説明

ガスミスト圧浴システム

【課題】ガスミスト生成器の一部のみを使い捨てにして衛生を保つと共に低コスト化を実現できるガスミスト圧浴システムを提供する。
【解決手段】ガス供給手段10と、このガス供給手段10との接続部と液体を貯留する液体貯留部とノズルとノズル先端に液体を送液する吸液管とノズルからのガス流によって吹き上げられた液体を衝突させる衝突部材とガスが供給されノズル上部までガスを導く円筒状のガス導入部とガス導入部の周囲でガスミストを収集し排出するドーナツ形のガスミスト排出部とを有するガスミスト生成手段30と、生体の皮膚及び粘膜を覆いガスミスト生成手段30からのガスミストを内部に封入する空間を形成する生体カバー部材50と、を備え、ガスミスト生成手段30を、少なくとも液体貯留部を他に対して取り外し可能に構成して、液体貯留部を使い捨てにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガスと薬剤等の液体を粉砕溶解させたミストを、所定の圧力値以上で生体の皮膚又は粘膜に直接接触させることにより、皮膚又は粘膜からのガスの吸収効率を向上させるガスミスト圧浴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭酸ガス(二酸化炭素:CO)は、水に溶けやすい(水溶性)だけでなく油にも溶けやすい(脂溶性)という性質を双方併せ持つおかげで、水と油の混じったような生体の皮膚及び粘膜に触れるだけでその皮下に浸透し、浸透部位の血管を拡張させて血液循環を改善する作用があることが知られている。そしてこの血行促進作用により、血圧降下、代謝の改善、疼痛物質や老廃物の排除促進等、様々な生理的効果を発揮する。また、抗炎症、抗菌作用も有している。このため、近年、炭酸ガスは医療目的のほか、健康増進、美容促進といった点からも広く注目を集めている。
【0003】
生体の組織中で炭酸ガスは、赤血球内のヘモグロビンに結合して運ばれた酸素を放出させる働きがある。炭酸ガス濃度の高いところでは、赤血球はより多くの酸素を放出する。このように、赤血球による細胞への酸素の供給は、主に炭酸ガスがコントロールしている。つまり、炭酸ガスなしでは、ヘモグロビンは酸素が結合したままの状態となり、細胞は酸素を受け取ることができなくなってしまう。このように、炭酸ガスは、細胞の活動の結果出てくる老廃物のように思われがちだが、実は体の中で非常に重要な役割を果たしている。
【0004】
また、昨今、高濃度酸素が新陳代謝の活性、血行促進、疲労回復、血圧の安定等に効果があることが広く知られるようになった。このほかに酸素は、酸化作用による殺菌、滅菌効果をも有している。
【0005】
そこで本発明者は、酸素又は炭酸ガスに薬剤を効率よく溶解させ、これらのガスに加えて薬剤の生理作用を生体に効果的に及ぼすことができるガスミスト圧浴装置及びシステムを開発している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなガスミスト圧浴装置の衛生を保つためには、ガスミストを生成する部位を使い捨てにすることが望ましい。しかしながら、使い捨てにする部位が大きければコストが上昇し、無駄が増えることとなる。
【0007】
そこで本発明は、上記状況に鑑み、ガスミスト生成器の一部のみを使い捨てにして衛生を保つと共に低コスト化を実現できるガスミスト圧浴システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、所定値以上の濃度の炭酸ガス、又は酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス(以下、「ガス」という)と液体を粉砕溶解させたミスト(以下、「ガスミスト」という)を生体の皮膚又は粘膜に接触させるためのシステムであって、ガス供給手段と、そのガス供給手段との接続部と、液体を貯留する液体貯留部と、前記ガスが供給されるノズルと、そのノズル先端に前記液体を送液する吸液管と、前記ノズルからのガス流によって吹き上げられた液体を衝突させる衝突部材と、前記ガスが供給され前記ノズルの上部までガスを導く円筒状のガス導入部と、前記ガスミストを収集し排出するドーナツ形のガスミスト排出部と、を有するガスミスト生成手段と、前記生体の皮膚及び粘膜を覆い、前記ガスミスト生成手段から供給されるガスミストを内部に封入する空間を形成する生体カバー部材と、を備え、前記ガスミスト生成手段において、少なくとも前記液体貯留部を取り外し可能にして他の液体貯蔵部と取替え可能に構成したことを特徴とするガスミスト圧浴システムを提供するものである。
【0009】
なお、本願においては、液体を粉砕し微細な液滴にして気体(炭酸ガス、又は酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス)と接触混合させることを、粉砕溶解という。
【0010】
ここで、本発明のガスミスト圧浴システムは、前記生体カバー部材内の気圧、温度、酸素濃度、炭酸ガス濃度及び湿度等の測定値を検知するセンサ類と、そのセンサ類の測定値に基づき前記生体カバー部材内を予め設定された設定値の範囲内に制御する制御手段と、をさらに備えるのが好適である。
【0011】
また、前記生体カバー部材内を加圧する加圧手段をさらに備えるようにしても良い。なお、この加圧手段は、前記生体カバー部材と連設され、その生体カバー部材内にガスミストを排出可能な中空のガス溜からなるのが好適である。
【0012】
なお、前記制御手段により、前記ガスミストを間歇的に前記生体カバー部材内に供給することによって、その生体カバー部材をインターバル加圧するようにしても良い。あるいは、前記加圧手段が、前記生体カバー部材内に間歇的にガスミストを排出することによって、その生体カバー部材をインターバル加圧するようにしても良い。
