説明

ガスフィルタアセンブリおよびガスの濾過方法

【課題】ガスから粒子状物質および他の汚染物質を除去するために使用されるガスフィルタアセンブリおよびガスの濾過方法を提供すること。
【解決手段】本発明によるガスフィルタアセンブリ10は、ハウジング11と、ハウジングに配置されたガスフィルタ12とを含む。ガスフィルタは、ひだ付きフィルタパック20と、フィルタパックの上流側表面の互いに隣接するひだ脚部間に配置された、固化接合材料を含むスペーサ構成体30と、フィルタパックの下流側表面の互いに隣接するひだ脚部間に配置されたインサートスペーサ31とを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の要旨】
【0001】
[0001]本発明は、多く環境のいずれかにおいて多種多様なガスから粒子状物質および他の汚染物質を除去するために使用され得るガスフィルタアセンブリおよびガスの濾過方法に関する。粒子状物質としては、塵粒子、埃粒子、煤粒子、煙粒子および繊維粒子を含む様々なタイプの微小固体粒子等である。粒子状物質としては、また、ウォーターミストやオイルミストを含む様々なタイプの液体エアロゾル粒子等を含んでいてもよい。
【0002】
[0002]工業ガスや燃焼ガスを含む多くの様々なガスには粒子状汚染物質が含まれていることがあり、本発明を具現化したガスフィルタアセンブリおよびガスの濾過方法は、これらのガスのいずれかから粒子状物質を除去するのに非常に効果的である。特に、本発明の実施形態は、空気等の呼吸可能ガスから粒子状物質を除去するのに効果的である。粒子状物質を除去し、清浄で健康的な呼吸環境を提供するために、例えば、住宅、会社、病院、クリーンルームまたは車両、列車、船、航空機もしくは宇宙船の室内空間や機内空間を循環する呼吸可能ガスが、本発明を具現化したガスフィルタアセンブリを通るように導かれるとよい。特に、航空機の機内空間の空気を、本発明を具現化したガスフィルタアセンブリを通るように導き、航空機の機内空間に戻して、航空機の乗客に清浄で健康的な空気を供給するようにすることができる。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一態様によれば、ガスフィルタアセンブリは、ハウジングと、ガスフィルタとを備えるものとすることができる。ハウジングは、ガス入口およびガス出口を有し、ガス入口とガス出口との間にガス流路が形成される。ガス流路を横切ってハウジングに配置されたガスフィルタは、ひだ付きフィルタパックを備えるものとすることができる。ひだ付きフィルタパックは、長手方向に延びる山頂および谷底を有する複数のひだと、各山頂から隣接する谷底へ延びるひだ脚部対とを含む。ひだ付きフィルタパックは、上流側表面と、下流側表面と、フィルタパックの上流側表面から下流側表面に流れるガスから粒子を除去するように配設されたひだ付き繊維フィルタ媒体とをさらに含む。ガスフィルタはまた、フィルタパックの上流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に配置されたスペーサ構成体と、フィルタパックの下流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に配置されたインサートスペーサとを含む。スペーサ構成体は、フィルタパックの上流側表面に接合された固化接合材料を含むものとすることができる。
【0004】
[0004]本発明の別の態様によれば、ガスフィルタアセンブリは、ハウジングと、ひだ付き繊維フィルタ媒体とを備えるものとしてもよい。ハウジングは、ガス入口およびガス出口を有し、ガス入口とガス出口との間にガス流路が形成される。ガス流路を横切ってハウジングに配置されたひだ付き繊維フィルタ媒体は、上流側表面と、下流側表面と、複数のひだとを含む。ひだは、長手方向に延びる山頂および谷底と、各山頂から隣接する谷底へ延びるひだ脚部対とを含む。ひだ付き繊維フィルタ媒体は、フィルタ媒体の上流側表面から下流側表面へ流れるガスから粒子を除去するように配設される。ガスフィルタアセンブリは、互いに隣接するひだ脚部間に配置されフィルタ媒体の上流側表面に接合された複数のホットメルトスペーサビードと、フィルタ媒体の下流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に配置された波形インサートスペーサとをさらに含む。複数のホットメルトスペーサビードは、フィルタ媒体の上流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に延びるガス流チャネルを形成するように互いに間隔を空けて設けられる。
【0005】
