説明

ガスストリームからのCO2の除去に続くアンモニアの除去

ガスストリームからCO2を除去する方法であって、(a)CO2吸収ステージにおいて、CO2を含んでなるガスストリームを、アンモニアを含んでなる第1の吸収液体と接触させる工程;(b)工程(a)から生じた使用済み吸収液体を再生に送る工程;(c)使用済み吸収液体からCO2を放出することによって第1の吸収液体を再生し、第1の吸収液体を工程(a)に戻す工程;(d)工程(c)から放出されたCO2を第2の吸収液体に供給する工程;(e)汚染物吸収ステージにおいて、工程(a)から排出されたガスストリームを、第2の吸収液体と接触させる工程;及び(f)工程(e)から生じた使用済み吸収液体の一部を取り出し、工程(e)から生じた使用済み吸収液体を第2の吸収液体として工程(d)に再循環する前に、前記吸収液体の一部を工程(c)の再生に送る工程を含んでなるCO2の除去法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年12月17日出願の米国仮特許出願第61/287,222号(発明の名称:ガスストリームからのCO2の除去に続くアンモニアの除去)の利益を主張するものであり、参照することにより、その全体をここに組み込む。
【0002】
本発明は、ガスストリームからCO2を除去する方法及びガスストリームからCO2を除去するための多段吸収器システムに係る。CO2の除去後、吸収液体への吸収によって、ガスストリームからアンモニアを除去する。
【背景技術】
【0003】
H2S、CO2、COS及び/又はメルカプタンのような酸性成分を、煙道ガス、天然ガス、合成ガス又は主として、窒素、酸素、水素、一酸化炭素及び/又はメタンを含有する他のガスのようなガスストリームから工業的に分離するために使用されている方法では、溶媒として、一般的に、アミン化合物を含んでなる液体溶液又はアンモニア水溶液が使用されている。吸収プロセスにおいて、酸性成分を溶媒中に吸収する。この方法は、一般に、メインスクラビングプロセスと称される。
【0004】
前記溶液による前記酸性成分の「スクラビング」の後、極微量のアンモニア、アミン化合物又はアミン化合物の分解生成物のような汚染物がガスストリーム中に残留する。これらの汚染物はガスストリームから除去されなければならない。
【0005】
現在知られているシステム及び方法は、水洗工程において、ガスストリームからこれらの汚染物を除去するものである。水洗工程では、好適な接触装置において、ガスストリームを水によってスクラビングする。代表的には、ガスストリームをスクラビングするために使用する水は、新鮮な水又はガスストリームの処理に関連したストリッピングプロセスから得られた水である。ガスストリームを水でスクラビングした後、水を、1)この水が得られたストリッピングユニットに戻すか、又は2)単にメインスクラビングプロセスにおいて使用される溶液と混合する。
【0006】
国際公開WO 2006/022885(2007年1月16日出願の米国特許出願第11/632,537;参照することにより、その全体をここに組み込む)には、煙道ガスから二酸化炭素を除去するためのこのような方法の1つが開示されており、該方法は、CO2吸収器において、アンモニア性溶液又はスラリーによって煙道ガスから二酸化炭素を捕捉することを含む。吸収器において、CO2を、低減された温度0−20℃においてアンモニア性溶液によって吸収し、その後、再生器において、アンモニア性溶液を、CO2が高純度のガス状二酸化炭素としてアンモニア性溶液から放出されるように、高圧及び高温において再生する。
【0007】
米国特許第5,378,442号には、アルカノールアミン水溶液を使用して、燃焼排ガス中に存在する二酸化炭素を吸収することによって二酸化炭素を回収する方法であって、二酸化炭素が吸収、除去された燃焼排ガスを、二酸化炭素を含有する水と接触させる工程を含んでなる方法が開示されている。これによれば、処理済み排ガスを、CO2を含有する水と接触させることによって、処理済み排ガス(CO2吸収後の排ガス)からアンモニアを効果的に除去できること及び回収したCO2の一部を、溶解したCO2の濃度を容易に増大させるために使用できることが教示される。トレーを使用する一般的なガス−液体接触法を使用して、吸収塔の頂部でCO2含有水を処理済排ガスと接触させて、排ガス中に存在するアンモニアを吸収し、ついで、アンモニアを含有する水を、CO2吸収及び回収システムの外部に設置した効果的な処理設備等に導く。
