ガスケット
【課題】 エンジンの吸入空気通路に設置される熱交換器の冷却効率を高めることができるガスケットを提供する。
【解決手段】 ガスケット85の外側シール部95は、内壁62に当接し、基部86および内側シール部98の内壁62側への移動を規制する。内側シール部98は、外壁82に当接し、基部86および外側シール部95の外壁82側への移動を規制する。これによれば、内壁62と外壁82との隙間がガスケット85に塞がれ、ハウジング42内の空気は上記隙間を通過することなしに空気冷却通路80を通過するので、インタークーラ65の冷却効率を高めることができる。また、ハウジング42内の空気の作用を受けたガスケット85の移動を外側シール部95および内側シール部98が規制するので、ガスケット85の内壁62および外壁82からの浮きを抑制し、インタークーラ65の冷却効率を一層高めることができる。
【解決手段】 ガスケット85の外側シール部95は、内壁62に当接し、基部86および内側シール部98の内壁62側への移動を規制する。内側シール部98は、外壁82に当接し、基部86および外側シール部95の外壁82側への移動を規制する。これによれば、内壁62と外壁82との隙間がガスケット85に塞がれ、ハウジング42内の空気は上記隙間を通過することなしに空気冷却通路80を通過するので、インタークーラ65の冷却効率を高めることができる。また、ハウジング42内の空気の作用を受けたガスケット85の移動を外側シール部95および内側シール部98が規制するので、ガスケット85の内壁62および外壁82からの浮きを抑制し、インタークーラ65の冷却効率を一層高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸入空気通路の内壁と吸入空気通路に設置される熱交換器の外壁との間に設けられるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの吸気充填率は、エンジンに供給される空気の温度が低いほど高まる。吸気充填率が高まると、より多くの燃料を燃焼させることが可能となり、エンジンの出力が増大する。このため、従来、エンジンの出力を増大させることを目的として、吸気装置が取り込んだ空気を冷却してからエンジンの気筒内に供給することが行われている。特許文献1に開示された水冷式の熱交換器は、吸気マニホールド内を流れる空気を冷却する。この熱交換器の外壁と吸気マニホールドの内壁との間には隙間がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−324686公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された熱交換器によると、吸気マニホールド内を流れる空気の一部は、熱交換器の空気冷却通路を通らずに上記隙間を通ってエンジンの気筒内に供給される。そのため、吸気マニホールド内を流れる空気の一部は、冷却されずにエンジンの気筒内に供給される。したがって、エンジンの吸入空気の冷却が十分に行われず、ノッキングの発生等が懸念される。
【0005】
これに対し、上記隙間をガスケットで塞ぐことが考えられる。このガスケットは、例えば、熱交換器の外壁に沿って周方向に延びる帯部と、この帯部から吸気マニホールドの内壁側に突き出し当該内壁に当接するシール部と、からなるゴム製のものが考えられる。
ところが、このガスケットは、吸気マニホールド内を流れる空気の作用を受けると熱交換器の外壁から離間するおそれがある。このようにガスケットが熱交換器の外壁から離間すると、熱交換器とガスケットとの間に隙間が空き、熱交換器の冷却効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンの吸入空気通路に設置される熱交換器の冷却効率を高めることができるガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、エンジンの吸入空気通路の内壁と吸入空気通路に設置される熱交換器の外壁との間に設けられるガスケットであって、基部、外側シール部および内側シール部を備える。基部は、前記内壁と前記外壁との間で吸入空気通路の流通方向に直交する周方向に延びるように形成される。
外側シール部は、基部と一体に形成され、基部から外側に突き出し前記内壁に当接する。この外側シール部は、基部と前記内壁との間の隙間を気密に封止するとともに、基部の前記内壁側への移動を規制する。
【0008】
内側シール部は、基部と一体に形成され、基部から内側に突き出し前記外壁に当接する。この内側シール部は、基部と前記外壁との間の隙間を気密に封止するとともに、基部の前記外壁側への移動を規制する。
これによれば、前記内壁と前記外壁との間の隙間がガスケットに塞がれるため、吸入空気通路を流れる空気は上記隙間を通過することなしに熱交換器の空気冷却通路を通過する。空気冷却通路を通過する空気は、熱交換器の冷却水に熱を奪われ冷却される。したがって、熱交換器の冷却効率を高めることができる。
【0009】
また、基部と前記内壁との間に介在する外側シール部は、吸入空気通路を流れる空気の作用を受けたガスケットの内側シール部が前記外壁から離間することを抑制する。また、基部と前記外壁との間に介在する内側シール部は、上記空気の作用を受けたガスケットの外側シール部が前記内壁から離間することを抑制する。したがって、ガスケットが前記内壁および前記外壁から浮くことに起因してガスケットと前記内壁および前記外壁との間に隙間が空くことを抑制し、熱交換器の冷却効率を一層高めることができる。
【0010】
ここで、前述の帯部とシール部とから一体に形成されるゴム製のガスケットの場合、ガスケットの浮きを解消するため、ガスケットの帯部に穴を形成するとともにこの穴に係合する鍵状突起を熱交換器に形成し、ガスケットの移動を鍵状突起で規制することが考えられる。しかし、これによると、鍵状突起と係合するガスケットの穴から亀裂が生じ易く、ガスケットの耐久性が低くなるという問題がある。
これに対し、請求項1に記載の発明によれば、鍵状突起と係合する穴をガスケットのゴム部分に形成することなしにガスケットが前記内壁および前記外壁から離間することを抑制可能であり、上記問題が生じない。
【0011】
また、熱交換器の外壁から外側に突き出す鍔部に装着し、吸入空気通路の内壁の溝に嵌め込むゴム製のガスケットの場合、吸入空気通路の内壁および熱交換器の外壁にガスケットが密着するため、ガスケットの浮きが解消される。ところが、熱交換器およびガスケットを吸入空気通路に設置するとき、ガスケットを厚み方向に潰しつつ吸入空気通路の内壁の溝に嵌め込む必要がある。そのため、ガスケットから熱交換器に作用する反力で熱交換器が変形するという問題がある。
これに対し、請求項1に記載の発明によれば、熱交換器の鍔部に装着することなしに且つ吸入空気通路の内壁の溝に嵌め込むことなしに、ガスケットを取り付けることができるので、上記問題が生じない。
【0012】
請求項2に記載の発明では、外側シール部は、基部のうち前記流通方向の上流側から前記内壁側に突き出す第1外側リップ、及び、基部のうち前記流通方向の下流側から前記内壁側に突き出す第2外側リップからなる。また、内側シール部は、基部のうち前記流通方向の上流側から前記外壁側に突き出す第1内側リップ、及び、基部のうち前記流通方向の下流側から前記外壁側に突き出す第2内側リップからなる。
このように、前記周方向に直交する断面がX字形のガスケットによれば、前記流通方向の上流側と下流側との2箇所で前記内壁および前記外壁に当接するので、ガスケットと前記内壁および前記外壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、ガスケットの姿勢が安定するので、ガスケットの振動を抑制することができる。したがって、前記内壁と前記外壁との隙間の封止状態を維持することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、ガスケットが前記内壁と前記外壁との間に設けられた状態で、第1外側リップは、基部から第2外側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記内壁に沿って前記流通方向の上流側に延びるように形成される。
これによれば、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受けた第1外側リップが前記内壁に押し付けられるので、ガスケットと前記内壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。
【0014】
請求項4に記載の発明では、ガスケットが前記内壁と前記外壁との間に設けられた状態で、第1内側リップは、基部から第2内側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記外壁に沿って前記流通方向の上流側に延びるように形成される。
これによれば、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受けた第1内側リップが前記外壁に押し付けられるので、ガスケットと前記外壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。
【0015】
請求項5に記載の発明では、基部は、前記内壁または前記外壁が形成する係合部と係合可能な被係合部を有する。また、請求項6に記載の発明では、基部の被係合部は、突起から構成される前記係合部が挿入可能な穴である。
