説明

ガスハイドレートペレット製造装置

【課題】品質の均一なペレットを製造することができるブリケッティングロール方式のガスハイドレートペレット製造装置を提供する。
【解決手段】ホッパ7の上端に設置された複数のカメラ10により撮影した貯留ガスハイドレート表面12の画像データを、画像処理装置11において三次元処理して局所的な高さ分布を求め、その水平方向の平均値と表面の凹凸の大きさに基づいてホッパ7へのガスハイドレートの補給14、スクリューフィーダー6の回転方向及びロール1の回転速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスハイドレートを圧縮成形してペレット状の成形物を製造するガスハイドレートペレット製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガス等(以下、「原料ガス」という。)の原料ガスを水と接触反応させて固体状態の水和物としたガスハイドレートにおいては、輸送及び貯蔵時のハンドリング性を向上させるために、圧縮成形してペレット状の成形物(以下、「ペレット」という。)に加工することが行われている。(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
このペレットの製造には、図3に示すような、いわゆるブリケッティングロール方式のガスハイドレートペレット製造装置が用いられている。
【0004】
この製造装置は外周面に成形型である複数のポケット20を有する金属製の一対のロール21を回転させ、それらのロール21間にホッパ22とスクリューフィーダー23により連続的にガスハイドレート24を供給し、ポケット20内にくい込ませつつ圧縮成形してペレット25を製造するものである。
【0005】
このようなガスハイドレートペレット製造装置において品質の均一なペレット25を連続的に製造するためには、ロール21間へのガスハイドレート24の供給量と供給速度を管理する必要がある。
【0006】
しかし、これらを把握することは困難であるため、ペレット25の品質にバラツキが生じるという課題があった。
【特許文献1】WO2003/006589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、品質の均一なペレットを製造することができるブリケッティングロール方式のガスハイドレートペレット製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の本発明は、外周面に複数の成形型をもつ回転する一対のロールと、前記一対のロール間へのガスハイドレートの供給手段と、前記供給手段へのガスハイドレートの補給手段とを備え、前記供給手段は、ホッパと、前記ホッパ内に上方から略垂直に挿入されたスクリューフィーダーとからなり、前記補給手段は、スクリューコンベアからなり、前記供給されたガスハイドレートを前記成形型内で圧縮成形してペレットを製造するガスハイドレートペレット製造装置において、前記ホッパ内のガスハイドレードの貯留高さ及び貯留分布の計測手段と、前記計測手段の計測結果に基づいて前記補給手段によるガスハイドレートの補給量と前記スクリューフィーダーの回転方向と前記ロールの回転速度とを制御する制御手段とを備えることを特徴とするガスハイドレートペレット製造装置である。
【0009】
ここで、貯留高さとはホッパの底部からガスハイドレートの表面までの距離を、貯留分布とはホッパ内のガスハイドレートの偏在を、それぞれ意味するものである。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、前記計測手段は、前記ホッパ内に貯留するガスハイドレート表面の画像データを取得する複数のカメラと、前記複数の画像データから三次元画像を作成する画像処理装置とからなることを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレートペレット製造装置である。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、前記制御手段は、前記貯留高さが第1の所定値よりも高くなった場合には、前記ロールの回転速度を増加させてから前記補給手段による補給量を減少させ、前記貯留高さが第2の所定値よりも低くなった場合には、前記補給手段による補給量を減少させてから前記ロールの回転速度を減少させ、前記ガスハイドレート表面の凹凸の差の最大値が第3の所定値よりも大きくなった場合には、前記スクリューフィーダーの回転方向を逆転させることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスハイドレートペレット製造装置である。
【0012】
