ガス分析装置
【課題】試料ガスを従来に比して正確に分析可能とする測定ユニットおよびガス分析装置を提供する。
【解決手段】煙道壁の外側に配置される1つの照射部と、照射部から出射され煙道の中を通過した測定光を反射する第1リフレクタと、煙道壁の外側に配置され第1リフレクタで反射された測定光を受光する1つの受光部と、煙道壁の外側に配置され測定光を受光部に向けて反射する第2のリフレクタと、照射部と第2リフレクタの間の光路上の空間に設けられ、既知物質を収容する既知物質収容部と、照射部から出射された測定光を第1リフレクタで反射させて試料ガスを分析し、照射部から出射された測定光を第2リフレクタで反射させてガス分析装置の既知物質を用いた補正又は校正を行う演算部と、煙道壁の外側に配置され成分濃度の分析を行うときに第2リフレクタを光路上から外し、補正又は校正を行うときに第2リフレクタを光路上に配置する切替部とを備える。
【解決手段】煙道壁の外側に配置される1つの照射部と、照射部から出射され煙道の中を通過した測定光を反射する第1リフレクタと、煙道壁の外側に配置され第1リフレクタで反射された測定光を受光する1つの受光部と、煙道壁の外側に配置され測定光を受光部に向けて反射する第2のリフレクタと、照射部と第2リフレクタの間の光路上の空間に設けられ、既知物質を収容する既知物質収容部と、照射部から出射された測定光を第1リフレクタで反射させて試料ガスを分析し、照射部から出射された測定光を第2リフレクタで反射させてガス分析装置の既知物質を用いた補正又は校正を行う演算部と、煙道壁の外側に配置され成分濃度の分析を行うときに第2リフレクタを光路上から外し、補正又は校正を行うときに第2リフレクタを光路上に配置する切替部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析装置に関し、より特定的には試料ガス中の所定成分の濃度を光吸収法を用いて分析するガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭や重油を燃焼させるボイラから排出される燃焼排ガスの中にはNOx、SOx、CO2、CO等の成分が含まれている。そして、ガス中におけるこれらの成分の含有量を分析するガス分析装置が開発されている。このようなガス分析装置としては、例えば、プローブ方式を採用した装置が開発されている。プローブ方式のガス分析装置は、光源から出射された測定光をプローブ先端部に配置されたリフレクタで反射させ、当該リフレクタで反射された測定光の情報に基づいて試料ガスの成分濃度を分析するものである。
【0003】
従来のプローブ方式のガス分析装置には、上記した成分濃度分析機能の他に、ゼロ補正機能を有するものがある。例えば、光源から出射された1本の測定光を光カプラ・スプリッタで2本の光束に分岐させ、そのうちの1本の光束をガス成分分析に用い、もう1本の光束をゼロ補正に用いている。ガス成分分析に用いられる光束と、ゼロ補正に用いられる光束は、別々の受光部に入力されて個別に信号処理される。
【0004】
しかしながら、上記したガス分析装置には以下の課題が存在した。すなわち、光カプラ・スプリッタは、波長依存性を有しており、波長域によっては分岐後の2本の光束を同じ強度で出力することができない。また、受光部にも個体差(機差)があり、同じ設計の受光部であれば、本来、同じ入力に対して同じ出力が生じるはずであるが、実際には出力に若干の違いが出ることが多い。また、受光部の後段にある信号処理回路も受光部毎に別々のものが使用され、各信号処理回路の処理結果において若干の個体差がある。よって、上記した分岐後の2本の光束から得られる信号処理結果には、各部品の個体差に基づく違いが累積して生じる可能性が高かった。このため、正確なゼロ補正を行うことができず、精度の高い成分分析が困難であるという課題があった。また、分岐後の2本の光束をそれぞれ、別々の系(受光部と信号処理回路からなる系)が必要となるので、分析装置全体が大型化するとともに、各系からの発熱によって分析装置全体での発熱量が大きくなり、信号処理回答等の耐久性が低下するという課題があった。プローブ方式のガス分析装置は、煙突等に装着して使用されるものなので、試料ガスの熱の影響を受けて高温になりやすく、特に劣化しやすい。
【0005】
また、プローブ方式のガス分析装置として、成分濃度分析機能の他に、キャリブレーション機能を有するものが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるガス分析装置は、試料ガスを導入する導入孔が形成されたプローブ管を有している。このプローブ管は、先端部を含む殆どの部分が煙道壁の内側に配置され、基端部のみが煙道壁の外側に配置されている。このガス分析装置では、測定光が、煙道壁の外側に配置された光源からプローブ管内の試料ガスに向かって出射される。測定光は筒状筐体の先端部に配置された第1のリフレクタで反射され、当該反射された測定光は煙道壁の外側に配置された受光センサで受光される。受光センサにおいて得られた測定光の情報に基づき、試料ガスに含まれる所定成分の濃度を算出することができる。
【0006】
このガス分析装置は、上記したように、光源から出射された測定光を第1のリフレクタで反射させて試料ガスの成分濃度を分析する機能に加え、光源から出射された測定光を第2のリフレクタで反射させてガス分析装置のキャリブレーションを行う機能を有している。第2のリフレクタは、プローブ管の中途部でかつ煙道壁の内側に配置されている。第2のリフレクタは、切替部によって位置を変更できるようになっている。この切替部は、プローブ筒の中途部でかつ煙道壁の内側に配置され、成分濃度の分析を行うときには第2のリフレクタを光路上から外し、キャリブレーションを行うときには第2のリフレクタを光路上に配置するように構成されている。切替部の切替動作により、ガスの成分濃度分析と、ガス分析装置のキャリブレーションとを選択的に行うことができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるガス分析装置には、以下の課題が存在した。すなわち、第2のリフレクタと切替部は、煙道壁の内側に配置されているため、煙道内を流れる高温の試料ガスから熱の影響を受けやすく、劣化が早いという課題があった。また、第2のリフレクタと切替部が煙道壁の内側に配置されているため、第2のリフレクタと切替部を交換する際には、プローブ管を含むガス分析装置全体を煙道から引き抜く必要があり、交換作業にかなりの手間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5781306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、コンパクトでかつ製造コスト、維持コストを低く抑えることができるとともに、濃度分析精度に優れたガス分析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一見地に係るガス分析装置は、煙道を流れる試料ガス中の所定成分濃度を分析する装置であって、1つの照射部と、第1のリフレクタと、1つの受光部と、第2のリフレクタと、既知物質収容部と、演算部と、切替部とを備えている。