【0008】
例えば、ストリッピングユニットにおける使用済み洗浄液体の再生は、一般的にエネルギー大量消費型の、従って、高価なプロセスである。使用済み吸収液体を外部の効果的な処理設備に導くことは、工業的プロセスを閉鎖するとの一般的な環境問題上の要求に相反するものであり、結果として大きい水消費を生ずる。このように、水及び/又は吸収液体の扱いに関する改善の要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ガスストリームからCO2を除去するための方法及びシステムにおいて、洗浄及び/又は吸収液体の改善された扱い方を提供することにある。
【0010】
上記目的に関連する他の目的は、このような方法及びシステムにおける洗浄及び/又は吸収液体を循環する改善された様式によって、ガスストリームからCO2を除去するための方法又はシステムのコストを低減することにある。
【0011】
他の目的は、ガス浄化法又はシステムにおいて使用する化学剤の放出を低減するとの環境的、健康上及び/又は経済上の利益を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに説明する態様によれば、ガスストリームからO2を除去する方法であって、
(a)CO2吸収ステージにおいて、CO2を含んでなるガスストリームを、アンモニアを含んでなる第1の吸収液体と接触させて、ガスストリームからCO2を除去する工程;
(b)工程(a)から生じた使用済み吸収液体を再生に送る工程;
(c)使用済み吸収液体からCO2を放出することによって第1の吸収液体を再生し、第1の吸収液体を工程(a)に戻す工程;
(d)工程(c)から放出されたCO2を第2の吸収液体に供給する工程;
(e)汚染物吸収ステージにおいて、工程(a)から排出されたガスストリームを、第2の吸収液体と接触させて、ガスストリームからアンモニアを除去する工程;及び
(f)工程(e)から生じた使用済み吸収液体の一部を取り出し、工程(e)から生じた使用済み吸収液体を第2の吸収液体として工程(d)に再循環する前に、前記吸収液体の一部を工程(c)における再生に送る工程
を含んでなるCO2の除去法が提供される。
【0013】
この方法では、第2の吸収液体に供給されるCO2は、ガススリームからのCO2の除去から得られた第1の吸収液体の再生によって放出されたCO2であり、前記除去は、前記ガスストリームを、アンモニア又はアミン化合物を含んでなる第1の吸収液体と接触させる工程を含んでなる。
【0014】
このように、一般的にはCO2の吸収ステージに続く水洗及びストリッピングプロセスを省略できる。その結果、操作コスト、主として水洗ユニット及びストリッパーの操作に伴うエネルギーコストと共に、設備コストの節約が可能である。汚染物吸収工程から排出された使用済み吸収液体の再循環によって、使用する液体の量を減少でき、その結果、コストが低減し及び環境への影響が低減する。
【0015】
用語「汚染物」は、ここで使用するように、一般に、ガスストリーム中に存在する好ましくない成分をいう。汚染物は、一般に、ガスストリーム中に少量(容量)で存在する。汚染物は、例えば、続く用途又は更なる処理プロセスでのガスストリームの有用性を低下させる、又はガスストリームに、毒性、環境問題上の不利益、臭い、等のような望ましくない特性を付与するとの理由から望ましくない。汚染物の例はアンモニアである。このように、「汚染物吸収ステージ」又は「汚染物吸収器」は、このような汚染物の吸収のためのプロセス又は装置である。
【0016】
工程(a)におけるような、ガスストリームからCO2、H2S及びCOSのような酸性ガスを除去する吸収プロセスでは、しばしば、アルカリ性化合物が使用される。工程(e)は、ガスストリームからのアルカリ性汚染物の除去を提供する。除去されるべき汚染物の少なくとも1つはアンモニアである。汚染物吸収ステージでの使用の前に第2の吸収液体にCO2を供給することは、例えば、アンモニアのようなアルカリ性汚染物の除去のための吸収工程の効率の実質的な改善をもたらす。本発明は、何ら特別な科学的説明によって縛られないが、この実質的な改善に寄与するファクターは、吸収液体における炭酸としてのCO2の溶解によって生ずる吸収溶液におけるpH値の酸性側へのシフトであろう。一般に、メインスクラビングプロセスにおいて使用される第1の吸収液体を通してガスストリーム中に導入される汚染物はアルカリ性又はわずかにアルカリ性を有する。このため、水のpHが酸性側にシフトする場合には、各汚染物の蒸気/液体平衡が改善される。しかし、実質的な改善は、単にpH値のこのようなシフトに起因するものをはるかに超えるものである。
