説明

ガスケット

【課題】簡素な構造で安定したシール性が得られるガスケットの提供。
【解決手段】ガスケット10Dは、樹脂製ヘッドカバー1のガスケット溝3の溝底面4と、この溝底面4に対向するシリンダヘッド2の座面7と、の間で圧縮されて両部材1,2間を密封する。このガスケット10の圧縮方向の上端部および下端部に、頂部へ向かって先細りする尾根形状をなすシール部11をそれぞれ設ける。このシール部11は、頂部を挟んで左右の角度が異なり、圧縮時にエア側F2へ傾くようにして変位する。オイル側F3へ張り出した突条部40を備え、これにより、圧縮時の姿勢が安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材間を密封するガスケットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのヘッドカバーとシリンダヘッドのような2部材の一方に形成されたガスケット溝に装着されて両部材間を密封するガスケットが、従来より広く用いられている。また、特許文献1〜3に記載されているように、ガスケット溝を有する部材が例えば合成樹脂のような比較的剛性の低い材質である場合、ガスケット溝幅に対して初期状態(圧縮前)でのガスケット幅を短くし、ガスケット溝の側面とガスケットの側面との間に所定の隙間を確保して、ガスケットの反発力を低く抑制した、いわゆる低反発型のガスケットが近年では良く用いられている。
【0003】
このような低反発型のガスケットにおける座屈や蛇行を防止するために、上記の特許文献1や特許文献2では、ガスケットの側面に側方へ張り出した環状突起部を設けている。また、特許文献3では、装着安全性や組付性を向上するために、ガスケットをガスケット溝に挿入・セットした圧縮前の状態で、ガスケットの一方の側面に形成された直線部をガスケット溝の側面に接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−269613号公報
【特許文献2】特開2004−204941号公報
【特許文献3】特開2002−340190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような低反発型のガスケットが幅方向で左右対称形状をなしていると、圧縮時にガスケットが幅方向でいずれかの方向に不用意に屈曲・座屈すると、ガスケットのへたりや、面圧のバランスが崩れてシール性の低下を招くおそれがある。このような座屈を防止するために特許文献1や特許文献2のように環状突起部を設けると、ガスケットの反発力が増加し、所期の低反発性を損ねるおそれがある。また、ガスケット挿入時に環状突起部とガスケット溝の側面との摺動抵抗によりねじれが生じ易い。
【0006】
特許文献3のように、圧縮前のガスケットの一方の側面をガスケット溝の側面に接触させるものでは、組付作業性や挿入性を損ねることなく接触させるためには高い寸法精度が要求されるとともに、ガスケットの圧縮方向で接触させる分の長さを確保する分、ガスケット溝深さ(ガスケット高さ)が余分に必要となり、大型化を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであって、簡素な構造でありながら所期のシール性能を安定して得ることができる新規なガスケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の部材に形成されるガスケット溝の溝底面と、この溝底面に対向する第2の部材の座面と、の間で圧縮されて両部材間を密封するガスケットにおいて、圧縮方向の一端に、その頂部へ向かって先細りする尾根形状をなすシール部が設けられ、このシール部では、頂部を挟んで一方の第1側面が他方の第2側面よりも外方へ張り出している。言い換えると、このシール部は、圧縮時に圧縮方向と直交する幅方向で所定方向に傾いて変形し、この所定方向のガスケット側面がガスケット溝の側面と接触するように設定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガスケットの圧縮・変形時におけるシール部の倒れ方向が、安定的に所定方向、詳しくは第1側面寄りの方向に特定されるので、簡素な構造でありながら所期のシール性を安定して得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施例に係るガスケットを仮組付状態で示す断面図。
【図2】上記第1実施例のガスケットを圧縮・変形状態で示す断面図。
【図3】本発明の第2実施例に係るガスケットを単体で示す断面図。
【図4】本発明の第3実施例に係るガスケットを単体で示す断面図。
【図5】本発明に係るガスケットの形状例を示す断面図。
