説明

ガスセンサとガス検出装置

【構成】
シリコン基板表面の絶縁膜にヒータを備えるガス検知部が設けられ、ガス検知部の周囲で絶縁膜の底部に空洞が設けられ、シリコン基板がハウジングに収容されている。ハウジングに有機溶媒の吸着剤と有機溶媒の酸化触媒とが、ハウジングの外側から内側へ吸着剤、酸化触媒の順に設けられ、被検出雰囲気を吸着剤と酸化触媒とを介してガス検知部へ導くようにされている。
【効果】 有機溶媒による被毒を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はMEMSガスセンサによるガスの検出に関し、特に有機溶媒等による被毒の防止に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らはシリコン基板上での微細加工を用いたガスセンサ(MEMSセンサということがある)を開発中で、特にSnO2厚膜によりメタンを検出するセンサを開発中である。MEMSセンサは活性炭フィルを備えて有機溶媒等の雑ガスを除去し、例えば30秒周期で0.1秒間500℃付近に加熱されてメタンを検出し、他は室温に放置される。発明者は、このMEMSセンサが高濃度のエタノールに長時間曝されると被毒されることを見出した。そして被毒に関する実験から、
・ エタノールは活性炭フィルタを通過してSnO2膜に達し、
・ SnO2膜のメタン中の抵抗値も水素中の抵抗値も空気中の抵抗値も増加し、
・ メタン感度(空気中の抵抗値とメタン中の抵抗値との比)が減少し、
・ メタンの検出温度(470℃)に30秒毎に0.1秒間加熱されるだけでは、吸着したエタノールを完全に燃焼させるには不十分である、
ことが判明した。
【0003】
エタノールによる被毒への対策として、メタン検出温度への加熱時間を長くすることは消費電力の点で難しい。SnO2膜を酸化活性の高い遷移金属酸化物膜で被覆することは、遷移金属がSnO2中に拡散し、特性を変える可能性がある点で好ましくない。活性炭の量を増すと、耐被毒性能の向上の効果が小さい割りに、通気抵抗が大きく増加する点で好ましくない。発明者は、既存のMEMSセンサの構成を基本的に変えずに、通気抵抗の増大が僅かで、かつコストの増加が小さいようにしながら、エタノール等による被毒を防止することを検討し、この発明に至った。
【0004】
関連する先行技術を示す。特許文献1(JP2825149)は、接触燃焼式ガスセンサに、活性炭とPtとをセルロースに混合したシロキサンガスのフィルタを設けることを提案している。しかしながら特許文献1は、エタノール等による被毒にも、MEMSタイプのガスセンサにも、またSnO2膜を用いたセンサにも言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】JP2825149
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、有機溶媒等によるガスセンサの被毒を、簡単な構成により防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、シリコン基板表面の絶縁膜にヒータを備えるガス検知部が設けられ、ガス検知部の周囲で絶縁膜の底部に空洞が設けられ、シリコン基板がハウジングに収容されているガスセンサにおいて、
前記ハウジングに有機溶媒の吸着剤と有機溶媒の酸化触媒とが、ハウジングの外側から内側へ吸着剤、酸化触媒の順に設けられ、被検出雰囲気を前記吸着剤と前記酸化触媒とを介してガス検知部へ導くようにされていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、吸着剤が活性炭で、酸化触媒が貴金属担持の活性炭である。
特に好ましくは、ガス検知部がSnO2膜とSnO2膜に接続されている電極とを備えている。
【0009】
活性炭-Pt、活性炭-Pd、活性炭-RuO2、カーボンブラック-Pt、Fe2O3-Au、LaCoO3-Pt、LaCrO3-Pt、MnO2-CuO-Pt等の酸化触媒は、室温でもエタノール酸化活性を有している。そこでこれらの酸化触媒をハウジングに設けることにより、エタノール等の有機溶媒を除去し、ガス検知部の被毒を防止できる。
