ガスタービン吸気用フィルタユニット
【課題】 ガスタービン内部に吸入される空気を清浄化するための外気吸気用フィルタユニットに関し、近年の環境変化と共に発電機設備のガスタービンの吸気取り入れ口の空気も従来の粉じん粒子の除去に加え、空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらのガス付着固形粒子や腐蝕性汚染ガスの除去が要求されるようになってきた。
【解決手段】 ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタを超極細繊維を用いた低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタあるいは低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたものである。
【解決手段】 ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタを超極細繊維を用いた低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタあるいは低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン内部に吸入される空気を清浄化するための吸気用フィルタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機設備のガスタービンの吸気取り入れ口にはガスタービンの羽根の損傷を防ぐ目的でエアフィルタが設置されている。そして当初のエアフィルタは羽根の損傷防止のみに注目していたため、エアフィルタも大きなダストや虫、鳥の吸い込みを防止するような粗めのエアフィルタすなわちプレフィルタが取り付けられているのみであった。しかしその後種々の試験の結果エアフィルタを選定することによって羽根に付着したダストなどの清掃作業に手間がかからず好ましいこと、さらに、ガスタービン発電出力の低下防止にも役立つことが業界で認められるようになってきて、種々のエアフィルタが試されるようになった。このことからエアフィルタもプレフィルタと中高性能フィルタの2段組み合わせ式あるいはプレフィルタと中高性能フィルタおよびHEPAフィルタの3段組み合わせ式などのクリーン供給エアフィルタシステムが採用されるようになってきた。
【0003】
そして、これらに使用されるエアフィルタろ材は捕集効率を高め、目詰まりの減少あるいは長寿命化を図るため、低効率ろ材と高効率ろ材を密接して重ね、2枚のろ材シートを重ね合わせて気流方向の上流側に低効率ろ材を、下流側に高効率ろ材としたもの、また、1枚のろ材に接着材をろ材の上流側より下流側に向けて粗から密に含浸し低効率ろ材から高効率ろ材を階層的に形成したものが考えられている。
【0004】
しかしながら、前者は2枚のろ材を重ね合わせてジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工するため、非能率的であったり、ろ材全体の厚みが必要以上に大きくなってしまい、後者は上流側より下流側に向けてろ材の有効面積が減って圧損上昇を生じたりして十分満足できるものではなかった。
【0005】
また、近年の環境変化と共に発電機設備のガスタービンの吸気取り入れ口の空気も従来の粉じん粒子の除去に加え、空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの付着固形粒子や腐食性を有する汚染ガスの除去が要求されるようになってきた。しかしながら、従来の汚染ガス除去フィルタは活性炭が用いられており、トレイ形状のフィルタケーシングに充填して使用されることから、寿命が短く、寸法が長大となってかさばり、質量が重く扱いづらいものであった。
【0006】
そこで、近年超極細繊維の製造方法が開発され、超極細繊維の集合体からなるシートは、従来の繊維からなるシートに比べて比表面積が高く、均一で小さい細孔径を有していることが確認でき、超極細繊維を利用したエアフィルタろ材が開発されるようになってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明はこれらの課題を解決しょうとしたもので、本発明の目的は、ガスタービンの出力低下を防ぐようにしたよりクリーンな環境を創出できるガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとしたものである。
【0008】
次に、本発明の目的は、従来のろ材と同等以上の除じん捕集効率を維持しつつ、圧力損失を大幅に低減した機能性フィルタを使用して、省エネルギー化を可能にすると共にフィルタの寿命が長寿命となるようにしたものである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、従来のろ材と同等以上の除じん捕集効率を維持しつつ、吸着機能を有した機能性フィルタを使用して、空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの固形粒子や放射性ヨウ素などの汚染ガスの除去を可能にしたものである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて構成するフィルタを選択して後段の寿命が目標通り発揮できるようにし、コスト低減ができるガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の解決手段は、ガスタービン吸気装置の空気取入口のチャンバ内フィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタを低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタあるいは低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたものである。
【0012】
本発明の第2の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタを繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmの合繊繊維またはガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させ、前記不織布あるいは織布と超極細繊維を一体化した積層フィルタろ材から構成したものである。
【0013】
本発明の第3の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態を前記の積層フィルタろ材の超極細繊維の薄い層の表面にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの不織布あるいは織布を乾燥固着して一体にした積層フィルタろ材から構成したものである。
【0014】
本発明の第4の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタは前記の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したものである。
【0015】
本発明の第5の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態を前記[0013]の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したものである。
【0016】
本発明の第6の解決手段は、積層フィルタろ材またはガス除去フィルタろ材をジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工する時に、予めエンボスの頂部に塗布した樹脂ビード同士を固着し一体に連結するか波形のアルミセパレータあるいは、くし歯、リボンを入れた機能性フィルタを提供しょうとしたものである。
【0017】
本発明の第7の解決手段は、捕集効率の異なる粉じん捕集機能を有する他の種類のフィルタをプレフィルタおよび/または中高性能フィルタおよび/または準HEPAフィルタおよび/またはHEPAフィルタおよび/またはULPAフィルタとから選択できるようにしたことである。
【0018】
ここで、積層フィルタろ材の基材である不織布あるいは織布はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、レーヨン、ポリプロピレン繊維などの有機繊維やガラス繊維、パルプ繊維が使用可能である。これらを単独で用いてもよいし2種類以上を併用しても良い。
【0019】
これらの不織布あるいは織布の形成方法としては湿式抄紙法を用いる方法や乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法、電界紡糸法などが用いられる。
【0020】
積層フィルタろ材の接着媒体はバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーなどが使用される。そしてバインダは有機系バインダ、無機系バインダ又は混合して加えて得られる混合バインダが使用される。なお、好ましくはアクリル樹脂が使用される。溶融繊維は芯鞘構造の繊維などが使用される。さらに接着パウダーとしては軟化点の低い樹脂の粉末などが使用される。
【0021】
積層フィルタろ材の超極細繊維は単繊維直径が0.01〜0.5μmの範囲内にあるものであるものを指し、その形態は繊維状の形態であればよく、長さや断面形状にはこだわらないものである。そして超極細繊維を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルやポリアミド、ポリオレフイン、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などが挙げられる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。また、ポリアミドとしてはナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)などが挙げられる。ポリオレフインとしてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。上記材料以外にもフェノール樹脂やポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスルホン、フッ素系高分子やそれらの誘導体を用いることももちろん可能である。
【0022】
本発明に使用される超極細繊維層は上述のような超極細繊維から構成されているが、超極細繊維は束状になく超極細繊維が分散した状態にあるのが好ましい。これは超極細繊維がスリップフロー効果で流体の流れが良くなり低圧力損失になるためである。
【0023】
そして超極細繊維層は電界紡糸法により製造されたものである。このように電界紡糸法により製造された超極細繊維層は基材と併用することで十分な強度を有するため各種フィルタの加工性にすぐれている。この電界紡糸法とは従来公知の方法でありノズルなどから供給した紡糸溶液に対して電界を作用させることにより延伸して繊維化する方法である。
【0024】
次いで前記繊維化した超極細繊維を不織布あるいは織布上に積層させて超極細繊維層を形成できる。この不織布あるいは織布は超極細繊維を捕集でき且つ、フィルタの加工性および強度が保持できるものであれば良く形状は特に限定されるものではない。
