ガスタービンの整備作業などに際してガスタービンを搬送するための装置及び方法
本発明は、ガスタービンの整備作業などに際して、航空機用エンジンまたは定置型ガスタービン等のガスタービンを搬送するための装置に関する。この装置は、順々に配置された複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を備え、それら搬送式プラットフォームの各々に少なくとも1台のガスタービン(26、27、28)を載置可能としてあり、前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を搬送することによって、前記ガスタービン(26、27、28)が搬送されるようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整備作業などに際して、航空機用エンジンまたは定置型ガスタービン等のガスタービンまたはガスタービンのモジュールを搬送するための装置、並びにその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンのうちでも特に航空機用エンジンは、その補修作業などの整備作業が、航空機の直接的運用コストを左右する重要なファクタとなっている。例えば、航空機の直接的運用コストのうちの約30%が、航空機用エンジンに関連したコストであり、更に、その航空機用エンジンに関連した運用コストのうちの約3分の1が、航空機用エンジンの整備作業にかかるコストにより占められている。従って、航空機用エンジンの整備作業にかかるコストは、航空機の直接的運用コストの総額の約10%にも達している。このことから容易に理解されるように、航空会社にとって、航空機用エンジンの整備作業並びに補修作業を効率的で低コストのものとすることは、非常に重要である。また、定置型ガスタービンについても同様のことがいえる。
【0003】
従来、航空機用エンジンなどのガスタービンの整備作業は、いわゆるワークショップ方式で行われてきた。ワークショップ方式においては、航空機用エンジンなどのガスタービンを、また少なくともその一部を、一定の場所に据え付けて整備作業を行うようにしている。そして、その時々に必要とされる資材、必要とされる工具、及び必要とされる作業員が、その一定の場所に据え付けられている航空機用エンジンなどのガスタービンのところへ搬送され、また、集まるようにしており、それによって、予め定められている整備作業のタイムスケジュールにできる限り従って整備作業を進めるようにしている。
【0004】
しかしながら、航空機用エンジンなどのガスタービンの整備作業を、いわゆるワークショップ方式で行うことには、ある短所が付随していた。その短所とは、整備作業が、明確に規定された作業手順構造に従って実行されるわけではないということである。即ち、作業工程の順序に関しては殆ど何の制約もないまま、航空機用エンジンなどのガスタービンに対する作業が行われており、その結果、特に、複数台のガスタービンないし航空機用エンジンの整備作業を同時並行的に進める場合などには、整備作業に支障や遅延が生じることがあった。従って、いわゆるワークショップ方式で行う整備作業に付随する短所として、1つには、明確に規定された作業手順構造が存在しないことがあり、またもう1つには、その作業時間が長引きがちであることがある。そして、これらのことが、航空機用エンジンなどのガスタービンの整備作業における作業効率に、悪影響を及ぼしていた。
【0005】
また、ガスタービンの新規製造においても、効率的な搬送が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、ガスタービンまたはガスタービンのモジュールを搬送するための新規な装置及び新規な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のこの目的は、請求項1に記載した特徴を備えた装置により達成される。本発明は、ガスタービンの整備作業などに際してガスタービンを搬送するための装置を提案するものである。本発明に係る装置は、順々に配置された複数の搬送式プラットフォームを備え、それら搬送式プラットフォームの各々に少なくとも1台のガスタービンを載置可能としてあり、前記複数の搬送式プラットフォームを搬送することによって、ガスタービンが搬送されるようにしたものである。
【0008】
ガスタービンの整備作業などに際してガスタービンを搬送するための本発明に係る装置は、流れ作業ライン、いわゆるベルトコンベア方式でガスタービンの整備作業を行えるようにすることを目的としたものである。本発明は、ベルトコンベア方式はガスタービンの整備作業にも適合可能であるという、画期的な知見に基づくものである。本発明に係る装置は、ガスタービンの整備作業の作業効率を向上させ、整備作業に要する時間を短縮することを可能にするものである。更に、本発明に係る装置は、航空機用エンジンの新規製造においても適用可能である。
【0009】
本発明の特に有利な更なる特徴としては、本発明に係る装置を、前記複数の搬送式プラットフォームを好ましくはそれら搬送式プラットフォーム上に載置されたガスタービンと共に、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構と、前記搬送式プラットフォームをガスタービンの主搬送方向と逆方向へ搬送するための第2駆動機構とを備えたものとするという特徴がある。このように構成した本発明に係る装置の実施の形態は、構成が特に簡明であり、また、航空機用エンジンの搬送を高い信頼性をもって行うことができる。
【0010】
本発明に係る装置は、これを作業空間のフロア内に埋設して、停止状態にある前記複数の搬送式プラットフォームが位置する平面が、前記フロアの面と同一平面になるようにし、それによって、前記搬送式プラットフォームへのバリヤフリーのアクセスを可能にすることが好ましい。この特徴は、安全性の観点から特に有利なものである。
【0011】
本発明の特に有利な実施の形態においては、前記複数の搬送式プラットフォームの各々にアダプタの取付領域が設けられ、その取付領域に前記アダプタを取付けることによって様々な型式のガスタービンに適合し得るようにしている。これによって、様々な型式のガスタービンを、順々に配置されている複数の作業ステーションを経由させて搬送することが可能になっている。
【0012】
本発明に係る搬送方法は、独立請求項である請求項15に記載された特徴を備えたものである。
【0013】
本発明の特に好適な更なる特徴として、従属請求項に記載され、また、以下の説明で明らかにする数々の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について更に詳細に説明して行く。ただし本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
これより、図1〜図17を参照しつつ、ガスタービンを搬送するための本発明に係る装置並びに本発明に係る方法について、そのガスタービンが航空機用エンジンとして用いられる場合を例に取って詳細に説明して行く。以下に説明する本発明に係る装置は、航空機用エンジンの整備作業に際して航空機用エンジンまたは航空機用エンジンのモジュールを搬送するための搬送装置である。
【0016】
ここで再度述べておくと、本発明の装置並びに方法は、航空機用エンジンなどのガスタービンの新規製造においても適用し得るものである。
【0017】
航空機用エンジンの整備作業に際しては、航空機用エンジンをその構成要素であるモジュール、及び/またはアセンブリ、及び/または個別部品へと分解し、分解して得られたモジュール、及び/またはアセンブリ、及び/または個別部品の検査を行い、また必要であればそれらに補修作業を施し、その後に、検査済の、及び/または補修済の、及び/または新しい、モジュール、及び/またはアセンブリ、及び/または個別部品から、航空機用エンジンを組立てる。本発明に係る装置は、特に、航空機用エンジンを複数のモジュールに分解する分解作業における航空機用エンジンの搬送、並びに複数のモジュールを組付けて航空機用エンジンを組立てる組立作業における航空機用エンジンの搬送の際、特に適したものである。ただし、本発明に係る装置は、航空機用エンジンのモジュールまたはアセンブリの分解作業ないしは組立作業にも適用し得るものである。更には、本発明に係る装置は、本質的に、補修作業への適用も可能なものである。
【0018】
以下の説明では、先ず、図1〜図5を参照して、航空機用エンジンの整備作業に際して航空機用エンジンを搬送するための本発明に係る装置並びに本発明に係る方法の基本概念について説明する。
【0019】