酸化触媒の前段に吸着剤を設けることにより、吸着剤、酸化触媒、ガス検知部の順に被検出雰囲気が導入されるようにすると、吸着剤で処理できなかった少量の有機溶媒を酸化触媒で処理すればよいので、酸化触媒の負担が軽くなる。従ってPt等の貴金属担持の酸化触媒を効率的に利用できる。
特に活性炭と貴金属担持の活性炭とを組み合わせると、フィルタの基本材料を活性炭に統一できる。
またSnO2膜と電極とをヒータで加熱するガス検知部の場合、γアルミナ等にPt等を担持した触媒に比べ、SnO2が温和な酸化触媒であるため、エタノール等による被毒の影響が特に著しい。このため酸化触媒により被毒を防止する意義が大きい。
【0010】
またこの発明は、シリコン基板表面の絶縁膜にヒータを備えるガス検知部が設けられ、ガス検知部の周囲で絶縁膜の底部に空洞が設けられ、シリコン基板がハウジングに収容されているガスセンサと、電源と、ガスセンサの駆動回路とを備えるガス検出装置において、
ハウジングに有機溶媒の吸着剤と有機溶媒の酸化触媒とが、ハウジングの外側から内側へ吸着剤、酸化触媒の順に設けられ、被検出雰囲気を吸着剤と酸化触媒とを介してガス検知部へ導くようにされ、
駆動回路は、ヒータへの電力を、有機溶媒をガス検知部から蒸発もしくは酸化するのに適した低レベルと、検出対象ガスの検出に適した高レベルと、0レベルとの間で変化させるように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、酸化触媒を基準としてハウジングの外側に、有機溶媒の吸着剤が設けられている。
また好ましくは、ガス検知部がSnO2膜とSnO2膜に接続されている電極とを備えている。 なおこの明細書において、ガスセンサに関する記載はそのままガス検出装置にも当てはまる。
【0011】
このようにすると、酸化触媒により有機溶媒を酸化することと、低レベルで有機溶媒をガス検知部から蒸発させあるいは酸化することとの組み合わせにより、被毒を著しく小さくできる。また低レベルの温度は例えば60〜200℃で、好ましくは60〜120℃、特に好ましくは70〜110℃と低いので、消費電力の増加は許容範囲内である。この明細書において、〜により範囲を示した場合は、下限以上で上限以下であることを意味する。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ガスセンサの断面図
【図2】センサ本体の断面図
【図3】ガス検出装置のブロック図
【図4】実施例でのガスセンサの加熱パターンを示す波形図で、1)は加熱電力を,2)はガス検知部の温度を示す。
【図5】実施例のアルゴリズムを示すフローチャート
【図6】1日2時間ずつ2日間、3000ppmのエタノールに曝した際の、ガスセンサのキャップ内のガス濃度を示す特性図
【図7】1日20分ずつ28日間3000ppmのエタノールに曝した際の、センサ特性の変化を示す特性図で、センサは120mgの活性炭と30mgの活性炭-Pt触媒を備え、100℃×0.4秒-470℃×0.1秒-室温29.5秒の順に駆動
【図8】1日20分ずつ28日間3000ppmのエタノールに曝した際の、センサ特性の変化を示す特性図で、センサは120mgの活性炭と30mgの活性炭-Pt触媒を備え、470℃×0.1秒と室温29.9秒とに交互に駆動
【図9】1日20分ずつ21日間3000ppmのエタノールに曝した際の、センサ特性の変化を示す特性図で、センサは150mgの活性炭を備え、470℃×0.1秒と室温29.9秒とに交互に駆動
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示すが、本発明は実施例により限定されるものではなく、明細書及び図面の記載に当業者に公知の事項を加えて変形できる。
【実施例】
【0014】
図1〜図9に実施例とその特性を示す。図において、2はガスセンサで、MEMSタイプのセンサ本体4をベースに固着し、センサ本体4の図示しないパッドをピン13にリード線11により接続してある。そしてキャップ12とベース10で囲まれたスペースに、センサ本体4が配置されている。14は粒状、シート状等の活性炭から成る吸着剤、16は例えば粒状あるいはシート状の活性炭-Ptから成る酸化触媒、18は吸着剤14と酸化触媒16を固定するための不織布で、紙あるいは多孔質の合成樹脂フィルム等でも良く、吸着剤14と酸化触媒16とがシート状の場合は不織布18は不要である。19は図1での下側の不織布18を押さえる押さえリングである。ガスセンサ2の構造、形状、材料は、MEMSタイプのガスセンサで、外部からセンサ本体4へ至る通気路の外側に吸着剤14が、中間に酸化触媒16が、内側にセンサ本体4が置かれている点が重要で、他の点は任意である。