【0025】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する積層フィルタろ材の製作は、繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmの合繊繊維またはガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、その上に、ノズルなどから供給した紡糸材料に対して電界を作用させ延伸した超極細繊維を形成する電界紡糸法、溶融紡糸法により0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させることで、前記不織布あるいは織布と超極細繊維を一体化した積層フィルタろ材を形成する。
【0026】
さらに、積層フィルタろ材のもう一つの形態は前記積層フィルタろ材の超極細繊維層の表面にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの不織布あるいは織布を乾燥固着するか、単に物理的に重ねて一体にした積層フィルタろ材である。
【0027】
そして低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタの製作は、積層フィルタろ材をジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、ひだ折り加工したろ材間にセパレータまたはビード状接着剤を挟み込んで外枠内にシール材で気密に取り付けて製作される。
【0028】
機能性フィルタをフィルタパックとして使用する場合は積層フィルタろ材の超極細繊維の薄い層の表面にバインダを塗布し、不織布を乾燥固着して一体に配置するのが好ましい。しかしこれに限定される事なくどのような態様で使用しても良い。
【0029】
そしてフィルタパックとして使用する場合は内側にシール材を取り付けたセル型のフィルタ枠に気密性をもたされた状態で取り付けられる。
【0030】
また、もう一つの形態の機能性フィルタの製作は、表面に突出するエンボスと裏面に突出するエンボスを幅方向に交互に形成した積層フィルタろ材を、突出するエンボス同士が接触するようにジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、外枠内に接着材で気密に取り付けて製作される。
【0031】
次に、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮するイオン交換フィルタろ材の製作は、前記積層フィルタろ材にα線、β線、γ線、X線、電子線などの放射線を照射してラジカル(反応開始種)を生成させる。この照射後の積層フィルタろ材を重合性モノマー含有溶液に浸漬して重合性モノマーを積層フィルタろ材繊維にグラフト重合させる。その結果この重合性モノマーが繊維にグラフト重合側鎖として結合したものが生成する。この生成された重合性モノマーを側鎖として有する繊維をアニオン交換基又はカチオン交換基を有する化合物と接触反応させることにより、グラフト重合された側鎖の重合性モノマーにイオン交換基が導入されて最終生成物が得られる。また、ガスとの反応性を持った溶液を含浸、乾燥させてガス除去フィルタろ材も製作できる。そこで、かかる生成物が空気中のアルカリ性ガス、酸性ガスなどの汚染ガスと接触した際には、表面積の多い超極細繊維がガスと接触して、効率よく接触するので、その汚染ガス除去率が優れたものとなる。
【0032】
また重合性モノマーとして、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルピリジンアクリル酸、メタクリル酸、アリールアミン、クロロメチルスルホン酸などがあるが、カチオン交換基、アニオン交換基の必要性によって適宜選択されるものでありこれらの範囲に限定されるものではない。
【0033】
また、含浸反応液としては水酸化カリウム、炭酸カリウム、硫酸、アミンなどが使用される。
【0034】
なお、ガス除去フィルタろ材は、イオン交換基や薬品を付与した不織布あるいは織布に繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させ、前記不織布あるいは織布と超極細繊維とを組み合わせた構成でもよい。
【0035】
そして、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタの製作は、ガス除去フィルタろ材などをジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、ひだ折り加工したろ材間にセパレータまたはビード状接着剤を挟み込んで外枠内に接着材で気密に取り付けて製作される。
【0036】
また、ガス除去フィルタろ材などからなる機能性フィルタをフィルタパックとして使用する場合はガス除去フィルタろ材などの超極細繊維の薄い層の表面にバインダを塗布し、不織布を乾燥固着して一体に配置するのが好ましい。しかしこれに限定される事なくどのような態様で使用しても良い。
【0037】
そしてフィルタパックとして使用する場合は内側にシール材を取り付けたセル型のフィルタ枠に気密性をもたされた状態で取り付けられる。
【0038】
また、もう一つの形態の機能性フィルタの製作は、表面に突出するエンボスと裏面に突出するエンボスを幅方向に交互に形成したガス除去フィルタろ材などを、突出するエンボス同士が接触するようにジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、外枠内に接着材で気密に取り付けて製作される。この方法により、従来の粉塵ろ過用フィルタと同じ構造で製作でき、従来フィルタと同じ位置・取り付け方法にて取り付けることができる。
【0039】
また、他の種類の異なるフィルタは、ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠にガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて、下記のフィルタ群から選択される。なお、フィルタの選択は各フィルタ群の粉塵保持量、粒径別捕集率から最適なものを組み合わせることができる。
【0040】
プレフィルタ群は種々のものがあり一つはガラス繊維をカールさせてあるいは合成繊維による不織布をバインダで繊維同士を結合させて弾力の優れたマット状基材とし、この基材を空気流入側の比較的目の粗い層と、出口側の密度の高い層からなる密度勾配構造にして形成したろ材を方形状に切断し500×500mm〜610×610mmで厚さ20〜100mm程度の金属製や木製の外枠に収納したパネル型エアフィルタが使用される。使用されるろ材には乾式または粘着剤を塗布した湿式がある。湿式ろ材は使い捨てタイプであるが、乾式のろ材では水で洗浄して再利用するタイプもある。
【0041】
もう一つは前記フィルタろ材を長尺寸法で切断してロール状に巻いたろ材を装置の上部に装填しろ過面を通して下部で巻き取る自動更新型エアフィルタも使用される。ろ材は、タイマにより間欠的に巻き取る方法と、ろ材の圧力損失を検出して巻き取る方法の2通りがある。作動状態が確実である前者が主に使用される。自動更新型エアフィルタにはろ過面が平坦な構造のほかにろ過部分を前後にV字型やW字型に曲げて装置の寸法に比較してろ材面積を大きくしたものなどがある。
【0042】
次に中高性能フィルタ群も種々のものがあり一つはガラス繊維または合繊繊維製の嵩高なろ材や合成繊維不織布を袋状に縫製した袋状ろ材をハニカム型ヘッダあるいはスリット型ヘッダあるいはチャンネルスリットヘッダ形状にした空気流入口を設けた枠に取り付けた吹き流し形エアフィルタがある。袋は隣同志が密着しないように袋の数ヶ所に仕切り縫いがされている。外枠には主として金属製が使用されるが使用後の焼却処理が容易なように、難燃性合板やプラスチックが使用される場合がある。外形寸法は空気流入口の縦横が610×610mm程度奥行きは300〜1000mm程度である。
【0043】
次に中高性能フィルタ群のもう一つの形態はろ材を外枠の中に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0044】
そしてセパレータ型の場合ろ材と枠は接着剤で接着される場合が多く、ろ材のひとつは繊維径が20μm以下程度のガラス繊維からなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、同じガラス繊維からなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材を重ね密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量をえることができる2枚重ねろ材のタイプのものが使用される。
【0045】
ミニプリーツ型の場合は奥行きの浅いろ材パックを接着せずにそのまま外枠に組み込む場合と、このろ材パックを外枠の中にV字型に配置して使用する場合あるいはろ材パックを枠に接着剤で接着する場合がある。ミニプリーツ型の場合は主に接着せずに枠とろ材パックを容易に分離できる構造にしてフィルタが最終圧力損失に達したときはろ材パックのみ取り出して廃棄し、外枠は再使用する形式となっている。
【0046】
さらにミニプリーツ型の場合、ろ材の種類は繊維径30〜3μmのガラス繊維と繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製のものと不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製ろ材がありろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0047】
準HEPAフィルタ群はろ材を枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れてろ材同志が密着しないようにし、ろ材と外枠とはシール材を外枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化したものである。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは150〜800mm程度である。ろ材のひとつは繊維径が10μm以下程度のガラス繊維あるいは合成繊維製からなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、繊維径が0.5〜5μm以下程度のガラス繊維あるいは合成繊維からなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材を重ね密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量をえることができる2枚重ねろ材のタイプのものと、もう1つは繊維径1.0μm以下程度のガラス繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製あるいは合成繊維製ろ材タイプのものが使用される。ろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0048】
HEPAフィルタ群はろ材を外枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。ろ材と外枠とはシール材を外枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化している。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0049】