【図6】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図7】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図8】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図9】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図10】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図11】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図12】図11のガスケットを示す斜視図。
【図13】本発明に係るガスケットの形状例を示す断面図。
【図14】同じくガスケットの形状例を示す断面図。
【図15】本発明に係るガスケット溝の複数の形状例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は本発明の第1実施例に係るガスケット10を示している。このガスケット10は、弾性体であるアクリルゴム等のエラストマにより形成され、自動車用エンジンのオイル密閉空間をなすハウジングの一部を構成する2つの部材であるヘッドカバー1とシリンダヘッド2との周縁同士を全周にわたって密封するように全体として環状をなしている。ヘッドカバー1は、金属製に比して剛性の低い合成樹脂製であって、シリンダヘッド2に対向する下面に、ガスケット10が挿入・装着されるガスケット溝3が形成されている。このガスケット溝3は、溝底面4と一対の溝側面5,6からなるチャンネル形状をなしている。シリンダヘッド2は、アルミ合金のような金属材料により鋳造される。ガスケット溝3にガスケット10を装着した状態で、ヘッドカバー1とシリンダヘッド2とを圧縮方向F1に沿って互いに接近させて固定することにより、図2の実線で示すように、ガスケット10が溝底面4とこれに対向するシリンダヘッド2の座面7との間で圧縮方向F1に圧縮されて弾性変形し、少なくとも溝底面4と座面7とに圧接・密着することにより、ヘッドカバー1とシリンダヘッド2の隙間が密封される。なお、樹脂製ヘッドカバー1がシリンダヘッド2に対して隙間を確保した状態で固定される、いわゆるフローティング・セミフローティング構造となっている。
【0012】
図1は、圧縮前の自然長の状態でのガスケット10を、ガスケット溝3内に挿入・セットした仮組付状態での断面形状で示している。図中、F3はエンジンオイルが密封されているエンジンのハウジング内部側つまりオイル側であり、F2はエンジン外方のエア側である。この図1及び図2に加え、図3を適宜参照しつつ、ガスケット10の特徴的な形状について詳細に説明する。
【0013】
ガスケット10は、圧縮方向F1に長尺な縦長で、かつ、図1の左右方向である幅方向で左右非対称の断面形状をなしており、全幅D0(図3)がガスケット溝3の全幅よりも短く、全高H0(図3)がガスケット溝3の全高よりも長く、上記の仮組付状態でガスケット溝3の両側面5,6とガスケット10の側面16,17との間に所定の隙間ΔSが確保された、低反発型のガスケットである。
【0014】
ガスケット10の上端部には、溝底面4に密接することとなる1つの上シール部11が設けらている。この上シール部11は、上端の稜線をなす頂部12へ向かって先細りする尾根形状をなしている。そして、上シール部11では、頂部12を挟んで一方の第1側面14が他方の第2側面15よりも外方へ張り出した非左右対称形状をなしている。第1側面14は、上シール部11における頂部12よりもエア側F2の側面であり、第2側面15は、頂部12よりもオイル側F3の側面である。つまり上シール部11は、頂部12を通って圧縮方向F1に平行な上シール中央線(面)13に対し、頂部12に対してエア側F2寄りの部分(14)が、オイル側F3寄りの部分(15)に比して肉量が多く厚肉化された形状となっている。
【0015】
より詳しくは、頂部12近傍では、上シール中央線13に対し、エア側F2の第1側面14のなす角度θ1(図3参照)が、オイル側F3の第2側面15のなす角度θ2(図3参照)よりも大きく設定されている。従って、図1の仮組付状態では第1側面14が溝底面4に対して緩やかに傾斜し、溝底面4との間隔が比較的小さく、一方、第2側面15が溝底面4に対して急な角度で立ち上がり、この溝底面4に対して比較的大きく離間している。
【0016】
なお、頂部12は、実際には所定の曲率で湾曲する湾曲形状・面取り形状であり、また、上記の第1・第2側面14,15は、傾斜面又は適宜な曲率半径で湾曲する湾曲面あるいは両者を組合せて構成されている。従って、上記の角度θ1,θ2は、第1・第2側面14,15又はその接線方向と上シール中央線13とのなす角度に相当する。