なお、請求項3に記載のガスハイドレートペレット製造装置においては、前記第1の所定値は前記ホッパの高さの70〜80%の値とし、前記第2の所定値は前記スクリューフィーダーの3ピッチ以下の値とし、前記第3の所定値は20cm以下の値とすることが望ましい。
ここでホッパの高さとは、ホッパの下端から上端までの垂直距離をいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホッパとスクリューフィーダーからなる供給手段を備えたブリケッティングロール方式のガスハイドレートペレット製造装置において、ホッパ内のガスハイドレート表面の画像からその貯留高さと貯留分布を求めることができる計測手段を設けて、その計測手段の結果に基づいて供給手段へのガスハイドレートの補給量、スクリューフィーダーの回転方向及びロールの回転速度を制御するようにしたことにより、ロール間へのガスハイドレートの供給量及び供給速度を管理することができ、品質の均一なペレットを連続して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係るガスハイドレートペレット製造装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
本発明に係るガスハイドレートペレット製造装置を図1に示す。図1は、ガスハイドレートペレット製造装置の構造を示す断面図である。
【0016】
このガスハイドレートペレット製造装置は、一対のロール1とガスハイドレートの供給手段及び補給手段を備えたガスハイドレートペレット製造装置において、供給手段内のガスハイドレートの貯留高さを及び貯留分布を計測する計測手段と、その計測結果に基づいて供給手段及び補給手段を制御する制御手段とを設置したものである。
【0017】
一対のロール1は、外周面にペレット2の成形型である複数のポケット3を有し、電動機15により互いに逆方向に回転するように駆動される。
【0018】
供給手段は、ロール1間にガスハイドレート4を連続的に供給するものであり、電動機5により回転するスクリューフィーダー6とホッパ7から構成される。
【0019】
補給手段は、ホッパ7内にガスハイドレート14を補給するものであり、供給手段の上方に設置されたガスハイドレートの電動機8による駆動するスクリューコンベア9から構成され、ホッパ7内にガスハイドレート14を連続的に補給する。
【0020】
計測手段は、ホッパ7の上部に設置された複数のカメラ10と、それらに接続する画像処理装置11から構成される。
【0021】
複数のカメラ10の設置場所は、ホッパ7内に貯留しているガスハイドレート4の表面12を、互いに異なる視野から撮影できる場所であればよいが、取り付けやメンテナンスを容易にする観点からホッパ7の上端付近とすることが望ましい。
【0022】
また、これらのカメラ10は、後述する三次元化処理を行う上から、デジタルの画像データを取得できる性能を有する必要がある。
【0023】
画像処理装置11は、複数のカメラ10が撮影した画像データを処理して三次元画像を作成するものであり、例えば特許文献第2961264号公報に開示された三次元視覚システムを搭載したパーソナルコンピュータを備えたシステムなどにより構成することができる。
【0024】
また、この画像処理装置11には、処理結果である三次元画像を表示するためのモニター12を必要に応じて接続することができる。
【0025】
制御装置13は、画像処理装置11に接続し、その処理結果に基づいて供給手段、補給手段及びロールの動作、具体的にはそれぞれを駆動する3台の電動機5、8、15を制御するものである。
【0026】
このような構造を有するガスハイドレートペレット製造装置の動作を、図1及び図2に基づいて以下に説明する。図2は制御装置の動作を説明するフロー図である。
【0027】
なお、ペレット製造に係る動作については、従来と同様であるため説明を省略する。
ホッパ7内のガスハイドレート4の表面12は、所定の時間ごとに複数のカメラ10により撮影されて画像データが取得される。これらの画像データは画像処理装置11において三次元化処理されることにより、ガスハイドレート表面12の局所的な凹凸(貯留高さ分布)が、例えば等高線の分布のようにして求められる。
【0028】
制御装置13は、この局所的な高さ分布データを入力して(S100)、ガスハイドレート表面12の貯留高さの水平方向の平均値Hを計算し(S200)、それが第1の所定値であるHmaxよりも大きい場合には、ホッパ7内のガスハイドレート4の量が多過ぎるものとして、電動機15を制御してロール1の回転速度を増加させて(S400)、その後に電動機8を制御してスクリューコンベア9の回転速度を増加させる(S500)ことにより、ホッパ7内のガスハイドレート4を消費させる。
