説明

ガスタービン

【課題】公知のガスタービンの冷却に起因した欠点が回避されていて、改善された効率の点で優れているガスタービンを提供する。
【解決手段】ガスタービン20が、圧縮機12と、燃焼器13と、タービン翼を具備したタービン15とを有しており、圧縮機12が、空気を空気入口11を介して吸い込んで圧縮するようになっており、燃焼器13内では、圧縮された空気の使用下で燃料14が燃焼され、熱ガスを発生させるようになっており、タービン15内では、熱ガスが、作業出力下で膨張させられるようになっており、タービン翼を圧縮された冷却空気で冷却するための第1の手段が設けられており、該第1の手段が、圧縮機12に関係なく、圧縮された冷却空気を発生させる少なくとも1つの別個の圧縮機段22を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンであって、該ガスタービンが、圧縮機と、燃焼器と、タービン翼を具備したタービンとを有しており、圧縮機が、空気を空気入口を介して吸い込んで圧縮するようになっており、燃焼器内では、圧縮された空気の使用下で燃料が燃焼され、熱ガスを発生させるようになっており、タービン内では、熱ガスが、作業出力下で膨張させられるようになっており、タービン翼を圧縮された冷却空気で冷却するための第1の手段が設けられているガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンにおける高い熱的なかつ機械的な負荷のため、タービンの動翼および静翼の大部分には、必然的に冷却空気が供給されなければならない。翼の適正な冷却を保証するためには、冷却空気と熱ガス通路内の熱ガスとの間に十分に高い圧力比が必要となる。冷却空気として主に空気が、ガスタービンの軸流圧縮機に設けられた空気の取出し箇所において取り出される。その後、空気は、種々異なる管路系を介して個々のタービン翼に供給される。ガスタービンの設計における重要なポイントは、取出し箇所の圧力レベルを、冷却したい箇所におけるタービンの所要の圧力レベルに合わせて適正に選択することである。
【0003】
このように冷却されるガスタービンに対する著しく簡単な概略図が図1に示してある。図1のガスタービン10は、圧縮機12と、燃焼器13と、タービン翼を具備したタービン15とを有している。圧縮機12は空気を空気入口11を介して吸い込んで圧縮する。燃焼器13内では、圧縮された空気の使用下で燃料14が燃焼され、熱ガス(高温ガス)を発生させる。タービン15内では、熱ガスが作業出力下で膨張させられ、その後、排ガス出口17を介して放出される。タービン15を冷却するためには、圧縮機12から圧縮された冷却空気が分岐され、冷却空気管路18を介してタービン15に供給される。その際には、取出しおよび供給が、圧縮機12もしくはタービン15のそれぞれ異なる箇所で行われてよい。冷却空気温度を低下させるためには、冷却空気管路18内に付加的に冷却器19を配置することができる。
【0004】
流れ方向で見て下流側のタービン段では、むしろ低い圧力レベルが発生させられる。さらに、熱的な負荷がたいてい少ないので、この段の積極的な冷却は滅多に必要とならない。しかし、最終段の積極的な冷却が必要となる場合には、コストの理由から、たいてい、次に高い圧力レベルで作業する積極的に冷却される翼に設けられた取出し箇所が利用される。しかし、この圧力レベルは、実際に必要となる圧力レベルを上回っていて、冷却空気量を最小限に抑えるために、圧力が絞られるので、この観点では、流体の圧縮時に必要となる作業よりも多くの作業が実行されることになる。この多くの作業は圧力の絞りによって結果的に損失として現れる。
【0005】
たいていの例において、別個の取出し箇所を設けるかまたは外部の冷却空気源(圧縮機、送風機等)を使用することは、コストの理由から理に適っていない。
【0006】
米国特許第2578481号明細書には、ガスタービンが開示されている。このガスタービンでは、圧縮機とタービンとの間に中間ハウジングが位置している。この中間ハウジング内では、半径方向に作用する補助圧縮機がロータに配置されていて、圧力下で中間ハウジング内に冷却空気を圧送する。この冷却空気は、ロータシャフトの軸受けと、タービンのロータディスクと、動翼に用いられる外側の支持リングとを冷却するために働く。補助圧縮機によるタービンの静翼および/または動翼の冷却は提案されていない。
【0007】
米国特許第4005572号明細書に基づき、ガスタービンにおいて、タービンロータの裏側に補助翼を配置し、これによって、付加的な冷却空気を吸い込んで、熱ガスと一緒にタービン内に導入することが公知である。同明細書でも、補助翼によるタービンの翼の冷却は提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2578481号明細書
【特許文献2】米国特許第4005572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、公知のガスタービンの冷却に起因した欠点が回避されていて、改善された効率の点で優れているガスタービンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために本発明に係るガスタービンによれば、第1の手段が、圧縮機に関係なく、圧縮された冷却空気を発生させる少なくとも1つの別個の圧縮機段を有している。
【0011】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、流れ方向で見て、タービンの下流側に配置されている。
【0012】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、タービンが、ロータもしくはシャフトを有しており、該ロータもしくは該シャフトに少なくとも1つの圧縮機段が組み込まれている。