これによれば、簡易な構成でガスケットを前記内壁または前記外壁に固定することができ、ガスケットの組み付け性が向上する。
【0016】
請求項7に記載の発明では、基部の被係合部は、前記内壁が形成する係合部と係合する。また、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受ける外側シール部の受圧面積は、上記空気の作用を受ける内側シール部の受圧面積よりも大きい。
これによれば、上記空気の作用を受けるガスケットは、このガスケットが固定される前記内壁側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0017】
請求項8に記載の発明では、基部の被係合部は、前記外壁が形成する係合部と係合する。また、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受ける内側シール部の受圧面積は、上記空気の作用を受ける外側シール部の受圧面積よりも大きい。
これによれば、上記空気の作用を受けるガスケットは、このガスケットが固定される前記外壁側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0018】
請求項9に記載の発明では、基部は、前記流通方向に突き出す突出部を有する。また、ガスケットは、基部の突出部に一体に形成され、前記内壁と前記外壁とに挟圧される弾性体からなる防振部を備える。
これによれば、ガスケットの振動を抑制することができ、ガスケットと前記内壁および前記外壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、防振部がガスケットの固定手段も兼ねるので、部品点数を削減するとともに組み付け工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態によるガスケットを用いた空気冷却器を備えるエンジンシステムの概念図である。
【図2】図1の空気冷却器のハウジングの上面図である。
【図3】図2のハウジングを矢印III方向から見た図である。
【図4】(a)図2のハウジングのIV−IV線断面図、(b)(a)の矢印b部の拡大図である。
【図5】図4のハウジングのV−V線断面図である。
【図6】図2の空気冷却器のインタークーラの上面図である。
【図7】図6のインタークーラを矢印VII方向から見た図である。
【図8】図2の矢印VIIIを拡大し、ハウジングの一部を切り欠いて断面で示す図である。
【図9】図2の空気冷却器のガスケットの斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるガスケットを示す断面図であって、第1実施形態における図4に対応する図である。
【図11】図10のハウジングのXI−XI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるガスケットは、図1に示すエンジンシステムが備える空気冷却器に用いられている。先ず、このエンジンシステムを説明する。
【0021】
図1に示すように、エンジンシステム1は、エンジン2、吸気装置10、排気装置22、過給機31および空気冷却器40を備えている。
エンジン2は、空気と燃料との混合気を気筒3内で圧縮した後に燃焼させ、気筒3内で膨張する燃焼ガスが図示しないピストンに作用する力を運動エネルギーとして取り出す。この運動エネルギーが車両の駆動力として利用される。エンジン2には、吸気装置10および排気装置22が接続されている。
【0022】
吸気装置10は、エアクリーナ11、空気冷却器40、スロットル弁装置13、吸気マニホールド15、及び、これらを接続する複数のインテークパイプ16、18、19、20、21から構成されている。インテークパイプ16は空気取込口17を有する。エアクリーナ11は、空気取込口17を通じて取り込んだ空気中の異物を除去する。空気冷却器40は、過給機31が圧縮した空気を冷却する。スロットル弁装置13は、空気冷却器40と吸気マニホールド15との間に設けられ、通路断面積を変化させて流量を制御する。吸気マニホールド15は、スロットル弁装置13から供給された空気をエンジン2の各気筒3に導く分岐管である。
【0023】
インテークパイプ16、エアクリーナ11、インテークパイプ18、過給機31のハウジング34、インテークパイプ19、空気冷却器40のハウジング42、インテークパイプ20、スロットル弁装置13のバルブボディ14、インテークパイプ21および吸気マニホールド15は、「吸入空気通路」を形成する吸入空気通路形成部材である。
【0024】
排気装置22は、排気マニホールド23、触媒コンバータ24、マフラー25、及び、これらを接続するエキゾーストパイプ26、27、28、29から構成されている。排気マニホールド23は、エンジン2の各気筒3から排出される排気を集合させる。触媒コンバータ24は、排気を浄化する。マフラー25は、排気騒音を低減させる。エキゾーストパイプ29は大気開放口30を有する。
排気マニホールド23、エキゾーストパイプ26、過給機31のハウジング35、エキゾーストパイプ27、触媒コンバータ24、エキゾーストパイプ28、マフラー25およびエキゾーストパイプ29は、排気通路を形成する排気通路形成部材である。
【0025】
過給機31は、排気駆動式であり、エンジン2の排気により回転駆動するタービンホイール32、このタービンホイール32と共に回転し空気を圧縮するコンプレッサホイール33、及び、ハウジング34、35から構成されている。過給機31は、空気を圧縮することによりエンジン2の各気筒3により多くの空気を送り込む、すなわち過給する装置である。
【0026】
空気冷却器40は、冷却水ポンプ41、ハウジング42、「熱交換器」としてのインタークーラ65、ガスケット85、サブラジエタ105、及び、冷却水パイプ106、107、108を有する。
冷却水ポンプ41は、空気冷却器40内の冷却水を強制的に循環させる。冷却水ポンプ41の吐出口は、冷却水パイプ106を介してインタークーラ65の入口パイプ69に接続されている。冷却水ポンプ41の吸入口は、冷却水パイプ108を介してサブラジエタ105に接続されている。
【0027】
インタークーラ65は、インテークパイプ19とインテークパイプ20とを互いに接続するハウジング42内に設けられている。インタークーラ65は、ハウジング42内を通過する空気の熱を奪うことでこの空気を冷却する水冷式の熱交換器である。インタークーラ65は、空気冷却器40における吸熱部として機能する。インタークーラ65は、冷却水パイプ107を介してサブラジエタ105に接続されている。
ガスケット85は、ハウジング42の内壁とインタークーラ65の外壁との間に設けられる。
【0028】
サブラジエタ105は、インタークーラ65から冷却水パイプ106を経由して送られる冷却水の熱を放出しこの冷却水を冷却する空冷式の熱交換器である。サブラジエタ105には例えば車両走行風や図示しない冷却ファンからの風が当てられ、放熱が促進される。サブラジエタ105は、空気冷却器40における放熱部として機能する。
【0029】
次に、空気冷却器40の構成を図2〜図9に基づき詳しく説明する。
図2〜図4に示すように、ハウジング42は、インタークーラ65を収容する収容部43と、収容部43とインテークパイプ19とを接続する導入管60と、収容部43とインテークパイプ20とを接続する導出管61とからなる。
図2、図4および図5に示すように、収容部43は箱形に形成される。具体的には、収容部43は、図4中に矢印Aで示す流通方向で対向する第1板部44および第2板部45と、前記流通方向と、図5中に矢印Bで示すインタークーラ65の差込方向とに直交する方向で対向する第3板部46および第4板部47と、上記各板部44〜47からなる筒の一端を塞ぐ第5板部48と、から一体に形成される。
【0030】
図4に示すように、第1板部44には導入管60に連通する通孔49が形成され、第2板部45には導出管61に連通する通孔50が形成されている。
図5に示すように、前記各板部44〜48からなる筒の他端の内側にはインタークーラ65の差込口51が形成され、外側にはインタークーラ65の取付部81を固定するフランジ部52が形成されている。また、第3板部46と第5板部48との接続部の内面、及び、第4板部47と第5板部48との接続部の内面は、曲面となるように形成されている。
ハウジング42のうち、第3板部46、第5板部48および第4板部47は、流通方向に直交する周方向において段差なく連なる内壁62を形成する。この内壁62は、特許請求の範囲における「内壁」に相当する。
【0031】
図4〜図7に示すように、インタークーラ65は、入口タンク66、中間タンク67、出口タンク68、入口パイプ69、出口パイプ70、連結部材71、72、クーラコア73および取付部81等から構成される。
入口タンク66および出口タンク68は、ハウジング42の収容部43内の差込口51側に配置される箱形のタンクである。各タンク66、68は、第3板部46および第4板部47に対し所定の間隔を空けて配置される。
入口パイプ69は、収容部43外で入口タンク66に接続する。入口タンク66と冷却水パイプ106とは、入口パイプ69を介して互いに連通する。出口パイプ70は、収容部43外で出口タンク68に接続する。出口タンク68と冷却水パイプ107とは、出口パイプ70を介して互いに連通する。
【0032】
中間タンク67は、ハウジング42の収容部43内の第5板部48側に配置される箱形のタンクである。この中間タンク67は、第3板部46と第4板部47と第5板部48とに対し所定の間隔を空けて配置される。中間タンク67のうち、流通方向に直交する周方向の角部の外面は、曲面となるように形成されている。
