説明

ガスケットリリース剤

様々なガスケットリリース剤及びこれらを提供し用いる方法が、接合アセンブリの合わせ面に接触する1つ又は複数の表面にリリース剤コーティングを有するガスケット本体と共に提供される。コーティングは、六方晶窒化ホウ素を含む成分の混合物として提供され得る。他の成分は、リリース剤、及びガスケット本体表面へのリリース剤の接着性を向上させる結合材料を含み得る。結合材料には、例えば、有機又は無機材料が含まれ得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤が、バインダー材料及びフィラーに加えて、ガスケットリリース剤分散体に添加され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連特許出願の相互参照]
[0001]本発明は、Tim Pistner、Howard Lockhart、及びAmeet Kulkarniによる、「GASKET RELEASE AGENT」という名称の米国特許仮出願第60/983846号(2007年10月30日出願)による優先権を主張し、この特許仮出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[背景技術]
[0002]ガスケットはよく知られており、様々な流体の利用において、ジョイント、バルブ、及び他の開口部をシールするのに使用される。ガスケットはまた、例えば、振動絶縁、及び/又は音響絶縁を必要とする用途のような、様々な他の用途においても使用され得る。しばしば、このような用途は、中間にガスケットを有し一緒に合わせて、2つの表面の間のシールを完成させる、合わせ面と呼ばれる2つの表面に関連する。
【0003】
[0003]通常、上記表面は、例えば、ジョイント若しくはバルブのメンテナンス又は修理のために、引き離されなければならない。このような場合において、表面の間のガスケット材料は取り外され、合わせ面から汚れが除かれ、新しいガスケットが装着され、再び表面を合わせることが、しばしば必要とされる。その適用箇所からのガスケットの取り外しに際して、残留物が後に残される可能性がある。しばしば、このような残留物は、その接合アセンブリに新しいガスケットを装着する前に取り除かれ、強固なシールが確保されるようにする必要がある。さらに、いくつかの場合において、ガスケットがその間に存在する表面を引き離すために過度の労力が求められる。これは、かなりの数の要因、例えば、合わせ面へのガスケット材料の接合に起因し得るが、このことは、2つの表面を引き離すのに、かなりの大きさの力が要求されるという結果を生じ得る。
【0004】
[0004]ガスケットリリース剤を提供するこれまでの試みは、グラファイトを用いてきた。しかし、このような用途では、いくらかのグラファイトが、通常、シール面に移り、このことがその使用に限界を設けていた。リリース剤としてグラファイトを使用することによる別の問題は、グラファイトの摩擦係数が温度の上昇と共に指数関数的に増加することであった。さらに、グラファイトの処理及び取扱いは、通常、厄介である。グラファイトの黒い色は、このような用途を見苦しくし、それが使用され得る用途に限界を設け、リリース剤又はリリース剤が存在する基材のカラーブランディング(color−branding)を妨げた。
【0005】
[概要]
[0005]この「概要」は、下で「詳細な説明」においてさらに説明されるいくつかの考え方の簡略化された抜粋を導入するために提供される。この「概要」及び「背景技術」は、鍵となる態様、又は特許請求される主題の本質的な態様を特定しようとするものではない。さらに、この「概要」は、特許請求される主題の範囲を定める助けとして用いられようとするものではない。
【0006】
[0006]コーティングされたガスケット及びこれらを提供し使用する方法の様々な実施形態が提供される。いくつかの実施形態において、ガスケット本体には、接合アセンブリの合わせ面に接触する、ガスケット本体の両表面上のリリース剤のコーティングが提供される。別の実施形態は、1つの表面に、又は1つ若しくは複数の表面の一部にコーティングを有するガスケット本体を含み得る。いくつかの態様において、ガスケット本体は、例えば、ガスケット紙、エラストマー、ステンレス鋼、コルク、フェルト、グラファイト、ガラス繊維、及び/又はポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンなど)のような、有機及び無機の非金属及び金属ガスケット本体材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、ガスケット本体は強化材料もまた含む。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態において、コーティングは、ガスケットが接合アセンブリに装着された後の、ガスケットの取り外しを容易にするリリース剤である。特定の実施形態において、コーティングは、主として六方晶窒化ホウ素(BN)を含む成分の混合物として提供される。コーティングは、ペインティング(painting)、スプレッディング(spreading)、ロールコーティング、スプレー、及び/又はディッピングを含めて、かなりの数の方法のいずれかによってガスケット本体に塗布され得る。コーティングはまた、1回の塗布ステップで、又は2回以上のステップで、ガスケット本体に塗布され得る。いくつかの実施形態において、リリース剤コーティングは、リリース剤、及び(1つ又は複数の)ガスケット本体表面へのリリース剤の接着性を向上させる結合材料を含めて、かなりの数の成分を含む。結合材料には、例えば、有機又は無機の材料が含まれ得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤が、バインダー材料及びフィラーに加えて、ガスケットリリース剤分散体に添加され得る。界面活性剤は、コーティング材料の、ガスケット本体の表面材料との濡れを向上させる。結合剤及び界面活性剤は、基材に応じて決まる。それゆえに、いくつかの実施形態では、どちらも必要とされないであろう。