照射部は、煙道を構成する壁の外側に配置され、測定光を煙道内に流れる試料ガス中へ照射する。
第1のリフレクタは、照射部から出射され煙道の中を通過した測定光を反射する。
受光部は、照射部の近傍でかつ壁の外側に配置され、第1のリフレクタで反射された測定光を受光する。
第2のリフレクタは、壁の外側に配置され、測定光を受光部に向けて反射する。
既知物質収容部は、照射部と第2のリフレクタの間および第2のリフレクタと受光部の間の光路上の空間領域に設けられ、照射部から照射される測定光を減衰させないかまたは所定量減衰させる既知物質を収容する。
演算部は、照射部から出射された測定光を第1のリフレクタで反射させて試料ガスの成分濃度を分析するとともに、照射部から出射された測定光を第2のリフレクタで反射させてガス分析装置の既知物質を用いた補正および校正の少なくともいずれか一方を行う。
切替部は、壁の外側に配置され、成分濃度の分析を行うときには第2のリフレクタを光路上から外し、補正及び校正の少なくともいずれか一方を行うときには第2のリフレクタを光路上に配置する。
【0011】
「既知物質」は、測定光を照射した場合に透過する光量が予め分かっている物質であればよく、例えば、ゼロガスやスパンガス、さらには測定光に対して完全に透明または透過する測定光を所定量に制限するような光透過板や光学素子を含むものである。
また、「補正」とは、照射部から測定光を既知物質に対して照射し、当該既知物質を透過した測定光を受光して行うゼロ補正を含み、「校正」とは、照射部から測定光を既知物質に対して照射し、当該既知物質を透過した測定光を受光して行うゼロ校正およびスパン校正を含むものである。
また、「測定光を減衰させない」とは、測定光を完全に透過させることである。そのような性質を有する既知物質としては、例えばゼロガスが挙げられる。
【0012】
この装置によれば、第2のリフレクタと切替部が煙道壁の外側に配置されているので、これらの部品が高温の試料ガスに晒されない。よって、第2のリフレクタと切替部の劣化を抑制することができ、部品交換の頻度を抑えて維持コストを抑えることができる。また、本発明においては、切替部の切替動作により、第2のリフレクタを光路から外している状態と、第2のリフレクタを光路上に配置する状態とに選択的に設定することができる。よって、光カプラ・スプリッタで2つの光束に分岐させずに、1つの受光部で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正などを行うことができる。よって、従来のように2つの受光部を設けたことによる個体差の影響を受けることがなく、高い精度で成分濃度分析を行うことができる。また、1つの系(受光部、信号処理回路からなる系)で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正などを行うことができるので、ガス分析装置全体を少ない部品点数でコンパクトに構成することができ、製造コストを抑えることができる。また、第2のリフレクタと切替部が煙道壁の外側に配置されているので、これらの部品の交換を容易に行うことができる。
【0013】
ガス分析装置は、試料ガスを内部に導入する導入孔が設けられた筒状のプローブ管をさらに備えていてもよい。その場合、照射部は、プローブ管内に導入された試料ガス中に測定光を照射する。
【0014】
この装置では、煙道壁への取り付け、および維持管理が容易なプローブ式のガス分析装置に適用することができる。
【0015】
第1のリフレクタは、先端部が煙道の中に配置されたプローブ管の当該先端部に配置されていてもよい。その場合、第2のリフレクタおよび既知物質収容部は、基端部が煙道の中に配置されたプローブ管の当該基端部に配置されている。
【0016】
この装置では、第2のリフレクタおよび既知物質収容部は、プローブ管の基端部(煙道壁の外側)に配置されているので、第2のリフレクタおよび既知物質収容部を交換する際、プローブを煙道から引き抜かずに容易に交換することができる。
【0017】
第1のリフレクタは、上記煙道における上記第2のリフレクタとは反対側の壁の外側に配置されていてもよい。
【0018】
この装置では、第1のリフレクタを、煙道における第2のリフレクタとは反対側の壁の外側に配置して、いわゆるオープンパス式のガス分析装置に適用することができる。
【0019】
切替部は、上記第2のリフレクタを上記光路上から外すことと、光路上に配置することができる進退移動機構を有してもよい。
【0020】
この装置では、第2のリフレクタを進退させることにより、当該第2のリフレクタを光路上から外すことができ、さらに光路上に配置することができる。よって、簡易な構成で第2のリフレクタの位置を確実に切り替えることができる。
【0021】
進退移動機構は、エアシリンダと、エアシリンダが第2のリフレクタを光路上に配置するときに第2のリフレクタを常に同じ向きと同じ位置を位置決めするための位置決め機構とを有していてもよい。
この装置では、エアシリンダからの力によって第2のリフレクタが光路上に戻されたときに、位置決め機構によって第2のリフレクタが同じ向きと同じ位置に位置決めされる。特に、位置決めのための複雑な機構又は特別なエネルギー源が不要になるので、コストが低くなる。
【0022】