【0013】
なお、前記ガスミスト生成手段は、外気を取り込むための通気孔を備えるのが好適である。
【0014】
また、前記液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであるのが好ましい。さらに、前記液体は、メンソール、ビタミンE、ビタミンC誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有しても良い。
【0015】
なお、前記ガスミスト生成手段から前記生体カバー部材内に供給される前記ミストの粒径は、10μm以下であるのが好ましい。
【0016】
また、前記制御手段は、ガスミスト圧浴時における前記生体カバー部材内の圧力を1.02乃至2.5気圧に保持するのが好適である。
【0017】
そして、前記ガスミスト生成手段が供給するミストに電荷を付与する電荷付与手段をさらに備えるようにしても良い。このとき、前記電荷は、マイナス電荷であるのが好ましい。
【0018】
また、前記ガスミスト生成手段が、前記生体圧浴カバー内へガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、このガスミスト供給管が、管内に付着する液滴を除去するためのフィルターを備えるようにするのが良い。さらにこのガスミスト供給管の全部又は一部は、ジャバラ状の管から構成されるのが好適である。また、このガスミスト供給管には、逆止弁を設けるのが良い。
【0019】
さらに、前記生体カバー部材のガスミスト供給口にも、逆止弁を設けるのが好ましい。なお、前記制御手段は、前記生体カバー部材内の圧力値が所定値以上になった際は前記ガス供給手段からのガスの供給を停止するのが好適である。
【0020】
また、前記ガスミスト生成手段の取り外し可能部分は、予め滅菌処理されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のガスミスト圧浴システムによれば、ガスミスト生成手段において、薬剤等を貯留する液体貯留部を取り外し可能にして他の液体貯蔵部と取替え可能に構成することにより、衛生に配慮すると共にコストを低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。
【図2】図1のガスミスト圧浴システムにおけるガスミスト生成器の構造を示す断面模式図である。
【図3】図1のガスミスト圧浴システムにおける生成器本体の一部破断斜視図である。
【図4】図1のガスミスト圧浴システムにおいて生成器本体を密封する態様を示す模式図である。
【図5】図1のガスミスト圧浴システムにおける蓋部を下から覗いた状態の斜視図である。
【図6】図1のガスミスト圧浴システムにおける生成器本体の部分拡大断面図である。
【図7】本発明のガスミスト生成器と生体圧浴カバーとを接続するガスミスト供給管の例を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るガスミスト圧浴システムにおける生体圧浴カバーの形状例(その1)を示す模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るガスミスト圧浴システムにおける生体圧浴カバーの形状例(その2)を示す模式図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るガスミスト圧浴システムにおける生体圧浴カバーの形状例(その3)を示す模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るガスミスト圧浴システムにおける生体圧浴カバーの形状例(その1)を示す模式図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るガスミスト圧浴システムにおける生体圧浴カバーの形状例(その2)を示す模式図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。図1に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴システムは、酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス(以下、単にガスという)を供給するガス供給手段10と、ガスミスト生成手段としてのガスミスト生成器30と、供給されたガスミストを内部に封入する生体カバー手段としての生体圧浴カバー50と、制御手段としての制御装置60と、から構成される。
【0025】
ガス供給手段10は、後述するガスミスト生成器30のノズル33及びガス導入部37にガスを供給する。ガス供給手段10には、図示しないがガスの圧力調整のためのレギュレータが設けられている。また、ガスを加温するためのヒータと温度制御のための温度計を配置しても良い。
【0026】
なお、ここでは一つのガス供給手段10でガスミスト生成器30のノズル33及びガス導入部37の双方にガスを供給する例を図示したが、複数のガス供給手段10を備えて、ノズル33とガス導入部37にそれぞれ異なるガス供給手段10からのガスを供給するようにしても良い。このとき供給するガスは、それぞれ異なっても同じものでも良い。
【0027】
ガスミスト生成器30は、予め内部に液体を貯留して、ガス供給手段10から供給されるガスの高速流により、液体とガスを粉砕溶解したガスミストを生成し、これを生体圧浴カバー50に供給する。図2は、ガスミスト生成器30の構造を示す断面模式図である。図2に示すように、ガスミスト生成器30は、生成器本体31と、ガス供給手段接続部35と、蓋部36とから構成されている。
【0028】
