説明

ガスセンサおよびガス濃度測定システム

【課題】従来のガスセンサでは、ガスセンサが劣化し、ガスセンサとしての性能が発揮できなくなる前に、定期的にガスセンサを交換する等のメンテナンスを行うのが一般的である。しかし、交換の度に検量線を作成し校正する作業が必要となる。
【解決手段】そこで、本件発明では、以下のガスセンサおよびガス濃度測定システムを提供する。第一の発明としては、特定の検出対象ガスの濃度を電気信号値として検出するセンサ部と、前記センサ部の個体情報を記憶する記憶部と、を有し、前記記憶部は、予め測定されたセンサ部の対象ガス濃度と電気信号値の関係を素子校正情報として記憶する素子校正情報記憶手段と、を有するガスセンサを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ガスセンサに自身の検量線データを記憶することで、校正の手間を省いた事を特徴とするガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にガスセンサは、測定対象となるガスなどに暴露され使用される。この際、測定対象ガスが、腐食性のガスであったり、暴露される雰囲気が腐食性ガスを含んでいたり、高温条件や高湿条件、または逆に乾燥条件下など、ガスセンサにとって過酷な条件下で使用を続けた場合、ガスセンサは、劣化し、正確なガスセンサとしての性能を発揮出来なくなってしまう。
【0003】
そこで、このような過酷な条件下で使用されるガスセンサでは、ガスセンサが劣化し、ガスセンサとしての性能が発揮できなくなる前に、定期的にガスセンサを交換する等のメンテナンスを行うのが一般的である。
【0004】
このガスセンサは、一般的に個々のガスセンサごとにガスセンサから出力される電気信号値と、対象ガスの濃度の関係が異なる。このため、ガスセンサを交換した際には、改めて出力される電気信号値と対象ガスの濃度の関係、つまり検量線を作成し校正作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−233318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この校正作業は、ガスセンサを交換する度に行う必要があるものであるため、より過酷な条件下で使用されるガスセンサなど、頻繁に交換が必要なガスセンサの場合には、校正作業や標準ガスが必要になるなど、膨大な時間と労力を要することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本件発明では、上記問題を鑑み、以下のガスセンサおよびガス濃度測定システムを提供する。第一の発明としては、特定の検出対象ガスの濃度を電気信号値として検出するセンサ部と、前記センサ部の個体情報を記憶する記憶部と、を有し、前記記憶部は、予め測定されたセンサ部の対象ガス濃度と電気信号値の関係を素子校正情報として記憶する素子校正情報記憶手段と、を有するガスセンサを提供する。
【0008】
第二の発明としては、第一の発明に記載のガスセンサと、前記ガスセンサと着脱自在なセンサ本体と、からなり、センサ本体は、前記センサ部が検出した電気信号値を、記憶部に保持された前記素子校正情報に基づき演算し、検出対象ガスの濃度として算出するガス濃度算出部と、を有するガス濃度測定システムを提供する。
【0009】
第三の発明としては、前記ガスセンサは、センサ部の温度を測定する温度測定部と、前記記憶部に、ガス濃度算出部が算出した検出対象ガスの濃度を温度変化に応じて補正するための、温度補正情報を記憶する温度補正情報記憶手段と、を有し、前記センサ本体に、前記温度測定部が測定した温度値と前記温度補正情報記憶手段に記憶された温度補正情報に基づき検出対象ガスの濃度を補正する温度補正手段と、を有する第二の発明に記載のガス濃度測定システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本件発明のガスセンサのように、記憶部の素子校正情報記憶手段に当該ガスセンサの素子校正情報を記憶させることで、ガスセンサを使用する際に、校正を行わずに、素子校正情報を参照して正確なガス濃度を測定することが可能となる。
【0011】
また、本件発明のガス濃度測定システムでは、センサ本体から交換が必要なガスセンサのみを取り外して交換することが可能であるため、ガスセンサが劣化しても、ガス濃度測定システム全体を交換する必要が無く、ガスセンサのみを交換し、センサ本体は長期にわたり使用することが可能である。
ガスセンサのみを交換し、校正などの作業が必要無いため、ガスセンサの交換を使用者自身が行うことも可能である。このため、ガスセンサの交換のために、ガス濃度測定システムをメーカーなど交換業者に依頼する必要もなく、容易に行うことが可能である。
【0012】
さらに、本件発明のガス濃度測定システムのように、センサ部の温度を測定する温度測定部を設け、さらに温度補正情報を記憶する温度補正情報記憶手段を設けることで、温度変化が生じた場合でも正確な対象ガスの濃度を測定することが可能となる。また、温度補正情報をガスセンサの記憶部に記憶させることで、ガスセンサが劣化し、交換を行った場合でも、検量線などを新たに作成する必要が無く、すぐに測定を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1のガスセンサを説明するための機能ブロック図
【図2】実施形態2のガス濃度測定システムを説明するための機能ブロック図
【図3】実施形態3のガス濃度測定システムを説明するための機能ブロック図
【図4】実施形態3のガス濃度測定システムの処理の流れを説明するためのフローチャート
【図5】実施形態32のガス濃度測定システムを説明するためのハードウエア構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0015】
実施形態1は主に請求項1等に関する。実施形態2は主に請求項2等に関する。実施形態3は主に請求項3等に関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1 概要>
【0016】
本実施形態は、ガスセンサの検出ガスに対する応答性能(検量線)などの個体情報が保存された記憶部を有することを特徴としたガスセンサである。個体情報には、予め試験を行い得られた、前記センサ部個体の対象ガスの濃度に対するガスセンサのセンサ部から出力される電気信号値との関係(いわゆる検量線)を素子校正情報などが含まれている。
<実施形態1 構成>
【0017】
図1に本実施形態を説明するための機能ブロック図を示した。本実施形態のガスセンサは、 特定の検出対象ガスの濃度を電気信号値として検出するセンサ部(0101)と、前記センサ部の個体情報を記憶する記憶部(0102)と、を有し、前記記憶部は、予め測定されたセンサ部の対象ガス濃度と電気信号値の関係を素子校正情報として記憶する素子校正情報記憶手段(0103)と、を有する。
【0018】
「センサ部」は、検出対象ガスを検知し、その濃度を電気信号値として出力する。具体的にセンサ部としては、熱線型半導体式センサ、定電位電解式センサ、薄膜型半導体式センサ、半導体式センサ、接触燃焼式センサ、オルガスタ式センサ、気体熱伝導式センサ、隔膜ガルバニ電池式センサなどのセンサである。これらのセンサは、検出対象となるガスの濃度に応じて電気伝導度や、電解電流、反応電流、抵抗、電圧などの電気信号値を出力する。
【0019】
「記憶部」は、前記センサ部の個体情報を記憶する。記憶部に記憶されるセンサ部の個体情報としては、センサ部の型式や製造番号の他、後述する素子校正情報のような電気信号値を校正するための情報等が記憶されている。この記憶部に記憶される個体情報は、本実施形態のガスセンサから出力可能に構成される。本実施形態のガスセンサから出力された個体情報は、ガス濃度を算出する際に利用されるなどする。
【0020】
「素子校正情報記憶手段」は、前述の記憶部に配置され、予め測定されたセンサ部の対象ガス濃度と電気信号値の関係を素子校正情報として記憶する。素子校正情報とは、対象ガス濃度と、対象ガスを検知した際に濃度に応じてセンサ部から出力される電気伝導度や、電解電流、反応電流、抵抗、電圧などの電気信号値の関係、いわゆる検量線などである。より具体的には、図1の円内(0104)に示された検量線のような情報である。この素子校正情報は、個々のガスセンサによって多少なりとも異なることから、個々のガスセンサごとに予め対象ガス濃度と電気信号値の関係を測定し、素子校正情報記憶手段に素子校正情報として記憶させる。
<実施形態1 効果>
【0021】
本実施形態のガスセンサのように、記憶部の素子校正情報記憶手段に当該ガスセンサの素子校正情報を記憶させることで、ガスセンサを使用する際に、校正を行わずに、素子校正情報を参照して正確なガス濃度を測定することが可能となる。
<<実施形態2>>
<実施形態2 概要>
【0022】
