説明

ガスコンロ

【課題】従来に比しコンロ本体等の温度上昇を抑制したガスコンロを提供すること。
【解決手段】コンロ本体100内にバーナ13が収容されたガスコンロ1であって、コンロ本体100は、バーナ13が固定される下部体20と下部体20の上方に位置する上部体30とからなり、下部体20及び上部体30は樹脂製の断熱部材40を介して接合されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関し、例えばコンロ本体の厚さを薄く形成したガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理等に用いられるガスコンロとして、多様な形状のものが開発されており、例えば、移動、収納の容易性やデザイン性の向上を図るためにコンロ本体の厚さを薄く形成することがある。しかしながら、このようにコンロ本体を薄型に形成すると、ガスコンロに載置された調理器具やガスコンロのバーナからガスコンロの上面又は底面までの距離が短くなるため、ガスコンロの上面、底面あるいは内部が加熱されすぎる虞ある。そして、ガスコンロが加熱されすぎると、ガスコンロを載置される台の温度上昇や、内部あるいは外部に設けられた電池や基板等の部品の温度上昇による不具合が発生する虞がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示されるように、ガスコンロの本体となる筐体の内側に円筒状バーナ本体の外周面にのみ炎孔を有するバーナを装着するとともに、バーナの下部周面に、火炎から下方への輻射熱を遮断する金属製フランジ板を取り付けたものが知られている。確かに、このようなガスコンロによれば、下方への輻射熱をフランジ板によってある程度遮断することができるとも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−351517号公報(請求項1、段落0005、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたガスコンロは、輻射熱を受けて加熱されるフランジ板がコンロ本体の内側に配置されているため、これによって、ガスコンロの内部が加熱されてしまう虞がある。また、コンロ本体の内側にフランジ板を配置するためのスペースが必要であり、このスペース確保のために、一定以上の薄型化が困難となる。また、下方への輻射熱の対策としてフランジ板が設けられているのみであるため、ガスコンロの上面の加熱を抑制することができず、ガスコンロの上面が加熱される虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような課題の少なくとも一つを解決することにより、従来に比しコンロ本体等の温度上昇を抑制したガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、本発明によるガスコンロは、コンロ本体内にバーナが収容されたガスコンロであって、前記コンロ本体は、前記バーナが固定される下部体と該下部体の上方に位置する上部体とからなり、前記下部体及び上部体は樹脂製の断熱部材を介して接合されていることを特徴とする。
また、前記上部体、下部体及び断熱部材は、樹脂製の固定手段によって接合されていることを特徴とする。
また、前記断熱部材は、前記上部体及び下部体の全周囲に設けられ、前記上部体、下部体及び断熱部材の外周縁が略面一に形成されていることを特徴とする。
また、前記上部体の外周縁の一部を切り欠くとともに、前記断熱部材の一部を上方に露出する切欠部と、前記切欠部から上方に露出する断熱部材の上面にスライド自在に設けられた前記バーナの操作部と、を備えていることを特徴とする。
また、前記操作部と上部体との間に空気層が形成されていることを特徴とする。
また、前記切欠部から上方に露出する断熱部材の上面に、前記操作部の移動をガイドするレールが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンロ本体等の温度上昇を抑制したガスコンロを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態によるガスコンロを示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるガスコンロを示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるガスコンロを示す背面図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるガスコンロを示す左側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるガスコンロを構成する下部体を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるガスコンロを構成する汁受けを示す斜視図である。
【図7】図1におけるA−A断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態によるガスコンロを構成する五徳を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施の形態によるガスコンロ(五徳を除く)を示す正面図である。
【図10】本発明の一実施の形態によるガスコンロを構成する断熱部材を示す斜視図である。
【図11】図1におけるB−B断面図である。
【図12】図1におけるC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、同一の構成要素には同一の符号を付け、その説明を省略する。なお、本発明は、多様な形状のガスコンロに広く適用可能であるが、ここでは本発明をコンロ本体の厚さが薄く形成されたガスコンロに適用した場合の一例について説明する。
【0011】
