説明

ガスタービンエンジン用のシャフトアッセンブリ

【課題】製造時間、廃材が、一般的なナットロックを鍛造、機械加工するのに比較して削減可能な、シャフトアッセンブリが提供される。
【解決手段】シャフトアッセンブリ10は、シャフト12と、ナット40と、ナットロックリング42と、管状ナット支持リング44とを備える。シャフト12は、シャフト12上に取り付けられたナットベース46と、ベース46から径方向外側に延在する複数の突出部48とを備える。隣接する突出部48は、ギャップ58によって周方向に離間される。リング42は、複数の第1のロックタブ62と複数の第2のロックタブ64との間で軸方向に接続された管状リングベース60を備える。ベース60は、ベース46上に配置される。タブ62のそれぞれは、ノッチ32のそれぞれ1つを通して径方向内側に延在する。タブ64のそれぞれは、ギャップ58のそれぞれ1つを通して軸方向に延在する。リング44は、ベース60上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、ガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジン用のシャフトアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジン用のさまざまなシャフトアッセンブリが当業技術内で知られている。シャフトアッセンブリの種類の1つは、エンジンシャフト、ロータディスク、スタックナット、およびスタックナットロックを備える。ロータディスクは、シャフトショルダとナットの間でシャフトに取り付けられる。ナットロックは、ナット上に配置され、複数の突出部を備える。第1の組の突出部は、シャフト内の対応するノッチ内へ延在する。第2の組の突出部は、ナット内の対応するノッチ内へ延在する。従って、ナットロックは、ナットをシャフトに連結し、従って、エンジン作動中にシャフトに対してナットが回転するのを防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したナットロックは、鍛造と機械加工を組み合わせた方法を用いて製造可能である。しかしながら、鍛造と機械加工を組み合わせた方法は、一般に必要とする機械加工時間が長く、鍛造品からナットロックを機械加工する際に比較的大量の材料を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、シャフトと、ナットと、ナットロックリングと、管状ナット支持リングとを備えるシャフトアッセンブリが提供される。シャフトは、シャフト上に取り付けられたナットベースと、ナットベースから径方向外側に延在する複数の突出部とを備える。隣接する突出部は、ギャップによって周方向に離間される。ナットロックリングは、複数の第1のロックタブと複数の第2のロックタブとの間で軸方向に接続された管状リングベースを備える。リングベースは、ナットベース上に配置される。第1のロックタブのそれぞれは、ノッチのそれぞれ1つを通して径方向内側に延在する。第2のロックタブのそれぞれは、ギャップのそれぞれ1つを通して軸方向に延在する。ナット支持リングは、リングベース上に配置される。
【0005】
ナットロックリングは、所定の長さの金属管材またはシート状金属から製造可能である。ナット支持リングは、所定の長さの金属管材またはシート状金属から製造可能である。
【0006】
本発明の上述した特徴および作用は、以下の説明および添付の図面を考慮するとより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ガスタービンエンジン用のシャフトアッセンブリの断面図である。
【図2】図1に示されたシャフトアッセンブリの一部の断面斜視図である。
【図3】ナットロックリング上に配置されたナット支持リングの斜視図である。
【図4】図3に示されたナットロックリングとナット支持リングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ガスタービンエンジン用のシャフトアッセンブリ10の断面図である。シャフトアッセンブリ10は、エンジンシャフト12と、ロータディクス16の周りに周方向に配置され、ロータディスク16に接続された、複数のロータブレード14(例えばファンブレード)と、ロックナットシステム18とを備える。
【0009】
シャフト12は、軸方向中心線20周りに回転可能である。図2を参照すると、シャフト12は、溝付き(castellated)シャフトセグメント22と、ねじ付きシャフトセグメント24と、第3のシャフトセグメント26とを備える。溝付きシャフトセグメント22は、第1のシャフト端部28からねじ付きシャフトセグメント24へと軸方向に延在しており、複数の保持器フランジ30と、複数のノッチ32とを備える。各保持器フランジ30は、第1のシャフト端部28においてシャフトセグメント22から遠位フランジ端部34へと径方向内側に延在する。ノッチ32は、第1のシャフト端部28内へと軸方向に配置される。ノッチ32は、径方向内側シャフト面36と径方向外側シャフト面38との間で径方向に延在する。ねじ付きシャフトセグメント24は、シャフトセグメント22から第3のシャフトセグメント26へと軸方向に延在する。
【0010】
ロックナットシステム18は、ナット40(例えば、スパナナット)と、ナットロックリング42と、管状ナット支持リング44とを備える。ナット40は、ナットベース46と、複数の突出部48とを備える。ナットベース46は、第1のナット端部50と第2のナット端部52との間で軸方向に延在し、ねじ付きナットボア54と径方向外側ロックリング接触面56との間で径方向に延在する。突出部48は、ナットベース46から径方向外側に延在する。突出部48は、ロックリング接触面56と第2のナット端部52との間で軸方向に延在する。隣接する突出部48は、ギャップ58によって周方向に離間される。
