説明

ガス・センサ及び製造方法

【課題】ガス・センサを提供する。
【解決手段】ガス・センサ(100)は、ガス検知層(118)と、少なくとも1つの電極(112)と、接着層(114)と、前記ガス検知層(118)及び前記接着層(114)に隣接する応答修正層(116)とを含む。ガス・センサ(100)を排気システムに用いたシステムも開示する。またガス・センサ(100)の製造方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、ガス検知の分野に関するものである。より具体的には、本発明は、NOガスの検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境への配慮がNOセンサを開発する動機の主な要因である。NO排出物は、空気中のSO、CO及び水分(水蒸気)のようなガスと反応して、スモッグ及び酸性雨を生じさせる。NO排出物の主要な源の1つは内燃機関の排気である。
【0003】
2015年9月までに実現すべき軽量車両(カテゴリイN1−I、N1−II及びN1−III)についての欧州のユーロVI排出物基準によれば、NO排出量を0.5gm/hp−hr以下にすることが要求されている。これは典型的には、自動車排気管での50ppm未満のNO排出量に相当する。このような低レベルの濃度の被分析物(analyte) を信頼性よく計測することができ、且つ過酷な環境内でも頑健に動作することのできるような、費用効果の優れたガス・センサ(ガス検知装置)を開発することは、今日の排出物監視技術における主要な課題である。
【0004】
内燃機関の効率を改善する際の現在の理論的枠組みは希薄燃焼技術を利用することであり、従来の化学量論的な比(典型的には、ほぼ20対1)と比較して、非常に高い空気対燃料比(典型的には、ほぼ100対1)が使用されている。希薄燃焼技術は機関の効率を改善するが、NO排出量もまた増大させる。
【0005】
効率に悪影響を及ぼし又は効率を制限するような排出物制御方式はいずれも商業的に実現可能ではない。これは、NO排出レベルを実時間監視し、この情報を使用して機関の動作パラメータ(例えば、圧縮比など)及び排気の後処理システム(例えば、触媒フィルタなど)を動的に制御し、もって最適な機関効率及び最適な排出物制御をそれぞれ達成するようにすることを必要とする。
【0006】
市場における現在のNOガス検知技術の1つは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)をベースとしたセンサを用いている。この種のセンサは、本質的に、NO分解の結果としての酸素の変化を測定する多室電気化学セルである。このような技術では、白金(Pt)のような触媒が必要である。しかしながら、内燃機関からの排気中に通常存在するようなSO及び水蒸気に曝されたとき、触媒の性能は劣化する。これは、このようなセンサの実用寿命を低下させる因子の1つである。更に、このようなセンサは比較的複雑な設計であるので、それらを定期的に交換するのは経費がかかる。
【0007】
市場における別の現在のガス検知技術は、半導体センサを用いている。他のどの技術と同様に、この技術は状況に固有の欠点及び利点を有する。例えば、ガス排出物監視用途ではしばしば、多数のガス種目(gas species) の環境内で特定の又は少数のガス種目(例えば、NO)の量的推定が必要とされる。しかしながら、このような半導体センサは、多種類のガスに感応性があり、従ってこのようなNOガス検知用途での利用が制限される。更にまた、これらのセンサは、それらの性質が多結晶質であるので、長期間で不安定になる傾向がある。他方、この技術は、頑丈な構成及びコンパクトな大きさのような、半導体であることの利点を有する。更に、この技術は、簡単な電子回路を使用して読み出すのに適しており、もってシステムの製造、動作、点検保守及び交換のコストが低減される。それに加えて、半導体センサは、多数の制御可能な因子の中でとりわけ、適切なドーパントの導入、ガス検知表面の形態制御、ガス・センサの動作パラメータの制御により、広範な応答最適化調整が可能である。
【特許文献1】米国特許第5486336号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体をベースとしたガス・センサは、たとえ低濃度レベルでもNOガスの量的推定を行うことができ、また長い実用寿命を持ち、従って非常に望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、ガス・センサ、並びに該ガス・センサを製造する方法を対象とする。
【0010】
本発明の模範的な一実施形態によれば、ガス・センサを提供する。このガス・センサは、ガス検知層と、少なくとも1つの電極と、接着層と、前記ガス検知層及び前記接着層に隣接する応答修正層とを含む。
【0011】
本発明の模範的な一実施形態によれば、ガス検知システムを含むシステムを提供する。このシステムは、ガスを運ぶための排気システムと、ガス・センサとを含む。ガス・センサは、ガス検知層と、少なくとも1つの電極と、接着層と、前記ガス検知層及び前記接着層に隣接する応答修正層とを含む。
【0012】
本発明の模範的な一実施形態によれば、ガス・センサを製造する方法を提供する。本方法は、加熱層を配置する工程と、前記加熱層に隣接して第1のガラス層を配置する工程と、前記第1のガラス層に隣接して温度検知層を配置する工程と、前記温度検知層に隣接して第2のガラス層を配置する工程と、前記第2のガラス層に隣接して少なくとも1つの電極を配置する工程と、前記少なくとも1つの電極に隣接して接着層を配置する工程と、前記接着層に隣接して応答修正層を配置する工程と、前記応答修正層に隣接してガス検知層を配置する工程とを含む。
【0013】
本発明の模範的な一実施形態によれば、ガス・センサを提供する。本ガス・センサは、少なくとも1種類の金属酸化物化合物及び少なくとも2種類のドーパント種目で構成されたガス検知層を含み、前記金属は、W、Ta及びNbより成る群から選択された化学元素であり、また前記ドーパント種目は、Re、Ni、V、Ta、Nb、Mo及びZrより成る群から選択された化学元素である。前記ガス検知層は、過酷な環境内で、NO、NO、NH、HO及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の被分析物を検出することができる。ガス・センサは、前記検知層と連通状態にある少なくとも1つの電極と、Ti、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された化学元素を含む接着層と、Ti、Re、Ni、Ta、Nb、Mo、Zr及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の化学元素を含む応答修正層とを含んでいる。応答修正層は、前記ガス検知層及び前記接着層に隣接している。
【0014】
これらの及び他の利点及び特徴は、添付の図面と関連して提供する本発明の好ましい実施形態についての以下の詳しい説明から容易に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の説明において、本発明の一実施形態の特定の面又は特徴が一群の中の少なくとも1つの要素を含み又は該要素で構成されると云うときは常に、その面又は特徴が、その群の任意の要素を個別に又はその群の他の要素と組み合わせて含み、或いはその群の任意の要素で個別に又はその群の他の要素と組み合わせて構成することができることは当然である。
【0016】
以下の説明及び特許請求の範囲の記載において、特に1つ、2つと云うような数を示すことなく表した用語は、明確に数を示して特定している場合を除き、数が1つだけでなく複数である場合もあることを含む。
【0017】
ガス・センサは、「被分析物(analyte) 」が存在するかどうか決定するため、及び/又は被分析物を定量するために使用することができる。本書で用いる用語「被分析物」とは、検出すべき及び/又は定量すべき任意の物質、例えば、限定するものではないが、ガス、蒸気、生物被分析物、粒状物質、及びそれらの組合せ、を表すことができる。
【0018】
NOの主成分、すなわち、NO及びNOは相互転換可能であるので、ガス・センサの応答、すなわち、ガス・センサの抵抗のNO濃度依存性変化がNO及びNOの両方について(大きさ及び符号に関して)等しい場合に、全NOの信頼性のある推定を達成することができる。そこで、ΔR(NO,c)及びΔR(NO,c)が、それぞれNO及びNOの濃度[c」に対するセンサの応答であるとすると、(以下に定義する)応答比「rr」は1に近いことが望ましい。
【0019】
rr≡ΔR(NO,c)/ΔR(NO,c) (1)。
【0020】
本書で用いる用語「等感応性(equi-sensitivity)」とは、式(1)で定義された「rr」が約0.5〜約3の範囲内にあるときのことを表す。
【0021】
本書で用いる用語「隣接」とは、ガス・センサを構成する相異なる構成要素について記述する際に用いたとき、「直ぐ隣り」にあることを表すか、或いは説明中の構成要素相互の間に他の構成要素が存在している場合もあることを表す。
【0022】
本書で用いる用語「連通(communication) 」とは、ガス・センサを構成する2つ以上の構成要素について記述する際に用いたとき、1つの構成要素の電気的特性の何らかの変化が他の構成要素に反映され、従って他の構成要素により検出可能又は測定可能であることを意味する。
【0023】
本書で用いる用語「自己無撞着(self-consistent) 」とは、ガス・センサのガス検知層のホスト構成要素を構成する化合物の化学式について記述する際に用いたとき、その化学式が、当業者に知られている確立された化学原理と矛盾していないことを意味する。用語「自己無撞着」の定義には必然的に、化学式が金属酸化物無機化合物を表す場合を意味することが含まれている。換言すると、化学式は無機金属酸化物化学組成を表さなければならない。ガス・センサのホスト構成要素の化学式の一般例は、Ta,WO2.9 とすることができる。
【0024】