位置決め機構は、第2のリフレクタに固定されたホルダと、ホルダを受け止める軸受部材とを有していてもよい。その場合、軸受部材は、円錐形状の凹部を有している。ホルダは、円錐形状又は球形状の凸部を有している。凹部には、円周方向の一部において凹部の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面が形成されている。凸部には、第1平面に対して相補的に当接可能な第2平面が形成されている。
この装置では、エアシリンダが第2のリフレクタ及びホルダを軸受部材に向けて押すと、ホルダの凸部が軸受部材の凹部に嵌り込む。このとき、上記形状によって凸部は凹部に対して回転方向に移動を許容された状態で凹部に近づいていき、最後に、凸部の第2平面が凹部の第1平面に相補的に当接する。この状態で、凸部は凹部に対して移動方向及び回転方向に移動不能になる。このようにして、第2のリフレクタが常に同じ向きと同じ位置に位置決めされる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンパクトでかつ製造コスト、維持コストを低く抑えることができるとともに、分析精度に優れたガス分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガス分析装置の外観構成図
【図2】図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、ガス濃度分析モードを示す図
【図3】図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、補正モードまたは校正モードを示す図
【図4】本発明の第1実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図
【図5】本発明の第1実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図
【図6】本発明の第1実施形態における切替部の他の構成を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図
【図7】本発明の第1実施形態における切替部の他の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図
【図8】本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、ガス濃度分析モードを示す図
【図9】本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、補正モードまたは校正モードを示す図
【図10】本発明の第3実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図
【図11】軸受部材の斜視図
【図12】軸受部材の平面図
【図13】図10の部分拡大図
【図14】第3実施形態の第1変形例としての位置決め機構の断面図
【図15】第3実施形態の第2変形例における軸受部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るガス分析装置100について説明する。ガス分析装置100は、いわゆるプローブ方式のガス分析装置である。図1は、本発明の第1実施形態に係るガス分析装置の外観構成図である。図2は、図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、ガス濃度分析モードを示す図である。図3は、図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、補正モードまたは校正モードを示す図である。
【0026】
第1実施形態に係るガス分析装置100は、煙道1を流れる試料ガス中の所定成分濃度を分析するガス分析装置である。ガス分析装置100は、例えば、非分散型赤外分析計(Non-dispersive Infrared Analyzer: NDIR)である。
【0027】
図2、3に示されるように、ガス分析装置100は、1つの照射部2と、第1のリフレクタ3と、1つの受光部4と、第2のリフレクタ5と、既知物質収容部6と、演算部7と、切替部8と、プローブ管9とを備えている。第1のリフレクタ3と、第2のリフレクタ5と、既知物質収容部6は、プローブ管9の中に収められている。照射部2と受光部4は、光学ユニットを構成しており、これらは光学ユニットの筐体11内に収められている。筐体11とプローブ管9の接続箇所には、光学窓12が配置されている。光学窓12は、測定光Lbを透過する素材で形成された板状部材である。
【0028】
プローブ管9は、試料ガスSgを拡散により内部に導入する導入孔91が設けられた円筒状の部材である。プローブ管9の材質は、ガス分析装置100の使用環境に応じて任意の金属素材を選択してよい。導入孔91は、例えば図1に示すように、プローブ管9の側面に断続的なスリットとして形成されている。プローブ管9内の先端部には、図2に示すように第1のリフレクタ3が備えられている。一方、プローブ管9内の基端部には、第2のリフレクタ5および既知物質収容部6が備えられている。
【0029】
照射部2は、筒状の煙道1を構成する壁1aの外側に配置され、測定光Lbを煙道1内に流れる試料ガスSg中へ照射するものである。照射部2は、典型的には、赤外線レーザー発振装置等、直進性の高い所定波長域光を射出する光源装置である。
【0030】
第1のリフレクタ3は、照射部2から出射され煙道1の中を通過した測定光Lbを受光部4に向けて反射するものである。すなわち、第1のリフレクタ3は、照射部2から出射された光(光軸)の向きを受光部4の方向へ変更する手段であって、例えばコーナーキューブであり、図2に示される例では、コーナーキューブ・プリズムとされている。なお、第1のリフレクタ3は、コーナーキューブ・ミラーであってもよい。
【0031】
受光部4は、照射部2の近傍でかつ壁1aの外側に配置され、第1のリフレクタ3で反射された測定光Lbを受光するものである。受光部4は、測定光Lb1を受光面において受光する受光装置である。受光部4は、典型的には、フォトダイオード等の光電変換装置である。受光部4は、演算部7と電気的に接続され、受光した測定光Lbに関する情報(例えば光量)を電気信号として演算部7へ送信する。
【0032】
