説明

ガスコンロ

【課題】ガスバーナー周辺に限らずガスバーナーの清掃をも手間をかけずに行える、清掃性に優れたガスコンロを提供することにある。
【解決手段】上面部が水を受けて排出する為のシンク3に構成されたガスコンロであって、シンク3は、ガスバーナー4のバーナーヘッド46が挿通されるバーナー孔31と、水を排水する第一排水口32とを備え、バーナーヘッド46の開口部又はバーナー孔31からシンク3下方に浸入する水を受けるドレンパン6と、ドレンパン6に備えられ、ドレンパン6上の水を排水する第二排水口62と、第一排水口32からの排水及び第二排水口62からの排水を排水処理する合流排水路L2と、を備えたガスコンロ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被加熱物を燃焼炎により加熱するガスバーナーと、を備えるとともに、上面部が水を受けて排出する為のシンクに構成されたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロとしては、例えば、ガスバーナーの周辺に載置部として五徳を備えるものが一般に流通している。このような一般的なガスコンロで調理を行った場合、煮汁等の吹き零れや調理中の攪拌操作等による食材の落下等により、ガスバーナー周辺、及び載置部周辺が汚れがちである。また、載置部周辺は凹凸が多いことに加えて、一般的に、ガスバーナー自体は水をかけて洗えるようには構成されていないため、このような汚れを落とすための清掃作業には手間がかかるという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、ガスバーナーのバーナーヘッド下方に棒状に作製されたガス管を設ける一方、システムキッチンにおけるコンロ部の底面に水受け部を形成し、当該水受け部の底板から棒状に作製されたガス管を柱上に立設することで、ガスバーナー周辺の清掃を容易にする技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ガスバーナー周辺(水受け部)に関しては水を流すことで比較的容易に清掃が行えるものの、ガスバーナー自体は水をかけて洗える構成とはされていないため、ガス器具用のブラシでこするなどの清掃作業が別途必要であり、その清掃には手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−154730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、ガスバーナー周辺に限らずガスバーナーの清掃をも手間をかけずに行える、清掃性に優れたガスコンロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガスコンロの第一特徴構成は、被加熱物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被加熱物を燃焼炎により加熱するガスバーナーと、を備えるとともに、上面部が水を受けて排出する為のシンクに構成されたガスコンロであって、前記シンクは、前記ガスバーナーのバーナーヘッドが挿通されるバーナー孔と、水を排水する第一排水口とを備え、前記バーナーヘッドの開口部又は前記バーナー孔から前記シンク下方に浸入する水を受けるドレンパンと、前記ドレンパンに備えられ、前記ドレンパン上の水を排水する第二排水口と、前記第一排水口からの排水及び前記第二排水口からの排水を排水処理する合流排水路と、を備えた点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、ガスコンロの上面に水をかけて、シンクとガスバーナーとを洗浄することができる。この状態で、シンクからの直接の排水は、第一排水口からの排水となり、ガスバーナーを介する排水は、第二排水口からの排水となる。また、第一排水口からの排水及び第二排水口からの排水は、合流排水路を通じて排水されるため、ガスバーナー自体に水をかけても問題が起きない。すなわち、ガスバーナー周辺に限らずガスバーナーの清掃をも手間をかけずに行える、清掃性に優れたガスコンロを提供することができる。
【0009】
第二特徴構成は、前記ガスバーナーが、燃料ガスを噴出するガスノズルと、前記ガスノズルから噴出される燃料ガスと前記燃料ガスの噴流により吸引される空気とを混合して前記ガスバーナーの炎孔に導く混合管とを備え、前記混合管のガスノズル側部位に、前記混合管内に浸入した水を、前記ドレンパン上に導く内部排水案内部を備えた構成とすると好適である。