そしてセパレータ型の場合ろ材と外枠は接着剤で接着される場合が多く、ろ材のひとつは繊維径が10μm以下程度のガラス繊維からなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、繊維径が0.3〜3.0μm程度のガラス繊維からなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材を重ね密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量をえることができる2枚重ねろ材のタイプのものともう1つは繊維径0.3〜5.0μmのガラス繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製あるいは合成繊維製タイプのろ材が使用される。
【0050】
ミニプリーツ型の場合のろ材は繊維径0.3〜5.0μmのガラス繊維と繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製タイプのものと不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製タイプのろ材が使用される。そしてろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0051】
ULPAフィルタ群はろ材を外枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。ろ材と外枠とはシール材を枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化している。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0052】
セパレータ型の場合ろ材と外枠は接着剤で接着される場合が多く、ろ材は繊維径1.0〜0.5μmのガラス繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製タイプのろ材が使用される。
【0053】
ミニプリーツ型の場合のろ材は繊維径0.3〜5.0μmのガラス繊維と繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製タイプのものと不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製タイプのろ材が使用される。そしてろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0054】
上記課題解決による作用は次の通りである。
ここで、フィルタの配列はガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて変更されるが、1例として2段目に機能性フィルタを、1段目に捕集効率の低いフィルタを、3段目に高い捕集効率のフィルタを3段組み合わせた場合について述べる。
【0055】
まず、ガスタービンの吸気運転によりハウジング内に吸入される汚染ガスや粉じんを含んだ大気は1段目フィルタを通過する。ここで粗い粒径の大気塵が除去されるが、ここで1段目フィルタはろ材厚みを増し、粉じん保持容量を大きくしているので、後段のフィルタへの負荷を軽減できると共に粉塵の詰まりによる交換頻度も突出しないようになっている。
【0056】
さらに1段目フィルタを通過した有害ガスや細かな粒径の大気塵を含んだエアーは2段目の機能性フィルタに吸入される。
【0057】
ここで、2段目の機能性フィルタが積層フィルタろ材の場合、細かな粒径の大気塵を含んだエアーは不織布あるいは織布および超極細繊維層で捕集され清浄空気として通過する。この際形状保持機能および強度向上を目的とした塵埃保持容量の大きな不織布あるいは織布と超極細繊維よりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超極細繊維層の2層から構成しているので、低い圧力損失でありながら高効率の機能が発揮される。
【0058】
また2段目の機能性フィルタがガス除去フィルタろ材の場合、エアーガス中に含まれた汚染ガスは機能性フィルタに吸着捕集されると共に、粉塵除去効率も1段目フィルタの捕集率より高くなっているので、細かな粒径の粒子をほとんど捕集してしまい、より細かな粒径以下の大気塵のみしか2段目フィルタを通過しないようになっている。
【0059】
そして、2段目フィルタを通過した最も細かな粒径の大気塵を含んだエアーは、さらに高い捕集率を有している3段目フィルタを通過した後清浄なエアーとしてガスタービンへ供給される。これによりガスタービンの性能は低下されることなく維持されるものである。
【0060】
そして長期間運転により各フィルタに捕集される粉じんは捕集率の低い順で多く捕集される一方逆に捕集率の高い順でエアーを通しにくくなっているすなわち圧力損失が高くなっているため、フィルタの目詰まりによる寿命が捕集率の低い順に早くなるか各フィルタの寿命が同時に来るようになっている。
【発明の効果】
【0061】
上述したように本発明のガスタービン用吸気フィルタユニットは次のような効果がえられる。
(1)ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて捕集率の異なるフィルタを複数の種類組み合わせて、ガスタービン吸気装置内に設置したのでガスタービンの出力低下を防げる。
(2)ガスタービン用吸気フィルタユニットは1段目フィルタで粉塵保持を大きくしているので、後段のフィルタへの負荷を軽減できると共に粉塵の詰まりによる寿命も突出しないようになっている。
(3)機能性フィルタが積層フィルタろ材の場合、形状保持機能および強度向上を目的とした塵埃保持容量の大きな不織布あるいは織布と超極細繊維よりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超極細繊維層とを積層しているので、低い圧力損失でありながら高効率の機能を発揮する。
(4)機能性フィルタがガス除去フィルタの場合、軽量かつコンパクトな形状とでき、汚染ガスを確実に除去すると共に低い圧力損失でありながら高効率の機能を発揮する。
(5)汚染ガスや粉塵によるガスタービンのブレードの損傷、腐蝕、汚れを防止できる。
(6)ガスタービン発電出力の低下防止にも役立つ。
(7)各段フィルタのメンテナンスあるいは取替え回数を減らすことができるのでランニングコストの削減が可能となる。
(8)各段のフィルタを最適な形状としたので、設置スペースを小さくでき現地設置の簡素化が図れる。
(9)ガスタービン用吸気装置内のフィルタ取付枠に簡単に取り付けられるため、改造が不要で交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したパネル型プレフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図2】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した自動更新型エアフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図3】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した自動更新型エアフィルタのもう一つの形態の実施例を示す機能性フィルタの概略図。
【図4】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した吹き流し形エアフィルタを示す機能性フィルタの概略図を示す。
【図5】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した吹き流し形エアフィルタのもう一つの形態の実施例を示す機能性フィルタ概略図。
【図6】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したフランジ型中性能フィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図7】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したボックス型中性能フィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図8】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した両フランジ型準HEPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図9】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した両フランジ型HEPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図10】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したボックス型HEPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図11】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したフランジ型ULPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図12】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した機能性フィルタパックの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した機能性フィルタの形状について添付図1〜12に基づいて説明する。
【0064】
図1はパネル型プレフィルタでろ材1と外枠2の接合部分はすべて接着構造で耐久性に優れ、ろ材1の裏側に接着した金網とフィンガーによって均一なプリーツ間隙と山の高さが保持されてろ材1全体でまんべんなく粉塵が捕集できるため急激な圧損の上昇がなく、旧来にない長寿命の特長を持っている。しかも超軽量・コンパクトなため交換作業が容易で、さらに使用済みのフィルタは圧縮・減容して廃棄できる。
そしてろ材1の材質は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材からなり、外枠2の材質はカードボードとなっている。
【0065】
図2は長尺寸法の積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1をタイマにより間欠的に巻き取るかまたはろ材の圧力損失を検出して巻き取るようにした自動更新型エアフィルタである。ろ材1はマット状にしたもので非常に復元力が強く柔軟性を有したものである。しかも長さ20mものろ材1が直径30cmほどのコンパクトなロールになっているがろ過面では50cmの厚さに戻り表面濾過でなくその厚み全体で粉塵を捕集するので粉塵保持容量の極めて大きなものとなっている。
【0066】
図3は、図2に示す自動更新型エアフィルタの特長を生かし、更に前記ろ材1のろ過面をジグザグにすることによって、限られたスペースで大容量を処理できるようにしたものである。
【0067】
図4は、積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を袋状に縫製した袋状ろ材3で金属製のハニカム型ヘッダ枠4に取り付けてなる吹き流し形エアフィルタである。そして袋状ろ材3は奥行きが890mmある6個のフィルタポケットから構成されている。そして高い捕集率、低い圧力損失でダスト保持容量が極めて大きくそして非常にコンパクトなものとなっている。