本書で用いる用語「薄膜」とは、ガス・センサのガス検知層の説明に関連して用いるとき、ガス検知層の厚さが約10nm〜約500nmであることを表す。
【0025】
本書で用いる用語「厚膜」とは、ガス・センサのガス検知層の説明に関連して用いるとき、ガス検知層の厚さが約500nm〜約500μmであることを表す。
【0026】
本書で用いる用語「ペレット」とは、ガス・センサのガス検知層の説明に関連して用いるとき、ガス検知層の厚さが約500μm〜約3mmであることを表す。
【0027】
本書で用いる用語「中性」とは、ガス検知層のホスト構成要素の説明及びガス検知層のホスト構成要素内に存在する1種類以上のドーパント種目の説明に関連して用いるとき、ガス検知層のホスト構成要素内に存在するときのドーパント種目の酸化状態が、該ドーパントをp型にもn型にもしないような状態であることを表す。
【0028】
本書で用いる用語「プラットフォーム」とは、ガス・センサのガス検知層の説明に関連して用いるとき、ガス検知層以外のガス・センサの構成要素の幾つか又は全部を表す。
【0029】
本書で用いる用語「過酷な環境」とは、ガス検知層の近辺にあり且つその中に検出及び/又は推定しようとしている被分析物が存在する容積内の環境を表す。この容積内の温度は一様でないことがある。すなわち、この容積内の異なる位置で温度が異なることがあり、また約200℃〜約800℃になることがある。この容積内の異なる位置ではまた、例えば、限定するものでないが、NO、SO、HO、粒状物質、炭化水素、及びそれらの組合せを含む、異なる量の腐食性化学種目が存在することがある。
【0030】
本書で用いる用語「応答修正層」とは、拡散機構を介しての表面ドーピングによりガス検知層の中にドーパントを導入するように作用する層を表す。この表面ドーピングは、結果として、所与の一組の動作パラメータ及び/又は動作環境の場合にガス検知層の応答を修正(変更)することができる。
【0031】
本書で用いる用語「ガラス」とは、分離層を形成するために使用することのできる任意の適当な材料であって、ガス・センサの所与の実施形態においては、分離層により隔てようとする要素の間に充分大きい熱結合を与えるように充分な熱伝導率を持ち、且つ分離層により隔てようとする要素の間に充分な電気抵抗を与えるように充分な電気抵抗率を持つ任意の適当な材料を表す。
【0032】
ガス・センサは、ガスに対する露出時に修正できる応答特性に比例する電気信号を発生することのできる任意の装置であってよい。適当な装置の例としては、限定するものではないが、抵抗器、電界効果トランジスタ、コンデンサ、ダイオード、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0033】
検知すべき適切なガスの例には、限定するものではないが、NO、NO、SO、O、HO、NH、CO、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、ガス・センサは、SO及びCOガスによる毒作用(poisoning) の影響を受けにくい。
【0034】
次に図面を参照して、特に図1を参照して説明すると、図示例は本発明の好ましい実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではないことが理解されよう。
【0035】
図1は、被分析物を検出ために使用することのできるガス・センサ100の一実施形態の概略図である。本書で説明する幾つかの実施形態に関連して一例としてNOを用いるが、ガス・センサは、例えば、O、HO、CO、SO、NH及びそれらの組合せのような他の被分析物を検出するのに有用であることに留意されたい。ガス・センサ100は、例えば、分析すべきガス流を直接サンプリングする現場のガス・センサとすることができる。このように、ガス・センサ100はガス流に露出させて、特定の被分析物(例えば、NO)が存在するかどうかを表す検出信号を発生することができる。ガス・センサ100はまた、被分析物の濃度に比例する信号を発生し、これにより被分析物の濃度を測定することもできる。
【0036】
例示した実施形態100は、基板102を含む。この基板層の上にはヒータ104が配置される。ヒータ104の上には第1のガラス層106が配置される。第1のガラス層106の上には温度検知層108が配置される。温度検知層108の上には第2のガラス層110が配置される。第2のガラス層110の上には少なくとも1つの電極112が配置される。接着層114が少なくとも1つの電極112を完全に覆い、また、第2のガラス層110とも接触する。応答修正層116が接着層114の上に配置される。この応答修正層116の上にはガス検知層118が配置され、ガス検知層118はガス検知表面120を持つ。実施形態によっては、ガス・センサ100は、該ガス・センサ100を加熱するための要素を含むことができる。一実施形態では、ガス・センサ100を加熱するための要素は、ガス検知層118に隣接して配置することができ、又はガス検知層の中に埋め込むことができ、或いは基板層102に隣接して配置することができ、又はパッケージ及びそれらの任意の組合せの上に配置することができ、並びに/又は電気絶縁性で熱伝導性の層で覆うことができる。ヒータ104は、ガス検知層118に隣接して配置された金属(例えば、Pt)層のような、主ガス・センサ100とは別個の要素とすることができる。ヒータ104はまた、ガス検知層自体118であってもよい。単なる一例では、ガス検知層に大電流を通すことにより、それを所望の温度まで加熱することができる。また、ガス検知層118の表面120に熱が加えられる結果、応答時間及び回復時間が速くなることがある。何らかの特定の理論によって限定されないが、熱はガス検知層118の表面120での各々のガス種目の残留時間を減少させると思われる。ヒータ104はまた、ガス・センサ100の温度を調節することができるようにして、これにより、測定すべきガス流環境がより高い温度に達していないときでも、該より高い温度範囲で優れた検出を行える性質であるガス種目に対して感度をより高くすることができる。このことは、機関が始動されたばかりであるときにガス検知を必要とするような用途において重要である。また、ガス・センサ100を一定の温度、例えば最大動作可能温度に保つことにより、応答信号の温度に対する依存性を無視できるようにして、もって応答信号の解釈をより簡単にすることができる。更に、ガス・センサ100の加熱は、種々のガスに対して選択的な応答を与えて、ガス検知層118をその種目のガスに対して温度依存の選択性及び/又は感度で駆動するように意図的に修正することができる。本書で用いる「選択性」とは、供給された相異なる被分析物種目を弁別するガス・センサの能力を表す。本書で用いる「感度」とは、ある被分析物が供給されたときの電気的特性の変化を表示するガス・センサの能力を表す。従って、選択性は、相異なる被分析物種目に対する感度が相異なることに起因することがある。
【0037】
一実施形態では、ガス検知層118は薄膜の形態にすることができる。別の実施形態では、ガス検知層118は厚膜の形態にすることができる。更に別の実施形態では、ガス検知層118はペレットの形態にすることができる。
【0038】
一実施形態では、ガス検知層に隣接して触媒層を配置することができる。このような触媒層は、1種類以上の被分析物種目を、前記ガス検知層による検出に適している1種類以上の被分析物種目へ化学変換するのに役立つことができる。前記触媒層を構成することのできる適切な材料としては、限定するものではないが、Pt、RuO、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0039】
一実施形態では、図1に示された基板102はアルミナで構成することができる。別の実施形態では、図1に示された基板102はイットリア安定化ジルコニア(YSZ)で構成することができる。更に別の実施形態では、図1に示された基板102はジルコニアで構成することができる。
【0040】
ガラス層106及び110は、熱伝導性で電気絶縁性の材料の層であり、それぞれ、ヒータ104と温度検知層108との間、並びに温度検知層108と電極112及び接着層114の内の少なくとも一方との間に配置される。このような熱伝導性で電気絶縁性の材料で構成されたガラス層106及び110は、ガス・センサ100を横切るように熱を運ぶことができ、しかも、ヒータ104と温度検知層108との間、並びに温度検知層108と電極112及び接着層114の内の少なくとも一方との間のそれぞれの電気的接触を妨げる。ガラス層106,110のための適切な材料の例として、限定するものではないが、ポリシリケート・ガラス、二酸化シリコン、窒化シリコン、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。ガラス層110はまた、それ自身に対する少なくとも1つの電極112及び接着層114の物理的接着を高めることができるように物理的及び化学的処理を施すことができる。更に、ガラス層106,110の厚さを変えることにより、それらのそれぞれの周囲の層との間の熱結合及び電気抵抗を異なる大きさにすることができるはずである。
【0041】
一実施形態では、ガス検知層118内のドーパントは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、P、Tb、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ta、W、Ga、In、Sb、Bi、Ce、Sm、Gd、Cd、Re、Pt、Ge、Cr、Pb、Lu、Nd、Pr、Eu及びそれらの組合せより成る群から選択することができる。別の実施形態では、ガス検知層118内のドーパントは、Re、Ni、V、Ta、Nb、Mo、Zr及びそれらの組合せより成る群から選択することができる。
【0042】