[0005]本発明を具現化したガスフィルタアセンブリには多くの利点がある。例えば、本発明の実施形態は、ガスから粒子状物質を効率的に除去するだけでなく、交換されるまで大量の粒子状物質を捕捉し保持可能である。結果的に、本発明を具現化したガスフィルタアセンブリは、長い耐用寿命の間に粒子状物質を効率的に除去することができ、これにより信頼性の向上、休止時間の短縮が図られ、ガスフィルタアセンブリの交換回数の減少による無駄が減る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ガスフィルタアセンブリの上流側の一部分の図である。
【図2】図1のガスフィルタアセンブリの下流側の一部分の図である。
【図3】図1および図2のひだ付きガスフィルタの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0009]本発明を具現化したガスフィルタアセンブリは、多種多様な態様で構成され得る。図1〜図3に、ガスフィルタアセンブリの多くの様々な例の1つを示す。一般に、ガスフィルタアセンブリ10は、ハウジング11と、ガスフィルタ12とを含む。ハウジング11は、ガス入口13およびガス出口14を有し、ガス入口13とガス出口14との間のハウジング11の内部にガス流路を形成している。ガスフィルタ12は、粒子状物質を除去するための多孔性ひだ付きフィルタ媒体15を有し、ガス流路を横切ってハウジング11に配置される。粒子状物質を含有するガスは、ガス入口13を通ってハウジング11内に流れ、ガス流路に沿ってガスフィルタ12のひだ付きフィルタ媒体15を通って流れる。フィルタガスがガス出口14を介してハウジング11から流出している間、粒子状物質はフィルタ媒体15によって捕捉されそこで保持される。
【0008】
[0010]ハウジングは、金属を含む種々の材料から形成され、数多くの態様のうちのいずれかで構成され得る。例えば、ハウジングは、内部と流体的に連通するガス入口およびガス出口として機能する少なくとも2つの開口を有する、うつわ(vessel)やプレナムのような容器とすることができる。さらに、ハウジングは、種々の規則的または不規則的な形状および色々なサイズのいずれでもよく、ガス入口およびガス出口は、ハウジングの同じ側および異なる側にあってもよい。例えば、ハウジングは、略円筒状または箱状のものであってもよい。図示実施形態においては、ハウジング11は、U字型のチャネルフレーム部材を有するフレーム16を備え、例えば、直方体として構成されており、ガス入口13およびガス出口14として機能する開口面を両側に有している。ガスフィルタは、種々の態様でハウジング内部に配置され得る。例えば、ガスフィルタは、埋込み用樹脂によってハウジングに対して密封されてもよい。
【0009】
[0011]ガスフィルタは、多数の構成のいずれかを有するひだ付きフィルタパックを含むものとすることができる。例えば、ひだ付きフィルタパックは、中空の略円筒状の構成を有してもよい。図示実施形態において、ひだ付きフィルタパック20は箱状またはパネル構成を有する。ひだ付きフィルタ媒体15を含むひだ付きフィルタパック20は、上流側表面21および下流側表面22を有し、複数の長手方向に延びるひだ23を含む。ひだ23は、山頂24および谷底25と、各山頂24から隣接する谷底25へ延びる一対のひだ脚部26とを有する。ひだの高さはどのようなものであってもよい。多くの実施形態において、ひだの高さは、約1インチ以下から約6インチ以上までのものである。実施形態によってはのひだ高さは、約4インチ〜約5インチの範囲のものである。ひだ付きフィルタパック20は、多種多様な態様で構成され得る。例えば、ひだ付きフィルタパック20は、フィルタ媒体15の1つ以上の層および少なくとも1つのさらなる多孔性層を含むひだ付き多層構造を有するものとすることができる。このさらなる多孔性層は、数多くの機能のうちいずれかを発揮するものであるとよい。例えば、さらなる多孔性層は、支持層、米国特許第5,252,207号明細書に記載されるようなクッション層等のクッション層、および/または、米国特許第5,302,354号明細書に記載されるような化学汚染物質を除去するための吸着剤含有層等の浄化層等である。さらなる多孔性層は、ひだ付き多層複合体を形成するために、フィルタ媒体15の上流および/または下流でフィルタ媒体15とともにひだ付けされてもよい。しかしながら、多くの実施形態の場合、ひだ付きフィルタパック20は、フィルタ媒体15からなるひだ付き単層構造とすることができる。この場合、フィルタパック20の上流側表面21および下流側表面22は、フィルタ媒体15の上流側表面21および下流側表面22となる。多層構造より軽量である単層構造は、軽量化が利点となる例えば航空機等の機内空気濾過には特に有益である。
【0010】
