説明

ガスタービン設備

【課題】ガスカロリーが変動する高炉ガスを高いガス混合率で混合することにより、そのガスカロリーを容易に一定にすることができるガスタービン設備を提供する。
【解決手段】高炉11から排出される高炉ガスG1を燃料ガスG2として使用するガスタービン設備1において、ガスカロリーが変動する高炉ガスG1を取り込んで混合した後、この混合した高炉ガスG1を燃料ガスG2として外部に排出するガス混合タンク13と、高炉11から排出される高炉ガスG1をガス混合タンク13内に導入するガス導入通路12aと、ガス導入通路12aのガス流れ方向下流側に設けられ、高炉ガス11をガス混合タンク13内に噴射するガス噴射孔31bとを備え、ガス噴射孔31bの周長をガス導入通路12aの周長よりも長くなるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉から排出される高炉ガスを燃料ガスとして使用するガスタービン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製鉄所の高炉から排出される高炉ガスを燃料ガスとして使用するガスタービン設備が、種々提供されている。このようなガスタービン設備では、高炉の操業状態に応じて、排出される高炉ガスのガスカロリーが変動し、これに伴って、ガスタービンの発電出力も変動してしまう。特に、高炉ガスのガスカロリーが大きく変動する場合には、燃焼器において、不安定燃焼や失火に至るおそれがある。
【0003】
そこで、従来のガスタービン設備においては、ガスタービンの運転を安定的に行うことを目的として、当該ガスタービンの入口側に、ガス混合タンクを設けるようにしている。このガス混合タンクでは、ガスカロリーが変動する高炉ガスを取り込んで混合することにより、燃料ガスとして排出する高炉ガスのガスカロリーを一定にするようになっている。そして、このような、従来のガスタービン設備は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−233920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のガスタービン設備においては、高炉ガスをガス混合タンク内に噴射するためのガス噴射ノズルを複数備えており、これらガス噴射ノズルをタンク内側面に沿うように設けている。これにより、噴射された高炉ガスをタンク内側面の周方向に流して、高炉ガスの混合促進を図るようにしている。
【0006】
ここで、ガス噴射ノズルから噴射された高炉ガスは、その噴流における最も外側の部分によって、ガス混合タンク内に貯溜される高炉ガスを巻き込み、これと混合することになる。即ち、ガス混合タンクにおいては、噴射された高炉ガスがガス混合タンク内に貯溜される高炉ガスと接触して巻き込むことのできる噴流表面積が増加するに従って、高炉ガスのガス混合率が高くなり、タンク出口におけるガスカロリーを一定にすることができる。
【0007】
しかしながら、従来のガスタービン設備のような、ガス噴射ノズルの取付構造では、ガス噴射ノズルから噴射された高炉ガスが、直ちに、タンク内側面と干渉してしまうため、その噴流表面積は減少してしまう。これにより、従来のガスタービン設備においては、ガス混合タンク内に取り込んだ高炉ガスを、十分に混合できないおそれがある。
【0008】
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、ガスカロリーが変動する高炉ガスを高いガス混合率で混合することにより、そのガスカロリーを容易に一定にすることができるガスタービン設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明に係るガスタービン設備は、
高炉から排出される高炉ガスを燃料ガスとして使用するガスタービン設備において、
ガスカロリーが変動する前記高炉ガスを取り込んで混合した後、この混合した前記高炉ガスを前記燃料ガスとして外部に排出するガス混合タンクと、
前記ガス混合タンクに接続され、前記高炉から排出される前記高炉ガスを前記ガス混合タンク内に導入するガス導入通路と、
前記ガス導入通路のガス流れ方向下流側に設けられ、前記高炉ガスを前記ガス混合タンク内に噴射するガス噴射孔とを備え、
前記ガス噴射孔の周長を、前記ガス導入通路の周長よりも長くなるように形成する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
従って、本発明に係るガスタービン設備によれば、ガス噴射孔の周長をガス導入通路の周長よりも長くなるように形成することにより、ガス噴射孔からガス混合タンク内に噴射された高炉ガスの噴流表面積を増加させることができる。これにより、ガス混合タンク内において、ガスカロリーが変動する高炉ガスを高いガス混合率で混合することができるので、その混合した高炉ガスのガスカロリーを容易に一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係るガスタービン設備の概略構成図である。
【図2】ガス混合タンクの概略構成図である。
【図3】ガス噴射ノズルにおけるガス噴射孔形状の一例を示した図である。