本実施形態のガス濃度測定システムは、センサ部から出力された電気信号値から、実施形態1に述べたガスセンサの素子校正情報記憶手段に記憶された素子校正情報に基づき演算を行い、検出対象ガスの濃度を算出することを特徴としている。
<実施形態2 構成>
【0023】
図2に本実施形態のガス濃度測定システムの機能ブロック図を示した。本実施形態のガス濃度測定システムは、実施形態1に記載のセンサ部(0201)と、記憶部(0202)と、素子校正情報記憶手段(0203)と、を有するガスセンサ(0204)と、前記ガスセンサと着脱自在なセンサ本体(0205)と、からなり、センサ本体は、前記センサ部が検出した電気信号値を、記憶部に保持された前記素子校正情報に基づき演算し、検出対象ガスの濃度として算出するガス濃度算出部(0206)と、を有する。
【0024】
「センサ本体」は、実施形態1に述べたガスセンサと着脱自在に構成され、後述するガス濃度算出部を有する。実施形態1に述べたガスセンサは、本実施形態のセンサ本体に装着し使用することで、ガス濃度を算出し、ガス濃度測定システムとして機能する。また、センサ部の種類によっては、センサ本体からセンサ部に電力を供給するように構成してもよい。
【0025】
「ガス濃度算出部」は、 前記センサ部が出力した電気信号値を、記憶部に保持された前記素子校正情報に基づき演算し、検出対象ガスの濃度として算出する。ガス濃度算出部にて行われる演算は、センサ部から出力された電気信号値を、実施形態1に説明した、個々のセンサ部によって異なる素子校正情報に基づき、対象ガス濃度を算出する。素子校正情報は、例えば、図2の円内(0207)に示したような、センサ部から出力される電気信号値と、対象ガス濃度の関係を示すいわゆる検量線である。具体的には、ガス濃度算出部でこの検量線に基づき対象ガスの濃度を算出する。
【0026】
本実施形態のガス濃度測定システムは、実施形態1に述べたガスセンサと、センサ本体とが分離可能に構成されている。一般的にガスセンサのセンサ部は、測定対象のガスにさらされる。また、使用環境によっては、測定対象以外のガスなどにもさらされる環境で使用される。このため、センサ部は、腐食性のガスなどにさらされる可能性もあるため、長時間使用することで劣化してしまい、所定の性能が発揮できなくなってしまう。このため、ガスセンサは、定期的に交換するのが一般的である。従来のガスセンサの場合、ガスセンサを交換すると毎に、新たにセンサ本体に取り付けられたガスセンサの対象ガス濃度に対する電気信号値を測定し、検量線を作成し、正しいガス濃度が算出できるように校正する必要がある。しかし、本実施形態のガス濃度測定システムでは、ガスセンサに記憶部を設け、記憶部にここのセンサ部の素子校正情報を記憶させることで、ガスセンサを交換した際に、改めて検量線を作成する必要が無い。このように、本実施形態のガス濃度測定システムは、ガスセンサの交換をより簡便に行うことが可能である。
<実施形態2 効果>
【0027】
本実施形態のガスセンサのように、記憶部の素子校正情報記憶手段に当該ガスセンサの素子校正情報を記憶させることで、ガスセンサを使用する際に、校正を行わずに、素子校正情報を参照して正確なガス濃度を測定することが可能となる。またセンサ部が劣化した場合でも、ガスセンサを交換するだけで校正などを行わずに使用することが可能となる。
<<実施形態3>>
<実施形態3 概要>
【0028】
本実施形態のガス濃度測定システムは、実施形態1に述べたガスセンサにセンサ部の温度を測定するための温度測定部を設け、この温度測定部が測定したセンサ部の温度に応じて、算出される検出ガスの濃度を補正することを特徴としたガス濃度測定システムである。
【0029】
ガスセンサのセンサ部から出力される電気信号値や、ガス濃度算出部が算出したガス濃度は、温度に応じて変化する値である。そこで、本実施形態のガス濃度測定システムでは、記憶部に新たに温度補正情報記憶手段をもうけ、温度補正情報記憶手段にあらかじめ測定したガスセンサに固有の温度補正情報を記憶し、この温度補正情報と温度測定部が測定したセンサ部の温度に応じて算出されるガス濃度を補正する。
<実施形態3 構成>
【0030】
図3に本実施形態のガス濃度測定システムの機能ブロック図を示した。本実施形態のガス濃度測定システムは、実施形態1および実施形態2に述べた、センサ部(0301)と、記憶部(0302)と、素子校正情報記憶手段(0303)と、を有するガスセンサ(0304)と、前記ガスセンサと着脱自在なセンサ本体(0305)と、からなり、センサ本体は、ガス濃度算出部(0306)を有し、ガスセンサは、センサ部の温度を測定する温度測定部(0307)と、前記記憶部に、ガス濃度算出部が算出した検出対象ガスの濃度を温度変化に応じて補正するための、温度補正情報を記憶する温度補正情報記憶手段(0308)と、を有し、前記センサ本体は、前記温度測定部が測定した温度値と前記温度補正情報記憶手段に記憶された温度補正情報に基づき検出対象ガスの濃度を補正する温度補正手段(0309)と、を有する。