図3は、生成器本体31の一部破断斜視図である。図3に示すように、生成器本体31は、液体を貯留する液体貯留部32と、ガス供給手段10から供給されるガスを先端開口33Aから吐出するノズル33と、液体貯留部32に貯留された液体をノズル33の先端まで吸い上げる吸液管34Aを構成する吸液管形成部材34と、を備えている。
【0029】
液体貯留部32は、図2及び図3に示すように、生成器本体31の底部内側と側壁の一部の内側から形成されている。この液体貯留部32には予め製造段階において所定の液体が貯留される。そして、液体が貯留された状態で図4に示すように生成器本体31は密封される。図4は、生成器本体31を密封する態様を示す模式図である。図4(a)は、生成器本体31の上部と下部をゴム等の弾性部材からなる栓31A、31Bで封じた例を示している。また、図4(b)では、生成器本体31の上部をアルミやプラスチック等からなるフィルム31Cで熱や接着剤等を用いて蓋をし、下部をゴム等の弾性部材からなる栓31Bで封じた例を示している。
【0030】
このように、本発明では、ガスミスト生成器30において、少なくとも前記液体貯留部32を取り外し可能にして他の新たな液体貯蔵部32と取替え可能に構成することで、使い捨て部品を少なくしコストの抑制を図る。また、生成器本体31は密封して提供され、その都度使い捨てにすることで衛生を保つことができる。特に、本発明では、液体貯留部32を使い捨て可能にし新たな液体貯留部32と交換することで液体貯留部32に薬液等の液体を補給するための構成を省くことが可能となり、コンパクト化と低コスト化を実現することができる。なお、この取り外しが可能なガスミスト生成器本体31は、製造段階で予め滅菌処理されるのが好適である。また、使い捨てにしない部分も使用前に予め滅菌処理される。
【0031】
ここで、液体貯留部32に貯留する液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、滅菌精製水を用いるのが好適である。さらに、これらの液体に使用者の疾患、症状等に有効な薬剤を含有させても良い。薬剤とは、例えば、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、育毛剤等が挙げられる。さらに、清涼作用のあるメンソールや、血行を促進させるビタミンE、皮膚組織に吸収されやすく美肌効果の高いビタミンC誘導体、皮膚の角化作用を正常にし粘膜を保護するレチノール、粘膜への刺激を和らげるための麻酔薬、臭気を除去するためのシクロデキストリン、殺菌、消炎効果のある光触媒、又は光触媒とアパタイトの複合体、保水力に優れ肌の保湿効果を有するヒアルロン酸、細胞を活性化し免疫力を向上させるコエンザイムQ10、抗酸化物質や多量の栄養素を含むシードオイル、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、鎮痛・麻酔作用、免疫作用等を有するプロポリス等を単独あるいは複数組み合わせて混合して、ガスの生理作用との相乗効果を生じさせることも可能である。あるいは、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウムを添加しても良い。さらに、炭酸塩と有機酸を主成分とする高濃度炭酸泉剤(有効成分の一例としては、硫酸塩、炭酸塩、有機酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)を添加しても良い。
【0032】
生成器本体31(液体貯留部32)の底部中央には、ノズル33が設けられている。このノズル33は、液体貯留部32の底から隆起して、生成器本体31の上部に向かって絞られる略円錐形状に形成されている。ノズル33の基端にはガス供給手段接続部35のガス吐出口35Aが接続され、ノズル33の先端開口33Aからはガスを吐出可能である。
【0033】
吸液管34Aは、ノズル33の外周面と、ノズル33より一回り大きい略円錐筒状の吸液管形成部材34との間に形成される。即ち、図2に示すように、ノズル33に吸液管形成部材34を被せるように配置することにより、ノズル33の外周面と吸液管形成部材34の内周面との間に吸液管34Aが形成される。図示は省略したが吸液管形成部材34の基端(略円錐筒状部の下部)には微少な爪状突起部が設けられているため、吸液管形成部材34の基端と液体貯留部32の底面には隙間が形成されており、この隙間から液体貯留部32に貯留された液体が吸液管34Aによって吸い上げられる。また、吸液管形成部材34の先端部34Bは、ノズル33の先端開口33Aの近傍で開口しており、ノズル33から吐出されるガス流に、吸液管34Aが吸い上げた液体が突き当たるように構成されている。
【0034】
ガス供給手段接続部35は、ガス供給手段10との接続部であり、ガス供給手段10から供給されるガス流は、ガス供給手段接続部35内で二つに分岐され(図2の分岐部35B)、一方はノズル33に、他方は後述するガス導入部37に供給される。
【0035】
蓋部36は、生成器本体31の上部に装着し、生成されたガスミストを生体圧浴カバー50へ導出する部材である。また、生成器本体31内にノズル33とは別途にガスを供給することで、生体圧浴カバー50へのガスミストの供給圧を上げるための部材である。蓋部36の詳細を図5に示す。図5は、蓋部36を底側から覗いた状態の斜視図である。
【0036】
蓋部36は、ガスを生成器本体31内に導入すると共にガスミストを排出する気流を作るためのガス導入部37と、ノズル33の先端開口33Aと対向する位置に配置されるバッフル(衝突部材)38と、ガスミストを収集して生体圧浴カバー50へ排出するためのガスミスト排出部39とを備える。
【0037】