第2のリフレクタ5は、壁1aの外側に配置され、測定光Lbを受光部4に向けて反射するものである。すなわち、第2のリフレクタ5は、照射部2から出射された光(光軸)の向きを受光部4の方向へ変更する手段であって、例えばコーナーキューブであり、図2に示される例では、コーナーキューブ・プリズムとされている。なお、第2のリフレクタ5は、コーナーキューブ・ミラーであってもよい。
【0033】
既知物質収容部6は、照射部2と第2のリフレクタ5の間および第2のリフレクタ5と受光部4の間の光路上の空間領域に設けられ、照射部2から照射される測定光Lbを減衰させないかまたは所定量減衰させる既知物質を収容するものである。ここで、「既知物質」は、測定光Lbを照射した場合に透過する光量が予め分かっている物質であればよく、例えば、ゼロガスやスパンガス、さらには測定光に対して完全に透明または透過する測定光を所定量に制限するような光透過板や光学素子を含むものである。図2,3に示される例では、既知物質収容部6は、ガス分析装置100を補正または校正するために使用される既知のガス(ゼロガスやスパンガス)を充填するようになっている。既知物質収容部6は、例えば、光透過性のセル61と、セル61内に既知のガスを供給するガス導入パイプ62と、セル61内の既知のガスを排出するガス排出パイプ63とで構成することができる。第1実施形態において、「補正」とは、例えばゼロ補正を行うことを意味する。また、「校正」とは、例えばゼロ校正またはスパン校正を行うことを意味する。ゼロガスは、ガス分析装置100のゼロ点を補正するための基準ガスであって、例えば窒素を採用することができる。なお、既知物質収容部6の構成は、上記した構成に限定されるものではなく、例えば、光透過性のセル61を設けずに、第2のリフレクタ5が光路上に配置されている状態で、光学窓12と第2のリフレクタ5の間の空間領域に既知のガスを導入して充填させることで構成してもよい。また、校正を行う場合には、既知物質収容部6に、スパンガスを入れるか、または、ゼロガスとスパンガスを交互に入れればよい。
【0034】
演算部7(演算処理装置)は、照射部2、受光部4、および切替部8の動作を制御すると共に、照射部2から出射された測定光Lbを第1のリフレクタ3で反射させ、受光部4から受信した信号に基づいてプローブ管9内の試料ガスSgの成分濃度を分析するものである。また演算部7は、照射部2から出射された測定光Lbを第2のリフレクタ5で反射させてガス分析装置100の既知のガスを用いた補正または校正を行うものである。演算部7は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)等の情報処理装置、メモリ等の記憶装置、ユーザの操作を受け付けるインターフェース装置、分析結果を表示する表示装置等を備え、ユーザの操作および記憶装置に記憶されたプログラムに基づいた演算処理を行う。
【0035】
切替部8は、壁1aの外側に配置され、成分濃度の分析を行うときには第2のリフレクタ5を光路上から外し(図2,4参照)、補正または校正を行うときには第2のリフレクタ5を光路上に配置する(図3,5参照)ものである。
【0036】
切替部8の構成は、特に限定されるものではないが、例えば、図4、5に示される構成とすることができる。図4は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図である。図5は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図である。図4、5に示される例では、切替部8は、第2のリフレクタ5を光路上から外したり、当該光路上に配置したりする進退移動機構を有している。進退移動機構は、第2のリフレクタ5をばね81の弾性力によって光路上に配置するばね機構82と、第2のリフレクタ5をばね81の弾性力に抗する空気圧で光路上から外す空気圧機構83とを含んでいる。
【0037】
空気圧機構83は、第2のリフレクタ5の上方に設けられたエアシリンダ84と、このエアシリンダ84に空気圧を供給する供給側バルブ85と、エアシリンダ84内の空気を排出する排出側バルブ86と、ピストン87と、ロッド88とを備えている。エアシリンダ84は、ピストン87を介して2つの空気室を有している。一方の空気室840は、エアシリンダ84の基端側底部とピストン87の間に形成され、当該一方の空気室840には圧縮コイル型のばね81が配置されている。他方の空気室841にはばねは配置されていない。供給側バルブ85と排出側バルブ86は、他方の空気室841に接続されており、当該他方の空気室841内にコンプレッサからの空気を供給し、また当該他方の空気室841内の空気を排出するようになっている。
【0038】
図4に示されるように、供給側バルブ85がオープンで、排出側バルブがクローズになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85を通じて他方の空気室841内に流れ込み、当該他方の空気室841内の空気圧を高まる。ばね81の弾性力よりも空気圧による力が大きくなると、ばね81が縮んでピストン87が上昇する。ピストン87の上昇に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が上昇し、第2のリフレクタ5は光路から外れる。
【0039】
一方、図5に示されるように、供給側バルブ85がクローズで、排出側バルブがオープンになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85によって遮断され、他方の空気室841内の空気圧が低下する。ばね81の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね81が伸びてピストン87が降下する。ピストン87の降下に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が降下し、第2のリフレクタ5は光路上に配置される。
【0040】
