説明

ガスケット

【課題】電磁波シールド性の向上を図りつつ、導体部と導電性ゴム層との接着性を高めることを可能とするガスケットを提供する。
【解決手段】板状の導体部10と、導体部10の表面に接着剤30によって固着された導電性ゴム層と、を備え、一方の領域K1と他方の領域K2とを隔てるガスケット100において、導体部10と導電性ゴム層との間に接着剤30が塗布されない未塗布域Tを設け、未塗布域Tは、一方の領域K1と他方の領域K2とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールド性を有するガスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水や油などの流体の漏れや異物の侵入を防止するだけでなく、電磁波をシールドする特性を有するガスケットが知られている(特許文献1参照)。このような従来例に係る電磁波シールド性を有するガスケットについて図6を参照して説明する。図6は従来例に係るガスケットの模式的断面図である。
【0003】
従来例に係るガスケット200は、板状の導体部201と、その両面に接着剤203によってそれぞれ固着された導電性ゴム層202とを備えている。導体部201は、鉄やステンレスなどの導体からなる金属鋼板で構成されている。また、接着剤203には導電性物質が配合されており、接着剤203も導電性を有している。これにより、ガスケット200全体に導電性を持たせている。
【0004】
従って、例えば、導電性を有する筐体と導電性を有する蓋との間に、ガスケット200を配置させることによって、蓋がされた筐体の内部に導体により包まれた密閉空間を形成することができる。これにより、流体の漏れや異物の侵入を防止するだけでなく、電磁波をシールドすることが可能となる。
【0005】
しかし、一般的に、接着剤203の導電性を高めるために導電性物質の配合の割合を高めると、接着剤203の接着力は低下してしまう。そのため、接着性を高めるために導電性物質の配合の割合を低くすると電磁波シールド性が低下してしまい、電磁波シールド性を高めるために導電性物質の配合の割合を高くすると接着性が低下してしまい、接着性と電磁波シールド性を両立させるのは技術的に困難であった。
【特許文献1】特開2003−232444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電磁波シールド性の向上を図りつつ、導体部と導電性ゴム層との接着性を高めることを可能とするガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のガスケットは、
板状の導体部と、
該導体部の表面に接着剤によって固着された導電性ゴム層と、
を備え、一方の領域と他方の領域とを隔てるガスケットにおいて、
前記導体部と導電性ゴム層との間に接着剤が塗布されない未塗布域を設け、
該未塗布域は、一方の領域と他方の領域とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、接着剤が塗布されない未塗布域が設けられる。この未塗布域では、導体部と導電性ゴム層とが接着剤を介すことなく直接接触する。そのため、この未塗布域においては、接着剤によって導電性が低下してしまうことはない。そして、この未塗布域は、一方の領域と他方の領域とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられ
る。そのため、導体部と導電性ゴム層とが直接接触した領域が、一方の領域と他方の領域とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられる。これにより、電磁波シールド性の向上を図ることができる。また、接着剤には導電性が必要ないので、接着性の高いものを用いることができる。従って、導体部と導電性ゴム層との接着性を高めることが可能となる。ただし、接着剤として、導電性を有するものを用いても構わない。
【0010】
また、前記導電性ゴム層は、一方の領域と他方の領域とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられたシール凸部を有しており、
前記未塗布域は、前記導電性ゴム層における該シール凸部の反対側に、該シール凸部に沿って設けられているとよい。
【0011】
これにより、最も圧縮されるシール凸部に沿って、導体部と導電性ゴム層とが密着するので、これらの間の導通を効果的に高めることができる。
【0012】
また、前記導電性ゴム層は前記導体部の両面に設けられているとよい。
【0013】