【0017】
工程(f)における使用済み吸収液体の再生への送給は、工程(f)が、工程(e)から生じた使用済み吸収液体からアンモニアを実質的に放出することなく行われる場合に生ずる。これに関連して、表現「実質的に放出することなく」は、例えば、アンモニアの少量の漏れ又は排出は許容するが、例えば、アンモニアのガス状ストリームを再生に送るために工程(e)から生じた使用済み吸収液体のガス/液体フラクションは、工程(f)の範囲内にはないことが当業者には明白であろう。1例として、工程(e)から生じた使用済み吸収液体又は工程(e)から生じた使用済み吸収液体の一部についてはストリッピングを行わない。工程(c)に送られる工程(e)からの使用済み吸収液体の一部は、おそらく再生器供給物タンクにおいて、再生工程(c)において捕捉したアンモニアを回収するために、CO2吸収ステージ(a)からの使用済み吸収液体と合わされる。工程(e)からの使用済み吸収液体の一部を工程(c)における再生に送ることは、再生工程(c)からの所望のCO2の流れを維持することにもなる。工程(f)において取り出される工程(e)から生じた使用済み吸収液体の一部は、工程(e)から生じた使用済み吸収液体の少量部分である。少量部分は、工程(e)から生じた使用済み吸収液体の25%以下、10%以下、5%以下又は1%以下である。
【0018】
第2の吸収液体に導入されるCO2は各種の物理的性状である。例えば、CO2は、固状、液状、超臨界液状、又はガス状、又はその混合状態である。CO2を液状で第2の吸収液体に導入することが好ましいとの知見を得ている。このように、工程(c)から放出されるCO2を、工程(d)において、第2の吸収液体に供給する前に液状に変換される。このような変換は、工程(c)において放出されたガス状のCO2を冷却することによって行われるか、又は補助される。
【0019】
工程(e)の間に生ずる化学反応によって生ずる反応熱、例えば、NH3−CO2−H2O反応の熱を捕捉するため、及び工程(e)の間における第2の吸収液体からのCO2蒸気の放出を低減するために、第2の吸収液体を、工程(e)において工程(a)から排出されたガスストリームと接触させる前に冷却することができる。
【0020】
除去されるべき汚染物を含有するガスストリームを第2の吸収液体と接触させて、第2の吸収液体への汚染物の吸収を行うことは、当業者にとっては容易に実現できる各種の設備において実行される。特に効果的な吸収は、工程(e)において、ガスストリームを第2の吸収液体と向流接触させる際に達成されることが知見されている。沈殿した固体を収容するために、工程(e)の汚染物吸収ステージは、好適な液体/ガス接触型の、好ましくはトレー型の物質移動装置を含んでなることができる。
【0021】
示したプロセスは、CO2吸収ステージ(a)が、いわゆるチルドアンモニアプロセス(煙道ガスを、CO2吸収塔に入る前に、周囲温度(室温)以下に冷却する)に従って操作する際に適用可能である。例えば、工程(a)において、煙道ガスを25℃以下、好ましくは20℃以下、任意には10℃以下に冷却する。CO2吸収液体として、アンモニア性溶液又はスラリーを使用することができ、アンモニア性溶液又はスラリーを、25℃以下、好ましくは20℃以下、任意には10℃以下に冷却できる。
【0022】
示したプロセスは、CO2の吸収ステージ(a)をアミン系プロセスに従って作動する場合にも適用可能である。換言すると、示したプロセスは、工程(a)では、アミン化合物を含んでなる第1の吸収液体を使用し、工程(e)では、アンモニア、アミン化合物又はアミン化合物の分解生成物を除去するように作動される。アミン化合物の例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロピルアミン(DIPA)及びアミノエトキシエタノール(ジグリコールアミン)(DGA)が含まれる(ただし、これらに限定されない)。工業的プラントにおいて最も一般的に使用されるアミン化合物は、アルカノールアミンMEA、DEA、及びMDEAである。さらに、吸収液体は、アンモニア系溶液によるCO2の捕捉に関与する化学反応速度を促進するために促進剤を含むこともできると考えられる。例えば、促進剤としては、アミン(例えば、ピペラジン)又は酵素(例えば、炭酸脱水酵素又はその類似体)が含まれ、酵素は、溶液状態又は固体又は半固体表面上に不動化された状態である。