【0013】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、遠心圧縮機として形成されている。
【0014】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、流れ方向で見て、最終のタービン動翼のすぐ下流側に配置されており、少なくとも1つの圧縮機段が、ロータ支承プレナムから冷却空気質量流量を吸い込むようになっており、少なくとも1つの圧縮機段が、圧縮された冷却空気の主質量流量を最終のタービン動翼に放出して、該タービン動翼を冷却するようになっている。
【0015】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、圧縮された冷却空気の部分質量流量を放出して、ロータもしくはシャフトと、ガスタービンの隣接した固定の部材との間のシールギャップを掃気するようになっている。
【0016】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、外側のシュラウドを有しており、該シュラウドに設けられた流出箇所を通して部分質量流量が放出されるようになっている。
【0017】
本発明に係るガスタービンの有利な態様によれば、主質量流量が、少なくとも1つの圧縮機段の出口で半径方向から軸方向に変向させられるようになっており、該出口にロータもしくはシャフトが、所定の曲率半径を有する流出湾曲部を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ガスタービンであって、このガスタービンが、圧縮機と、燃焼器と、タービン翼を具備したタービンとを有しており、圧縮機が、空気を空気入口を介して吸い込んで圧縮し、燃焼器内では、圧縮された空気の使用下で燃料が燃焼され、熱ガスを発生させ、タービン内では、熱ガスが、作業出力下で膨張させられ、タービン翼を圧縮された冷却空気で冷却するための第1の手段が設けられているガスタービンに係る。本発明は、第1の手段が、圧縮機に関係なく、圧縮された冷却空気を発生させる少なくとも1つの別個の圧縮機段を有している点で優れている。
【0019】
本発明に係るガスタービンの1つの態様は、少なくとも1つの圧縮機段が、流れ方向で見て、タービンの下流側に配置されていることによって特徴づけられている。
【0020】
別の1つの態様は、タービンが、ロータもしくはシャフトを有しており、このロータもしくはシャフトに少なくとも1つの圧縮機段が組み込まれていることによって特徴づけられている。
【0021】
更なる1つの態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、遠心圧縮機として形成されている。
【0022】
別の1つの態様は、少なくとも1つの圧縮機段が、流れ方向で見て、最終のタービン動翼のすぐ下流側に配置されており、少なくとも1つの圧縮機段が、ロータ支承プレナムから冷却空気質量流量を吸い込み、少なくとも1つの圧縮機段が、圧縮された冷却空気の主質量流量を最終のタービン動翼に放出して、このタービン動翼を冷却する点で優れている。
【0023】
再び別の1つの態様によれば、少なくとも1つの圧縮機段が、圧縮された冷却空気の部分質量流量を放出して、ロータもしくはシャフトと、ガスタービンの隣接した固定の部材との間のシールギャップを掃気する。
【0024】
更なる1つの態様は、少なくとも1つの圧縮機段が、外側のシュラウドを有しており、このシュラウドに設けられた流出箇所を通して部分質量流量が放出される点で優れている。
【0025】
主質量流量が、少なくとも1つの圧縮機段の出口で半径方向から軸方向に変向させられ、この出口にロータもしくはシャフトが、所定の曲率半径を有する流出湾曲部を備えていると特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】圧縮機から分岐された冷却空気がタービンの冷却のために使用される公知先行技術に係るガスタービンの極めて簡単な概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るガスタービンに対する、図1と比較することができる概略図である。
【図3】ロータに組み込まれた別個の圧縮機段を備えた本発明の実施の形態に係るガスタービンの縦断面図の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0028】
本発明の思想は、必要となる圧力レベルの冷却空気のみを明確に発生させるという主要な課題に伴って、ガスタービンシャフトに別個の圧縮機段を組み込むことである。したがって、個々の段を冷却の要求に対して最適化して設計することができ、燃焼空気の主質量流量の圧縮時に冷却を考慮する必要がなくなる。必要となる圧力レベルは、使用可能なあらゆる種類の圧縮機(軸流、遠心または斜流)によって発生させることができる。また、ロータに設けられた単純な通路によるポンピング効果の利用も可能である。
【0029】
図2には、図1と比較することができる概略図で本発明の(一般化された)実施の形態が示してある。図2のガスタービン20は、図1のガスタービン10と同じコアエレメント11〜17を有している。これに対して、タービンの冷却形態が異なって形成されている。圧縮された冷却空気を発生させるために、タービン15の下流側でロータ16に別個の圧縮機段22が配置されている。この圧縮機段22は冷却空気を冷却空気源21から獲得し、圧縮された冷却空気を冷却空気管路23を介してタービン15に放出する。
【0030】