【0068】
図5は金属製のスリット型ヘッダ枠5に袋状ろ材3を取り付けた吹き流し形エアフィルタで、低いろ過抵抗ですべてのポケットが膨らみろ材は隅々まで有効ろ過面となりダストはろ材全面で捕集されるようになるので、圧力損失の上昇が極めて緩やかになる効果を有している。
【0069】
図6は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠6の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に入れてろ材1と外枠6内周面とをシール材で気密性を持たせて一体化したフランジ型機能性フィルタである。
そしてろ材1は繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmのガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などからなる不織布あるいは織布1Aにバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、その上に繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層1Bを積層させ、不織布あるいは織布1Aと超極細繊維層1Bを一体化した積層フィルタろ材である。
【0070】
図7は図6のフランジ型機能性フィルタの変形例で金属製外枠6に代えて合板枠8にしたボックス型機能性フィルタである。
【0071】
図8は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠9の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に入れてろ材1と外枠9内周面とを接着剤で塗布して気密性を持たせて一体化した両フランジ型準HEPAフィルタである。
【0072】
図9は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠10の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に、ろ材1と外枠9内周面とをシール材で気密性を持たせて一体化した両フランジ型HEPAフィルタである。そしてろ材1は繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmのガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などからなる不織布あるいは織布1Aにバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、その上に繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの超極細繊維層1Bを積層させた積層フィルタろ材をグラフト重合法などの手法によりイオン交換基を付与したガス除去フィルタろ材である。
【0073】
図10は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠11の中にジグザグ状に折込み、ろ材間に糸状の樹脂12を挟んでろ材1の間隔を一定幅に保持して形成したフィルタパックを外枠11内周面にシール材で一体化したボックス型HEPAフィルタである。
【0074】
図11は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠13の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に入れてろ材1と外枠13内周面とをシール材で塗布して気密性を持たせて一体化したフランジ型ULPAフィルタである。
【0075】
図12は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1の表面に突出するエンボス14と裏面に突出するエンボス15を幅方向に交互に形成し突出するエンボス同士が接触するようにジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工して形成した機能性フィルタパックの斜視図を示したものである。
【0076】
次に具体的実施例について述べる。
【実施例1】
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1段目フィルタ、2段目フィルタ、3段目フィルタの組み合せおよび結果は下記の如くであった。
「フィルタ組み合せ」
(1)1段目フィルタ:パネル型プレフィルタ
ろ材:合成繊維製不織布
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 59Pa
最終圧損 196Pa
効率:85%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2段目フィルタ:中高性能の機能性フィルタ
ろ材:合成繊維層に極細繊維層を積層した積層フィルタろ材
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 72Pa
最終圧損 168Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3段目フィルタ:HEPAフィルタ
ろ材:難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m3/min 個数34ケ
圧力損失 初期圧損 180Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
【実施例2】
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1段目フィルタ、2段目フィルタ、3段目フィルタの組み合せおよび結果は下記の如くであった。
「フィルタ組み合せ」
(1)1段目フィルタ:パネル型プレフィルタ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 44Pa
最終圧損 118Pa
効率:85%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2段目フィルタ:中高性能の機能性フィルタ
ろ材:ガス除去フィルタろ材
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 80Pa
最終圧損 180Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3段目フィルタ:HEPA性能の機能性フィルタ
ろ材:合成繊維層に極細繊維層を積層した積層フィルタろ材
性能:処理風量 50m3/min 個数34ケ
圧力損失 初期圧損 150Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
【0077】
尚、本実施例では本発明の一実施例を述べたもので、これに限定されることなく、種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
ガスタービンプラントにおいてはガスタービンを保護および維持するために、ガスタービンプラントの空気取入口にハウジングを設け吸気用フィルタを多数並列に並べて外気中の塵埃を除去した清浄エアーを取り入れるようにしている。しかし、従来のシステムフィルタではトータル圧損が高くなり交換頻度も高くこれを解決するため、今までいろいろな工夫がなされてきているが十分満足のいくものでなかった。
【0079】
そこで、本発明はガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて、捕集率の異なるフィルタを複数の種類組み合わせて設置し、圧損などによるガスタービンの出力低下を防ぐとともに各段のフィルタがともに低圧力損失となって長寿命化し、且つ空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの固形粒子や汚染ガスの除去を可能にしたもので、産業上の利用価値が甚だ大きいものである。
【符号の説明】
【0080】
1・・・ろ材 1A・・・不織布あるいは織布 1B・・・超極細繊維層
2・・・外枠 3・・・袋状ろ材 4・・・ハニカム型ヘッダ枠
5・・・スリット型ヘッダ枠 6・・・金属製外枠
7・・・波形のアルミニウムセパレータ 8・・・合板枠
9、10、11、13・・・金属製外枠 12・・・糸状の樹脂
14、15・・・エンボス
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン内部に吸入される空気を清浄化するための吸気用フィルタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機設備のガスタービンの吸気取り入れ口にはガスタービンの羽根の損傷を防ぐ目的でエアフィルタが設置されている。そして当初のエアフィルタは羽根の損傷防止のみに注目していたため、エアフィルタも大きなダストや虫、鳥の吸い込みを防止するような粗めのエアフィルタすなわちプレフィルタが取り付けられているのみであった。しかしその後種々の試験の結果エアフィルタを選定することによって羽根に付着したダストなどの清掃作業に手間がかからず好ましいこと、さらに、ガスタービン発電出力の低下防止にも役立つことが業界で認められるようになってきて、種々のエアフィルタが試されるようになった。このことからエアフィルタもプレフィルタと中高性能フィルタの2段組み合わせ式あるいはプレフィルタと中高性能フィルタおよびHEPAフィルタの3段組み合わせ式などのクリーン供給エアフィルタシステムが採用されるようになってきた。
【0003】
そして、これらに使用されるエアフィルタろ材は捕集効率を高め、目詰まりの減少あるいは長寿命化を図るため、低効率ろ材と高効率ろ材を密接して重ね、2枚のろ材シートを重ね合わせて気流方向の上流側に低効率ろ材を、下流側に高効率ろ材としたもの、また、1枚のろ材に接着材をろ材の上流側より下流側に向けて粗から密に含浸し低効率ろ材から高効率ろ材を階層的に形成したものが考えられている。
【0004】
しかしながら、前者は2枚のろ材を重ね合わせてジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工するため、非能率的であったり、ろ材全体の厚みが必要以上に大きくなってしまい、後者は上流側より下流側に向けてろ材の有効面積が減って圧損上昇を生じたりして十分満足できるものではなかった。
【0005】
また、近年の環境変化と共に発電機設備のガスタービンの吸気取り入れ口の空気も従来の粉じん粒子の除去に加え、空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの付着固形粒子や腐食性を有する汚染ガスの除去が要求されるようになってきた。しかしながら、従来の汚染ガス除去フィルタは活性炭が用いられており、トレイ形状のフィルタケーシングに充填して使用されることから、寿命が短く、寸法が長大となってかさばり、質量が重く扱いづらいものであった。
【0006】