【0010】
この構成によれば、ガスバーナに設けられる炎孔を通じて混合管内に浸入した水は、ガスノズルに浸入することなく、混合管のガスノズル側部位に設けられた内部排水案内部によってドレンパン上に排水される。よって、炎孔を通じて混合管内に浸入した水により、ガスバーナーの着火に問題が生じることを抑えることができるので、炎孔から水が浸入することを気にかけることなく、ガスバーナーを水洗いすることができる。すなわち、清掃性に優れたガスコンロを提供することができる。
【0011】
第三特徴構成は、前記バーナーヘッドの前記開口部としての中心開口を貫通し、前記被加熱物の温度を検出する温度センサを備え、前記温度センサと前記中心開口との間に形成される隙間部の下部に、前記ドレンパンが位置されていると好適である。
【0012】
この構成によれば、温度センサを設けるために形成されたバーナーヘッドの隙間部から侵入した水を、ドレンパン上に排水することができる。よって、温度センサを備える場合でも、隙間部から水が浸入することを気にかけることなく、ガスバーナーを水洗いすることができる。すなわち、温度センサを備えるとともに清掃性に優れたガスコンロを提供することができる。
【0013】
第四特徴構成は、前記シンクの底面下側に、前記ガスノズルと前記混合管のガスノズル側部位とが位置される混合ガス生成空間と、当該混合ガス生成空間の下側に位置し、前記ドレンパンに回収される水が貯留する貯留空間と、が形成され、前記混合ガス生成空間と前記貯留空間との間を仕切る仕切り板が設けられるとともに、前記仕切り板に、前記内部排水案内部からの落下水を前記ドレンパン上に導く第一案内開口が設けられていると好適である。
【0014】
この構成によれば、ガスノズルと混合管のガスノズル側部位とを仕切り板上に配置することができる。これにより、混合ガス生成空間に水が貯留することを回避しながら混合ガス生成空間と貯留空間とを鉛直方向に重複するように配置することができ、ガスコンロの水平方向のサイズ(奥行き、及び幅)を抑えることができる。
加えて、仕切り板に設けられた第一案内開口によって、混合管内に浸入した水は内部排水案内部からドレンパンへと導かれる。よって、混合管内に浸入した水が、混合ガス生成空間内に滞留することを抑えることができる。
【0015】
第五特徴構成は、前記シンクの底面下側に、前記ガスノズルと前記混合管のガスノズル側部位とが位置される混合ガス生成空間と、当該混合ガス生成空間の下側に位置し、前記ドレンパンに回収される水が貯留する貯留空間と、が形成され、前記混合ガス生成空間と前記貯留空間との間を仕切る仕切り板が設けられるとともに、前記仕切り板に、前記隙間部からの落下水を前記ドレンパン上に導く第二案内開口が設けられていると好適である。
【0016】
この構成によれば、ガスノズルと混合管のガスノズル側部位とを仕切り板上に配置することができる。このため、混合ガス生成空間に水が貯留することを回避しながら、混合ガス生成空間と貯留空間とを鉛直方向に重複するように配置することができる。よって、ガスコンロの水平方向のサイズ(奥行き、及び幅)を抑えることができる。
加えて、仕切り板に設けられた第二案内開口によって、隙間部からの落下水はドレンパンへと導かれる。よって、隙間部からの落下水が、混合ガス生成空間内に滞留することを抑えることができる。
【0017】
第六特徴構成は、前記シンクの底面下側に、上面を除く5面を備える箱状部材を一体的に備え、当該箱状部材内の空間を上下に分割して、当該箱状部材内に前記ドレンパンが設けられ、前記箱状部材内であって前記ドレンパンの下側に前記ガスバーナーに関する電子機器類が配置される電子機器配置空間が形成されていると好適である。
【0018】
この構成によれば、ガスバーナーの開口部もしくはガスバーナー内に浸入した水が、箱状部材内においてドレンパンより下側の位置に、浸入することを抑えられる。このため、ドレンパンの下側に電子機器配置空間を形成し、水に弱い電子機器類をドレンパンと鉛直方向に重複する位置に配置することができる。よって、ガスコンロの水平方向のサイズ(奥行き、及び幅)を抑えることができる。
【0019】
第七特徴構成は、前記第一排水口に接続される第一排水路が、前記合流排水路の上部に設けられ、前記第二排水口が、前記第一排水路を形成する第一排水用部材の外周部に形成されていると好適である。
【0020】
この構成によれば、シンク上の汚れを含み、第一排水路を流れる排水が、ドレンパン上に流れ出ることなく、直接合流排水路へと流れる。このため、第一排水路を流れる排水によって、ドレンパンが汚染されることを抑えることができる。