【0017】
更に、仮組付状態で、頂部12は、ガスケット溝3の幅方向中央線(面)L0及びガスケット10の幅方向中央線(面)L1(図3参照)に対し、オイル側F3、つまり第2側面15寄りに所定量ΔD1,ΔD2(図3参照)偏心・オフセットしている。言い換えると、頂部12が溝幅方向中央線L0よりも内周寄りのオイル側F3に偏心した位置で組み付けられるように、ガスケット10の周方向寸法等が設定されている。
【0018】
ガスケット10の下端部には、座面7に密接することとなる1つの下シール部21が設けられている。この下シール部21も、上シール部11と同様、下頂部22を挟んで一方の第1側面24が他方の第2側面25よりも外方へ張り出した左右非対称形状をなし、第1側面24は、下シール部21における下頂部22よりもエア側F2の側面であり、第2側面25は、下頂部22よりもオイル側F3の側面である。つまり下シール部21は、下頂部22を通って圧縮方向F1に平行な下シール中央線(面)23に対し、下頂部22に対してエア側F2寄りの部分(24)が、オイル側F3寄りの部分(25)に比して肉量が多く厚肉化された形状となっている。より詳しくは、下頂部22近傍では、下シール中央線23に対し、エア側F2の第1側面24のなす角度θ3が、オイル側F3の第2側面25のなす角度θ4よりも大きく設定されている。従って、図1の仮組付状態では第1側面24が座面7に対して緩やかに傾斜し、座面7との間隔が比較的小さく、一方、第2側面25が座面7に対して急な角度で立ち上がり、この座面7に対して比較的大きく離間している。また、下頂部22は、実際には所定の曲率で湾曲する湾曲形状・面取り形状であり、また、上記の第1・第2側面24,25は、傾斜面又は適宜な曲率半径で湾曲する湾曲面あるいは両者を組合せて構成されている。従って、上記の角度θ3,θ4は、第1・第2側面24,25又はその接線方向と下シール中央線23との角度に相当する。更に、仮組付状態で、下頂部22は、ガスケット溝3の幅方向中央線L0やガスケット中央線L1(図3参照)に対し、オイル側F3、つまり第2側面25寄りに所定量ΔD3,ΔD4(図3参照)偏心している。言い換えると、下頂部22が溝幅方向中央線L0よりも内周寄りのオイル側F3に偏心した位置で組み付けられるように、ガスケット10の周方向寸法等が設定されている。
【0019】
上・下シール部11,21の第1側面14,24は、ガスケット10のエア側F2のガスケット側面16の一部を構成し、上・下シール部11,21の第2側面15,25は、オイル側F3のガスケット側面17の一部を構成している。
【0020】
このような特徴的な形状を有するガスケット10によれば、ヘッドカバー1をシリンダヘッド2へ組み付ける際に、ガスケット10が圧縮方向F1に圧縮されると、図2に示すように、上・下シール部11,21が積極的にエア側F2へ傾くように弾性変形して、ガスケット10のエア側F2のガスケット側面16が優先的・積極的にガスケット溝3のエア側の側面5に当接することとなる。
【0021】
また、上シール部11では、第1側面14が、溝底面4に対し、幅方向中央線L0を跨ぐ幅広い範囲にわたって密接する。これにより、表面の凹凸や、髪の毛や軍手繊維等の異物の挟み込み等に対しても安定したシール性を確保することができる。また、図2に示すように、エア側F2では第1側面14と溝底面4との接触角度α1が非常に小さく、ヘッドカバー内外の差圧(負圧)により第1側面14が積極的に溝底面4へ吸い付けられる形となって、接触面積が増大することから、自己密封(シール)性が向上する。一方、オイル側F3では第2側面15と溝底面4とが相対的に大きな角度α2をもって接することから、シール面圧が局所的に高面圧化し、オイル側F3からエア側F2へのオイル漏れを確実に防止することができる。下シール部21についても、上記の上シール部11とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0022】
このように本実施例のガスケット10では、その圧縮時に上・下シール部11,21が積極的に所定方向(エア側)F2へ傾いて変形する形状としたことにより、その反発力や内部応力を低減・回避しつつ、安定したシール性を確保することができる。このようにガスケット反発力を低減することにより、樹脂製ヘッドカバー1側の剛性を抑制し、このヘッドカバー1のフランジ部の薄肉化や軽量化を図ることができる。また、ガスケット10の上・下ともに上・下シール部11,21の一箇所のみでシールするシール構造であるため、座面7の幅狭化等のシール構造のコンパクト化が可能となり、更にはシール構造周辺のレイアウトの自由度も向上し、かつ、その面圧出力を増加させることができる。上述したように内部応力の集中を低減・回避できるため、ガスケットの局所的な過大な歪みの発生を回避し、その耐久性・信頼性を向上し、長期にわたって安定したシール性を確保することができる。更に、図1に示す仮組付状態で、ガスケット両側面16,17がガスケット溝3の両側面5,6に対して隙間ΔSが確保されているので、ガスケット溝3への挿入作業性にも優れている。