そこで、近年超極細繊維の製造方法が開発され、超極細繊維の集合体からなるシートは、従来の繊維からなるシートに比べて比表面積が高く、均一で小さい細孔径を有していることが確認でき、超極細繊維を利用したエアフィルタろ材が開発されるようになってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明はこれらの課題を解決しょうとしたもので、本発明の目的は、ガスタービンの出力低下を防ぐようにしたよりクリーンな環境を創出できるガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとしたものである。
【0008】
次に、本発明の目的は、従来のろ材と同等以上の除じん捕集効率を維持しつつ、圧力損失を大幅に低減した機能性フィルタを使用して、省エネルギー化を可能にすると共にフィルタの寿命が長寿命となるようにしたものである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、従来のろ材と同等以上の除じん捕集効率を維持しつつ、吸着機能を有した機能性フィルタを使用して、空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの固形粒子や放射性ヨウ素などの汚染ガスの除去を可能にしたものである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて構成するフィルタを選択して後段の寿命が目標通り発揮できるようにし、コスト低減ができるガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の解決手段は、ガスタービン吸気装置の空気取入口のチャンバ内フィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタを低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタあるいは低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたものである。
【0012】
本発明の第2の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタを繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmの合繊繊維またはガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させ、前記不織布あるいは織布と超極細繊維を一体化した積層フィルタろ材から構成したものである。
【0013】
本発明の第3の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態を前記の積層フィルタろ材の超極細繊維の薄い層の表面にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの不織布あるいは織布を乾燥固着して一体にした積層フィルタろ材から構成したものである。
【0014】
本発明の第4の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタは前記の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したものである。
【0015】
本発明の第5の解決手段は、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態を前記[0013]の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したものである。
【0016】
本発明の第6の解決手段は、積層フィルタろ材またはガス除去フィルタろ材をジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工する時に、予めエンボスの頂部に塗布した樹脂ビード同士を固着し一体に連結するか波形のアルミセパレータあるいは、くし歯、リボンを入れた機能性フィルタを提供しょうとしたものである。
【0017】
本発明の第7の解決手段は、捕集効率の異なる粉じん捕集機能を有する他の種類のフィルタをプレフィルタおよび/または中高性能フィルタおよび/または準HEPAフィルタおよび/またはHEPAフィルタおよび/またはULPAフィルタとから選択できるようにしたことである。
【0018】
ここで、積層フィルタろ材の基材である不織布あるいは織布はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、レーヨン、ポリプロピレン繊維などの有機繊維やガラス繊維、パルプ繊維が使用可能である。これらを単独で用いてもよいし2種類以上を併用しても良い。
【0019】
これらの不織布あるいは織布の形成方法としては湿式抄紙法を用いる方法や乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法、電界紡糸法などが用いられる。
【0020】
積層フィルタろ材の接着媒体はバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーなどが使用される。そしてバインダは有機系バインダ、無機系バインダ又は混合して加えて得られる混合バインダが使用される。なお、好ましくはアクリル樹脂が使用される。溶融繊維は芯鞘構造の繊維などが使用される。さらに接着パウダーとしては軟化点の低い樹脂の粉末などが使用される。
【0021】
積層フィルタろ材の超極細繊維は単繊維直径が0.01〜0.5μmの範囲内にあるものであるものを指し、その形態は繊維状の形態であればよく、長さや断面形状にはこだわらないものである。そして超極細繊維を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルやポリアミド、ポリオレフイン、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などが挙げられる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。また、ポリアミドとしてはナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)などが挙げられる。ポリオレフインとしてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。上記材料以外にもフェノール樹脂やポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスルホン、フッ素系高分子やそれらの誘導体を用いることももちろん可能である。
【0022】
本発明に使用される超極細繊維層は上述のような超極細繊維から構成されているが、超極細繊維は束状になく超極細繊維が分散した状態にあるのが好ましい。これは超極細繊維がスリップフロー効果で流体の流れが良くなり低圧力損失になるためである。
【0023】
そして超極細繊維層は電界紡糸法により製造されたものである。このように電界紡糸法により製造された超極細繊維層は基材と併用することで十分な強度を有するため各種フィルタの加工性にすぐれている。この電界紡糸法とは従来公知の方法でありノズルなどから供給した紡糸溶液に対して電界を作用させることにより延伸して繊維化する方法である。
【0024】
次いで前記繊維化した超極細繊維を不織布あるいは織布上に積層させて超極細繊維層を形成できる。この不織布あるいは織布は超極細繊維を捕集でき且つ、フィルタの加工性および強度が保持できるものであれば良く形状は特に限定されるものではない。
【0025】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する積層フィルタろ材の製作は、繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmの合繊繊維またはガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、その上に、ノズルなどから供給した紡糸材料に対して電界を作用させ延伸した超極細繊維を形成する電界紡糸法、溶融紡糸法により0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させることで、前記不織布あるいは織布と超極細繊維を一体化した積層フィルタろ材を形成する。
【0026】
さらに、積層フィルタろ材のもう一つの形態は前記積層フィルタろ材の超極細繊維層の表面にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの不織布あるいは織布を乾燥固着するか、単に物理的に重ねて一体にした積層フィルタろ材である。
【0027】
そして低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタの製作は、積層フィルタろ材をジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、ひだ折り加工したろ材間にセパレータまたはビード状接着剤を挟み込んで外枠内にシール材で気密に取り付けて製作される。
【0028】
機能性フィルタをフィルタパックとして使用する場合は積層フィルタろ材の超極細繊維の薄い層の表面にバインダを塗布し、不織布を乾燥固着して一体に配置するのが好ましい。しかしこれに限定される事なくどのような態様で使用しても良い。
【0029】
そしてフィルタパックとして使用する場合は内側にシール材を取り付けたセル型のフィルタ枠に気密性をもたされた状態で取り付けられる。
【0030】
また、もう一つの形態の機能性フィルタの製作は、表面に突出するエンボスと裏面に突出するエンボスを幅方向に交互に形成した積層フィルタろ材を、突出するエンボス同士が接触するようにジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、外枠内に接着材で気密に取り付けて製作される。
【0031】
次に、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮するイオン交換フィルタろ材の製作は、前記積層フィルタろ材にα線、β線、γ線、X線、電子線などの放射線を照射してラジカル(反応開始種)を生成させる。この照射後の積層フィルタろ材を重合性モノマー含有溶液に浸漬して重合性モノマーを積層フィルタろ材繊維にグラフト重合させる。その結果この重合性モノマーが繊維にグラフト重合側鎖として結合したものが生成する。この生成された重合性モノマーを側鎖として有する繊維をアニオン交換基又はカチオン交換基を有する化合物と接触反応させることにより、グラフト重合された側鎖の重合性モノマーにイオン交換基が導入されて最終生成物が得られる。また、ガスとの反応性を持った溶液を含浸、乾燥させてガス除去フィルタろ材も製作できる。そこで、かかる生成物が空気中のアルカリ性ガス、酸性ガスなどの汚染ガスと接触した際には、表面積の多い超極細繊維がガスと接触して、効率よく接触するので、その汚染ガス除去率が優れたものとなる。
【0032】
また重合性モノマーとして、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルピリジンアクリル酸、メタクリル酸、アリールアミン、クロロメチルスルホン酸などがあるが、カチオン交換基、アニオン交換基の必要性によって適宜選択されるものでありこれらの範囲に限定されるものではない。
【0033】
また、含浸反応液としては水酸化カリウム、炭酸カリウム、硫酸、アミンなどが使用される。
【0034】
なお、ガス除去フィルタろ材は、イオン交換基や薬品を付与した不織布あるいは織布に繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させ、前記不織布あるいは織布と超極細繊維とを組み合わせた構成でもよい。