【0015】
吸着剤14はここでは粒状活性炭であるが、シリカゲル、ゼオライト、特にエタノール吸着能に優れたハイシリカゼオライト、等任意で、形状は粒状でもシート状でも良い。酸化触媒16はここでは粒状の活性炭-Ptであるが、シート状の活性炭にPtを担持しても、ゼオライト、シリカゲル等の吸着剤にPtを担持しても良く、また活性炭-Pd、活性炭-RuO2、カーボンブラック-Pt、Fe2O3-Au、LaCoO3-Pt、LaCrO3-Pt、MnO2-CuO-Pt,MnO2-Pt等の酸化触媒でも良く、室温でエタノール酸化活性を有する酸化触媒であればよい。室温でエタノール等の有機溶媒を酸化するため、酸化触媒16はPt,Au,Pd,Rh,RuO2等の貴金属を担体に担持した触媒が好ましい。吸着剤14を前段に配置することにより、酸化触媒の負担を軽減し、その必要量を少なくできる。また吸着剤14の材料を酸化触媒16の担体とすることにより、材料を統一できる。
【0016】
図2はセンサ本体4の構造を示し、シリコン基板20の一面にシリカ、酸化タンタル等の絶縁膜22が設けられ、絶縁膜22の底部に空洞21がある。Pt膜等の膜状のヒータ6が空洞21の上部で絶縁膜22上に設けられ、第2の絶縁膜23で被覆されている。絶縁膜23上に例えば一対のPt膜から成る電極24,24とSnO2膜8とが設けられている。なおヒータ6を一方の電極に兼用しても良い。実施例ではSnO2膜8の膜厚は30μmで、SnO2の100mass%に対し1.5mass%のPdを含んでいる。センサ2の構造、材料は任意で、SnO2に代えてWO3、In2O3等の他の金属酸化物半導体を用いても良い。またγアルミナ等の担体にPt等の触媒を担持し、可燃性ガスの燃焼熱を検出する接触燃焼式ガスセンサとしても良い。しかし発明者の経験によると、エタノール等による被毒はSnO2等の金属酸化物半導体ガスセンサで深刻で、接触燃焼式ガスセンサでは軽微であった。これは、接触燃焼式ガスセンサではエタノール等への酸化能力が充分に高いため、被毒が弱くなるためと考えられる。
【0017】
図3にガス検出装置30の回路構成を示す。31は負荷抵抗でSnO2膜8に接続され、32は電源としての電池である。34はガスセンサ2の駆動回路としてのマイクロコンピュータで、ヒータドライブ36,検出回路38,スタート回路40として作用する。ヒータドライブ36は例えばPWM(パルス幅変調制御)によりヒータ6への電力を制御し、例えば低レベル(0.4秒間)、高レベル(0.1秒間)、0レベルの順に例えば30秒周期でヒータ6を駆動する。検出回路38はヒータ電力が高レベルでのSnO2膜8の抵抗値、あるいはこれに相当する量、実施例ではSnO2膜8に加わる電圧から、検出対象ガスのメタンを検出する。SnO2膜8の抵抗値あるいはこれに相当する量をセンサ出力と呼び、検出回路38はADコンバータを備えてSnO2膜の抵抗値等を求め、これを適宜の基準値と比較することにより、メタン濃度を求める。検出回路38は、低レベルでのセンサ出力からエタノール等の有機溶媒の濃度を求めても良い。スタート回路40は、停止していたガス検出装置30を起動する際に、例えば図示しないスイッチ等により電池32とマイクロコンピュータ34とが接続された際に、常時の0.4秒よりも長い1秒〜20秒間、実施例では4秒間、センサ2を低レベルに加熱するように、ヒータドライブ36に信号を送る。
【0018】
図4、図5にガスセンサ2の駆動アルゴリズムを示す。ここでは低レベルでのSnO2膜8の温度を100℃、高レベルでのSnO2膜8の温度を470℃とする。高レベルでの温度は例えば300℃〜550℃とする。またセンサを所定のレベルあるいは温度に加熱するとは、SnO2膜8を所定の電力であるいは所定の温度へ加熱することである。電源を投入した際に、例えば4秒間、好ましくは1〜20秒間、センサを低レベルに加熱し、放置中にSnO2膜8に蓄積した有機溶媒を蒸発もしくは酸化する(ステップ1)。次いで例えば30秒周期で、ガスセンサ2を駆動し、最初の0.4秒間、好ましくは最初の0.1〜2秒間低レベルに(ステップ2)、次の0.1秒間、好ましくは次の0.02秒間〜0.5秒間高レベルに加熱し(ステップ5)、残る区間はヒータをオフ(ステップ6)する。30秒周期とするのはメタンの検出遅れを30秒程度とするためで、周期は例えば5秒〜10分とする。