【0008】
[0008]様々な実施形態のフランジアセンブリが、模擬使用条件下で様々なガスケットを試験し、ガスケットの性能を実証するために、提供され得る。一例において、コーティングされたガスケットは、100%の六方晶窒化ホウ素のコーティングを有し得る。ガスケット及びコーティングは、ガスケットが、ある時間、模擬使用条件に曝された後、フランジ表面から外れるかどうかを確認するために、指定されたボルト荷重(bolt load)で、また指定された温度で試験され得る。特に、コーティングされたガスケットは、フランジアセンブリの2つのフランジの間に装着され得る。次いで、フランジは、ワッシャー、ボルト、及びナット(これらは、所望のボルト荷重にしっかりと締められる)により互いに固定され得る。次に、アセンブリは模擬使用条件下に置かれ得る。その後、フランジアセンブリは模擬使用条件から取り出され、2つのフランジは引き離され、その間に、フランジを引き離すのに必要とされる力が求められる。
【0009】
[0009]本発明のシステム及び方法のこれら並びに他の態様は、本明細書における「詳細な説明」及び「図」を考察した後で明らかになるであろう。しかし、本発明の範囲は、述べられた主題が「背景技術」に記された問題のいずれか又は全てに向けられている、或いは、本「概要」に挙げられた特徴又は態様のいずれかを含むかどうかによって決められるのでなく、発行される特許請求の範囲によって決められることが理解されるべきである。
【0010】
[図面]
[0010]好ましい実施形態を含めて、本発明の非限定的及び非網羅的実施形態が、以下の図を参照して説明され、ここで、特に断わらなければ、様々な図の全体を通して、類似の参照番号は類似の部分を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0011] 本発明の技術による、コーティングされたガスケットの一実施形態の部分断面図である。
【図2】[0012] 本発明の技術による、コーティングされたガスケットの一実施形態の平面図(plan view)である(図において、ガスケット本体の半分は、ガスケット本体表面のコーティングをより良く示すために取り除かれている)。
【図3】[0013] 図2に示されるコーティングされたガスケットの斜視図である。
【図4】[0014] ガスケットを試験して、ガスケットの性能を実証するために使用され得るフランジアセンブリの一実施形態の分解正面図である。
【図5】[0015] 組み立てられた姿の、図4に示されるフランジアセンブリの斜視図である。
【図6】[0016] 図5に示されるフランジアセンブリの側面図である。
【図7】[0017] 図5に示されるフランジアセンブリの上面平面図である。
【0012】
[詳細な説明]
[0018]実施形態が、添付図(これらは、本明細書の一部をなし、例示として、具体的で代表的な実施形態を示す)を参照して、下でより完全に説明される。これらの実施形態は、当業者が本発明の技術を実施することを可能にするのに十分な詳細さで開示される。しかし、実施形態は、多くの異なる形で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきでない。したがって、以下の詳細な説明は、限定の意味に取られるべきではない。
【0013】
[0019]上記のように、多くの用途は、ガスケットの装着及び交換を必要とする。さらに、交換は、しばしば、合わせ面を引き離すために、かなりの力が加えられることを必要とし、また、しばしば、かなりの量の残留物が1つ又は複数の表面に残される結果となり、汚れを除くのにかなりの労力が必要とされ、場合によっては、1つ又は複数の接合アセンブリ部品の交換が必要になる。本開示は、メンテナンス及び修理のために、合わせ面をなす部品を引き離すのに必要とされる力の大きさを減少させることは、多くの理由(特に、より効率的なメンテナンス又は修理、及び安全性への配慮が含まれる)で望ましいことを、正当なものと認める。さらに、本開示は、ハウジング部品を引き離した後、合わせ面に残っているガスケット残留物を減少させることは、メンテナンス又は修理に必要とされる時間を減らし、さらには、可能性として、合わせ面からガスケット残留物を適切に除去できない場合に必要とされる交換部品の数を減らすために望ましいことを、正当なものと認める。多くの現行の方法は、リリース剤、例えばグラファイト粉末を用い、これは、いくつかの用途では適切である。しかし、このようなリリース剤は、その粉末が黒色であり、しばしば、近くの物品を汚し、このことは望ましくないことが多いので、一般に、厄介である。さらに、このようなリリース剤は、比較的高温で分解し得るので、結果的に、接合アセンブリ部品を引き離した後、さらなる残留物が合わせ面に残されることになる。本開示の様々な実施形態は、接合アセンブリが高温に曝され、さらには、汚れのより少ないガスケットが装着される場合に、合わせ面からガスケットが外れることを可能にする方法、システム、及び用具を提供する。