また、前記導体部と導電性ゴム層とが重なり合った面積のうち接着剤が塗布されている面積の割合は40%以上95%以下であるとよい。
【0014】
これにより、電磁波シールド性と接着性とをバランス良く両立させることができる。なお、接着剤が塗布されている面積の割合を60%以上90%以下にすると更に好適である。
【0015】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、電磁波シールド性の向上を図りつつ、導体部と導電性ゴム層との接着性を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
(実施例)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係るガスケットについて説明する。
【0019】
<ガスケット>
図1及び図2を参照して、本発明の実施例に係るガスケットの全体構成等について説明する。図1は本発明の実施例に係るガスケットの平面図である。図2は本発明の実施例に係るガスケットの模式的断面図である。なお、図2は図1のAA断面図である。
【0020】
本実施例に係るガスケット100は、例えば、導電性を有する筐体(不図示)と導電性を有する蓋(不図示)との間に挟み込まれるようにして用いられる。これにより、筐体と蓋との間が封止され、蓋がされた筐体の内部に密閉空間が形成される。なお、本実施例に係るガスケット100においては、筐体に蓋を固定するためのボルトが挿通される貫通孔101が複数設けられている。
【0021】
このように、ガスケット100によって、2部材(上記例の場合には筐体と蓋)の間の
隙間が封止される。これにより、一方の領域(例えば、上記例の場合には蓋がされた筐体の内部領域)K1と他方の領域(例えば、上記例の場合には蓋がされた筐体の外部領域)K2とが隔てられる。
【0022】
従って、例えば、一方の領域K1から他方の領域K2への水や油などの流体の漏れを防止することができ、かつ、他方の領域K2から一方の領域K1への異物の侵入を防止することができる。また、本実施例に係るガスケット100は導電性を有しているので、例えば上記例の場合のように蓋がされた筐体の内部に形成される密閉空間は、導体によって包まれた密閉空間となる。従って、電磁波をシールドすることもできる。
【0023】
以下、ガスケット100の構成について、詳しく説明する。本実施例に係るガスケット100は、板状の導体部10と、導体部10の両面にそれぞれ設けられる導電性ゴム層20とを備えている。導体部10と導電性ゴム層20は、接着剤30によって固着されている。
【0024】
そして、導体部10は、鉄やステンレスなどの導体からなる金属鋼板(SPCC鋼板、SUS鋼板など)で構成されている。
【0025】
また、導電性ゴム層20は、その厚さが20μm以上100μm以下、より好ましくは、30μm以上80μm以下に設定される。この導電性ゴム層20に用いられる導電性ゴムは、その導電率が10S/m以上(抵抗率0.1Ωm以下)、より好ましくは導電率が20S/m以上(抵抗率0.05Ωm以下)の特性を有するものが用いられる。なお、導電性ゴムは、ゴム材料に金属粉末や導電性カーボン等の導電材料が配合されたものが用いられる。
【0026】
そして、この導電性ゴム層20には、その幅方向の中央に沿ってシール凸部(以下、ビード21と称する)が設けられている。このビード21は、図1に示すように、一方の領域K1と他方の領域K2とを隔てる領域に沿って、途切れることなく連続的に設けられている。なお、両面に設けられた各ビード21は、2部材(上記例の場合には、筐体と蓋)によって圧縮され、これら2部材の表面に対してそれぞれ密着することにより優れたシール機能を発揮する。
【0027】
接着剤30は導体部10と導電性ゴム層20を固着するためのもので、その厚みは2μm以下、より好ましくは1μm以下に設定される。本実施例においては、接着剤30には導電性が必要とされることはないため、接着性の高いものを用いることができる。
【0028】
この接着剤30は、ガスケット100を製造する過程において、まず、導体部10の表面に塗布される。その後、導電性ゴム層20を形成する過程で硬化し、導体部10と導電性ゴム層20とを固着する。なお、導体部10の表面への接着剤30の塗布方法は、スクリーン印刷方式やインクジェット方式など、適宜の方法を用いればよい。
【0029】
そして、本実施例においては、導体部10の表面の全面には接着剤30を塗布しておらず、接着剤30を塗布しない未塗布域Tを設けている。以下、この未塗布域Tについて詳細に説明する。
【0030】
<接着剤の未塗布域>