また、図5に示されるように、停電等による異常によってコンプレッサからの空気の供給が断たれたときは、供給側バルブ85がオープンであったとしても、他方の空気室841内の空気圧が低下する。ばね81の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね81が伸びてピストン87が降下する。ピストン87の降下に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が降下し、第2のリフレクタ5は光路上に配置される。第2のリフレクタ5はシャッタの役割を果たしてプローブ管9内を塞ぐので、試料ガスSgが照射部2側に侵入するのを防止することができる。
【0041】
なお、切替部8の構成は、上記の構成に代えて、図6、7に示される構成とすることも可能である。図6は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図である。図7は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図である。図6、7に示される例では、切替部8は、第2のリフレクタ5を光路上から外したり、当該光路上に配置したりする進退移動機構を有している。進退移動機構は、第2のリフレクタ5をばね810の弾性力によって光路上から外すばね機構820と、第2のリフレクタ5をばね810の弾性力に抗する空気圧で光路上に配置する空気圧機構830とを含んでいる。
【0042】
空気圧機構830は、第2のリフレクタ5の上方に設けられたエアシリンダ84と、このエアシリンダ84に空気圧を供給する供給側バルブ85と、エアシリンダ84内の空気を排出する排出側バルブ86と、ピストン87と、ロッド88とを備えている。エアシリンダ84は、ピストン87を介して2つの空気室を有している。一方の空気室840は、エアシリンダ84の基端側底部とピストン87の間に形成され、当該一方の空気室840には引張コイル型のばね810が配置されている。他方の空気室841にはばねは配置されていない。供給側バルブ85と排出側バルブ86は、一方の空気室840に接続されており、当該一方の空気室840内にコンプレッサからの空気を供給し、また当該一方の空気室840内の空気を排出するようになっている。
【0043】
図6に示されるように、供給側バルブ85がクローズで、排出側バルブ86がオープンになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85によって遮断され、一方の空気室840内の空気圧が低下する。ばね810の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね810が縮んでピストン87が上昇する。ピストン87の上昇に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が上昇し、第2のリフレクタ5は光路から外れる。
【0044】
また、図6に示されるように、停電等による異常によってコンプレッサからの空気の供給が断たれたときは、供給側バルブ85がオープンであったとしても、一方の空気室840内の空気圧が低下する。ばね810の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね810が縮んでピストン87が上昇する。ピストン87の上昇に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が上昇し、第2のリフレクタ5は光路から外れる。
【0045】
一方、図7に示されるように、供給側バルブ85がオープンで、排出側バルブがクローズになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85を介して一方の空気室840内に供給され、一方の空気室840内の空気圧が高まる。空気圧による力がばね810の弾性力よりも大きくなると、ばね810が伸びてピストン87が降下する。ピストン87の降下に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が降下し、第2のリフレクタ5は光路上に配置される。
【0046】
上述のプローブ管9には、図2に示すようにプローブ管9の内部にパージエアPaを導入するためのパージエア導入口14が設けられている。パージエア導入口14は、例えば図2に示すように、煙道壁1aの外側であって、かつ第2のリフレクタ5の煙道側に設けられる。このように配置されたパージエア導入口14からパージエアPaが所定圧で導入されることによってプローブ管9内の試料ガスSgや粉塵が光学窓12に触れることを防ぎ、光学窓12の汚れや腐食を抑制することができる。なお、図2においてパージエアPaの流路のイメージを黒色太線矢印にて示す。また、図2において試料ガスSgの流路のイメージを白色矢印にて示す。
【0047】
さらに、プローブ管9は、パージエアPaを第1のリフレクタ3の前面へ導入し、それを保護するパージエア導入パイプ16を備える。このような構成によれば、プローブ管9内の試料ガスSgや粉塵が第1のリフレクタ3に触れることを防ぎ、第1のリフレクタ3の汚れや腐食を抑制することができる。
【0048】
また、図2に示すようにプローブ管9には、導入孔91の対向面両端側(試料ガスSgの流れの上流側)に孔17、18が各々形成されている。このような孔17、18から試料ガスSgを流入させることにより、パージエアPaはプローブ管9の中央部に流入することを防止することができ、試料ガスSgと混ざり合って、導入孔91から排出される(SgPa)。導入孔91は、パージエアPaを排出する排出口としても用いられる。
【0049】
フランジ15は、試料ガスSgを排出する煙道壁1aや、試料ガスSgが封入された容器にガス分析装置100を固定するための部材である(図2参照)。フランジ15は、例えば、円盤板状の部材であり、プローブ管9の基端部側(光学ユニットと連結している側)において、プローブ管9に貫通されるように設けられている。フランジ15は、煙道壁1aに例えばボルトを介して締結される。
【0050】
次に、ガス分析装置100の使用方法について説明する。