連結部材71、72は、入口タンク66および出口タンク68と中間タンク67とを互いに連結する板状の部材である。
図5および図7に示すように、出口タンク68、連結部材71、72、及び、中間タンク67は、流通方向に直交する周方向において段差なく連なる外壁82を形成する。この外壁82は、特許請求の範囲における「外壁」に相当する。
【0033】
図4、図5および図7に示すように、クーラコア73は、入口タンク66と中間タンク67との間に設けられる第1コア部74と、中間タンク67と出口タンク68との間に設けられる第2コア部77とから構成される。
第1コア部74は、入口タンク66と中間タンク67とを接続する複数の第1チューブ75、及び、各第1チューブ75の外壁に結合する複数の第1フィン76からなる。第1チューブ75は、横断面が流通方向に長手状をなす扁平なパイプで構成される。第1フィン76は、例えば波状に曲げられた薄板からなるコルゲートフィンである。
【0034】
第2コア部77は、中間タンク67と出口タンク68とを接続する複数の第2チューブ78、及び、各第2チューブ78の外壁に結合する複数の第2フィン79からなる。第2チューブ78は、第1チューブ75と同様に細く扁平なパイプで構成される。第2フィン79は、第1フィン76と同様にコルゲートフィンである。
クーラコア73は、各第1チューブ75間で第1フィン76に互いに仕切られる複数の隙間と、各第2チューブ78間で第2フィン79に互いに仕切られる複数の隙間と、からなる複数の空気冷却通路80を有する。
【0035】
図4、図5、図8および図9に示すように、ガスケット85は、基部86、外側シール部95、内側シール部98および防振部101から構成されている。
基部86は、ハウジング42の内壁62に沿って周方向に延びるように帯状に形成される。この基部86は、金属からなり、周方向に離間する位置に穴87、88、89、90、91、92を有する。これらの穴87〜92は、ハウジング42の内壁62が形成する突起53、54、55、56、57、58のいずれか1つに嵌合することでガスケット85を内壁62に固定する。突起53〜58は、特許請求項の範囲における「係合部」に相当し、穴87〜92は、特許請求項の範囲における「被係合部」に相当する。以下、突起53〜58を特に区別しないときは単に「突起」と記載し、また、穴87〜92を特に区別しないときは単に「穴」と記載する。
【0036】
外側シール部95は、基部86のうち流通方向の上流側から内壁62側に突き出す第1外側リップ96、及び、基部86のうち流通方向の下流側から内壁62側に突き出す第2外側リップ97からなる。
第1外側リップ96は、基部86から第2外側リップ97とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が内壁62に沿って流通方向の上流側に延びるように形成されている。第1外側リップ96は、後述の第1内側リップ99よりも流通方向に長く延びる。このため、流通方向の上流側の空気の作用を受ける第1外側リップ96の受圧面積は、上記空気の作用を受ける第1内側リップ99の受圧面積よりも大きい。
【0037】
第2外側リップ97は、基部86から第1外側リップ96とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が内壁62に沿って流通方向の下流側に延びるように形成されている。
外側シール部95は、流通方向の2箇所でハウジング42の内壁62に当接し、基部86と内壁62との間の隙間を気密に封止する。
【0038】
内側シール部98は、基部86のうち流通方向の上流側から外壁82側に突き出す第1内側リップ99、及び、基部86のうち流通方向の下流側から外壁82側に突き出す第2内側リップ100からなる。
第1内側リップ99は、基部86から第2内側リップ100とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が外壁82に沿って流通方向の上流側に延びるように形成されている。
第2内側リップ100は、基部86から第1内側リップ99とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が外壁82に沿って流通方向の下流側に延びるように形成されている。
内側シール部98は、流通方向の2箇所でインタークーラ65の外壁82に当接し、基部86と外壁82との間の隙間を気密に封止する。
【0039】
このように構成されるガスケット85は、周方向に直交する断面が図4に示すようにX字形である。外側シール部95は、隙間を封止する封止手段としてだけでなく、基部86の内壁62側への移動を規制する規制手段としても機能する。すなわち、基部86と内壁62との間に位置する外側シール部95は、内壁62側へ移動しようとする基部86に対しその移動を抑制する抗力を発生する。
また、内側シール部98は、隙間を封止する封止手段としてだけでなく、基部86の外壁82側への移動を規制する規制手段としても機能する。すなわち、基部86と外壁82との間に位置する内側シール部98は、外壁82側へ移動しようとする基部86に対しその移動を抑制する抗力を発生する。
【0040】
図6、図7および図10に示すように、インタークーラ65は、中間タンク67からクーラコア73とは反対側に突き出す組付用突起83を有する。また、図10に示すように、ハウジング42の第5板部48は、組付用突起83に対応する位置に当該組付用突起83が挿入可能な組付用溝59を有する。基部86は、流通方向の下流側に延びる突出部93を有する。この突出部93は、組付用突起83が挿通する通孔94を有する。
防振部101は、基部86の突出部93と一体に形成され、インタークーラ65の組付用突起83とハウジング42の組付用溝59の内壁とに挟圧される弾性体からなる。
外側シール部95、内側シール部98および防振部101は、例えば、ゴムからなり、基部86に焼き付けにより接合されている。本実施形態では、外側シール部95、内側シール部98および防振部101は一体に形成されている。
【0041】
次に、空気冷却器40の作動について説明する。
ハウジング42の収容部43の内壁62とインタークーラ65の外壁82との隙間がガスケット85により封止されているため、ハウジング42の導入管60を経由し収容部43に流入する空気は、その全てがインタークーラ65の空気冷却通路80を通過し、冷却される。そして、インタークーラ65の空気冷却通路80を通過した空気は、ハウジング42の導出管61等を経由しエンジン2に供給される。
【0042】
ガスケット85に対し上流側の空気は、ガスケット85の第1外側リップ96に作用し、この第1外側リップ96を内壁62に押し付ける。これにより第1外側リップ96が内壁62に密着する。また、ガスケット85に対し上流側の空気は、ガスケット85の第1内側リップ99に作用し、この第1内側リップ99を外壁82に押し付ける。これにより第1内側リップ99が外壁82に密着する。
【0043】
以上説明したように、第1実施形態によるガスケット85は、エンジン2の吸入空気通路を形成するハウジング42の内壁62とインタークーラ65の外壁82との間に設けられるガスケット85であって、基部86、外側シール部95および内側シール部98を備える。基部86は、内壁62と外壁82との間で吸入空気通路の流通方向に直交する周方向に延びるように形成される。
外側シール部95は、基部86と一体に形成され、基部86から外側に突き出して内壁62に当接する。この外側シール部95は、基部86と内壁62との間の隙間を気密に封止し、基部86の内壁62側への移動を規制する。
内側シール部98は、基部86と一体に形成され、基部86から内側に突き出して外壁82に当接する。この内側シール部98は、基部86と外壁82との間の隙間を気密に封止し、基部86の外壁82側への移動を規制する。
【0044】
これによれば、内壁62と外壁82との間の隙間がガスケット85に塞がれるため、ハウジング42内を流れる空気は上記隙間を通過することなしにインタークーラ65の空気冷却通路80を通過する。空気冷却通路80を通過する空気はインタークーラ65の冷却水に熱を奪われ冷却される。したがって、インタークーラ65の冷却効率を高めることができる。
また、ハウジング42内を流れる空気の作用を受けたガスケット85が内壁62側へ移動しようとすると外側シール部95がその移動を抑制する抗力を発生する。そのため、内側シール部98が外壁82から浮くことを抑制することができる。また、上記空気の作用を受けたガスケット85が外壁82側へ移動しようとすると内側シール部98がその移動を抑制する抗力を発生する。そのため、外側シール部95が内壁62から浮くことを抑制することができる。したがって、ガスケット85が内壁62および外壁82から浮くことでガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを抑制することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、外側シール部95は、基部86のうち流通方向の上流側から内壁62側に突き出す第1外側リップ96、及び、基部86のうち流通方向の下流側から内壁62側に突き出す第2外側リップ97からなる。また、内側シール部98は、基部86のうち流通方向の上流側から外壁82側に突き出す第1内側リップ99、及び、基部86のうち流通方向の下流側から外壁82側に突き出す第2内側リップ100からなる。