特に、図3及び図4を参照して、本発明の実施例に係る導体部10に対する接着剤30の未塗布域Tについて詳細に説明する。図3は本発明の実施例に係る導体部に対して接着剤を塗布した状態を示す平面図である。図4は本発明の実施例に係る導体部に対して接着剤を塗布した状態を示す模式的断面図である。なお、図4は図3のBB断面図である。
【0031】
本実施例においては、上記の通り、導体部10と導電性ゴム層20との間に接着剤30が塗布されない未塗布域Tを設けている。この未塗布域Tは、図3に示すように、一方の領域K1と他方の領域K2とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられる。また、この未塗布域Tは、導電性ゴム層20が固着した状態において、導電性ゴム層20におけるビード21の反対側(真裏の位置)に、このビード21に沿って設けられている。
【0032】
以上のように、未塗布域Tを設けたことで、この未塗布域Tにおいては、上述した図2に示すように、導体部10と導電性ゴム層20とが直接接触する。また、導体部10の幅方向の両サイドにおいては、接着剤30によって導体部10と導電性ゴム層20はしっかりと固着される。
【0033】
<接着剤の塗布パターン>
特に、図5を参照して、接着剤の塗布パターンについて説明する。図5は本発明の実施例に係る導体部への接着剤の塗布パターンを説明する平面図(の一部)である。
【0034】
図5(A)は本実施例に係るガスケットの一部を拡大した拡大図である。上述したように、本実施例に係るガスケット100においては、導電性ゴム層20には、ビード21が設けられている。そして、導電性ゴム層20におけるビード21の反対側(真裏の位置)には、このビード21に沿って、未塗布域Tが設けられる。しかし、接着剤30を塗布しない領域は、ビード21の真裏の位置とは別に、他の位置にも設けることができる。
【0035】
つまり、導体部10と導電性ゴム層20とが重なり合った面積のうち接着剤30が塗布されている面積の割合が40%以上95%以下であれば良く、より好ましくは、60%以上90%以下であると良い。接着剤30が塗布される面積の割合が低すぎると接着性が低すぎてしまい、導電性ゴム層20が剥がれてしまったり、振動によって耐久性が低下してしまったりするおそれが生ずる。一方、接着剤30が塗布される面積の割合が高すぎると導体部10と導電性ゴム層20とが直接接触する面積が小さくなって導通が不十分となり、シールド性が低下してしまうおそれがある。従って、接着剤30が塗布されている面積の割合を上記の範囲内に設定することにより、電磁波シールド性と接着性とをバランス良く両立させることができる。
【0036】
そして、接着剤30の塗布パターン(接着剤30が塗布される部分の形状や塗布されない部分の形状)は特に限定されるものではなく、円形、矩形、直線的な形状、曲線的な形状など、適宜の形状を適用することができる。
【0037】
図5(B)(C)(D)はその一例を示したものである。これらの図において、図中、黒く塗りつぶされた部分が接着剤30を塗布した部分である。各図に示すように、ビード21の真裏に位置する部分は、上記の通り未塗布域Tとなっている。図5(B)は、接着剤30を円形状に塗布したパターンを示している。図5(C)は、接着剤30を塗布した領域内に、円形の未塗布域を複数設けたパターンを示している。図5(D)は、接着剤30を塗布する部分と塗布しない部分をいずれも直線形状にして、交互に配置したパターンを示している。
【0038】
<本実施例の優れている点>
本実施例に係るガスケット100によれば、導体部10に対して、接着剤30が塗布されない未塗布域Tが設けられる。この未塗布域Tでは、導体部10と導電性ゴム層20とが接着剤30を介すことなく直接接触する。そのため、この未塗布域Tにおいては、接着剤30によって導電性が低下してしまうことはない。そして、この未塗布域Tは、一方の
領域K1と他方の領域K2とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられる。そのため、導体部10と導電性ゴム層20とが直接接触した領域が、一方の領域K1と他方の領域K2とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられる。
【0039】
これにより、電磁波シールド性の向上を図ることができる。また、接着剤30には導電性が必要ないので、接着性の高いものを用いることができる。従って、導体部10と導電性ゴム層20との接着性を高めることが可能となる。ただし、接着剤として、導電性を有するものを用いても構わないことは言うまでもない。
【0040】