【図4】ガス噴射ノズルにおけるガス噴射孔形状の他の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例に係るガスタービン設備について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示したガスタービン設備1は、高炉11から排出される高炉ガスG1を使用して、発電を行うものであって、ガス混合タンク13、ガス圧縮機15、空気圧縮機16、燃焼器17、ガスタービン18、及び、発電機19を備えている。
【0014】
ガス混合タンク13は、高炉11から排出される高炉ガスG1を取り込んで混合した後、この混合した高炉ガスG1を燃料ガスG2としてガス圧縮機15に供給するものである。これにより、高炉11とガス混合タンク13とは、ガス導入管12により接続されており、ガス混合タンク13とガス圧縮機15とは、ガス排出管14により接続されている。
【0015】
また、ガス圧縮機15、空気圧縮機16、ガスタービン18、及び、発電機19は、同軸となるように設けられている。そして、ガス圧縮機15は、ガス混合タンク13からガス排出管14を介して供給された燃料ガスG2を圧縮するものであるのに対して、空気圧縮機16は、外部から供給された空気を圧縮するものである。燃焼器17は、ガス圧縮機15により圧縮された燃料ガスG2と、空気圧縮機16により圧縮された空気とを使用して、燃焼動作を行うものである。
【0016】
更に、ガスタービン18は、燃焼器17の燃焼動作によって生成された燃焼ガスが供給されることにより、回転するものであって、発電機19は、そのガスタービン18の回転エネルギを電気エネルギに変換するものである。
【0017】
次に、ガス混合タンク13とガス導入管12及びガス排出管14との接続構造について、図2乃至図4を用いて詳細に説明する。
【0018】
図2に示すように、円筒状のガス混合タンク13の外周部には、ガス導入管12のガス流れ方向下流側端部が、その径方向外側から貫通している。そして、このように、ガス混合タンク13の下側内部に配置されたガス導入管12のガス流れ方向下流側端部には、ガス噴射ノズル31が上方に向けて設けられている。なお、ガス導入管12を、ガス混合タンク13の下側以外に接続してもよく、また、ガス噴射ノズル31を、上方以外に向けて設けるようにしても構わない。
【0019】
ここで、図3に示すように、ガス導入管12の内部には、高炉ガスG1をガス混合タンク13内に導入するためのガス導入通路12aが形成されており、このガス導入通路12aは、所定の内径寸法で開口されている。
【0020】
ガス噴射ノズル31は、その外径が、ガス流れ方向上流側端部からガス流れ方向下流側端部に向かうに従って、漸次大きくなるように形成されており、その内部には、ガス導入通路12aと連通するノズル通路31aが形成されている。そして、ノズル通路31aのガス流れ方向下流側端部には、高炉ガスG1を噴射するためのガス噴射孔31bが形成されており、このガス噴射孔31bは、十字形状をなしている。
【0021】
即ち、ノズル通路31aの横断面は、そのガス流れ方向上流側端部において、ガス導入通路12aの横断面と同じ円形状となる一方、そのガス流れ方向下流側端部において、ガス噴射孔31bを形成するように十字形状となっており、更に、そのガス流れ方向上流側端部からガス流れ方向下流側端部に向かうに従って、円形状から十字形状へと漸次大きく変形している。これにより、ガス噴射孔31bの周長(外周)は、ガス導入通路12aの周長(外周)よりも、長く形成されることになる。
【0022】
なお、ガス噴射孔31bの周長がガス導入通路12aの周長よりも長く形成されていれば、ガス噴射ノズル31は、その外径が、ガス流れ方向上流側端部からガス流れ方向下流側端部に向かうに従って、漸次大きくなるように形成されていなくても構わない。
【0023】
また、円筒状のガス混合タンク13の外周部には、ガス排出管14のガス流れ方向上流側端部が、その径方向外側から貫通している。そして、ガス排出管14の内部には、高炉ガスG1をガス混合タンク13内から排出するためのガス排出通路14aが形成されている。
【0024】
従って、高炉11の操業が行われるときに、ガスタービン設備1の運転を開始すると、先ず、高炉11から排出される高炉ガスG1は、そのガスカロリーが高炉11の操業状態に応じて随時変動した状態で、ガス導入管12のガス導入通路12a内に導入される。
【0025】
次いで、ガス導入通路12a内に導入された高炉ガスG1は、そのガス流れ方向下流側において、ガス噴射ノズル31のガス噴射孔31bから、ガス混合タンク13内に噴射される。
【0026】
このとき、ガス噴射孔31bを十字形状として、当該ガス噴射孔31bの周長を円形状のガス導入通路12aの周長よりも長くなるように形成しているため、ガス噴射孔31bから噴射された高炉ガスG1の噴流における最も外側の部分、即ち、高炉ガスG1の噴流表面積は、ガス導入通路12aの横断面と同じ形状の横断面を有するガス噴射孔から噴射された高炉ガスG1の噴流表面積よりも大きくなる。これにより、高炉ガスG1の噴流表面積が増加することなる。
【0027】