【0021】
第八特徴構成は、前記ガスバーナー及び前記バーナー孔を複数備え、前記バーナー孔が、前記シンクの底面に分散して形成されていると好適である。
【0022】
この構成によれば、複数のバーナーにまたがって被加熱物を配置した場合においても、被加熱物に対する熱加減にムラが生じるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るガスコンロ全体の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガスコンロの分解図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガスコンロの断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るガスバーナーの断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る仕切り板の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るガスコンロの平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るガスコンロの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.ガスコンロの概略
1−1.装置構成
本発明に係るガスコンロの実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るガスコンロ1は、例えば、調理器具のような被加熱物が載置される載置部2と、載置部2に載置された被加熱物を燃焼炎により加熱するガスバーナー4と、を備えたガスコンロ1である。また、ガスコンロ1の天板11には、シンク3が備えられている。このシンク3には、ガスバーナー4の少なくとも一部が配置されるバーナー孔31と、水を排水する第一排水口32と、が備えられている。この他、ガスコンロ1には、ガスコンロ1の使用者がガスバーナー4の火力の調整などを行うための操作パネル9が前面に設けられている。本実施形態においては、載置部2として、いわゆる五徳を用いている。載置部2は、例えば金属などの耐熱性素材の枠体で形成されており、シンク3の上部に着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、天板11が、本発明における「ガスコンロの上面」を成す。
【0025】
なお、本願明細書においては、天板11が鉛直方向上側を向くようガスコンロ1が設置されている状態を基準として上下方向、鉛直及び水平方向を定義した。すなわち、本願明細書における、上、及び下は、ガスコンロ1の高さ方向における上下(鉛直方向における上下方向)を意味し、水平方向は、ガスコンロ1の幅、及び奥行き方向を意味する。
【0026】
また、本実施形態においては、ガスコンロ1は、ガスバーナー4及びバーナー孔31をそれぞれ同数ずつ複数備え、バーナー孔31が、シンク3の底面に均等に分散して形成されている。より具体的には、バーナー孔31は、それぞれ水平方向に等間隔に距離を空けて形成されている。本実施形態においては、ガスコンロ1のほぼ全面に均等にシンク3が設けられるとともに、シンク3内にほぼその全体をカバーする形態で3個のガスバーナー4を設けた例を示しているが、シンク3及びガスバーナー4の配置は、コンロ上面の例えば右側一部等、一部部位とされていてもよい。さらに、シンク3に対して、その一部部位となっていてもよい。
【0027】
シンク3に備えられたバーナー孔31は、シンク3の底部に形成されており、バーナー孔31の直下にはガスバーナー4が配置される。バーナー孔31には、その直下に配置されたガスバーナー4のバーナーヘッド46の一部がシンク底部から上方向に向かって突出するように配置される。ガスバーナー4は、ガスバーナー4とバーナー孔31の周縁部との間に例えばOリングなどの環状のシール部材を備えている。これにより、ガスコンロ1は、シンク3内に溜められた水が、バーナー孔31とガスバーナー4との間から浸入しないように構成されている。シンク3に備えられた第一排水口32は、シンク内に溜められた水を第一排水口32外に排水するための開口である。本実施形態においては、第一排水口32は、シンク3の底部においてバーナー孔31とは異なる位置に形成されている。
【0028】
