略図である。
【図6】ビーム全体の電流を測定できるようにビーム経路から外して改良された、ビーム測定を行うための本発明による装置の第1の実施形態を示す略図である。
【図7】ビーム測定を行うための本発明による装置の第2の実施形態の略図である。
【図8】ビームから外して改良されかつ処理のためにワークピースがビームへと挿入された、ビーム測定を行うための本発明による装置の第1の実施形態を示す略図である。
【図9】本発明の第1の実施形態によるGCIBプロセス装置を示す略図である。
【図10】ワークピースを処理できるようにビーム測定装置がビームから外されている、本発明の第1の実施形態によるGCIBプロセス装置を示す略図である。
【図11】ワークピースを処理できるようにビーム測定装置がビームから外されている、本発明の第2の実施形態による改良されたGCIBプロセス装置を示す略図である。
【符号の説明】
【0084】
100 GCIBプロセッサ(飛行時間測定手段)
102 真空容器
104 チャンバ
106 チャンバ
108 チャンバ
150 ワークピースホルダ(ワークピース保持手段)
302 イオン・ビーム減衰器
376 電流センサ(電流測定手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧チャンバ内にビーム経路を有するクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均電荷状態〈q〉を決定する方法であって、
上記減圧チャンバ内に、クラスタ・イオン・ビーム減衰器と、粒子流量測定手段と、クラスタ・イオン・ビーム電流測定手段とを供給するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビームの経路内に配置して上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルのクラスタ・イオン・ビーム電流Iとを順に測定するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均電荷状態〈q〉の測度を次式、即ち、

を使用して計算するステップとを含み、
α及びβは校正定数であり、eは電子電荷の大きさである方法。
【請求項2】
上記粒子流量測定は上記クラスタ・イオン・ビーム電流測定に先行して実行される請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記粒子流量測定は上記クラスタ・イオン・ビーム電流測定の後に実行される請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記校正定数α及びβを予め決定するステップをさらに含み、αは上記ビーム電流測定手段の検出効率であり、βは上記粒子流量測定手段の検出効率である請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビーム経路から外すステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの上記決定された平均電荷状態
〈q〉を使用してクラスタ・イオン・ビーム・パラメータの調整を制御するステップをさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記クラスタ・イオン・ビームはガスクラスタ・イオン・ビームである請求項5記載の方法。
【請求項8】
減圧チャンバ内にビーム経路を有するクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均質量〈m〉を決定する方法であって、
上記減圧チャンバ内に、電荷当たりの平均エネルギー測定手段と、平均速度測定手段と、粒子流量測定手段と、クラスタ・イオン・ビーム電流測定手段とを供給するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビームの経路内に配置して上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルのクラスタ・イオン・ビーム電流Iと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの平均速度〈v〉とを順に、但し任意の順序で測定するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均質量〈m〉の測度を次式、即ち、

を使用して計算するステップとを含み、
α及びβは校正定数であり、eは電子電荷の大きさである方法。
【請求項9】
上記校正定数α及びβを予め決定するステップをさらに含み、αは上記ビーム電流測定手段の検出効率であり、βは上記粒子流量測定手段の検出効率である請求項8記載の方法。
【請求項10】
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビーム経路から外すステップをさらに含む請求項8記載の方法。
【請求項11】
上記クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの上記決定された平均質量
〈m〉を使用してクラスタ・イオン・ビーム・パラメータの調整を制御するステップをさらに含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
上記クラスタ・イオン・ビームはガスクラスタ・イオン・ビームである請求項10記載の方法。
【請求項13】
減圧チャンバ内にビーム経路を有するクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均エネルギー〈E〉を決定する方法であって、
上記減圧チャンバ内に、電荷当たりの平均エネルギー測定手段と、粒子流量測定手段と、クラスタ・イオン・ビーム電流測定手段とを供給するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビームの経路内に配置して上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルのクラスタ・イオン・ビーム電流Iと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageとを順に、但し任意の順序で測定するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均エネルギー〈E〉の測度を次式、即ち、