[0012]フィルタ媒体は、例えば、天然ポリマー、合成ポリマーおよび/またはガラスの繊維(フィラメントを含む)から形成された多孔性繊維織物または不織物媒体を備えるものとすることができる。繊維は、任意の所望の公称直径および長さを有するものとしてよい。フィルタ媒体は、例えば、バインダ樹脂、殺生物剤および/または難燃材を含む1つ以上のさらなる成分を含んでもよい。繊維フィルタ媒体は、任意の所望の除去等級を有してもよい。例えば、多くの実施形態は、HEPA等級またはそれ以上の微細さを有する繊維フィルタ媒体を含むが、他の実施形態では、HEPA等級より粗い除去等級を有する繊維フィルタ媒体を含んでもよい。いくつかの繊維フィルタ媒体に関して、フィルタ媒体の一方側、すなわち、ロフト側の方が、フィルタ媒体の反対側よりも開いた粒子状物質捕捉空間を与え得る。多くの実施形態において、繊維フィルタ媒体のロフト側は、繊維フィルタ媒体の上流側表面としてフィルタパックに配設される。
【0011】
[0013]フィルタ媒体15に加えて、ガスフィルタ12は、フィルタパック20の上流側表面21に沿った互いに隣接するひだ脚部26の1対以上、例えば、すべての対の間のスペーサ構成体21と、フィルタパック20の下流側表面22に沿った互いに隣接するひだ脚部26の1対以上、例えば、すべての対の間のインサートスペーサ31とを備えるものとすることができる。スペーサ構成体21は、フィルタパック20の上流側表面21に接続された固化接合材料からなるものとすることができる。フィルタ媒体15がフィルタパック20の唯一の層または最上流層である場合、固化接合材料は、フィルタ媒体15の上流側表面21に接合される。多くの実施形態において、固化接合材料は、粘性液体として上流側表面21に塗布され得るホットメルト材料等であり、この材料は上流側表面21と接合し、隣接するひだ脚部26を互いに間隔を空けて設けるビード32を形成するように固化される。ビード32の厚さは、約0.025イン以下から約0.200インチ以上までのものとすることができる。多くの実施形態において、ビードの厚さは、約0.050インチである。ホットメルト材料は、熱可塑性および/または熱硬化性材料を含んでもよい。例えば、ホットメルト材料は、EVC(エチレン酢酸ビニル)樹脂、ポリオレフィン類、アモルファスポリオレフィン、ポリアミド類、ポリエステル類、熱可塑性ポリウレタン類、反応性ポリウレタンホットメルト(PUR)、スチレンブロックコポリマー(例えば、ゴム系)、ポリカプロラクトン類、ポリカーボネート類、シリコーンゴム類および熱可塑性エラストマーを含んでもよい。米国特許第5,084,178号明細書および同第5,252,207号明細書には、ホットメルト系スペーサのいくつかの例が開示されている。
【0012】
[0014]あるいは、固化接合材料は、例えば、フィルタ媒体の繊維より軟化点が低い固体熱可塑性材料を含んでもよい。実施形態によっては、固体熱可塑性材料のロッドが、互いに隣接するひだ脚部間のフィルタパックの上流側表面に適用され、軟化点まで加熱され、冷却される。軟化された熱可塑性材料は、冷却されるにつれ、上流側表面と接合し、再度固化して、互いに隣接するひだ脚部を互いに間隔を空けて設けるビードを形成する。
【0013】
[0015]スペーサ構成体30を構成する固化接合材料は、規則的または不規則な形状のどのようなもので上流側表面21に適用されてもよい。例えば、固化接合材料は、略平行な細長い連続ビードまたは不連続ビード32のアレイとして上流側表面に適用されてもよい。平行ビード32は、上流側表面21に沿った互いに隣接するひだ脚部26間で山頂24から谷底25の方へ延びるガス流チャネルを形成してもよい。多くの実施形態において、平行ビード32は、互いから均等な間隔を空けて設けられるとよく、互いに隣接するビード32間の距離は略一定である。この距離は、約0.125インチ以下から約1.25インチ以上までの範囲のものとすることができる。多くの実施形態において、この距離は、約0.75インチ〜約1.20インチの範囲のものであるのがよい。あるいは、平行ビードは、不均等な間隔を空けて設けられてもよい。多くの実施形態において、平行ビード32は、長手方向に延びる山頂24および谷底25に略垂直な角度で上流側表面21に沿って延びる。この場合、ひだ脚部26に接合された固化接合材料の各ビード32の部分は、図1に示すように、ひだ付きフィルタパック20に沿ってひだ23からひだ23へ整列され積層される。あるいは、平行ビードは、長手方向に延びる山頂24および谷底25に対して90°前後、例えば、±30°の角度で上流側表面21に沿って延びるようにしてもよい。実施形態によっては、平行ビード32の1つ以上、例えば、すべてが、ひだ付きフィルタパック20のひだ23からひだ23へ上流側表面21に沿って連続的に延びるようにしてもよい。互いに隣接するひだ脚部26に沿って延びる連続ビード32の部分は、部分同士、および互いに隣接するひだ脚部26の上流側表面21と接触し接合されて、ひだ分離を防止するために追加の接着強度を与えることができる。この場合、上流側表面21に沿った互いに隣接するひだ脚部26間の間隔は、ビードの厚さの2倍に相当するものであるのがよい。