図1〜図4に示されるように、ガスコンロ1は、上面側の2箇所に略円形状の開口部11L,11R(総称するときは「開口部11」とする)が設けられた筐体であるコンロ本体100と、コンロ本体100の内側に収容され開口部11L,11Rに臨んで配置されるバーナ13L,13R(総称するときは「バーナ13」とする)と、開口部11L,11Rを囲繞するようにコンロ本体100の上面に載置される五徳15L,15R(総称するときは「五徳15」とする)とを備えている。なお、図示例における開口部11L,11Rには、外径が開口部11L,11Rの内径より大きく形成された円環板状の汁受け17L,17R(総称するときは「汁受け17」とする)が載置されている。また、コンロ本体100の正面側には左右にそれぞれバーナ13に対応した点火及び火力調節用のつまみである操作部45が設けられ、背面側にはガスコードを接続するためのソケット取付部51と電池ケース53とが設けられている。
【0012】
コンロ本体100は、底面側を構成し内面にバーナ13L,13Rが固定される下部体20と、この下部体20の上方に配置され上面側を構成する上部体30と、下部体20と上部体30との中間に配置される中間部としての断熱部材40とによって構成される。なお、これら下部体20、上部体30及び断熱部材40の外形は、いずれも平面視において四隅が湾曲した略長方形状に形成されている。
【0013】
下部体20は、平面状に設けられた底面の周囲が上方側に徐々にせり上がるように形成されることで、内側になだらかな凹部が形成されている。底面にはガスコンロ1が載置された際に下部体20が載置台などに直接接触しないための脚部21が複数(図示例では5箇所)設けられている。図5に下部体20の斜視図を示す。下部体20にはバーナ13L,13R(下部体20の中央付近に設けられた突片23L,23Rに固定される)による燃焼のための空気を取り込む吸気孔25が複数設けられるとともに、下部体20の強度を補強するための補強壁部27(リブ)が複数箇所に設けられている。図示例では、下部体20の四隅と、短手辺の中間部とに一端がバーナに向かって立設される補強壁部27a,27b,27c,27d,27e,27fが設けられるとともに、下部体20の四隅における補強壁部27a〜27eに略直交する補強壁部27g、27h,27i,27j,27k,27lが設けられる。これら補強壁部27は上述のように下部体20の強度を補強する以外に、吸気孔25から取り込まれた空気の流れによって冷却されるため、いわゆる冷却フィンとしても機能し、コンロ本体100の内部温度の上昇及び下部体の加熱を抑制する。
【0014】
そのため、複数設けられる吸気孔25のうちいくつかは、補強壁部27の近傍に設けられることが好ましく、図示例では、吸気孔25a,25b,25cが補強壁部27g、27hの、吸気孔25c、25dが補強壁部27eの、吸気孔25eが補強壁部27bの、吸気孔25fが補強壁部27iの、吸気孔25gが補強壁部27jの、吸気孔25hが補強壁部27cの、吸気孔25i、25jが補強壁部27fの、吸気孔25j,25k,25lが補強壁部27k、27lの、それぞれ近傍に設けられるものである。
【0015】
また、例えば補強壁部27e(27f)は吸気孔25c、25d(25i、25j)の近傍に設けられるとともに、吸気孔25c、25d(25i、25j)によって挟まれるように配置されることで、吸気孔25c、25d(25i、25j)から取り込まれた空気が補強壁部の両面側を流れるため、さらに冷却効果が高まるものである。また、図示例では補強壁部27a〜27fの一端側がバーナ13L,13R(突片23L,23R)に向かって配置されるため、これらの補強壁部によって吸気孔25からバーナに向かう空気の流れが過度に阻害されることがない。
【0016】
なお、下部体20は、熱伝導率が高く加工が容易な材料であるアルミニウムによって形成されるものである。これにより、例えばバーナ13L,13Rの直下が加熱された場合でも、加熱による熱が下部体全体に拡散(伝導)し易く、下部体20の温度分布が全体的になだらかになるため、一部分が過度に加熱され難くなっている。
【0017】
図2〜図4に示されるように、上部体30は、平面状に設けられた上面の周囲が下方側に徐々に湾曲するように形成されており、上方側に向かってなだらかな凸状となっている。上部体30は、平面視において外形が下部体20と略同じとなっており、また材料も同様にアルミニウムとなっている。上部体30の上面には、中央付近に2箇所の開口部11L,11Rが長手方向(左右方向)に並んで設けられており、この開口部11L,11Rから下部体20に固定されたバーナ13L,13Rにおける複数の炎孔を有する燃焼部が臨むようになっている。図1に示すように、開口部11L,11Rには上述のように汁受け17L,17Rが載置されており、上部体30の上面には開口部11L,11R及び汁受け17L,17Rを囲繞するように五徳15L,15Rが載置される。
【0018】
なお、図6に斜視図として示すように、汁受け17は平面視において中央にバーナ13が臨むための開口17cが設けられた円環板状であり、外周部17aが開口部11に掛止されるようになっている。図示例では、外周部17aにおいて下側に突き出した凸部17bが複数箇所(図示例では3箇所)設けられ、この凸部17bが開口部11周縁に接触することで汁受け17が上部体30に対して支持されるものである。そのため、凸部17b以外の部分では外周部17aが上部体30と接しておらず、これらの部分では汁受け17と上部体30との間に間隙が生じている。なお、上述の下部体20に設けられた吸気孔25から取り入れられた空気は、図7に矢印で示されるように、コンロ本体100の内側を流れて、汁受け17と上部体30との間に設けられた間隙を介してバーナ13の燃焼部に供給されるものである。
【0019】
図8に五徳15の下面側からの斜視図を、図9にガスコンロ1から五徳15を取り外した状態の平面図をそれぞれ示す。五徳15は、開口部11の周囲に設けられた複数の五徳載置部19の凹部19aに対して、この凹部19aに対応した五徳の凸部15aが支持されることで載置されるものである。これにより、上部体30における五徳15との接触部分は、この五徳載置部19のみとなる。このように接触部分が小面積に限定されることで加熱された五徳15からの熱が上部体30に伝導され難くなっている。そして、五徳載置部19は、断熱材によって形成されているため、さらに熱の伝導が小さくなっている。実施例における五徳載置部19は、開口部11の周囲に等間隔に4個設けられるものであり、例えばグラスファイバーによって形成されるものである。
【0020】