【0014】
[0020]図1〜3を参照すると、実施形態のコーティングされたガスケット20が記載されている。図1は、この実施形態のコーティングされたガスケット20の部分断面を示す。この実施形態では、ガスケット本体24は、接合アセンブリの合わせ面に接触する、ガスケット本体24の両表面に、リリース剤のコーティング28を有する。図2は、コーティングされたガスケット20の平面図を示し、図において、ガスケット本体20の半分は、ガスケット本体24表面のコーティング28をより良く示すために取り除かれている。図3は、図2のコーティングされたガスケット20の斜視図を示す。他の実施形態は、コーティング28を、1つの表面にだけ、又は1つ若しくは複数の表面の一部に有するガスケット本体24を含み得る。
【0015】
[0021]ガスケット本体24は、例えば、ガスケット紙、エラストマー、ステンレス鋼、コルク、フェルト、グラファイト、ガラス繊維、及び/又はポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンなど)のような、有機及び無機の非金属及び金属ガスケット本体材料から形成され得る。当業者によって容易に理解されるように、特定のガスケット材料は、主に、ガスケットが使用される特定の用途に応じて決まり、必要とされる圧縮、使用温度、及びガスケットが曝される媒体のような、かなりの数の要因に基づいて選択される。ガスケット本体24は、やはり当業者によってよく知られており、容易に理解されるように、強化材料もまた含み得る。
【0016】
[0022]コーティング28は、一実施形態において、接合アセンブリ(示されていない)に装着された後、ガスケット20の取り外しを容易にするリリース剤である。コーティング28は、一実施形態において、主に、六方晶窒化ホウ素(BN)を含む成分の混合物である。BNは、コーティングされたガスケット20が、アセンブリの合わせ面を有する接合アセンブリに装着され、比較的少ない残留物を後に残して比較的少ない労力で引き離されることを可能にする、リリース剤である。コーティング28は、ガスケット本体24に、ロールコーティング、スプレー、及び/又はディッピングを含めて、かなりの数の方法のいずれかによって塗布される。コーティング28は、1回の塗布ステップで、又は2回以上のステップで、ガスケット本体24に塗布され得る。
【0017】
[0023]いくつかの実施形態において、リリース剤コーティング28は、リリース剤として主に働くBN、及びガスケット本体24の(1つ又は複数の)表面へのBNの接着性を向上させる結合材料を含めて、かなりの数の成分を含む。結合材料には、例えば、有機材料が含まれ得る。結合材料にはまた無機材料(これらは高温で安定である)も含まれ得る。BNを含むガスケットリリースコーティング28の性能を向上させ得る結合材料には、これらに限らないが、天然及び合成ポリマー(有機及び無機)並びに天然及び合成鉱物が含まれる。いくつかの実施形態において使用され得る無機バインダー及びフィラーは、それらの高温での耐性により、比較的広い温度領域(例えば、雰囲気温度から900°Fまで)で有効である。ガスケット本体24自体がこの極端な条件に耐えられると仮定すれば、より高い温度に及ぶことができる。バインダー又はフィラーとして用いられる無機材料の例には、これらに限らないが、シリケート(コロイダルシリカ、カリウム、ナトリウム、及びリチウム)、酸化物(アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素、及びマグネシウム)、フィロシリケート(タルク、マイカ、及びバーミキュライト)、並びにクレー(カオリン、ベントナイト、及びハロイサイト)が含まれる。ポリマーバインダー又はフィラーのいくつかには、これらに限らないが、熱可塑性物質(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアセタート、及びアクリル)、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレン、及びペルフルオロアルコキシ樹脂)、熱硬化性物質(ウレタン、エポキシド、ラバー)、天然の多糖基質(polysaccharide media)(デンプン、ゴム、及びセルロース樹脂)、ワックス(蜜蝋、カルナウバ、パラフィン)が含まれ、コーティングをシートに結合する目的で、よく機能する。しかし、有機及び無機バインダーのいずれにおいても、ガスケットへの接合に対するコーティングとフランジへの貼り付きに対するコーティングとの間にはトレイドオフ(tradeoff)が存在し得る。他のポリマーバインダーもまた、ガスケット本体にリリース剤を結合するために使用され得る。バインダー材料及びフィラーに加えて、界面活性剤が、いくつかの実施形態において、ガスケットリリース剤分散体に添加され得る。界面活性剤は、コーティング材料の、ガスケット本体の表面材料との濡れを向上させる。一般的に用いられる界面活性剤には、これらに限らないが、アニオン(ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及び石鹸)、並びにノニオン(ポリエチレングリコールオクチフェニルエーテル、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)コポリマー、アルコール、アルキルポリ(エチレンオキシド)、及びアルキルポリグルコシド)が含まれる。結合剤及び界面活性剤は、基材に応じて決まり、場合によっては、どちらも必要ではないであろう。