他の実施形態において、平行ビードの1つ以上、例えば、すべては、ひだ付きフィルタパック20のひだ23からひだ23へ上流側表面21に沿って不連続的に延びてもよい。不連続ビードにあるギャップまたは破断部分は、山頂24および/谷底25でフィルタパック20の折り目に設けられるとよい。さらに、上流側表面21に沿った互いに隣接するひだ脚部26の空間をより密にするために、不連続ビードの単一の部分のみが、山頂24付近で始まり、谷底25付近で終わるようにして、互いに隣接するひだ脚部26間に延びるようにしてもよい。単一のビード部分は、両方の隣接するひだ脚部26の上流側表面21に接合されてもよい。この場合、上流側表面21に沿った互いに隣接するひだ脚部26間の間隔は、単一のビード厚さに相当するものとするのがよい。一般に、上流側表面21の互いに隣接するひだ23間の間隔は、約0.030インチ以下から約0.375インチ以上までの範囲のものである。多くの実施形態において、間隔は、約0.080インチ〜約0.100インチの範囲のものである。
【0014】
[0016]フィルタパック20の下流側表面22にあるインサートスペーサ31は、互いに隣接するひだ脚部26間でのガスの流れを過度に制限することなく、互いに隣接するひだ脚部26間の間隔を維持するために多種多様な態様で構成され得る。例えば、インサートスペーサは、金属あるいはポリマーメッシュシートまたはガス流チャネルを有する薄い金属またはポリマープレートからなるものとすることができ、メッシュシートまたはチャネルプレートは、下流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間に配置される。フィルタパック20でひだが付けられていないインサートスペーサ31は、隣接するひだ脚部26の間からフィルタパック20を出るガスを方向付けるために、フィルタパック20の下流側表面22と接するが、接合されても接合されなくてもよい。各インサートスペーサ31は、山頂24から対応する谷底25まで、または対応する谷底25を越えて延びてもよい。一般に、下流側表面22にある互いに隣接するひだ23間のインサートスペーサ31によって与えられる間隔は、約0.030インチ以下から約0.375インチ以上までの範囲のものとすることができる。多くの実施形態において、間隔は、約0.060インチ〜約0.100インチの範囲のものである。加えて、下流側表面22にある互いに隣接するひだ23間の間隔は、上流側表面にある互いに隣接するひだ23間の間隔より狭くてもよい。
【0015】
[0017]多くの実施形態において、インサートスペーサ31は、薄い波形の金属またはポリマーシート、例えば、波形アルミニウム箔シート等の波形金属箔シートからなる。米国特許第3,914,116号明細書に、波形インサートスペーサのいくつかの例が開示されている。波形インサートスペーサは、数多くの態様のいずれかで構成されてもよい。例えば、波形スペーサは、穿孔されても穿孔されなくてもよい。波形33は、例えば、正弦波または方形波の形状等の波形状を含む様々な形状を有するものとすることができる。多くの実施形態において、波形は、略鋸波形または三角波形である。インサートスペーサ31の波形は、長手方向に延びる山頂24および谷底25に対して略垂直に延びてもよく、および/または、上流側スペーサ構成体30の任意の平行ビード32に対して略平行に延びてもよい。波形の波高値は、任意の所望の値を有するものとすることができる。多くの実施形態において、波形の波高値は、約0.05インチ以下から約0.50インチ以上までの範囲のものである。ひだの波高値が小さいほど、下流側表面22の互いに隣接するひだ脚部26間の間隔が小さくなり、ひだ23の数およびフィルタ媒体15の表面積が増大する。結果的に、多くの実施形態が、0.07インチ〜0.12インチの範囲のひだ波高値を有する。隣接する波形の距離も任意の所望の値を有してもよい。多くの実施形態において、隣接する波形間の距離は、約0.06インチ以下から約0.25インチ以上までの範囲、例えば、約0.125インチとすることができる。フィルタパック20の差圧に関連する力に対してひだ脚部26を良好に支持するために、下流側22の波形スペーサ31の互いに隣接する波形間の距離は、上流側21のスペーサ構成体30の互いに隣接するビード32間の距離未満であってもよい。例えば、互いに隣接する波形間の距離は、互いに隣接するビード32間の距離の約2分の1以下、または約5分の1以下、または約10分の1以下とすることができる。
【0016】