【0023】
以下に説明する実施例では、既述した実施例の構成要素と実質的に同一の構成要素には同じ参照符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0024】
図3は、本発明の第2実施例に係るガスケット10Aを示す断面図である。この第2実施例のガスケット10Aは、上シール中央線13と下シール中央線23とがオフセットしている点では第1実施例と異なるが、基本的には第1実施例と同様である。この図3を参照して、本発明に係るガスケットの特徴的な形状をより具体的に説明する。上シール部11に関し、圧縮による弾性変形に伴って第1側面14が良好に幅広く溝底面4と接触するように、好ましくは第1側面14を適切な曲率半径をもった湾曲面とする。また、上シール中央線13に対して第1側面14(又はその接線方向)のなす角度θ1は、好ましくは45°以上であり、より好ましくは60°以上である。第2側面15のなす角度θ2は、好ましくは、角度θ1の半分以下で、例えば30°以下である。下シール部21についても同様である。
【0025】
図4は、本発明の第3実施例に係るガスケット10Bを示す断面図である。この第3実施例では、断面略直方体形状をなすガスケット下部30に、座面に当接する下シール部として、エア側F2の第1下シール部31と、オイル側F3の第2下シール部32と、が設けられている。つまり、このガスケット10Bは、一箇所の上シール部11と二箇所の下シール部31,32との上下三点支持の安定したシール・支持構造となっている。このガスケット下部30は、幅方向中央線L0(及びL1)に対してオイル側F3へ大きくオフセットしており、つまりオイル側F3の部位(32)の肉量が多く厚肉化されている。また、ガスケット下部30では、第1下シール部31の頂部を通って圧縮方向F1に平行な第1下シール中央線23Aに対してエア側F2の側面33のなす角度θ5が、第2シール部32の頂部を通って圧縮方向F1に平行な第2下シール中央線23B(図10参照)に対してオイル側F3の側面34のなす角度θ6(図10参照)よりも大きく設定されている。
【0026】
このような形状によって、ガスケット下部30では、圧縮時にオイル側F3に傾くように弾性変形し、オイル側F3の側面34がガスケット溝3の側面6に優先的・積極的に密接することとなる。すなわち、このガスケット10Bは、上部ではエア側F2の溝側面5に優先的に接触し、下部30ではオイル側F3の溝側面6に接触するように、いわゆるS字型に弾性変形するように設定されている。このように弾性変形時の傾き・座屈方向を特定化することによって、上記の第1・第2実施例と同様、簡素な構造で所期のシール性を安定して確保することができ、かつ、作業性にも優れている。
【0027】
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。
【0028】
例えば図5に示すガスケット10Cのように、上,下シール部11,21のオイル側F3の第2側面15C,25Cが、内側に凸な湾曲面であっても良い。
【0029】
図6〜8に示すガスケット10D〜10Fでは、主としてガスケット圧縮時の弾性変形(所定方向の倒れ)に対する安定補助並びに仮組付状態でのガスケットの脱落防止を目的として、圧縮前の仮組付状態で、ガスケットの高さ方向中央部が、ガスケット溝3の両側面5,6に実質的に隙間なく対向・接触するように構成されている。詳しくは、図6に示すガスケット10Dでは、オイル側F3の側面に、ガスケット溝3の側面6に当接するようにオイル側F3へ張り出した突条部40を設けている。この突条部40は、ガスケット全周にわたって延びる帯状をなしている。図7に示すガスケット10Eでは、仮組付状態で両ガスケット側面16E,17Eがガスケット溝の両側面5,6に実質的に隙間なく接触するように設定されている。図8に示すガスケット10Fでは、オイル側F3の側面17に、ガスケット溝3の側面6に当接するようにオイル側F3へ張り出した突起部41を設けている。この突起部41は、周方向に適宜間隔を置いて複数設けられている。
【0030】
図9に示すガスケット10Gは、自立安定性を向上するために、下側の下シール部21Gの肉量を上側の上シール部11Gの肉量に対して上述した実施例よりも更に十分に大きく設定した例である。
【0031】
図10に示すガスケット10Hは、第3実施例と同様、断面略直方体形状をなすガスケット下部30Hに、座面に当接する下シール部として、エア側F2の第1下シール部31Hと、オイル側F3の第2下シール部32Hと、が設けられている。ガスケット下部30Hは、幅方向中央線L0(及びL1)に対してオイル側F3へ大きくオフセットしており、つまりオイル側F3の部位(32H)の肉量が多く厚肉化されている。また、第1下シール中央線23Aに対してエア側F2の側面33のなす角度θ5は、第2下シール中央線23Bに対してオイル側F3の側面34のなす角度θ6よりも大きく設定されている。
【0032】
図11〜14に示すガスケット10I〜10Kでは、ヘッドカバーへのガスケット装着時あるいはシリンダヘッドへの組付け時におけるガスケットシール面の均一性確保,形状保持並びにガスケット装着時の作業性向上を目的として、ガスケット溝3の周縁部に対する装着ガイド突起が設けられている。詳しくは、図11及び図12に示すガスケット10Iでは、エア側F2の側面に、ガスケット溝3の外周縁部3Aに当接可能に対向する装着ガイド突起45Iが一体的に形成されている。図13に示すガスケット10Jの装着ガイド突起45Jは、ガスケットの外周縁部3Aに下方側からはまり込むように、断面略L字状に形成されている。図14に示すガスケット10Kでは、エア側F2及びオイル側F3の双方の側面に装着ガイド突起45K,45Kが設けられている。
【0033】
図15には、本発明に係る左右非対称形状のガスケット10に好適なガスケット溝3の幾つかの形状例を示している。(A)〜(C)では、溝底面4が上シール部11のエア側F2の第1側面14と幅広い範囲にわたって良好に面接触するように、この溝底面4を、上記第1側面14に応じて傾斜又は湾曲する傾斜面又は湾曲面としている。(D)〜(F)では、ガスケット溝3のエア側F2の側面5を、エア側ガスケット側面16と良好に面接触するように、上側へ向かうにしたがってオイル側F3へ傾斜する傾斜面としている。また、(D)〜(F)では、圧縮時のガスケットの弾性変形態様(倒れ方向)を安定化するために、ガスケット溝3の両側面5,6を非対称形状としている。特に、(D),(F)では、ガスケット溝のオイル側F3の側面6を、オイル側ガスケット側面17と局所的に強く接触(片当たり)することのないように、オイル側ガスケット側面17に沿うように傾斜させている。
【符号の説明】
【0034】
1…ヘッドカバー(第1の部材)
2…シリンダヘッド(第2の部材)
3…ガスケット溝
4…溝底面
5,6…ガスケット溝の側面
7…座面
10…ガスケット
11,21…シール部
12,22…頂部
14,24…第1側面
15,25…第2側面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材に形成されるガスケット溝の溝底面と、この溝底面に対向する第2の部材の座面と、の間で圧縮されて両部材間を密封するガスケットにおいて、
圧縮方向の一端に、その頂部へ向かって先細りする尾根形状をなすシール部が設けられ、このシール部では、頂部を挟んで一方の第1側面が他方の第2側面よりも外方へ張り出していることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
上記頂部がガスケット溝の幅方向中央に対して第2側面寄りにオフセットしていることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
上記シール部が、圧縮方向の両端にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
第1の部材に形成されるガスケット溝の溝底面と、この溝底面に対向する第2の部材の座面と、の間で圧縮されて両部材間を密封するガスケットにおいて、
圧縮方向の一端に、その頂部へ向かって先細りする尾根形状をなすシール部が設けられ、このシール部は、圧縮時に圧縮方向と直交する幅方向で所定方向に傾いて変形し、この所定方向のガスケット側面がガスケット溝の側面と接触するように設定されていることを特徴とするガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−158098(P2011−158098A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107828(P2011−107828)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【分割の表示】特願2005−184215(P2005−184215)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)
【Fターム(参考)】