【0035】
そして、低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタの製作は、ガス除去フィルタろ材などをジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、ひだ折り加工したろ材間にセパレータまたはビード状接着剤を挟み込んで外枠内に接着材で気密に取り付けて製作される。
【0036】
また、ガス除去フィルタろ材などからなる機能性フィルタをフィルタパックとして使用する場合はガス除去フィルタろ材などの超極細繊維の薄い層の表面にバインダを塗布し、不織布を乾燥固着して一体に配置するのが好ましい。しかしこれに限定される事なくどのような態様で使用しても良い。
【0037】
そしてフィルタパックとして使用する場合は内側にシール材を取り付けたセル型のフィルタ枠に気密性をもたされた状態で取り付けられる。
【0038】
また、もう一つの形態の機能性フィルタの製作は、表面に突出するエンボスと裏面に突出するエンボスを幅方向に交互に形成したガス除去フィルタろ材などを、突出するエンボス同士が接触するようにジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工し、外枠内に接着材で気密に取り付けて製作される。この方法により、従来の粉塵ろ過用フィルタと同じ構造で製作でき、従来フィルタと同じ位置・取り付け方法にて取り付けることができる。
【0039】
また、他の種類の異なるフィルタは、ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠にガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて、下記のフィルタ群から選択される。なお、フィルタの選択は各フィルタ群の粉塵保持量、粒径別捕集率から最適なものを組み合わせることができる。
【0040】
プレフィルタ群は種々のものがあり一つはガラス繊維をカールさせてあるいは合成繊維による不織布をバインダで繊維同士を結合させて弾力の優れたマット状基材とし、この基材を空気流入側の比較的目の粗い層と、出口側の密度の高い層からなる密度勾配構造にして形成したろ材を方形状に切断し500×500mm〜610×610mmで厚さ20〜100mm程度の金属製や木製の外枠に収納したパネル型エアフィルタが使用される。使用されるろ材には乾式または粘着剤を塗布した湿式がある。湿式ろ材は使い捨てタイプであるが、乾式のろ材では水で洗浄して再利用するタイプもある。
【0041】
もう一つは前記フィルタろ材を長尺寸法で切断してロール状に巻いたろ材を装置の上部に装填しろ過面を通して下部で巻き取る自動更新型エアフィルタも使用される。ろ材は、タイマにより間欠的に巻き取る方法と、ろ材の圧力損失を検出して巻き取る方法の2通りがある。作動状態が確実である前者が主に使用される。自動更新型エアフィルタにはろ過面が平坦な構造のほかにろ過部分を前後にV字型やW字型に曲げて装置の寸法に比較してろ材面積を大きくしたものなどがある。
【0042】
次に中高性能フィルタ群も種々のものがあり一つはガラス繊維または合繊繊維製の嵩高なろ材や合成繊維不織布を袋状に縫製した袋状ろ材をハニカム型ヘッダあるいはスリット型ヘッダあるいはチャンネルスリットヘッダ形状にした空気流入口を設けた枠に取り付けた吹き流し形エアフィルタがある。袋は隣同志が密着しないように袋の数ヶ所に仕切り縫いがされている。外枠には主として金属製が使用されるが使用後の焼却処理が容易なように、難燃性合板やプラスチックが使用される場合がある。外形寸法は空気流入口の縦横が610×610mm程度奥行きは300〜1000mm程度である。
【0043】
次に中高性能フィルタ群のもう一つの形態はろ材を外枠の中に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0044】
そしてセパレータ型の場合ろ材と枠は接着剤で接着される場合が多く、ろ材のひとつは繊維径が20μm以下程度のガラス繊維からなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、同じガラス繊維からなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材を重ね密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量をえることができる2枚重ねろ材のタイプのものが使用される。
【0045】
ミニプリーツ型の場合は奥行きの浅いろ材パックを接着せずにそのまま外枠に組み込む場合と、このろ材パックを外枠の中にV字型に配置して使用する場合あるいはろ材パックを枠に接着剤で接着する場合がある。ミニプリーツ型の場合は主に接着せずに枠とろ材パックを容易に分離できる構造にしてフィルタが最終圧力損失に達したときはろ材パックのみ取り出して廃棄し、外枠は再使用する形式となっている。
【0046】
さらにミニプリーツ型の場合、ろ材の種類は繊維径30〜3μmのガラス繊維と繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製のものと不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製ろ材がありろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0047】
準HEPAフィルタ群はろ材を枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れてろ材同志が密着しないようにし、ろ材と外枠とはシール材を外枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化したものである。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは150〜800mm程度である。ろ材のひとつは繊維径が10μm以下程度のガラス繊維あるいは合成繊維製からなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、繊維径が0.5〜5μm以下程度のガラス繊維あるいは合成繊維からなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材を重ね密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量をえることができる2枚重ねろ材のタイプのものと、もう1つは繊維径1.0μm以下程度のガラス繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製あるいは合成繊維製ろ材タイプのものが使用される。ろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0048】
HEPAフィルタ群はろ材を外枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。ろ材と外枠とはシール材を外枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化している。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0049】
そしてセパレータ型の場合ろ材と外枠は接着剤で接着される場合が多く、ろ材のひとつは繊維径が10μm以下程度のガラス繊維からなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、繊維径が0.3〜3.0μm程度のガラス繊維からなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材を重ね密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量をえることができる2枚重ねろ材のタイプのものともう1つは繊維径0.3〜5.0μmのガラス繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製あるいは合成繊維製タイプのろ材が使用される。
【0050】
ミニプリーツ型の場合のろ材は繊維径0.3〜5.0μmのガラス繊維と繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製タイプのものと不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製タイプのろ材が使用される。そしてろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0051】
ULPAフィルタ群はろ材を外枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。ろ材と外枠とはシール材を枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化している。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいはボックス型となっている。外形寸法は縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0052】
セパレータ型の場合ろ材と外枠は接着剤で接着される場合が多く、ろ材は繊維径1.0〜0.5μmのガラス繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製タイプのろ材が使用される。
【0053】
ミニプリーツ型の場合のろ材は繊維径0.3〜5.0μmのガラス繊維と繊維同志を接着するバインダからなるガラス繊維製タイプのものと不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製タイプのろ材が使用される。そしてろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0054】
上記課題解決による作用は次の通りである。
ここで、フィルタの配列はガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて変更されるが、1例として2段目に機能性フィルタを、1段目に捕集効率の低いフィルタを、3段目に高い捕集効率のフィルタを3段組み合わせた場合について述べる。
【0055】
まず、ガスタービンの吸気運転によりハウジング内に吸入される汚染ガスや粉じんを含んだ大気は1段目フィルタを通過する。ここで粗い粒径の大気塵が除去されるが、ここで1段目フィルタはろ材厚みを増し、粉じん保持容量を大きくしているので、後段のフィルタへの負荷を軽減できると共に粉塵の詰まりによる交換頻度も突出しないようになっている。
【0056】
さらに1段目フィルタを通過した有害ガスや細かな粒径の大気塵を含んだエアーは2段目の機能性フィルタに吸入される。
【0057】
ここで、2段目の機能性フィルタが積層フィルタろ材の場合、細かな粒径の大気塵を含んだエアーは不織布あるいは織布および超極細繊維層で捕集され清浄空気として通過する。この際形状保持機能および強度向上を目的とした塵埃保持容量の大きな不織布あるいは織布と超極細繊維よりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超極細繊維層の2層から構成しているので、低い圧力損失でありながら高効率の機能が発揮される。
【0058】