【0023】
工程(e)及び工程(a)は共通の容器で行われる。工程(e)は、共通の吸収塔において、工程(a)の上方で行われる。このような配置によって、物質及びコストの節約が可能である。
【0024】
上記態様について述べた特徴は、下記に示す発明の態様にも適用される。
【0025】
ここに示す他の態様によれば、流動方向を有するガスストリームからCO2を除去するための多段吸収器システムであって、
CO2を含んでなるガスストリームを第1の吸収液体と接触させるCO2吸収器、
使用済み吸収液体からCO2を放出させることによって、第1の吸収液を再生する再生器、
使用済み吸収液体を再生器に送るためのCO2吸収器及び再生器を接続する第1の導管、及び
第1の吸収液体をCO2吸収器に戻すための再生器及びCO2吸収器を接続する第2の導管;
及びガスストリームの流動方向についてCO2吸収器の下流において、
ガスストリームを第2の吸収液体と接触させるための汚染物吸収器、及び
使用済み吸収液体を第2の吸収液体として汚染物吸収器に再循環するための汚染物吸収器の液体出口及び液体入口を接続する再循環回路
を含んでなり;多段吸収器システムは、さらに、
再生器から放出されたCO2を第2の吸収液体に供給するための再生器及び再循環回路を接続するCO2導管、及び
汚染物吸収器から使用済み吸収液体を再生器に送るための再循環導管及び再生器を接続する液体導管
を含んでなる多段吸収器システムが提供される。
【0026】
用語「液体導管」は、液体を汚染物吸収器から再生器に送るために採用される導管をいう。液体は、例えば、再循環回路及び液体導管が、使用済み吸収液体又は使用済み吸収液体の一部をガス状に変換するためのストリッパーのような装置を含まない場合には、液体ラインを通って送られる。
【0027】
第2の吸収液体にCO2を供給する手段は、固状、液状、臨界液状、又はガス状のCO2を第2の吸収液体に導入するために採用される。例えば、液状のCO2は、注入ノズルを介して第2の吸収液体に導入される。このように、CO2導管は、冷却器のようなCO2を液化する手段を含んでなることができる。
【0028】
上述したように、汚染物吸収器では反応熱が発生される。このため、及び汚染物吸収器におけるCO2蒸気の放出を低減するために、再循環導管は冷却器を含んでなることができる。
【0029】
汚染物吸収器の物質移動装置のデザインについては上述した。このように、汚染物吸収器は向流式吸収器でもよい。沈殿した固体を収容するために、汚染物吸収器は、好適な液体/ガス接触型の、好ましくはトレー型の物質移動装置を含んでなることができる。
【0030】
示した多段吸収器システムを、いわゆるチルドアンモニアプロセスに従って作動することが可能である。このように、CO2吸収器は周囲温度以下での作動に採用される。例えば、25℃以下、好ましくは20℃以下、及び任意に10℃以下の温度で作動される。
【0031】
示した多段吸収器システムをアミン系プロセスに従って作動することも可能であると考えられる。このように、CO2吸収器は、CO2を含んでなるガスストリームを、アミン化合物を含んでなる第1の吸収液体と接触させるために使用され、汚染物吸収器は、アンモニア、アミン化合物又はアミン化合物の分解生成物を吸収するように、ガスストリームを第2の吸収液体と接触させるために採用される。
【0032】
汚染物吸収器及びCO2吸収器は共通の容器に内に配置される。汚染物吸収器は、共通の吸収塔内において、CO2吸収器の上方に配置される。このような配置によって、物質及びコストの節約が可能である。
【0033】
