説明

ガス処理装置及びガスサンプリング装置

【課題】ダストを含むガスからダストを効率的に除去するガス処理装置及びガスサンプリング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ダストを含むガスの処理を行うガス処理装置において、所定水位に水を湛えると共にその上方空間が実質的に密閉された容器10と、容器10内の水Aの中に先端の開口15aが位置するように設けられて容器10外からガスを導入する導入管15と、水Aの水面より上方の空間に開口する排出口17aを有する排出管17と、容器10内の水Aの水面より下方で導入管15の先端より上方に配置されて導入管15から導入されたガスの気泡の移動を規制して小径化する規制板18とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダストを含むガスからダストを除去するガス処理装置及びこれにより処理したガスをサンプルガスとしてガス分析装置等に供給するためのガスサンプリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスが発生する各種装置には、運転制御や管理のためにガス分析計、ガス分析装置等が取り付けられている。例えば、焼却炉、ボイラー等には、排出される排ガス中のNO、SO、CO、COなどの成分を時間遅れなく直接分析するために煙道にサンプルガス採取口が設けられており、採取したサンプルガスの分析を行った結果から燃焼の制御を行えるようになっている。このように焼却炉、ボイラー等から採取したサンプルガスには、多量の粉塵や結晶物等のダストが混入しているため、ダストの分離除去を行ってからガス分析装置に導入してガス分析を行うことが求められている。
【0003】
そこで、ダスト等をガスから除去することのできるガスサンプリング装置や燃焼ガス分析計が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。この中で、特許文献3に記載の燃焼ガス分析計は、加熱ボックスと、降温加熱ボックスと、タールとダストを取り除くフィルタとを備えており、フィルタは降温加熱ボックスにおけるサンプリングパイプに対して着脱可能に構成することでタールとダストを除去し、パイプが閉塞することのないように構成されている。しかしながら、この場合、フィルタにダストがつまりやすく、メンテナンスを頻繁に行う必要がありコストがかかるという問題があった。よって、ガス中のダスト量をさらに減少させる設備が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−311098号公報
【特許文献2】特開2005−55247号公報
【特許文献3】特開平10−104132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み、ダストを含むガスからダストを効率的に除去するガス処理装置及びガスサンプリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、ダストを含むガスの処理を行うガス処理装置において、所定水位に水を湛えると共にその上方空間が実質的に密閉された容器と、前記容器内の水の中に先端の開口が位置するように設けられて前記容器外からガスを導入する導入管と、前記容器内の水面より上方の空間に開口する排出口を有する排出管と、前記容器内の水の水面より下方で前記導入管の先端より上方に配置されて前記導入管から導入されたガスの気泡の移動を規制して小径化する規制板とを具備することを特徴とするガス処理装置にある。
【0007】
かかる第1の態様では、容器内の水中に設けられた規制板により導入管から導入されたガスの気泡が小径化されるため、ガスと水との接触面積が大きくなり、効率的にガス中のダストを除去することができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のガス処理装置において、前記規制板が複数の孔及びスリットの少なくとも一方を有する板状部材からなることを特徴とするガス処理装置にある。
【0009】
かかる第2の態様では、規制板に設けられた複数の孔やスリットにより、ガスの気泡をより効率的に小径化させることができ、効率的にガス中のダストを除去することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載のガス処理装置において、前記規制板の前記複数の孔又はスリットが不規則に設けられていることを特徴とするガス処理装置にある。
【0011】
かかる第3の態様では、不規則に設けられた複数の孔又はスリットにより効率的にガス中のダストを除去することができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、第2又は3の態様に記載のガス処理装置において、前記複数の孔又はスリットの大きさが異なることを特徴とするガス処理装置にある。
【0013】
かかる第4の態様では、複数の孔又はスリットの大きさを変化させることにより、ガスの気泡をより効率的に小径化させることができ、効率的にガス中のダストを除去することができる。
【0014】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか一つの態様に記載のガス処理装置において、前記容器内に、水を連続的に供給する供給路と、前記所定水位に配置された排出口を有して所定水位を越えた水を排出する排出路とを具備することを特徴とするガス処理装置にある。
【0015】
かかる第5の態様では、容器内の水が所定水位に保たれつつ容器内の水が交換され、より効率的なダスト除去を行うことができる。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか一つの態様に記載のガス処理装置において、前記排出口と水面との間に設けられて、前記排出管への水の侵入を防止する保護板を具備することを特徴とするガス処理装置にある。
【0017】
かかる第6の態様では、ガスの導入により跳ねた水が排出路からの処理ガスに混入することが防止され、他の装置や設備に水が浸入する虞のないガス処理装置となる。
【0018】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか一つの態様に記載のガス処理装置を備えて、前記導入管から未処理ガスを導入し、前記排出管から排出される処理ガスをサンプリングガスとすることを特徴とするガスサンプリング装置にある。
【0019】
かかる第7の態様では、効率的にガス中のダストを除去できるガス処理装置を備えることで、ダストの除去されたサンプリングガスを供給できるガスサンプリング装置となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、容器内の水中に設けた規制板により導入管から導入したガスの気泡を小径化し、ガスと水との接触面積を大きくすることにより、効率的にガス中のダストを除去することができるガス処理装置及びガスサンプリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかるガス処理装置の断面図である。
【図2】本発明にかかる規制板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に基づいて本発明の詳細を説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の一実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0023】
図1は本発明の一実施形態にかかるガス処理装置の断面図である。
【0024】
ガス処理装置の本体となる容器10は、例えば、円筒形又は多角筒形などの形状を有し、水を湛える水密性と共に実質的に気密性を有するもので、例えば、金属、プラスチックなどから構成されるものである。容器10の底壁11には、水を導入するための供給路12及び水を排出するための排出路13が設けられている。また、排出路13は容器10の所定位置まで挿入されており、その排出口13aは容器10内の所定の高さに位置するように配置されている。これにより、供給路12から導入された水は排出路13の排出口13aの高さまで溜まり、その後、排出口13aから排出され、所定の水位を有する水Aが容器10内に湛えられるようになっている。
【0025】
また、容器10の上壁14には導入管15が貫通状態で保持されている。導入管15は外部から処理するためのガスを導入するものであり、その先端の開口15aが水Aの中の所定位置に配置されるように設けられている。さらに、容器10の側壁16の水Aの水位より上方には、水Aの上側の容器10内の雰囲気ガスを外部へ排出するための排出管17が設けられており、その排出口17aが側壁の所定位置に配置されている。
【0026】
一方、容器10内の水Aの水面と導入管15の開口15aとの間には、規制板18が配置されている。また、容器10内の水Aの水面と排出管17の排出口17aとの間には、保護板19が設けられている。
【0027】
ここで、規制板18は、例えば、図2に平面図を示すように、円盤状の形状を有し、多数の貫通孔18aを設けたものである。すなわち、規制板18は、導入管15の開口15aから水A中に導入されたガスの上方への移動を許容しつつ大きな球形のガスの通過を規制して小径化するように機能する貫通孔18aを有するものである。よって、規制板18は容器10の横断面と同等な寸法を有するのが好ましいが、容器10の側壁16と規制板18の外周面との間に若干の隙間があってもよい。隙間が小さければ貫通孔18aと同様にガスを小径化する作用を有するからである。
【0028】
また、保護板19は、導入管15から導入されたガスにより水Aの上方へ跳ねた水が排出管17の排出口17aに入り込むのを防止するものである。よって、ガスの上方への移動は許容するように、容器10の横断面より小面積として外周面と容器10の側壁16との間に隙間を設けるか、排出口17aとは異なる位置にガスを上部へ逃がすための貫通部を設けてもよい。
【0029】
上述した構成からなるガス処理装置において、供給路12から水を供給して所定量の水Aを湛え、導入管15からガスを導入すると、開口15aから出たガスは気泡となって水中を上昇して上部空間に排出され、排出管17から排出される。このとき、水中を上昇する気泡(ガス)は、規制板18に衝突して貫通孔18aを通過する際に小径化され、さらに水中を上昇する。このように水中を移動するガスは水と接触するので、ガス中に混入したダスト等は水中に取りこまれ、その接触状態は小径化されることによりさらに向上する。よって、このガス処理装置では、導入されたガスからダスト等を除去する効率が著しく高い。このような作用効果を高めるためには、規制板18はできるだけ水中深くに配置されるのが好ましいが、導入管15の開口15aの位置に近すぎると、開口15aから出たガスが規制板18に衝突するために拡散し難くなる。よって、このような機能を考慮しながら規制板18の配置や、貫通孔18aの大きさ及び数を検討するのが好ましい。
【0030】
また、水Aから出たガスが水を跳ねることになるが、跳ねた水は保護板19に衝突して保護板19より上方に搬送されないので、排出管17から排出されるガスに水が混入することがない。
【0031】
このように、本発明のガス処理装置をガスが通過することにより、ガス中に含まれる粉塵や結晶物等のダストが容器10に湛えられた水Aに効率よく取り込まれ除去されて、ダストの除去されたガスとなる。
【0032】
ここで、規制板18は、上述したように気泡の移動を規制して小径化できるものであれば特に限定されない。上述したように規制板18としては、所定の大きさの多数の貫通孔18aを有する金属板やプラスチック板等を挙げることができるが、大きさの異なる多数の貫通孔18aを有するものでもよい。また、孔の代わりにスリットを有する板でもよく、また、勿論、孔及びスリットの両者を有するものでもよい。
【0033】
また、規制板18の位置は上述したとおり、水Aの水面より下方で導入管15の先端の開口15aより上方であれば特に限定されないが、容器10の底壁11から水の水面の間の中間もしくはそれよりも下方程度に設けられるのが好ましい。水面近くに規制板18を設けると、小径化した気泡が水に接触する時間が極めて短くなるため、ガス中のダスト除去効率が低下する虞があるためである。
【0034】
一方、導入管15は、先端の開口15aができるだけ水中深く配置されるのが好ましい。開口15aを下方に設けるほど、ガスと水との接触時間が多くなり、ダストを効率よく除去することができるためである。
【0035】
なお、供給路12は、本実施形態では、容器10の底壁11に設けたが、その配置は特に限定されない。また、排出路13は、排出口13aを有しており、排出口13aは容器10内の水面の高さを一定に保持しつつ水を入れ替える役割を果たしているが、このように水位を調整しながら置換する手段はこれに限定されるものではない。例えば、一定水位以上の水をポンプで排出する排出手段を設けるなど特に限定されるものではない。
【0036】
また、特に図示しないが、容器10の底面に水を抜く排出口を設けてもよい。なお、この場合は、ガス処理装置の稼働時には排出口を塞いでおき、水を排出する際に開くようにする。このように底面に排出口を設けることで、ガス処理装置の連続稼動により容器10に蓄積されたダストを水とともに除去することができる。
【0037】
上述したような本発明のガス処理装置を、ガスが発生する装置からのガスをサンプリングするガスサンプリング装置の一部に組み込むことで、ダストを除去したサンプリングガスを供給することができるガスサンプリング装置となる。すなわち、サンプリング対象となる装置のガスを導入管15に導入し、排出管17から排出してガス分析装置などに導入するようにすれば、ダストの除去されたガスをガス分析装置などに供給することができる。
【0038】
なお、本発明のガス処理装置は、例えば、焼却炉、ボイラー等のガス分析を行う装置や、脱硝装置、脱硫装置などガスが発生する装置に付随する装置に設置することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 容器
11 底壁
12 供給路
13 排出路
14 上壁
15 導入管
16 側壁
17 排出管
18 規制板
19 保護板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダストを含むガスの処理を行うガス処理装置において、所定水位に水を湛えると共にその上方空間が実質的に密閉された容器と、前記容器内の水の中に先端の開口が位置するように設けられて前記容器外からガスを導入する導入管と、前記容器内の水面より上方の空間に開口する排出口を有する排出管と、前記容器内の水面より下方で前記導入管の先端より上方に配置されて前記導入管から導入されたガスの気泡の移動を規制して小径化する規制板とを具備することを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス処理装置において、前記規制板が複数の孔及びスリットの少なくとも一方を有する板状部材からなることを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガス処理装置において、前記規制板の前記複数の孔又はスリットが不規則に設けられていることを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のガス処理装置において、前記複数の孔又はスリットの大きさが異なることを特徴とするガス処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のガス処理装置において、前記容器内に、水を連続的に供給する供給路と、前記所定水位に配置された排出口を有して所定水位を越えた水を排出する排出路とを具備することを特徴とするガス処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のガス処理装置において、前記排出口と水面との間に設けられて、前記排出管への水の侵入を防止する保護板を具備することを特徴とするガス処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のガス処理装置を備えて、前記導入管から未処理ガスを導入し、前記排出管から排出される処理ガスをサンプリングガスとすることを特徴とするガスサンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−164347(P2010−164347A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5167(P2009−5167)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】