説明

ガス・ツー・リキッド基油を含む潤滑剤組成物

【課題】 潤滑剤組成物、潤滑剤組成物の用途、および潤滑剤組成物を使用する装置を潤滑する方法。
【解決手段】 当潤滑剤組成物には、ガス源から得られた第一の基油と、任意的に石油源から得られた第二の基油から成る基油成分が含まれる。潤滑剤組成物の基油成分としては、約5から約100重量パーセントの、ガス源から得られた基油が挙げられる。アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、およびそれらの物質二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループの中から選択された添加剤および可溶化剤もまた、当潤滑剤組成物中に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は潤滑剤組成物、特にガス・ツー・リキッド基油をベースストック成分として含む潤滑剤に関連する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンや石油製品の需要が高まるにつれ、石油備蓄は減少を続けている。エネルギーの需要が増加し続けるため、このような備蓄のより多くはガソリンや燃料油製品の生産のために使用され、潤滑剤ベースストックの生産にむけられる備蓄はほとんどない。例えば、C−Cのアルカンを液化石油ベースストックに変換する方法が考案されてきた。
【0003】
しかしながら、埋め立てガス、石油掘削作業によるオフガス、メタン、天然ガス、その他を含み、またそれらに限定されない石油製品に変換される成分を提供するために、様々なガス源が使用される。従来のベースストックとは異なった特性を有する、このような新しい潤滑剤ベースストック源を考慮すると、特定の用途に適した潤滑剤を提供するためにベースストックに添加する添加剤組成物が必要となる。
【発明の開示】
【0004】
上述に関し、本開示の例示的実施例は、潤滑剤組成物、当潤滑剤組成物の用途、および当潤滑剤組成物を使用した装置の潤滑方法を提供している。当潤滑剤組成物には、ガス源から得られる第一の基油を含む第一の基油成分が含まれる。第一の基油の粘度指数は約115以上であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄を含み、また約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有することを特徴とする。石油源から得られる第二の基油は、第一の基油に任意的に含まれていることがあり、このとき当潤滑剤組成物の基油成分には約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれる。当潤滑剤組成物には、アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、および上述の物質の二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された、約1から約30重量パーセント、あるいはそれ以上の可溶化剤もまた含まれる。添加剤成分はまた、第一の基油内にも提供されている。
【0005】
従来の潤滑剤組成物とは異なり、本明細書に記載の組成物にはガス源から得られた主要な基油成分が含まれる。このような基油は、ガソリン、燃料油、ジェット燃料、その他のような燃料の生産のための液化炭化水素源の再配分を可能にする。また、ガス源を液体の潤滑剤製品に変換することにより、燃料としての用途で使用することのできない副産物やオフガスの燃焼を減少させることもできる。一般に、このような基油の粘度指数は極めて高く、耐酸化性は優れており、また流動点も良好である。本明細書に記載の潤滑剤組成物のその他の利点は、本開示の例示的な実施例の詳細な説明から明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書における「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」という用語は、当技術分野に精通した技術者に周知の通常の意味で使用されている。具体的には、炭素原子が分子の他の部分に直接結合しており、また主に炭化水素の特性を有している基をさす。ヒドロカルビル基の例としては、以下のものが挙げられる:
(1)炭化水素置換基、すなわち脂肪族(例えばアルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、および芳香族置換、脂肪族置換、そして脂環置換の芳香族置換基、また環が分子の他の部分によって完結されている(例えば二つの置換基が一緒に脂環式ラジカルを形成する)ような環状置換基;
(2)置換炭化水素置換基、すなわち非炭化水素基(例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を含んだ置換基であって、本明細書の文脈における、主に炭化水素の置換基であることが変化しない置換基;
(3)ヘテロ置換基、すなわち、本記載の文脈において、主として炭化水素の特性を有しながら、そうでなければ炭素から成る環または鎖中に炭素以外を含む置換基。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、窒素があり、またピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基が含まれる。通常、ヒドロカルビル基内の炭素原子10個につき二つ以下、通例は一つ以下の非炭化水素置換基が存在する。一般的にはヒドロカルビル基内に非炭化水素置換基は存在しない。
【0007】
基油成分
本明細書に記載の潤滑剤組成物の基油成分には、ガス源から得られた第一の基油が含まれる。ガス源としては、天然ガス、メタン、C−Cのアルカン、埋め立てガス、その他の多様な物質が含まれる。このようなガスは、その開示が本明細書に参照することにより組み込まれている米国特許第6,497,812号に記載の行程のようなガス・ツー・リキッド(GTL)行程で、潤滑剤基油として使用するのに適した液化炭化水素製品に変換される。本開示の目的のため、「ガス」または「ガス源」とは、室温および大気圧下で気態である物質を意味する。また「液体」とは、室温および大気圧下で主に液体あるいは流体状である物質を意味する。
【0008】
GTL行程には次の二つの主要ステップがある。(1)気体中に存在する物質の、主に一酸化炭素と水素から成る合成ガスへの変換;およびフィッシャー・トロプシュ反応に基づいた反応における、当該合成ガスの合成原油への変換。様々な触媒および/または触媒系を使用した、気体炭化水素源の直接的変換もまたGTL行程として使用されることがある。
【0009】
一般に、ガス源から得られた基油(以後「GTL基油」と呼ぶ)の粘度指数は約130より大、硫黄量は約0.3重量パーセント未満、約90重量パーセントより大の飽和炭化水素(イソパラフィン類)、一般に約95から約100重量%の分岐脂肪族炭化水素を含み、流動点は−15℃から−20℃以下、およびNOACK揮発度は約15重量パーセント未満、また別の実施例でのNOACK揮発度は約10重量パーセント未満である。GTL基油のその他の特性も従来の潤滑剤基油の範囲内であり得る。本明細書に記載されるように、潤滑剤組成物の基油成分には、従来の基油と同じ基油成分のバランスで、約5から約100重量パーセントのGTL基油が含まれる。GTL基油内の分岐アルカンの含有量が特徴的に高いため、このようなGTL基油から作られた完成した潤滑剤調合物には、完成した潤滑剤調合物中の添加剤や分解産物の可溶化に役立つ可溶化剤が含まれる。以下に適切な可溶化剤の説明をする。
【0010】
潤滑剤組成物を提供するためにGTL基油と任意的に結合する従来の基油として、米国石油協会(API)の基油の互換性ガイドラインに規定されたグループI−Vの、天然および合成の基油がある。このような基油のグループを以下に示す:
【0011】
【表1】

【0012】
本明細書に記載の例示的実施例において有用な清浄剤/抑制剤(DI)パッケージには、粘度指数向上剤、分散剤、摩擦低減剤、腐食防止剤、防錆剤、酸化防止剤、清浄剤、シール膨張剤、極圧添加剤、耐摩耗添加剤、流動点降下剤、消臭剤、消泡剤、乳化破壊剤、染料、増粘剤および蛍光着色剤から成るグループから選択された、一つまたはそれ以上の従来の添加剤が含まれることがある。一般にDIパッケージの量は、グリース組成物の総重量に対し、0.5から25重量パーセントである。