上述した特徴及び他の特徴は、図面及び下記の記載から例示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ガスストリームからCO2を除去するためにアンモニア系システムを一般的に示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、ガスストリームからCO2を除去するための多段吸収器システムを示す。このシステムは、浄化されるべきガスストリームと、アンモニアを含んでなる第1の吸収液体との間の接触を可能にするように配置されたCO2吸収器301を含んでなる。CO2が除去されるガスストリームを、ライン302を介して、CO2吸収器に供給する。CO2吸収器において、前記吸収液体を通してガスストリームを発砲させることによって、又はガスストリームに吸収液体を噴霧することによって、ガスストリームを、アンモニアを含んでなる吸収液体と接触させる。ライン303を介して、アンモニアを含んでなる第1の吸収液体をCO2吸収器301に供給する。CO2吸収器では、ガスストリームからのCO2を、例えば、溶解した形又は固体の形でアンモニアの炭酸塩又は炭酸水素塩の形成によって、吸収液体に吸収する。吸収したCO2を含有する使用済み吸収液体を、ライン304を介して、吸収器から排出し、再生器(すなわち、ストリッピングユニット)311に運び、ここで、CO2をガスストリームから放出させ、第1の吸収液体を再生する。再生した第1の吸収液体をCO2吸収器301に戻す。放出されたCO2を、ライン312を介して、再生器311から排出する。CO2が除去されたガスストリームを、ライン305を介して、CO2吸収器から排出する。
【0036】
図1に示すシステムは、さらに、汚染物吸収器306を含んでなる。汚染物吸収器は、ライン305を介してCO2吸収器から排出されたCO2が除去されたガスストリームと、第2の吸収液体との間の接触を可能にするように配置されている。ライン307を介して、第2の吸収液体を汚染物吸収器に供給する。汚染物吸収器ユニットでは、CO2吸収器から排出された際にガスストリーム中に残留するアンモニアを、第2の吸収液体に吸収する。吸収器さアンモニアを含有する使用済み吸収液体を、ライン308を介して、汚染物吸収器から排出する。CO2及びアンモニアが除去されたガスストリームを、ライン309を介して、汚染物吸収器306から排出する。
【0037】
ライン308を介して汚染物吸収器306から排出された使用済み吸収液体を、供給タンク315及びライン307を介して、汚染物吸収器306に再循環する。ライン307内の冷却器は、NH3−CO2−H2O反応の熱を受け取り、汚染物吸収器306におけるCO2蒸気を低減するために第2の吸収液体を冷却する。供給タンク315では、ライン313を介して再生器311から放出されたCO2を、第2の吸収液体に供給する。ライン313における冷却器の補助により、供給タンク315に供給されるCO2は液体である。供給タンク315から、第2の吸収液体の排出ストリームを、ライン316を介して、再生器タンク317に、及びさらに再生器における捕捉したアンモニアを回収するために再生器311に送る。
【0038】
いくつかの好適な具体例を参照して本発明を記述したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、各種の変更をなすこと又はその部材を他の均等物によって置換できることは理解されるであろう。さらに、本発明の教示に特殊な状況又は物を適合させるために、その本質的な範囲から逸脱することなく、幾多の変形をなすこともできる。従って、本発明は、本発明の実施の最良の形態として開示した特別な具体例に限定されず、本発明は特許請求の範囲の範囲に属する全ての具体例を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスストリームからO2を除去する方法であって、
(a)CO2吸収ステージにおいて、CO2を含んでなるガスストリームを、アンモニアを含んでなる第1の吸収液体と接触させて、ガスストリームからCO2を除去する工程;
(b)工程(a)から生じた使用済み吸収液体を再生に送る工程;
(c)使用済み吸収液体からCO2を放出することによって第1の吸収液体を再生し、第1の吸収液体を工程(a)に戻す工程;
(d)工程(c)から放出されたCO2を第2の吸収液体に供給する工程;
(e)汚染物吸収ステージにおいて、工程(a)から排出されたガスストリームを、第2の吸収液体と接触させて、ガスストリームからアンモニアを除去する工程;及び