このように、周方向に直交する断面がX字形のガスケット85によれば、流通方向の上流側と下流側との2箇所で内壁62および外壁82に当接するので、ガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、ガスケット85の姿勢が安定するので、ガスケット85の振動を抑制することができる。したがって、内壁62と外壁82との隙間の封止状態を維持することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、第1外側リップは、基部86から第2外側リップ97とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が内壁62に沿って流通方向の上流側に延びるように形成される。また、第1内側リップ99は、基部86から第2内側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が外壁82に沿って流通方向の上流側に延びるように形成される。
これによれば、ガスケット85に対し上流側の空気の作用を受けた第1外側リップ96が内壁62に押し付けられ、また上記空気の作用を受けた第1内側リップ99が外壁82に押し付けられるので、ガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。
【0047】
また、第1実施形態では、基部86は、金属または樹脂からなる。また、基部86は、内壁62が形成する複数の突起53〜58がそれぞれ嵌合する複数の穴87〜92を有する。
これによれば、簡易な構成でガスケット85を内壁62に固定することができ、ガスケット85の組み付け性が向上する。
【0048】
また、第1実施形態では、ガスケット85に対し上流側の空気の作用を受ける第1外側リップ96の受圧面積は、上記空気の作用を受ける第1内側リップ99の受圧面積よりも大きい。
これによれば、上記空気の作用を受けるガスケット85は、このガスケット85が固定される内壁62側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0049】
また、第1実施形態によるガスケット85は、基部86の突出部93に一体に形成され、インタークーラ65の組付用突起83とハウジング42の組付用溝59の内壁とに挟圧される弾性体からなる防振部101を備える。この防振部101は、例えば、ゴムからなり、外側シール部95および内側シール部98と一体に形成され、基部86に焼き付けにより接合されている。
これによれば、ガスケット85の振動を抑制することができ、ガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、防振部がガスケット85の固定手段も兼ねるので、部品点数を削減するとともに組み付け工数を低減することができる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるガスケットを図11および図12に基づき説明する。
図12に示すように、第2実施形態によるガスケット110の基部86が有する複数の穴87〜92は、インタークーラ120の外壁121が形成する複数の突起122〜127のいずれか1つに嵌合する。これにより、ガスケット110はインタークーラ120の外壁121に固定される。
【0051】
図11に示すように、ガスケット110の外側シール部111は、第1外側リップ112および第2外側リップ113からなり、内側シール部114は、第1内側リップ115および第2内側リップ116からなる。第1外側リップ112は、第1内側リップ115よりも流通方向の上流側に長く延びる。このため、流通方向の上流側の空気の作用を受ける第1外側リップ112の受圧面積は、上記空気の作用を受ける第1内側リップ115の受圧面積よりも大きい。そのため、上記空気の作用を受けるガスケット110は、このガスケット110が固定される外壁121側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0052】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、外側シール部は、第1外側リップのみで構成されてもよい。また、第1外側リップは、吸入空気通路の内壁に当接し隙間を封止していればよく、必ずしも先端部が流通方向の上流側に延びていなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、内側シール部は、第1内側リップのみで構成されてもよい。また、第1内側リップは、インタークーラの外壁に当接し隙間を封止していればよく、必ずしも先端部が流通方向の上流側に延びていなくてもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態では、ガスケットの基部は、吸入空気通路の内壁または熱交換器の外壁が形成する係合部と係合可能な被係合部を有していなくてもよい。また、上記被係合部が設けられる場合、それが穴である必要はなく、例えば凹部や突起等であってもよい。
本発明の他の実施形態では、流通方向の上流側の流体の作用を受けるガスケットの外側シール部の受圧面積は、前記流体の作用を受ける内側シール部の受圧面積と同じであってもよい。
【0054】
本発明の他の実施形態では、ガスケットの基部が突出部を有さず、ガスケットが防振部を備えていなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ガスケットの基部は、金属に限らず、例えば樹脂等から作られてもよい。
本発明の他の実施形態では、空気冷却器にガスケットが複数用いられてもよい。
【0055】
本発明の他の実施形態では、ガスケットは、吸入空気通路内のどこに設けられてもよい。例えば、スロットル弁装置に対しエンジン側に設けられてもよい等、種々の形態が考えられる。
本発明の他の実施形態では、ガスケットは、種々のエンジンシステムに適用され得る。例えば、EGR装置を備えるエンジンシステムに適用されてもよいし、過給機を備えていないエンジンシステムに適用されてもよい。
【0056】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0057】
2 :エンジン
62 :内壁
65、120:インタークーラ(熱交換器)
82、121:外壁
85、110:ガスケット
86 :基部
95、111:外側シール部
96、112:第1外側リップ
97、113:第2外側リップ
98、114:内側シール部
99、115:第1内側リップ
100、116:第2内側リップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸入空気通路の内壁と吸入空気通路に設置される熱交換器の外壁との間に設けられるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの吸気充填率は、エンジンに供給される空気の温度が低いほど高まる。吸気充填率が高まると、より多くの燃料を燃焼させることが可能となり、エンジンの出力が増大する。このため、従来、エンジンの出力を増大させることを目的として、吸気装置が取り込んだ空気を冷却してからエンジンの気筒内に供給することが行われている。特許文献1に開示された水冷式の熱交換器は、吸気マニホールド内を流れる空気を冷却する。この熱交換器の外壁と吸気マニホールドの内壁との間には隙間がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−324686公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された熱交換器によると、吸気マニホールド内を流れる空気の一部は、熱交換器の空気冷却通路を通らずに上記隙間を通ってエンジンの気筒内に供給される。そのため、吸気マニホールド内を流れる空気の一部は、冷却されずにエンジンの気筒内に供給される。したがって、エンジンの吸入空気の冷却が十分に行われず、ノッキングの発生等が懸念される。
【0005】
これに対し、上記隙間をガスケットで塞ぐことが考えられる。このガスケットは、例えば、熱交換器の外壁に沿って周方向に延びる帯部と、この帯部から吸気マニホールドの内壁側に突き出し当該内壁に当接するシール部と、からなるゴム製のものが考えられる。
ところが、このガスケットは、吸気マニホールド内を流れる空気の作用を受けると熱交換器の外壁から離間するおそれがある。このようにガスケットが熱交換器の外壁から離間すると、熱交換器とガスケットとの間に隙間が空き、熱交換器の冷却効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンの吸入空気通路に設置される熱交換器の冷却効率を高めることができるガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、エンジンの吸入空気通路の内壁と吸入空気通路に設置される熱交換器の外壁との間に設けられるガスケットであって、基部、外側シール部および内側シール部を備える。基部は、前記内壁と前記外壁との間で吸入空気通路の流通方向に直交する周方向に延びるように形成される。
外側シール部は、基部と一体に形成され、基部から外側に突き出し前記内壁に当接する。この外側シール部は、基部と前記内壁との間の隙間を気密に封止するとともに、基部の前記内壁側への移動を規制する。
【0008】
内側シール部は、基部と一体に形成され、基部から内側に突き出し前記外壁に当接する。この内側シール部は、基部と前記外壁との間の隙間を気密に封止するとともに、基部の前記外壁側への移動を規制する。
これによれば、前記内壁と前記外壁との間の隙間がガスケットに塞がれるため、吸入空気通路を流れる空気は上記隙間を通過することなしに熱交換器の空気冷却通路を通過する。空気冷却通路を通過する空気は、熱交換器の冷却水に熱を奪われ冷却される。したがって、熱交換器の冷却効率を高めることができる。
【0009】
また、基部と前記内壁との間に介在する外側シール部は、吸入空気通路を流れる空気の作用を受けたガスケットの内側シール部が前記外壁から離間することを抑制する。また、基部と前記外壁との間に介在する内側シール部は、上記空気の作用を受けたガスケットの外側シール部が前記内壁から離間することを抑制する。したがって、ガスケットが前記内壁および前記外壁から浮くことに起因してガスケットと前記内壁および前記外壁との間に隙間が空くことを抑制し、熱交換器の冷却効率を一層高めることができる。
【0010】
ここで、前述の帯部とシール部とから一体に形成されるゴム製のガスケットの場合、ガスケットの浮きを解消するため、ガスケットの帯部に穴を形成するとともにこの穴に係合する鍵状突起を熱交換器に形成し、ガスケットの移動を鍵状突起で規制することが考えられる。しかし、これによると、鍵状突起と係合するガスケットの穴から亀裂が生じ易く、ガスケットの耐久性が低くなるという問題がある。
これに対し、請求項1に記載の発明によれば、鍵状突起と係合する穴をガスケットのゴム部分に形成することなしにガスケットが前記内壁および前記外壁から離間することを抑制可能であり、上記問題が生じない。
【0011】
また、熱交換器の外壁から外側に突き出す鍔部に装着し、吸入空気通路の内壁の溝に嵌め込むゴム製のガスケットの場合、吸入空気通路の内壁および熱交換器の外壁にガスケットが密着するため、ガスケットの浮きが解消される。ところが、熱交換器およびガスケットを吸入空気通路に設置するとき、ガスケットを厚み方向に潰しつつ吸入空気通路の内壁の溝に嵌め込む必要がある。そのため、ガスケットから熱交換器に作用する反力で熱交換器が変形するという問題がある。
これに対し、請求項1に記載の発明によれば、熱交換器の鍔部に装着することなしに且つ吸入空気通路の内壁の溝に嵌め込むことなしに、ガスケットを取り付けることができるので、上記問題が生じない。
【0012】
請求項2に記載の発明では、外側シール部は、基部のうち前記流通方向の上流側から前記内壁側に突き出す第1外側リップ、及び、基部のうち前記流通方向の下流側から前記内壁側に突き出す第2外側リップからなる。また、内側シール部は、基部のうち前記流通方向の上流側から前記外壁側に突き出す第1内側リップ、及び、基部のうち前記流通方向の下流側から前記外壁側に突き出す第2内側リップからなる。
このように、前記周方向に直交する断面がX字形のガスケットによれば、前記流通方向の上流側と下流側との2箇所で前記内壁および前記外壁に当接するので、ガスケットと前記内壁および前記外壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、ガスケットの姿勢が安定するので、ガスケットの振動を抑制することができる。したがって、前記内壁と前記外壁との隙間の封止状態を維持することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、ガスケットが前記内壁と前記外壁との間に設けられた状態で、第1外側リップは、基部から第2外側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記内壁に沿って前記流通方向の上流側に延びるように形成される。
これによれば、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受けた第1外側リップが前記内壁に押し付けられるので、ガスケットと前記内壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。
【0014】
請求項4に記載の発明では、ガスケットが前記内壁と前記外壁との間に設けられた状態で、第1内側リップは、基部から第2内側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記外壁に沿って前記流通方向の上流側に延びるように形成される。
これによれば、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受けた第1内側リップが前記外壁に押し付けられるので、ガスケットと前記外壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。
【0015】
請求項5に記載の発明では、基部は、前記内壁または前記外壁が形成する係合部と係合可能な被係合部を有する。また、請求項6に記載の発明では、基部の被係合部は、突起から構成される前記係合部が挿入可能な穴である。
これによれば、簡易な構成でガスケットを前記内壁または前記外壁に固定することができ、ガスケットの組み付け性が向上する。
【0016】
請求項7に記載の発明では、基部の被係合部は、前記内壁が形成する係合部と係合する。また、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受ける外側シール部の受圧面積は、上記空気の作用を受ける内側シール部の受圧面積よりも大きい。
これによれば、上記空気の作用を受けるガスケットは、このガスケットが固定される前記内壁側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0017】
請求項8に記載の発明では、基部の被係合部は、前記外壁が形成する係合部と係合する。また、ガスケットに対し上流側の空気の作用を受ける内側シール部の受圧面積は、上記空気の作用を受ける外側シール部の受圧面積よりも大きい。
これによれば、上記空気の作用を受けるガスケットは、このガスケットが固定される前記外壁側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0018】
請求項9に記載の発明では、基部は、前記流通方向に突き出す突出部を有する。また、ガスケットは、基部の突出部に一体に形成され、前記内壁と前記外壁とに挟圧される弾性体からなる防振部を備える。
これによれば、ガスケットの振動を抑制することができ、ガスケットと前記内壁および前記外壁との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、防振部がガスケットの固定手段も兼ねるので、部品点数を削減するとともに組み付け工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態によるガスケットを用いた空気冷却器を備えるエンジンシステムの概念図である。
【図2】図1の空気冷却器のハウジングの上面図である。
【図3】図2のハウジングを矢印III方向から見た図である。
【図4】(a)図2のハウジングのIV−IV線断面図、(b)(a)の矢印b部の拡大図である。
【図5】図4のハウジングのV−V線断面図である。
【図6】図2の空気冷却器のインタークーラの上面図である。
【図7】図6のインタークーラを矢印VII方向から見た図である。
【図8】図2の矢印VIIIを拡大し、ハウジングの一部を切り欠いて断面で示す図である。
【図9】図2の空気冷却器のガスケットの斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるガスケットを示す断面図であって、第1実施形態における図4に対応する図である。
【図11】図10のハウジングのXI−XI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるガスケットは、図1に示すエンジンシステムが備える空気冷却器に用いられている。先ず、このエンジンシステムを説明する。
【0021】
図1に示すように、エンジンシステム1は、エンジン2、吸気装置10、排気装置22、過給機31および空気冷却器40を備えている。
エンジン2は、空気と燃料との混合気を気筒3内で圧縮した後に燃焼させ、気筒3内で膨張する燃焼ガスが図示しないピストンに作用する力を運動エネルギーとして取り出す。この運動エネルギーが車両の駆動力として利用される。エンジン2には、吸気装置10および排気装置22が接続されている。
【0022】
吸気装置10は、エアクリーナ11、空気冷却器40、スロットル弁装置13、吸気マニホールド15、及び、これらを接続する複数のインテークパイプ16、18、19、20、21から構成されている。インテークパイプ16は空気取込口17を有する。エアクリーナ11は、空気取込口17を通じて取り込んだ空気中の異物を除去する。空気冷却器40は、過給機31が圧縮した空気を冷却する。スロットル弁装置13は、空気冷却器40と吸気マニホールド15との間に設けられ、通路断面積を変化させて流量を制御する。吸気マニホールド15は、スロットル弁装置13から供給された空気をエンジン2の各気筒3に導く分岐管である。
【0023】
インテークパイプ16、エアクリーナ11、インテークパイプ18、過給機31のハウジング34、インテークパイプ19、空気冷却器40のハウジング42、インテークパイプ20、スロットル弁装置13のバルブボディ14、インテークパイプ21および吸気マニホールド15は、「吸入空気通路」を形成する吸入空気通路形成部材である。
【0024】
排気装置22は、排気マニホールド23、触媒コンバータ24、マフラー25、及び、これらを接続するエキゾーストパイプ26、27、28、29から構成されている。排気マニホールド23は、エンジン2の各気筒3から排出される排気を集合させる。触媒コンバータ24は、排気を浄化する。マフラー25は、排気騒音を低減させる。エキゾーストパイプ29は大気開放口30を有する。
排気マニホールド23、エキゾーストパイプ26、過給機31のハウジング35、エキゾーストパイプ27、触媒コンバータ24、エキゾーストパイプ28、マフラー25およびエキゾーストパイプ29は、排気通路を形成する排気通路形成部材である。
【0025】
過給機31は、排気駆動式であり、エンジン2の排気により回転駆動するタービンホイール32、このタービンホイール32と共に回転し空気を圧縮するコンプレッサホイール33、及び、ハウジング34、35から構成されている。過給機31は、空気を圧縮することによりエンジン2の各気筒3により多くの空気を送り込む、すなわち過給する装置である。
【0026】
空気冷却器40は、冷却水ポンプ41、ハウジング42、「熱交換器」としてのインタークーラ65、ガスケット85、サブラジエタ105、及び、冷却水パイプ106、107、108を有する。
冷却水ポンプ41は、空気冷却器40内の冷却水を強制的に循環させる。冷却水ポンプ41の吐出口は、冷却水パイプ106を介してインタークーラ65の入口パイプ69に接続されている。冷却水ポンプ41の吸入口は、冷却水パイプ108を介してサブラジエタ105に接続されている。
【0027】
インタークーラ65は、インテークパイプ19とインテークパイプ20とを互いに接続するハウジング42内に設けられている。インタークーラ65は、ハウジング42内を通過する空気の熱を奪うことでこの空気を冷却する水冷式の熱交換器である。インタークーラ65は、空気冷却器40における吸熱部として機能する。インタークーラ65は、冷却水パイプ107を介してサブラジエタ105に接続されている。
ガスケット85は、ハウジング42の内壁とインタークーラ65の外壁との間に設けられる。
【0028】
サブラジエタ105は、インタークーラ65から冷却水パイプ106を経由して送られる冷却水の熱を放出しこの冷却水を冷却する空冷式の熱交換器である。サブラジエタ105には例えば車両走行風や図示しない冷却ファンからの風が当てられ、放熱が促進される。サブラジエタ105は、空気冷却器40における放熱部として機能する。
【0029】
次に、空気冷却器40の構成を図2〜図9に基づき詳しく説明する。
図2〜図4に示すように、ハウジング42は、インタークーラ65を収容する収容部43と、収容部43とインテークパイプ19とを接続する導入管60と、収容部43とインテークパイプ20とを接続する導出管61とからなる。
図2、図4および図5に示すように、収容部43は箱形に形成される。具体的には、収容部43は、図4中に矢印Aで示す流通方向で対向する第1板部44および第2板部45と、前記流通方向と、図5中に矢印Bで示すインタークーラ65の差込方向とに直交する方向で対向する第3板部46および第4板部47と、上記各板部44〜47からなる筒の一端を塞ぐ第5板部48と、から一体に形成される。
【0030】
図4に示すように、第1板部44には導入管60に連通する通孔49が形成され、第2板部45には導出管61に連通する通孔50が形成されている。
図5に示すように、前記各板部44〜48からなる筒の他端の内側にはインタークーラ65の差込口51が形成され、外側にはインタークーラ65の取付部81を固定するフランジ部52が形成されている。また、第3板部46と第5板部48との接続部の内面、及び、第4板部47と第5板部48との接続部の内面は、曲面となるように形成されている。
ハウジング42のうち、第3板部46、第5板部48および第4板部47は、流通方向に直交する周方向において段差なく連なる内壁62を形成する。この内壁62は、特許請求の範囲における「内壁」に相当する。
【0031】
図4〜図7に示すように、インタークーラ65は、入口タンク66、中間タンク67、出口タンク68、入口パイプ69、出口パイプ70、連結部材71、72、クーラコア73および取付部81等から構成される。
入口タンク66および出口タンク68は、ハウジング42の収容部43内の差込口51側に配置される箱形のタンクである。各タンク66、68は、第3板部46および第4板部47に対し所定の間隔を空けて配置される。
入口パイプ69は、収容部43外で入口タンク66に接続する。入口タンク66と冷却水パイプ106とは、入口パイプ69を介して互いに連通する。出口パイプ70は、収容部43外で出口タンク68に接続する。出口タンク68と冷却水パイプ107とは、出口パイプ70を介して互いに連通する。
【0032】
中間タンク67は、ハウジング42の収容部43内の第5板部48側に配置される箱形のタンクである。この中間タンク67は、第3板部46と第4板部47と第5板部48とに対し所定の間隔を空けて配置される。中間タンク67のうち、流通方向に直交する周方向の角部の外面は、曲面となるように形成されている。
連結部材71、72は、入口タンク66および出口タンク68と中間タンク67とを互いに連結する板状の部材である。
図5および図7に示すように、出口タンク68、連結部材71、72、及び、中間タンク67は、流通方向に直交する周方向において段差なく連なる外壁82を形成する。この外壁82は、特許請求の範囲における「外壁」に相当する。
【0033】
図4、図5および図7に示すように、クーラコア73は、入口タンク66と中間タンク67との間に設けられる第1コア部74と、中間タンク67と出口タンク68との間に設けられる第2コア部77とから構成される。
第1コア部74は、入口タンク66と中間タンク67とを接続する複数の第1チューブ75、及び、各第1チューブ75の外壁に結合する複数の第1フィン76からなる。第1チューブ75は、横断面が流通方向に長手状をなす扁平なパイプで構成される。第1フィン76は、例えば波状に曲げられた薄板からなるコルゲートフィンである。
【0034】
第2コア部77は、中間タンク67と出口タンク68とを接続する複数の第2チューブ78、及び、各第2チューブ78の外壁に結合する複数の第2フィン79からなる。第2チューブ78は、第1チューブ75と同様に細く扁平なパイプで構成される。第2フィン79は、第1フィン76と同様にコルゲートフィンである。
クーラコア73は、各第1チューブ75間で第1フィン76に互いに仕切られる複数の隙間と、各第2チューブ78間で第2フィン79に互いに仕切られる複数の隙間と、からなる複数の空気冷却通路80を有する。
【0035】
図4、図5、図8および図9に示すように、ガスケット85は、基部86、外側シール部95、内側シール部98および防振部101から構成されている。
基部86は、ハウジング42の内壁62に沿って周方向に延びるように帯状に形成される。この基部86は、金属からなり、周方向に離間する位置に穴87、88、89、90、91、92を有する。これらの穴87〜92は、ハウジング42の内壁62が形成する突起53、54、55、56、57、58のいずれか1つに嵌合することでガスケット85を内壁62に固定する。突起53〜58は、特許請求項の範囲における「係合部」に相当し、穴87〜92は、特許請求項の範囲における「被係合部」に相当する。以下、突起53〜58を特に区別しないときは単に「突起」と記載し、また、穴87〜92を特に区別しないときは単に「穴」と記載する。
【0036】
外側シール部95は、基部86のうち流通方向の上流側から内壁62側に突き出す第1外側リップ96、及び、基部86のうち流通方向の下流側から内壁62側に突き出す第2外側リップ97からなる。
第1外側リップ96は、基部86から第2外側リップ97とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が内壁62に沿って流通方向の上流側に延びるように形成されている。第1外側リップ96は、後述の第1内側リップ99よりも流通方向に長く延びる。このため、流通方向の上流側の空気の作用を受ける第1外側リップ96の受圧面積は、上記空気の作用を受ける第1内側リップ99の受圧面積よりも大きい。
【0037】
第2外側リップ97は、基部86から第1外側リップ96とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が内壁62に沿って流通方向の下流側に延びるように形成されている。
外側シール部95は、流通方向の2箇所でハウジング42の内壁62に当接し、基部86と内壁62との間の隙間を気密に封止する。
【0038】
内側シール部98は、基部86のうち流通方向の上流側から外壁82側に突き出す第1内側リップ99、及び、基部86のうち流通方向の下流側から外壁82側に突き出す第2内側リップ100からなる。
第1内側リップ99は、基部86から第2内側リップ100とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が外壁82に沿って流通方向の上流側に延びるように形成されている。
第2内側リップ100は、基部86から第1内側リップ99とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が外壁82に沿って流通方向の下流側に延びるように形成されている。
内側シール部98は、流通方向の2箇所でインタークーラ65の外壁82に当接し、基部86と外壁82との間の隙間を気密に封止する。
【0039】