【0013】
可溶化剤
本開示の潤滑剤組成物中に、可溶化剤が使用されることがある。適切な可溶化剤には、油溶性エステルおよびジエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、およびアルキル化ベンゼンが含まれるが、それらに限定するものではない。当技術分野で知られているその他の可溶化剤もまた本明細書において検討されている。可溶化剤として使用され得るエステルおよびジエステルとしては、例えばアジピン酸エステルやポリオールエステルがある。例示的なジエステルとしては、C−C13のアルカノール(またはそれらの混合物)のアジピン酸塩、アゼライン酸塩、およびセバシン酸塩、C−C13のアルカノール(またはそれらの混合物)のフタル酸塩などが挙げられる。二種類以上の異なったタイプのジエステルの混合物(例えばアジピン酸ジアルキル、アゼライン酸ジアルキル、etc.)もまた使用されることがある。このような物質の例には、アジピン酸、アゼライン酸、およびセバシン酸のn−オクチル、2−エチルヘキシル、イソデシル、またはトリデシルジエステル、およびn−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびトリデシルのフタル酸ジエステル等が含まれる。完成した潤滑剤調合物内の可溶化剤の量は様々であり、一つの実施例では完成した潤滑剤調合物の約1から約30重量パーセント、一般的には完成した潤滑剤調合物の約5から約15重量パーセントである。
【0014】
粘度指数向上剤
本明細書に記載された完成した潤滑剤組成物中で使用される粘度指数向上剤は、オレフィン(コ)ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物の中から選択される。適切な粘度指数向上剤には、少なくとも一つのオレフィン(コ)ポリマーと少なくとも一つのポリアルキル(メタ)アクリレートを、オレフィン(コ)ポリマー対ポリアルキル(メタ)アクリレートの比率20:1から1:2で含んでいる、ポリマーの混合物が含まれる。本明細書に記載の完全に調合された潤滑剤組成物には、0.1から40重量%のオレフィン(コ)ポリマー、および0.1から20重量%のポリアルキル(メタ)アクリレートが含まれることがある。
【0015】
使用されるオレフィン(コ)ポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定された数平均分子量が1,000から10,000、例えば1,000から3,000である、C−C10のオレフィンのポリマー化によって得られた、ホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーである。C−C10のオレフィンには、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、イソプレン、1−オクテンおよび1−デセンが含まれる。例示的な(コ)ポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、および1−ブテン/イソブチレンコポリマー、またそれらのポリマーの混合物などがある。
【0016】
使用されるポリアルキル(メタ)アクリレートは、C−C30の(メタ)アクリレートのポリマー化によって作られる。これらのポリマーの調製にはさらに、ポリアルキル(メタ)アクリレートによりすぐれた分散性などの付加的な特性を提供する、窒素含有官能基、ヒドロキシ基、および/またはアルコキシ基を有するアクリルモノマーの使用が含まれることがある。ポリアルキル(メタ)アクリレートの数平均分子量は10,000から250,000、例えば20,000から200,000である。ポリアルキル(メタ)アクリレートは、フリーラジカルまたはアニオン性ポリマー化など、従来の方法によって作られる。
【0017】
分散剤
本明細書に記載の潤滑剤組成物中で有用な分散剤は、少なくとも一つの、分子中に塩基性窒素および/または少なくとも一つのヒドロキシル基を有する油溶性無灰分散剤を含んでいる。適切な分散剤としては、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸エステルアミド、マンニッヒ塩基、ヒドロカルビルポリアミン、またはポリマー性ポリアミンが含まれる。
【0018】
そのコハク酸基が少なくとも30の炭素原子を含んだヒドロカルビル置換基を含んでいるアルケニルコハク酸イミドは、例えば米国特許第3,172,892号、3,202,678号、3,216,936号、3,219,666号、3,254,025号、3,272,746号、および4,234,435号に記載されている。このようなアルケニルコハク酸イミドは、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定された数平均分子量が約200から約2100の範囲内の、ポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)から得られる。アルケニルコハク酸エステルや、2−20の炭素原子と2−6のヒドロキシル基を含んだ多価アルコールのジエステルを、リンを含んだ無灰分散剤の形成に使用することができる。代表的な例が、米国特許第3,331,776号、3,381,022号、および3,522,179号に記載されている。これらのエステルのアルケニルコハク酸部分は、上述のコハク酸イミドのアルケニルコハク酸部分に相当する。
【0019】
リン酸化された無灰分散剤の形成に適したアルケニルコハク酸エステルアミドは、例えば米国特許第3,184,474号、3,576,743号、3,632,511号、3,804,763号、3,836,471号、3,862,981号、3,936,480号、3,948,800号、3,950,341号、3,957,854号、3,957,855号、3,991,098号、4,071,548号、および4,173,540号に記載されている。
【0020】
リン酸化され得るヒドロカルビルポリアミン分散剤は通常、平均少なくとも約40の炭素原子を含んだ脂肪族または脂環式ハロゲン化合物(あるいはそれらの混合物)を、一つまたはそれ以上のアミン、一般にポリアルキレンポリアミンと反応させることによって作られる。このようなヒドロカルビルポリアミン分散剤の例が、米国特許第3,275,554号、3,394,576号、3,438,757号、3,454,555号、3,565,804号、3,671,511号、および3,821,302号に記載されている。
【0021】
通常、ヒドロカルビル置換のポリアミンは、分子中に塩基性窒素を含む、高分子量のヒドロカルビル−N−置換のポリアミンである。一般にヒドロカルビル基は、GPCによっ
て測定された数平均分子量が約750−10,000の範囲、より一般的には1,000−5,000の範囲であり、適切なポリオレフィンから得られる。例示的なヒドロカルビル置換のアミンあるいはポリアミンは、ポリイソブテニルクロライド、および2から約12のアミン窒素原子と2から約40の炭素原子を有するポリアミンから作られる。
【0022】
マンニッヒ塩基分散剤は通常、1つから約7つの炭素原子を含んだ一つまたはそれ以上の脂肪族アルデヒド(特にホルムアルデヒドとそれらの誘導体)およびポリアミン(特にポリアルキレンポリアミン)と、環上に長鎖アルキル置換基のあるアルキルフェノールの反応生成物である。マンニッヒ縮合物の例、およびその生成方法は、米国特許第2,459,112号、2,962,442号、2,984,550号、3,036,003号、3,166,516号、3,236,770号、3,368,972号、3,413,347号、3,442,808号、3,448,047号、3,454,497号、3,459,661号、3,493,520号、3,539,633号、3,558,743号、3,586,629号、3,591,598号、3,600,372号、3,634,515号、3,649,229号、3,697,574号、3,703,536号、3,704,308号、3,725,277号、3,725,480号、3,726,882号、3,736,357号、3,751,365号、3,756,953号、3,793,202号、3,798,165号、3,798,247号、3,803,039号、3,872,019号、3,904,595号、3,957,746号、3,980,569号、3,985,802号、4,006,089号、4,011,380号、4,025,451号、4,058,468号、4,083,699号、4,090,854号、4,354,950号、および4,485,023号に記載されている。