まず、通常のガス濃度分析を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、ガス濃度分析の実行を指示する。すると、図2、4に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路から外される。照射部2から出射された測定光Lbはプローブ管9内の試料ガスSgを通過して第1のリフレクタ3に反射され、その反射された測定光Lbは再度試料ガスSgを通過して受光部4に受光される。測定光Lbは、試料ガスSgを通過する際にその一部が試料ガスSgに吸収される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、試料ガスSgでの測定光Lbの吸収量を求め、当該吸収量に基づいて試料ガスSgに含まれる所定成分の濃度を算出することができる。
【0051】
次に、補正(ゼロ補正)を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、補正の実行を指示する。すると、図3、5に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路上に配置される。照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内に供給されたゼロガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のゼロガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、ゼロ補正用の基準値を算出することができる。演算部7は、算出した基準値を用いて、ガス分析装置100のゼロ補正を行う。ゼロ補正の実行は、例えば、1時間毎に行うとよい。なお、ゼロ補正は、ユーザの指示で逐一行われるようにしてもよいし、自動的に定期的な実行が行われるようにしてもよい。
【0052】
次に、校正を行う場合について説明する。ここでは、ゼロ補正とスパン校正の双方を行う場合を例にとって説明する。
ゼロ補正とスパン校正を行う場合には、既知物質収容部6に、ゼロガスとスパンガスを交互に入れるとともに、図3,5に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路上に配置されるようにすればよい。ゼロガス導入時には、照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内に供給されたゼロガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のゼロガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、ゼロ補正用の基準値を算出することができる。そして、スパンガス導入時には、照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内に供給されたスパンガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のスパンガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、スパン校正用の基準値を算出することができる。演算部7は、ゼロガス導入時およびスパンガス導入時にそれぞれ算出した基準値を用いて、ガス分析装置100の校正を行う。校正の実行は、例えば、1時間毎に行うとよい。なお、校正は、ユーザの指示で逐一行われるようにしてもよいし、自動的に定期的な実行が行われるようにしてもよい。
【0053】
第1実施形態によれば、第2のリフレクタ5と切替部8が煙道壁1aの外側に配置されているので、これらの部品が高温の試料ガスSgに晒されない。よって、第2のリフレクタ5と切替部8の劣化を抑制することができ、部品交換の頻度を抑えて維持コストを抑えることができる。本実施形態においては、成分濃度分析(サンプリング)を高い精度で行うために、補正または校正の少なくともいずれか一方を行う。補正に用いられるゼロガスの温度は、分析対象ガスの温度と同程度にする必要はない(ゼロガスは温度に関わらず測定光を実質的に吸収しないため)ので、本実施形態においては既知物質収容部6を第2のリフレクタ5とともに煙道壁1aの外側に配置することができる。なお、既知物質収容部6を第2のリフレクタ5とともに煙道壁1aの外側に配置しても、上記の如く校正は可能である。また、本実施形態においては、切替部8の切替動作により、第2のリフレクタ5を光路から外している状態と、第2のリフレクタ5を光路上に配置する状態とに選択的に設定することができる。よって、光カプラ・スプリッタで2つの光束に分岐させずに、1つの受光部4で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正を行うことができる。よって、従来のように2つの受光部を設けたことによる個体差の影響を受けることがなく、高い精度で成分濃度分析を行うことができる。また、1つの系(受光部4、演算部7からなる系)で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正を行うことができるので、ガス分析装置100全体を少ない部品点数でコンパクトに構成することができ、製造コストを抑えることができる。また、第2のリフレクタ5と切替部8が煙道壁1aの外側に配置されているので、これらの部品の交換を容易に行うことができる。
【0054】
また、図4,5に記載した進退移動機構は、ノーマルクローズの考え方を採用している。すなわち、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって行われているときは、空気圧はばね81の弾性力に抗して第2のリフレクタ5を光路から外し、ガス分析装置100はガス濃度分析モードとなる(図4参照)。一方、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって断たれているときは、ばね81の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上に配置され、ガス分析装置100はゼロ補正モードまたは校正モードとなる(図5参照)。また、停電等の異常によって空気圧の供給が断たれているときは、ばね81の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上に配置され、ガス分析装置100はゼロ補正モードまたは校正モードとなる(図5参照)。これにより、停電等の異常時には第2のリフレクタ5がシャッタの機能を果たし、試料ガスSgが照射部2や受光部4側に侵入するのを防止することができる。