[0018]本発明を具現化したガスフィルタアセンブリにより多くの利点が得られる。例えば、フィルタパックの上流側表面にある固化接合材料を含むスペーサ構成体は、フィルタパックの上流側表面にあるひだの深くに大きなガス流チャネルを形成することができる。これらの大きなガス流チャネルにより、サブミクロンの塵粒子から長い織物繊維までの広範囲の粒子汚染物質が、ひだの山頂から谷底へフィルタパックの上流側表面全体に接触し、より均等に負荷がかけられる。このようなフィルタパックの均等な負荷により、フィルタパックの汚れ保持力が上がり、フィルタパックの差圧の増大が低速化する。結果的に、交換時期の間隔は大幅に延びる。さらに、フィルタパックの下流側表面のインサートスペーサは、フィルタパックに高い剛性を与える。上流側表面にあるスペーサ構成体の固化接合材料によって与えられるより大きなガス流チャネルは、インサートスペーサによって下流側にしっかりと支持されることで、フィルタパックの増大する差圧に関連する力からのフィルタパックの歪みおよび/または破裂が防止される。結果的に、本発明を具現化したガスフィルタアセンブリにより、フィルタパックの構造的完全性を高めることによって信頼性が高められ、フィルタパックの耐用寿命を延長することによって休止時間および無駄が減る。
【実施例】
【0017】
[0019]この例は、本発明を具現化したガスフィルタアセンブリの優位性を示すものである。
【0018】
[0020]同じ上流側表面積(110平方フィート)に同じ繊維フィルタ媒体を各々が有する3つのガスフィルタアセンブリ(GFA I〜III)を作製した。GFA Iは、繊維フィルタ媒体を有するひだ付きフィルタパックと、フィルタパックの上流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間に固化接合材料を含むスペーサ構成体と、フィルタパックの下流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間のインサートスペーサとを含むガスフィルタを収容するハウジングを有する。GFA IIは、繊維フィルタ媒体を有するひだ付きフィルタパックと、フィルタパックの上流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間に固化接合材料を含むスペーサ構成体と、フィルタパックの下流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間に固化接合材料を含むスペーサ構成体とを含むガスフィルタを収容するハウジングを有する。GFA IIIは、繊維フィルタ媒体を有するひだ付きフィルタパックと、フィルタパックの上流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間のインサートスペーサと、フィルタパックの下流側表面にある互いに隣接するひだ脚部間のインサートスペーサとを含むガスフィルタを収容するハウジングを有する。GFA I〜IIIのフィルタパックのハウジングおよびひだは同様に構成される。GFA IおよびIIのスペーサ構成体は同様に構成され、固化接合材料の平行ビードを含む。GFA IおよびIIIのインサートスペーサは同様に構成され、波形インサートスペーサを含む。
【0019】
[0021]各ガスフィルタアセンブリは、同じフィルタ試験装置で試験された。同じ濃度のISO Fine Test Dust(ISO規格ISO1210−A3)を含有する同じガスは、同じ流量で各ガスフィルタアセンブリを通して方向付けられる。各ガスフィルタアセンブリを通る流れは、同じ終端差圧で終端することとした。各ガスフィルタアセンブリの汚れ保持力は、清浄なガスフィルタアセンブリの重量と、終端差圧に達するとフィルタ試験装置から除去されるガスフィルタアセンブリの重量とを比較することによって決定される。
【0020】
[0022]本発明を具現化したGFA Iは、2413グラムのISOテストダストを捕捉し保持した。GFA IIが捕捉し保持したのは、2000グラムのISOテストダストのみであり、GFA IIIが捕捉し保持したのは1999グラムのISOテストダストのみであった。結果的に、GFA Iは、GFA IIまたはGFA IIIより21%高い汚れ保持力を有した。GFA Iの高い汚れ保持力は、GFA IIまたはGFA IIIのいずれかよりGFA Iの耐用寿命が長くなることに相関関係がある。
【符号の説明】
【0021】
10…ガスフィルタアセンブリ、11…ハウジング、12…ガスフィルタ、13…ガス入口、14…ガス出口、15…ひだ付きフィルタ媒体、16…フレーム、20…ひだ付きフィルタパック、21…上流側表面、22…下流側表面、23…ひだ、24…山頂、25…谷底、26…ひだ脚部、30…スペーサ構成体、31…インサートスペーサ、32…ビード、33…波形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス入口およびガス出口を有し、前記ガス入口と前記ガス出口との間にガス流路を形成するハウジングと、
前記ガス流路を横切って前記ハウジングに配置されたガスフィルタと
を備えるガスフィルタアセンブリであって、
前記ガスフィルタが、