ここで、高炉ガスG1の噴流表面は、ガス混合タンク13内に貯溜する高炉ガスG1を巻き込むために作用する部分となっている。従って、上述したように、高炉ガスG1の噴流表面積が増加すると、ガス混合タンク13内における高炉ガスG1のガス混合率が高くなり、混合した高炉ガスG1のガスカロリーが一定となる。
【0028】
そして、上述したように、ガス混合タンク13内において、高いガス混合率で混合された混合ガスG1は、燃料ガスG2として、ガス排出管14のガス排出通路14aを介して、ガス圧縮機15に供給される。
【0029】
次いで、ガス圧縮機15は、ガス排出管14から取り込んだ燃料ガスG2を、高温高圧に圧縮して、燃焼器17に供給する一方、空気圧縮機16は、外部から取り込んだ空気を、高温高圧に圧縮して燃焼器17に供給する。
【0030】
そして、燃焼器17においては、供給された燃料ガスG2が、同じく供給された空気と共に燃焼することにより、燃焼ガスが生成された後、この燃焼ガスは、ガスタービン18に供給される。
【0031】
次いで、燃焼ガスがガスタービン18に供給されると、当該ガスタービン18が回転することになり、更に、このガスタービン18の回転に伴って、ガス圧縮機15、空気圧縮機16、ガスタービン18、及び、発電機19も回転する。
【0032】
そして、回転したガス圧縮機15においては、取り込んだ燃料ガスG2を、高温高圧に圧縮する一方、回転した空気圧縮機16においては、外部から取り込んだ空気を、高温高圧に圧縮する。また、これと同時に、回転した発電機19によって、発電動作が行われる。
【0033】
なお、上述した実施形態では、中空円錐状のガス噴射ノズル31のガス流れ方向下流側端部に、十字形状のガス噴射孔31bを形成するようにしているが、図4に示すように、中空軸状(円筒状)のガス噴射ノズル32のガス流れ方向下流側端部に、十字形状のガス噴射孔32bを形成しても構わない。
【0034】
即ち、ガス噴射ノズル32におけるノズル通路32aの横断面は、そのガス流れ方向上流側端部において、ガス導入通路12aの横断面と同じ円形状となる一方、そのガス流れ方向下流側端部において、ガス噴射孔32bを形成するように十字形状となっており、更に、そのガス流れ方向上流側端部からガス流れ方向下流側端部に向かうに従って、円形状から十字形状に漸次変形している。これにより、ガス噴射孔32bの周長(外周)は、ガス導入通路12aの周長(外周)よりも、長く形成されることになる。
【0035】
また、ガス噴射孔31b,32bの横断面を十字形状としているが、これに限定されることはなく、丸形状や星形状等、ガス噴射孔31b,32bの周長がガス導入通路12aの周長よりも長く形成していればよい。
【0036】
従って、本発明に係るガスタービン設備1によれば、ガス噴射孔31b,32bの周長をガス導入通路12aの周長よりも長くなるように形成することにより、ガス導入管12の本数を増やすことなく、ガス噴射孔31b,32bから噴射された高炉ガスG1の噴流表面積を増加させることができる。これにより、ガス混合タンク13内において、高炉ガスG1を高いガス混合率で混合させることができるので、その混合した高炉ガスG1(燃料ガスG2)のガスカロリーを容易に一定にすることができる。この結果、高炉11から排出される高炉ガス11のガスカロリーが変動しても、ガスタービン設備1の運転を安定的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、高炉ガスの流量及びガスカロリーを調整することにより、ガスタービンの発電出力を制御するようにしたガスタービン設備に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ガスタービン設備
11 高炉
12 ガス導入管
12a ガス導入通路
13 ガス混合タンク
14 ガス排出管
14a ガス排出通路
31,32 ガス噴射ノズル
31a,32a ノズル通路
31b,32b ガス噴射孔
G1 高炉ガス
G2 燃料ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉から排出される高炉ガスを燃料ガスとして使用するガスタービン設備において、
ガスカロリーが変動する前記高炉ガスを取り込んで混合した後、この混合した前記高炉ガスを前記燃料ガスとして外部に排出するガス混合タンクと、
前記ガス混合タンクに接続され、前記高炉から排出される前記高炉ガスを前記ガス混合タンク内に導入するガス導入通路と、
前記ガス導入通路のガス流れ方向下流側に設けられ、前記高炉ガスを前記ガス混合タンク内に噴射するガス噴射孔とを備え、
前記ガス噴射孔の周長を、前記ガス導入通路の周長よりも長くなるように形成する
ことを特徴とするガスタービン設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−108427(P2013−108427A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253513(P2011−253513)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)