【0055】
また、図6,7に記載した進退移動機構は、ノーマルオープンの考え方を採用している。すなわち、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって行われているときは、空気圧はばね810の弾性力に抗して第2のリフレクタ5を光路上に配置し、ガス分析装置100は補正モードまたは校正モードとなる(図7参照)。一方、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって断たれているときは、ばね810の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上から外され、ガス分析装置100はガス濃度分析モードとなる(図6参照)。また、停電等の異常によって空気圧の供給が断たれているときは、ばね810の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上から外され、ガス分析装置100はガス濃度分析モードとなる(図6参照)。
【0056】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置200について説明する。ガス分析装置200は、いわゆるオープンパス方式のガス分析装置である。図8は、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、ガス濃度分析モードを示す図である。図9は、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、ゼロ補正モードを示す図である。第2実施形態については、主として第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0057】
第2実施形態では、図8、9に示すように、ガス分析装置200は、各々別体的に形成された第1のユニット19および第2のユニット20から成る。第1のユニット19は試料ガスSgが流れる煙道壁1aの一方側面に取り付けられ、第2のユニット20は煙道壁1aの他方側面に互いに対向するよう取り付けられる。
【0058】
第1のユニット19は、照射部2、受光部4、第2のリフレクタ5、既知物質収容部6、演算部7、切替部8、光学窓12A、パージ導入口14Aを備える。パージエア導入口14Aは第2のリフレクタ5の直前において煙道壁1aと連結した空間内にパージエアPaを導入する。
【0059】
第2のユニット20は、第1のリフレクタ3、光学窓12B、パージ導入口14Bを備える。パージエア導入口14Bは光学窓12Bの直前において煙道壁1aと連結した空間内にパージエアPaを導入する。
【0060】
次に、ガス分析装置200の使用方法について説明する。
まず、通常のガス濃度分析を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、ガス濃度分析の実行を指示する。すると、図8に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路から外される。照射部2から出射された測定光Lbは煙道1内の試料ガスSgを通過して第1のリフレクタ3に反射され、その反射された測定光Lbは再度煙道1内の試料ガスSgを通過して受光部4に受光される。測定光Lbは、試料ガスSgを通過する際にその一部が試料ガスSgに吸収される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、試料ガスSgでの測定光Lbの吸収量を求め、当該吸収量に基づいて試料ガスSgに含まれる所定成分の濃度を算出することができる。
【0061】
次に、ゼロ補正を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、ゼロ補正の実行を指示する。すると、図9に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路上に配置される。照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内のゼロガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のゼロガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、ゼロ補正用の基準値を算出することができる。演算部7は、算出した基準値を用いて、ガス分析装置200のゼロ補正を行う。ゼロ補正の実行は、例えば、1時間毎に行うとよい。なお、ゼロ補正は、ユーザの指示で逐一行われるようにしてもよいし、自動的に定期的な実行が行われるようにしてもよい。
【0062】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の優れた効果を奏することができる。
【0063】
なお、上記各実施形態では、既知物質収容部6は、ゼロガスやスパンガスを収容しているが、これに代えて、測定光Lbに対して完全に透明または透過する測定光Lbを所定量に制限するような光透過板や光学素子を収容してもよい。
【0064】
また、上記各実施形態では、既知物質収容部6は、プローブ管9の中に固定的に配置されているが、これに代えて、プローブ管9から出し入れ可能に構成されてもよい。この場合、既知物質収容部6をプローブ管9内に配置した状態ではガス分析装置の補正または校正を行い、既知物質収容部6をプローブ管9の外に出した状態ではガス濃度分析を行うことができる。出し入れ機構としては、例えば、上記した進退移動機構と同様の構成を採用することができる。
【0065】
また、上記各実施形態では、既知物質収容部6は、プローブ管9の中に配置されているが、これに代えて、光学ユニットの筐体11、第1のユニット19の筐体内に配置してもよい。この場合、光学窓12、12Aと第2のリフレクタ5を近接させて、その間の隙間を実質的になくすようにすることができる。
【0066】
(第3実施形態)