(f)工程(e)から生じた使用済み吸収液体の一部を取り出し、工程(e)から生じた使用済み吸収液体を第2の吸収液体として工程(d)に再循環する前に、前記吸収液体の一部を工程(c)における再生に送る工程
を含んでなる、CO2の除去法。
【請求項2】
工程(f)を、工程(e)から生じた使用済み吸収液体からアンモニアを実質的に放出することなく実行する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(f)において取り出される工程(e)から生じた使用済み吸収液体の一部が、工程(e)から生じた使用済み吸収液体の少量部分である、請求項1記載の方法
【請求項4】
工程(c)から放出されたCO2を、工程(d)において第2の吸収液に供給する前に液体状態に変換する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第2の吸収液体を、工程(e)において工程(a)から排出されたガスストリームと接触させる前に冷却する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
工程(e)において、ガスストリームを第2の吸収液体と向流式で接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
工程(e)の汚染物吸収ステージが、トレー状の物質移動装置を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
流動方向を有するガスストリームからCO2を除去するための多段吸収器システムであって、
CO2を含んでなるガスストリームを第1の吸収液体と接触させるCO2吸収器、
使用済み吸収液体からCO2を放出させることによって、第1の吸収液を再生する再生器、
使用済み吸収液体を再生器に送るためのCO2吸収器及び再生器を接続する第1の導管、及び
第1の吸収液体をCO2吸収器に戻すための再生器及びCO2吸収器を接続する第2の導管;
及びガスストリームの流動方向についてCO2吸収器の下流において、
ガスストリームを第2の吸収液体と接触させるための汚染物吸収器、及び
使用済み吸収液体を第2の吸収液体として汚染物吸収器に再循環するための汚染物吸収器の液体出口及び液体入口を接続する再循環回路
を含んでなり;多段吸収器システムは、さらに、
再生器から放出されたCO2を第2の吸収液体に供給するための再生器及び再循環回路を接続するCO2導管、及び
汚染物吸収器から使用済み吸収液体を再生器に送るための再循環導管及び再生器を接続する液体導管
を含んでなる、多段吸収器システム。
【請求項9】
再循環回路及び液体導管が、使用済み吸収液体又は使用済み吸収液体の一部をガス状態に変換するための装置を含まない、請求項8記載の多段吸収器システム。
【請求項10】
CO2導管がCO2を液化する手段を含んでなる、請求項8記載の多段吸収器システム。
【請求項11】
再循環回路が冷却器を含んでなる、請求項8記載の多段吸収器システム。
【請求項12】
汚染物吸収器が向流式吸収器である、請求項8記載の多段吸収器システム。
【請求項13】
汚染物吸収器がトレー状の物質移動装置を含んでなる、請求項8記載の多段吸収器システム。
【請求項14】
CO2吸収器は、CO2を含んでなるガスストリームを、アンモニアを含んでなる第1の吸収液体と接触させるものであり、汚染物吸収器は、アンモニアを吸収するために、ガスストリームを第2の吸収液体と接触させるものである、請求項8記載の多段吸収器システム。
【請求項15】
汚染物吸収器を、共通の吸収塔において、CO2吸収器の上に配置している、請求項8記載の多段吸収器システム。

【図1】
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【公表番号】特表2013−514176(P2013−514176A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544557(P2012−544557)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057750
【国際公開番号】WO2011/084254
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】