【0011】
図3、図4を参照すると、ナットロックリング42は、管状リングベース60と、複数の第1のロックタブ62と、複数の第2のロックタブ64と、1つまたは複数の第3のロックタブ66とを備える。図4を参照すると、リングベース60は、移行セグメント68と、ナット接触セグメント70とを備える。移行セグメント68は、第1のベースセグメント端部72からナット接触セグメント70へと軸方向に延在する。ナット接触セグメント70は、例えば中心線20に略平行に、移行セグメント68から第2のベースセグメント端部74へと軸方向に延在する。ナット接触セグメント70は、ナット接触セグメント厚み76を有する。
【0012】
第1のロックタブ62のそれぞれは、第1のベースタブセグメント80と第1の端部タブセグメント82との間に接続されたコーナタブセグメント78を備える。第1のベースタブセグメント80は、例えば中心線20に略平行に、第1のベースセグメント端部72からコーナタブセグメント78へと軸方向に延在する。第1のベースタブセグメント80は、例えば、ナット接触セグメント厚み76と同じかまたはそれより大きな、ベースタブセグメント厚み84を有する。第1の端部タブセグメント82は、例えば中心線20に略垂直に、コーナタブセグメント78から第1の遠位ロックタブ端部86へと径方向に延在する。
【0013】
第2のロックタブ64のそれぞれは、第2のベースタブセグメント88と、第2の端部タブセグメント90とを備える。第2のベースタブセグメント88は、例えば中心線20に略平行に、第2のベースセグメント端部74から第2の端部タブセグメント90へと軸方向に延在する。第2の端部タブセグメント90は、第2のベースタブセグメント88から第2の遠位ロックタブ端部92へと軸方向に延在する。第2の端部タブセグメント90は、第2のベースタブセグメント88に対して径方向外側に傾斜可能である。
【0014】
第3のロックタブ66のそれぞれは、第1のベースセグメント端部72から第3の遠位ロックタブ端部91へと径方向外側に延在する。図3を参照すると、第3のロックタブ66のそれぞれは、2つの第1のロックタブ62それぞれの間に周方向に配置される。
【0015】
図4を参照すると、ナット支持リング44は、第1の支持リング端部94と第2の支持リング端部96との間に軸方向に延在する。ナット支持リング44は、径方向内側ナットロックリング接触面98と径方向外側支持リング面100との間で径方向に延在する。第1の支持リング端部94は、緩和形状(例えば、丸めのあるまたは面取りされた形状)を有する径方向内側縁部を有する。第2の支持リング端部96は、緩和形状(例えば、丸めのあるまたは面取りされた形状)を有する径方向内側縁部を有する。支持リング面100は、例えば中心線20に平行に、第1の支持リング端部94と第2の支持リング端部96との間で軸方向に延在する。
【0016】
図2を参照すると、ロータディスク16は、第3のシャフトセグメント26上に取り付けられる。ねじ付きナットボア54が、ねじ付きシャフトセグメント24上にねじ込まれ、それによって、第2のナット端部52がロータディスク16に当接して、ロータディスク16はシャフト12上に軸方向に固定される。ナット接触セグメント70は、ロックリング接触面56上に配置される。第1の端部タブセグメント82のそれぞれは、ノッチ32のそれぞれ1つを通して径方向に延在する。第2の端部タブセグメント90のそれぞれは、ギャップ58のそれぞれ1つを通して軸方向に延在する。ここで図3、図4を参照すると、ナット支持リング44は、ナット接触セグメント70上に、第3のロックタブ66と第2のロックタブ64との間で軸方向に配置される。
【0017】
図2を参照すると、保持リング102が、ナットロックリング42をナット40上に軸方向に固定するように、保持器フランジ30と第1の端部タブセグメント82との間で軸方向に配置可能である。
【0018】
エンジン作動中は、ナットロックリング42によって、ナット40がシャフト12に対して回転し、それによって、シャフト12から解放または分離されるのが防止される。ナット支持リング44は、ナットロックリング42およびナット40を構造的に補強する。ナット支持リング44は、ナット40が破損した場合にナット40を一緒に保持する助けともなることができる。
【0019】
ナットロックリング42は、所定の長さの金属管材から製造(例えば、機械加工、切断、曲げ、その他など)可能である。代替として、ナットロックリング42は、シート状金属から製造可能である。ナット支持リング44は、所定の長さの金属管材から製造可能である。代替として、ナット支持リング44は、シート状金属から製造可能である。ナットロックリング42および/またはナット支持リング44を管材および/またはシート状金属から製造(例えば、機械加工、切断、曲げ、その他など)することによって、付随する製造時間および廃材が、背景技術において説明したように一般的なナットロックを鍛造および機械加工するのに比較して削減可能である。
【0020】
本発明のさまざまな実施例を開示したとはいえ、当業者には、本発明の範囲内でより多くの実施例および具体化が可能であることが明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物を考慮する以外に限定すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
ナットと、
ナットロックリングと、
管状ナット支持リングと、
を備えるシャフトアッセンブリであって、