図1〜図5において、本発明に係る搬送装置20は、順々に配置された合計4つの搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24を備えている。図中の矢印25は、本発明に係る搬送装置20の主搬送方向を示している。図1において、主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム21は空プラットフォーム、即ち、航空機用エンジンが載置されていないプラットフォームとなっている。この先頭の搬送式プラットフォーム21の背後に位置している、その他の搬送式プラットフォーム22、23、及び24には、各々に1台ずつ、航空機用エンジン26、27、及び28が載置されている。図1に示した実施形態では、本発明に係る搬送装置20は、分解作業ライン領域に配置されており、航空機用エンジン26、27、及び28は、この本発明に係る搬送装置20によって、順々に配置されている複数台の作業ステーションを経由して搬送される。そして、図1に示した実施形態では、航空機用エンジン26、27、及び28が、順々に配置されている複数台の作業ステーションを経由して搬送される間に、各々が複数のモジュールに分解される。図1に示したように、搬送装置が4つの搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24を備えている場合には、4台の作業ステーションに対応することができる。尚、容易に理解されることであるが、搬送式プラットフォームの数並びに作業ステーションの数は、個々の場合に応じて様々な数となり得る。
【0020】
図1は、本発明に係る搬送装置20が動作していない状態、即ち、その停止状態を示したものである。この状態では、全ての搬送式プラットフォーム21〜24が同一平面上に位置している。航空機用エンジン26、27、及び28を主搬送方向へ搬送しようとするときには、主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム21が空プラットフォームになっている。本発明に係る搬送装置20が航空機用エンジンの分解作業ラインに配置されている場合、このことは、先頭の搬送式プラットフォーム21が現在そこに位置している先頭の作業ステーション領域において、1台の航空機用エンジンを複数のモジュールに分解する分解作業が完了したことを意味している。そこで、搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム21が空プラットフォームになったならば、その搬送式プラットフォーム21を、矢印29で示したように降下させる。
【0021】
こうして降下させた搬送式プラットフォーム21を、矢印30(図2参照)で示したように、停止状態にある搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24が位置している平面の下方を通過させて、主搬送方向と逆方向へ搬送する。このように、最初に主搬送方向における先頭に位置していた搬送式プラットフォーム21を降下させて後方へ搬送することによって、先頭の作業ステーションの前方領域が空くことになる。
【0022】
降下させて主搬送方向とは逆方向へ搬送した搬送式プラットフォーム21の、その後方に位置していた搬送式プラットフォーム22、23、及び24は、これによって、主搬送方向へ搬送可能になる。このことは、特に図3から明らかである。そこで、搬送式プラットフォーム22、23、及び24の各々を、主搬送方向における前方へ作業ステーション1つ分の搬送を行う。これによって、搬送式プラットフォーム22が、最初に先頭に位置していた搬送式プラットフォーム21が空けた領域へ搬送されることになる。また更に、順々に配置されている搬送式プラットフォーム22、23、及び24の各々が前方へ作業ステーション1つ分の搬送が行われた結果、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションが空くことになり、即ち、最初に主搬送方向における最後尾に位置していた搬送式プラットフォーム24が、最後尾に配置されている作業ステーション領域内を空けることになる。搬送式プラットフォーム22、23、及び24を主搬送方向へ搬送している間、降下させ、先に主搬送方向と逆方向へ搬送しておいた搬送式プラットフォーム21は、その位置にとどめておく。
【0023】
続いて、降下させておいた搬送式プラットフォーム21を、そこから更に、矢印31で示したように、主搬送方向と逆方向へ搬送し、そして、矢印32で示したように、上昇させる。これによって、最初に先頭に位置していて降下させられた搬送式プラットフォーム21が、最初に最後尾に位置していた搬送式プラットフォーム24が移動したために空き領域となった、最後尾に配置されている作業ステーションの領域内へ搬送される。そしてこれによって、この領域に搬送式プラットフォーム21が配置されることになる。以上に説明したことは、特に図4及び図5によく示されている。主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域では、その領域内へ搬送されてきた搬送式プラットフォーム21に、再び航空機用エンジンを載置することができる。それに続いて、主搬送方向における最後尾に配置されているこの作業ステーションにおいて、航空機用エンジンを複数のモジュールに分解する分解作業が開始される。
【0024】
以上のようにして、航空機用エンジンは、本発明に係る装置により、順々に配置されている複数台の作業ステーションを経由して搬送され、その搬送が行われている間にそれら複数台の作業ステーションにおいて、航空機用エンジンの分解、補修、または組立が段階的に実行される。搬送装置20は、非連続的搬送方式で、航空機用エンジンを主搬送方向に搬送することができ、この搬送方式によれば、航空機用エンジンは、定期的に、所定の搬送間隔で搬送され、それによって複数の作業ステーションを経由して搬送される。航空機用エンジンが複数台の作業ステーションを経由して搬送されるときの搬送間隔、即ち、搬送式プラットフォームの搬送間隔の好ましい具体例は、例えば、16時間または12時間である。1回の搬送が行われてから、その次の搬送が行われるまでの間は、この搬送装置は非作動状態、即ち停止状態(図1参照)にある。そして、その16時間ないし12時間の間に、各作業ステーションにおいて航空機用エンジンに対する作業が行われる。航空機用エンジンを搬送するために必要な時間、即ち搬送式プラットフォームの搬送に要する時間は、搬送間隔と比べてかなり短い。具体的な数値例を示すならば、図1〜図5に示した搬送サイクルに要する時間は、例えば約20分である。
【0025】
本発明に係る搬送装置20は、作業空間のフロア33内に埋設して、停止状態にある搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24が位置する平面が、フロア33の面と同一平面になるようにすることが好ましい。このことを明らかに示したのが、図6及び図7、それに図13〜図15である。これによって、停止状態にある搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24へのバリヤフリーのアクセスが保証される。分解作業、または補修作業、または組立作業を行うために、搬送式プラットフォーム21〜24の上に載る必要のある作業員は、作業空間のフロア33と搬送式プラットフォーム21〜24との間に段差がないため、容易に載ることができる。従って、作業安全性が向上する。
【0026】
本発明に係る搬送装置20は、搬送式プラットフォーム21〜24を、それらに載置した航空機用エンジン26、27、及び28と共に主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構を備えている。搬送式プラットフォーム21〜24を搬送するためのこの第1駆動機構は、複数の摩擦車34を備えている。それら摩擦車34のうちの1個を図11に示した。摩擦車34は、それに割り当てられたモータ35によって駆動され、このモータ35の駆動力を搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24へ伝達する。各作業ステーションの領域には、複数の摩擦車34のうちの少なくとも1個が配設されている。これによって、搬送式プラットフォーム21〜24を主搬送方向へ搬送するときに、それら搬送式プラットフォーム21〜24の各々に対して、少なくとも1個の摩擦車34が確実に作用するようになっている。また、どの搬送式プラットフォーム21〜24の両側にも、少なくとも1個ずつの摩擦車が存在しているようにすることが好ましい。
【0027】
搬送式プラットフォーム21〜24を主搬送方向へ搬送する際に、それらを容易に移動させることができるように、それら搬送式プラットフォーム21〜24の各々に、その長手方向の両側辺に列設された複数個の走行車輪36が割り当てられている。それら走行車輪は、例えば図6及び図7や、図10及び図11などに示されている。図10及び図11から明らかなように、走行車輪36は、側縁材などから成る一対の案内レール37上を走行するようにしてあり、それら一対の案内レール37は、搬送式プラットフォーム21〜24の両側縁に沿って延在している。以上の構成によって、搬送式プラットフォーム21〜24が確実に案内されるようにすると共に、搬送式プラットフォーム21〜24の主搬送方向への搬送に対する抵抗が小さくなるようにしている。
【0028】
降下させた搬送式プラットフォーム21を主搬送方向と逆方向へ搬送するために、本発明に係る搬送装置20は、第2駆動機構を備えている。この第2駆動機構は、チェーンコンベヤ38として構成されている。このチェーンコンベヤ38は、特に図6〜図9によく示されている。
【0029】