このように構成されるガスケット85は、周方向に直交する断面が図4に示すようにX字形である。外側シール部95は、隙間を封止する封止手段としてだけでなく、基部86の内壁62側への移動を規制する規制手段としても機能する。すなわち、基部86と内壁62との間に位置する外側シール部95は、内壁62側へ移動しようとする基部86に対しその移動を抑制する抗力を発生する。
また、内側シール部98は、隙間を封止する封止手段としてだけでなく、基部86の外壁82側への移動を規制する規制手段としても機能する。すなわち、基部86と外壁82との間に位置する内側シール部98は、外壁82側へ移動しようとする基部86に対しその移動を抑制する抗力を発生する。
【0040】
図6、図7および図10に示すように、インタークーラ65は、中間タンク67からクーラコア73とは反対側に突き出す組付用突起83を有する。また、図10に示すように、ハウジング42の第5板部48は、組付用突起83に対応する位置に当該組付用突起83が挿入可能な組付用溝59を有する。基部86は、流通方向の下流側に延びる突出部93を有する。この突出部93は、組付用突起83が挿通する通孔94を有する。
防振部101は、基部86の突出部93と一体に形成され、インタークーラ65の組付用突起83とハウジング42の組付用溝59の内壁とに挟圧される弾性体からなる。
外側シール部95、内側シール部98および防振部101は、例えば、ゴムからなり、基部86に焼き付けにより接合されている。本実施形態では、外側シール部95、内側シール部98および防振部101は一体に形成されている。
【0041】
次に、空気冷却器40の作動について説明する。
ハウジング42の収容部43の内壁62とインタークーラ65の外壁82との隙間がガスケット85により封止されているため、ハウジング42の導入管60を経由し収容部43に流入する空気は、その全てがインタークーラ65の空気冷却通路80を通過し、冷却される。そして、インタークーラ65の空気冷却通路80を通過した空気は、ハウジング42の導出管61等を経由しエンジン2に供給される。
【0042】
ガスケット85に対し上流側の空気は、ガスケット85の第1外側リップ96に作用し、この第1外側リップ96を内壁62に押し付ける。これにより第1外側リップ96が内壁62に密着する。また、ガスケット85に対し上流側の空気は、ガスケット85の第1内側リップ99に作用し、この第1内側リップ99を外壁82に押し付ける。これにより第1内側リップ99が外壁82に密着する。
【0043】
以上説明したように、第1実施形態によるガスケット85は、エンジン2の吸入空気通路を形成するハウジング42の内壁62とインタークーラ65の外壁82との間に設けられるガスケット85であって、基部86、外側シール部95および内側シール部98を備える。基部86は、内壁62と外壁82との間で吸入空気通路の流通方向に直交する周方向に延びるように形成される。
外側シール部95は、基部86と一体に形成され、基部86から外側に突き出して内壁62に当接する。この外側シール部95は、基部86と内壁62との間の隙間を気密に封止し、基部86の内壁62側への移動を規制する。
内側シール部98は、基部86と一体に形成され、基部86から内側に突き出して外壁82に当接する。この内側シール部98は、基部86と外壁82との間の隙間を気密に封止し、基部86の外壁82側への移動を規制する。
【0044】
これによれば、内壁62と外壁82との間の隙間がガスケット85に塞がれるため、ハウジング42内を流れる空気は上記隙間を通過することなしにインタークーラ65の空気冷却通路80を通過する。空気冷却通路80を通過する空気はインタークーラ65の冷却水に熱を奪われ冷却される。したがって、インタークーラ65の冷却効率を高めることができる。
また、ハウジング42内を流れる空気の作用を受けたガスケット85が内壁62側へ移動しようとすると外側シール部95がその移動を抑制する抗力を発生する。そのため、内側シール部98が外壁82から浮くことを抑制することができる。また、上記空気の作用を受けたガスケット85が外壁82側へ移動しようとすると内側シール部98がその移動を抑制する抗力を発生する。そのため、外側シール部95が内壁62から浮くことを抑制することができる。したがって、ガスケット85が内壁62および外壁82から浮くことでガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを抑制することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、外側シール部95は、基部86のうち流通方向の上流側から内壁62側に突き出す第1外側リップ96、及び、基部86のうち流通方向の下流側から内壁62側に突き出す第2外側リップ97からなる。また、内側シール部98は、基部86のうち流通方向の上流側から外壁82側に突き出す第1内側リップ99、及び、基部86のうち流通方向の下流側から外壁82側に突き出す第2内側リップ100からなる。
このように、周方向に直交する断面がX字形のガスケット85によれば、流通方向の上流側と下流側との2箇所で内壁62および外壁82に当接するので、ガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、ガスケット85の姿勢が安定するので、ガスケット85の振動を抑制することができる。したがって、内壁62と外壁82との隙間の封止状態を維持することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、第1外側リップは、基部86から第2外側リップ97とは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が内壁62に沿って流通方向の上流側に延びるように形成される。また、第1内側リップ99は、基部86から第2内側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が外壁82に沿って流通方向の上流側に延びるように形成される。
これによれば、ガスケット85に対し上流側の空気の作用を受けた第1外側リップ96が内壁62に押し付けられ、また上記空気の作用を受けた第1内側リップ99が外壁82に押し付けられるので、ガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。
【0047】
また、第1実施形態では、基部86は、金属または樹脂からなる。また、基部86は、内壁62が形成する複数の突起53〜58がそれぞれ嵌合する複数の穴87〜92を有する。
これによれば、簡易な構成でガスケット85を内壁62に固定することができ、ガスケット85の組み付け性が向上する。
【0048】
また、第1実施形態では、ガスケット85に対し上流側の空気の作用を受ける第1外側リップ96の受圧面積は、上記空気の作用を受ける第1内側リップ99の受圧面積よりも大きい。
これによれば、上記空気の作用を受けるガスケット85は、このガスケット85が固定される内壁62側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0049】
また、第1実施形態によるガスケット85は、基部86の突出部93に一体に形成され、インタークーラ65の組付用突起83とハウジング42の組付用溝59の内壁とに挟圧される弾性体からなる防振部101を備える。この防振部101は、例えば、ゴムからなり、外側シール部95および内側シール部98と一体に形成され、基部86に焼き付けにより接合されている。
これによれば、ガスケット85の振動を抑制することができ、ガスケット85と内壁62および外壁82との間に隙間が空くことを一層抑制可能である。また、防振部がガスケット85の固定手段も兼ねるので、部品点数を削減するとともに組み付け工数を低減することができる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるガスケットを図11および図12に基づき説明する。
図12に示すように、第2実施形態によるガスケット110の基部86が有する複数の穴87〜92は、インタークーラ120の外壁121が形成する複数の突起122〜127のいずれか1つに嵌合する。これにより、ガスケット110はインタークーラ120の外壁121に固定される。
【0051】
図11に示すように、ガスケット110の外側シール部111は、第1外側リップ112および第2外側リップ113からなり、内側シール部114は、第1内側リップ115および第2内側リップ116からなる。第1外側リップ112は、第1内側リップ115よりも流通方向の上流側に長く延びる。このため、流通方向の上流側の空気の作用を受ける第1外側リップ112の受圧面積は、上記空気の作用を受ける第1内側リップ115の受圧面積よりも大きい。そのため、上記空気の作用を受けるガスケット110は、このガスケット110が固定される外壁121側に一層押し付けられ、保持力が増す。
【0052】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、外側シール部は、第1外側リップのみで構成されてもよい。また、第1外側リップは、吸入空気通路の内壁に当接し隙間を封止していればよく、必ずしも先端部が流通方向の上流側に延びていなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、内側シール部は、第1内側リップのみで構成されてもよい。また、第1内側リップは、インタークーラの外壁に当接し隙間を封止していればよく、必ずしも先端部が流通方向の上流側に延びていなくてもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態では、ガスケットの基部は、吸入空気通路の内壁または熱交換器の外壁が形成する係合部と係合可能な被係合部を有していなくてもよい。また、上記被係合部が設けられる場合、それが穴である必要はなく、例えば凹部や突起等であってもよい。