【0023】
無灰分散剤としての使用に適したポリマー性ポリアミン分散剤は、塩基性アミン基および油可溶化基(例えば少なくとも約8の炭素原子を有するペンダントアルキル基)を含むポリマーである。このような物質は、デシルメタクリレート、ビニルデシルエーテル,または比較的高分子量のオレフィンのような各種モノマーと、アミノアルキルアクリレートおよびアミノアルキルアクリルアミドから形成されるインターポリマーによって例証される。ポリマー性ポリアミン分散剤の例は、米国特許第3,329,658号、3,449,250号、3,493,520号、3,519,565号、3,666,730号、3,687,849号および3,702,300に説明されている。
【0024】
上述の様々な種類の無灰分散剤を、米国特許第3,184,411号、3,342,735号、3,403,102号、3,502,607号、3,511,780号、3,513,093号、3,513,093号、4,615,826号、4,648,980号、4,857,214号および5,198,133号に記載の方法によりリン酸化することができる。
【0025】
本開示の分散剤は、ホウ酸化されていることもある。上述の様々な種類の無灰分散剤をホウ酸化する方法は、米国特許第3,087,936号、3,254,025号、3,281,428号、3,282,955号、2,284,409号、2,284,410号、3,338,832号、3,344,069号、3,533,945号、3,658,836号、3,703,536号、3,718,663号、4,455,243号および4,652,387号に記載されている。
【0026】
前記の無灰分散剤をリン酸化およびホウ酸化する適切な手順は、米国特許第4,857,214号および5,198,133号に説明されている。
【0027】
「活性成分に基く」(すなわち一般的にそれらに付随する不純物、希釈剤および溶媒の重量を除いた)無灰分散剤の量は、完成した油に対し、通常約0.5から約7.5重量パ
ーセント(重量%)の範囲内、一般的には約0.5から5.0重量%の範囲、特には約0.5から約3.0重量%の範囲内、また通例約2.0から約3.0重量%の範囲内である。
【0028】
摩擦低減剤
特定の用途については、完成したグリース調合物の調整に一つまたはそれ以上の摩擦低減剤を使用することが望ましい。適切な摩擦低減剤には、脂肪族アミンまたはエトキシ化された脂肪族アミン、脂肪族脂肪酸アミド、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸エステルアミド、脂肪族ホスホン酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族チオホスホン酸塩、脂肪族チオリン酸塩、有機モリブデン化合物、またはそれらの混合物のような化合物が含まれる。脂肪族基には一般に、化合物に適切な油溶性を与えるため、少なくとも八つの炭素原子が含まれる。一つまたはそれ以上の脂肪族コハク酸またはその無水物とアンモニアを反応させることによって形成される脂肪族置換のコハク酸イミドもまた適切である。
【0029】
摩擦低減剤の一つの例示的グループには、N−脂肪族ヒドロカルビル置換基が約14から約20の炭素原子を有する、アセチレン不飽和のない少なくとも一つの直鎖脂肪族ヒドロカルビル基であるような、N−脂肪族ヒドロカルビル置換のジエタノールアミンが含まれる。
【0030】
例示的な摩擦低減剤の混合物には、少なくとも一つのN−脂肪族ヒドロカルビル置換のジエタノールアミンと、N−脂肪族ヒドロカルビル−置換基が約14から約20の炭素原子を有する、アセチレン不飽和のない少なくとも一つの直鎖脂肪族ヒドロカルビル基であるような、少なくとも一つのN−脂肪族ヒドロカルビル置換のトリメチレンジアミンとの組み合わせが含まれる。この摩擦低減剤系についての詳細は、米国特許第5,372,735号および5,441,656号に説明されている。
【0031】
また別の適切な摩擦低減剤混合物は、(i)各ヒドロキシアルキル基が、同一であれ異なるものであれ、それぞれ2つから約4つの炭素原子を含み、このとき脂肪族基が約10から約25の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル基であるような、少なくとも一つのジ(ヒドロキシアルキル)脂肪族第3アミンと、(ii)ヒドロキシアルキル基が2つから約4つの炭素原子を含み、このとき脂肪族基が約10から約25の炭素原子を含む非環式ヒドロカルビル基であるような、少なくとも一つのヒドロキシアルキル脂肪族イミダゾリンとの組み合わせを基盤としている。この摩擦低減剤系についての詳細については、米国特許第5,344,579号を参照。
【0032】
摩擦低減剤の使用は任意的なものである。しかしながら、摩擦低減剤が使用されるような用途では、完成した潤滑剤調合物には、約1.25重量%まで、通常は約0.05重量%から約1重量%の一つまたはそれ以上の摩擦低減剤が含まれる。
【0033】
抑制剤
本明細書に記載の完成した潤滑剤組成物は、一般にいくつかの抑制剤を含む。この抑制剤成分は、錆止め、腐食防止、および発泡防止を含む、様々な役目を果たす。抑制剤は、完成した潤滑剤組成物中で使用される一つまたはそれ以上の他の成分を含む、予め形成された添加剤パッケージに加えられる。また一方、これらの抑制剤成分は、個々にまたは様々なサブコンビネーションの形で加えられる。使用される抑制剤の量は妥当な範囲内で様々ではあるが、一般に本開示の完成した潤滑剤組成物の、活性成分に基く(すなわち一般的にそれらに付随する溶媒や希釈剤のような不活性物質の重量を除いた)抑制剤の総合含有量は、約0重量%から約15重量%である。
【0034】
発泡防止剤は、完成した潤滑剤組成物中の抑制剤成分としての使用にふさわしい、一つのタイプの抑制剤を形成する。有用な発泡防止剤として、シリコーン、ポリアクリレート、界面活性剤などが含まれる。
【0035】
完成した潤滑剤組成物中に含まれるのに適したもう一つの添加剤に銅腐食防止剤がある。このような化合物には、チアゾール、トリアゾール、およびチアジアゾールが含まれる。このような化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、オクチルトリアゾール、デシルトリアゾール、ドデシルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルジチオ−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ヒドロカルビルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、および2,5−ビス(ヒドロカルビルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどが挙げられる。一つの実施例では、当化合物は市販の商品として入手可能な1,3,4−チアジアゾール、またトリルトリアゾールと2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどの1,3,5−チアジアゾールとの組み合わせのような、トリアゾールの組み合わせである。1,3,4−チアジアゾールは通常、既知の手順により、ヒドラジンと二硫化炭素から合成される。例えば、米国特許第2,765,289号、2,749,311号、2,760,933号、2,850,453号、2,910,439号、3,663,561号、3,862,798号および3,840,549号を参照されたい。
【0036】
錆または腐食防止剤には、完成した潤滑剤組成物中で使用される別のタイプの抑制剤が含まれる。このような物質には、モノカルボン酸およびポリカルボン酸が含まれる。適切なモノカルボン酸の例に、オクタン酸、デカン酸、およびドデカン酸などがある。適切なポリカルボン酸としては、トールオイル脂肪酸、オレイン酸、リノレイン酸などの酸から作られたような、ダイマー酸およびトリマー酸が挙げられる。
【0037】