チェーンコンベヤ38は、主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションから、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションに至るまでの、全ての作業ステーションの領域に亘って延在している。ただし、主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションと、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションとに関しては、チェーンコンベヤ38は、それら作業ステーションの領域の少なくとも一部に延在しているだけである。このことは、特に図6及び図7から明らかである。チェーンコンベヤ38は、矢印39で示した方向に循環走行する搬送チェーン40を備えている。主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションの領域と、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域とに、搬送チェーン40のための転向ローラ41が配設されている。以上の構成によれば、降下させられた搬送式プラットフォーム21は、チェーンコンベヤ38によって、その他の搬送式プラットフォーム22〜24の下方を主搬送方向と逆方向へ搬送される。
【0030】
ここで付言しておくと、搬送式プラットフォーム21〜24を主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構には、その搬送速度が、約2m毎分を超えてはならないという制約がある。一方、降下させた搬送式プラットフォームを主搬送方向と逆方向へ搬送する第2駆動機構は、その搬送速度を4m毎分までとすることができる。そのため、第2駆動機構は、第1駆動機構よりも高速で搬送式プラットフォームを搬送することができる。
【0031】
特に図8及び図9から明らかなように、転向ローラ41の領域にも、摩擦車34が配設されている。図8は、主搬送方向と逆方向へ搬送されている搬送式プラットフォーム21が、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域において、そこに配設されている摩擦車34と、係合状態に入った瞬間の状態を示した図である。図9は、図8と同様の図であるが、主搬送方向と逆方向へ搬送された搬送式プラットフォーム21が、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの中へ搬入された状態を示した図である。この図から明らかなように、この摩擦車34は、主搬送方向においてこの最後尾の作業ステーションの前端に位置しており、そのため、搬送式プラットフォーム21〜24は、戻り行程の全域において、摩擦車34と接触した状態にある。
【0032】
主搬送方向と逆方向へ搬送しようとする搬送式プラットフォームを、上昇ないしは降下させるために、本発明に係る搬送装置20は、リフト機構を備えている。第1リフト機構42は、主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションの領域に配設されている。第2リフト機構43は、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域に配設されている。第1リフト機構42は、図6に最もよく示されている。第2リフト機構43は、図7にその2つの異なった状態が示されており、それらのうちの第1の状態は降下した状態であり、第2の状態は上昇した状態である。リフト機構42、43を昇降させているのは、それらリフト機構42、43に夫々装備されたリフト用シリンダ44である。それらリフト用シリンダ44は、油圧シリンダとすることが好ましい。
【0033】
図12は、主搬送方向における前端に配設されているリフト機構42を下方から見た図である。リフト機構42の第1端部45には、フロア33(図6参照)に近い位置に揺動ベアリングなどの回転ベアリング46が配設されている。リフト機構42は、その第1端部45が、この回転ベアリング46を介してフロア33に揺動可能に連結されており、リフト用シリンダ44が作動することによって、回転ベアリング46を中心として揺動する。リフト機構42の第1端部45と反対側の第2端部47には、一対の切欠部48が形成されている。それら一対の切欠部48は、それらの中を、チェーンコンベヤ38が延在するようにするためのものである。これによって、降下させた搬送式プラットフォーム21が、即座にチェーンコンベヤ38と係合できるようにしている。また、降下させた搬送式プラットフォームが重力に引かれて勝手に動き出すことがないように、リフト機構42には、その中央部分に、搬送式プラットフォームに制動をかけるための制動機構49が配設されている。
【0034】
本発明においては更に、搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24と作業空間のフロア33との間の隙間を小さくするようにしている。このことは、特に図15から明らかである。これによって、作業員が搬送式プラットフォーム21〜24に載って、航空機用エンジンに対する作業工程を実行しているときに、工具や航空機用エンジンから取外した部品を取り落としても、それらが、その隙間を通って搬送式プラットフォーム21〜24の下方の空間へ落下することが防止されている。図15に示したように、この目的のために、カバー部材50が、搬送式プラットフォーム21〜24とフロア33との間に配設されており、このカバー部材50は、フロア33の床面と面一となっており、また、搬送式プラットフォームの表面とも面一となっている。カバー部材50は、搬送式プラットフォーム21〜24とフロア33との間の隙間51を閉塞している。これによって、工具や航空機用エンジンの部品を取り落としても、それらは、カバー部材50によって受け止められ、隙間51から落下することが防止される。
【0035】
本発明の更なる特徴として、搬送式プラットフォーム21〜24の表面に滑り止めコーティングが施されていることがある。航空機用エンジンに対して分解作業などを実行する際には、潤滑剤をはじめとする様々な液体が、具体的にはオイルやケロシンなどが、航空機用エンジンから流出することがある。搬送式プラットフォーム21〜24の表面に滑り止めコーティングを施すことによって、航空機用エンジンからオイルやケロシンが流出した場合でも、搬送式プラットフォーム上の作業員の足元が危うくなることがなくなる。搬送式プラットフォーム21〜24の好ましい寸法の一例は、例えば、長さ12m、幅4mである。
【0036】
図16は、航空機用エンジン26〜28を載置した搬送式プラットフォーム21〜24を示した斜視図である。航空機用エンジンは、アダプタ52を介して搬送式プラットフォーム上に担持されている。アダプタ52は、搬送式プラットフォームに設けられた取付領域53に取付けられている。アダプタ52は、合計4本の支柱54から成る。それら4本の支柱54の2本ずつを、航空機用エンジンの両側に夫々配置する。取付領域53内での支柱54の取付位置並びに支柱54どうしの間隔は、航空機用エンジンの型式に合わせて変更することができる。これによって、搬送式プラットフォーム21〜24に様々な型式の航空機用エンジンを載置できるようになっている。4本の支柱54は、航空機用エンジンの前方部分に対応した位置に配置される。航空機用エンジンの後方部分は2本の通常の支柱55で支持するようにしている。
【0037】
図17は、搬送式プラットフォーム21〜24上に様々な航空機用エンジンを載置できることを示したものである。図17に示した4つの搬送式プラットフォームには、夫々に型式の異なった航空機用エンジンTWK1、TWK2、TWK3、またはTWK4が載置されている。図示したそれら航空機用エンジンはいずれも、大量生産されている標準的な型式のものであり、当業者には周知のものである。図17から明らかなように、航空機用エンジンの型式が異なれば、航空機用エンジンの寸法も様々に異なり、また、航空機用エンジンから搬送式プラットフォーム21〜24へ加わる荷重の加わり方も様々に異なる。更に、これも図17から明らかなように、前部支柱54と後部支柱55とのいずれも、搬送式プラットフォーム21〜24上の様々な位置に配置することができる。
【0038】
本発明に係る装置によれば、整備対象の航空機用エンジンを、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて搬送する際に、その搬送を安全確実に行うことができる。本発明に係る装置を使用することで、航空機用エンジンの整備作業を、いわゆるベルトコンベア方式で実行することが可能となり、更に、本発明に係る搬送方法を実施することが可能となる。本発明に係る装置は構成が簡明であり、かつ、低コストで導入することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】航空機用エンジンの整備作業に際して航空機用エンジンまたは航空機用エンジンのモジュールを搬送するための、本発明に係る装置の模式的側面図であり、搬送装置上に3台の航空機用エンジンが載置されており、搬送装置が第1の状態にあるところを示した図である。