【0031】
「温度測定部」は、ガスセンサに設けられ、センサ部の温度を測定する。温度測定部が測定した温度情報は、後述する温度補正手段に送られる。この温度測定部が測定した温度情報は、温度補正手段において、測定された対象ガスの濃度を補正する際に用いられる。一般的に、センサ部の温度が変化した場合、センサ部から出力される電気信号値に変かが生じ、ガス濃度算出部が算出したガス濃度に誤差が生じる。温度測定部では、この温度変化によって生じるガス濃度の誤差を、補正する為に必要なセンサ部の温度値を測定する。
【0032】
「温度補正情報記憶手段」は、前記記憶部に設けられ、ガス濃度算出部が算出した検出対象ガスの濃度を温度変化に応じて補正するための、温度補正情報を記憶する。温度補正情報は、センサ部固有の情報であって、予め実験などによって測定された対象ガス濃度とセンサ部の温度の関係の情報である。より具体的には、温度補正情報とは、対象ガス濃度とセンサ部の関係を示す検量線情報である。温度補正情報記憶手段には、この 対象ガス濃度とセンサ部の関係を示す検量線情報である温度補正情報が記憶されている。この、温度補正情報記憶手段に記憶されている温度補正情報は、後述する温度補正手段において、ガス濃度を温度補正する際に、温度測定部が測定した温度値と共に活用される。
【0033】
「温度補正手段」は、 センサ本体に設けられ、前記温度測定部が測定した温度値と前記温度補正情報記憶手段に記憶された温度補正情報に基づき検出対象ガスの濃度を補正する。前述のように、対象ガス濃度は、温度変化によって誤差が生じる。この誤差を補正するために、温度補正手段では、温度測定部が測定したセンサ部の温度と温度補正情報記憶手段に記憶されている温度補正情報とを用いて補正を行う。具体的には、ガス濃度算出部において、ガス濃度が算出されると、温度測定部が測定した温度値を取得する。次に、温度補正情報記憶手段に記憶された温度測定部が測定した温度値における温度補正情報を取得する。取得された温度補正情報は、検量線から算出される前述の当該温度における補正係数等であり、算出されたガス濃度に対してこの補正係数を乗じ補正を行い、温度誤差の補正を行う。
<実施形態3 処理の流れ>
【0034】
図4に本実施形態のガス濃度測定システムの処理の流れを説明するフローチャートを示した。本実施形態のガス濃度測定システムは、まず、ガスセンサに設けられた、センサ部が対象ガスの濃度に応じて電気信号値を出力し(S0501)、出力された電気信号値は、センサ本体に設けられたガス濃度算出部に送られる。ガス濃度算出部は、ガスセンサに設けられた記憶部の素子校正情報記憶手段に記憶されている素子校正情報を参照し(S0502)、素子校正情報に基づき、センサ部から出力された電気信号値から対象ガスの濃度を算出する(S0503)。次に、ガスセンサ部に設けられた温度測定部が、前記センサ部の温度を測定し(S0504)、測定された温度情報は、温度補正部へ出力される。温度補正部では、ガスセンサの記憶部の温度補正情報記憶手段に記憶されている温度補正情報を参照し(S0505)、温度測定部が測定したセンサ部の温度と、前述の温度補正情報に基づき、ガス濃度算出部が算出した対象ガス濃度を補正し(S0506)、温度誤差を排除した対象ガス濃度を出力する(S0507)。出力されたガス濃度は、表示器や記録器などへ送られる。
<実施形態3 ハードウエア構成>
【0035】
本実施形態のガス濃度測定システムは、図5に示したように、各種演算処理を行うCPU(0501)や主メモリ(0502)、また各種処理や判断を行うプログラムや、場合によっては測定結果などを記憶保持するハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶装置(0503、0504)や、ガスセンサとセンサ本体を接続したり、ユーザーに対して様々な情報を報知するためのディスプレイやモニタ用LEDと接続したり、通信を行うための通信インターフェイス(0505、0506)などを備えている。また、ガスセンサには、ガス濃度を検出するセンサ部(0507)と、センサ部の温度を測定するサーミスタなどの温度測定部(0508)が備えられている。そしてそれらがシステムバスやデータ通信経路(0509、0510)によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。また、主メモリは、各種処理を行うプログラムをCPUに実行させるために読み込ますと同時にそのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また、この主メモリや記憶装置にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとり行い、処理を行うことが可能となっている。