一実施形態では、ガス検知層のホスト構成要素内に存在しているときの1種類以上のドーパント種目は、この1種類以上のドーパント種目がn型、p型又は中性型、或いはそれらの組合せであるような状態であってよい。ドーパントがn型である場合、このような(ホスト,ドーパント)対の例としては、限定するものではないが、(酸化タンタル,Re及び/又はCr)、(酸化タングステン,Re及び/又はMn)を挙げることができる。ドーパントがp型である場合、このような(ホスト,ドーパント)対の例としては、限定するものではないが、(酸化タンタル,Zr及び/又はHf)、(酸化タングステン,Ta及び/又はNb及び/又はV)を挙げることができる。ドーパントが中性型である場合、このような(ホスト,ドーパント)対の例としては、限定するものではないが、(酸化タンタル,Nb)、(酸化タングステン,Mo)を挙げることができる。
【0043】
一実施形態では、ガス検知層は、化学式
【0044】
【化3】

によって表される群から選択された2種類以上の材料で構成することができる。ここで、Lは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、P、Tb及びそれらの組合せより成る群から選択された化学元素であり、またMは、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Nb、Mo、Ru、La、Ta、W、Ga、In、Sn、Sb、Bi、Ce、Sm、Gd及びそれらの組合せより成る群から選択された化学元素であり、またα,β,γは自己無撞着である。ガス検知層を構成することのできる適切な材料の例としては、限定するものではないが、Ta、TbFe12、La0.8 Sr0.2 MnOを挙げることができる。一実施形態では、ガス検知層は2種類以上の金属酸化物化合物で構成することができ、その金属はW、Ta及びNbより成る群から選択される。前記ガス検知層が2種類以上の材料で構成される状況では、これらの2種類以上の材料は、限定するものではないが、混合物、固溶体、及びそれらの組合せを含めて、様々な形態で存在することができる。このような混合物の限定ではない適当な例としては、CeO−Smが挙げられる。
【0045】
一実施形態では、ガス・センサのガス検知層が化学式
【0046】
【化4】

によって表される材料で構成されているとき、L及びMの特定の選択で改善されたNO応答特性を得ることができる。
【0047】
一実施形態では、ガス・センサのガス検知層が化学式
【0048】
【化5】

によって表される材料で構成されているとき、L及びMの特定の選択で、且つL及びMのそれぞれの特定の量α及びβで、改善されたNO応答特性を得ることができる。
【0049】
一例では、所与の濃度の少なくとも1種類の被分析物に対するガス・センサの応答特性は、ガス検知層が薄膜の形態であるとき、ガス検知層の厚さ及び/又は気孔率を変えることによって向上させることができる。一実施形態では、薄膜ガス検知層118は約10nm〜約500nmの厚さにすることができる。別の実施形態では、薄膜ガス検知層118は約50nm〜約150nmの厚さにすることができる。更に別の実施形態では、薄膜ガス検知層118は約70nm〜約120nmの厚さにすることができる。
【0050】
一例では、所与の濃度の少なくとも1種類の被分析物に対するガス・センサ100の応答特性は、ガス検知層118が厚膜の形態であるとき、ガス検知層118の厚さ及び/又は気孔率を変えることによって向上させることができる。一実施形態では、前記厚膜ガス検知層118は約500nm〜約500μmの厚さにすることができる。別の実施形態では、前記厚膜ガス検知層118は約10μm〜約300μmの厚さにすることができる。更に別の実施形態では、前記厚膜ガス検知層118は約20μm〜約200μmの厚さにすることができる。
【0051】
一例では、所与の濃度の少なくとも1種類の被分析物に対するガス・センサ100の応答特性は、ガス検知層118がペレットの形態であるとき、ガス検知層118の厚さ及び/又は気孔率を変えることによって向上させることができる。一実施形態では、前記ペレット・ガス検知層118は約500μm〜約3mmの厚さにすることができる。別の実施形態では、前記ペレット・ガス検知層118は約1mm〜約3mmの厚さにすることができる。更に別の実施形態では、前記ペレット・ガス検知層118は約1mm〜約2mmの厚さにすることができる。
【0052】
一実施形態では、ガス・センサの応答、又はガス・センサの検知層を構成する材料の応答は、抵抗測定、電位差測定、熱測定又はそれらの組合せをにより監視することができる。前記熱測定は、限定するものではないが、赤外線カメラによる熱画像作成を含めて、幾つかの技術により遂行することができる。
【0053】
応答修正層116がガス検知層118と接着層114との間に配置される。一実施形態では、この応答修正層116は、Mg、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ta、W、In、Sn、Sb、Bi、Sm、Re、Pt、Ge、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された材料で構成することができる。別の実施形態では、この応答修正層116は、Ti、Re、Ni、Ta、Nb、Mo、Zr及びそれらの組合せより成る群から選択された材料で構成することができる。一実施形態では、応答修正層116は約10Å〜約100Åの厚さにすることができる。別の実施形態では、応答修正層116は約20Å〜約80Åの厚さにすることができる。更に別の実施形態では、応答修正層116は約30Å〜約60Åの厚さにすることができる。ガス・センサの一実施形態では、応答修正層は、ガス・センサが任意の2種類の所与のガスに対して等感応性応答を持つように役立てることができる。ガス・センサ100の別の実施形態では、応答修正層116は、ガス・センサが所望の値のベースライン抵抗を持つように役立てることができる。更に別の実施形態では、応答修正層は、ガス・センサ100が1種類以上の被分析物に対して長期にわたり露出された場合にベースライン抵抗について所望のレベルの安定性を持つように役立てることができる。ガス・センサ100の更に別の実施形態では、応答修正層116は、ガス・センサが被分析物に対する露出時及び被分析物の除去時にそれぞれ所望のレベルの応答時間及び回復時間を持つように役立てることができる。何らかの特定の理論によって限定されないが、応答修正層116は、ガス検知層118と接着層114との間の直接の物理的接触を妨げることによってガス・センサ100の動作特性を改善するのに役立つことが可能である。
【0054】
一実施形態では、応答修正層116は、Mg、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ta、W、In、Sn、Sb、Bi、Sm、Re、Pt、Ge、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の化学元素と、Tiとの混合物で構成することができる。
【0055】
接着層114は応答修正層116を固定するように作用し、その応答修正層の上にはガス検知層118が配置される。接着層114は、Ti、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の化学元素でで構成することができる。一実施形態では、接着層114は約5Å〜約100Åの厚さにすることができる。別の実施形態では、接着層114は約10Å〜約50Åの厚さにすることができる。更に別の実施形態では、接着層114は約15Å〜約30Åの厚さにすることができる。
【0056】
電極112の少なくとも1つは、その隣接した層に物理的接着及び電気的接触することのできる任意の材料から作ることができる。少なくとも1つの電極のための適当な材料の例としては、限定するものではないが、Pt、Pd、Au、Ag、Ni、Ti、In、Sn、Cr、酸化ニッケル、窒化ニッケル、窒化チタン、アルミニウム添加酸化亜鉛、酸化インジウム錫、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0057】
一実施形態では、電極112の少なくとも1つは、約500Å〜約10000Åの厚さにすることができる。別の実施形態では、電極112の少なくとも1つは、約800Å〜約3000Åの厚さにすることができる。
【0058】
一実施形態では、少なくとも1つの電極112の内の少なくとも1つは、材料の多層積重体とすることができる。多層積重体の相異なる層を構成するための適当な材料の例としては、限定するものではないが、Pt、Pd、Ti、Al、Au、Ag、Ni、Cr、In、窒化チタン、酸化ニッケル、アルミニウム添加酸化亜鉛、窒化ニッケル、酸化インジウム錫、クロム、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0059】
電極112の少なくとも1つが材料の多層積重体である一実施形態では、各層の厚さは約100Å〜約2000Åにすることができる。電極の少なくとも1つが多層積重体である別の実施形態では、各層の厚さは約300Å〜約1500Åにすることができる。電極112の少なくとも1つが多層積重体である更に別の実施形態では、各層の厚さは約500Å〜約1000Åにすることができる。
【0060】
一実施形態では、電極112の少なくとも1つは、図2のガス・センサ200に示されているように相互に入り組む配置構成202に配置することができる。要素204は、下側に位置するヒータ104の配置構成を示している。別の実施形態では、電極112の少なくとも1つは、図3のガス・センサ300に示されているようにインライン形の配置構成302に配置することができる。要素304は、下側に位置するヒータ104の配置構成を示している。
【0061】
一実施形態では、少なくとも1つの電極112をガス検知層118に隣接して「サンドイッチ」形の配置構成に配置してもよい。すなわち、厚さ方向に沿ってガス検知層118の両側にそれぞれ少なくとも1つの電極112を配置する。別の実施形態では、少なくとも1つの電極112を「横に並べた」配置構成に配置してもよい。すなわち、少なくとも2つの電極をガス検知層118の同じ側に互いに隣接して配置する。別の実施形態では、ガス・センサ100の隣接した構成要素に最も近い少なくとも1つの電極112の表面に沿って接着層を配置してもよい。