【0029】
また第2の所定値であるHminよりも小さい場合には、ホッパ7内のガスハイドレート4の量が少な過ぎるものとして、スクリューコンベア9の回転速度を減少させて(S700)、その後にロール1の回転速度を減少させる(S800)ことにより、ホッパ7内にガスハイドレート4を貯留させる。
【0030】
なお、上記の所定値Hmax及びHminは、スクリューフィーダー6によるロール1間へのガスハイドレート4の供給量を許容範囲内とする上から、それぞれホッパ7の高さの70〜80%の値及びスクリューフィーダー6の3ピッチ以下の値とすることが望ましい。
【0031】
ガスハイドレート4の貯留高さが所定の範囲内にある場合には、次に局所的な貯留高さの最大値Xと最小値Yを求めて(S900)、その差を計算する(S1000)。
【0032】
上記の差が第3の所定値であるDよりも大きい場合には、ホッパ7内のガスハイドレート4の偏在が大きいものとして、電動機5を制御してスクリューフィーダー6の回転方向を逆転させる(S1100)ことにより偏在をならす。
【0033】
また、上記の差がDよりも大きくない場合には、ガスハイドレート4の偏在は小さいものとして、スクリューフィーダー6の回転方向をそのままにする。
【0034】
なお、上記の所定値Dは、ロール1間へのガスハイドレート4の供給速度を許容範囲内にする上から20cm以下の値とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るガスハイドレートペレット製造装置を示す断面図である。
【図2】制御手段の動作を説明するフロー図である。
【図3】従来のガスハイドレートペレット製造装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ロール 2 ペレット 3 ポケット
4 貯留ガスハイドレート 5 電動機 6 スクリューフィーダー
7 ホッパ 8 電動機 9 スクリューコンベア
10 カメラ 11 画像処理装置 12 モニター
13 制御装置 14 補給ガスハイドレート 15 電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数の成形型をもつ回転する一対のロールと、前記一対のロール間へのガスハイドレートの供給手段と、前記供給手段へのガスハイドレートの補給手段とを備え、
前記供給手段は、ホッパと、前記ホッパ内に上方から略垂直に挿入されたスクリューフィーダーとからなり、
前記補給手段は、スクリューコンベアからなり、
前記供給されたガスハイドレートを前記成形型内で圧縮成形してペレットを製造するガスハイドレートペレット製造装置において、
前記ホッパ内のガスハイドレードの貯留高さ及び貯留分布の計測手段と、
前記計測手段の計測結果に基づいて前記補給手段によるガスハイドレートの補給量と前記スクリューフィーダーの回転方向と前記ロールの回転速度とを制御する制御手段とを備えることを特徴とするガスハイドレートペレット製造装置。
【請求項2】
前記計測手段は、前記ホッパ内に貯留するガスハイドレート表面の画像データを取得する複数のカメラと、前記複数の画像データから三次元画像を作成する画像処理装置とからなることを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレートペレット製造装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記貯留高さが第1の所定値よりも高くなった場合には、前記ロールの回転速度を増加させてから前記補給手段による補給量を減少させ、
前記貯留高さが第2の所定値よりも低くなった場合には、前記補給手段による補給量を減少させてから前記ロールの回転速度を減少させ、
前記ガスハイドレート表面の凹凸の差の最大値が第3の所定値よりも大きくなった場合には、前記スクリューフィーダーの回転方向を逆転させることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスハイドレートペレット製造装置。
【請求項4】
前記第1の所定値は前記ホッパの高さの70〜80%の値とし、前記第2の所定値は前記スクリューフィーダーの3ピッチ以下の値とし、前記第3の所定値は20cm以下の値とする請求項3に記載のガスハイドレートペレット製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−269919(P2007−269919A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95505(P2006−95505)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】