本開示の潤滑剤組成物中での使用に有用な別のタイプの防錆剤は、例えばテトラプロペニルコハク酸、テトラプロペニル無水コハク酸、テトラデセニルコハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸などの、アルケニルコハク酸およびアルケニル無水コハク酸の腐食防止剤から成る。ポリグリコールのようなアルコールと、アルケニル基中に8から24の炭素原子を有する、アルケニルコハク酸の半エステルもまた有用である。その他の適切な錆または腐食防止剤としては、エーテルアミン;酸性リン酸塩;アミン;エトキシル化アミン、エトキシル化フェノール、およびエトキシル化アルコールのようなポリエトキシル化化合物;イミダゾリン;アミノコハク酸あるいはその誘導体、その他が含まれる。これらのタイプの物質は市販の商品として入手が可能である。このような錆または腐食防止剤の混合物を使用することもできる。
【0038】
酸化防止剤
また本開示の完成した潤滑剤調合物中には、酸化防止剤が存在することもある。適切な酸化防止剤には、中でもフェノール系酸化防止剤、芳香族系アミン酸化防止剤、硫化フェノール系酸化防止剤および有機亜リン酸塩などが含まれる。フェノール系酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、t−ブチル化フェノールの液体混合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、混合メチレン架橋ポリアルキルフェノール、および4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)が含まれる。N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4−イソプロピルアミノジフェニルアミン、フェニル−ナフチルアミン、フェニル−ナフチルアミンおよび環−アルキル化ジフェニルアミンが芳香族アミン酸化防止剤の例として目的に適う。一つの実施例で、酸化防止剤は、立体的に込み合った
t−ブチル化フェノール、環アルキル化ジフェニルアミン、およびそれらの組み合わせである。
【0039】
完成した潤滑剤組成物を提供するために使用される抑制剤成分および酸化防止剤の量は、ある程度まで完成した潤滑剤中で使用される場合の成分の組成およびその効果によって決まる。しかしながら、一般的には、完成した潤滑剤組成物には有効成分に基く、以下の重量パーセント濃度の抑制剤成分および酸化防止剤が含まれる:
【0040】
【表2】

【0041】
清浄剤
金属含有あるいは灰形成清浄剤は、堆積物を減少させたり除去したりする清浄剤と、酸中和剤または防錆剤の両方の役割を果たし、それにより摩耗や腐食を減少し、またクランクケース用に使用される潤滑剤調合物についてエンジンの寿命を延長させる。清浄剤は通常長い疎水性尾部を有する極性頭部から成り、極性頭部には酸性有機化合物の金属塩が含まれる。この塩には化学量論的な量の金属が含まれることがあり、その場合これらは正塩あるいは中性塩と呼ばれ、その全塩基価または(ASTM D2896によって測定された)TBNは一般に0から150未満である。過剰量の酸化物あるいは水酸化物などの金属化合物と二酸化炭素のような酸性気体を反応させることにより、多量の金属塩が生じさせることができる。結果として得られる過塩基性清浄剤には、無機金属塩(例えば水和炭酸塩)の中心を囲む中和された清浄剤のミセルが含まれる。このような過塩基性清浄剤のTBNは150あるいはそれ以上、一般的には250から450、またはそれ以上の範囲内である。
【0042】
使用される清浄剤は、油溶性中性および過塩基性の金属、特に、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、およびマグネシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属のスルホン酸塩、フェネート塩、硫化フェネート塩、およびサリチル酸塩を含む。最も一般的に使用される金属は、カルシウムとマグネシウムであり、それらは両方とも存在していることがある。カルシウムおよび/またはマグネシウムとナトリウムとの混合物もまた使用される。特に便利な金属清浄剤には、TBNが20から450TBNの中性および過塩基性カルシウムまたはマグネシウムスルホン酸塩、TBNが50から450の中性および過塩基性カルシウムまたはマグネシウムフェネート塩および硫化フェネート塩、そしてTBNが130から350の中性あるいは過塩基性カルシウムまたはマグネシウムサリチル酸塩などがある。これらの塩の混合物もまた使用されることがある。使用される場合、少なくとも一つの過塩基性清浄剤が存在することが望ましい。
【0043】
スルホン酸塩は、石油の分別または芳香族炭化水素のアルキル化によって得られるアルキル置換の芳香族炭化水素をスルホン化することによって一般的に得られるスルホン酸から作られる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニルまたはクロロベンゼン、クロロトルエン、およぶクロロナフタレンなどのようなそれらのハロゲン誘導体をアルキル化することによって得られるものがある。このアルキル化は、3つから70より多い炭素原子を有するアルキル化剤を含む触媒の存在下で行われる。アルカリールスルホン酸塩には、アルキル置換の芳香族一部分につき通常9つから80あるいはそれ以上の炭素原子、一般に16から60の炭素原子が含まれる。
【0044】
油溶性スルホン酸塩またはアルカリールスルホン酸塩は、酸化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、カルボン酸塩、硫化物、水硫化物、硝酸塩、ホウ酸塩、およびアルカリ金属のエーテルなどで中和される。金属化合物の量は最終的な製品に望まれるTBNを考慮に入れて選択されるが、一般に化学量論的な必要値の100から220重量%(望ましくは少なくとも125重量%)の範囲内である。
【0045】
アルキルフェノールおよび硫化アルキルフェノールの金属塩は、酸化物、水酸化物、またはアルコキシドのような適切な金属化合物の反応によって作られ、また過塩基性製品は当技術分野で周知の方法によって得られる。硫化アルキルフェノールは、アルキルフェノールと、硫化水素、硫黄モノハロゲン化物、または硫黄ジハロゲン化物などの硫黄化合物または硫黄含有化合物とを反応させることによって作られ、通常2つまたはそれ以上のフェノールが硫黄含有架橋によって架橋されている化合物の混合である製品が形成される。出発アルキルフェノールには一つまたはそれ以上のアルキル置換基が含まれる。これらは分岐あるいは非分岐性であり、置換基の数に依存して、1つから30の炭素原子(アルキルフェノールが油溶性であるという条件で)を有しているが、炭素原子の数が9つから18である場合が特に適切である。アルキルフェノールと別のアルキル置換基との混合物が使用されることもある。
【0046】
カルボン酸(サリチル酸を含む)の金属塩は、いくつかの方法で作られる:例えば、塩基性の金属化合物をカルボン酸(スルホン酸のような別の有機酸との混合物の一部であることもある)またはその金属塩とプロモーターを含む反応混合物に加え、反応混合物から遊離水を除去して金属塩を形成し、反応混合物にさらに塩基性金属化合物を加えて当反応混合物から遊離水を除去することによって作ることができる。水を除去しながら二酸化炭素のような酸性物質を反応混合物に加えることにより、当カルボン酸塩は過塩基性となる。希望のTBNが得られるまでこれを繰り返すことができる。
【0047】
過塩基化のプロセスは当技術分野でよく知られており、一般に酸性物質を有機酸あるいはその金属塩や金属化合物から成る反応混合物と反応させることから成る。この酸性物質は、二酸化炭素または二酸化硫黄のような気体、あるいはホウ酸であることもある。過塩基性アルカリ金属スルホン酸塩およびフェネートの生成プロセスは、米国特許第4,839,094号に記載されている。過塩基性スルホン酸ナトリウムに適したプロセスはEP−A−235929号に記されている。過塩基性サリチル酸の作成プロセスは米国特許第5,451,331号に記載されている。
【0048】