シャフトは、シャフトの端部内へと軸方向に延在する複数のノッチを備えており、
ナットは、ナットベースと、複数の突出部とを備えており、ナットベースは、シャフト上に取り付けられ、複数の突出部は、ナットベースから径方向外側に延在し、隣接する突出部は、ギャップによって周方向に離間され、
ナットロックリングは、複数の第1のロックタブと複数の第2のロックタブとの間で軸方向に接続された管状リングベースを備えており、リングベースは、ナットベース上に配置され、第1のロックタブのそれぞれは、ノッチのそれぞれ1つを通して径方向内側に延在し、第2のロックタブのそれぞれは、ギャップのそれぞれ1つを通して軸方向に延在し、
管状ナット支持リングは、リングベース上に配置されることを特徴とするシャフトアッセンブリ。
【請求項2】
ナットロックリングは、リングベースに接続された第3のロックタブをさらに備えており、第3のロックタブは、径方向外側に延在し、ナット支持リングは、第3のロックタブと第2のロックタブとの間で軸方向に配置されることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項3】
第3のロックタブは、各第1のロックタブの2つの間に周方向に配置されることを特徴とする請求項2記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項4】
ナット支持リングは、径方向外側支持リング面を備えており、径方向外側支持リング面は、第1の支持リング端部と第2の支持リング端部との間で、シャフトの中心線に略平行に延在することを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項5】
ナット支持リングは、第1の支持リング端部と第2の支持リング端部との間で軸方向に延在し、支持リング端部の少なくとも一方の径方向内側縁部は、緩和形状を備えることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項6】
第1のロックタブのそれぞれは、軸方向に延在する第1のベースタブセグメントと、径方向に延在する第1の端部タブセグメントとを備えており、第1のベースタブセグメントは、リングベースと第1の端部タブセグメントとの間に接続され、第1の端部タブセグメントは、各ノッチを通して延在することを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項7】
リングベースは、ナットベースに接触するナット接触セグメントを備えており、ナット接触セグメントは、第1のベースタブセグメントのベースタブセグメント厚みより小さなナット接触セグメント厚みを有することを特徴とする請求項6記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項8】
第2のロックタブのそれぞれは、第2のベースタブセグメントと、第2の端部タブセグメントとを備えており、第2のベースタブセグメントは、リングベースと第2の端部タブセグメントとの間で軸方向に延在し、第2の端部タブセグメントは、各ギャップを通して延在し、第2の端部タブセグメントは、第2のベースタブセグメントに対して径方向外側に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項9】
シャフトは、ねじ付きシャフトセグメントさらに備えており、ナットベースは、ねじ付きシャフトセグメントと嵌合するねじ付きナットボアを備えることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項10】
シャフトは、シャフトの端部において径方向内側に延在する保持器フランジをさらに備えており、保持リングが、ナットロックリングをナット上に軸方向に固定するように、保持器フランジと少なくとも1つの第1のロックタブとの間で軸方向に配置されることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項11】
ナットロックリングは、所定の長さの管材から製造されることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項12】
ナットロックリングは、シート状金属から製造されることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項13】
ナット支持リングは、所定の長さの管材から製造されることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項14】
ナット支持リングは、シート状金属から製造されることを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項15】
ナットは、スパナナットを含むことを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項16】
シャフトは、ガスタービンエンジン用のエンジンシャフトを含むことを特徴とする請求項1記載のシャフトアッセンブリ。
【請求項17】
シャフトアッセンブリは、シャフト上に取り付けられたロータディスクをさらに備えており、ナットは、ロータディスクをシャフト上に軸方向に固定することを特徴とする請求項16記載のシャフトアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53623(P2013−53623A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−191195(P2012−191195)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】