説明

ガスケット及び管継手

【課題】第1管ピースと第2管ピースとのいずれか一方に形成された突出部に内周面が係合されるガスケットにおいて、交換作業を容易に行えるガスケットを提供する。
【解決手段】第1管ピース1と、この第1管ピース1に連通して接続される第2管ピース2との互いに対向する両接合面1A,2Aの間に介装され第2管ピース2に形成された突出部23に内周面が係合されるリング状のガスケット3を、突出部23の外周寸法より大きな内周寸法の内周部31Aとこの内周部31Aに形成された環状の嵌合溝31Bとを有する合成樹脂製のリング状本体31と、このリング状本体31の嵌合溝31Bに外周部が嵌合されるとともに突出部23に内周部が係合可能なC型スプリング32と、リング状本体31の外周部に嵌合する金属製のガイドリング33と、を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続される管ピースの間に介在され、これら管ピースの接合面における気密性を高めるガスケット、及び、これを用いた管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体及び液晶などの製造には、薄膜成形するための材料としてアンモニア、笑気ガス、三フッ化窒素、及び、フッ素等のフッ素系ガスなどのプロセスガスが用いられている。これらのプロセスガスを、薄膜成形が行われるリアクターへ供給するガス供給装置が知られている。
プロセスガスは、不純物が含まれると反応の大きさが小さくなることから、高純度が求められている。そのため、ガス供給装置では、ガスタンクからリアクターまで、配管を通してプロセスガスを輸送しているが、この配管内に異物が混入しないように注意する必要がある。また、ガスは有害性であるので、配管からのガス漏れを防がなければならない。
特に異物が混入しやすい、及び、ガス漏れが起きやすい配管の個所の1つとして、配管と配管を接続する管継手が挙げられる。
【0003】
従来の管継手の構造として、第1管ピースと、この第1管ピースに連通して接続される第2管ピースと、第1管ピース及び第2管ピース2の互いに対向する第1接合面及び第2接合面の間に介在されるリング形状のガスケットと、このガスケットを挟んで第1管ピース及び第2管ピースを締結させる袋ナット部材とを備え、ガスケットを、環状のガスケット本体と、このガスケット本体の外周面に沿って取り付けられたスプリングとを備えて構成した従来例がある(特許文献1)。
ガスケットは消耗品であり、管継手に装着したガスケットを新しいものに交換する必要が生じる。
特許文献1の従来例では、ガスケット本体は、高い耐食性を有する純度の高いニッケルで形成され、その外周面にはC字形状のスプリングを収納する収納溝が形成されている。このスプリングはガスケット本体の収納溝に収納する際に、その径寸法が大きくなるように変形させることで、ガスケット本体の外径寸法よりも径寸法を容易に大きくすることができるため、ガスケットの交換作業がしやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−115160公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で示される従来例は、主に、アメリカ規格のガスケットであり、前述の構成を合成樹脂製のリング状本体を利用する日本規格のガスケットにそのまま利用することができない。
即ち、日本規格のガスケットは、第1管ピースと、この第1管ピースに連通して接続される第2管ピースとの互いに対向する両接合面の間に介装されるものであって、第2管ピースに形成された突出部にリング状本体の内周面が係合される構成であり、リング状本体の外周部は袋ナット部材の内周面に対向するものの、第1管ピースと第2管ピースとのいずれにも対向していないので、C字形状のスプリングを装着することができない。
【0006】