【0062】
一実施形態では、ガス検知層118のドーパント濃度を約0モル%〜約5モル%にすることができる。別の実施形態では、ガス検知層118のドーパント濃度を約0.01モル%〜約5モル%にすることができる。更に別の実施形態では、ガス検知層118のドーパント濃度を約0.2モル%〜約5モル%にすることができる。更に別の実施形態では、ガス検知層118のドーパント濃度を約0.5モル%〜約4モル%にすることができる。更に別の実施形態では、ガス検知層118のドーパント濃度を約1モル%〜約3モル%にすることができる。
【0063】
実施形態によっては、ガス・センサは装置の温度を測定する手段を含むことができる。温度を測定する手段は、ガス・センサ内に又はガス・センサに近接して配置することができる。例えば、該手段は、ガス検知層に隣接して、又は基板層に隣接して、又はパッケージ上に、又はそれらの任意の組合せで配置することができ、及び/又は電気絶縁性で熱伝導性の層で覆うことができる。温度センサの例としては、限定するものではないが、抵抗温度検知装置、熱電対、シリコン・バンドギャップ温度センサ、サーミスタ、赤外線カメラ、及びそれらの組合せが挙げられる。温度検知手段は、ガス検知層に隣接して配置された金属(例えば、Pt)層のような別個の要素であってよい。
【0064】
熱電対温度センサは、限定するものではないが、 タイプK(クロメル(CHROMEL;商標)/アルメル(ALUMEL;商標))、タイプJ(鉄/コンスタンタン)、タイプN(ニクロシル(NICROSIL;商標))、タイプB、タイプR、タイプS、タイプT(銅/コンスタンタン)、タイプCを含む様々なタイプのものであってよい。抵抗温度センサは、様々な金属で構成することができるが、通常Ptから製造される。シリコン・バンドギャップ温度センサは、純粋なシリコン、又は、限定するものではないが、炭化シリコンを含むシリコンの化合物で構成することができる。サーミスタ温度センサは、限定するものではないが、セラミック及びポリマーを含む様々な材料で構成することができる。これらの材料は正又は負の抵抗温度係数を持つことができる。温度センサは、限定するものではないが、電圧バイアス及び電流バイアスを含めて、様々な方法でバイアスすることができる。更にまた、温度センサの応答は、限定するものではないが、抵抗測定、電位差測定及びそれらの組合せを含む手段によって、記録することができる。
【0065】
ガス・センサの他の動作及び配置構成パラメータが定められると、所与の濃度の任意の特定の被分析物に対する応答は、ガス検知層が特定の温度に維持されているとき、最適になることがある。実施形態によっては、最適な感度は、温度を約300℃〜約550℃の範囲内に維持することによって達成することができる。
【0066】
考え得るところでは、ガス検知層に印加される異なる直流(DC)、交流(AC)又はそれらの組合せのバイアス・レベルにより、1つ又は別の被分析物に対する選択性及び感度のようなガス検知特性を最適化することができる。例えば、実施形態によっては、様々なレベルのDCバイアスを使用することにより、被分析物内の相異なるガス種目に対してガス・センサ100の感度を調節することができる。例えば、所与の第1のDCバイアス・レベルの下で動作するガス・センサは、第1の被分析物種目に対して優先的に感応することができ、また第2のDCバイアス・レベルの下で動作するガス・センサは、第2の被分析物種目に対して優先的に感応することができると云うように、相異なるDCバイアス・レベルで動作することができる。この特性は、相異なる種目の被分析物を選択的に検出して測定するために使用することができる。ガス・センサの動作において使用されるAC及び/又はDCバイアスは、電流、電圧又はそれらの組合せであってよい。ガス・センサの動作中でのガス・センサのAC又はDC応答は、電流、電圧又はそれらの組合せであってよい。
【0067】
ガス・センサはまた、特定の被分析物のみを通過させてガス検知層に衝突させる、すなわち、ガス検知層と接触させる適切なフィルタを持つように構成することができる。考え得るところでは、このようなフィルタは、所与の1種類以上の被分析物の選択的検出に役立つことができる。このようなフィルタはまた、例えば粒状物のような特定の被分析物をガス検知層へ通すのを制限するのに役立つことができる。実施形態によっては、ガス・センサの環境内に存在する特定の化学的又は物理的種目に対してフィルタとして作用するメンブレン(membrane)を、ガス検知層に隣接して配置することができる。このようなフィルタは、ガス・センサのガス検知層に接触するガス又は粒状種目の種類及び/又は量を制限又は調整するための手段を提供する。ガス種目の種類及び/又は量を制限又は調整するための適当な手段の例としては、限定するものではないが、薄膜多孔質メンブレン・フィルタ媒体(例えば、スチール・ウール又は石英ウール)、約10Åの厚さのPdの厚膜、またAl、YSZ、SiOのような多孔性セラミック材料、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。考え得るところでは、2つ以上のガス・センサを互いに隣接して又は環境内の異なる場所に配置することができる。これらのガス・センサの各々は互いに同じフィルタを共有し、又は個々に1つ以上の同じ又は異なるフィルタを持つことができる。ガス・センサのこのような「アレイ」は、環境内の異なる場所で異なる被分析物種目の濃度を選択的に検出及び/又は測定するために使用することができる。考え得るところでは、同じ又は異なる組成の2つ以上のガス検知層の「アレイ」を互いに近接して配置して、該2つ以上の検知層が同じプラットフォームを共有するか、又は該2つ以上の検知層の各々がそれぞれの自身のプラットフォームを持つか、或いはそれらを組み合わせたものになるようにすることができる。
【0068】
一実施形態では、所与のガス検知層の気孔率は、1種類以上の指定された被分析物を通過させるように調整することができる。
【0069】
図4に示された実施形態400では、ガス検知層402上の少なくとも1つの電極112は、横に並べた配置構成404で配置することができ、またそれらの電極には電気伝導材料のワイヤ406を適当な手段によって取り付けることができる。図5に示された実施形態500では、ガス検知層502上の少なくとも1つの電極112は、埋め込み配置構成504で配置することができ、またそれらの電極には電気伝導材料のワイヤ506を適当な手段によって取り付けることができる。図6に示された実施形態600では、ガス検知層602上の少なくとも1つの電極112は、「両端」配置構成604に配置することができ、また前記少なくとも1つの電極には電気伝導材料のワイヤ606を適当な手段によって取り付けることができる。一実施形態では、電極の配置構成404、504及び604の適当な組合せを使用することができる。前記少なくとも1つの電極は、限定するものではないが、長方形、円形、点形及びそれらの組合せを含めて、任意の適当な形状に成形することができる。
【0070】
図7は、本発明の模範的な実施形態に従ってガス・センサを製造するための方法700を例示する流れ図である。工程702において、基板層102のような基板層が設けられる。工程704において、ヒータ層104のようなヒータ層が基板層に隣接して配置される。工程706において、第1のガラス層106のような第1のガラス層がヒータ層に隣接して配置され、次いで工程708において、温度検知層108のような温度検知層がガラス層に隣接して配置される。工程710において、第2のガラス層110のような第2のガラス層が温度検知層に隣接して配置される。工程712において、少なくとも1つの電極112のような少なくとも1つの電極が絶縁層に隣接して配置される。工程714において、接着層114のような接着層が少なくとも1つの電極に隣接して配置される。工程716において、応答修正層116のような応答修正層が接着層に隣接して配置される。工程718において、ガス検知層118のようなガス検知層が応答修正層に隣接して配置される。
【0071】
図8は、本発明の一実施形態に従った、被分析物を検出するための方法800を例示する。工程802において、被分析物をガス・センサのガス検知層に衝突させて、ガス・センサの電気的特性を変化させる。工程804において、連続的に監視している電気的特性の変化を検出する。電気的特性の変化と供給された被分析物の濃度との間の関数関係が既知である場合、工程806に示されているように、供給された被分析物の濃度を電気的特性の測定された変化から決定することができる。適当な電気的特性の例としては、限定するものではないが、電気抵抗、電気容量、電流、電圧、及びそれらの組合せが挙げられる。一例として、ガス・センサが電圧バイアス条件下で使用される場合、電気的特性は、例えば、電流とすることができる。更にまた、このような応答信号は連続的に監視することにより、被分析物の濃度の時間変化についての情報を決定することができる。
【0072】
一実施形態では、ガス・センサの応答は、NO排出物の2つの主成分であるNO及びNOに対して等感応性であるように調整することができる。限定するものではないが、NOの異なる濃度についてのガス・センサの応答比を含む応答特性は、限定するものではないが、ガス検知層内での酸素欠乏レベル、ガス検知層のホスト構成要素に添加される1種類以上のドーパント、ドーパントの添加レベル、ガス検知層の微細構造/形態、ガス検知層の結晶化度のレベル、ガス検知層内に存在する歪みのレベル、接着層内に存在する歪みのレベル、応答修正層内に存在する歪みのレベル、ガス検知を行っている間にガス検知層が維持される温度、ガス検知層の両端間に印加されるバイアスの種類及び性質、応答修正層の存在又は不存在、電極に対する及び下側に位置するガラスに対するガス検知層の接着のレベル、ガス検知層の気孔率及び/又は充填率、応答修正層の気孔率、電極の材料、大きさ、設計及び配置を含めて、複数のシステム・パラメータに左右されることがある。ガス検知層膜の微細構造/形態は、該膜を成長させるために使用される方法に左右されることがある。上記のシステム・パラメータの幾分かは相互に関連していることがある。別の実施形態では、限定するものではないが、NOの異なる濃度についてのガス・センサの応答比を含む応答特性は、限定するものではないが、環境内に存在する特定の一組のガス種目及び存在する異なる種目の個別の濃度を含む複数の環境パラメータに左右されることがある。例えば、ガス・センサが配置されている環境の湿度が、ガス・センサの応答特性に影響を及ぼす因子になることがある。