を使用して計算するステップとを含み、
α及びβは校正定数であり、eは電子電荷の大きさである方法。
【請求項14】
上記校正定数α及びβを予め決定するステップをさらに含み、αは上記ビーム電流測定手段の検出効率であり、βは上記粒子流量測定手段の検出効率である請求項13記載の方法。
【請求項15】
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビーム経路から外すステップをさらに含む請求項13記載の方法。
【請求項16】
上記クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの上記決定された平均エネルギー〈E〉を使用してクラスタ・イオン・ビーム・パラメータの調整を制御するステップをさらに含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
上記クラスタ・イオン・ビームはガスクラスタ・イオン・ビームである請求項15記載の方法。
【請求項18】
減圧チャンバ内にビーム経路を有するクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均質量〈m〉を決定する方法であって、
上記減圧チャンバ内に、電荷当たりの平均エネルギー測定手段と、電荷当たりの平均質量測定手段と、粒子流量測定手段と、クラスタ・イオン・ビーム電流測定手段とを供給するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビームの経路内に配置して上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルのクラスタ・イオン・ビーム電流Iと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageと、上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均質量〔m/q〕averageとを順に、但し任意の順序で測定するステップと、
上記クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均質量〈m〉の測度を次式、即ち、

を使用して計算するステップとを含み、
α及びβは校正定数であり、eは電子電荷の大きさである方法。
【請求項19】
上記校正定数α及びβを予め決定するステップをさらに含み、αは上記ビーム電流測定手段の検出効率であり、βは上記粒子流量測定手段の検出効率である請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記クラスタ・イオン・ビーム減衰器を上記クラスタ・イオン・ビーム経路内から外すステップをさらに含む請求項18記載の方法。
【請求項21】
クラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの上記決定された平均質量〈m〉を使用してクラスタ・イオン・ビーム・パラメータの調整を制御するステップをさらに含む請求項20記載の方法。
【請求項22】
上記クラスタ・イオン・ビームはガスクラスタ・イオン・ビームである請求項20記載の方法。
【請求項23】
ガスクラスタ・イオン・ビームを使用してワークピースの表面を処理する装置であって、
真空容器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを生成するためのガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースと、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームをビーム経路に沿って加速するための加速器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを処理すべく上記ワークピースを保持するためのワークピース保持手段と、
上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ビーム経路沿いの1つのロケーションで上記加速されたガスクラスタ・イオン・ビームを介して選択的に走査するためと、上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から選択的に外すための第1の制御可能な移動手段と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内の減衰器を選択的に位置決めするため、または減衰されないガスクラスタ・イオン・ビームによるワークピースの処理を可能にすべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするための第2の制御可能な移動手段を有するクラスタ・イオン・ビーム減衰器と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの電流Iを測定するためのクラスタ・イオン・ビーム電流測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γを測定するための粒子流量測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの平均速度〈v〉を測定するための飛行時間形測定手段と、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageを測定するためのスペクトロメータ手段と、
〔E/q〕average、I、Γ及び〈v〉の測定値を処理して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均質量〈m〉の測度を計算するための計算手段と、
平均質量〈m〉の測定を行うべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内へ位置決めし、かつまた上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするためと、ワークピースを処理すべく上記ワークピースを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路を介して走査するために、上記第1及び第2の制御可能な移動手段に信号を供給するための制御手段とを備える装置。
【請求項24】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均質量〈m〉の測度を使用して上記ワークピースの処理を改良すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビームの製造を制御する請求項23記載の装置。
【請求項25】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均質量〈m〉の測度を使用して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均質量〈m〉を所望される値に調整する請求項23記載の装置。
【請求項26】
ガスクラスタ・イオン・ビームを使用してワークピースの表面を処理する装置であって、
真空容器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを生成するためのガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースと、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームをビーム経路に沿って加速するための加速器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを処理すべく上記ワークピースを保持するためのワークピース保持手段と、
上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ビーム経路沿いの1つのロケーションで上記加速されたガスクラスタ・イオン・ビームを介して選択的に走査するためと、上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から選択的に外すための第1の制御可能な移動手段と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内の減衰器を選択的に位置決めするため、または減衰されないガスクラスタ・イオン・ビームによるワークピースの処理を可能にすべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするための第2の制御可能な移動手段を有するクラスタ・イオン・ビーム減衰器と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの電流Iを測定するためのクラスタ・イオン・ビーム電流測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γを測定するための粒子流量測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの平均速度〈v〉を測定するための飛行時間形測定手段と、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageを測定するためのスペクトロメータ手段と、
〔E/q〕average、I、Γ及び〈v〉の測定値を処理して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均エネルギー〈E〉の測度を計算するための計算手段と、
平均エネルギー〈E〉の測定を行うべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内へ位置決めし、かつまた上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするためと、ワークピースを処理すべく上記ワークピースを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路を介して走査するために、上記第1及び第2の制御可能な移動手段に信号を供給するための制御手段とを備える装置。