また、図2に示すように、第一排水口32の下部には第一排水路L1が接続される。第一排水路L1は、第一排水口32と連通するように第一排水口32の下部に配置された第一排水用部材33によって形成されている。本実施形態においては、第一排水用部材33は、シンク3の底面からドレンパン6上へと垂直に伸びる略円筒状に形成されている。第一排水用部材33としては、例えば、内部にストレーナーを備えたダクトを用いることができる。
【0029】
1−2.内部構造
図2に示すように、ガスコンロ1は、シンク3の下部にガスバーナー4を備え、さらに、ガスバーナー4の下部にガスバーナー4(バーナーヘッド46)の開口部もしくはバーナー孔31からシンク3下方に侵入する水を受けるためのドレンパン6を備えている。本実施形態においては、ドレンパン6は、複数のガスバーナー4及びバーナー孔31の全てと鉛直方向に見て重複している。ドレンパン6は、何れのガスバーナー4及びバーナー孔31に対しても、ガスバーナー4の開口部もしくはバーナー孔31からシンク3下方に侵入する水を受けられるように配置されている。
【0030】
また、ドレンパン6は、ドレンパン6上に回収された水を排水する第二排水口62が備えられている。第二排水口62は、ドレンパン6の底部に形成された開口である。詳しくは後述するが、本実施形態においては、ドレンパン6の底部に、シンク3の第一排水口32からの排水と、ドレンパン6に回収された水と、の双方を排水する合流排水用開口部61が形成されている。そして、合流排水用開口部61の一部が、第二排水口62として用いられる。ドレンパン6の底部は、全面に渡って第二排水口62に向かうなだらかな下り勾配をつけて形成されている。これにより、ドレンパン6に回収された水は第二排水口62へと回収される。
【0031】
また、図3に示すように、ガスコンロ1は、第一排水口32からの排水及び第二排水口62からの排水を排水処理する合流排水路L2を備えている。合流排水路L2は、排水栓及びガスコンロ1外へと続くホースからなる合流排水用部材7によって形成されている。合流排水用部材7は、ドレンパン6の合流排水用開口部61と連結されている。これにより、合流排水路L2は、合流排水用開口部61に回収された水をガスコンロ1外へと排水する。
【0032】
ここで、図2、及び図3に示すように、ガスバーナー4とドレンパン6との間には仕切り板5が設けられている。仕切り板5は、ドレンパン6の底部に配置された台状の部材であり、仕切り板5の上面55が、ドレンパン6の底部よりも鉛直方向上側に位置するように形成されている。仕切り板5の上面55には、ガスバーナー4が固定されている。これにより、ガスバーナー4はドレンパン6に貯留する水から隔離されている。本実施形態における、仕切り板5の詳細については後述する。
【0033】
この仕切り板5により、シンク3の底面下側とドレンパン6との間に形成される空間に、ガスバーナー4のガスノズル41とガスノズル側部位44とが位置される混合ガス生成空間S1と、混合ガス生成空間S1の下側に位置しドレンパン6に回収される水が貯留する貯留空間S2と、が形成されている。すなわち、仕切り板5は、シンク3の底面下側とドレンパン6との間に形成される空間を、上下方向に混合ガス生成空間S1と貯留空間S2という2つの空間に仕切っている。
【0034】
また、シンク3の底面下側には、上面を除く5面を備える箱状部材8が一体的に備えられている。箱状部材8は、鉛直方向、及び水平方向ともにドレンパン6よりも大きく形成されており、箱状部材8の内部には、ドレンパン6が設けられている。本実施形態においては、ドレンパン6は、箱状部材8内を水平方向に横断するように固定されている。ドレンパン6により、箱状部材8とシンク3の底面との間に形成される空間は上下に分割され、ドレンパン6の下側にガスバーナー4に関する電子機器類10が配置される電子機器配置空間S3が形成されている。ガスバーナー4に関する電子機器類10には、例えば、ガスコンロ1に設けられた操作パネル9、及びガスバーナー4の動作に必要な電力を供給するための電源などが含まれる。
【0035】
2.ガスコンロの構成部品の詳細説明
2−1.ガスバーナー