ガス導入部37は、蓋部36の外部から生成器本体31のノズル33周辺までガスを導く略円筒体であり、ガス供給手段接続部35で分岐されたガスがここから生成器本体31内へ供給される。ガス導入部37の上端部には、ガス供給手段接続部35にチューブ等で接続されるガス導入口37Aが設けられている。ガス導入口37Aには、ここでは図示していないが、外気を取り込むための通気孔を設けるようにしても良い。なお、ガス供給手段接続部35とガス導入口37Aとを接続するチューブ等には、図1及び図2に示すようにガス導入部37へのガス供給量を調節するための流量調整器(例えばバルブ)35Cを配置しても良い。
【0038】
バッフル38は、バッフル支持部38Aによってガス導入部37の下端近傍に配置される。なお、ここではバッフル38が蓋部36に固定されている例を示しているが、生成器本体31側に配置するようにしても良い。
【0039】
ガスミスト排出部39は、蓋部36の内側の側部及び上部等によって円筒状のガス導入部37の周囲に形成されている、ドーナツのような形状の空間である。なお、上述したように、ガス導入部37は円筒状の形状、ガスミスト排出部39はドーナツ型の形状が望ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。このように、ガスミスト排出部39の空間を仕切らずに広く取ることで、ミストの排出をスムーズにすると共にミストの液化を防ぐことができる。また、これによって構造が簡潔となることから、蓋部36の洗浄効率が上がり衛生的に使用することができる。
【0040】
ノズル33及びバッフル38によって生成されたガスミストは、ガス導入部37からのガスによってガスミスト排出部39へと追いやられる。ガスミスト排出部39はそのガスミストを生体圧浴カバー50へと導く。なお、ガスミスト排出部39の上部には、ガスミスト生成器30と生体圧浴カバー50とを繋ぐガスミスト供給管41に接続される、ガスミスト排出口39Aが設けられている。
【0041】
ガスミスト供給管41は、その全部又は一部を図7に示すような管径の太い柔軟なジャバラ状の管で構成すれば、自在に曲がり、伸縮させることもできるため、使用者の動きを制限することもない。また、ガスミスト供給管41を流れるガスミストが液化してもジャバラの凹凸部にその液体を取り除くことが可能となる。
【0042】
ガスミスト供給管41の内部にはガスミストの逆流を防止するための逆止弁を設けるようにする。また、ガスミスト供給管41には、図示しないが管内に付着する余分な液滴を取り除くための液滴除去フィルターを設けるようにしても良い。
【0043】
生体圧浴カバー50は、生体(ここでは例として、人体の下肢)の皮膚及び粘膜を覆い、ガスミストを内部に封入する空間を形成できるカバーである。例として、図1では人体の下肢を覆うズボンのような形状を図示している。この生体圧浴カバー50は、耐圧性、非通気性、非透湿性素材から構成される。例えば、天然ゴム、シリコンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等からなるのが好適であり、これらの素材の多層構造としてもよい。
【0044】
生体圧浴カバー50は、ガスミスト供給管41に接続され、ガスミストを内部に導入するための供給口51を備えている。この供給口51の内部には、ガスミストの逆流を防ぐための逆止弁が設けられている。また、生体圧浴カバー50には、内部の圧力を調整するため、ガスミストを排出できる開口や弁を設けるようにしても良い。そして、これらの圧力調整は手動で行われても良いが、後述する圧力計71の計測値に基づき、ガスミストの供給制御と共に制御装置60により自動的に行われるのが望ましい。また、生体圧浴カバー50内が一定圧力値以上になると自動的に弁が開く安全弁(逃し弁)を設けるようにしても良い。
【0045】
生体圧浴カバー50内には、その内部の圧力を計測するための圧力計71が設置されている。制御装置60は、生体圧浴カバー50内の圧力値を1気圧以上(より好適には、1.02〜2.5気圧)に保つため、この圧力計71の計測値に基づき、ガスミストの生成、供給を制御する。例えば、ガス供給手段10からのガスの供給を調整、停止したり、生体圧浴カバー50からガスミストを排出したりする。また、生体圧浴カバー50の内部には生体圧浴カバー50内の温度を計測するための温度計72が設置されている。制御装置60は、生体圧浴カバー50内を温浴効果が得られる設定温度(例えば38℃程度)に保つため、温度計72の計測値に基づきガス供給手段10に設けられたヒータのオン・オフ等を行う。このほか、生体圧浴カバー50内には、酸素濃度、炭酸ガス濃度、湿度等を計測するセンサを設置して制御装置60によってカバー内を予め設定された値の範囲内に制御するようにしても良い。
【0046】
生体圧浴カバー50の開口部には、生体(ここでは人体の下肢)への着脱を可能にすると共に内部に封入したガスミストの漏出を防ぐための止着部52が設けられている。止着部52は、例えば伸縮性のある面ファスナーにより構成されるのが好適である。あるいは、紐やゴム等を単独、又は組み合わせて用いても良い。さらに、生体圧浴カバー50内の密閉性を高めるため、生体圧浴カバー50の内側面(止着部52の内側面等)に使用者の皮膚に粘着する素材を配置しても良い。この粘着素材は、例えばポリウレタンやシリコンゴム等からなる粘弾性ゲルであるのが好ましい。さらにこの粘着素材は取り外し可能に設けられ、使用の都度あるいは粘性が低くなれば交換できる構成とするのが良い。
【0047】
制御装置60は、CPU、メモリ、ディスプレイを備えたコンピュータから構成される。そして、ガス供給手段10から供給されるガスの圧力調整やオン・オフ切替、ガスミストの供給のオン・オフ切替等々の各種制御を行い、最適な状態でガスミスト圧浴が行えるようにする。特に、生体圧浴カバー50内の圧力値が所定値以上になった場合、制御装置60によりガス供給手段10のガス供給を停止するように構成するのが好適である。