【0073】
一実施形態では、ガス検知層の中に添加される1種類以上のドーパントが、限定するものではないが、ベースライン抵抗、時間につれてのベースライン抵抗の安定性、温度につれてのベースライン抵抗の安定性、ガスの組成に対するベースライン抵抗の安定性、応答時間、回復時間を含む、ガス・センサの1つ以上の応答特性を変更するのに役立つことができる。
【0074】
提示される以下の測定において、使用されるガス・センサの構成要素は、それらの製造元及び/又は購買先に依存して明確な2つの群にグループ分けすることができる。5つの層、すなわち、基板層102、ヒータ層104、第1のガラス層106、温度検知層108及び第2のガラス層110は、商業上の製造供給元から調達された。他の全ての要素、すなわち、電極112、接着層114、応答修正層116及びガス検知層118は、本発明者によって設計され且つ具現化された。
【0075】
一実施形態では、ガス・センサのガス検知層を構成する材料を、次のプロトコルに従って混合粉末形態で調製した。すなわち、約3グラムの酸化タングステン(WO2.9 又はWO)粉末と、所望の1種類以上のドーパントの適当な塩の所要量の粉末又は溶体とを、IPA(イソプロピル・アルコール)又は水と共に瑪瑙の乳棒及び乳鉢で充分に混ぜ合わせる。1種類以上のドーパントの適当な塩としては、限定するものではないが、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩を挙げることができる。その結果得られた混合物を、室温で又はオーブン内で約100℃の温度で乾燥して、粉末を得た。この粉末を、空気/(1%H+N)雰囲気の炉内で熱処理した。熱処理の温度は、ガス検知層のホスト構成要素の中に添加される特定のドーパント(1種類又は複数の種類)に依存して500℃〜1000℃であった。次いで、粉末を室温まで自然に冷まして、ドーパント添加酸化タングステンの混合粉末を得た。別の実施形態では、ガス・センサのガス検知層を構成する材料を、次のプロトコルに従って配合物(blend) の形態で調製した。すなわち、約3グラムの酸化タングステン(WO2.9 又はWO)粉末と、所望の1種類以上のドーパントの適当な塩の所要量の粉末又は溶体とを、IPA又は水と共に瑪瑙の乳棒及び乳鉢で充分に混ぜ合わせた。1種類以上のドーパントの適当な塩としては、限定するものではないが、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、及び炭酸塩を挙げることができる。その結果得られた混合物は、室温で又は実験オーブン内で約100℃の温度で乾燥して、ドーパント添加酸化タングステンの配合粉末を得た。次いで、この配合粉末を室温まで自然に冷ました。
【0076】
一実施形態では、ガス・センサのガス検知層を構成する材料のスラリを次のようにして得た。すなわち、約0.126グラムの市販の結合材VOO6(Heraeus(商標)から得られる)と、約0.150グラムのテルピネオールとを乳棒及び乳鉢で混合しながら、前に得たドーパント添加酸化タングステンの混合粉末又は配合粉末をゆっくりと導入した。スラリの粘稠度がスクリーン印刷のために最適になったときに、混合粉末又は配合粉末を加えるのを停止した。何らかの特定の理論によって限定されないが、最適な粘稠度のスラリを得るために導入する必要のあるドーパント添加酸化タングステンの量は、ドーパント添加酸化タングステンの混合粉末又は配合粉末を構成する粒子の粒度分布につれて変化する。典型的には、最適な粘稠度のスラリを得るために必要とされるドーパント添加酸化タングステンの量は、約1.5グラム〜約2.2グラムである。
【0077】
一実施形態では、ガス・センサのガス検知層は次のようにスクリーン印刷法を用いて堆積した。すなわち、先ず(その上にPt電極が存在する)基板を、最適なメッシュ間隔及びメッシュ孔隙寸法を持つスクリーンの下に配置した。事前に得られたスラリを最適な量だけスクリーン・メッシュの上から基板の頂部に置いた。このスラリを、均等に刃のついたスクリーン印刷用ナイフを使用して強制的に3〜5回圧迫移動させることによりメッシュを通過させて、スラリの膜を基板上に堆積させた。次いで、スクリーンと基板とを注意深く分離させて、基板上のスラリを室温で一晩乾燥させた。このようにして得られた堆積膜に対して次のプロトコルに従って熱処理を施した。先ず、前記膜を空気雰囲気中で約1℃/分の速度で約300℃まで加熱した。次いで、雰囲気を空気又は(H+N)に変更して、典型的には約700℃〜約1000℃である最大処理温度まで約1℃/分の速度で加熱を継続した。最大処理温度に達した後は温度の変化を終了させて、温度を約1時間〜約6時間にわたって一定に保持した。その後、温度を約5℃/分の速度で室温まで低下させた。
【0078】
ガス検知層をスクリーン印刷により堆積する一実施形態におけるガス・センサの製造方法は、ガス・センサの生産を容易に拡大するのに順応させることができる。考え得るところでは、ガス・センサのガス検知層を堆積するスクリーン印刷法は、限定するものではないが、気孔率及び充填率のような因子を含めて、ガス検知層の形態の制御を容易に行えるようにすることができる。
【0079】
別の実施形態では、ガス検知層を次のようにペレットの形態で構成した。すなわち、先ず、事前に得た混合粉末又は配合粉末を約2重量%のPVA(ポリビニル・アルコール)結合剤溶液と混合した。このようにして得られた混合液を最適な時間にわたって乾燥させて、結合剤混合物を生成した。次いで、所要量の前記結合剤混合物を適切なダイへ移送して、手動又は流体圧プレスを使用して約4トン〜約8トンの圧力で圧成した。このようにして得られたペレットをダイから取り外した。次いで、この得られたペレットに、次のプロトコルに従って熱処理を施した。すなわち、先ず、ペレットを空気雰囲気中で約1℃/分の速度で約300℃まで加熱した。次いで、雰囲気を空気又は(H+N)に変更して、典型的には約700℃〜約1000℃である最大処理温度まで約1℃/分の速度で加熱を継続した。最大処理温度に達した後は温度の変化を終了させて、温度を約1時間〜約6時間にわたって一定に保持した。その後、温度を約5℃/分の速度で室温まで低下させた。ペレットの体積は前記熱処理中に変化することが起こり得る。
【0080】
一実施形態では、気孔率と、ガス・センサのガス検知層の製造に使用される粉末を構成する粒子の大きさ及び形状とは、限定するものではないが、1種類以上の被分析物に対する選択度、1種類以上の被分析物に対する感度、1種類以上の被分析物への露出時の応答時間、1種類以上の被分析物の除去時の回復時間、ベースライン抵抗、ベースライン抵抗の安定性、応答比を含む、ガス・センサの応答特性に影響を及ぼすことがある。
【0081】
ガス・センサの或る実施形態では、ガス検知層のホスト構成要素を酸化タングステンで構成した。典型的には、前記ガス検知層を形成するために使用された粉末は組成WO2.9 又はWOを持つ。典型的には、組成WO2.9 の粉末は、商業上の製造供給元から調達されて、その粒度(直径)分布は約34.8μmの平均値及び約17.4μmの標準偏差を持つ単峰形分布であった。他方、組成WOの粉末は、商業上の製造供給元から調達し、又は発明者自身で調製した。商業上調達した組成WOの粉末の粒度分布は、約5μmと約12μmに位置する2つのピークを持つ二峰形分布であった。自家製の組成WOの粉末は、HWOを約500℃で熱分解することによって得られ、その粒度分布は約1.2μmの平均値及び約0.6μmの標準偏差を持つ単峰形分布であった。
【0082】
何らかの特定の理論によって限定されないが、例えば、限定するものではないが、任意の所与の1種類以上の被分析物に対するガス・センサの応答時間、回復時間及び感度を含むガス・センサの応答特性は、ガス検知層の充填率の関数とすることができると信じられる。
【0083】
一実施形態では、堆積したままのガス検知層には水素ガスの存在下で焼鈍処理を施すことができる。何らかの特定の理論によって限定されないが、水素ガスの存在下で焼鈍処理は、その結果として、それと接触している隣接の層に対するガス検知層の接着性を失わせると考えられる。
【0084】
一実施形態では、ガス・センサを構成する相異なる層の中である程度の拡散が行われると予想される、すなわち、隣り合う層が、それらの接する場所で互いの中へ拡散すると考えられる。
【0085】
特定の実施形態のガス・センサの応答についての以下の測定結果は、以下のプロトコルに従って得られた。すなわち、先ず、1:9の比のO及びNガスで構成された混合ガスを、ガス・センサが取り付けられている室内に導入する。混合ガスの流量は、典型的には、1slm(標準リットル/分)である。次いで、約5ppm〜約500ppmの範囲内の指定された量のNOガスを、前記流れの中に、典型的には、5分〜約10分間にわたって導入する。約400℃の温度に維持されているガス・センサの応答を連続的に監視する。典型的には、ガス・センサの応答の上記測定は約72時間にわたって遂行される。応答時間は、試料室の中へNOガスを導入したときの応答の時間変化から求められる。回復時間は、全ての他の条件を同じに維持して、NOガスの流れをオフに切り換えることによって、同様にして決定される。NOガスの流れは、典型的には、20又は30分間にわたって除去される。回復時間は、試料室の中へのNOガスを除去したときの応答の時間変化から求められる。この一連の工程を繰り返すことにより、応答の再現性を決定することができる。
【0086】