そのため、前述の日本の規格のガスケットでは、リング状本体の内周寸法を突出部の外周寸法と一致あるいはやや小さく設定してリング状本体を突出部に圧入させる構成であるため、リング状本体を突出部に装着する際には、リング状本体をその平面が突出部の軸方向と直交するように姿勢を保持し、その状態で、突出部に圧入しなければならず、ガスケットの装着作業が煩雑となる。この煩雑さを回避するために、リング状本体の内周寸法を突出部の外周寸法より大きく設定すると、リング状本体の突出部への挿入作業が容易となるが、リング状本体が突出部から脱落しやすくなり、第1管ピースと第2管ピースとでガスケットを挟持する際に、リング状本体の姿勢に注意しなければならず、作業が煩雑となる。
【0007】
本発明の目的は、第1管ピースと第2管ピースとのいずれか一方に形成された突出部に内周面が係合されるガスケットにおいて、交換作業を容易に行えるガスケット及び管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガスケットは、第1管ピースと、この第1管ピースに連通して接続される第2管ピースとの互いに対向する両接合面の間に介装され前記第1管ピースと前記第2管ピースとのいずれか一方に形成された突出部に内周面が係合されるリング状のガスケットであって、前記突出部の外周寸法より大きな内周寸法の内周部とこの内周部に形成された環状の嵌合溝とを有する合成樹脂製のリング状本体と、このリング状本体の環状の嵌合溝に外周部が嵌合されるとともに前記突出部の外周部に内周部が係合可能な平面円弧状の弾性部材と、前記リング状本体の外周部に嵌合する金属製のガイドリングと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成の本発明では、交換作業に際して、第1管ピースと第2管ピースとを離して装着されている古いガスケットを外し、新しいガスケットを装着する。この装着作業にあたり、予め、平面円弧状の弾性部材、例えば、C型スプリングが内周部の嵌合溝に嵌合され外周部にガイドリングが嵌合されたリング状本体を突出部に挿入する。すると、弾性部材は、突出部の外周部に当接すると、その弾性力に抗して径方向に拡開するように弾性変形する。この状態では、突出部に弾性部材を介してガスケットが保持されることになるため、ガスケットの取付姿勢にかかわらず、第1管ピースと第2管ピースとを近接させることで、これらの間にガスケットが介装されることになる。本発明では、第1管ピースと第2管ピースとに挟持されるリング状本体は合成樹脂製であるため、弾性変形して径方向に広がる方向に変形するとしても、リング状本体の外周部に嵌合された金属製のガイドリングによって変形が阻止されることになり、第1管ピースと第2管ピースとのシール性が確保される。
【0010】
従って、本発明では、リング状本体の内周部は突出部の外周部より大きいため、突出部へのガスケットへの挿入作業は、ガスケットを突出部の軸方向に沿って移動させればよいのでガスケットの取付作業が容易である。そして、リング状本体の内周部の嵌合溝に円弧状の弾性部材が嵌合されているので、この弾性部材は、突出部の外周部に沿って弾性変形することで、突出部に確実に係合される。そのため、弾性部材を第1管ピースと第2管ピースとで挟持する際に、突出部が形成されたガスケットが係合される第1管ピース又は第2管ピースがどのような姿勢であったとしても、弾性部材が誤って外れることがないので、ガスケットの交換作業を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の管継手は、第1管ピースと、この第1管ピースに連通して接続される第2管ピースとの互いに対向する両接合面の間に介装され前記第1管ピースと前記第2管ピースとのいずれか一方に形成された突出部に内周面が係合されるリング状のガスケットと、このガスケットを挟んで前記第1管ピース及び前記第2管ピースを締結させる締結具と、を備えた管継手であって、前記ガスケットは、前記突出部の外周寸法より大きな内周寸法の内周部とこの内周部に形成された環状の嵌合溝とを有する合成樹脂製のリング状本体と、このリング状本体の環状の嵌合溝に外周部が嵌合されるとともに前記突出部の外周部に内周部が係合可能な平面円弧状の弾性部材と、前記リング状本体の外周部に嵌合する金属製のガイドリングとを備えたことを特徴とする。