また2段目の機能性フィルタがガス除去フィルタろ材の場合、エアーガス中に含まれた汚染ガスは機能性フィルタに吸着捕集されると共に、粉塵除去効率も1段目フィルタの捕集率より高くなっているので、細かな粒径の粒子をほとんど捕集してしまい、より細かな粒径以下の大気塵のみしか2段目フィルタを通過しないようになっている。
【0059】
そして、2段目フィルタを通過した最も細かな粒径の大気塵を含んだエアーは、さらに高い捕集率を有している3段目フィルタを通過した後清浄なエアーとしてガスタービンへ供給される。これによりガスタービンの性能は低下されることなく維持されるものである。
【0060】
そして長期間運転により各フィルタに捕集される粉じんは捕集率の低い順で多く捕集される一方逆に捕集率の高い順でエアーを通しにくくなっているすなわち圧力損失が高くなっているため、フィルタの目詰まりによる寿命が捕集率の低い順に早くなるか各フィルタの寿命が同時に来るようになっている。
【発明の効果】
【0061】
上述したように本発明のガスタービン用吸気フィルタユニットは次のような効果がえられる。
(1)ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて捕集率の異なるフィルタを複数の種類組み合わせて、ガスタービン吸気装置内に設置したのでガスタービンの出力低下を防げる。
(2)ガスタービン用吸気フィルタユニットは1段目フィルタで粉塵保持を大きくしているので、後段のフィルタへの負荷を軽減できると共に粉塵の詰まりによる寿命も突出しないようになっている。
(3)機能性フィルタが積層フィルタろ材の場合、形状保持機能および強度向上を目的とした塵埃保持容量の大きな不織布あるいは織布と超極細繊維よりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超極細繊維層とを積層しているので、低い圧力損失でありながら高効率の機能を発揮する。
(4)機能性フィルタがガス除去フィルタの場合、軽量かつコンパクトな形状とでき、汚染ガスを確実に除去すると共に低い圧力損失でありながら高効率の機能を発揮する。
(5)汚染ガスや粉塵によるガスタービンのブレードの損傷、腐蝕、汚れを防止できる。
(6)ガスタービン発電出力の低下防止にも役立つ。
(7)各段フィルタのメンテナンスあるいは取替え回数を減らすことができるのでランニングコストの削減が可能となる。
(8)各段のフィルタを最適な形状としたので、設置スペースを小さくでき現地設置の簡素化が図れる。
(9)ガスタービン用吸気装置内のフィルタ取付枠に簡単に取り付けられるため、改造が不要で交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したパネル型プレフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図2】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した自動更新型エアフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図3】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した自動更新型エアフィルタのもう一つの形態の実施例を示す機能性フィルタの概略図。
【図4】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した吹き流し形エアフィルタを示す機能性フィルタの概略図を示す。
【図5】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した吹き流し形エアフィルタのもう一つの形態の実施例を示す機能性フィルタ概略図。
【図6】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したフランジ型中性能フィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図7】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したボックス型中性能フィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図8】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した両フランジ型準HEPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図9】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した両フランジ型HEPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図10】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したボックス型HEPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図11】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用したフランジ型ULPAフィルタを示す機能性フィルタの概略図。
【図12】積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した機能性フィルタパックの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を使用した機能性フィルタの形状について添付図1〜12に基づいて説明する。
【0064】
図1はパネル型プレフィルタでろ材1と外枠2の接合部分はすべて接着構造で耐久性に優れ、ろ材1の裏側に接着した金網とフィンガーによって均一なプリーツ間隙と山の高さが保持されてろ材1全体でまんべんなく粉塵が捕集できるため急激な圧損の上昇がなく、旧来にない長寿命の特長を持っている。しかも超軽量・コンパクトなため交換作業が容易で、さらに使用済みのフィルタは圧縮・減容して廃棄できる。
そしてろ材1の材質は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材からなり、外枠2の材質はカードボードとなっている。
【0065】
図2は長尺寸法の積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1をタイマにより間欠的に巻き取るかまたはろ材の圧力損失を検出して巻き取るようにした自動更新型エアフィルタである。ろ材1はマット状にしたもので非常に復元力が強く柔軟性を有したものである。しかも長さ20mものろ材1が直径30cmほどのコンパクトなロールになっているがろ過面では50cmの厚さに戻り表面濾過でなくその厚み全体で粉塵を捕集するので粉塵保持容量の極めて大きなものとなっている。
【0066】
図3は、図2に示す自動更新型エアフィルタの特長を生かし、更に前記ろ材1のろ過面をジグザグにすることによって、限られたスペースで大容量を処理できるようにしたものである。
【0067】
図4は、積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材を袋状に縫製した袋状ろ材3で金属製のハニカム型ヘッダ枠4に取り付けてなる吹き流し形エアフィルタである。そして袋状ろ材3は奥行きが890mmある6個のフィルタポケットから構成されている。そして高い捕集率、低い圧力損失でダスト保持容量が極めて大きくそして非常にコンパクトなものとなっている。
【0068】
図5は金属製のスリット型ヘッダ枠5に袋状ろ材3を取り付けた吹き流し形エアフィルタで、低いろ過抵抗ですべてのポケットが膨らみろ材は隅々まで有効ろ過面となりダストはろ材全面で捕集されるようになるので、圧力損失の上昇が極めて緩やかになる効果を有している。
【0069】
図6は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠6の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に入れてろ材1と外枠6内周面とをシール材で気密性を持たせて一体化したフランジ型機能性フィルタである。
そしてろ材1は繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmのガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などからなる不織布あるいは織布1Aにバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、その上に繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層1Bを積層させ、不織布あるいは織布1Aと超極細繊維層1Bを一体化した積層フィルタろ材である。
【0070】
図7は図6のフランジ型機能性フィルタの変形例で金属製外枠6に代えて合板枠8にしたボックス型機能性フィルタである。
【0071】
図8は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠9の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に入れてろ材1と外枠9内周面とを接着剤で塗布して気密性を持たせて一体化した両フランジ型準HEPAフィルタである。
【0072】
図9は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠10の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に、ろ材1と外枠9内周面とをシール材で気密性を持たせて一体化した両フランジ型HEPAフィルタである。そしてろ材1は繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmのガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などからなる不織布あるいは織布1Aにバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、その上に繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの超極細繊維層1Bを積層させた積層フィルタろ材をグラフト重合法などの手法によりイオン交換基を付与したガス除去フィルタろ材である。
【0073】
図10は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠11の中にジグザグ状に折込み、ろ材間に糸状の樹脂12を挟んでろ材1の間隔を一定幅に保持して形成したフィルタパックを外枠11内周面にシール材で一体化したボックス型HEPAフィルタである。
【0074】
図11は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1を金属製外枠13の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ7をろ材1の間に入れてろ材1と外枠13内周面とをシール材で塗布して気密性を持たせて一体化したフランジ型ULPAフィルタである。
【0075】