【0048】
以下、上記第1の実施形態のガスミスト圧浴システムを用いてガスミスト圧浴を行う手順の一例について説明する。
【0049】
まず、密封された生成器本体31を開封して、ガス供給手段接続部35と蓋部36をセットし、ガスミスト生成器30を完成させる。次いで、ガス供給手段10、ガスミスト生成器30、生体圧浴カバー50、制御装置60等を各々接続する。生体圧浴カバー50は生体(ここでは人体の下肢)に固定して密閉する。そしてガス供給手段10からガスミスト生成器30へのガスの供給を開始する。
【0050】
ガスがノズル33に供給されると、ノズル33は図6に示すように先端に向かって狭窄されているため、ガスは流速を増して吐出される。液体はこのときの気流により発生する負圧で吸液管34Aを吸い上げられ、吸液管34Aの先端部34Bでガスに吹き上げられてバッフル38に衝突し、ミストが生成される。この衝突によって生成されるミストの粒径は微細であることが望ましく、具体的には10μm以下であるのが最適である。このように微細に粉砕されたミストは、マイナスイオンの効果を発揮することができる。
【0051】
ガスはさらにガス導入部37からも生成器本体31内に供給されて、生成されたガスミストの排出圧を高くする。ガスミストを生成する間、制御装置60は、ガスの供給圧や温度等の調整を行う。
【0052】
生成されたガスミストは、ガスミスト排出部39からガスミスト供給管41を介して生体圧浴カバー50へ排出される。制御装置60は圧力計71、温度計72の計測値から、生体圧浴カバー50内が最適な加圧、加温状態(約1.02〜2.5気圧、約38℃)に保たれるように各手段を調整し、この状態でガスミスト圧浴が行われる。
【0053】
なお、上記ではガスミスト圧浴を行う生体の部位として、人体の下肢を例にとって説明したが、本発明は様々な部位に適用することができる。その場合、対象とする部位に合わせた形状の生体圧浴カバー50を用いて最適なガスミスト圧浴を行うようにする。
【0054】
図8乃至図10に様々な生体圧浴カバー50の形状の例を示す。まず、図8に人体の上半身用の生体圧浴カバー50Aの概略を示す。この生体圧浴カバー50Aは、上半身全体を覆い包む形状をしており、腰部の開口には着脱を可能にすると共に内部に封入したガスミストの漏出を防ぐための止着部52Aが設けられている。また、首部の開口にも同様に止着部53Aが設けられている。なお、51Aはガスミストを内部に導入するための供給口である。
【0055】
図9は、生体のさらに局所的な部位を覆う生体圧浴カバー50の形状の例を示している。図9(a)は、人体の片下肢(膝下部)用の生体圧浴カバー50Bである。この生体圧浴カバー50Bには、その開口部に止着部52Bが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Bが設けられている。図9(b)は、人体の足部用の生体圧浴カバー50Cである。この生体圧浴カバー50Cには、その開口部に止着部52Cが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Cが設けられている。図9(c)は、人体の前腕用の生体圧浴カバー50Dである。この生体圧浴カバー50Dには、その開口部に止着部52Dが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Dが設けられている。図9(d)は、人体の手部用の生体圧浴カバー50Eである。この生体圧浴カバー50Eには、その開口部に止着部52Eが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Eが設けられている。
【0056】
さらに図10は、パッチ状の生体圧浴カバー50Fの例を示している。図10(a)は、そのパッチ状の生体圧浴カバー50Fの概略を示す図、図10(b)はそのパッチ状の生体圧浴カバー50Fを生体(ここでは人体下肢)に装着した際の外観を示す図である。生体圧浴カバー50Fは、生体の皮膚及び粘膜を覆うカバー部54Fと、そのカバー部54Fの周縁に設けられて生体の皮膚及び粘膜へ直接貼着される止着部52Fと、カバー部54Fを生体に固定するためのベルトや紐等からなる固定部53Fと、カバー部54Fと止着部52Fが形成する空間内にガスミストを供給するための供給口51Fとから構成されている。
【0057】
生体圧浴カバー50は、図8乃至図10に示したこれらの例の他にも様々な形状が考えられる。特に、本発明は人体だけでなく動物等生体全般に適用することが可能なため、生体圧浴カバー50も使用対象と使用部位に合わせた形状を採用する。要は生体の皮膚及び粘膜を覆い、ガスミストを内部に封入する空間を形成できる形状であればどのような形状であっても良い。なお、ここでは図示を省略したが、生体圧浴カバー50内のガスミストの排出や圧力調整を行うための排気口が設けられるのが好適である。
【0058】
なお、ガスミスト圧浴においては生体圧浴カバー50によって所定の圧力値以上で生体の皮膚及び粘膜にガスミストを接触させるが、このような加圧は所定のインターバルでパルス状に行うことにより効果が高まる。そのため、制御装置60はガスミストを一定のリズムで間歇的に生体圧浴カバー50内に供給するようにしても良い。その際のインターバル加圧の間隔は、脈の拍動に同期させると効果が高くなる。
【0059】
〔第2の実施形態〕