【請求項27】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均エネルギー〈E〉の測度を使用して上記ワークピースの処理を改良すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビームの製造を制御する請求項26記載の装置。
【請求項28】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均エネルギー〈E〉の測度を使用して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均エネルギー〈E〉を所望される値に調整する請求項26記載の装置。
【請求項29】
ガスクラスタ・イオン・ビームを使用してワークピースの表面を処理する装置であって、
真空容器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを生成するためのガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースと、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームをビーム経路に沿って加速するための加速器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを処理すべく上記ワークピースを保持するためのワークピース保持手段と、
上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ビーム経路沿いの1つのロケーションで上記加速されたガスクラスタ・イオン・ビームを介して選択的に走査するためと、上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から選択的に外すための第1の制御可能な移動手段と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内の減衰器を選択的に位置決めするため、または減衰されないガスクラスタ・イオン・ビームによるワークピースの処理を可能にすべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするための第2の制御可能な移動手段を有するクラスタ・イオン・ビーム減衰器と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの電流Iを測定するためのクラスタ・イオン・ビーム電流測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γを測定するための粒子流量測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均質量〔m/q〕averageを測定するための電荷当たりの平均質量測定手段と、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageを測定するためのスペクトロメータ手段と、
〔E/q〕average、I、Γ及び〔m/q〕averageの測定値を処理して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均質量〈m〉の測度を計算するための計算手段と、
平均質量〈m〉の測定を行うべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内へ位置決めし、かつまた上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするためと、ワークピースを処理すべく上記ワークピースを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路を介して走査するために、上記第1及び第2の制御可能な移動手段に信号を供給するための制御手段とを備える装置。
【請求項30】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均質量〈m〉の測度を使用して上記ワークピースの処理を改良すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビームの製造を制御する請求項29記載の装置。
【請求項31】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均質量〈m〉の測度を使用して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均質量〈m〉を所望される値に調整する請求項29記載の装置。
【請求項32】
ガスクラスタ・イオン・ビームを使用してワークピースの表面を処理する装置であって、
真空容器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを生成するためのガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースと、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームをビーム経路に沿って加速するための加速器と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームを処理すべく上記ワークピースを保持するためのワークピース保持手段と、
上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ビーム経路沿いの1つのロケーションで上記加速されたガスクラスタ・イオン・ビームを介して選択的に走査するためと、上記ワークピース保持手段と上記ワークピースとを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から選択的に外すための第1の制御可能な移動手段と、
上記真空容器内の、ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルを形成すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内の減衰器を選択的に位置決めするため、または減衰されないガスクラスタ・イオン・ビームによるワークピースの処理を可能にすべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするための第2の制御可能な移動手段を有するクラスタ・イオン・ビーム減衰器と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの電流Iを測定するためのクラスタ・イオン・ビーム電流測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルの粒子流量Γを測定するための粒子流量測定手段と、
上記ガスクラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均質量〔m/q〕averageを測定するための電荷当たりの平均質量測定手段と、
上記クラスタ・イオン・ビームの減衰されたサンプルにおけるクラスタ・イオンの電荷当たりの平均エネルギー〔E/q〕averageを測定するためのスペクトロメータ手段と、
〔E/q〕average、I、Γ及び〔m/q〕averageの測定値を処理して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタ・イオンの平均エネルギー〈E〉の測度を計算するための計算手段と、
平均エネルギー〈E〉の測定を行うべく上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路内へ位置決めし、かつまた上記減衰器を上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路から離して位置決めするためと、ワークピースを処理すべく上記ワークピースを上記ガスクラスタ・イオン・ビーム経路を介して走査するために、上記第1及び第2の制御可能な移動手段に信号を供給するための制御手段とを備える装置。
【請求項33】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均エネルギー〈E〉の測度を使用して上記ワークピースの処理を改良すべく上記ガスクラスタ・イオン・ビームの製造を制御する請求項32記載の装置。
【請求項34】
上記ガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースは制御可能なガスクラスタ・イオン・ビーム・ソースであり、上記制御手段は上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均エネルギー〈E〉の測度を使用して上記ガスクラスタ・イオン・ビームにおけるクラスタの平均エネルギー〈E〉を所望される値に調整する請求項32記載の装置。



【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−519982(P2006−519982A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503056(P2006−503056)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/002196
【国際公開番号】WO2004/068148
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505099750)エピオン コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】