【図2】図1の搬送装置が第2の状態にあるところを示した図である。
【図3】図1及び図2の搬送装置が第3の状態にあるところを示した図である。
【図4】図1〜図3の搬送装置が第4の状態にあるところを示した図である。
【図5】図1〜図4の搬送装置が第5の状態にあるところを示した図である。
【図6】図1〜図5の搬送装置の拡大詳細図とした模式的側面図である。
【図7】図1〜図5の搬送装置の拡大詳細図とした別の模式的側面図である。
【図8】図1〜図5の搬送装置の細部構造を示した模式的側面図である。
【図9】図8の細部構造が第2の状態にあるところを示した図である。
【図10】図1〜図5の搬送装置の細部構造を示した模式的側面図である。
【図11】図1〜図5の搬送装置の細部構造を示した模式的側面図である。
【図12】図1〜図5の本発明に係る搬送装置におけるリフト機構を下方から見た模式図である。
【図13】本発明に係る装置の断面図である。
【図14】図13の断面図の詳細図である。
【図15】図13の断面図の別の詳細図である。
【図16】本発明に係る装置の一部を示した大簡略化した模式図である。
【図17】本発明に係る装置に載置された様々な型式の航空機用エンジンを示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、整備作業などに際して、航空機用エンジンまたは定置型ガスタービン等のガスタービンまたはガスタービンのモジュールを搬送するための装置、並びにその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンのうちでも特に航空機用エンジンは、その補修作業などの整備作業が、航空機の直接的運用コストを左右する重要なファクタとなっている。例えば、航空機の直接的運用コストのうちの約30%が、航空機用エンジンに関連したコストであり、更に、その航空機用エンジンに関連した運用コストのうちの約3分の1が、航空機用エンジンの整備作業にかかるコストにより占められている。従って、航空機用エンジンの整備作業にかかるコストは、航空機の直接的運用コストの総額の約10%にも達している。このことから容易に理解されるように、航空会社にとって、航空機用エンジンの整備作業並びに補修作業を効率的で低コストのものとすることは、非常に重要である。また、定置型ガスタービンについても同様のことがいえる。
【0003】
従来、航空機用エンジンなどのガスタービンの整備作業は、いわゆるワークショップ方式で行われてきた。ワークショップ方式においては、航空機用エンジンなどのガスタービンを、また少なくともその一部を、一定の場所に据え付けて整備作業を行うようにしている。そして、その時々に必要とされる資材、必要とされる工具、及び必要とされる作業員が、その一定の場所に据え付けられている航空機用エンジンなどのガスタービンのところへ搬送され、また、集まるようにしており、それによって、予め定められている整備作業のタイムスケジュールにできる限り従って整備作業を進めるようにしている。
【0004】
しかしながら、航空機用エンジンなどのガスタービンの整備作業を、いわゆるワークショップ方式で行うことには、ある短所が付随していた。その短所とは、整備作業が、明確に規定された作業手順構造に従って実行されるわけではないということである。即ち、作業工程の順序に関しては殆ど何の制約もないまま、航空機用エンジンなどのガスタービンに対する作業が行われており、その結果、特に、複数台のガスタービンないし航空機用エンジンの整備作業を同時並行的に進める場合などには、整備作業に支障や遅延が生じることがあった。従って、いわゆるワークショップ方式で行う整備作業に付随する短所として、1つには、明確に規定された作業手順構造が存在しないことがあり、またもう1つには、その作業時間が長引きがちであることがある。そして、これらのことが、航空機用エンジンなどのガスタービンの整備作業における作業効率に、悪影響を及ぼしていた。
【0005】
また、ガスタービンの新規製造においても、効率的な搬送が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、ガスタービンまたはガスタービンのモジュールを搬送するための新規な装置及び新規な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のこの目的は、請求項1に記載した特徴を備えた装置により達成される。本発明は、ガスタービンの整備作業などに際してガスタービンを搬送するための装置を提案するものである。本発明に係る装置は、順々に配置された複数の搬送式プラットフォームを備え、それら搬送式プラットフォームの各々に少なくとも1台のガスタービンを載置可能としてあり、前記複数の搬送式プラットフォームを搬送することによって、ガスタービンが搬送されるようにしたものである。
【0008】
ガスタービンの整備作業などに際してガスタービンを搬送するための本発明に係る装置は、流れ作業ライン、いわゆるベルトコンベア方式でガスタービンの整備作業を行えるようにすることを目的としたものである。本発明は、ベルトコンベア方式はガスタービンの整備作業にも適合可能であるという、画期的な知見に基づくものである。本発明に係る装置は、ガスタービンの整備作業の作業効率を向上させ、整備作業に要する時間を短縮することを可能にするものである。更に、本発明に係る装置は、航空機用エンジンの新規製造においても適用可能である。
【0009】
本発明の特に有利な更なる特徴としては、本発明に係る装置を、前記複数の搬送式プラットフォームを好ましくはそれら搬送式プラットフォーム上に載置されたガスタービンと共に、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構と、前記搬送式プラットフォームをガスタービンの主搬送方向と逆方向へ搬送するための第2駆動機構とを備えたものとするという特徴がある。このように構成した本発明に係る装置の実施の形態は、構成が特に簡明であり、また、航空機用エンジンの搬送を高い信頼性をもって行うことができる。
【0010】
本発明に係る装置は、これを作業空間のフロア内に埋設して、停止状態にある前記複数の搬送式プラットフォームが位置する平面が、前記フロアの面と同一平面になるようにし、それによって、前記搬送式プラットフォームへのバリヤフリーのアクセスを可能にすることが好ましい。この特徴は、安全性の観点から特に有利なものである。
【0011】
本発明の特に有利な実施の形態においては、前記複数の搬送式プラットフォームの各々にアダプタの取付領域が設けられ、その取付領域に前記アダプタを取付けることによって様々な型式のガスタービンに適合し得るようにしている。これによって、様々な型式のガスタービンを、順々に配置されている複数の作業ステーションを経由させて搬送することが可能になっている。
【0012】
本発明に係る搬送方法は、独立請求項である請求項15に記載された特徴を備えたものである。
【0013】
本発明の特に好適な更なる特徴として、従属請求項に記載され、また、以下の説明で明らかにする数々の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について更に詳細に説明して行く。ただし本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
これより、図1〜図17を参照しつつ、ガスタービンを搬送するための本発明に係る装置並びに本発明に係る方法について、そのガスタービンが航空機用エンジンとして用いられる場合を例に取って詳細に説明して行く。以下に説明する本発明に係る装置は、航空機用エンジンの整備作業に際して航空機用エンジンまたは航空機用エンジンのモジュールを搬送するための搬送装置である。
【0016】
ここで再度述べておくと、本発明の装置並びに方法は、航空機用エンジンなどのガスタービンの新規製造においても適用し得るものである。
【0017】
航空機用エンジンの整備作業に際しては、航空機用エンジンをその構成要素であるモジュール、及び/またはアセンブリ、及び/または個別部品へと分解し、分解して得られたモジュール、及び/またはアセンブリ、及び/または個別部品の検査を行い、また必要であればそれらに補修作業を施し、その後に、検査済の、及び/または補修済の、及び/または新しい、モジュール、及び/またはアセンブリ、及び/または個別部品から、航空機用エンジンを組立てる。本発明に係る装置は、特に、航空機用エンジンを複数のモジュールに分解する分解作業における航空機用エンジンの搬送、並びに複数のモジュールを組付けて航空機用エンジンを組立てる組立作業における航空機用エンジンの搬送の際、特に適したものである。ただし、本発明に係る装置は、航空機用エンジンのモジュールまたはアセンブリの分解作業ないしは組立作業にも適用し得るものである。更には、本発明に係る装置は、本質的に、補修作業への適用も可能なものである。
【0018】
以下の説明では、先ず、図1〜図5を参照して、航空機用エンジンの整備作業に際して航空機用エンジンを搬送するための本発明に係る装置並びに本発明に係る方法の基本概念について説明する。
【0019】