図4に示すように、ガスバーナー4は、中心開口47を備えたバーナーヘッド46を有して構成されている。バーナーヘッド46は、シンク3に形成されたバーナー孔31から突出するように配置されており、その中心位置には、バーナーヘッド46を鉛直方向に貫通する中心開口47が形成されている。また、ガスバーナー4は、載置部2に載せられた被加熱物の温度を検出する温度センサ48を備えている。温度センサ48は、略円柱状に形成されており、バーナーヘッド46の中心開口47を貫通して上方に突出して配置される。また、温度センサ48は、被加熱物の底面の温度を計測可能なように上下方向に伸縮自在に構成されている。温度センサ48としては、例えば、接触式温度センサを用いることができる。温度センサ48と中心開口47との間には隙間部49が形成される。隙間部49は、温度センサ48の外周面と、中心開口47の内周面との間に形成される空間である。本実施形態において、隙間部49は、本発明における「バーナーヘッドの開口部」の一例に相当する。
【0036】
ガスバーナー4は、バーナーヘッド46の下側にガスノズル41と、ガスバーナー4の炎孔42に空気と燃料ガスの混合気体を導くための混合管43を備えている。ガスノズル41は、図示しないガス管に接続され燃料ガスを噴出するように構成されている。ガスノズル41は、シンク3の底部とドレンパン6との間に形成される空間に配置されており、より具体的には、仕切り板5の上面55に固定されている。炎孔42は、ガスバーナー4のバーナーヘッド46の先端部に、周方向に沿って形成されている。本実施形態において、炎孔42は、本発明における「バーナーヘッドの開口部」の一例に相当する。
【0037】
混合管43は、ガスノズル41から噴出される燃料ガスと、燃料ガスの噴流により吸引される空気と、を混合してガスバーナー4の炎孔42に導くように構成されている。具体的には、混合管43は、ガスノズル41と同様、シンク3の底部とドレンパン6との間に形成される空間に配置されており、仕切り板5の上面55に固定されている。また、混合管43は、バーナーヘッド46の下側に、水平方向に延在するように配置されている。
【0038】
混合管43は、バーナーヘッド46側の端部においては炎孔42と連通し、もう一方の端部(ガスノズル側部位44)においては、混合管43内にガスノズル41の先端が挿入されている。より具体的には、混合管43のガスノズル側部位44は、端部に向かうに従い内径が大きくなるように形成され、端面においてガスノズル41の先端部の外径よりも大きくなるように形成されている。
【0039】
混合管43のガスノズル側部位44は、炎孔42から混合管43内に浸入した水を、ドレンパン6上に導く内部排水案内部45を備えている。ガスノズル41は、混合管43のガスノズル側部位44における最下面から所定距離だけオフセットされて混合管43内に挿入されている。これにより、混合管43内に浸入した水は、ガスノズル41とガスノズル側部位44における最下面との間に形成された空間を通して、ドレンパン6上へと流れる。本実施形態においては、ガスノズル側部位44の端面には、ダンパー70が被せられている。
【0040】
ダンパー70は、ガスノズル41が挿入される位置にガスノズル41の外径よりも大きな内径を備えた第一開口71が形成されるとともに、混合管43の径方向においてガスノズル41とガスノズル側部位44における最下面との間に第二開口72が形成されている。第一開口71は、ガスノズル41からの燃料ガスの噴流により吸引される空気の量を調整するように形成され、第二開口72は、混合管43内に浸入した水を排水するように形成されている。
【0041】
2−2.仕切り板
図5に示すように、仕切り板5には、ガスバーナー4の内部排水案内部45からの落下水をドレンパン6上に導く第一案内開口51が設けられるとともに、ガスバーナー4の隙間部49からの落下水をドレンパン6上に導く第二案内開口52が設けられている。仕切り板5は、台状の部材として形成され、仕切り板5の上面55にはガスバーナー4を固定するためのガスバーナー締結部53、及びガスノズル41を固定するためのガスノズル締結部54が形成されている。本実施形態においては、ガスバーナー締結部53には、例えばボルトなどの締結部材を用いてガスバーナー4を固定するための貫通穴が形成されている。ガスノズル締結部54も、ガスバーナー締結部53と同様に、貫通穴が形成されている。より具体的には、仕切り板5は、複数のガスバーナー4のそれぞれに1つずつ対応して設けられており、鉛直方向に見て、ガスバーナー4から水平方向に伸びる混合管43とほぼ全体が重複するとともに、バーナーヘッド46の少なくとも一部と重複するように形成されている。
【0042】
第一案内開口51は、仕切り板5上にガスバーナー4が固定された状態において、ガスバーナー4のガスノズル41とガスノズル側部位44との双方と、鉛直方向に見て重複する位置に形成されている。また、第二案内開口52は、仕切り板5上にガスバーナー4が固定された状態において、バーナーヘッド46の中心開口47と、鉛直方向に見て重複する位置に形成されている。本実施形態においては、第二案内開口52は、仕切り板5の一端部において、鉛直方向に見て中心開口47と重複する位置に切り欠き状に形成されている。