この構成の本発明では、前述の構成のガスケットを含んで管継手が構成されているため、前述の効果、つまり、ガスケットの交換作業を容易に行うことができる管継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる管継手を示す断面図。
【図2】ガスケットの一部を破断した平面図。
【図3】ガスケットの軸方向の断面図。
【図4】図3の一部を拡大した断面図。
【図5】管継手を組み立てる手順を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかる管継手の全体を示す断面図である。
図1において、本実施形態の管継手は、第1管ピース1と、第1管ピース1に連通して接続される第2管ピース2と、第1管ピース1及び第2管ピース2の互いに対向する第1接合面1A及び第2接合面2Aの間に介在されるリング形状のガスケット3と、このガスケット3を挟んで第1管ピース1及び第2管ピース2を締結させる締結具としての袋ナット部材4と、この袋ナット部材4及び第2管ピース2の間に介在されたベアリング5とを備えて構成される。
【0014】
第1管ピース1は、ステンレス製であり、円筒状の管本体11と、管本体11の基端に連続して設けられた図示しない容器部とを備え、管本体11の内部には軸方向に沿って容器部の内部に収納された流体を導入する第1管通路111が形成されている。
第1管通路111は、その基端側で容器部の内部空間に開口された細径部111Aと、この細径部111Aに連接される太径部111Bとを備え、この太径部111Bは所定の深さと内径寸法D11とを有する平面円形の凹部であり、その開口が第2管ピース2に向けられている。
管本体11の開口先端側の端面はガスケット3と当接する第1接合面1Aとされる。この第1接合面1Aは、所定の幅寸法を有する平面環状に形成されており、その中心部分にはV状の凹部1A1が環状に形成されている。
管本体11の外周面には、先端側から形成された雄ねじ11Aが形成されている。
【0015】
第2管ピース2は、ステンレス製であり、円筒状の管本体21と、管本体21の基端面から軸方向へ向かって延設されたパイプ部22と、管本体21から第1管ピース1の細径部111Aに向けて突出形成される突出部23とを備え、これら管本体21、パイプ部22及び突出部23の内部には第1管通路111の軸芯と同じ軸芯を有する第2管通路222が軸方向に沿って形成される。この第2管通路222は、第1管通路111と連通されており、その内径寸法は第1管通路111の細径部111Aの内径寸法と同じである。
この突出部23は、その外周面でガスケット3を係合するものであり、その平面が所定幅寸法を有する環状に形成されている。突出部23の外径寸法D23は太径部111Bの内径寸法D11より小さい。突出部23の先端外周部分にはテーパ面23Aが環状に形成されている。
管本体21の突出部23の周囲は突出部23の端面に対して段差をもって形成されガスケット3と当接する第2接合面2Aとされている。
この第2接合面2Aの中心部分にはV状の凹部2A1が環状に形成されている。
【0016】
ガスケット3の具体的な構造が図2から図4に示されている。図2はガスケット3の一部を破断した平面図であり、図3は軸方向の断面図であり、図4は図3の一部を拡大した断面図である。
図2及び図3に示される通り、ガスケット3は、内周部31Aに形成された環状の嵌合溝31Bを有するリング状本体31と、このリング状本体31の環状の嵌合溝31Bに外周部が嵌合される弾性部材としてのC型スプリング32と、リング状本体31の外周部に嵌合される断面矩形状のガイドリング33とを備えて構成されている。
リング状本体31の内周部31Aの内径寸法D31は突出部23の外径寸法D23より大きい。つまり、D31>D23>D32となる。
リング状本体31は、ダイフロン、その他の合成樹脂から形成されている。ここで、ダイフロンとは、フッ素樹脂(テフロン(登録商標)など)の種類の一つであって、例えば、PCTFE(ポリクロロ・トリフルオロ・エチレン)から構成され、−50℃〜+180℃の耐熱性や耐薬品性、耐候性、耐水性、防湿性、機械的特性、電気的特性に優れた材質である。
【0017】