【0019】
吸着剤14はエタノール等の有機溶媒とシリコーン蒸気等の他の被毒ガスを吸着する。吸着剤14を通過するほど高濃度の被毒ガスが長時間存在することが考えられるのは、エタノール等の有機溶媒の場合である。有機溶媒が吸着剤14を通過すると、低濃度の有機溶媒が長時間、酸化触媒16へ到達する。酸化触媒16は有機溶媒を酸化し、センサ本体へ到達する有機溶媒の量を少なくする。低レベルへの加熱でセンサは例えば100℃に加熱される。エタノール等の有機溶媒は沸点が一般に100℃弱なので、有機溶媒は100℃でセンサ本体4から蒸発し、あるいは貴金属を担持したSnO2により酸化される。このため有機溶媒が、縮合等によりセンサ本体から脱離が困難な物質に変化することを、防止できる。
【0020】
ガスセンサ2は、低レベルの加熱温度で有機溶媒への感度を持つので、低レベルであるいは低レベルと高レベルとの中間の温度で有機溶媒の濃度を求めて、所定値以上の場合は次回以降も低レベルへの加熱を行い、所定値未満の場合は次回以降は低レベルへの加熱を省略しても良い(ステップ2,3)。この判定は例えば100周期毎に、好ましくは10〜1000周期毎に行う。ステップ2,3の意味は消費電力を節減することにあり、問題点はセンサに有機溶媒を蓄積させる可能性がある点で、ステップ2,3を省略しても良い。
【0021】
図6〜図9にガスセンサ2の特性を示す。吸着剤としての活性炭と酸化触媒としての活性炭−Ptの総量を150mg/センサとし、
・ 150mg全部を単なる活性炭として酸化触媒を設けない従来例、
・ 20mgを活性炭−Pt、130mgを単なる活性炭とした実施例、
・ 30mgを活性炭−Pt、120mgを単なる活性炭とした実施例、
の3種類のガスセンサを製造した。なお活性炭−Pt中のPt濃度は5質量%である。酸化触媒16の貴金属量は、センサ当たりで例えば0.5〜5mgが好ましい。キャップ内のガス濃度を求めるため、メタンセンサの代わりに、MEMSタイプのエタノールセンサ(SnO2膜の貴金属含有量をエタノール検出用に少なくし、動作温度を常時300℃としたもの)を配置し、2日間、1日2時間ずつ3000ppmのエタノールに曝した。キャップ内のガス濃度(エタノール換算)を図6に示す。活性炭のみでは数十ppmのエタノールがキャップ内に存在するが、活性炭-Ptを追加することにより、キャップ内のエタノール濃度は10ppm未満となり、またエタノール濃度が増加するまでのタイムラグが長くなる。以上のように活性炭-Ptは、キャップ内の有機溶媒濃度の最大値を低下させ、かつ有機溶媒濃度が増加するまでの時間を長くする。
【0022】
図7は、120mgの粒状活性炭と30mgの活性炭-Pt(Pt5質量%)とを有するセンサを、100℃に0.4秒、470℃に0.1秒、室温に29.5秒放置する30秒周期で駆動しながら、毎日20分ずつ3000ppmのエタノールに曝した際の特性を示す。図8は、図7と同じセンサを470℃に0.1秒間と室温に29.5秒間の30秒周期で駆動しながら、毎日20分ずつ3000ppmのエタノールに曝した際の特性を示す。図9は、活性炭150mgのみを有するセンサ(酸化触媒無し)を470℃に0.1秒間と室温に29.5秒間の30秒周期で駆動しながら、毎日20分ずつ3000ppmのエタノールに曝した際の特性を示す。測定に用いたセンサは各2個ずつで、図7〜図9では結果の平均を示す。
【0023】
図9では、1週間でメタン感度がほぼ失われ、メタン中の抵抗値、水素中の抵抗値、空気中の抵抗値が何れも増加した。なお被毒を受けたセンサは、正常雰囲気中で1ヶ月程度駆動することにより、回復する。図8では最初の3週間は被毒の影響が小さいが、4週間目には大きな影響を受けている。図7では、4週間経過しても被毒の影響を無視できる。エタノールの沸点は100℃弱なので、100℃への加熱によりSnO2膜からのエタノールの蒸発が生じているものと推定できる。また貴金属触媒を担持したSnO2でのエタノールの着火点も100℃弱なので、SnO2中でのエタノールの酸化も寄与していることが考えられる。以上のように、酸化触媒を設けることにより被毒の影響を小さくでき、これに100℃付近への加熱を組み合わせることにより、被毒の影響を無視できるようにできる。