本発明の他の実施形態では、流通方向の上流側の流体の作用を受けるガスケットの外側シール部の受圧面積は、前記流体の作用を受ける内側シール部の受圧面積と同じであってもよい。
【0054】
本発明の他の実施形態では、ガスケットの基部が突出部を有さず、ガスケットが防振部を備えていなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ガスケットの基部は、金属に限らず、例えば樹脂等から作られてもよい。
本発明の他の実施形態では、空気冷却器にガスケットが複数用いられてもよい。
【0055】
本発明の他の実施形態では、ガスケットは、吸入空気通路内のどこに設けられてもよい。例えば、スロットル弁装置に対しエンジン側に設けられてもよい等、種々の形態が考えられる。
本発明の他の実施形態では、ガスケットは、種々のエンジンシステムに適用され得る。例えば、EGR装置を備えるエンジンシステムに適用されてもよいし、過給機を備えていないエンジンシステムに適用されてもよい。
【0056】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0057】
2 :エンジン
62 :内壁
65、120:インタークーラ(熱交換器)
82、121:外壁
85、110:ガスケット
86 :基部
95、111:外側シール部
96、112:第1外側リップ
97、113:第2外側リップ
98、114:内側シール部
99、115:第1内側リップ
100、116:第2内側リップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸入空気通路の内壁と前記吸入空気通路に設置される熱交換器の外壁との間に設けられるガスケットであって、
前記内壁と前記外壁との間で前記吸入空気通路の流通方向に直交する周方向に延びる基部と、
前記基部と一体に形成され、前記基部から外側に突き出して前記内壁に当接することにより前記基部と前記内壁との間の隙間を気密に封止し、前記基部の前記内壁側への移動を規制する外側シール部と、
前記基部と一体に形成され、前記基部から内側に突き出して前記外壁に当接することにより前記基部と前記外壁との間の隙間を気密に封止し、前記基部の前記外壁側への移動を規制する内側シール部と、
を備えることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記外側シール部は、前記基部のうち前記流通方向の上流側から前記内壁側に突き出す第1外側リップ、及び、前記基部のうち前記流通方向の下流側から前記内壁側に突き出す第2外側リップからなり、
前記内側シール部は、前記基部のうち前記流通方向の上流側から前記外壁側に突き出す第1内側リップ、及び、前記基部のうち前記流通方向の下流側から前記外壁側に突き出す第2内側リップからなることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記第1外側リップは、前記基部から前記第2外側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記内壁に沿って前記流通方向の上流側に延びることを特徴とする請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記第1内側リップは、前記基部から前記第2内側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記外壁に沿って前記流通方向の上流側に延びることを特徴とする請求項2または3に記載のガスケット。
【請求項5】
前記基部は、前記内壁または前記外壁が形成する係合部と係合可能な被係合部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項6】
前記基部の前記被係合部は、突起から構成される前記係合部が挿入可能な穴であることを特徴とする請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
前記基部の前記被係合部は、前記内壁が形成する前記係合部と係合し、
前記流通方向の上流側の流体の作用を受ける前記外側シール部の受圧面積は、前記流体の作用を受ける前記内側シール部の受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項5または6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記基部の前記被係合部は、前記外壁が形成する前記係合部と係合し、
前記流通方向の上流側の流体の作用を受ける前記内側シール部の受圧面積は、前記流体の作用を受ける前記外側シール部の受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項5または6に記載のガスケット。
【請求項9】
前記基部は、前記流通方向に延びる突出部を有し、
前記基部の前記突出部と一体に形成され、前記内壁と前記外壁とに挟圧される弾性体からなる防振部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項1】
エンジンの吸入空気通路の内壁と前記吸入空気通路に設置される熱交換器の外壁との間に設けられるガスケットであって、
前記内壁と前記外壁との間で前記吸入空気通路の流通方向に直交する周方向に延びる基部と、
前記基部と一体に形成され、前記基部から外側に突き出して前記内壁に当接することにより前記基部と前記内壁との間の隙間を気密に封止し、前記基部の前記内壁側への移動を規制する外側シール部と、
前記基部と一体に形成され、前記基部から内側に突き出して前記外壁に当接することにより前記基部と前記外壁との間の隙間を気密に封止し、前記基部の前記外壁側への移動を規制する内側シール部と、
を備えることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記外側シール部は、前記基部のうち前記流通方向の上流側から前記内壁側に突き出す第1外側リップ、及び、前記基部のうち前記流通方向の下流側から前記内壁側に突き出す第2外側リップからなり、
前記内側シール部は、前記基部のうち前記流通方向の上流側から前記外壁側に突き出す第1内側リップ、及び、前記基部のうち前記流通方向の下流側から前記外壁側に突き出す第2内側リップからなることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記第1外側リップは、前記基部から前記第2外側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記内壁に沿って前記流通方向の上流側に延びることを特徴とする請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記第1内側リップは、前記基部から前記第2内側リップとは反対側に突き出すとともに、当該突き出した先端部が前記外壁に沿って前記流通方向の上流側に延びることを特徴とする請求項2または3に記載のガスケット。
【請求項5】
前記基部は、前記内壁または前記外壁が形成する係合部と係合可能な被係合部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項6】
前記基部の前記被係合部は、突起から構成される前記係合部が挿入可能な穴であることを特徴とする請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
前記基部の前記被係合部は、前記内壁が形成する前記係合部と係合し、
前記流通方向の上流側の流体の作用を受ける前記外側シール部の受圧面積は、前記流体の作用を受ける前記内側シール部の受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項5または6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記基部の前記被係合部は、前記外壁が形成する前記係合部と係合し、
前記流通方向の上流側の流体の作用を受ける前記内側シール部の受圧面積は、前記流体の作用を受ける前記外側シール部の受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項5または6に記載のガスケット。
【請求項9】
前記基部は、前記流通方向に延びる突出部を有し、
前記基部の前記突出部と一体に形成され、前記内壁と前記外壁とに挟圧される弾性体からなる防振部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガスケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−92181(P2013−92181A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233727(P2011−233727)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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