以上のように、本実施例に係るガスケット100によれば、電磁波シールド性の向上を図りつつ、導体部10と導電性ゴム層20との接着性を高めることが可能となる。従って、電子機器などに好適に用いることができる。特に、自動車や建設機械や工場内など、水や油や粉塵が存在する環境下におかれる電子機器や風雨に曝される屋外設置用の電子機器などにも好適に用いることができる。
【0041】
また、未塗布域Tは、導電性ゴム層20におけるビード21の反対側に、ビード21に沿って設けられている。そのため、2部材(例えば、筐体と蓋)によって、最も圧縮されるビード21に沿って、導体部10と導電性ゴム層20とが密着するので、これらの間の導通を効果的に高めることができる。
【0042】
また、導体部10と導電性ゴム層20とが重なり合った面積のうち接着剤30が塗布されている面積の割合は40%以上95%以下、好ましくは、60%以上90%以下にすることで、電磁波シールド性と接着性とをバランス良く両立させることができる。
【0043】
<具体例>
次に、ガスケット100のより具体的な例について説明する。まず、導体部10として、厚さ0.2mmのSUS鋼板を用いて、図1に示す形状のものを作成した。なお、導体部10の外径寸法については、内周寸法240×130mm,外周寸法260×150mm,幅10mmとした。また、接着剤30の塗布パターンについては、上述した図5(C)に示すものを採用した。なお、ビード21の真裏の位置以外における円形の未塗布域の円の直径は0.8mmに設定した。また、導体部10と導電性ゴム層20とが重なり合った面積のうち接着剤30が塗布されている面積の割合は77%に設定した。
【0044】
そして、接着剤30として、フェノール系接着剤を用い、導体部10の両面に対して、未塗布域(未塗布域T及び円形の未塗布域)を除く部分に接着剤30を塗布した。ここで、未塗布域Tは、導電性ゴム層20が形成された状態におけるビード21の先端に相当する部分を中心として、幅1.5mmに設定した。また、接着剤30は、インクジェット方式を用いて、厚さが約0.5μmとなるように塗布した。
【0045】
次に、導電性ゴム層20を形成するために、スクリーン印刷により、導電性ゴム糊を導体部10にコーティングした。導電性ゴム糊として、NBRゴムに導電性物質を配合した組成のNBR配合物20重量%と、メチルエチルケトンとトルエンを1:9で混合した混合溶剤80重量%とからなるNBR配合物溶液を用いた。
【0046】
そして、導電性ゴム糊をコーティングした後に、100℃の環境下で10分間乾燥させた。なお、導電性ゴム糊の乾燥前後の厚さ関係を求めておき、乾燥後の厚みが50μmとなるように、導電性ゴム糊をコーティングした。以上の手順によって、導体部10の両面にそれぞれ導電性ゴム糊をコーティングした。その後、加圧プレスを用い、温度180℃,圧力100kgの条件で、4分間の加硫処理を行い、導電性ゴム層20を形成した。
【0047】
以上のようにして得られたガスケット100について、電磁波シールド性と接着性を確認したところ、導電性の高い接着剤を全面塗布したガスケットと同等以上の電磁波シールド性と接着性とを有することが確認できた。
【0048】
<評価試験>
テストピースを用いて、電磁波シールド性と接着性について評価試験を行った結果を説明する。
【0049】
<<電磁波シールド性の評価>>
図7を参照して、電磁波シールド性の評価試験及び試験結果について説明する。図7は電磁波シールド性の評価に用いたテストピースの平面図である。このテストピースPにおける導体部の素材は、SUS鋼板を採用した。また、導体部の形状は、外径37mm,内径27mmの孔の空いた円板状のものを採用した。そして、この導体部に、上記のように、導電性の低いフェノール系接着剤を塗布し、かつ導電性ゴム層を形成した。
【0050】
ここで、テストピースとしては、従来例に対応して全面に接着剤を塗布したもの(以下、テストピースAと称する)と、本実施例に対応して中心部T1に約1mm幅の未塗布域を設けたもの(以下、テストピースBと称する)の2種類を用意した。
【0051】
これら2種類のテストピースA,Bについて、周波数1GHzでの拡張同軸管法による電磁波遮蔽性を評価した。その結果、テストピースAの場合には、遮蔽量が20dBであったのに対し、テストピースBの場合には、遮蔽量が30dBであった。
【0052】
以上のように、接着剤の未塗布域を途切れることなく連続的に設けることによって、電磁波シールド性を著しく向上させることができることが分かる。
【0053】
<<接着性の評価>>
図8及び図9を参照して、接着性の評価試験及び試験結果について説明する。図8及び図9は評価試験結果を示す表である。
【0054】