図1〜図5において、本発明に係る搬送装置20は、順々に配置された合計4つの搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24を備えている。図中の矢印25は、本発明に係る搬送装置20の主搬送方向を示している。図1において、主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム21は空プラットフォーム、即ち、航空機用エンジンが載置されていないプラットフォームとなっている。この先頭の搬送式プラットフォーム21の背後に位置している、その他の搬送式プラットフォーム22、23、及び24には、各々に1台ずつ、航空機用エンジン26、27、及び28が載置されている。図1に示した実施形態では、本発明に係る搬送装置20は、分解作業ライン領域に配置されており、航空機用エンジン26、27、及び28は、この本発明に係る搬送装置20によって、順々に配置されている複数台の作業ステーションを経由して搬送される。そして、図1に示した実施形態では、航空機用エンジン26、27、及び28が、順々に配置されている複数台の作業ステーションを経由して搬送される間に、各々が複数のモジュールに分解される。図1に示したように、搬送装置が4つの搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24を備えている場合には、4台の作業ステーションに対応することができる。尚、容易に理解されることであるが、搬送式プラットフォームの数並びに作業ステーションの数は、個々の場合に応じて様々な数となり得る。
【0020】
図1は、本発明に係る搬送装置20が動作していない状態、即ち、その停止状態を示したものである。この状態では、全ての搬送式プラットフォーム21〜24が同一平面上に位置している。航空機用エンジン26、27、及び28を主搬送方向へ搬送しようとするときには、主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム21が空プラットフォームになっている。本発明に係る搬送装置20が航空機用エンジンの分解作業ラインに配置されている場合、このことは、先頭の搬送式プラットフォーム21が現在そこに位置している先頭の作業ステーション領域において、1台の航空機用エンジンを複数のモジュールに分解する分解作業が完了したことを意味している。そこで、搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム21が空プラットフォームになったならば、その搬送式プラットフォーム21を、矢印29で示したように降下させる。
【0021】
こうして降下させた搬送式プラットフォーム21を、矢印30(図2参照)で示したように、停止状態にある搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24が位置している平面の下方を通過させて、主搬送方向と逆方向へ搬送する。このように、最初に主搬送方向における先頭に位置していた搬送式プラットフォーム21を降下させて後方へ搬送することによって、先頭の作業ステーションの前方領域が空くことになる。
【0022】
降下させて主搬送方向とは逆方向へ搬送した搬送式プラットフォーム21の、その後方に位置していた搬送式プラットフォーム22、23、及び24は、これによって、主搬送方向へ搬送可能になる。このことは、特に図3から明らかである。そこで、搬送式プラットフォーム22、23、及び24の各々を、主搬送方向における前方へ作業ステーション1つ分の搬送を行う。これによって、搬送式プラットフォーム22が、最初に先頭に位置していた搬送式プラットフォーム21が空けた領域へ搬送されることになる。また更に、順々に配置されている搬送式プラットフォーム22、23、及び24の各々が前方へ作業ステーション1つ分の搬送が行われた結果、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションが空くことになり、即ち、最初に主搬送方向における最後尾に位置していた搬送式プラットフォーム24が、最後尾に配置されている作業ステーション領域内を空けることになる。搬送式プラットフォーム22、23、及び24を主搬送方向へ搬送している間、降下させ、先に主搬送方向と逆方向へ搬送しておいた搬送式プラットフォーム21は、その位置にとどめておく。
【0023】
続いて、降下させておいた搬送式プラットフォーム21を、そこから更に、矢印31で示したように、主搬送方向と逆方向へ搬送し、そして、矢印32で示したように、上昇させる。これによって、最初に先頭に位置していて降下させられた搬送式プラットフォーム21が、最初に最後尾に位置していた搬送式プラットフォーム24が移動したために空き領域となった、最後尾に配置されている作業ステーションの領域内へ搬送される。そしてこれによって、この領域に搬送式プラットフォーム21が配置されることになる。以上に説明したことは、特に図4及び図5によく示されている。主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域では、その領域内へ搬送されてきた搬送式プラットフォーム21に、再び航空機用エンジンを載置することができる。それに続いて、主搬送方向における最後尾に配置されているこの作業ステーションにおいて、航空機用エンジンを複数のモジュールに分解する分解作業が開始される。
【0024】
以上のようにして、航空機用エンジンは、本発明に係る装置により、順々に配置されている複数台の作業ステーションを経由して搬送され、その搬送が行われている間にそれら複数台の作業ステーションにおいて、航空機用エンジンの分解、補修、または組立が段階的に実行される。搬送装置20は、非連続的搬送方式で、航空機用エンジンを主搬送方向に搬送することができ、この搬送方式によれば、航空機用エンジンは、定期的に、所定の搬送間隔で搬送され、それによって複数の作業ステーションを経由して搬送される。航空機用エンジンが複数台の作業ステーションを経由して搬送されるときの搬送間隔、即ち、搬送式プラットフォームの搬送間隔の好ましい具体例は、例えば、16時間または12時間である。1回の搬送が行われてから、その次の搬送が行われるまでの間は、この搬送装置は非作動状態、即ち停止状態(図1参照)にある。そして、その16時間ないし12時間の間に、各作業ステーションにおいて航空機用エンジンに対する作業が行われる。航空機用エンジンを搬送するために必要な時間、即ち搬送式プラットフォームの搬送に要する時間は、搬送間隔と比べてかなり短い。具体的な数値例を示すならば、図1〜図5に示した搬送サイクルに要する時間は、例えば約20分である。
【0025】
本発明に係る搬送装置20は、作業空間のフロア33内に埋設して、停止状態にある搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24が位置する平面が、フロア33の面と同一平面になるようにすることが好ましい。このことを明らかに示したのが、図6及び図7、それに図13〜図15である。これによって、停止状態にある搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24へのバリヤフリーのアクセスが保証される。分解作業、または補修作業、または組立作業を行うために、搬送式プラットフォーム21〜24の上に載る必要のある作業員は、作業空間のフロア33と搬送式プラットフォーム21〜24との間に段差がないため、容易に載ることができる。従って、作業安全性が向上する。
【0026】
本発明に係る搬送装置20は、搬送式プラットフォーム21〜24を、それらに載置した航空機用エンジン26、27、及び28と共に主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構を備えている。搬送式プラットフォーム21〜24を搬送するためのこの第1駆動機構は、複数の摩擦車34を備えている。それら摩擦車34のうちの1個を図11に示した。摩擦車34は、それに割り当てられたモータ35によって駆動され、このモータ35の駆動力を搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24へ伝達する。各作業ステーションの領域には、複数の摩擦車34のうちの少なくとも1個が配設されている。これによって、搬送式プラットフォーム21〜24を主搬送方向へ搬送するときに、それら搬送式プラットフォーム21〜24の各々に対して、少なくとも1個の摩擦車34が確実に作用するようになっている。また、どの搬送式プラットフォーム21〜24の両側にも、少なくとも1個ずつの摩擦車が存在しているようにすることが好ましい。
【0027】
搬送式プラットフォーム21〜24を主搬送方向へ搬送する際に、それらを容易に移動させることができるように、それら搬送式プラットフォーム21〜24の各々に、その長手方向の両側辺に列設された複数個の走行車輪36が割り当てられている。それら走行車輪は、例えば図6及び図7や、図10及び図11などに示されている。図10及び図11から明らかなように、走行車輪36は、側縁材などから成る一対の案内レール37上を走行するようにしてあり、それら一対の案内レール37は、搬送式プラットフォーム21〜24の両側縁に沿って延在している。以上の構成によって、搬送式プラットフォーム21〜24が確実に案内されるようにすると共に、搬送式プラットフォーム21〜24の主搬送方向への搬送に対する抵抗が小さくなるようにしている。