一実施形態では、ガス・センサのガス検知層は、任意の所与の1種類(又は複数の種類)の被分析物に対する所望の及び/又は適切な応答を表示する前に、条件付けする必要があることがある。例えば、ガス検知層の堆積方法がスパッタリングであるとき、堆積したままのガス検知層はアモルファス(不定形)である可能性がある。この堆積したままのガス検知層は、例えばNOに対して、所望の又は適切な応答特性を表示できないことがある。何らかの特定の理論によって限定されないが、多数の因子の中でとりわけ、その結晶化度のレベル、及び/又は粒度、及び/又は粒界相互接続性、及び/又は気孔率、及び/又は充填率及び/又は充填密度を調整するようにガス検知層の形態を変更することは、結果としてガス・センサの応答特性を改善すると信じられる。窒素及び酸素(例えば、NO)を含有するガスの存在下で高い温度でガス検知層を焼鈍すると、結果としてガス検知層においてNOに対する所望の応答特性が生じることが判明した。
【0087】
ガス・センサの応答についての以下の測定結果は、厚さ方向に沿って約150μmであり且つ電極間の典型的な距離が1mmであるガス検知層について得られた。更に、ガス・センサの抵抗を測定した方向に沿ったガス検知層の断面積は、たぶんほぼ等しかった。
【0088】
図9は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中のドーパント種目がReであるときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ900である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示されたレベルのNOガス(50ppm)及びNOガス(50ppm)を相次いでガス・センサに供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約400℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ1.5を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約10000kΩの推定値を持つ。
【0089】
図10は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中のドーパント種目がVであるときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ1000である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示された相異なるppmレベルのNO及びNOガスを相次いで供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約450℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ1.5を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約95kΩの推定値を持つ。
【0090】
図11は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中に2種類のドーパント種目、すなわち、Re及びVが存在するときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ1100である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示されたレベルのNOガス(50ppm)及びNOガス(50ppm)を相次いでガス・センサに供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約400℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ2を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約400kΩの推定値を持つ。
【0091】
何らかの特定の理論によって限定されないが、ガス・センサのガス検知層のホスト構成要素の中に適切に選択された付加的なドーパント種目を添加することによって、ガス・センサのベースライン抵抗を調整することが可能であると考えられる。例えば、図9及び図11に示されている応答を持つガス・センサのベースライン抵抗を比較すると、2種類のドーパント、すなわち、Re及びVが存在するとき(図11)の(約400kΩの推定値を持つ)ベースライン抵抗が、1種類のドーパント、すなわち、Reが存在するとき(図9)の(約10000kΩの推定値を持つ)ベースライン抵抗よりも小さいことが分かる。同様にして、何らかの特定の理論によって限定されないが、ガス・センサのガス検知層のホスト構成要素の中に適切に選択された付加的なドーパント種目を添加することによって、ガス・センサのベースライン抵抗の相対的安定性を調整することが可能であると考えられる。
【0092】
図12は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中に2種類のドーパント種目、すなわち、Zr及びReが存在するときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ1200である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示されたレベルのNOガス(50ppm)及びNOガス(50ppm)を相次いでガス・センサに供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約400℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ1.5を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約5000kΩの推定値を持つ。
【0093】
図13は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中に2種類のドーパント種目、すなわち、Ta及びReが存在するときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ1300である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示されたレベルのNOガス(50ppm)及びNOガス(50ppm)を相次いでガス・センサに供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約400℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ2を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約7500kΩの推定値を持つ。
【0094】
何らかの特定の理論によって限定されないが、ガス・センサのガス検知層のホスト構成要素の中に適切に選択された1種類以上のドーパント種目を添加することによって、ガス・センサの応答時間及び回復時間を調整することが可能であると考えられる。例えば、ガス検知層のホスト構成要素の中に1種類のドーパント種目Reを添加した場合の図9に示されている応答を持つガス・センサの回復時間と、ガス検知層のホスト構成要素の中に2種類のドーパント種目、すなわち、Zr及びReを添加した場合の図12に示されている応答を持つガス・センサの回復時間とを比較すると、回復時間は図12に示されている応答を持つガス・センサの方がより速いことが分かる。同様に、ガス検知層のホスト構成要素の中に1種類のドーパント種目Reを添加した場合の図9に示されている応答を持つガス・センサの回復時間と、ガス検知層のホスト構成要素の中に2種類のドーパント種目、すなわち、Ta及びReを添加した場合の図13に示されている応答を持つガス・センサの回復時間とを比較すると、回復時間は図13に示されている応答を持つガス・センサの方がより速いことが分かる。
【0095】
図14は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中のドーパント種目がVであるときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ1400である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示された相異なるppmレベルのNO及びNOガスを相次いで供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約400℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ1.5を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約400kΩの推定値を持つ。
【0096】
図15は、ガス検知層のホスト構成要素が組成WO2.9 の粉末から得られた酸化タングステンであり、且つ該ホスト構成要素の中のドーパント種目がVであるときの、本発明の模範的な実施形態に従ったガス・センサの抵抗応答を時間につれて例示するグラフ1500である。測定は、電極間に100nA(ナノアンペア)に等しい固定電流を通しながら、4端子モードで行った。指示された相異なるppmレベルのNO及びNOガスを相次いで供給した。ガス・センサは、測定を行ったとき約450℃の温度に維持した。この場合、被分析物の第1の種目(NO)及び第2の種目(NO)の存在に起因する応答は、応答(抵抗の変化)比rr、すなわち、平均で、ほぼ1.5を誘起する。ベースライン抵抗は時間につれて安定であって、約95kΩの推定値を持つ。
【0097】