図12は積層フィルタろ材あるいはガス除去フィルタろ材1の表面に突出するエンボス14と裏面に突出するエンボス15を幅方向に交互に形成し突出するエンボス同士が接触するようにジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工して形成した機能性フィルタパックの斜視図を示したものである。
【0076】
次に具体的実施例について述べる。
【実施例1】
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1段目フィルタ、2段目フィルタ、3段目フィルタの組み合せおよび結果は下記の如くであった。
「フィルタ組み合せ」
(1)1段目フィルタ:パネル型プレフィルタ
ろ材:合成繊維製不織布
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 59Pa
最終圧損 196Pa
効率:85%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2段目フィルタ:中高性能の機能性フィルタ
ろ材:合成繊維層に極細繊維層を積層した積層フィルタろ材
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 72Pa
最終圧損 168Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3段目フィルタ:HEPAフィルタ
ろ材:難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m3/min 個数34ケ
圧力損失 初期圧損 180Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
【実施例2】
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1段目フィルタ、2段目フィルタ、3段目フィルタの組み合せおよび結果は下記の如くであった。
「フィルタ組み合せ」
(1)1段目フィルタ:パネル型プレフィルタ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 44Pa
最終圧損 118Pa
効率:85%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2段目フィルタ:中高性能の機能性フィルタ
ろ材:ガス除去フィルタろ材
性能:処理風量 56m3/min 個数30ケ
圧力損失 初期圧損 80Pa
最終圧損 180Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3段目フィルタ:HEPA性能の機能性フィルタ
ろ材:合成繊維層に極細繊維層を積層した積層フィルタろ材
性能:処理風量 50m3/min 個数34ケ
圧力損失 初期圧損 150Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
【0077】
尚、本実施例では本発明の一実施例を述べたもので、これに限定されることなく、種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
ガスタービンプラントにおいてはガスタービンを保護および維持するために、ガスタービンプラントの空気取入口にハウジングを設け吸気用フィルタを多数並列に並べて外気中の塵埃を除去した清浄エアーを取り入れるようにしている。しかし、従来のシステムフィルタではトータル圧損が高くなり交換頻度も高くこれを解決するため、今までいろいろな工夫がなされてきているが十分満足のいくものでなかった。
【0079】
そこで、本発明はガスタービンの吸気環境の粉塵濃度および大気塵粒径分布に応じて、捕集率の異なるフィルタを複数の種類組み合わせて設置し、圧損などによるガスタービンの出力低下を防ぐとともに各段のフィルタがともに低圧力損失となって長寿命化し、且つ空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの固形粒子や汚染ガスの除去を可能にしたもので、産業上の利用価値が甚だ大きいものである。
【符号の説明】
【0080】
1・・・ろ材 1A・・・不織布あるいは織布 1B・・・超極細繊維層
2・・・外枠 3・・・袋状ろ材 4・・・ハニカム型ヘッダ枠
5・・・スリット型ヘッダ枠 6・・・金属製外枠
7・・・波形のアルミニウムセパレータ 8・・・合板枠
9、10、11、13・・・金属製外枠 12・・・糸状の樹脂
14、15・・・エンボス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタを低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタあるいは低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたことを特徴とするガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項2】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタは合繊繊維またはガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布に繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させ、前記不織布あるいは織布と超極細繊維を一体化した積層フィルタろ材から構成したことを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項3】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態は前記請求項2の積層フィルタろ材の超極細繊維の薄い層の表面にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの不織布あるいは織布を乾燥固着して一体にした積層フィルタろ材から構成したことを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項4】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタは前記請求項2の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したことを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項5】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態は前記請求項3の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したことを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項6】
請求項2〜5の機能性フィルタは積層フィルタろ材またはガス除去フィルタろ材をジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工する時に、予めエンボスの頂部に塗布した樹脂ビード同士を固着し一体に連結するか波形のアルミセパレータあるいは、くし歯、リボンを入れて構成したことを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項7】
捕集率の異なる粉じん捕集機能を有する他の種類のフィルタはプレフィルタおよび/または中高性能フィルタおよび/または準HEPAフィルタおよび/またはHEPAフィルタおよび/またはULPAフィルタとからなることを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項1】
ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタを低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタあるいは低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたことを特徴とするガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項2】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタは合繊繊維またはガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布に繊維径が0.01〜0.5μmの超極細繊維層を積層させ、前記不織布あるいは織布と超極細繊維を一体化した積層フィルタろ材から構成したことを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項3】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態は前記請求項2の積層フィルタろ材の超極細繊維の薄い層の表面にバインダ、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、繊維径が1〜100μm、厚みが0.05〜1.5mmの不織布あるいは織布を乾燥固着して一体にした積層フィルタろ材から構成したことを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項4】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタは前記請求項2の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したことを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項5】
低い圧力損失でありながら高効率の粉じん捕集機能を有し且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタのもう一つの形態は前記請求項3の積層フィルタろ材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与したガス除去フィルタろ材から構成したことを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項6】
請求項2〜5の機能性フィルタは積層フィルタろ材またはガス除去フィルタろ材をジグザグ状に折り畳んでひだ折り加工する時に、予めエンボスの頂部に塗布した樹脂ビード同士を固着し一体に連結するか波形のアルミセパレータあるいは、くし歯、リボンを入れて構成したことを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項7】
捕集率の異なる粉じん捕集機能を有する他の種類のフィルタはプレフィルタおよび/または中高性能フィルタおよび/または準HEPAフィルタおよび/またはHEPAフィルタおよび/またはULPAフィルタとからなることを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−104421(P2013−104421A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260955(P2011−260955)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
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