【0028】
降下させた搬送式プラットフォーム21を主搬送方向と逆方向へ搬送するために、本発明に係る搬送装置20は、第2駆動機構を備えている。この第2駆動機構は、チェーンコンベヤ38として構成されている。このチェーンコンベヤ38は、特に図6〜図9によく示されている。
【0029】
チェーンコンベヤ38は、主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションから、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションに至るまでの、全ての作業ステーションの領域に亘って延在している。ただし、主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションと、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションとに関しては、チェーンコンベヤ38は、それら作業ステーションの領域の少なくとも一部に延在しているだけである。このことは、特に図6及び図7から明らかである。チェーンコンベヤ38は、矢印39で示した方向に循環走行する搬送チェーン40を備えている。主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションの領域と、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域とに、搬送チェーン40のための転向ローラ41が配設されている。以上の構成によれば、降下させられた搬送式プラットフォーム21は、チェーンコンベヤ38によって、その他の搬送式プラットフォーム22〜24の下方を主搬送方向と逆方向へ搬送される。
【0030】
ここで付言しておくと、搬送式プラットフォーム21〜24を主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構には、その搬送速度が、約2m毎分を超えてはならないという制約がある。一方、降下させた搬送式プラットフォームを主搬送方向と逆方向へ搬送する第2駆動機構は、その搬送速度を4m毎分までとすることができる。そのため、第2駆動機構は、第1駆動機構よりも高速で搬送式プラットフォームを搬送することができる。
【0031】
特に図8及び図9から明らかなように、転向ローラ41の領域にも、摩擦車34が配設されている。図8は、主搬送方向と逆方向へ搬送されている搬送式プラットフォーム21が、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域において、そこに配設されている摩擦車34と、係合状態に入った瞬間の状態を示した図である。図9は、図8と同様の図であるが、主搬送方向と逆方向へ搬送された搬送式プラットフォーム21が、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの中へ搬入された状態を示した図である。この図から明らかなように、この摩擦車34は、主搬送方向においてこの最後尾の作業ステーションの前端に位置しており、そのため、搬送式プラットフォーム21〜24は、戻り行程の全域において、摩擦車34と接触した状態にある。
【0032】
主搬送方向と逆方向へ搬送しようとする搬送式プラットフォームを、上昇ないしは降下させるために、本発明に係る搬送装置20は、リフト機構を備えている。第1リフト機構42は、主搬送方向における先頭に配置されている作業ステーションの領域に配設されている。第2リフト機構43は、主搬送方向における最後尾に配置されている作業ステーションの領域に配設されている。第1リフト機構42は、図6に最もよく示されている。第2リフト機構43は、図7にその2つの異なった状態が示されており、それらのうちの第1の状態は降下した状態であり、第2の状態は上昇した状態である。リフト機構42、43を昇降させているのは、それらリフト機構42、43に夫々装備されたリフト用シリンダ44である。それらリフト用シリンダ44は、油圧シリンダとすることが好ましい。
【0033】
図12は、主搬送方向における前端に配設されているリフト機構42を下方から見た図である。リフト機構42の第1端部45には、フロア33(図6参照)に近い位置に揺動ベアリングなどの回転ベアリング46が配設されている。リフト機構42は、その第1端部45が、この回転ベアリング46を介してフロア33に揺動可能に連結されており、リフト用シリンダ44が作動することによって、回転ベアリング46を中心として揺動する。リフト機構42の第1端部45と反対側の第2端部47には、一対の切欠部48が形成されている。それら一対の切欠部48は、それらの中を、チェーンコンベヤ38が延在するようにするためのものである。これによって、降下させた搬送式プラットフォーム21が、即座にチェーンコンベヤ38と係合できるようにしている。また、降下させた搬送式プラットフォームが重力に引かれて勝手に動き出すことがないように、リフト機構42には、その中央部分に、搬送式プラットフォームに制動をかけるための制動機構49が配設されている。
【0034】
本発明においては更に、搬送式プラットフォーム21、22、23、及び24と作業空間のフロア33との間の隙間を小さくするようにしている。このことは、特に図15から明らかである。これによって、作業員が搬送式プラットフォーム21〜24に載って、航空機用エンジンに対する作業工程を実行しているときに、工具や航空機用エンジンから取外した部品を取り落としても、それらが、その隙間を通って搬送式プラットフォーム21〜24の下方の空間へ落下することが防止されている。図15に示したように、この目的のために、カバー部材50が、搬送式プラットフォーム21〜24とフロア33との間に配設されており、このカバー部材50は、フロア33の床面と面一となっており、また、搬送式プラットフォームの表面とも面一となっている。カバー部材50は、搬送式プラットフォーム21〜24とフロア33との間の隙間51を閉塞している。これによって、工具や航空機用エンジンの部品を取り落としても、それらは、カバー部材50によって受け止められ、隙間51から落下することが防止される。
【0035】
本発明の更なる特徴として、搬送式プラットフォーム21〜24の表面に滑り止めコーティングが施されていることがある。航空機用エンジンに対して分解作業などを実行する際には、潤滑剤をはじめとする様々な液体が、具体的にはオイルやケロシンなどが、航空機用エンジンから流出することがある。搬送式プラットフォーム21〜24の表面に滑り止めコーティングを施すことによって、航空機用エンジンからオイルやケロシンが流出した場合でも、搬送式プラットフォーム上の作業員の足元が危うくなることがなくなる。搬送式プラットフォーム21〜24の好ましい寸法の一例は、例えば、長さ12m、幅4mである。
【0036】
図16は、航空機用エンジン26〜28を載置した搬送式プラットフォーム21〜24を示した斜視図である。航空機用エンジンは、アダプタ52を介して搬送式プラットフォーム上に担持されている。アダプタ52は、搬送式プラットフォームに設けられた取付領域53に取付けられている。アダプタ52は、合計4本の支柱54から成る。それら4本の支柱54の2本ずつを、航空機用エンジンの両側に夫々配置する。取付領域53内での支柱54の取付位置並びに支柱54どうしの間隔は、航空機用エンジンの型式に合わせて変更することができる。これによって、搬送式プラットフォーム21〜24に様々な型式の航空機用エンジンを載置できるようになっている。4本の支柱54は、航空機用エンジンの前方部分に対応した位置に配置される。航空機用エンジンの後方部分は2本の通常の支柱55で支持するようにしている。
【0037】
図17は、搬送式プラットフォーム21〜24上に様々な航空機用エンジンを載置できることを示したものである。図17に示した4つの搬送式プラットフォームには、夫々に型式の異なった航空機用エンジンTWK1、TWK2、TWK3、またはTWK4が載置されている。図示したそれら航空機用エンジンはいずれも、大量生産されている標準的な型式のものであり、当業者には周知のものである。図17から明らかなように、航空機用エンジンの型式が異なれば、航空機用エンジンの寸法も様々に異なり、また、航空機用エンジンから搬送式プラットフォーム21〜24へ加わる荷重の加わり方も様々に異なる。更に、これも図17から明らかなように、前部支柱54と後部支柱55とのいずれも、搬送式プラットフォーム21〜24上の様々な位置に配置することができる。
【0038】
本発明に係る装置によれば、整備対象の航空機用エンジンを、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて搬送する際に、その搬送を安全確実に行うことができる。本発明に係る装置を使用することで、航空機用エンジンの整備作業を、いわゆるベルトコンベア方式で実行することが可能となり、更に、本発明に係る搬送方法を実施することが可能となる。本発明に係る装置は構成が簡明であり、かつ、低コストで導入することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】航空機用エンジンの整備作業に際して航空機用エンジンまたは航空機用エンジンのモジュールを搬送するための、本発明に係る装置の模式的側面図であり、搬送装置上に3台の航空機用エンジンが載置されており、搬送装置が第1の状態にあるところを示した図である。
