説明

ガスコンロ

【課題】天板3に、バーナ用開口31の周縁部に位置させて、五徳6の環状の五徳枠61が外嵌する環状隆起部32が絞り成形され、環状隆起部32の外周面に、径方向内方に凹入する溝部33が形成され、この溝部に五徳に設けた突部63を係合させて、五徳を回り止めするガスコンロにおいて、煮こぼれが溝部に溜ってこびり付くことを防止する。
【解決手段】天板3に、環状隆起部32の外周面の溝部33が形成されていない複数箇所の下部から径方向外方に張出す上方に凸の受け座34が絞り成形される。五徳枠61が受け座34に着座して、溝部33の径方向外端部に隣接する天板部分の上面と五徳枠61との間に隙間が確保されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ本体と、コンロ本体の上面を覆う天板と、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に突出するコンロバーナと、天板上にバーナ用開口を囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスコンロとして、コンロバーナに外挿した状態で天板上に載置されるバーナリングを備え、このバーナリングに五徳の環状の五徳枠を外嵌させて、五徳を芯決めすると共に、バーナリングの外周部に切欠きを形成し、この切欠きに五徳に設けた突部を係合させて、五徳を回り止めするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、部品点数を削減してコストダウンを図るため、天板に、バーナ用開口の周縁部に位置させて、五徳の環状の五徳枠が外嵌する上記従来例のバーナリングに相当する環状隆起部を絞り成形し、バーナリングを省略することが考えられる。この場合、環状隆起部の外周部に切欠きを形成したのでは、煮こぼれが切欠きからコンロ本体内に落下する。
【0004】
そのため、環状隆起部の外周面に、径方向内方に凹入する溝部を形成し、この溝部に五徳に設けた突部を係合させて、五徳を回り止めすることが望まれる。これによれば、溝部に煮こぼれが流入しても、コンロ本体内に煮こぼれが落下することはない。
【0005】
然し、これでは、以下の不具合を生ずることが判明した。即ち、五徳枠が環状隆起部に外嵌した状態で天板に載置されるため、溝部の径方向外端部に隣接する天板部分の上面に五徳枠が着座することになる。その結果、溝部に流入した煮こぼれが五徳枠で堰き止められて溝部内に溜り、コンロバーナからの熱で煮こぼれが溝部にこびり付きやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−2104号公報(段落0014、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、上記溝部での煮こぼれのこびり付きを防止できるようにしたガスコンロを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロ本体と、コンロ本体の上面を覆う天板と、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に突出するコンロバーナと、天板上にバーナ用開口を囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロであって、天板に、バーナ用開口の周縁部に位置させて、五徳の環状の五徳枠が外嵌する環状隆起部が絞り成形され、環状隆起部の外周面に、径方向内方に凹入する溝部が形成され、この溝部に五徳に設けた突部を係合させて、五徳を回り止めするものにおいて、天板に、環状隆起部の外周面の溝部が形成されていない複数箇所の下部から径方向外方に張出す上方に凸の受け座が絞り成形され、これら受け座に五徳枠が着座して、溝部の径方向外端部に隣接する天板部分の上面と五徳枠との間に隙間が確保されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、溝部に煮こぼれが流入しても、溝部の径方向外端部に隣接する天板部分の上面と五徳枠との間に確保される隙間を介して煮こぼれが溝部の外方に流れ出る。従って、煮こぼれが溝部に溜ってこびり付くことを効果的に防止できる。
【0010】
ところで、コンロ本体にグリルが組み込まれた従来のグリル付きコンロでは、天板の後部に開設したグリル用排気口を覆う排気ガードを天板に載置している。ここで、天板の後部に、環状隆起部とは別の上方に隆起する隆起部を絞り成形し、この隆起部に、グリル内の排ガスを排出する複数の排気孔を形成すれば、従来のバーナリングに相当する環状隆起部に加えて、従来の排気ガードに相当する隆起部が天板に一体に形成されることになり、部品点数の削減によるコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態のガスコンロの斜視図。
【図2】実施形態のガスコンロの五徳を持ち上げた状態の要部の斜視図。
【図3】図1のIII−III線で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は本発明の実施形態のガスコンロを示している。このガスコンロは、上面を開放面とする箱形のコンロ本体2と、コンロ本体2の上面を覆う板金製の天板3と、天板3に開設した左右一対のバーナ用開口31,31を通して天板3上に突出する左右一対のコンロバーナ4,4と、コンロ本体2の横方向中間部に組み込んだグリル5と、天板3上にバーナ用開口31,31を囲うようにして載置される左右一対の五徳6,6とを備えている。
【0013】