【0018】
[0024]様々な実施形態において、コーティングは、リリース剤、結合剤、及び界面活性剤の混合物を含む。リリース剤は、六方晶窒化ホウ素を、すでにガスケットに塗布された乾燥コーティングの0.01体積%から100体積%の範囲の量で含む。結合剤及び/又はフィラー成分は、1種又は複数の上記結合及び/又はフィラー材料を、すでにガスケットに塗布された乾燥コーティングの0体積%から80体積%の範囲の量で含む。界面活性剤は、1種又は複数の上記界面活性剤を、すでにガスケットに塗布された乾燥コーティングの0体積%から40体積%の範囲の量で含む。上記範囲は、コーティングが存在することになる表面基材に依存する。
【0019】
[0025](実施例1)
[0026]一実施例では、ガスケット材料のシートを、従来の技術を用いて成形する。ガスケット材料のシートを、ガスケット材料をコーティング28によりコーティングするロールコーターに供給する。この実施例においてロールコーターは、六方晶窒化ホウ素、バインダー材料、フィラー材料、及び界面活性剤を含むコーティングを提供する。コーティングは、初めは25(体積)%の六方晶窒化ホウ素及び3%のアルミナバインダーを含む、六方晶窒化ホウ素分散体である。この分散体を、2.5%の六方晶窒化ホウ素及び0.3%のバインダーを含むように、蒸留水により希釈する。希釈した分散体に、分散体が1%の界面活性剤を含むまで、界面活性剤のトリトン(Triton)X−100もまた添加する。ロールコーターを用いて、上述の分散体をガスケット材料に塗布し、コーティングされたガスケット材料を、乾燥オーブンに入れて、分散体から水を蒸発させる。この実施例の乾燥したコーティングは、高温雰囲気で乾燥した状態で存在する界面活性剤のパーセンテージに応じて決まる、ある範囲の固体を含む。乾燥したコーティングの固体の範囲は、約66%から90%の六方晶窒化ホウ素、約7%から10%のアルミナ、及び約0%から26%のトリトンX−100である。次いで、コーティングされたガスケット材料のシートは、ガスケットの特定の用途によって要求される所望の任意の形状に切断される。
【0020】
[0027](実施例2)
[0028]別の実施例において、ガスケット材料のシートを、従来の技術を用いて成形する。ガスケット材料のシートを、ガスケット材料をコーティング28によりコーティングするロールコーターに供給する。この実施例においてロールコーターは、六方晶窒化ホウ素、バインダー材料、及び界面活性剤を含むコーティングを提供する。コーティングは、40(体積)%の六方晶窒化ホウ素、0%のバインダー、及び0%の界面活性剤含み、分散体の残りの部分は蒸留水である六方晶窒化ホウ素分散体である。ロールコーターを用いて、上述の分散体をガスケット材料に塗布し、コーティングされたガスケット材料を、乾燥オーブンに入れて、分散体から水を蒸発させる。この実施例の乾燥したコーティングは、100%の六方晶窒化ホウ素を含む。次いで、コーティングされたガスケット材料のシートは、ガスケットの特定の用途によって要求される所望の任意の形状に切断される。
【0021】
[0029](実施例3)
[0030]第3の実施例では、ガスケット材料のシートを、従来の技術を用いて成形する。ガスケット材料のシートを、ガスケット材料をコーティング28によりコーティングするロールコーターに供給する。この実施例においてロールコーターは、六方晶窒化ホウ素、フィラー材料、バインダー材料、及び界面活性剤を含むコーティングを提供する。コーティングは、25(体積)%の六方晶窒化ホウ素、20%の無機クレーフィラー材料、5%のシリケートバインダー、及び0%の界面活性剤を含み、残りの部分は蒸留水である六方晶窒化ホウ素分散体である。ロールコーターを用いて、上述の分散体をガスケット材料に塗布し、コーティングされたガスケット材料を、乾燥オーブンに入れて、分散体から水を蒸発させる。この実施例の乾燥したコーティングは、50%の六方晶窒化ホウ素、40%の無機クレーフィラー、及び10%のシリケートバインダー材料を含む。次いで、コーティングされたガスケット材料のシートは、ガスケットの特定の用途によって要求される所望の任意の形状に切断される。
【0022】
[0031]ここで、図4〜7を参照すると、一実施形態のフランジアセンブリ40が記載されている。フランジアセンブリ40は、この実施形態において、ガスケットの性能を実証するために、ガスケット20を模擬使用条件下で試験するのに使用できる試験アセンブリである。例えば、コーティングされたガスケット20は、100%の六方晶窒化ホウ素のコーティングを有し得る。ガスケットが、ある時間、模擬使用条件に曝された後、フランジ表面から外れるかどうかを確認するために、ガスケット及びコーティングを、指定されたボルト荷重で、また指定された温度で試験することが望まれる。この実施形態では、コーティングされたガスケット20を、フランジアセンブリ40の2つのフランジ44の間に装着する。フランジ44は、ワッシャー48、ボルト52、及びナット56により互いに固定される。ナット56及びボルト52を、所望のボルト荷重にしっかりと締め、組み立てた試験アセンブリを、模擬使用条件の下に置く。フランジアセンブリ40を、模擬使用条件から取り出し、2つのフランジ44を引き離す。フランジ44を引き離す時に、フランジ44を引き離すために必要とされる力を測定し、ガスケットに接触するフランジ44の面に残された残留物を観察する。