また過塩基性金属清浄剤はホウ素化(borated)されていることもある。過塩基化の段階で使用される酸性物質としてホウ酸を使用することにより、ホウ素が加えられる。しかしながら、代案として、ホウ素化合物を過塩基性金属塩と反応させることによって形成した後に過塩基性製品をホウ素化することが望ましい。ホウ素化号物には、酸化ホウ素、酸化ホウ素水和物、三酸化ホウ素、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、ボロン酸、ホウ酸、四ホウ酸、およびメタホウ酸のようなホウ素酸、水酸化ホウ素、ホウ素アミド、およびホウ素酸の各種エステルなどが含まれる。通常、過塩基性金属塩は、鉱油またはキシレンのような溶媒の存在下、50℃から250℃でホウ素化号物と反応させられる。ホウ素化された過塩基性アルカリ金属塩には、少なくとも0.5重量%、一般に1重量%から5重量%のホウ素が含まれる。
【0049】
開示された実施例による完成した潤滑剤組成物中の清浄剤の量は、完成した潤滑剤組成物の総重量に対し、約0.1重量パーセントから約15重量パーセントの範囲である。
【0050】
耐摩耗剤および極圧添加剤
本明細書に記載の完成した潤滑剤調合物中で、様々な種類の硫黄含有耐摩耗剤および/または極圧添加剤が使用されることもある。例としては、ポリ硫化ジヒドロカルビル;硫化オレフィン;天然および合成起源の硫化脂肪酸エステル;トリチオン;硫化チエニル誘導体;硫化テルペン;C−Cのモノオレフィンの硫化オリゴマー;および米国特許第Re27,331号に記載されているような硫化ディールス−アルダー付加化合物などがある。具体的な例としては、硫化ポリイソブテン、硫化イソブチレン、硫化ジイソブチレン、硫化トリイソブチレン、ポリ硫化ジシクロヘキシル、ポリ硫化ジフェニル、ポリ硫化ジベンジル、ポリ硫化ジノニル、および中でも三硫化ジ−t−ブチル、四硫化ジ−t−ブチル、および五硫化ジ−t−ブチルの混合物のような、ポリ硫化ジ−t−ブチルの混合物が挙げられる。また、硫化イソブチレンと三硫化ジ−t−ブチルの組み合わせ、硫化イソブチレンと三硫化ジノニルの組み合わせ、硫化トールオイルとポリ硫化ジベンジルとの組み合わせなど、このような種類の硫黄含有の耐摩耗剤および/または極圧添加剤の組み合わせが使用されることもある。
【0051】
油溶性有機リン酸塩、有機亜リン酸塩、有機ホスホン酸塩、有機ホスホナイトなど、またそれらの硫黄類似体のような多種多様なリンを含有した油溶性の耐摩耗剤および/または極圧添加剤もまた使用される。開示された潤滑剤組成物中で使用される、リンを含有した耐摩耗剤および/または極圧添加剤として有用なものとして、リンと窒素の両方を含んだ化合物が挙げられる。開示された実施例中で有用な、リンを含有した油溶性の耐摩耗剤および/または極圧添加剤に、その開示が参照することによって本明細書に組み込まれている米国特許第5,464,549号、5,500,140号、および5,573,696号で教示されているような化合物がある。
【0052】
リンを含有した摩耗防止剤に、リン酸の有機エステルやそのアミン塩などがある。例えば、リンを含有した摩耗防止剤として、ジヒドロカルビル亜リン酸塩、トリヒドロカルビル亜リン酸塩、ジヒドロカルビルリン酸塩、トリヒドロカルビルリン酸塩、それらの硫黄類似体、およびそれらのアミン塩のうち、一つまたはそれ以上が含まれる。
【0053】
リンを含有した摩耗防止剤は、完成した潤滑剤組成物中に、約10重量ppmから約500重量ppmのリンを与えるのに十分な量で存在し得る。さらなる例として、リンを含有した摩耗防止剤は、完成した潤滑剤組成物中に、約150重量ppmから約300重量ppmのリンを与えるのに十分な量で存在し得る。
【0054】
リンおよび窒素を含有した一つの種類の使用され得る耐摩耗剤および/または極圧添加剤は、英国特許第1,009,913号、米国特許第3,197,405号および/または米国特許第3,197,496号に記載されている種類のリンおよび窒素を含有した組成物である。通常これらの組成物は、ホスホロチオ酸のヒドロキシ置換トリエステルと無機リン酸、酸化リン、またはハロゲン化リンを反応させることによって酸性の中間体を形成し、当該の酸性中間体の大部分をアミンまたはヒドロキシ置換アミンで中和することによって形成される。本明細書に記載の潤滑剤組成物中で使用される、リンおよび窒素を含有した別の種類の耐摩耗剤および/または極圧添加剤としては、ヒドロキシ置換ホスフェタンのアミン塩、またはヒドロキシ置換チオホスフェタンのアミン塩、およびリン酸およびチオリン酸の部分エステルのアミン塩などが挙げられる。
【0055】
流動点降下剤
また清浄剤/抑制剤パッケージには、一つまたはそれ以上の流動点降下剤が含まれていることがある。流動点降下剤は、組成物の低温特性を向上させるため、本明細書に記載の組成物中で使用される。有用な流動点降下剤の例に、ポリメタクリレート;ポリアクリレート;ポリアクリルアミド;ハロパラフィンワックスと芳香族化合物との縮合生成物;ビニルカルボン酸塩ポリマー;およびフマル酸ジアルキル、脂肪酸のビニルエステル、およびアルキルビニルエーテルのターポリマーなどがある。本開示において有用な流動点降下剤およびそれらの調剤技術は、それらの関連開示が参照することによって本明細書に組み込まれている、米国特許第2,387,501号、2,015,748号、2,655,479号、1,815,022号、2,191,498号、2,666,746号、2,721,877号、2,721,878号、および3,250,715号に記載されている。
【0056】
一つの実施例では、流動点降下剤は、一般構造式:Ar(R)−−(Ar(R))−Arで表され、このときAr、ArおよびArは約12以下の炭素原子の芳香族基、(R)および(R)は、(R)または(R)の少なくとも一つがCHであるという条件で、各々が1つから100の炭素原子を含むアルキレン基であり、またnが0であるとき(R)はCHであることを条件として、nは0から約1000であり、また少なくとも一つの芳香族部分には少なくとも一つの置換基があり、またその置換基は、約8から約30の炭素原子を含んだオレフィンから得られる置換基と、通常約8から約50の炭素原子と、炭素原子24個につき約2.5個の塩素原子を含んだ塩素化された炭化水素から得られる置換基から成るグループの中から選択されている。
【0057】
シール膨張剤
シール膨張剤は、特に潤滑剤組成物がパワートランスミッション液として使用される場合に、開示された実施例の完成した潤滑剤組成物中で使用されることがある。適切なシール膨張剤は、油溶性ジエステル、油溶性スルホン、シリコン含有の有機化合物、およびそれらの混合物の中から選択される。一般的に言って最も適切なジエステルとしては、C−C13のアルカノール(またはそれらの混合物)のアジピン酸塩、アゼライン酸塩、およびセバシン酸塩、およびC−C13のアルカノール(またはそれらの混合物)のフタル酸塩が挙げられる。また、二つまたはそれ以上の異なったジエステル(例えばアジピン酸ジアルキルとアゼライン酸ジアルキルなど)の混合物が使用されることもある。このような物質の例としては、アジピン酸、アゼライン酸、およびセバシン酸のn−オクチル、2−エチルヘキシル、イソデシルおよびトリデシルジエステル、およびフタル酸のn−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびトリデシルジエステルがある。通例同等の特性を示すその他のエステルに、ポリオールエステルがある。
【0058】
適切なスルホン シール膨張剤は、米国特許第3,974,081号および4,029,587号に記載されている。一般的にこれらの製品は、完成したトランスミッション液中、約0.25から約1重量%の範囲のレベルで使用される。
【0059】
一つの実施例では、シール膨張剤は、(i)アジピン酸、(ii)セバシン酸、または(iii)フタル酸の油溶性ジアルキルエステルである。アジピン酸塩およびセバシン酸塩は、完成した流体中、約4から約15重量%の範囲の量で使用されるべきである。フタル酸の場合、トランスミッション液中でのレベルは約1.5から約10重量%の範囲内でなくてはならない。一般的に言って、アジピン酸塩、セバシン酸塩、またはフタル酸塩の分子量が高いほど、上述の範囲内での処理率は高くなるはずである。
【0060】
増粘剤
基油成分を含んだ潤滑剤およびグリースを提供するために多様な増粘剤が使用されることがある。この増粘剤として挙げられるのは、各分子あたり約12から約30の炭素原子を有する脂肪酸および脂肪質の、アルカリおよびアルカリ土類金属せっけんである。金属せっけんの金属陽イオンは、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、およびバリウムなどに代表される。脂肪質は、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステア
リン、綿実油酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、および水素化された魚油によって例証される。
【0061】
その他の増粘剤として、ステアリン酸・酢酸カルシウム(米国特許第2,197,263号)、ステアリン酸・酢酸バリウム(米国特許第2,564,561号)、ステアリン酸・カプリル酸・酢酸カルシウム錯体(米国特許第2,999,065号)、カプリル酸・酢酸カルシウム(米国特許第2,999,066号)、およびカルシウム塩および低分子量、中分子量、および高分子量の酸やナッツ油酸のせっけんなどのような、塩および塩せっけん錯体がある。
【0062】
別の種類の増粘剤には、置換尿素、フタロシアニン、インダンスリーン、ぺリルイミド、ピロメリトジイミドのような顔料、アンメリン、および疎水性の粘土が含まれる。上述の添加剤成分のうちいくつかは、希釈油のような不活性の希釈剤または溶媒中の活性成分の溶液の形態で提供される。そうでないことがはっきりと記載されていない限り、各添加剤成分の量および濃度は活性添加剤に関して、すなわち入荷時にこのような成分に付随するであろう溶媒や希釈剤の量を除外して表される。
【0063】
本明細書に記載の組成物の調合に使用される添加剤は、基油成分中に、個々にあるいは各種のサブコンビネーションで混合される。しかしながら、添加剤濃縮物(すなわち添加剤プラス炭化水素溶媒のような希釈剤)を使用して、すべての成分を一度に混合することが望ましい。添加剤濃縮物の使用により、添加剤濃縮物の形態である場合の成分の組み合わせによって得られる相互の互換性が生かされる。また、濃縮物の使用により、混合時間が短縮され、また混合エラーの可能性が低減される。
【0064】
本開示の例示的な実施例には、本明細書に記載されたような完成した潤滑剤組成物の、金属加工流体、急冷液、グリース、クランクケース潤滑剤、パワートランスミッション液、車軸用、油圧システム、ヘビーデューティーギアオイル、および固定エンジン、ポンプ、ガスタービン、コンプレッサー、風力タービン、その他のような回転機械を含み、それらに限定されることのない多様な用途、またエンジンやトランスミッションなどを含む乗用車、トラクター、航空産業、および鉄道産業にまつわる用途における用法が含まれる。固定エンジンには、乗用車、トラクター、航空産業、および鉄道産業に関わらない、燃料エンジンやガソリンエンジンが含まれる。
【0065】
一つの実施例において、完成したグリース組成物はオートマチックトランスミッション液(ATF)である。ATF組成物には、組成物の動的粘性率が100℃で約4cStから約10cSt、通常少なくとも15.9cStであるように調和された成分が使用される。例示的なATF組成物には、基油成分、可溶化剤、約0.5から約1.5重量%の粘度指数向上剤、約1.5から約2.5重量%の無灰分散剤、約0.05から約1重量%の摩擦低減剤、約0.01から約0.5重量%の腐食防止剤、約0.1から約0.4重量%の耐摩耗添加剤、約0.005から約5重量%の金属不活性剤、約0.1から約15重量%の金属清浄剤、約0.25から約1重量%のシール膨張剤、および約0.01から約0.5重量%の流動点降下剤が含まれる。
【0066】
一つの実施例において、完成したグリース組成物はマニュアルトランスミッションオイルである。例示的なマニュアルトランスミッショングリース調合物には、基油成分(少なくとも一つのGTL基油を含む);可溶化剤;粘度指数向上剤;および無灰分散剤、少なくとも一つの酸化防止剤、および少なくとも一つの抑制剤を含むDIパッケージが含まれる。通常DIパッケージは、0.2から5重量%の無灰分散剤、0−1.0重量%、一般に約0.2から1.0重量%の酸化防止剤、また銅腐食防止剤、防錆剤、およびそれらの混合物から成るグループの中から選択された0.01から2重量%の抑制剤を、完成した
潤滑剤組成物に提供する。マニュアルトランスミッショングリース調合物には通常、完成した潤滑剤組成物の総量に対し、0から5重量%の硫黄と30ppmから5000ppmのリンが含まれる。
【0067】
本開示の別の実施例では、完成したグリース組成物は車軸グリースである。例示的な車軸グリース調合物には、GTL基油成分;可溶化剤;粘度指数向上剤;硫黄含有極圧添加剤、少なくとも一つのリンを含有した摩耗防止剤、少なくとも一つの無灰分散剤、および少なくとも一つの抑制剤を含んだDIパッケージが含まれる。通常DIパッケージは、3から15重量%の硫黄含有極圧添加剤、2から10重量%のリン含有摩耗防止剤、0.2から5重量%の無灰分散剤、および銅腐食防止剤、防錆剤、およびそれらの混合物から成るグループの中から選択された0.01−2重量%の抑制剤を、完成した潤滑剤組成物に提供する。車軸グリース調合物には、完成した潤滑剤組成物に対し、0.5から5重量%の硫黄と200ppmから5000ppmのリンが含まれる。
【0068】
本明細書に開示されたパワートランスミッション液として、乗用車、トラックまたはトラクター用に使用されるステップオートマチックトランスミッションまたはマニュアルトランスミッションのような、いかなるパワートランスミッション用にも適した流体が含まれる。さらに、開示された実施例のパワートランスミッション液は、滑りトルクコンバータ、ロックアップトルクコンバータ、始動クラッチ、および/または一つまたはそれ以上のシフトクラッチを備えたトランスミッション内で使用される。このようなトランスミッションとして、四速、五速、六速、および七速のトランスミッション、および無段変速機(チェーン、ベルト、またはディスクタイプ)がある。これらはまた、自動マニュアルトランスミッションやデュアルクラッチトランスミッションを含む、マニュアルトランスミッション内でも使用される。
【0069】
本開示の別の実施例によるクランクケース潤滑剤組成物には、GTL基油成分;可溶化剤;粘度指数向上剤;および清浄剤、分散剤、摩耗防止剤、摩擦低減剤、酸化防止剤、腐食防止剤、流動点降下剤、および消泡剤を含んだDIパッケージが含まれる。このようなDIパッケージには、約1.3から約3.0重量%の分散剤、約0.1から約15重量%の清浄剤約0から約5重量%の腐食防止剤、約0から約5重量%の酸化防止剤約0から約5重量%の消泡剤、約0から約5重量%の摩擦低減剤、約0.01から約6重量%の粘度指数向上剤、約0.1から約6重量%の摩耗防止剤、および約0.01から約5重量%の流動点降下剤が含まれる。
【0070】
本明細書に記載のオイル組成物はまた、スチールのような硬化金属の冷却速度を低下させるため、急冷液用に使用されることがある。急冷液の湿潤性、冷却速度、オイル安定寿命を向上させ、堆積物の形成傾向を低下させるために、上述の添加剤および/または組成物を一つまたはそれ以上加えることにより、急冷液の性能が調製される。本明細書の全体にわたる数々の箇所で多くの米国特許が参照されている。このような引用文献はすべて、当明細書で完全に説明されたものとして、この開示中に完全に明確に含まれている。
【0071】
本開示のその他の実施例は、本明細書を検討し、また明細書に開示された実施例を実行することにより、当技術分野に精通した技術者には明白となる。本明細書および請求項の英文を通して使用されている、「a」および/または「an」などの単語は、一つあるいはそれ以上のものを意味することがある。別段の記載がない限り、成分の量や本明細書および請求項で使用されている分子量、パーセント、比率、反応条件、その他のような特性を表すすべての数値は、あらゆる場合において「約」という言葉で修飾されているものとして理解される。従って、それに反する指定がない限り、以下の明細書および添付の請求項で示されている数値パラメータは、本開示によって得ようとされている希望の特性によって変化し得る近似値である。少なくとも、また当請求項の範囲に対応する原理の適応を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも報告された多くの有効数字と通常の四捨五入の使用を考慮に入れて解釈されるべきものである。開示された実施例の広範囲を説明する数値の範囲およびパラメータは近似値ではあるが、特定な例において示される数値はできる限り正確に記録されている。しかしながら、いかなる数値にも、それぞれの試験測定に見られる標準偏差の結果必然的に生じる若干のエラーが本質的に含まれる。本明細書および例は、例示のみを意図したものであり、本開示の真の範囲および精神は以下の請求項に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、