図4に示される通り、リング状本体31は、軸方向に沿った断面が矩形状であり、ガイドリング33が嵌合される外周面とC型スプリング32が嵌合される内周面とにそれぞれ直交する2つの端面のうち一つが第1接合面1Aと当接される第一接合面311とされ、残り一つが第2接合面2Aと当接される第二接合面312とされる。
リング状本体31の幅方向(軸方向)の寸法は、図で示される通り、突出部23の高さ方向の寸法と同じとしてもよく、あるは、相違するものでもよい。
リング状本体31の外周面にはガイドリング33が取り付けられる取付溝31Cが形成される。この取付溝31Cは、当該外周面の厚さ方向のうち中央部に形成されるもので、その幅寸法はガイドリング33の幅寸法と同じである。
【0018】
リング状本体31に形成される嵌合溝31Bは、その幅寸法(軸方向の寸法)がC型スプリング32の断面直径と同じかやや大きく、その深さ寸法(径方向の寸法)が最大限に弾性変形して広がったC型スプリング32の直径寸法と同じである。
C型スプリング32は、ステンレス製であり、その内周部が突出部23の外周部に係合可能とされる。C型スプリング32の内周部の内径寸法D32は、弾性変形する前では、リング状本体31の内周部31Aの内径寸法D31より小さく、突出部23の外周面に係合された状態では、突出部23の外径寸法D23と同じになる。なお、C型スプリング32が最大に弾性変形した状態では、内径寸法D32はリング状本体31の内周部31Aと略同じになる。つまり、C型スプリング32の弾性変形に余裕を見るために、内径寸法D32はリング状本体31の内周部31Aの内径寸法より若干小さく設定される。
ガイドリング33は、SUS304等のステンレス製である。ステンレスに代えて、高い耐食性を有する純度の高いニッケルで形成してもよい。
【0019】
図1において、袋ナット部材4は、軸方向に直交する断面形状が六角形に形成されたステンレス製の六角筒部材であり、外周に形成された六角部41と、先端側の内壁面に、先端側から形成された雌ねじ42とを備える。
袋ナット部材4の筒内には、ベアリング5を介して、第2管ピース2が収納され、この第2管ピース2に対して袋ナット部材4が回転自在とされる。さらに、雌ねじ42が、第1管ピース1に形成された雄ねじ11Aに螺合することにより、第1管ピース1と第2管ピース2とが締結される。
袋ナット部材4の内壁には、内周方向に沿って環状の規制部材6が係止される。規制部材6は、管本体21の外周面と袋ナット部材4の内壁の間に介在され、ベアリング5が袋ナット部材4の筒内から抜けないように規制する。
【0020】
前述の構成の管継手の交換方法を図5に基づいて説明する。図5は管継手を組み立てる手順を説明するための断面図である。
まず、交換するためのガスケット3を組み立てる。そのため、合成樹脂からなるリング状部材を用意し、このリング状部材の内周部31Aに嵌合溝31Bを研削等の適宜な機械的な手段で形成し、同様に、外周部に取付溝31Cを形成してリング状本体31を製作する。そして、C型スプリング32を窄め、その半径が小さくなるように変形させながらリング状本体31の嵌合溝31Bに嵌め込み、さらに、取付溝31Cにガイドリング33を取り付ける。
その後、袋ナット部材4を緩め、第1管ピース1と第2管ピース2との連結を解除し、袋ナット部材4から第2管ピース2を取り外し、第2管ピース2の突出部23からガスケット3を取り外す。
【0021】
古いガスケット3の取り外し作業が終了したら、まず、第2管ピース2の突出部23に新しいガスケット3を装着する。ガスケット3を突出部23に向けて押し付けると、リング状本体31の嵌合溝31Bに嵌合されたC型スプリング32は、突出部23の先端部分に形成されたテーパ面23Aにより押し広げられた後、突出部23の外周面に案内される。この状態では、C型スプリング32は嵌合溝31Bに嵌合されるとともに、その弾性力によってリング状本体31を保持するため、第2管ピース2の姿勢にかかわらず、ガスケット3が第2管ピース2から脱落することがない。
【0022】
図5に示される通り、第2管ピース2の突出部23にガスケット3が保持されており(想像線参照)、この状態で、第2管ピース2に袋ナット部材4を被せる。袋ナット部材4と第2管ピース2の管本体21との間にベアリング5を介装しておく。そして、第1管ピース1の雄ねじ11Aを袋ナット部材4の雌ねじ42と螺合させていく。