このような別個の圧縮機段22の具体的な実施の形態が図3に示してある。図3に示した形態は、ガスタービン30の軸流タービンの最終段に対する冷却空気供給に関する。ロータもしくはシャフト24のタービン側の端部に、シュラウド26も含めて遠心圧縮機25が組み込まれている。この遠心圧縮機25はロータ支承プレナム27から低い圧力レベルの冷却空気質量流量28を吸い込む。この冷却空気質量流量28は、遠心圧縮機25の作用によって、必要となる高い圧力レベルに圧縮される。
【0031】
主質量流量31が、所定の曲率半径を有する流出湾曲部29を備えた変向箇所で圧縮機から流出し、そこで、タービン動翼32に供給されて、このタービン動翼32を冷却する。図示の形態では、ガスタービン30の固定の部材37とロータ24との間の隣り合ったシールギャップ35を掃気するために、圧縮された冷却空気の部分質量流量33が、シュラウド26の流出箇所34で分岐され、その後、ガスタービン30の排ガス通路36内に流入する。
【0032】
しかし、付加的には、機械の内部に組み込まれた別個の圧縮機により吸い込まれた質量流量が、静的なかつ/または回転する各構成部材(軸受け範囲、ハウジングおよびこれらの支持構造体)を冷却するために使用されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 ガスタービン
11 空気入口
12 圧縮機
13 燃焼器
14 燃料
15 タービン
16 ロータ
17 排ガス出口
18 冷却空気管路
19 冷却器
20 ガスタービン
21 冷却空気源
22 圧縮機段
23 冷却空気管路
24 ロータ/シャフト
25 遠心圧縮機
26 シュラウド
27 ロータ支承プレナム
28 冷却空気質量流量
29 所定の曲率半径を有する流出湾曲部
30 ガスタービン
31 主質量流量
32 タービン動翼
33 部分質量流量
34 流出箇所(部分質量流量)
35 シールギャップ
36 排ガス通路
37 固定の部材(ステータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(20,30)であって、該ガスタービン(20,30)が、圧縮機(12)と、燃焼器(13)と、タービン翼(32)を具備したタービン(15)とを有しており、圧縮機(12)が、空気を空気入口(11)を介して吸い込んで圧縮するようになっており、燃焼器(13)内では、圧縮された空気の使用下で燃料(14)が燃焼され、熱ガスを発生させるようになっており、タービン(15)内では、熱ガスが、作業出力下で膨張させられるようになっており、タービン翼(32)を圧縮された冷却空気で冷却するための第1の手段が設けられているガスタービンにおいて、第1の手段が、圧縮機(12)に関係なく、圧縮された冷却空気を発生させる少なくとも1つの別個の圧縮機段(22,25)を有していることを特徴とする、ガスタービン。
【請求項2】
少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、流れ方向で見て、タービン(15)の下流側に配置されている、請求項1記載のガスタービン。
【請求項3】
タービン(15)が、ロータもしくはシャフト(16,24)を有しており、該ロータもしくは該シャフト(16,24)に少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が組み込まれている、請求項1または2記載のガスタービン。
【請求項4】
少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、遠心圧縮機(25)として形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のガスタービン。
【請求項5】
少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、流れ方向で見て、最終のタービン動翼(32)のすぐ下流側に配置されており、少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、ロータ支承プレナム(27)から冷却空気質量流量(28)を吸い込むようになっており、少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、圧縮された冷却空気の主質量流量(31)を最終のタービン動翼(32)に放出して、該タービン動翼(32)を冷却するようになっている、請求項3または4記載のガスタービン。
【請求項6】
少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、圧縮された冷却空気の部分質量流量(33)を放出して、ロータもしくはシャフト(16,24)と、ガスタービン(20,30)の隣接した固定の部材(37)との間のシールギャップ(35)を掃気するようになっている、請求項5記載のガスタービン。
【請求項7】
少なくとも1つの圧縮機段(22,25)が、外側のシュラウド(26)を有しており、該シュラウド(26)に設けられた流出箇所を通して部分質量流量(33)が放出されるようになっている、請求項6記載のガスタービン。
【請求項8】
主質量流量(31)が、少なくとも1つの圧縮機段(22,25)の出口で半径方向から軸方向に変向させられるようになっており、該出口にロータもしくはシャフト(16,24)が、所定の曲率半径を有する流出湾曲部(29)を備えている、請求項5から7までのいずれか1項記載のガスタービン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−60948(P2013−60948A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−199505(P2012−199505)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland