ガス中の微粒子の捕集方法
【課題】捕集された微粒子試料の完全性をさらに保証する。
【解決手段】点検扉(18)を有するガス採取装置(10)を用いて微粒子試料を捕集する方法であって、基材(48)上に前記試料を捕集する工程と、前記点検扉が開いているときはいつも前記基材を自動的に密封する工程と、前記基材と一体化している記憶手段(90)上に一連の保管情報を記録する工程とを含む。
【解決手段】点検扉(18)を有するガス採取装置(10)を用いて微粒子試料を捕集する方法であって、基材(48)上に前記試料を捕集する工程と、前記点検扉が開いているときはいつも前記基材を自動的に密封する工程と、前記基材と一体化している記憶手段(90)上に一連の保管情報を記録する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してガス中の微粒子の捕集方法に関し、さらに詳しくは、ガス中の微粒子を捕集し、検出するための採取カートリッジによりガス中の微粒子を捕集する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子を捕集するための従来のガス採取装置は、ろ紙、ガラス繊維ろ材、フィルタカセット、又は活性炭カートリッジのような捕集器を通り過ぎたガスを吸引する真空ポンプを有するハウジングを含んでいる。
微粒子を補集するそのような従来のガス採取装置の欠点は、採取されるガスの低流量を一般に作り出す真空ポンプ、目詰まりを起こすフィルタ、及び騒音のある真空ポンプが含まれる。
【0003】
上記の欠点を克服できる高流量、低騒音のガス採取装置であって、はめ込み捕集器のような捕集器上にガスから生物、化学及び放射性の物質のような微粒子を捕集するのに使用できるガス採取装置が、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/177,749号に開示されている。この採取装置は、吸気口及び排気口を有するハウジング、及びガスを吸気口の中に吸引し、採取用の捕集器を通り過ぎて、ガスを排気口から排出させるハウジング内に配置されたファンを含んでいる。試料捕集器は、米国特許第6,435,043号、表題「はめ込み基材及び使用方法(Impaction Substrate and Methods of Use)」に記載されている種類の発泡布地材料又は多孔質性布地材料を含むことが望ましい。上記特許の内容は、その全体に言及することによって本明細書の一部となる。ファンは、装置から発する騒音レベルが約60デシベルより小さい状態で、毎分約50リットルより多く、また望ましくは、毎分約200リットルより多くハウジングを通過するガスの流れを引き起こすことができるように作動する。採取装置は、さまざまな屋内又は屋外の場所で使用するために、コンパクトで、邪魔にならず、携帯可能な、軽量な装置として構成することができる。また、捕集器上に捕集された放射性物質を検出するためのセンサー及び採取工程を監視するための処理装置を含むこともでき、また、インタネットのような通信ネットワークにリンクすることもできる。ガスから微粒子を捕集するための関連方法も上記参照の特許出願内に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
捕集された微粒子試料の完全性をさらに保証する必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の態様において、ガス採取装置用の採取カートリッジを提供する。カートリッジは、筒状壁及びその壁を貫通して延在する採取窓を有する外殻を含む。スプールは、外殻に隣接して配置され、第1の円周位置に配置された試料捕集器及び第2の別の円周位置に配置された窓閉止表面を有する。スプール及び外殻は、相互に対して回転可能であり、それによって、試料捕集器及び窓閉止表面を試料捕集及びカートリッジ密封のそれぞれに対して選択的に交互に窓に隣接して配置することができる。自己密封機能によって、カートリッジの取り外し、取り扱い、及び移送の間、捕集された微粒子試料は保護される。
【0006】
スプールは、外殻と同軸でかつ外殻の内側にあるのが望ましい。外殻は、前以て使用を視覚的に確認することができるように少なくとも部分的に透明であってもよい。
【0007】
スプールは、異なった時間間隔で採取ができるように円周方向に間隔を空けた配置で複数の試料捕集器を有することができる。各試料捕集器は、発泡布地材料又は多孔質性布地材料を含むことができる。試料捕集器は、穿孔した発泡材料を含むことが望ましい。
【0008】
カートリッジは、未使用の試料捕集器材料の完全密封セグメントをさらに含むことができる。カートリッジは、また、カートリッジについての一連の保管情報を保存するために記憶手段を含むこともできる。一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことができる。記憶手段は、トレーサビリティのために連番が振られ、カートリッジの単独使用を保証するために書き込み禁止にされている無線周波数タグを含むことが望ましい。
【0009】
カートリッジは、窓を通して露出され、かつ、スプールから分離された継続サンプル捕集器をさらに含むことができる。継続サンプル捕集器は、前記外殻に対して独立的に回転可能な第2のスプール上の第1の円周位置に取り付けることができる。第2のスプールは、第2の円周位置に第2の窓閉止表面を含むことができる。第1及び第2の窓閉止表面は、カートリッジがガス採取装置から取り外されたときはいつも窓に隣接して自動的に配置することができる。
【0010】
採取カートリッジは、点検扉を有するガス採取装置と組み合わせることができる。カートリッジは、点検扉が開いているときはいつも(単数又は複数の)窓閉止表面を窓に隣接して配置することによって自動的に密封されることが望ましい。ガス採取装置は、カートリッジを取り付け、かつ、外殻と(単数又は複数の)スプールとの間に相対的回転を引き起こすために心棒をさらに含むことができる。
【0011】
本発明は、第2の態様において、採取窓を有する筒状外殻及び対になった内側自己密封試料基材スプールを含むガス採取装置用の採取カートリッジを提供する。外殻は、透明であり、カートリッジに関する一連の保管情報を保存するために無線周波数タグを含むことが望ましい。一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことができる。
【0012】
カートリッジは、未使用試料捕集器の基材材料の完全密封体をさらに含むことができる。第1のスプールは、円周方向に間隔を空けて配置された複数の断続サンプル基材を含むことができる一方、第2のスプールは、単一の継続サンプル基材を含むことができる。各スプールは、窓閉止表面をさらに含むことができる。第1及び第2のスプールは、外殻に対して独立的に回転可能であり、各スプールは、各スプールの窓閉止表面を窓と位置がそろうように回転させることによって自己密封される。
【0013】
本発明は、第3の態様において、点検扉を有するガス採取装置を用いて微粒子試料を捕集する方法を提供する。この方法は、基材上に試料を捕集する工程、点検扉が開いているときはいつも基材を自動的に密封する工程、及び基材に対応付けされている記憶手段上に一連の保管情報を記録する工程を含む。捕集段階は、採取カートリッジの基材上に試料を捕集する工程を含むことができる。密封段階は、カートリッジを自己密封する工程を含むことができる。記録段階は、カートリッジと一体化されている無線周波数タグ上にカートリッジに関する一連の保管情報を記録する工程を含むことができる。一連の保管情報は、カートリッジ捕集器の個人識別情報を含むことができる。さらに、カートリッジは、未使用の基材材料の完全密封体を組み込むことができる。
【0014】
本発明は、自己密封採取カートリッジを採用する工程、ガス採取装置の点検扉の開放時にカートリッジの密封を自動化する工程、未使用基材材料の完全密封体を組み込む工程、及びカートリッジに一体化されている無線周波数(RF)タグ上に一連の保管情報を保存する工程によって、捕集された微粒子試料の完全性を保証する。本発明のこれら及び他の特徴、利益、及び目的は、好ましい実施形態についての以下の詳細な記載からさらに完全に理解されるであろう。
【0015】
本発明に関する主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、さまざまな実施形態及びそれらに添付の図面についての以下の詳細な記載を参照することによって、最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるガス採取装置の外観の前面の斜視図である。
【図2】点検扉が開いた状態のガス採取装置の前面の立面図である。
【図3】本発明による採取カートリッジを含むガス採取装置の構成部品の拡大斜視図である。
【図4】図3の取り付けられた採取カートリッジを通って長手方向に切った断面図である。
【図5】支持心棒から取り外された採取カートリッジを示す斜視図である。
【図6】本発明の密封された採取カートリッジの取り付け端からの斜視図である。
【図7】試料捕集器が露出した状態の採取カートリッジの斜視図である。
【図8】複数の間隔採取カートリッジの分解組立略図である。
【図9】複数の間隔採取カートリッジの実施形態のさらに詳細な分解組立図である。
【図10】採取カートリッジ内にある未使用の試料捕集器材料の密封セグメントの配置を示す部分切取斜視図である。
【図11】一体化された無線周波数タグ付き採取カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原理によれば、ガス採取装置、例えば、米国特許出願第10/177,749号に記載されている装置は、自己密封採取カートリッジを提供する。カートリッジは、採取されたガスから微粒子又は他の物質を捕集するために使われ、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつも自動的に密封される。カートリッジは、複数の断続サンプル捕集器並びに継続サンプル捕集器を含むことができる。都合のよいことに、カートリッジは、また、未使用の試料捕集器材料の完全密封セグメント、及び一連の保管情報を保存するための、望ましくは、カートリッジ補充器の個人識別情報を含む記憶手段、例えば、無線周波数(RF)タグも含む。カートリッジの外側外殻は、カートリッジの使用を前以て視覚的に確認することができるように少なくとも部分的に透明であってもよい。これらの特徴により、捕集された微粒子試料の完全性は、個別的かつ集合的に保証される。
【0018】
図1は、本発明の採取カートリッジを採用することができるガス採取装置(10)の外観図を示す。装置(10)は、全体として、ハウジング(12)の頂部に試料管(16)によって連結されている吸気口(14)及び排気口(示されていない)を有するハウジング(12)を含む。吸気口(14)は、ガスから比較的大きいサイズの微粒子を除去し、採取したガスを管(16)を通してハウジング(12)内の採取カートリッジ上に取り付けられている試料捕集器へ導くように働くどんな既知の吸気口であってもよい。例えば、吸気口(14)は、試料ガスから10マイクロメートル以上の直径を有する微粒子を除去することができる。
【0019】
点検扉(18)は、ハウジング(12)内の構成部品に迅速なアクセスができるようにハウジング(12)の前面に蝶番で取り付けることができる。点検扉(18)には、耐ピック錠(20)を備えることが望ましい。
【0020】
ハウジング(12)は、都合のよいことには、採取構成部品を含む上部セクション(22)及び電子部品及び通信装置を含む下部セクション(24)に分割することができる。後者の装置は、採取構成部品の動作を制御するために、かつ、外部通信機能を備えるために使うことができる。
【0021】
図2は、点検扉(18)が開いた状態のハウジング(12)の上部セクション(22)の中の構成部品を示す。セクション(22)の中には、ブロワーすなわちファン(26)、採取カートリッジ(30)を含む試料捕集器(28)、及び状態表示盤(32)が配置されている。
【0022】
高性能ブロワーすなわちファン(26)は、吸気口(14)、試料管(16)、及び試料捕集器(28)を通ってガスを引き込む働きをし、それによって、微粒子物質の試料を捕集することができる。ファンは、毎分約50リットルより多い、望ましくは、毎分200リットルより多いガスの流れを引き起こして、分析用の微粒子試料を取得する時間を減少させる。ファン(26)は、ほとんど騒音を発生せず、そのため、ハウジングから発する騒音レベルは、約60デシベルより低い。装置(10)からの騒音レベルを減少させるために、さらに、騒音防止材料すなわち遮音材をハウジングの内面に配置することができる。また、装置(10)によって発せられる騒音レベルをさらに低減させるために、ファンの後部に消音器(示されていない)を配置することができる。最適な高流量、低騒音ファンとしては、ニューヨーク州ソージェルティーズのアメテック・ロトロン社(Ametek−Rotron of Saugerties,New York)で製造されている型番MF501が入手可能である。そのようなファンを使えば、また、消費電力を低減させることにもなる。ガス採取装置(10)は、交流電源への接続又はバッテリーによる駆動が可能であり、及び/又は予備バッテリー供給電源を含むことができる。
【0023】
図3で最もはっきりと見られるとおり、状態表示盤(32)は、システム状態灯(34)、通信ポート、例えば、RS−232コンピュータポート(36)、及び着脱可能なコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード(38)を含むことができる。コンパクトフラッシュメモリカード(38)は、32〜256MBのサイズで容易に使用可能であり、1秒ごとのセンサーデータ及びガス採取装置の他の動作情報を保存するのに十分な容量を備えている。フラッシュメモリカードは、また、パソコンへの又はネットワークを介した中央監視ステーションへのデータ転送を容易にするのに便利である。
【0024】
状態表示盤(32)の近くに取り付けられているのは、以下にさらに完全に記載されているとおり、採取カートリッジ(30)に一体化されているRFタグとの通信を容易にする無線周波数アンテナ(40)である。RFアンテナ(40)は、採取カートリッジのために一連の保管情報を含む情報をRFタグへ転送することができる。ガス採取装置(10)は、都合のよいことに、カートリッジ補充器が帯びている一意のRFタグから個人識別情報を読取/確認する能力を備えることができる。この確認は、内部に保存されているID情報との比較、又は通信リンクを介して中央監視ステーションからの確認を通して行うことができる。この補充器識別情報は、カートリッジ(30)に一体化されているRFタグ上に保存するために無線周波数アンテナ(40)によって転送することができる。ガス採取装置は、また、カートリッジから時間及び補充器情報を中央ステーションへ同報通信することもできる。補充器ID情報は、回収された又は新しく取り付けられたカートリッジ上に自動的に保存され、それによって、不正開封防止機能システムを設けることができる。
【0025】
試料捕集器(28)は、試料管16と採取カートリッジ(30)との間にはさまれた加速ノズル又は(単数又は複数の)スリット(42)を含む。図4に示されるとおり、採取カートリッジ(30)は、カートリッジ上の断続サンプル捕集器(48)及び継続サンプル捕集器(50)が(単数又は複数の)スリット(42)を通って流れる採取されたガス流にさらされるような位置で分割心棒(44)及び内部シャフト(46)上に取り付けられている。各試料捕集器は、ノズル又は(単数又は複数の)スリット42を通って導かれ、捕集器上に衝突する採取されたガスから微粒子を捕集する働きをする基材(52)から成っている。基材(52)は、発泡布地材料又は多孔質性布地材料で構成することができる。典型的な基材材料には、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又は他の適切な材料が含まれる。基材は、厚さ約0.2ミリメートル以上の多孔質性材料であってもよい。1つの好ましい実施形態においては、基材を約0.005g/cm3〜約0.1g/cm3の密度を有する発泡ウレタン樹脂材料で構成することができる。約1.0ミクロン以上のサイズを有する微粒子は、そのような基材上に捕集することができる。
【0026】
発泡布地材料又は多孔質性布地材料からなる衝撃捕集器の利点は、捕集器又はスリットを詰まらせることなく、被採取空気の高流量を可能にすること、微粒子のはね返りを低減させること、基材に油を塗布する必要がなくなること、微粒子が基材上に蓄積したとき、基材上の圧力降下の増加が抑制されること、基材の上部部分内に微粒子の捕集を集中させること、及び基材を全体として不活性材料で形成することができることを含む。スリット衝撃装置が示されているとはいえ、明らかなように他の形状の開口部を採用することもできる。さらに、本発明の装置に使われている衝撃捕集器は、2002年8月20日に交付された米国特許第6,435,043号、表題「はめ込み基材及び使用方法(Impaction Substrate and Methods of Use)」に記載されている。
【0027】
放射能センサー(示されていない)を採用すれば、米国特許出願第10/177,794号に記載されているとおり、ガス及び/又は捕集された微粒子内の放射性物質の存在を実時間で検出し知らせることができる。
【0028】
カートリッジ(30)は、スプリングキャッチ(54)によって心棒(44)上に保持される(図3)。図5に示されているとおり、カートリッジが心棒から取り外されると、これらのキャッチは自己解放する。
【0029】
カートリッジ(30)が取り外されると、以下にさらに完全に記載されているとおり、カートリッジの採取窓(56)は、常に窓閉止表面58を用いて密封される。ガス採取装置(10)は、その装置の点検扉(18)が開いているときはいつも、装着されているカートリッジ(30)を自動的に密封するように構成されている。密封動作を以下に記載する。
【0030】
図6は、窓閉止表面(58)によって密封されている窓(56)を有する採取カートリッジ(30)を示す。カートリッジ(30)は、カートリッジ補充器によって取り扱われ、移送される間、常時密封されていることが望ましい。カートリッジがハウジング内に取り付けられ、点検扉が施錠された後、ガス採取装置(10)は、カートリッジを開く。扉が開錠され開かれたときはいつも、ガス採取装置は、カートリッジを再密封する。
【0031】
図6をさらに参照すれば、採取カートリッジ(30)は、端部キャップ(62)によって一方の端部が完全に閉止されている筒状外殻又はケーシング(60)を有する。外殻(60)の他方の端部には、心棒(44)を受け入れるための開口部(66)を備えた溝付きリング(64)がある。リング(64)は、スプリングキャッチ(54)を係合してカートリッジ(30)を心棒上に保持することができる対になったタブ(68)を含む。リング(64)は、また、カートリッジの他端部にある別の組になった耳(72)とともにノズル(42)を係合する対になった耳(70)も組み入れている。リング(64)は、また、スプール係合キー用の溝(74)を有する。補充時カートリッジの取り出しを容易にすることができるように、フィンガータブ(76)がカートリッジ(30)の外側端部に設けられている。
【0032】
図7は、採取中又は開放状態の採取カートリッジ(30)を示している。この状態においては、断続サンプル捕集器(48)及び継続サンプル捕集器(50)は、窓(56)を通って流れる試料ガス流にさらされる。図示されているとおり、断続サンプル捕集器(48)及び継続サンプル捕集器(50)は、前以て切ってある及び/又は前以て穿孔したセグメントで形成することができる。
【0033】
さて、図8を参照すれば、好ましい実施形態において、採取カートリッジ(30)は、外殻(60)と同軸でかつ外殻(60)の内側にある対になった独立的に回転可能な内側スプール(78)及び(80)を含む。第1のすなわち間隔スプール(78)は、さまざまな所定間隔(時間分割間隔)の間ガスを採取するために、スプールの周りに円周方向に間隔を空けて配置された複数の試料捕集器(48)を含むことができる。スプール(78)は、また、所定の円周位置に窓閉止表面(58)も含む。スプール(78)は、採取中さまざまな試料捕集器(48)を露出させることができるように適切な駆動手段の制御下で心棒(44)によって回転され、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつもカートリッジを密封することができるように窓閉止表面(58)を窓(56)に隣接して配置することができるように自動的に回転される。装置の処理装置又はコントローラ(示されていない)は、適切なスイッチ又はセンサーを介して点検扉の開放を検知することができ、その検知に呼応してカートリッジを密封することができるように心棒駆動手段を働かせる。
【0034】
第2のすなわち継続スプール(80)は、採取時間全体(長時間採取)を通して外殻(60)の窓(56)を通過する採取ガスにさらされる可能性のある継続サンプル捕集器(50)を含む。スプール(78)と同じように、継続スプール(80)は、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつもカートリッジを密封するために、窓(56)に隣接する位置に自動的に回転することができる窓閉止表面(58’)を含む。試料捕集器(48)及び(50)は、それぞれのスプールの個別ポケット(81)内に収容されているので、窓閉止表面(58)及び(58’)が窓(56)に隣接して配置されたとき、試料捕集器及びあらゆる捕集された微粒子は、完全に密封される。したがって、カートリッジ(30)は、自己密封される。継続スプール(80)は、また、未使用の試料捕集器材料の完全密封セグメント(82)を受け入れるためのポケットを備えることができる。
【0035】
1つの実質的な実施においては、図9に示されるとおり、外側外殻は、2つの部品(60a)、(60b)で形成することができ、独立的に回転可能なスプールのそれぞれは、それぞれ2つの部品(78a)、(78b)及び(80a)、(80b)で形成することができる。間隔スプール(78)は、8つの円周方向に間隔を空けて配置された断続サンプル捕集器(48)を含むことができるが、これに対して、継続スプール(80)は、単一の継続サンプル捕集器(50)を含む。各試料捕集装置は、複数の、たとえば、4つの部分に長手方向に前以て穿孔することができ、任意の深さ、たとえば、0.090インチに前もって穿孔することもできる。そのような前もっての穿孔によって、次の分析に対する最適の試料抽出が可能になる。
【0036】
外側外殻及び内側スプール、ならびに終端プレート及び終端リングは、さまざまな種類の周知の方法、たとえば、成形で製造することができ、あらゆる適切な材料、たとえば、樹脂で製造することができる。カートリッジは、直径約2インチ、長さ2.75インチなどのサイズを有することができる。外側外殻(60)は、カートリッジの前以て使用を視覚的に確認することができるように少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0037】
スプール(78)及び(80)内の試料捕集器の数、形状、種類、及び位置は、実施形態の説明図に示されているものから変更することが可能である。たとえば、内側スプール(78)は、特定用途として、単一の断続サンプル捕集器(48)だけを含むことができる。
【0038】
未使用の基材材料の完全密封セグメントを採取カートリッジ(30)内に組み込んだ状態を図10に示す。例示のとおり、試料捕集器(48)及び(50)を形成するために使われた未使用採取基材(52)の一部又はセグメント(82)は、小瓶(84)内に入れられ、その小瓶の中にキャップ(86)を用いて密封される。次に、小瓶(84)は、継続スプール(80)内に形成されている専用ポケット(88)内に置くことができる。図を明確にするために、カートリッジ(30)は、外殻(60)の半分(60a)を取り除いた状態で図10に示されている。完全密封基材材料(82)は、基材材料純度、たとえば、捕集された微粒子の生物危害検査が陽性かどうかを検証するために使うことができる。ポケット(88)は、窓(56)と位置がそろっているので、小瓶(84)は、継続スプール(80)を回転させることによってカートリッジ(30)から取り外すことができる。次に、小瓶(84)は、カートリッジ(30)を開けることなく、採取窓を通して取り外すことができる。
【0039】
データ保存すなわち記憶手段は、採取カートリッジと一体化することができる。図11に示されているとおり、無線周波数(RF)タグ(90)は、採取カートリッジ(30)の外殻(60)の左部分(60b)と一体化形成することができる。このようなRFタグは、周知であり、過去には製品識別目的のために使われていた。本発明においては、カートリッジ(30)に一体化されているRFタグ(90)は、一意のトレーサビリティのために連番が振られているだけでなく、一体化されているカートリッジのために一連の保管情報を保存するためにも使われる。前述のとおり、そのような一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことができる。RFタグ上に記録されたデータは、採取カートリッジの単独使用を保証するために書込み禁止にされることが望ましい。いったん採取が完了すると、採取カートリッジ(30)は、密封状態でガス採取装置(10)から取り外され、分析ステーションへ移送するために密封樹脂袋に入れることができる。RFタグは、移送袋を介して単一の又は複数の採取カートリッジから読み取ることができる。RFタグは、また、自動データ記録及び読み出し機能を備えている。
【0040】
捕集された試料及び採取工程の完全性は、自己密封採取カートリッジを備えていること、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつもカートリッジは自動密封されること、及び未使用の試料捕集材料はカートリッジ内へ組み込まれていることのおかげで、本発明により保証される。カートリッジ内に2つの独立的に回転可能なスプールを使用することにより、採取の融通性を増すことができる。一体化RFタグにより、カートリッジ補充器に関する個人識別情報を含む一連の保管情報の保存が容易になる。本発明のこれら及び他の独特の特徴により、広い用途及び安全確実な運転に一意的に適合する著しく改良されたガス採取装置及び方法が提供される。
【0041】
本発明のさまざまな好ましい実施形態を図示して説明してきたが、技術分野の当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく多くの変形及び変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してガス中の微粒子の捕集方法に関し、さらに詳しくは、ガス中の微粒子を捕集し、検出するための採取カートリッジによりガス中の微粒子を捕集する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子を捕集するための従来のガス採取装置は、ろ紙、ガラス繊維ろ材、フィルタカセット、又は活性炭カートリッジのような捕集器を通り過ぎたガスを吸引する真空ポンプを有するハウジングを含んでいる。
微粒子を補集するそのような従来のガス採取装置の欠点は、採取されるガスの低流量を一般に作り出す真空ポンプ、目詰まりを起こすフィルタ、及び騒音のある真空ポンプが含まれる。
【0003】
上記の欠点を克服できる高流量、低騒音のガス採取装置であって、はめ込み捕集器のような捕集器上にガスから生物、化学及び放射性の物質のような微粒子を捕集するのに使用できるガス採取装置が、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/177,749号に開示されている。この採取装置は、吸気口及び排気口を有するハウジング、及びガスを吸気口の中に吸引し、採取用の捕集器を通り過ぎて、ガスを排気口から排出させるハウジング内に配置されたファンを含んでいる。試料捕集器は、米国特許第6,435,043号、表題「はめ込み基材及び使用方法(Impaction Substrate and Methods of Use)」に記載されている種類の発泡布地材料又は多孔質性布地材料を含むことが望ましい。上記特許の内容は、その全体に言及することによって本明細書の一部となる。ファンは、装置から発する騒音レベルが約60デシベルより小さい状態で、毎分約50リットルより多く、また望ましくは、毎分約200リットルより多くハウジングを通過するガスの流れを引き起こすことができるように作動する。採取装置は、さまざまな屋内又は屋外の場所で使用するために、コンパクトで、邪魔にならず、携帯可能な、軽量な装置として構成することができる。また、捕集器上に捕集された放射性物質を検出するためのセンサー及び採取工程を監視するための処理装置を含むこともでき、また、インタネットのような通信ネットワークにリンクすることもできる。ガスから微粒子を捕集するための関連方法も上記参照の特許出願内に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
捕集された微粒子試料の完全性をさらに保証する必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の態様において、ガス採取装置用の採取カートリッジを提供する。カートリッジは、筒状壁及びその壁を貫通して延在する採取窓を有する外殻を含む。スプールは、外殻に隣接して配置され、第1の円周位置に配置された試料捕集器及び第2の別の円周位置に配置された窓閉止表面を有する。スプール及び外殻は、相互に対して回転可能であり、それによって、試料捕集器及び窓閉止表面を試料捕集及びカートリッジ密封のそれぞれに対して選択的に交互に窓に隣接して配置することができる。自己密封機能によって、カートリッジの取り外し、取り扱い、及び移送の間、捕集された微粒子試料は保護される。
【0006】
スプールは、外殻と同軸でかつ外殻の内側にあるのが望ましい。外殻は、前以て使用を視覚的に確認することができるように少なくとも部分的に透明であってもよい。
【0007】
スプールは、異なった時間間隔で採取ができるように円周方向に間隔を空けた配置で複数の試料捕集器を有することができる。各試料捕集器は、発泡布地材料又は多孔質性布地材料を含むことができる。試料捕集器は、穿孔した発泡材料を含むことが望ましい。
【0008】
カートリッジは、未使用の試料捕集器材料の完全密封セグメントをさらに含むことができる。カートリッジは、また、カートリッジについての一連の保管情報を保存するために記憶手段を含むこともできる。一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことができる。記憶手段は、トレーサビリティのために連番が振られ、カートリッジの単独使用を保証するために書き込み禁止にされている無線周波数タグを含むことが望ましい。
【0009】
カートリッジは、窓を通して露出され、かつ、スプールから分離された継続サンプル捕集器をさらに含むことができる。継続サンプル捕集器は、前記外殻に対して独立的に回転可能な第2のスプール上の第1の円周位置に取り付けることができる。第2のスプールは、第2の円周位置に第2の窓閉止表面を含むことができる。第1及び第2の窓閉止表面は、カートリッジがガス採取装置から取り外されたときはいつも窓に隣接して自動的に配置することができる。
【0010】
採取カートリッジは、点検扉を有するガス採取装置と組み合わせることができる。カートリッジは、点検扉が開いているときはいつも(単数又は複数の)窓閉止表面を窓に隣接して配置することによって自動的に密封されることが望ましい。ガス採取装置は、カートリッジを取り付け、かつ、外殻と(単数又は複数の)スプールとの間に相対的回転を引き起こすために心棒をさらに含むことができる。
【0011】
本発明は、第2の態様において、採取窓を有する筒状外殻及び対になった内側自己密封試料基材スプールを含むガス採取装置用の採取カートリッジを提供する。外殻は、透明であり、カートリッジに関する一連の保管情報を保存するために無線周波数タグを含むことが望ましい。一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことができる。
【0012】
カートリッジは、未使用試料捕集器の基材材料の完全密封体をさらに含むことができる。第1のスプールは、円周方向に間隔を空けて配置された複数の断続サンプル基材を含むことができる一方、第2のスプールは、単一の継続サンプル基材を含むことができる。各スプールは、窓閉止表面をさらに含むことができる。第1及び第2のスプールは、外殻に対して独立的に回転可能であり、各スプールは、各スプールの窓閉止表面を窓と位置がそろうように回転させることによって自己密封される。
【0013】
本発明は、第3の態様において、点検扉を有するガス採取装置を用いて微粒子試料を捕集する方法を提供する。この方法は、基材上に試料を捕集する工程、点検扉が開いているときはいつも基材を自動的に密封する工程、及び基材に対応付けされている記憶手段上に一連の保管情報を記録する工程を含む。捕集段階は、採取カートリッジの基材上に試料を捕集する工程を含むことができる。密封段階は、カートリッジを自己密封する工程を含むことができる。記録段階は、カートリッジと一体化されている無線周波数タグ上にカートリッジに関する一連の保管情報を記録する工程を含むことができる。一連の保管情報は、カートリッジ捕集器の個人識別情報を含むことができる。さらに、カートリッジは、未使用の基材材料の完全密封体を組み込むことができる。
【0014】
本発明は、自己密封採取カートリッジを採用する工程、ガス採取装置の点検扉の開放時にカートリッジの密封を自動化する工程、未使用基材材料の完全密封体を組み込む工程、及びカートリッジに一体化されている無線周波数(RF)タグ上に一連の保管情報を保存する工程によって、捕集された微粒子試料の完全性を保証する。本発明のこれら及び他の特徴、利益、及び目的は、好ましい実施形態についての以下の詳細な記載からさらに完全に理解されるであろう。
【0015】
本発明に関する主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、さまざまな実施形態及びそれらに添付の図面についての以下の詳細な記載を参照することによって、最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるガス採取装置の外観の前面の斜視図である。
【図2】点検扉が開いた状態のガス採取装置の前面の立面図である。
【図3】本発明による採取カートリッジを含むガス採取装置の構成部品の拡大斜視図である。
【図4】図3の取り付けられた採取カートリッジを通って長手方向に切った断面図である。
【図5】支持心棒から取り外された採取カートリッジを示す斜視図である。
【図6】本発明の密封された採取カートリッジの取り付け端からの斜視図である。
【図7】試料捕集器が露出した状態の採取カートリッジの斜視図である。
【図8】複数の間隔採取カートリッジの分解組立略図である。
【図9】複数の間隔採取カートリッジの実施形態のさらに詳細な分解組立図である。
【図10】採取カートリッジ内にある未使用の試料捕集器材料の密封セグメントの配置を示す部分切取斜視図である。
【図11】一体化された無線周波数タグ付き採取カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原理によれば、ガス採取装置、例えば、米国特許出願第10/177,749号に記載されている装置は、自己密封採取カートリッジを提供する。カートリッジは、採取されたガスから微粒子又は他の物質を捕集するために使われ、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつも自動的に密封される。カートリッジは、複数の断続サンプル捕集器並びに継続サンプル捕集器を含むことができる。都合のよいことに、カートリッジは、また、未使用の試料捕集器材料の完全密封セグメント、及び一連の保管情報を保存するための、望ましくは、カートリッジ補充器の個人識別情報を含む記憶手段、例えば、無線周波数(RF)タグも含む。カートリッジの外側外殻は、カートリッジの使用を前以て視覚的に確認することができるように少なくとも部分的に透明であってもよい。これらの特徴により、捕集された微粒子試料の完全性は、個別的かつ集合的に保証される。
【0018】
図1は、本発明の採取カートリッジを採用することができるガス採取装置(10)の外観図を示す。装置(10)は、全体として、ハウジング(12)の頂部に試料管(16)によって連結されている吸気口(14)及び排気口(示されていない)を有するハウジング(12)を含む。吸気口(14)は、ガスから比較的大きいサイズの微粒子を除去し、採取したガスを管(16)を通してハウジング(12)内の採取カートリッジ上に取り付けられている試料捕集器へ導くように働くどんな既知の吸気口であってもよい。例えば、吸気口(14)は、試料ガスから10マイクロメートル以上の直径を有する微粒子を除去することができる。
【0019】
点検扉(18)は、ハウジング(12)内の構成部品に迅速なアクセスができるようにハウジング(12)の前面に蝶番で取り付けることができる。点検扉(18)には、耐ピック錠(20)を備えることが望ましい。
【0020】
ハウジング(12)は、都合のよいことには、採取構成部品を含む上部セクション(22)及び電子部品及び通信装置を含む下部セクション(24)に分割することができる。後者の装置は、採取構成部品の動作を制御するために、かつ、外部通信機能を備えるために使うことができる。
【0021】
図2は、点検扉(18)が開いた状態のハウジング(12)の上部セクション(22)の中の構成部品を示す。セクション(22)の中には、ブロワーすなわちファン(26)、採取カートリッジ(30)を含む試料捕集器(28)、及び状態表示盤(32)が配置されている。
【0022】
高性能ブロワーすなわちファン(26)は、吸気口(14)、試料管(16)、及び試料捕集器(28)を通ってガスを引き込む働きをし、それによって、微粒子物質の試料を捕集することができる。ファンは、毎分約50リットルより多い、望ましくは、毎分200リットルより多いガスの流れを引き起こして、分析用の微粒子試料を取得する時間を減少させる。ファン(26)は、ほとんど騒音を発生せず、そのため、ハウジングから発する騒音レベルは、約60デシベルより低い。装置(10)からの騒音レベルを減少させるために、さらに、騒音防止材料すなわち遮音材をハウジングの内面に配置することができる。また、装置(10)によって発せられる騒音レベルをさらに低減させるために、ファンの後部に消音器(示されていない)を配置することができる。最適な高流量、低騒音ファンとしては、ニューヨーク州ソージェルティーズのアメテック・ロトロン社(Ametek−Rotron of Saugerties,New York)で製造されている型番MF501が入手可能である。そのようなファンを使えば、また、消費電力を低減させることにもなる。ガス採取装置(10)は、交流電源への接続又はバッテリーによる駆動が可能であり、及び/又は予備バッテリー供給電源を含むことができる。
【0023】
図3で最もはっきりと見られるとおり、状態表示盤(32)は、システム状態灯(34)、通信ポート、例えば、RS−232コンピュータポート(36)、及び着脱可能なコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード(38)を含むことができる。コンパクトフラッシュメモリカード(38)は、32〜256MBのサイズで容易に使用可能であり、1秒ごとのセンサーデータ及びガス採取装置の他の動作情報を保存するのに十分な容量を備えている。フラッシュメモリカードは、また、パソコンへの又はネットワークを介した中央監視ステーションへのデータ転送を容易にするのに便利である。
【0024】
状態表示盤(32)の近くに取り付けられているのは、以下にさらに完全に記載されているとおり、採取カートリッジ(30)に一体化されているRFタグとの通信を容易にする無線周波数アンテナ(40)である。RFアンテナ(40)は、採取カートリッジのために一連の保管情報を含む情報をRFタグへ転送することができる。ガス採取装置(10)は、都合のよいことに、カートリッジ補充器が帯びている一意のRFタグから個人識別情報を読取/確認する能力を備えることができる。この確認は、内部に保存されているID情報との比較、又は通信リンクを介して中央監視ステーションからの確認を通して行うことができる。この補充器識別情報は、カートリッジ(30)に一体化されているRFタグ上に保存するために無線周波数アンテナ(40)によって転送することができる。ガス採取装置は、また、カートリッジから時間及び補充器情報を中央ステーションへ同報通信することもできる。補充器ID情報は、回収された又は新しく取り付けられたカートリッジ上に自動的に保存され、それによって、不正開封防止機能システムを設けることができる。
【0025】
試料捕集器(28)は、試料管16と採取カートリッジ(30)との間にはさまれた加速ノズル又は(単数又は複数の)スリット(42)を含む。図4に示されるとおり、採取カートリッジ(30)は、カートリッジ上の断続サンプル捕集器(48)及び継続サンプル捕集器(50)が(単数又は複数の)スリット(42)を通って流れる採取されたガス流にさらされるような位置で分割心棒(44)及び内部シャフト(46)上に取り付けられている。各試料捕集器は、ノズル又は(単数又は複数の)スリット42を通って導かれ、捕集器上に衝突する採取されたガスから微粒子を捕集する働きをする基材(52)から成っている。基材(52)は、発泡布地材料又は多孔質性布地材料で構成することができる。典型的な基材材料には、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又は他の適切な材料が含まれる。基材は、厚さ約0.2ミリメートル以上の多孔質性材料であってもよい。1つの好ましい実施形態においては、基材を約0.005g/cm3〜約0.1g/cm3の密度を有する発泡ウレタン樹脂材料で構成することができる。約1.0ミクロン以上のサイズを有する微粒子は、そのような基材上に捕集することができる。
【0026】
発泡布地材料又は多孔質性布地材料からなる衝撃捕集器の利点は、捕集器又はスリットを詰まらせることなく、被採取空気の高流量を可能にすること、微粒子のはね返りを低減させること、基材に油を塗布する必要がなくなること、微粒子が基材上に蓄積したとき、基材上の圧力降下の増加が抑制されること、基材の上部部分内に微粒子の捕集を集中させること、及び基材を全体として不活性材料で形成することができることを含む。スリット衝撃装置が示されているとはいえ、明らかなように他の形状の開口部を採用することもできる。さらに、本発明の装置に使われている衝撃捕集器は、2002年8月20日に交付された米国特許第6,435,043号、表題「はめ込み基材及び使用方法(Impaction Substrate and Methods of Use)」に記載されている。
【0027】
放射能センサー(示されていない)を採用すれば、米国特許出願第10/177,794号に記載されているとおり、ガス及び/又は捕集された微粒子内の放射性物質の存在を実時間で検出し知らせることができる。
【0028】
カートリッジ(30)は、スプリングキャッチ(54)によって心棒(44)上に保持される(図3)。図5に示されているとおり、カートリッジが心棒から取り外されると、これらのキャッチは自己解放する。
【0029】
カートリッジ(30)が取り外されると、以下にさらに完全に記載されているとおり、カートリッジの採取窓(56)は、常に窓閉止表面58を用いて密封される。ガス採取装置(10)は、その装置の点検扉(18)が開いているときはいつも、装着されているカートリッジ(30)を自動的に密封するように構成されている。密封動作を以下に記載する。
【0030】
図6は、窓閉止表面(58)によって密封されている窓(56)を有する採取カートリッジ(30)を示す。カートリッジ(30)は、カートリッジ補充器によって取り扱われ、移送される間、常時密封されていることが望ましい。カートリッジがハウジング内に取り付けられ、点検扉が施錠された後、ガス採取装置(10)は、カートリッジを開く。扉が開錠され開かれたときはいつも、ガス採取装置は、カートリッジを再密封する。
【0031】
図6をさらに参照すれば、採取カートリッジ(30)は、端部キャップ(62)によって一方の端部が完全に閉止されている筒状外殻又はケーシング(60)を有する。外殻(60)の他方の端部には、心棒(44)を受け入れるための開口部(66)を備えた溝付きリング(64)がある。リング(64)は、スプリングキャッチ(54)を係合してカートリッジ(30)を心棒上に保持することができる対になったタブ(68)を含む。リング(64)は、また、カートリッジの他端部にある別の組になった耳(72)とともにノズル(42)を係合する対になった耳(70)も組み入れている。リング(64)は、また、スプール係合キー用の溝(74)を有する。補充時カートリッジの取り出しを容易にすることができるように、フィンガータブ(76)がカートリッジ(30)の外側端部に設けられている。
【0032】
図7は、採取中又は開放状態の採取カートリッジ(30)を示している。この状態においては、断続サンプル捕集器(48)及び継続サンプル捕集器(50)は、窓(56)を通って流れる試料ガス流にさらされる。図示されているとおり、断続サンプル捕集器(48)及び継続サンプル捕集器(50)は、前以て切ってある及び/又は前以て穿孔したセグメントで形成することができる。
【0033】
さて、図8を参照すれば、好ましい実施形態において、採取カートリッジ(30)は、外殻(60)と同軸でかつ外殻(60)の内側にある対になった独立的に回転可能な内側スプール(78)及び(80)を含む。第1のすなわち間隔スプール(78)は、さまざまな所定間隔(時間分割間隔)の間ガスを採取するために、スプールの周りに円周方向に間隔を空けて配置された複数の試料捕集器(48)を含むことができる。スプール(78)は、また、所定の円周位置に窓閉止表面(58)も含む。スプール(78)は、採取中さまざまな試料捕集器(48)を露出させることができるように適切な駆動手段の制御下で心棒(44)によって回転され、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつもカートリッジを密封することができるように窓閉止表面(58)を窓(56)に隣接して配置することができるように自動的に回転される。装置の処理装置又はコントローラ(示されていない)は、適切なスイッチ又はセンサーを介して点検扉の開放を検知することができ、その検知に呼応してカートリッジを密封することができるように心棒駆動手段を働かせる。
【0034】
第2のすなわち継続スプール(80)は、採取時間全体(長時間採取)を通して外殻(60)の窓(56)を通過する採取ガスにさらされる可能性のある継続サンプル捕集器(50)を含む。スプール(78)と同じように、継続スプール(80)は、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつもカートリッジを密封するために、窓(56)に隣接する位置に自動的に回転することができる窓閉止表面(58’)を含む。試料捕集器(48)及び(50)は、それぞれのスプールの個別ポケット(81)内に収容されているので、窓閉止表面(58)及び(58’)が窓(56)に隣接して配置されたとき、試料捕集器及びあらゆる捕集された微粒子は、完全に密封される。したがって、カートリッジ(30)は、自己密封される。継続スプール(80)は、また、未使用の試料捕集器材料の完全密封セグメント(82)を受け入れるためのポケットを備えることができる。
【0035】
1つの実質的な実施においては、図9に示されるとおり、外側外殻は、2つの部品(60a)、(60b)で形成することができ、独立的に回転可能なスプールのそれぞれは、それぞれ2つの部品(78a)、(78b)及び(80a)、(80b)で形成することができる。間隔スプール(78)は、8つの円周方向に間隔を空けて配置された断続サンプル捕集器(48)を含むことができるが、これに対して、継続スプール(80)は、単一の継続サンプル捕集器(50)を含む。各試料捕集装置は、複数の、たとえば、4つの部分に長手方向に前以て穿孔することができ、任意の深さ、たとえば、0.090インチに前もって穿孔することもできる。そのような前もっての穿孔によって、次の分析に対する最適の試料抽出が可能になる。
【0036】
外側外殻及び内側スプール、ならびに終端プレート及び終端リングは、さまざまな種類の周知の方法、たとえば、成形で製造することができ、あらゆる適切な材料、たとえば、樹脂で製造することができる。カートリッジは、直径約2インチ、長さ2.75インチなどのサイズを有することができる。外側外殻(60)は、カートリッジの前以て使用を視覚的に確認することができるように少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0037】
スプール(78)及び(80)内の試料捕集器の数、形状、種類、及び位置は、実施形態の説明図に示されているものから変更することが可能である。たとえば、内側スプール(78)は、特定用途として、単一の断続サンプル捕集器(48)だけを含むことができる。
【0038】
未使用の基材材料の完全密封セグメントを採取カートリッジ(30)内に組み込んだ状態を図10に示す。例示のとおり、試料捕集器(48)及び(50)を形成するために使われた未使用採取基材(52)の一部又はセグメント(82)は、小瓶(84)内に入れられ、その小瓶の中にキャップ(86)を用いて密封される。次に、小瓶(84)は、継続スプール(80)内に形成されている専用ポケット(88)内に置くことができる。図を明確にするために、カートリッジ(30)は、外殻(60)の半分(60a)を取り除いた状態で図10に示されている。完全密封基材材料(82)は、基材材料純度、たとえば、捕集された微粒子の生物危害検査が陽性かどうかを検証するために使うことができる。ポケット(88)は、窓(56)と位置がそろっているので、小瓶(84)は、継続スプール(80)を回転させることによってカートリッジ(30)から取り外すことができる。次に、小瓶(84)は、カートリッジ(30)を開けることなく、採取窓を通して取り外すことができる。
【0039】
データ保存すなわち記憶手段は、採取カートリッジと一体化することができる。図11に示されているとおり、無線周波数(RF)タグ(90)は、採取カートリッジ(30)の外殻(60)の左部分(60b)と一体化形成することができる。このようなRFタグは、周知であり、過去には製品識別目的のために使われていた。本発明においては、カートリッジ(30)に一体化されているRFタグ(90)は、一意のトレーサビリティのために連番が振られているだけでなく、一体化されているカートリッジのために一連の保管情報を保存するためにも使われる。前述のとおり、そのような一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことができる。RFタグ上に記録されたデータは、採取カートリッジの単独使用を保証するために書込み禁止にされることが望ましい。いったん採取が完了すると、採取カートリッジ(30)は、密封状態でガス採取装置(10)から取り外され、分析ステーションへ移送するために密封樹脂袋に入れることができる。RFタグは、移送袋を介して単一の又は複数の採取カートリッジから読み取ることができる。RFタグは、また、自動データ記録及び読み出し機能を備えている。
【0040】
捕集された試料及び採取工程の完全性は、自己密封採取カートリッジを備えていること、ガス採取装置の点検扉が開いているときはいつもカートリッジは自動密封されること、及び未使用の試料捕集材料はカートリッジ内へ組み込まれていることのおかげで、本発明により保証される。カートリッジ内に2つの独立的に回転可能なスプールを使用することにより、採取の融通性を増すことができる。一体化RFタグにより、カートリッジ補充器に関する個人識別情報を含む一連の保管情報の保存が容易になる。本発明のこれら及び他の独特の特徴により、広い用途及び安全確実な運転に一意的に適合する著しく改良されたガス採取装置及び方法が提供される。
【0041】
本発明のさまざまな好ましい実施形態を図示して説明してきたが、技術分野の当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく多くの変形及び変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検扉(18)を有するガス採取装置(10)を用いて微粒子試料を捕集する方法であって、
基材(48)上に前記試料を捕集する工程と、
前記点検扉が開いているときはいつも前記基材を自動的に密封する工程と、
前記基材と一体化している記憶手段(90)上に一連の保管情報を記録する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記捕集工程は、採取カートリッジ(30)の基材上に前記試料を捕集する工程を含み、前記密封工程は、前記カートリッジを自己密封する工程を含み、さらに、前記記録工程は、前記カートリッジと一体化している無線周波数タグ(90)上に前記一連の保管情報を記録する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材の未使用材料の完全密封体(82)を前記カートリッジ(30)内に組み込む工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項1】
点検扉(18)を有するガス採取装置(10)を用いて微粒子試料を捕集する方法であって、
基材(48)上に前記試料を捕集する工程と、
前記点検扉が開いているときはいつも前記基材を自動的に密封する工程と、
前記基材と一体化している記憶手段(90)上に一連の保管情報を記録する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記捕集工程は、採取カートリッジ(30)の基材上に前記試料を捕集する工程を含み、前記密封工程は、前記カートリッジを自己密封する工程を含み、さらに、前記記録工程は、前記カートリッジと一体化している無線周波数タグ(90)上に前記一連の保管情報を記録する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一連の保管情報は、カートリッジ補充器の個人識別情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材の未使用材料の完全密封体(82)を前記カートリッジ(30)内に組み込む工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−80140(P2009−80140A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12406(P2009−12406)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2006−501182(P2006−501182)の分割
【原出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【出願人】(500194164)ラプレット アンド パタシュニック カンパニー,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2006−501182(P2006−501182)の分割
【原出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【出願人】(500194164)ラプレット アンド パタシュニック カンパニー,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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