図11は、本発明の第2の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。本実施形態では、生体圧浴カバー内の加圧を容易にする加圧手段をさらに備えたガスミスト圧浴システムについて説明する。なお、図1に示す第1の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
図11に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴システムでは、ガスミストを内部に封入する空間を形成する生体圧浴カバー80と、この生体圧浴カバー80と連設され生体圧浴カバー80内を加圧する加圧手段90とを備えている。
【0061】
生体圧浴カバー80は、第1の実施形態で示した生体圧浴カバー50とほぼ同じ構造であり、ガスミストの供給口81と止着部82を備えている。ただし、供給口81は本実施形態では加圧手段90と接続されている。なお、ここでは例として、人体の手部を覆う形状の生体圧浴カバー80を図示している。
【0062】
加圧手段90は、生体圧浴カバー80内を加圧するため、生体圧浴カバー80と連設される中空のガス溜部91を備えている。このガス溜部91は、耐圧性、非通気性、非透湿性を有する柔軟な素材から構成される。また、加圧手段90は、生体圧浴カバー80の供給口81と接続されると共に、自身も供給口92を備えており、ここからガス溜部91内部にガスミストが供給される。なお、加圧手段90の供給口92にも内部にガスミストの逆流を防止するための逆止弁が設けられている。
【0063】
加圧手段90により生体圧浴カバー80を加圧する際には、生体圧浴カバー80内に適度なガスミストが溜まっている状態で、ガス溜部91にガスミストを溜める。そして、図11の矢印に示すようにガス溜部91を押し潰すように加圧すると、ガス溜部91内のガスミストが生体圧浴カバー80内に排出されるため、生体圧浴カバー80内を加圧することができる。
【0064】
なお、加圧手段90は、手動で押圧する構成としても良いし、駆動装置等を用いて制御装置60の制御で機械的に行っても良い。また前述の通り、ガスミスト圧浴における加圧は、所定のインターバルでパルス状に行うことにより効果が高まるため、加圧手段90を一定のリズムで間歇的に押圧するのが効果的である。
【0065】
そこで、本実施形態のガスミスト圧浴システムを用いてガスミスト圧浴を行う際には、まず、密封された生成器本体31を開封して、ガス供給手段接続部35と蓋部36をセットし、ガスミスト生成器30を完成させる。次いで、ガス供給手段10、ガスミスト生成器30、生体圧浴カバー80、制御装置60等を各々接続する。生体圧浴カバー80は生体(ここでは人体の手部)に固定して密閉する。そしてガス供給手段10からガスミスト生成器30へのガスの供給を開始し、ガスミストを生成する。この間、制御装置60は、液体及びガスの供給圧や量、温度等の調整を行う。
【0066】
生成されたガスミストは、ガスミスト排出部39からガスミスト供給管41を介して加圧手段90及び生体圧浴カバー80へ排出される。制御装置60は温度計72の計測値から、生体圧浴カバー80内が最適な加温状態(例えば約38℃)に保たれるように各手段を調整する。そして、生体圧浴カバー80と加圧手段90に最適な量のガスミストが溜まったところで、加圧手段90を押圧して生体圧浴カバー80を適度に加圧し(約1.02〜2.5気圧)、ガスミスト圧浴を行う。
【0067】
第1の実施形態でも述べた通り、生体の種々の部位に適用するため、生体圧浴カバー80は様々な形状のものを用いることができる。ただし、本実施形態の場合、生体圧浴カバー80は加圧手段90で容易に加圧可能な大きさである必要がある。例えば加圧手段90を手動で押圧する場合、加圧手段90の大きさは人が両手で掴める程度である必要があり、そのような加圧手段90で加圧できる生体圧浴カバー80の大きさも、ある程度限定される。また、駆動装置等で加圧する場合あっても、加圧手段90もこれを押圧する押圧手段も現実的にはあまり場所を取らないコンパクトなものが望ましいため、本実施形態の場合比較的コンパクトな(生体の局所的部位を覆う)生体圧浴カバー80への適用が向いている。
【0068】
図12及び図13に、本実施形態の適用が向く生体圧浴カバー80とこれに接続される加圧手段90の形状の例を示す。図12(a)は、人体の片下肢(膝下部)用の生体圧浴カバー80Aである。この生体圧浴カバー80Aには、ガスミストを内部に導入するための供給口81Aが設けられると共に、その開口部に止着部82Aが設けられている。供給口81Aには加圧手段90Aが接続されている。加圧手段90Aは、ガス溜部91Aと供給口92Aを備えている。図12(b)は、人体の足部用の生体圧浴カバー80Bである。この生体圧浴カバー80Bには、ガスミストを内部に導入するための供給口81Bが設けられると共に、その開口部に止着部82Bが設けられている。供給口81Bには加圧手段90Bが接続されている。加圧手段90Bは、ガス溜部91Bと供給口92Bを備えている。図12(c)は、人体の前腕用の生体圧浴カバー80Cである。この生体圧浴カバー80Cには、ガスミストを内部に導入するための供給口81Cが設けられると共に、その開口部に止着部82Cが設けられている。供給口81Cには加圧手段90Cが接続されている。加圧手段90Cは、ガス溜部91Cと供給口92Cを備えている。
【0069】
図13は、パッチ状の生体圧浴カバー80Dの例を示している。図13(a)はそのパッチ状の生体圧浴カバー80Dの概略を示す図、図13(b)はそのパッチ状の生体圧浴カバー80Dを生体(ここでは人体下肢)に装着した際の外観を示す図である。生体圧浴カバー80Dは、生体の皮膚及び粘膜を覆うカバー部84Dと、そのカバー部84Dの周縁に設けられて生体の皮膚及び粘膜へ直接貼着される止着部82Dと、カバー部84Dを生体に固定するためのベルトや紐等からなる固定部83Dと、カバー部84Dと止着部82Dが形成する空間内にガスミストを供給するための供給口81Dとから構成されている。供給口81Dには加圧手段90Dが接続されている。加圧手段90Dは、ガス溜部91Dと供給口92Dを備えている。