【0043】
3.ガスコンロの構成部品の配置
図6に示すように、ドレンパン6は、鉛直方向に見たときに、ガスコンロ1が備える複数のガスバーナー4の何れとも重複するように配置されている。すなわち、ガスバーナー4のバーナーヘッド46、混合管43、及びガスノズル41の下部にドレンパン6が位置されている。よって、温度センサ48と中心開口47との間に形成される隙間部49の下部に、ドレンパン6が位置されている。本実施形態においては、ドレンパン6は、シンク3の第一排水口32の下部に設けられる第一排水用部材33とも鉛直方向に見て重複するように配置されている。
【0044】
図7に示すように、第一排水口32に接続される第一排水路L1は、合流排水路L2の上部に設けられている。すなわち、第一排水路L1を形成する第一排水用部材33は、ドレンパン6の合流排水用開口部61と鉛直方向に見て重複するように配置されている。本実施形態においては、第一排水用部材33は、第一排水用部材33により形成される第一排水路L1を流れる水が、合流排水用開口部61へと直接流れ込むように形成されている。第一排水用部材33の下側端部の外径は、ドレンパン6の合流排水用開口部61の内径よりも小さく形成されている。本実施形態においては、第一排水用部材33の下側端面とドレンパン6の底面とが同一の高さとなるように、第一排水用部材33が配置されている。なお、前文における「同一の高さ」とは、所定の鉛直方向高さに対して設計上の誤差を許容する程度の範囲をもった高さを意味する。
【0045】
ドレンパン6上に回収された水を排水するための第二排水口62は、第一排水路L1を形成する第一排水用部材33の外周部に形成されている。具体的には、第二排水口62は、鉛直方向に見て、合流排水用開口部61の内周面と、第一排水用部材33の下側端部の外周面と、の間に形成される合流排水用開口部61の一部の領域である。
【0046】
4.ガスコンロ内における水の流れ
以上のような構成により、シンク3上に流入した水は、第一排水口32、もしくはガスバーナー4の炎孔42、又は中心開口47における隙間部49に浸入する。炎孔42に浸入した水は混合管43内を流れ、ガスノズル側部位44の内部排水案内部45へと導かれる。さらに内部排水案内部45から排水された水は、仕切り板5の第一案内開口51を介して、ドレンパン6上へと回収される。一方、隙間部49に浸入した水は、仕切り板5の第二案内開口52を介して、ドレンパン6上へと回収される。このように、ガスバーナー4の開口部もしくはガスバーナー4内に浸入した水は、ドレンパン上(ガスバーナー4外)へと排水される。
【0047】
ドレンパン6は、合流排水用開口部61に向かってゆるやかに傾斜しているため、ドレンパン6上に回収された水は自重により合流排水用開口部61の外周部である第二排水口62へと流れる。そして、第一排水口32及び第二排水口62に回収された水は、合流排水路L2を通じてガスコンロ1外へと排水される。
【0048】
このように、本願発明に係るガスコンロ1においては、ガスバーナー4の開口部もしくはガスバーナー4内に浸入した水がガスコンロ1外へと排水されるので、ガスバーナー4の扱いに特別注意する必要がなくシンク3をガスバーナー4ごと水洗いすることが可能となっている。
【0049】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記の実施形態では、ガスバーナー4のバーナーヘッド46に中心開口47が形成されるとともに、中心開口47内に接触式の温度センサ48が配置され、温度センサ48と中心開口47との間に隙間部49が形成されている場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、ガスバーナー4が隙間部49を備えない構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、バーナーヘッド46が中心開口47を備えず、ガスバーナー4が赤外線を用いた非接触式温度センサを備える構成とすることや、ガスバーナー4が温度センサを備えない構成としても構わない。
【0051】