長手方向に延びる山頂および谷底を有する複数のひだと、各山頂から隣接する谷底へ延びるひだ脚部対とを含むひだ付きフィルタパックであり、上流側表面と、下流側表面と、当該フィルタパックの前記上流側表面から前記下流側表面へ流れるガスから粒子を除去するように配設されたひだ付き繊維フィルタ媒体とを有する、ひだ付きフィルタパックと、
前記フィルタパックの前記上流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に配置され、前記ひだ付きフィルタパックの前記上流側表面に接合された固化接合材料を含むスペーサ構成体と、
前記フィルタパックの前記下流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に配置されたインサートスペーサと
を含む、ガスフィルタアセンブリ。
【請求項2】
互いに隣接するひだ脚部間の間隔が、前記下流側表面に沿って前記インサートスペーサによって空けられたものより、前記上流側表面に沿って前記スペーサ構成体によって空けられたもののほうが大きい、請求項1に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記スペーサ構成体が、前記フィルタパックの前記上流側表面に沿って延び固化接合材料からなる互いに間隔を空けて設けられた平行ビードを備え、前記平行ビードが、互いに隣接するひだ脚部間にガス流チャネルを形成する、請求項1または2に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記固化接合材料からなる前記ビードが、前記フィルタパックの前記上流側表面に沿ってひだからひだへ連続して延びる、請求項3に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記固化接合材料がホットメルト材料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記インサートスペーサが波形金属スペーサを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記波形金属スペーサが、前記ひだ付きフィルタパックの前記山頂および前記谷底に略垂直に延びる波形である、請求項6に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記インサートスペーサが、固化接合材料からなる互いに隣接する前記平行ビード間の距離より短い距離だけ互いに間隔を空けて設けられた波形となっている波形金属スペーサを備える、請求項6または7に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記ひだ付き繊維フィルタ媒体が、前記上流側表面および前記下流側表面を有し、前記固化接合材料が、互いに隣接するひだ脚部間に配置され、前記繊維フィルタ媒体の前記上流側表面に接合された複数のホットメルトスペーサビードを含み、前記複数のホットメルトスペーサビードが、前記フィルタ媒体の前記上流側表面に沿った互いに隣接するひだ脚部間に延びるガス流チャネルを形成するように互いに間隔を空けて設けられ、前記インサートスペーサには波形が付けられる、請求項1に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項10】
互いに隣接する前記ひだ脚部間の間隔が、前記下流側表面に沿って前記波形インサートスペーサによって空けられたものより、前記上流側表面に沿って前記ホットメルトスペーサビードによって空けられたもののほうが大きい、請求項9または10に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記波形インサートスペーサの前記波形が、互いに隣接するホットメルトスペーサビード間の距離より短い距離だけ互いに間隔を空けて設けられる、請求項9または10に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項12】
互いに隣接する前記ホットメルトビード間の前記距離が、前記波形インサートスペーサの互いに隣接する波形間の距離の少なくとも2倍である、請求項11に記載のガスフィルタアセンブリ。
【請求項13】
前記ハウジングが略直方体の形状を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のガスフィルタアセンブリを通るように航空機の機内空間からの空気を向けるステップと、濾過された前記空気を前記機内空間に戻すステップとを含む、航空機の機内空間から粒子を除去するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−148275(P2012−148275A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−6422(P2012−6422)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】