何らかの特定の理論によって限定されないが、ガス検知層のホスト構成要素の中に添加される1種類以上のドーパントが選択されている場合、ガス・センサが維持される温度によってガス・センサの応答特性を調整することが可能であると考えられる。例えば、ガス検知層のホスト構成要素の中に1種類のドーパント種目Vが添加されている場合の図14及び図15に示されている応答を持つガス・センサのベースライン抵抗を比較すると、ガス・センサの温度を400℃に維持したときに(図14)、ガス・センサの推定ベースライン抵抗が400kΩであるのに対して、ガス・センサの温度を450℃に維持したときは(図15)、ガス・センサのベースライン抵抗の推定値が95kΩになることが分かる。同様に、ガス・センサが維持される温度によってガス・センサの応答時間及び回復時間を調整することが可能であると考えられる。図14及び図15に示されているデータの応答時間及び回復時間を再度比較すると、ガス・センサが約400℃の温度に維持されているとき(図14)に比べて、ガス・センサが約450℃の温度に維持されているとき(図15)、応答時間並びに回復時間がより速くなることが分かる。同様に、ガス・センサが維持される温度によってガス・センサのベースライン抵抗の安定性を調整することが可能であると考えられる。図14及び図15に示されているデータのベースライン抵抗の安定性を再度比較すると、ガス・センサが約400℃の温度に維持されているとき(図14)に比べて、ガス・センサが約450℃の温度に維持されているとき(図15)、ベースライン抵抗の安定性が改善されることが分かる。同様に、ガス・センサのガス検知層に2種類のドーパント種目、すなわち、V及びReが添加されている場合の図16及び図17に示されている応答を持つガス・センサのベースライン抵抗を比較すると、ガス・センサの温度を400℃に維持したときに(図16)、ガス・センサの推定ベースライン抵抗が150kΩであるのに対して、ガス・センサの温度を450℃に維持したときは(図17)、ガス・センサのベースライン抵抗の推定値が40kΩになることが分かる。
【0098】
被分析物の流れが導入され/除去されたときにガス・センサの応答に関連した遅延時間は数十秒程度〜数百秒であろうと推定された。
【0099】
一実施形態では、ガス・センサは、内燃機関の排気中の少なくとも1種類の被分析物の濃度を監視し及び/又は測定するために使用することができる。例えば、ガス・センサは、自動車の排気システム内の少なくとも1種類の被分析物の最適な監視及び/又は測定のために位置決めすることができる。別の実施形態では、排気中の被分析物の濃度を監視し測定するために、複数のガス・センサを自動車の排気システム内の相異なる場所に位置決めすることができる。別の実施形態では、ガス・センサは、自動車内の任意の場所における少なくとも1種類の被分析物の濃度を監視し及び/又は測定するために使用することができる。例えば、ガス・センサは、自動車の車室内での被分析物の監視及び/又は測定の向上のために位置決めすることができる。別の実施形態では、自動車の車室内での少なくとも1種類の被分析物の最適な監視及び/又は測定のために1つ以上のガス・センサを位置決めすることができる。
【0100】
本発明のガス・センサの様々な実施形態はまた、限定するものではないが、アルミニウム、セメント、肥料、ガラス、ミネラル・ウール、電力、鋼、硫酸及び廃棄物焼却産業を含む様々な用途で、NOの排出を監視するために使用することができる。自動車産業では、本発明のガス・センサは、限定するものではないが、例えば、乗用車、軽商業車、大型貨物自動車、トラック及びバスを含むペトロール、ガソリン、ディーゼル・エンジン、内燃機関の自動車からのNOの排出を含めて、様々な用途における排出物を監視するために使用することができる。
【0101】
ガス・センサはまた、40C.F.R.§60及び40C.F.R.§75に概説されている米国環境保護庁連続排出物監視基準(CEMS)を満たすために使用することができる。ガス・センサは更に、欧州連合CEN排出物制限値を満たすために使用することができる。また更に、ガス・センサは、地方及び連邦の規制当局によって規定されるような「キャップ・アンド・トレード(cap and trade) 」割当量を決定するために連続排出物監視システムに用いることができる。
【0102】
別の面においては、ガス・センサはフリップ・チップ構成でカプセル封じ体内に配置される。フリップ・チップ構成では、ガス・センサは上下逆さまにして、装置の感応性区域を囲む区域を含む装置の頂部感応性表面区域の全てが監視対象のガスから保護されるようにする。追加の保護盤によりチップの背面を保護する。装置の感応性区域の真上に、チップの頂部表面が取り付けられるセラミック盤にスリット又は開口を設けることにより、ガスがガス検知層まで流れることができるようにする。高温で安定な伝導材料(例えば、Pt又はAu)の層を使用して、ガス・センサの構成要素をカプセル封じ層内のリード線に相互接続することができる。このフリップ・チップ構成は、疲労故障を生じ易い従来のワイヤ・ボンドよりも、振動がより大きく及び温度がより高い(例えば、500℃よりも高い)環境内で相互接続を可能にする。リード線に電極の少なくとも1つのような構成要素を接続するためにプラチナ及び/又は金の「バンプ(bump)」を用いる相互接続は、過酷な環境内でのガス・センサの使用を可能にするのに役立つ。
【0103】
一実施形態では、ガス・センサは、温度が約200℃〜約800℃である場所が存在する過酷な環境内で動作可能であるように構成することができる。別の実施形態では、ガス・センサは、温度が約200℃〜約600℃である場所が存在する過酷な環境内で動作可能であるように構成することができる。更に別の実施形態では、ガス・センサは、温度が約300℃〜約550℃である場所が存在する過酷な環境内で動作可能であるように構成することができる。
【0104】
ガス・センサの様々な実施形態は、実用寿命が長く(約1000時間)且つ非常に再現可能な読出し値を提供するので、費用効果が高い。これらのセンサの簡単なモジュール設計により製造プロセスを大量生産に容易に拡大することができるので、費用効果は更に向上される。
【0105】
ガス・センサはパッケージ内にカプセル封じすることができる。カプセル封じは、これらのガス・センサを用いる可能性のある過酷な環境内の高温且つ腐食性雰囲気からガス・センサを更に保護する。カプセル封じは、接着層、電極、第1のガラス層、サーモメータ、第2のガラス層、ヒータ及び基板(これらの自体はガスを検知しない)のような装置の要素の露出した表面を覆うように作用する。このカプセル封じはまた、下側に位置する層(基板)と結合部を形成して、時間の経過につれてガス・センサを劣化させる虞のあるガス及び腐食性物質(例えば、粒状物質、炭化水素)の流れを禁止するようにすることができる。カプセル封じのための適当な材料の例としては、限定するものではないが、炭化シリコン、アルミナを含んでいるようなセラミックをベースとしたエポキシ、ガラス、石英、窒化シリコン、二酸化シリコン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0106】
カプセル封じ層は、プラズマ強化化学蒸着法(PECVD)、低圧化学蒸着法(LPCVD)及びそれらの組合せのような任意の既知の方法によって堆積することができる。カプセル封じは、ガス検知層の少なくとも一部分が周囲ガスに露出した状態に留まるように為されている。カプセル封じの適用により、ガス・センサは過酷な環境内で保護されて、一層長い実用寿命を持つことができる。このような過酷な環境からの保護により、これらのガス・センサは、限定するものではないが、沸騰水型原子炉、自動車及び機関車のガソリン又はディーゼル・エンジン排気装置、工業プロセス(ガラス、アルミニウム、鋼、及び石油)プラント排気装置を含む種々様々の装置に使用できると考えられる。カプセル封じは更に、前述の環境の排気流の中に存在し得る粒状物質からガス・センサを保護する。このような粒状物質は、ガス・センサに付着し及び/又はガス・センサを腐食して、これにより排気ガスとガス・センサとの間の接触を妨げることによって排気ガスの検出を妨げるので、潜在的にガス・センサにとって有害である。
【0107】
これまで限られた数の実施形態のみに関連して本発明を詳しく説明したが、本発明がこのような開示した実施形態に制限されないことは容易に理解されよう。むしろ、本発明は、これまで述べていないが、本発明の精神及び範囲に相応するような多数の変形、変更、置換又は等価な構成を取り入れるように修正することができる。更に、本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の様々な面が上述の実施形態の幾分かのみを含むことがあることを理解されたい。従って、本発明は上記の説明によって制限されるものと考えるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されるだけである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の模範的な一実施形態に従ったNOガス・センサの概略断面図である。
【図2】本発明の模範的な一実施形態に従ったNOガス・センサにおける相互入り組み形の電極の概略上面図である。
【図3】本発明の模範的な別の実施形態に従ったNOガス・センサにおけるインライン形の電極の概略上面図である。
【図4】本発明の模範的な別の実施形態に従った、ガス・センサの検知層上の電極の配置法を表す概略図であり、電極は横に並べた配置構成で配置されている。
【図5】本発明の模範的な別の実施形態に従った、ガス・センサの検知層上の電極の配置法を表す概略図であり、電極は埋め込み配置構成で配置されている。
【図6】本発明の模範的な別の実施形態に従った、ガス・センサの検知層上の電極の配置法を表す概略図であり、電極は両端配置構成で配置されている。
【図7】本発明の模範的な一実施形態に従った、NOガス・センサの製造方法を表す流れ図である。
【図8】本発明の模範的な一実施形態に従った、被分析物を検出するための方法を表す流れ図である。
【図9】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層の中のドーパント種目がReである場合に、50ppmのNOガス・レベル及び50ppmのNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図10】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層の中のドーパント種目がVである場合に、指示された相異なるNO及びNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図11】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層に2つのドーパント種目Re及びVが添加されている場合に、50ppmのNOガス・レベル及び50ppmのNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図12】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層に2つのドーパント種目Zr及びReが添加されている場合に、50ppmのNOガス・レベル及び50ppmのNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図13】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層に2つのドーパント種目Ta及びReが添加されている場合に、50ppmのNOガス・レベル及び50ppmのNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図14】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層の中のドーパント種目がVである場合に、指示された相異なるNO及びNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図15】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層の中のドーパント種目がVである場合に、指示された相異なるNO及びNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図16】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層に2種類のドーパント種目V及びReが添加されている場合に、指示された相異なるNO及びNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【図17】本発明の模範的な一実施形態に従って、ガス・センサのガス検知層に2種類のドーパント種目V及びReが添加されている場合に、指示された相異なるNO及びNOガス・レベルに露出したときのガス・センサの応答の変化を表すグラフである。
【符号の説明】
【0109】
100 ガス・センサ
102 基板層
104 ヒータ層
106 第1のガラス層
108 温度検知層
110 第2のガラス層
112 少なくとも1つの電極
114 接着層
116 応答修正層
118 ガス検知層
120 ガス検知表面
200 ガス・センサ
202 相互に入り込む配置構成の電極
204 ヒータ層
300 ガス・センサ
302 インライン形の配置構成の電極
304 ヒータ層
400 ガス検知層上の電極の実施形態
402 ガス検知層
404 横に並べた配置構成
406 電気伝導材料のワイヤ
500 ガス検知層上の電極の実施形態
502 ガス検知層
504 埋め込み配置構成
506 電気伝導材料のワイヤ
600 ガス検知層上の電極の実施形態
602 ガス検知層
604 両端配置構成
606 電気伝導材料のワイヤ
700 ガス・センサを製造するための方法
800 被分析物を検出するための方法
900 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1000 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1100 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1200 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1300 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1400 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1500 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1600 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ
1700 ガス・センサの抵抗応答を示すグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス検知層と、
少なくとも1つの電極と、
接着層と、
前記ガス検知層及び前記接着層に隣接する応答修正層と、
を含むガス・センサ。
【請求項2】
前記ガス検知層は化学式
【化1】

を持つ少なくとも1種類の化学組成物とドーパントとを含んでおり、
ここで、Lは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、P、Tb及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の元素であり、
また、Mは、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Nb、Mo、Ru、La、Ta、W、Ga、In、Sn、Sb、Bi、Ce、Sm、Gd及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の元素であり、
また、α,β,γは自己無撞着である、請求項1記載のガス・センサ。
【請求項3】
前記ガス検知層には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、P、Tb、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ta、W、Ga、In、Sb、Bi、Ce、Sm、Gd、Cd、Re、Pt、Ge、Cr、Pb、Lu、Nd、Pr、Eu及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類のドーパントが添加されている、請求項2記載のガス・センサ。
【請求項4】
β>0のときのみα>0であり、またα≦βである、請求項2記載のガス・センサ。
【請求項5】
前記接着層は、Ti、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の化学元素を含んでいる、請求項1記載のガス・センサ。
【請求項6】
前記応答修正層は、Mg、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ta、W、In、Sn、Sb、Bi、Sm、Re、Pt、Ge、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の化学元素を含んでいる、請求項1記載のガス・センサ。
【請求項7】
ガスを輸送するための排気システムと、ガス・センサとを含むシステムであって、前記ガス・センサが、
ガス検知層と、
少なくとも1つの電極と、
接着層と、
前記ガス検知層及び前記接着層に隣接する応答修正層と、
を含んでいる、システム。
【請求項8】
ガス・センサを製造する方法であって、
加熱層を配置する工程と、
前記加熱層に隣接して第1のガラス層を配置する工程と、
前記加熱層に隣接して温度検知層を配置する工程と、
前記温度検知層に隣接して第2のガラス層を配置する工程と、
前記第2のガラス層に隣接して少なくとも1つの電極を配置する工程と、
前記少なくとも1つの電極に隣接して接着層を配置する工程と、
前記接着層に隣接して応答修正層を配置する工程と、
前記応答修正層に隣接してガス検知層を配置する工程と、
を含んでいる方法。
【請求項9】
前記ガス検知層は、化学式
【化2】

を持つ少なくとも1種類の化学組成物を含んでおり、
ここで、Lは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Cu、Zr、Hf、Al、Si、P、Tb及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の元素であり、
また、Mは、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Nb、Mo、Ru、La、Ta、W、Ga、In、Sn、Sb、Bi、Ce、Sm、Gd及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の元素であり、
また、α,β,γが自己無撞着である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種類の金属酸化物化合物及び少なくとも2種類のドーパント種目で構成された検知層であって、過酷な環境内で、NO、NO、NH、HO及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の被分析物を検出することのできるガス検知層と、
前記ガス検知層と連通状態にある少なくとも1つの電極と、
Ti、Cr及びそれらの組合せより成る群から選択された化学元素で構成された接着層と、
Ti、Re、Ni、Ta、Nb、Mo、Zr及びそれらの組合せより成る群から選択された少なくとも1種類の化学元素で構成されていて、前記ガス検知層及び前記接着層に隣接している応答修正層と、を含み、
前記金属が、W、Ta及びNbより成る化学元素群から選択されており、また
前記ドーパント種目が、Re、Ni、V、Ta、Nb、Mo及びZrより成る化学元素群から選択されていること、
を特徴とするガス・センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−150884(P2009−150884A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320385(P2008−320385)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】