このとき、袋ナット部材4の六角部41をレンチ等で挟み、そのレンチ等を回して、袋ナット部材4を所定の締め付けトルクで締結する。第2管ピース2及び袋ナット部材4との間には、ベアリング5が介在されているため、袋ナット部材4のみが回転し、第2管ピース2が回転しない。従って、締め付けの際に第1管ピース1及び第2管ピース2とガスケット3との当接部分が磨耗したりせず、保護される。
【0023】
袋ナット部材4を締め付けるにつれて、第1管ピース1の第1接合面1Aとガスケット3の第一接合面311とが互いに所定の圧力で押圧され、同様に、第2管ピース2の第2接合面2Aとガスケット3の第二接合面312とが互いに所定の圧力で押圧される。このようにして、第1管ピース1及び第2管ピース2の締結が完了する。
なお、袋ナット部材4を締め付ける力が大きすぎると、リング状本体31は、径方向の拡開しようとするが、リング状本体31の外周部にはガイドリング33が取り付けられているため、リング状本体31の変形が阻止される。
【0024】
このような構成の本実施形態では、次のような効果を奏することができる。
(1)第1管ピース1と、この第1管ピース1に連通して接続される第2管ピース2との互いに対向する両接合面1A,2Aの間に介装され第2管ピース2に形成された突出部23に内周面が係合されるリング状のガスケット3を、突出部23の外周寸法より大きな内周寸法の内周部31Aとこの内周部31Aに形成された環状の嵌合溝31Bとを有する合成樹脂製のリング状本体31と、このリング状本体31の嵌合溝31Bに外周部が嵌合されるとともに突出部23に内周部が係合可能なC型スプリング32と、リング状本体31の外周部に嵌合する金属製のガイドリング33と、を備えて構成した。そのため、リング状本体31の内周部は第2管ピース2の突出部23の外周部より大きいため、突出部23へのガスケット3への挿入作業はガスケット3を突出部23の軸方向に沿って移動させればよく、しかも、リング状本体31の内周部31Aの嵌合溝31BにC型スプリング32が嵌合されているので、突出部23に確実に係合されるため、ガスケット3の交換作業において、突出部23が形成された第2管ピース2がどのような姿勢であったとしても、C型スプリング32が誤って外れることがないので、ガスケット3の交換作業を容易に行うことができる。その上、金属製のガイドリング33がリング状本体31の外周部に嵌合しているので、ガスケット3が大きな力で締め付けられても、リング状本体31が径方向に変位することを防止できるから、ガスケット3のシール性を確保することができる。さらに、リング状本体31を合成樹脂製としたので、従来利用されているニッケル等の硬質な金属材料に比べて、加工が容易となる。特に、嵌合溝31Bは、リング状本体31の内周部31Aに形成するため、硬質材料では、その加工が困難であるが、合成樹脂であれば、内周への溝加工が容易となる。
【0025】
(2)リング状本体31の嵌合溝31Bに外周部が嵌合されるとともに突出部23に内周部が係合可能な弾性部材として1つのC型スプリング32を用いたから、嵌合溝31Bへの弾性部材の装着作業が容易に行える。
【0026】
(3)突出部23の先端外周部にテーパ面23Aが形成されているので、C型スプリング32を円滑に突出部23の外周面に案内できる。そのため、ガスケット3の第2管ピース2への装着作業が容易となる。
【0027】
(4)第1管ピース1に形成された太径部111Bの内径寸法D11を第2管ピース2の突出部23の外径寸法D23よりも大きくしたので、ガスケット3の幅寸法(軸方向の寸法)が規定寸法より短くなり、突出部23の先端がガスケット3から突出することがあっても、突出部23の先端が太径部111Bの内部空間に嵌挿されることになるので、突出部23が第1管ピース1の管本体11に干渉することがない。
【0028】
(5)第1管ピース1と、この第1管ピース1に連通して接続される第2管ピース2と、前述の構成のガスケット3と、このガスケット3を挟んで第1管ピース1及び第2管ピース2を締結させる袋ナット部材4とを備えて管継手を構成したから、ガスケット3の交換作業を容易に行うことができる管継手を提供することができる。