【0023】
[0032]特定の構造、材料、及び手順ステップに特有の言語で、本発明の技術が説明されたが、添付の特許請求の範囲に定められる本発明は、記載された特定の構造、材料及び/又はステップに必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、特定の態様及びステップは、特許請求される本発明を実施する形態として記載されている。本発明の多くの実施形態が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施され得るので、本発明は、以下に添付される特許請求の範囲に存する。特に断わらなければ、本明細書(特許請求の範囲以外)に用いられている全ての数又は表現、例えば、寸法、物理的特性などを表すものは、全ての事例において、用語「約」によって修飾されると理解されている。少なくとも、また、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとする意図としてでなく、用語「約」によって修飾されて、本明細書又は特許請求の範囲に挙げられている各数値パラメータは、挙げられている有効数字の数を考慮に入れて、また通常の端数処理を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されている全ての範囲は、それらに含まれる、任意の及び全ての部分的な範囲(subrange)又は任意の及び全ての個々の数値を挙げる請求の範囲を包含し、サポートすると理解されるべきである。例えば、1から10の提示された範囲は、最小値1と最大値10の間及び/又は両端の値を含めて、任意の及び全ての部分的な範囲又は個々の数値、すなわち、最小値1以上の値で始まり、最大値10以下の値で終わる全ての部分的な範囲(例えば、5.5から10、2.34から3.56、など)、或いは1から10の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994、など)を挙げる請求の範囲を包含し、サポートすると見なされるべきである。「上方に」、「下方に」、「より上方の」、「より下方の」、「水平の」、「垂直の」、「左」、「右」などのような表現は、適用できる場合に、相対的な関係を取り扱う時に記述を多少とも明確にするために用いられている。しかし、これらの用語は、絶対的な関係、位置、及び/又は配置を意味しているわけではない。例えば、ある物体に関して、「より上方の」表面は、単にその物体をひっくり返すことによって、「より下方の」表面になり得る。それにもかかわらず、それはやはり同じ物体である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する表面が、取り外せるように配置されるガスケットアセンブリであって、
複数の合わせ面を有するガスケット本体;及び
ガスケットの合わせ面の1つ又は複数の少なくとも一部に接着されたリリース剤の層
を備え、前記リリース剤はある量の六方晶窒化ホウ素を含む、ガスケットアセンブリ。
【請求項2】
前記リリース剤が、シリケート、酸化物、フィロシリケート、及びクレーが含まれる材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項3】
前記リリース剤が、熱可塑性物質、フルオロポリマー、熱硬化性物質、天然の多糖基質、及びワックスが含まれる材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項4】
前記リリース剤が、コロイダルシリカ、カルシウムシリケート、ナトリウムシリケート、及びリチウムシリケートが含まれるシリケート材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項2に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項5】
前記リリース剤が、タルク、マイカ、及びバーミキュライトが含まれるフィロシリケート材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項2に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項6】
前記リリース剤が、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムが含まれる酸化物材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項2に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項7】
前記リリース剤が、カオリン、ベントナイト、及びハロイサイトが含まれるクレー材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項2に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項8】
前記リリース剤が、アニオン及びノニオンコポリマー、アルコール、アルキルポリエチレンオキシド、並びにアルキルポリグルコシドが含まれる界面活性剤の群からのある量の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項9】