接着性評価試験に用いたテストピースにおける導体部の素材は、SUS鋼板を採用した。また、導体部の形状は、100×25mmの長方形の板状のものを採用した。そして、この導体部に、上記電磁波シールド性の評価試験の場合と同様に、フェノール系接着剤を塗布し、かつ導電性ゴム層を形成した。
【0055】
ここで、テストピースとして、接着剤の塗布割合について、50%としたものと、90%としたものと、100%としたものの3種類を用意した。なお、これらのテストピースにおける塗布割合とは、上記実施例におけるビード21の真裏の位置に設けた未塗布域Tを除いた部分を想定したものである。ここで、全体面積に対する未塗布域Tの面積の割合はおおよそ15%である。従って、本評価試験に用いた3種類のテストピースにおける接着剤の塗布割合について、未塗布域Tも考慮した場合には、それぞれ約43%(50%×85%),約77%(90%×85%),約85%(100%×85%)に相当する。
【0056】
これら3種類のテストピースについて、初期状態のものと、水中に浸漬密封した状態で120℃の温度で1000時間加熱し、これを冷却して取り出して室内で24時間風乾させたもののそれぞれについて、各種評価を行った。評価は、膨れや剥がれの有無についての外観検査,描画試験(JIS K6894準拠)、及びクロスカット試験(JIS K5600−5−6準拠)についてそれぞれ行った。
【0057】
初期状態のものについての評価結果を図8に、熱水浸漬後のものについての評価結果を
図9にそれぞれ示す。この評価結果から、接着剤の塗布割合が50%(未塗布域Tも考慮した場合には約43%)の場合には、多少接着性の低下が見られるが、実用上は問題ないことが確認できた。以上のことから、導体部と導電性ゴム層とが重なり合った面積のうち接着剤が塗布されている面積の割合は40%以上であれば、接着性が十分得られることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の実施例に係るガスケットの平面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に係るガスケットの模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係る導体部に対して接着剤を塗布した状態を示す平面図である。
【図4】図4は本発明の実施例に係る導体部に対して接着剤を塗布した状態を示す模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係る導体部への接着剤の塗布パターンを説明する平面図である。
【図6】図6は従来例に係るガスケットの模式的断面図である。
【図7】図7は電磁波シールド性の評価に用いたテストピースの平面図である。
【図8】図8は評価試験結果を示す表である。
【図9】図9は評価試験結果を示す表である。
【符号の説明】
【0059】
10 導体部
20 導電性ゴム層
21 ビード
30 接着剤
100 ガスケット
101 貫通孔
K1 一方の領域
K2 他方の領域
T 未塗布域
P テストピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の導体部と、
該導体部の表面に接着剤によって固着された導電性ゴム層と、
を備え、一方の領域と他方の領域とを隔てるガスケットにおいて、
前記導体部と導電性ゴム層との間に接着剤が塗布されない未塗布域を設け、
該未塗布域は、一方の領域と他方の領域とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記導電性ゴム層は、一方の領域と他方の領域とを隔てる位置に沿って、途切れることなく連続的に設けられたシール凸部を有しており、
前記未塗布域は、前記導電性ゴム層における該シール凸部の反対側に、該シール凸部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記導電性ゴム層は前記導体部の両面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記導体部と導電性ゴム層とが重なり合った面積のうち接着剤が塗布されている面積の割合は40%以上95%以下であることを特徴とする請求項1,2または3に記載のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−49194(P2009−49194A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213844(P2007−213844)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】