【図2】図1の搬送装置が第2の状態にあるところを示した図である。
【図3】図1及び図2の搬送装置が第3の状態にあるところを示した図である。
【図4】図1〜図3の搬送装置が第4の状態にあるところを示した図である。
【図5】図1〜図4の搬送装置が第5の状態にあるところを示した図である。
【図6】図1〜図5の搬送装置の拡大詳細図とした模式的側面図である。
【図7】図1〜図5の搬送装置の拡大詳細図とした別の模式的側面図である。
【図8】図1〜図5の搬送装置の細部構造を示した模式的側面図である。
【図9】図8の細部構造が第2の状態にあるところを示した図である。
【図10】図1〜図5の搬送装置の細部構造を示した模式的側面図である。
【図11】図1〜図5の搬送装置の細部構造を示した模式的側面図である。
【図12】図1〜図5の本発明に係る搬送装置におけるリフト機構を下方から見た模式図である。
【図13】本発明に係る装置の断面図である。
【図14】図13の断面図の詳細図である。
【図15】図13の断面図の別の詳細図である。
【図16】本発明に係る装置の一部を示した大簡略化した模式図である。
【図17】本発明に係る装置に載置された様々な型式の航空機用エンジンを示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用エンジン(26、27、28)などのガスタービンを、または、ガスタービンのモジュールを、その整備作業などに際して搬送するための装置において、順々に配置された複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を備え、それら搬送式プラットフォームの各々に少なくとも1台のガスタービンを載置可能としてあり、前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を搬送することによって、ガスタービンが搬送されるようにしてあることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を好ましくはそれら搬送式プラットフォーム上に載置されたガスタービンと共に、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)をガスタービンの主搬送方向と逆方向へ搬送するための第2駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)が、停止状態にあるときに、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の装置。
【請求項5】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)をガスタービンの主搬送方向へ搬送するために、前記主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム(21)を降下させて前記平面の下方を主搬送方向と逆方向へ搬送できるようにしてあり、それによって、前方領域を空けて、降下させた搬送式プラットフォーム(21)の背後に位置していた搬送式プラットフォーム(22、23、24)を前記主搬送方向へ搬送できるようにしてあることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
降下させて前記平面の下方を前記主搬送方向と逆方向へ搬送した搬送式プラットフォーム(21)を、残りの搬送式プラットフォーム(22、23、24)を前記主搬送方向へ搬送した後に、上昇させて、最後尾に位置していた搬送式プラットフォーム(24)が空けた領域へ位置付けることができるようにしてあることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を前記主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構が複数の摩擦車(34)を備えており、前記主搬送方向へ搬送される複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の各々に少なくとも1つの摩擦車(34)が接触するように、前記複数の摩擦車(34)が配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の装置。
【請求項8】
1つの搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を前記主搬送方向と逆方向へ搬送するための第2駆動機構が、チェーンコンベヤ(38)として構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、作業空間のフロア(33)内に埋設されており、停止状態にある前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)が位置する平面が、前記フロアの面と同一平面になるようにし、それによって、前記搬送式プラットフォームへのバリヤフリーのアクセスを可能にしてあることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の装置。
【請求項10】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の各々にアダプタ(52)の取付領域(53)が設けられ、その取付領域(53)に前記アダプタ(52)を取付可能で様々な型式のガスタービンに適合し得るようにしてあることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の装置。
【請求項11】
前記搬送式プラットフォームを降下ないし上昇させるためのリフト機構(42、43)を備えており、第1リフト機構(42)は、先頭に配置されている第1作業ステーションの領域に配設され、第2リフト機構(43)は最後尾に配置されている第2作業ステーションの領域に配設されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の装置。
【請求項12】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の表面に滑り止めコーティングが施されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の装置。
【請求項13】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)とフロア(33)との間の隙間(51)を小さくして、工具及びガスタービンの部品が、前記隙間を通って前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の下方の空間へ落下することがないようにしてあることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項記載の装置。
【請求項14】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)が、非連続的搬送方式で、また好ましくは、所定時間間隔の定期的な搬送方式で、搬送されるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項記載の装置。
【請求項15】
航空機用エンジンなどのガスタービンを、または、ガスタービンのモジュールを、その整備作業などに際して搬送するための搬送方法において、複数の搬送式プラットフォーム上に載置した複数のガスタービンを、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて主搬送方向に搬送するようにし、前記複数の搬送式プラットフォームを搬送することによって、ガスタービンまたはガスタービンのモジュールが搬送されるようにすることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記複数の搬送式プラットフォームが、停止状態にあるときに、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記複数の搬送式プラットフォームをガスタービンの主搬送方向へ搬送するために、前記主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォームを降下させて前記平面の下方を主搬送方向と逆方向へ搬送し、それによって、前方領域を空けて、降下させた搬送式プラットフォームの背後に位置していた搬送式プラットフォームを前記主搬送方向へ搬送できるようにすることを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