【0070】
なお、ここでは図示を省略したが、生体圧浴カバー80内のガスミストの排出や圧力調整を行うための排気口が設けられるのが好適である。
【0071】
また、上記実施形態では、加圧手段90を生体圧浴カバー80に連設される中空のガス溜部91から構成したが、この他生体圧浴カバー80自体を外周から押し潰すように圧迫する部材等、生体圧浴カバー80を簡便に加圧できるものであればどのようなものを用いても良い。
【0072】
〔第3の実施形態〕
図14は、本発明の第3の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。本実施形態では、発生させたミストを帯電させるための電荷付与手段をさらに備えたガスミスト圧浴システムについて説明する。なお、図1に示す第1の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図14に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴システムでは、ガスミスト生成器30のガスミスト排出口39Aの出口近傍に、電極22が配置されている。電極22は電源装置21に接続されており、制御装置60により電圧値の設定、及びオン・オフの制御が行われる。
【0074】
電極22は、ガスミスト生成器30が生成したミストが排出される際に、電荷(マイナスの電荷が望ましい)を付与する。それによりミストを帯電状態とし、荷電した物体への付着性を高めることができる。即ち、生体の皮膚及び粘膜への付着性を向上させれば、ガスミスト圧浴によるガスの吸収率向上の効果をさらに高め、ガスミストに上述したような薬剤が含まれる場合は、同様に皮膚及び粘膜への浸透をより促進させることが可能となる。
【0075】
そこで、本実施形態のガスミスト圧浴システムを用いてガスミスト圧浴を行う際には、まず、密封された生成器本体31を開封して、ガス供給手段接続部35と蓋部36をセットし、ガスミスト生成器30を完成させる。次いで、ガス供給手段10、ガスミスト生成器30、生体圧浴カバー50、制御装置60等を各々接続する。生体圧浴カバー50は生体(ここでは人体の下肢)に固定して密閉する。そしてガス供給手段10からガスミスト生成器30へのガスの供給を開始し、ガスミストを生成する。この間、制御装置60は、液体及びガスの供給圧や量、温度等の調整を行う。また、制御装置60は、電源装置21をオンにし、電極22からミストに電荷を付与する。
【0076】
生成されたガスミストは、ガスミスト排出部39からガスミスト供給管41を介して生体圧浴カバー50へ排出される。制御装置60は圧力計71、温度計72の計測値から、生体圧浴カバー50内が最適な加圧、加温状態(約1.02〜2.5気圧、約38℃)に保たれるように各手段を調整し、この状態でガスミスト圧浴が行われる。
【0077】
上記のように構成したため、本発明のガスミスト圧浴システムによれば、ガスミスト生成手段において、液体貯留部を取り外し可能にして他の液体貯蔵部と取替え可能にすることで、衛生に配慮すると共にコストを低下させることを実現している。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガスと薬剤等の液体を粉砕溶解させたミストを、所定の圧力値以上で生体の皮膚又は粘膜に直接接触させることにより、皮膚又は粘膜からのガスの吸収効率を向上させるガスミスト圧浴システムに関し、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0080】
10 ガス供給手段
21 電源装置
22 電極
30 ガスミスト生成器
31 生成器本体
31A、31B 栓
31C フィルム
32 液体貯留部
33 ノズル
33A 先端開口
34 吸液管形成部材
34A 吸液管
34B 先端部
35 ガス供給手段接続部
35A ガス吐出口
35B 分岐部
35C 流量調整器
36 蓋部
37 ガス導入部
38 バッフル
38A バッフル支持部
39 ガスミスト排出部
41 ガスミスト供給管
50、50A、50B、50C、50D、50E、50F 生体圧浴カバー
51、51A、51B、51C、51D、51E、51F 供給口
52、52A、52B、52C、52D、52E、52F 止着部
53A 止着部
53F 固定部
54F カバー部
60 制御装置
71 圧力計
72 温度計
80、80A、80B、80C、80D 生体圧浴カバー
81、81A、81B、81C、81D 供給口
82、82A、82B、82C、82D 止着部
83D 固定部
84D カバー部
90、90A、90B、90C、90D 加圧手段
91、91A、91B、91C、91D ガス溜部
92、92A、92B、92C、92D 供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定値以上の濃度の炭酸ガス、又は酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス(以下、「ガス」という)と液体を粉砕溶解させたミスト(以下、「ガスミスト」という)を生体の皮膚又は粘膜に接触させるためのシステムであって、
ガス供給手段と、
該ガス供給手段との接続部と、液体を供給する液体貯留部と、前記ガスが供給されるノズルと、該ノズル先端に前記液体を送液する吸液管と、前記ノズルからのガス流によって吹き上げられた液体を衝突させる衝突部材と、前記ガスが供給され前記ノズルの上部までガスを導く円筒状のガス導入部と、前記ガスミストを収集し排出するドーナツ形のガスミスト排出部と、を有するガスミスト生成手段と、