各コンロバーナ4は、図3に示す如く、コンロ本体2内に設置される混合管41と、混合管41に一体で、各バーナ用開口31を通して天板3の上方に突出するバーナボディ42と、バーナボディ42に載置されるバーナキャップ43とを有する。バーナボディ42は、内筒42aと外筒42bとを有する内外2重筒構造に構成されている。バーナキャップ43は環状であって、内周に、バーナボディ42の内筒42aに内嵌する筒部43aが垂設されている。バーナキャップ43の下面外周部には、バーナボディ42の外筒42bの上端部に着座する筒状壁43bが垂設され、この筒状壁43bに、周方向の間隔を存して多数の炎孔44(図2参照)が形成されている。尚、五徳6の後述する五徳爪62と同一方位に位置する筒状壁43bの部分には、火炎が五徳爪62に触れて不完全燃焼することを防止するため、小炎孔44aを形成している。
【0014】
バーナキャップ43上には、バーナキャップ43の上面との間に二次空気用の通気間隙を画成する環状の二次空気ガイド45が設けられている。また、コンロバーナ4には、五徳6に載せる調理容器の底面に当接する鍋底温度センサ46と、点火電極47と、熱電対48とが付設されている。
【0015】
天板3には、図2、図3に明示する如く、各バーナ用開口31の周縁部に位置させて、上方に隆起する環状隆起部32が絞り成形されている。環状隆起部32の外周面の半周離れた前後2個所には、径方向内方に凹入する溝部33が形成されている。また、天板3の後部には、環状隆起部32とは別の上方に隆起する略方形の隆起部35が絞り成形されている。この隆起部35には複数の排気孔35aが形成されており、これら排気孔35aからグリル5内の排ガスが排出される。
【0016】
尚、従来のガスコンロでは、コンロバーナに外挿されるバーナリングと、天板後部のグリル用排気口を覆う排気ガードとを天板に載置しているが、本実施形態の如くバーナリングに相当する環状隆起部32と、排気ガードに相当する方形隆起部35とを絞り成形で天板3に一体に形成することにより、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0017】
各五徳6は、環状隆起部32に外嵌する環状の五徳枠61と、五徳枠61に放射状に固定した複数の五徳爪62とで構成される。各五徳爪62は、上辺部と下辺部とを有する略コ字状に形成され、下辺部の径方向内端で五徳枠61に固定されている。また、複数の五徳爪62のうち半周離れた所定の2つの五徳爪62の下辺部には、五徳枠61の内周面から径方向内方に突出する突部63が形成されており、この突部63が環状隆起部32の外周面の溝部33に係合する。
【0018】
五徳6は、五徳枠61を環状隆起部32に外嵌させることにより芯決めされ、突部63を溝部33に係合させることにより、五徳爪62が小炎孔44aと同一方位に位置する所定の位相で回り止めされる。また、溝部33に煮こぼれが流入しても、コンロ本体2内に煮こぼれが落下することはない。但し、溝部33の径方向外端部に隣接する天板部分の上面に五徳枠61が着座すると、溝部33に流入した煮こぼれが五徳枠61で堰き止められて溝部33内に溜り、コンロバーナ4からの熱で煮こぼれが溝部33にこびり付きやすくなる。
【0019】
そこで、本実施形態では、天板3に、環状隆起部32の外周面の溝部33が形成されていない複数箇所(具体的には、前側の溝部33から周方向一方と他方に離れた2箇所と、後側の溝部33の周方向両側に隣接する2箇所との計4箇所)の下部から径方向外方に張出す上方に凸の受け座34を絞り成形し、これら受け座34に五徳枠61が着座するようにしている。
【0020】
これによれば、溝部33の径方向外端部に隣接する天板部分の上面と五徳枠61との間に受け座34の高さ分の隙間が確保される。そのため、溝部33に煮こぼれが流入しても、上記隙間を介して煮こぼれが溝部33の外方に流れ出る。従って、煮こぼれが溝部33に溜ってこびり付くことを効果的に防止できる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、環状隆起部32の外周面の2箇所に溝部33を形成しているが、溝部33の形成箇所は1箇所或いは3箇所以上であってもよい。また、上記実施形態では、溝部33に係合する突部63を五徳爪62に形成しているが、五徳枠61に突部を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1…ガスコンロ、2…コンロ本体、3…天板、31…バーナ用開口、32…環状隆起部、33…溝部、34…受け座、35…天板後部の隆起部、35a…排気孔、4…コンロバーナ、6…五徳、61…五徳枠、63…突部。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体と、コンロ本体の上面を覆う天板と、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に突出するコンロバーナと、天板上にバーナ用開口を囲うようにして載置される五徳とを備えるガスコンロであって、
天板に、バーナ用開口の周縁部に位置させて、五徳の環状の五徳枠が外嵌する環状隆起部が絞り成形され、環状隆起部の外周面に、径方向内方に凹入する溝部が形成され、この溝部に五徳に設けた突部を係合させて、五徳を回り止めするものにおいて、
天板に、環状隆起部の外周面の溝部が形成されていない複数箇所の下部から径方向外方に張出す上方に凸の受け座が絞り成形され、これら受け座に五徳枠が着座して、溝部の径方向外端部に隣接する天板部分の上面と五徳枠との間に隙間が確保されることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
請求項1記載のガスコンロであって、前記コンロ本体にグリルが組み込まれるものにおいて、
前記天板の後部に、前記環状隆起部とは別の上方に隆起する隆起部が絞り成形され、この隆起部に、グリル内の排ガスを排出する複数の排気孔が形成されることを特徴とするガスコンロ。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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