ガス源に由来し、粘度指数は約115より大であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄及び約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有する第一の基油、そして任意的に液状石油源に由来する第二の基油を含む第一の基油成分;
アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、および上述の物質の二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された、約1から約30重量パーセント、あるいはそれ以上の可溶化剤、および
添加剤成分を含み、
このとき基油成分に約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれている、
ことを特徴とする潤滑剤組成物。
【請求項2】
添加剤成分が潤滑剤組成物の総重量に基づいて約0.5から約25重量パーセントの清浄剤/抑制剤パッケージを含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
添加剤成分が、粘度指数向上剤、分散剤、摩擦低減剤、腐食防止剤、防錆剤、酸化防止剤、清浄剤、シール膨張剤、極圧添加剤、耐摩耗添加剤、流動点降下剤、消臭剤、消泡剤、乳化破壊剤、染料、増粘剤、蛍光着色剤および上記のもの二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択されている、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
潤滑剤組成物が約5から約15重量パーセントの可溶化剤を含んでいる、請求項2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
添加剤成分が、オレフィン(コ)ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から成るグループから選択された、潤滑剤組成物の総重量に基づき約0.1から約40重量パーセントの、少なくとも一つのポリマーを含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
オレフィンポリマーが重量平均分子量約700から約2,500の範囲のポリイソブチレンを含んでいる、請求項5に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
添加剤成分が清浄剤/抑制剤パッケージを含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
添加剤成分が、脂肪族脂肪アミン、エーテルアミン、アルコキシル化脂肪族脂肪アミン、アルコキシル化エーテルアミン、油溶性脂肪族カルボン酸、ポリオールエステル、脂肪酸アミド、イミダゾリン、第3級アミン、アンモニアあるいは第1級アミンと反応したヒドロカルビルコハク酸イミド、および有機モリブデン化合物から成るグループから選択された摩擦低減剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
添加剤成分が、ビス−アルキル化ジフェニルアミン、フェニルアルファナフチルアミンまたはフェニルベータナフチルアミン、立体障害フェノール、ビスフェノール、桂皮酸誘導体、および硫化オレフィンから成るグループから選択された酸化防止剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項10】
添加剤成分が、リン酸エステルとその塩、亜リン酸エステルとその塩、ジアルキルジチオリン酸エステルとその塩、およびジチオカルバミン酸エステルとその塩から成るグループから選択された磨耗防止剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項11】
添加剤成分がシリコーンおよびポリアクリレートから成るグループから選択された消泡剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項12】
添加剤成分が、アクリレート、アルキル化スルホン、およびシリコン含有化合物から成るグループから選択されたシール膨張剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項13】
添加剤成分が、天然および過塩基性スルホン酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ナトリウムフェネート、硫化ナトリウムフェネート、スルホン酸リチウム、カルボン酸リチウム、サリチル酸リチウム、リチウムフェネート、硫化リチウムフェネート、スルホン酸マグネシウム、カルボン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、マグネシウムフェネート、硫化マグネシウムフェネート、スルホン酸カリウム、カルボン酸カリウム、サリチル酸カリウム、フェネートカリウム、硫化フェネートカリウム、スルホン酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フェネート亜鉛、および硫化フェネート亜鉛から成るグループから選択された清浄剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項14】
添加剤成分が、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量が約200から約2100の範囲であるヒドロカルビルコハク酸またはその無水物、およびアンモニアあるいは第1級アミンに由来する分散剤を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項15】
分散剤がポリイソブテニル無水コハク酸(PIBSA)およびポリアルキレンポリアミンに由来し、PIBSAとアミンの比率が約1:1から約3:1の範囲である、請求項14に記載の潤滑剤組成物。
【請求項16】
分散剤が後処理済みのコハク酸イミド分散剤から成る、請求項15に記載の潤滑剤組成物。
【請求項17】
後処理済みのコハク酸イミド分散剤が、リン基盤の酸、ホウ素基盤の酸、カルボン酸、アルキルフェノール/アルデヒド混合物、および上述の物質の二つまたはそれ以上の混合物から成るグループから選択された成分で後処理されている、請求項16に記載の潤滑剤組成物。
【請求項18】
第二の基油が、天然油、天然油の混合物、合成油、合成油の混合物、あるいは天然油と合成油の混合物から成るグループから選択された液体の基油を含んでいる、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の潤滑剤組成物から成る、完成した潤滑剤。
【請求項20】
添加剤成分が、流動点降下剤、粘度指数向上剤、発泡防止剤および任意的に増粘剤を含んでいる、請求項19に記載の完成した潤滑剤。
【請求項21】
請求項19に記載の完成した潤滑剤を含む急冷液。
【請求項22】
請求項1に記載の完成した潤滑剤組成物を含む、オートマチックトランスミッション液。
【請求項23】
添加剤成分が、粘度指数向上剤、耐摩耗添加剤、金属不活性剤およびシール膨張剤を含んでいる、請求項22に記載のオートマチックトランスミッション液。
【請求項24】
請求項1に記載の完成した潤滑剤組成物を含むギアオイル組成物。
【請求項25】
固定エンジン、乗用車向けエンジン、トラックのエンジン、およびヘビーデューティーのエンジンから成るグループの中から選択した、請求項1に記載の潤滑剤組成物を含むエンジン。
【請求項26】
請求項1に記載の潤滑剤組成物を含んだ、オートマチックトランスミッション、マニュアルトランスミッション、無段変速機から成るグループの中から選択されたパワートランスミッション。
【請求項27】
請求項1に記載の潤滑剤組成物を含んだ車軸。
【請求項28】
請求項1に記載の潤滑剤組成物を含んだ油圧システム.
【請求項29】
請求項1に記載の潤滑剤組成物を含んだ、ガスタービン、コンプレッサー、風力タービン、およびポンプから成るグループから選択された回転機械。
【請求項30】
請求項1に記載の潤滑剤組成物を含んだ工業用ギアトランスミッション。
【請求項31】
グリース組成物であって、
ガス源に由来し、粘度指数は約115より大であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄及び約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有する第一の基油、そして任意的に液状石油源に由来する第二の基油を含む基油成分;
リチウム、リチウム錯体、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムおよびアルミニウムせっけんから成るグループの中から選択された、グリース組成物の総重量に対し約5から約20重量パーセントの、少なくとも一つのせっけん;および
アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、および上述の物質二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された、グリース組成物の総重量に対し約1から約30重量パーセントあるいはそれ以上の可溶化剤を含み、
このとき当基油成分には約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれている、ことを特徴とするグリース組成物。
【請求項32】
組成物がさらに、グリース組成物の総重量に対し約0.5から約25重量パーセントの清浄剤/抑制剤パッケージを含んでいる、請求項31に記載のグリース組成物。
【請求項33】
組成物中の添加剤成分が、粘度指数向上剤、分散剤、摩擦低減剤、腐食防止剤、防錆剤、酸化防止剤、清浄剤、シール膨張剤、極圧添加剤、耐摩耗添加剤、流動点降下剤、消臭剤、消泡剤、乳化破壊剤、染料、増粘剤、蛍光着色剤および上記のもの二つまたはそれ以上の組み合わせからなるグループから選択されている、請求項32に記載のグリース組成物。
【請求項34】
組成物が約5から約15重量パーセントの可溶化剤を含んでいる、請求項31に記載のグリース組成物。
【請求項35】
組成物がさらに、潤滑剤組成物の総重量に対し約0.1から約40重量パーセントの、オレフィン(コ)ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から成るグループの中から選択された少なくとも一つのポリマーを含んでいる、請求項31に記載のグリース組成物。
【請求項36】
清浄剤/抑制剤パッケージが、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、シール膨張剤、摩擦低減剤、分散剤、清浄剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤およびそれら二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループの中から選択された成分を含んでいる、請求項32に記載のグリース組成物。
【請求項37】
金属加工流体であって、
ガス源に由来し、粘度指数は約115より大であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄及び約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有する第一の基油、そして任意的に液状石油源に由来する第二の基油を含む基油成分;
金属加工流体の総重量に対し約0.1から約5重量パーセントの、コハク酸塩またはスルホン酸塩から成るグループの中から選択された少なくとも一つの乳化剤および
金属加工流体の総重量に対し0.5から5重量パーセントの殺生剤または殺菌剤を含み、このとき当基油成分には約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれている、ことを特徴とする金属加工流体。
【請求項38】
流体がさらに、アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油アルキル化ベンゼン、およびそれらの物質二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループの中から選択された可溶化剤を含んでいる、請求項37に記載の金属加工流体。
【請求項39】
流体が約1から約30重量パーセントあるいはそれ以上の可溶化剤を含んでいる、請求項38に記載の金属加工流体。
【請求項40】
流体が約5から約15重量パーセントの可溶化剤を含んでいる、請求項38に記載の金属加工流体。
【請求項41】
潤滑剤組成物であって、
ガス源に由来し、粘度指数は約115より大であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄及び約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有する第一の基油、そして任意的に液状石油源に由来する第二の基油を含む基油成分;
アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、および上述の物質二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された可溶化剤および
潤滑剤組成物の総重量に対し約0.1から約40重量パーセントの、オレフィン(コ)ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から成るグループの中から選択された少なくとも一つのポリマーを含み、
このとき当基油成分には約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれている、ことを特徴とする潤滑剤組成物をパワートランスミッション中に加えることを含むパワートランスミッションの潤滑方法。
【請求項42】
潤滑剤組成物がさらに、潤滑剤組成物の総重量に対して0.5から25重量パーセントの清浄剤/抑制剤パッケージを含んでいる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
潤滑剤組成物が、約1から約30重量パーセントまたはそれ以上の可溶化剤を含んでいる、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
潤滑剤組成物が、約5から約15重量パーセントの可溶化剤を含んでいる、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
清浄剤/抑制剤パッケージが、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、シール膨張剤、摩擦低減剤、分散剤、清浄剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤およびそれら二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループの中から選択された成分を含んでいる、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
潤滑剤組成物であって、
ガス源に由来し、粘度指数は約115より大であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄及び約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有する第一の基油、そして任意的に液状石油源に由来する第二の基油を含む基油成分;
潤滑剤組成物の総重量に対し約0.1から約40重量パーセントの、オレフィン(コ)ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から成るグループの中から選択された少なくとも一つのポリマー;および
アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、および上述の物質二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された可溶化剤を含み、
このとき当基油成分には約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれている、ことを特徴とする潤滑剤組成物をギア装置中に加えることを含む、ギア装置の潤滑方法。
【請求項47】
潤滑剤組成物がさらに、潤滑剤組成物の総重量に対し約0.5から約25重量パーセントの清浄剤/抑制剤パッケージを含んでいる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
潤滑剤組成物が約1から約30重量パーセントまたはそれ以上の可溶化剤を含んでいる、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
潤滑剤組成物が、約5から約15重量パーセントの可溶化剤を含んでいる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
清浄剤/抑制剤パッケージが、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、シール膨張剤、摩擦低減剤、分散剤、清浄剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤および上述の物質の二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された成分を含んでいる、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
潤滑剤組成物であって、
ガス源に由来し、粘度指数は約115より大であり、約0.3重量パーセント未満の硫黄及び約95から約100重量パーセントの分岐アルカンを有する第一の基油、そして任意的に液状石油源に由来する第二の基油を含む基油成分;
潤滑剤組成物の総重量に対し約0.1から約40重量パーセントの、オレフィン(コ)ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から成るグループの中から選択された少なくとも一つのポリマー;および
アジピン酸エステル、ポリオールエステル、アルキル化ナフタレン、アルキル化スルホン、ナフテン系基油、芳香族系基油、アルキル化ベンゼン、および上述の物質二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループから選択された可溶化剤を含み、
このとき当基油成分には約5から約100重量パーセントの第一の基油が含まれている、ことを特徴とする潤滑剤組成物をモーターのクランクケースに加えることを含む、自動車の潤滑方法。
【請求項52】
潤滑剤組成物が、潤滑剤組成物の総重量に対し、約0.5から約25重量パーセントの清浄剤/抑制剤パッケージをさらに含んでいる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
潤滑剤組成物が約1から約30重量パーセント、あるいはそれ以上の可溶化剤を含んで
いる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
潤滑剤組成物が約5から約15重量パーセントの可溶化剤を含んでいる、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
清浄剤/抑制剤パッケージが、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、シール膨張剤、摩擦低減剤、分散剤、清浄剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤およびそれら二つまたはそれ以上の組み合わせから成るグループの中から選択された成分を含む、請求項52に記載の方法。

【公開番号】特開2007−84826(P2007−84826A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−256320(P2006−256320)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】