前記生体の皮膚及び粘膜を覆い、前記ガスミスト生成手段から供給されるガスミストを内部に封入する空間を形成する生体カバー部材と、
を備え、
前記ガスミスト生成手段において、少なくとも前記液体貯留部を取り外し可能にして他の液体貯蔵部と取替え可能に構成したことを特徴とするガスミスト圧浴システム。
【請求項2】
前記生体カバー部材内の気圧、温度、酸素濃度、炭酸ガス濃度及び湿度等の測定値を検知するセンサ類と、
該センサ類の測定値に基づき前記生体カバー部材内を予め設定された設定値の範囲内に制御する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項3】
前記生体カバー部材内を加圧する加圧手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項4】
前記加圧手段が、前記生体カバー部材と連設され、該生体カバー部材内にガスミストを排出可能な中空のガス溜からなることを特徴とする請求項3に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項5】
前記制御手段により、前記ガスミストを間歇的に前記生体カバー部材内に供給することによって、該生体カバー部材をインターバル加圧することを特徴とする請求項2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項6】
前記加圧手段が、前記生体カバー部材内に間歇的にガスミストを排出することによって、該生体カバー部材をインターバル加圧することを特徴とする請求項4に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項7】
前記ガスミスト生成手段が、外気を取り込むための通気孔を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項8】
前記液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項9】
前記液体は、メンソール、ビタミンE、ビタミンC誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有することを特徴とする請求項8に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項10】
前記ガスミスト生成手段から前記生体カバー部材内に供給される前記ミストの粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項11】
前記制御手段は、ガスミスト圧浴時における前記生体カバー部材内の圧力を1.02乃至2.5気圧に保持することを特徴とする請求項2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項12】
前記ガスミスト生成手段が供給するミストに電荷を付与する電荷付与手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項13】
前記電荷が、マイナス電荷であることを特徴とする請求項12に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項14】
前記ガスミスト生成手段が、前記生体圧浴カバーへガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、
該ガスミスト供給管が、管内に付着する液滴を除去するためのフィルターを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項15】
前記ガスミスト生成手段が、前記生体圧浴カバーへガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、
該ガスミスト供給管の全部又は一部がジャバラ状の管から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項16】
前記ガスミスト生成手段が、前記生体圧浴カバーへガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、
該ガスミスト供給管に、逆止弁を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項17】
前記生体カバー部材のガスミスト供給口に、逆止弁を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項18】
前記制御手段は、前記生体カバー部材内の圧力値が所定値以上になった際は前記ガス供給手段からのガスの供給を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。
【請求項19】
前記ガスミスト生成手段の取り外し可能部分が、予め滅菌処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスミスト圧浴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−148022(P2012−148022A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10648(P2011−10648)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(505425878)
【出願人】(592248835)日本エー・シー・ピー株式会社 (56)
【Fターム(参考)】