【0024】
発明者は低レベルの最適温度を検討し、その結果、80℃と100℃では同性能、60℃と120℃でも同性能で、100℃加熱に比べてセンサの耐被毒性が劣り、200℃でも低レベル加熱を行わない場合に比べ耐被毒性能は向上するが、効果が小さいことが判明した。従って低レベルの加熱温度は80〜100℃が最も好ましく、より広くは70〜110℃、さらに広くは60〜120℃、最も広くは60〜200℃とする。低レベルの1周期当たりの加熱時間は、例えば0.1秒以上で効果があるので0.1〜2秒とし、0.2秒以上で効果が大きくなり、1秒を超えると消費電力への影響が大きいので、好ましくは0.2〜1秒とする。
【0025】
実施例ではエタノールによる被毒を示したが、メタノール、イソプロパノール等の有機溶媒による被毒も酸化触媒により除去でき、さらに低レベルへの加熱を追加することにより、被毒の影響を無視できる程度に小さくできる。またシリコン基板20を、スルーホールを備えたプリント基板あるいは他のシリコン基板等に固定し、スルーホールに酸化触媒を支持させても良い。

【符号の説明】
【0026】
2 ガスセンサ
4 センサ本体
6 ヒータ
8 SnO2膜
10 ベース
12 キャップ
13 ピン
14 吸着剤
16 酸化触媒
18 不織布
19 押さえリング
20 シリコン基板
21 空洞
22,23 絶縁膜
24 電極
30 ガス検出装置
31 負荷抵抗
32 電池
34 マイクロコンピュータ
36 ヒータドライブ
38 検出回路
40 スタート回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板表面の絶縁膜にヒータを備えるガス検知部が設けられ、前記ガス検知部の周囲で前記絶縁膜の底部に空洞が設けられ、前記シリコン基板がハウジングに収容されているガスセンサにおいて、
前記ハウジングに有機溶媒の吸着剤と有機溶媒の酸化触媒とが、ハウジングの外側から内側へ吸着剤、酸化触媒の順に設けられ、被検出雰囲気を前記吸着剤と前記酸化触媒とを介してガス検知部へ導くようにされていることを特徴とする、ガスセンサ。
【請求項2】
前記吸着剤が活性炭で、前記酸化触媒が貴金属担持の活性炭であることを特徴とする、請求項1のガスセンサ。
【請求項3】
前記ガス検知部がSnO2膜とSnO2膜に接続されている電極とを備えていることを特徴とする、請求項1または2のガスセンサ。
【請求項4】
シリコン基板表面の絶縁膜にヒータを備えるガス検知部が設けられ、前記ガス検知部の周囲で前記絶縁膜の底部に空洞が設けられ、前記シリコン基板がハウジングに収容されているガスセンサと、電源と、ガスセンサの駆動回路とを備えるガス検出装置において、
前記ハウジングに有機溶媒の吸着剤と有機溶媒の酸化触媒とが、ハウジングの外側から内側へ吸着剤、酸化触媒の順に設けられ、被検出雰囲気を前記吸着剤と前記酸化触媒とを介してガス検知部へ導くようにされ、
前記駆動回路は、前記ヒータへの電力を、有機溶媒をガス検知部から蒸発もしくは酸化するのに適した低レベルと、検出対象ガスの検出に適した高レベルと、0レベルとの間で変化させるように構成されていることを特徴とする、ガス検出装置。
【請求項5】
前記酸化触媒を基準としてハウジングの外側に、有機溶媒の吸着剤が設けられていることを特徴とする、請求項4のガス検出装置。
【請求項6】
前記ガス検知部がSnO2膜とSnO2膜に接続されている電極とを備えていることを特徴とする、請求項4または5のガス検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−247240(P2012−247240A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117796(P2011−117796)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000112439)フィガロ技研株式会社 (58)
【Fターム(参考)】