【0036】
CPUは、ガス濃度の演算や、温度補正などの演算を行うためのプログラムを主メモリに展開する。CPUは、展開されたプログラムに基づき、通信インターフェイスに接続されたガスセンサから、センサ部が検出した電気信号値や、温度測定部が測定したセンサ部の温度値、センサ部に設けられたフラッシュメモリやROMなどの記憶装置に記憶された素子校正情報記憶手段に記憶された素子校正情報、温度補正情報記憶手段に記憶された温度補正情報を取得する。取得した各情報は一時的にセンサ本体上の主メモリ上に保存される。この際、各情報は逐次センサ本体上の記憶装置に保存するように設定してもよい。CPUは、取得された各情報をプログラムに基づき演算を行い、ガス濃度を算出する。
<実施形態3 効果>
【0037】
本実施形態のガス濃度測定システムのように、センサ部の温度を測定する温度測定部を設け、さらに温度補正情報を記憶する温度補正情報記憶手段を設けることで、温度変化が生じた場合でも正確な対象ガスの濃度を測定することが可能となる。また、温度補正情報をガスセンサの記憶部に記憶させることで、ガスセンサが劣化し、交換を行った場合でも、検量線などを新たに作成する必要が無く、すぐに測定を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0038】
0101 センサ部
0102 記憶部
0103 素子校正情報記憶手段
0201 センサ部
0202 記憶部
0203 素子校正情報記憶手段
0204 ガスセンサ
0205 センサ本体
0206 ガス濃度算出部
0301 センサ部
0302 記憶部
0303 素子校正情報記憶手段
0304 ガスセンサ
0305 センサ本体
0306 ガス濃度算出部
0307 温度測定部
0308 温度補正情報記憶手段
0309 温度補正手段
0501 CPU
0502 主メモリ
0503、0504 記憶装置
0505、0506 通信インターフェイス
0507 センサ部
0508 温度測定部
0509、0510 データ通信経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の検出対象ガスの濃度を電気信号値として検出するセンサ部と、
前記センサ部の個体情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記記憶部は、予め測定されたセンサ部の対象ガス濃度と電気信号値の関係を素子校正情報として記憶する素子校正情報記憶手段と、
を有するガスセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサと、
前記ガスセンサと着脱自在なセンサ本体と、
からなり、
センサ本体は、前記センサ部が検出した電気信号値を、記憶部に保持された前記素子校正情報に基づき演算し、検出対象ガスの濃度として算出するガス濃度算出部と、
を有するガス濃度測定システム。
【請求項3】
前記ガスセンサは、
センサ部の温度を測定する温度測定部と、
前記記憶部に、ガス濃度算出部が算出した検出対象ガスの濃度を温度変化に応じて補正するための、温度補正情報を記憶する温度補正情報記憶手段と、
を有し、
前記センサ本体に、前記温度測定部が測定した温度値と前記温度補正情報記憶手段に記憶された温度補正情報に基づき検出対象ガスの濃度を補正する温度補正手段と、
を有する請求項2に記載のガス濃度測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−76634(P2013−76634A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216576(P2011−216576)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】