(2)上記の実施形態では、仕切り板5が、ガスバーナー4それぞれについて1つずつ設けられている場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、仕切り板5が、複数のガスバーナー4に対して1つだけ設けられている構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、上記実施形態において、全てのガスバーナー4を固定可能な一枚の仕切り板5を設け、各ガスバーナー4に対応して当該仕切り板5に複数の第一案内開口51、及び複数の第二案内開口52を形成しても構わない。
【0052】
(3)上記の実施形態では、箱状部材8内であってドレンパン6の下側に電子機器配置空間S3が形成されている場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、箱状部材8内に電子機器配置空間S3が形成されず、電子機器類10が別の位置に配置される構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、電子機器類10が別の筐体内に配置され、当該筐体がドレンパン6と水平方向に並べて配置された構成としても構わない。
【0053】
(4)上記の実施形態では、第一排水路L1を流れる水が合流排水路L2に直接流れるように第一排水用部材33が構成されている場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一排水路L1を流れる水が、合流排水路L2に直接流れないように第一排水用部材33が構成されることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、第一排水用部材33を、合流排水用開口部61とは鉛直方向に見て重複しない位置に配置しても構わない。
【0054】
(5)上記の実施形態では、ガスコンロ1が、複数のガスバーナー4を備え、ガスバーナー4が、シンク3の底面に均等に分散して配置されている場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、ガスバーナー4が、シンク3の底面に偏って配置されている構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、シンク3の底面の一方側のみに集中して配置されている構成としても構わない。また、ガスコンロ1がガスバーナー4を、1つしか備えない構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。
【0055】
(6)上記の実施形態では、載置部2として、五徳を用いる場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、載置部2として、複数のガスバーナー4にわたるような大きさの鉄板を用いる構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。このような載置部2を用いる構成は、焼き肉を行うにあたり特に好適である。
【0056】
(7)上記の実施形態では、バーナーヘッド46の中心開口47及び炎孔42が、本発明における「バーナーヘッドの開口部」に相当する場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、バーナーヘッド46に、中心開口47及び炎孔42以外の開口部が形成されていても構わない。例えば、バーナーヘッド46が複数の部材からなり、それらの部材間に生じる隙間が「バーナーヘッドの開口部」に含まれる構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。
【0057】
(8)上記の実施形態では、ガスバーナー4とバーナー孔31の周縁部との間にシール部材を備えている場合の例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、ガスバーナー4とバーナー孔31の周縁部との間に何も備えられず、ガスバーナー4とバーナー孔31との間に生じる隙間から、シンク3下方に水が浸入する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
被加熱物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被加熱物を燃焼炎により加熱するガスバーナーと、を備えるとともに、上面部が水を受けて排出する為のシンクに構成されたガスコンロとして用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 :ガスコンロ
2 :載置部
3 :シンク