【0029】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第2管ピース2に突出部23が形成され、この突出部23にガスケット3が係合される構成としたが、本発明では、第1管ピース1に突出部を形成し、この突出部にガスケットを係合させる構成としてもよい。
また、前記実施形態では、リング状本体31の外周面にガイドリング33が取り付けられる取付溝31Cを形成したが、本発明では、ガイドリング33をリング状本体31の外周面に圧入するので、取付溝31Cを必ずしも設けることを要しない。但し、取付溝31Cを形成することで、装着後のガイドリング33が誤ってリング状本体31から脱落することを防止できる。
【0030】
さらに、弾性部材として1つのC型スプリング32を用いたが、本発明では、C型スプリング32より周方向の短い円弧状部材を複数個用意し、これらの円弧状部材を嵌合溝31Bに嵌合させる構成であってもよい。
また、突出部23にテーパ面23Aを必ずしも設けることを要しない。
【0031】
また、嵌合溝31Bの形状は断面矩形状に限定されるものではなく、V字状やU字状であってもよい。
さらに、リング状本体31の断面形状も矩形状に限定されるものではなく、円形や楕円形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、2つの管ピースを締結する管継手に利用できる他、ある2つの部材を、隙間無く接続するための接続具にも利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…第1管ピース、1A…第1接合面、2…第2管ピース、2A…第2接合面、3…ガスケット、4…袋ナット部材(締結具)、31…リング状本体、31A…内周部、31B…嵌合溝、32…C型スプリング(平面円弧状の弾性部材)、33…ガイドリング、311…第一接合面、312…第二接合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管ピースと、この第1管ピースに連通して接続される第2管ピースとの互いに対向する両接合面の間に介装され前記第1管ピースと前記第2管ピースとのいずれか一方に形成された突出部に内周面が係合されるリング状のガスケットであって、
前記突出部の外周寸法より大きな内周寸法の内周部とこの内周部に形成された環状の嵌合溝とを有する合成樹脂製のリング状本体と、このリング状本体の環状の嵌合溝に外周部が嵌合されるとともに前記突出部の外周部に内周部が係合可能な平面円弧状の弾性部材と、前記リング状本体の外周部に嵌合する金属製のガイドリングと、を備えたことを特徴とするガスケット。
【請求項2】
第1管ピースと、この第1管ピースに連通して接続される第2管ピースとの互いに対向する両接合面の間に介装され前記第1管ピースと前記第2管ピースとのいずれか一方に形成された突出部に内周面が係合されるリング状のガスケットと、このガスケットを挟んで前記第1管ピース及び前記第2管ピースを締結させる締結具と、を備えた管継手であって、
前記ガスケットは、前記突出部の外周寸法より大きな内周寸法の内周部とこの内周部に形成された環状の嵌合溝とを有する合成樹脂製のリング状本体と、このリング状本体の環状の嵌合溝に外周部が嵌合されるとともに前記突出部の外周部に内周部が係合可能な平面円弧状の弾性部材と、前記リング状本体の外周部に嵌合する金属製のガイドリングと、を備えたことを特徴とする管継手。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−24343(P2013−24343A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160589(P2011−160589)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000175711)三興工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】