降下させて前記平面の下方を前記主搬送方向と逆方向へ搬送した搬送式プラットフォームを、残りの搬送式プラットフォームを前記主搬送方向へ搬送した後に、上昇させて、最後尾に位置していた搬送式プラットフォームが空けた領域へ位置付けることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項1】
航空機用エンジン(26、27、28)などのガスタービンを、または、ガスタービンのモジュールを、その整備作業などに際して搬送するための装置において、順々に配置された複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を備え、それら搬送式プラットフォームの各々に少なくとも1台のガスタービンを載置可能としてあり、前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を搬送することによって、ガスタービンが搬送されるようにしてあることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を好ましくはそれら搬送式プラットフォーム上に載置されたガスタービンと共に、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)をガスタービンの主搬送方向と逆方向へ搬送するための第2駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)が、停止状態にあるときに、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の装置。
【請求項5】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)をガスタービンの主搬送方向へ搬送するために、前記主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォーム(21)を降下させて前記平面の下方を主搬送方向と逆方向へ搬送できるようにしてあり、それによって、前方領域を空けて、降下させた搬送式プラットフォーム(21)の背後に位置していた搬送式プラットフォーム(22、23、24)を前記主搬送方向へ搬送できるようにしてあることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
降下させて前記平面の下方を前記主搬送方向と逆方向へ搬送した搬送式プラットフォーム(21)を、残りの搬送式プラットフォーム(22、23、24)を前記主搬送方向へ搬送した後に、上昇させて、最後尾に位置していた搬送式プラットフォーム(24)が空けた領域へ位置付けることができるようにしてあることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を前記主搬送方向へ搬送するための第1駆動機構が複数の摩擦車(34)を備えており、前記主搬送方向へ搬送される複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の各々に少なくとも1つの摩擦車(34)が接触するように、前記複数の摩擦車(34)が配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の装置。
【請求項8】
1つの搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)を前記主搬送方向と逆方向へ搬送するための第2駆動機構が、チェーンコンベヤ(38)として構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、作業空間のフロア(33)内に埋設されており、停止状態にある前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)が位置する平面が、前記フロアの面と同一平面になるようにし、それによって、前記搬送式プラットフォームへのバリヤフリーのアクセスを可能にしてあることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の装置。
【請求項10】
前記複数の搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の各々にアダプタ(52)の取付領域(53)が設けられ、その取付領域(53)に前記アダプタ(52)を取付可能で様々な型式のガスタービンに適合し得るようにしてあることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の装置。
【請求項11】
前記搬送式プラットフォームを降下ないし上昇させるためのリフト機構(42、43)を備えており、第1リフト機構(42)は、先頭に配置されている第1作業ステーションの領域に配設され、第2リフト機構(43)は最後尾に配置されている第2作業ステーションの領域に配設されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の装置。
【請求項12】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の表面に滑り止めコーティングが施されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の装置。
【請求項13】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)とフロア(33)との間の隙間(51)を小さくして、工具及びガスタービンの部品が、前記隙間を通って前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)の下方の空間へ落下することがないようにしてあることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項記載の装置。
【請求項14】
前記搬送式プラットフォーム(21、22、23、24)が、非連続的搬送方式で、また好ましくは、所定時間間隔の定期的な搬送方式で、搬送されるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項記載の装置。
【請求項15】
航空機用エンジンなどのガスタービンを、または、ガスタービンのモジュールを、その整備作業などに際して搬送するための搬送方法において、複数の搬送式プラットフォーム上に載置した複数のガスタービンを、順々に配置された複数台の作業ステーションを経由させて主搬送方向に搬送するようにし、前記複数の搬送式プラットフォームを搬送することによって、ガスタービンまたはガスタービンのモジュールが搬送されるようにすることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記複数の搬送式プラットフォームが、停止状態にあるときに、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記複数の搬送式プラットフォームをガスタービンの主搬送方向へ搬送するために、前記主搬送方向における先頭に位置している搬送式プラットフォームを降下させて前記平面の下方を主搬送方向と逆方向へ搬送し、それによって、前方領域を空けて、降下させた搬送式プラットフォームの背後に位置していた搬送式プラットフォームを前記主搬送方向へ搬送できるようにすることを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
降下させて前記平面の下方を前記主搬送方向と逆方向へ搬送した搬送式プラットフォームを、残りの搬送式プラットフォームを前記主搬送方向へ搬送した後に、上昇させて、最後尾に位置していた搬送式プラットフォームが空けた領域へ位置付けることを特徴とする請求項17記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−524619(P2006−524619A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504282(P2006−504282)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000654
【国際公開番号】WO2004/096676
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(391028384)エムテーウー・アエロ・エンジンズ・ゲーエムベーハー (26)
【住所又は居所原語表記】DACHAUER STRASSE 665,80995 MUENCHEN,GERMANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000654
【国際公開番号】WO2004/096676
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(391028384)エムテーウー・アエロ・エンジンズ・ゲーエムベーハー (26)
【住所又は居所原語表記】DACHAUER STRASSE 665,80995 MUENCHEN,GERMANY
【Fターム(参考)】
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