4 :ガスバーナー
5 :仕切り板
6 :ドレンパン
8 :箱状部材
10 :電子機器類
11 :天板(上面)
31 :バーナー孔
32 :第一排水口
41 :ガスノズル
42 :炎孔
43 :混合管
44 :ガスノズル側部位
45 :内部排水案内部
46 :バーナーヘッド
47 :中心開口
48 :温度センサ
49 :隙間部
51 :第一案内開口
52 :第二案内開口
62 :第二排水口
L1 :第一排水路
L2 :合流排水路
S1 :混合ガス生成空間
S2 :貯留空間
S3 :電子機器配置空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記被加熱物を燃焼炎により加熱するガスバーナーと、を備えるとともに、上面部が水を受けて排出する為のシンクに構成されたガスコンロであって、
前記シンクは、前記ガスバーナーのバーナーヘッドが挿通されるバーナー孔と、水を排水する第一排水口とを備え、
前記バーナーヘッドの開口部又は前記バーナー孔から前記シンク下方に浸入する水を受けるドレンパンと、
前記ドレンパンに備えられ、前記ドレンパン上の水を排水する第二排水口と、
前記第一排水口からの排水及び前記第二排水口からの排水を排水処理する合流排水路と、を備えたガスコンロ。
【請求項2】
前記ガスバーナーが、
燃料ガスを噴出するガスノズルと、
前記ガスノズルから噴出される燃料ガスと、前記燃料ガスの噴流により吸引される空気と、を混合して前記ガスバーナーの炎孔に導く混合管とを備え、
前記混合管のガスノズル側部位に、前記混合管内に浸入した水を、前記ドレンパン上に導く内部排水案内部を備えた請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記バーナーヘッドの前記開口部としての中心開口を貫通し、前記被加熱物の温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサと前記中心開口との間に形成される隙間部の下部に、前記ドレンパンが位置されている請求項2に記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記シンクの底面下側に、
前記ガスノズルと前記混合管のガスノズル側部位とが位置される混合ガス生成空間と、
当該混合ガス生成空間の下側に位置し、前記ドレンパンに回収される水が貯留する貯留空間と、が形成され、
前記混合ガス生成空間と前記貯留空間との間を仕切る仕切り板が設けられるとともに、前記仕切り板に、前記内部排水案内部からの落下水を前記ドレンパン上に導く第一案内開口が設けられている請求項2に記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記シンクの底面下側に、
前記ガスノズルと前記混合管のガスノズル側部位とが位置される混合ガス生成空間と、
当該混合ガス生成空間の下側に位置し、前記ドレンパンに回収される水が貯留する貯留空間と、が形成され、
前記混合ガス生成空間と前記貯留空間との間を仕切る仕切り板が設けられるとともに、前記仕切り板に、前記隙間部からの落下水を前記ドレンパン上に導く第二案内開口が設けられている請求項3に記載のガスコンロ。
【請求項6】
前記シンクの底面下側に、
上面を除く5面を備える箱状部材を一体的に備え、
当該箱状部材内の空間を上下に分割して、当該箱状部材内に前記ドレンパンが設けられ、
前記箱状部材内であって前記ドレンパンの下側に前記ガスバーナーに関する電子機器類が配置される電子機器配置空間が形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載のガスコンロ。
【請求項7】
前記第一排水口に接続される第一排水路が、前記合流排水路の上部に設けられ、
前記第二排水口が、前記第一排水路を形成する第一排水用部材の外周部に形成されている請求項1〜6の何れか一項に記載のガスコンロ。
【請求項8】
前記ガスバーナー及び前記バーナー孔を複数備え、
前記バーナー孔が、前記シンクの底面に分散して形成されている請求項1〜7の何れか一項に記載のガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−2778(P2013−2778A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136675(P2011−136675)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)