図1〜図4に示されるように、断熱部材40は、平面視における外形が下部体20及び上部体30の外周縁と略同形を呈する枠状体であり、下部体20と上部体30との中間に配置されることによって、上部体30と下部体20とが接触せず熱の伝導が起こり難くなるようにしている。なお、外形が下部体20及び上部体30の外周縁と略同形であることにより、下部体20、上部体30及び断熱部材40の周面は略面一に形成されている。断熱部材40は例えばフェノール樹脂のような断熱性の高い樹脂材料によって形成される。
【0021】
図10に斜視図として示すように、断熱部材40には、上下方向に貫通する貫通孔41が複数設けられている。そして、下部体20における、これらの貫通孔41に対応する位置には締結部22(図示例ではネジ孔)が設けられており、断熱部材40と下部体20とを重ね合わせた状態で断熱部材40側から貫通孔41及び締結部22に対して締結部材(例えばネジなど)を挿嵌することによって断熱部材40と下部体20とが締結される。
【0022】
また、下部体20は、図11に示される断面図に例示されるように、その四隅及び長手片の中間位置近傍に上部体30との締結用の貫通孔24が設けられ、上部体30には、これら貫通孔24に対応した位置に締結部34(図示例ではネジ孔)が設けられている。そして、上部体30の締結部34に対しては例えば樹脂製の断熱材によって形成された断熱スペーサ35が締結され、下部体20の底面外側から貫通孔24に挿通される締結部材29は断熱スペーサ35に挿嵌されることによって下部体20及び上部体30が断熱部材40及び断熱スペーサ35のみを介して接合されるものである。なお、図5に斜視図として示される下部体20は、断熱スペーサ35が取り付けられた状態で描画されているものである。
【0023】
図1に示すように、上部体30の外周縁は、その前面側の2箇所に切欠部31L,31R(総称するときは「切欠部31」とする)が設けられているため、上述のようにコンロ本体100が構成された際に、切欠部31から上方側に断熱部材40の一部が露出する。断熱部材40は、この露出した部分に長手方向に延びる一条の凹状のレール43L,43R(総称するときは「レール43」とする)が形成されている。このレール43には、バーナ13の着火や火加減の調節を行うための操作部45が、スライド自在に載置される。これにより、操作部45は、レール43をガイドとして長手方向に移動自在となる。なお、このように設けられた操作部45は、図12に示すように、断熱部材40とは接触するが、上部体30とは接触しないように、上部体30との間に所定の間隙Dが設けられ、この間隙Dによって操作部45と上部体30との間に空気層が形成される。これにより、上部体30からの熱が操作部45に対して直接的に伝導せず、操作部45が加熱され難くなっている。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、バーナ、吸気孔、補強壁部等の個数は一例であり、実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
また、五徳載置部がグラスファイバーによって形成されている例を示したが、徳載置部は五徳からの熱が上部体に伝導し難くなるためのものであり、熱伝導率が小さければ有機材料、無機材料を含め、材料は特に限定されるものではない。
【0026】
上部体及び下部体がいずれもアルミニウムによって形成されている例を示したが、これに限定されない。例えば双方または一方をアルミニウム以外の金属材料や無機、有機材料を採用することとしても構わない。ただし、上部体及び下部体は、アルミニウムのような熱伝導率の高い材料を用いることにより、一部分が加熱された際にも熱が拡散しやすく局所的に加熱されることが抑制されるものであるため、アルミニウムのような熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。なお、アルミニウム以外にも熱伝導率が高い材料として銅などの他の材料を用いることを妨げないが、コスト面や加工性等からアルミニウムが好ましいものである。
【符号の説明】
【0027】
1 ガスコンロ
11 開口部
13 バーナ
15 五徳
19 五徳載置部
20 下部体
25 吸気孔
27 補強壁部
30 上部体
31 切欠部
35 断熱スペーサ(固定手段)
40 断熱部材
43 レール
45 操作部
100 コンロ本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体内にバーナが収容されたガスコンロであって、
前記コンロ本体は、前記バーナが固定される下部体と該下部体の上方に位置する上部体とからなり、
前記下部体及び上部体は樹脂製の断熱部材を介して接合されていることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記上部体、下部体及び断熱部材は、樹脂製の固定手段によって接合されていることを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記断熱部材は、前記上部体及び下部体の全周囲に設けられ、
前記上部体、下部体及び断熱部材の外周縁が略面一に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記上部体の外周縁の一部を切り欠くとともに、前記断熱部材の一部を上方に露出する切欠部と、
前記切欠部から上方に露出する断熱部材の上面にスライド自在に設けられた前記バーナの操作部と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記操作部と上部体との間に空気層が形成されていることを特徴とする請求項4記載のガスコンロ。
【請求項6】
前記切欠部から上方に露出する断熱部材の上面に、前記操作部の移動をガイドするレールが設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載のガスコンロ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−154519(P2012−154519A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12224(P2011−12224)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)