前記リリース剤が、乾燥体積基準で、約0.01%から100%の六方晶窒化ホウ素を含む、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項10】
前記リリース剤が、乾燥体積基準で、約0%から80%の結合剤及び/又はフィラーを含む、請求項9に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項11】
前記リリース剤が、乾燥体積基準で、約0%から40%の界面活性剤を含む、請求項10に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項12】
前記リリース剤が、約
(a)2.5体積%の六方晶窒化ホウ素;
(b)0.3体積%のバインダー材料;及び
(c)1体積%の界面活性剤
を含む、希釈水分散体として得られる、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項13】
前記リリース剤が、約
(a)66体積%から90体積%の六方晶窒化ホウ素;
(b)7体積%から10体積%のバインダー材料;及び
(c)0体積%から26体積%の界面活性剤
を含む、ガスケット材料に塗布された乾燥コーティングとして得られる、請求項12に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項14】
前記リリース剤が、約
(a)40体積%の六方晶窒化ホウ素;及び
(b)60体積%の水
を含む希釈水分散体として得られる、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項15】
前記リリース剤が、約100体積%の六方晶窒化ホウ素を含む、ガスケット材料に塗布された乾燥コーティングとして得られる、請求項14に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項16】
前記リリース剤が、約
(a)25体積%の六方晶窒化ホウ素;
(b)20体積%の無機クレーフィラー材料;及び
(c)5体積%のシリケートバインダー材料
を含む希釈水分散体として得られる、請求項1に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項17】
前記リリース剤が蒸留水をさらに含む、請求項16に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項18】
前記リリース剤が0体積%の界面活性剤を含む、請求項17に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項19】
前記リリース剤が、約
(a)50体積%の六方晶窒化ホウ素;
(b)40体積%の無機クレーフィラー材料;及び
(c)10体積%のシリケートバインダー材料
を含む、ガスケット材料に塗布された乾燥コーティングとして得られる、請求項17に記載のガスケットアセンブリ。
【請求項20】
ガスケット材料のシートを供給するステップ;
ガスケット材料のシートの表面に、ある量の六方晶窒化ホウ素を含むリリース剤の層を塗布するステップ;及び
ガスケット材料のシートから1つ又は複数のガスケットを形成するステップ
を備える、ガスケットアセンブリの製造方法。
【請求項21】
前記リリース剤が、ある量の水を含むリリース剤分散体としてガスケット材料のシートに塗布される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リリース剤分散体からある量の水を蒸発させるステップをさらに含み、リリース剤の層がガスケット材料のシートに接着する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記リリース剤が、シリケート、酸化物、フィロシリケート、及びクレーが含まれる材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記リリース剤が、熱可塑性物質、フルオロポリマー、熱硬化性物質、天然の多糖基質、及びワックスが含まれる材料の群からのある量の材料をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記リリース剤が、乾燥体積基準で、約0.01%から100%の六方晶窒化ホウ素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記リリース剤が、乾燥体積基準で、約0%から80%の結合剤及び/又はフィラーを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記リリース剤が、乾燥体積基準で、約0%から40%の界面活性剤を含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−501074(P2011−501074A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530584(P2010−530584)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002878
【国際公開番号】WO2009/056944
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(502430378)ガーロック・シーリング・テクノロジーズ・エルエルシー (9)
【Fターム(参考)】