図10〜図13を用いて、第3実施形態を説明する。第3実施形態は、第2のリフレクタ5を支持する構造のみが前記実施形態と異なる。図10は、第3実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図である。図11は、軸受の斜視図である。図12は、軸受の平面図である。図13は、図10の部分拡大図である。
【0067】
第2のリフレクタ5は、ミラーホルダ104によって保持されている。
図10に示すように、この実施形態では、進退移動機構は、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5を光路上に戻すときに第2のリフレクタ5を常に同じ向きと同じ位置を位置決めするための位置決め機構101を有している。
【0068】
位置決め機構101は、第2のリフレクタ5及びミラーホルダ104の下方に配置されており、軸受部材102と、ミラーホルダ104に設けられた凸部103とから構成されている。
軸受部材102は、図11に示すように、板状の部材である。軸受部材102には、上面に開口した凹部105が形成されている。凹部105は、概ね円錐形状である。凹部105は、円錐面106を有している。凹部105には、円周方向の一部において凹部105の円錐面106の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面107が形成されている。第1平面107は、底部に向かって幅が狭くなる台形状になっている。なお、第1平面107の上縁107aは、照射部2及び受光部4側に配置されており、上縁107aは光路に対して垂直である。
【0069】
ミラーホルダ104の凸部103は、概ね球形状である。凸部103は、球面103aを有している。また、凸部103は、円周方向の一部に第2平面103bが形成されている。第2平面103bは、球面の一部を内側に削られたように形成されており、形状及び大きさは第1平面107に対応している。
なお、第1平面107と第2平面103bは、第2のリフレクタ5の反射面を向けたい側に形成されている。
【0070】
この装置では、エアシリンダ84からの力によって第2のリフレクタ5が光路上に戻されたときに、位置決め機構101によって第2のリフレクタ5が同じ向きと同じ位置を位置決めされる。特に、位置決めのための複雑な機構又は特別なエネルギー源が不要になるので、コストが低くなる。
【0071】
より具体的には、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5及びミラーホルダ104を軸受部材102に向けて押すと、ミラーホルダ104の凸部103が軸受部材102の凹部105に嵌り込む。このとき、上記形状によって凸部103は凹部105に対して回転方向に移動を許容された状態で上下方向に移動し、最後に、凸部103の第2平面103bが凹部105の第1平面107に相補的に当接する。この状態で、凸部103は、凹部105に対して移動方向及び回転方向に移動不能になる。このようにして、第2のリフレクタ5が常に同じ向きと同じ位置に位置決めされる。
特に、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5を押すだけで、位置決め機構101によって第2のリフレクタ5の向き及び移動方向の位置が精度良く決められる。
【0072】
第3の実施形態の第1変形例として、図14に、位置決め機構111を示す。図14は、第3実施形態の第1変形例としての位置決め機構の断面図である。
凹部105の構造は上記実施形態と同じである。
ミラーホルダ104の凸部113は、概ね円錐形状である。凸部113は、円錐面113aを有している。また、凸部103は、円周方向の一部に第2平面113bが形成されている。第2平面113bは、円錐面113aの一部を内側に削られたように形成されており、形状及び大きさは第1平面107に対応している。
【0073】
エアシリンダ84が第2のリフレクタ5及び、ミラーホルダ104を軸受部材102に向けて押すと、ミラーホルダ104の凸部113が軸受部材102の凹部105に嵌り込む。このとき、上記形状によって凸部113は凹部105に対して回転方向に移動を許容された状態で上下方向に移動し、最後に、凸部113の第2平面113bが凹部105の第1平面107に相補的に当接する。この状態で、凸部113は、凹部105に対して移動方向及び回転方向に移動不能になる。また、このようにして、第2のリフレクタ5が常に同じ向きと同じ位置に位置決めされる。
特に、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5を押すだけで、位置決め機構101によって第2のリフレクタ5の向き及び移動方向の位置が精度良く決められる。
【0074】
第3の実施形態の第2変形例として、図15に、軸受部材112を示す。図15は、第3実施形態の第2変形例における軸受部材の斜視図である。
軸受部材112は、図15に示すように、板状の部材である。軸受部材112には、上面に開口した凹部115が形成されている。凹部115は、概ね円錐形状である。凹部115は、円錐面106を有している。凹部115には、円周方向の一部において凹部115の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面117が形成されている。第1平面117は、底部に向かって幅が狭くなる台形状になっている。なお、第1平面117の上縁117aは、照射部2及び受光部4側に配置されており、上縁107aは光路に対して垂直である。
【0075】
この変形例では、第1平面117の円周方向両側に第3平面118及び第4平面119が形成されている。第3平面118及び第4平面119は、第1平面117と同様に、底部に向かって延び、底部に向かって幅が狭くなる台形状になっている。ただし、第3平面118及び第4平面119の円周方向幅は、第1平面117の円周方向幅より狭い。
図示していないが、ミラーホルダの凸部には、第1平面117、第3平面118及び第4平面119に相補的に当接可能な形状の面を有している。
【0076】
以上の構造により、この変形例でも、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る測定ユニットおよびガス分析装置は、試料ガスを従来に比して正確に分析可能とする測定ユニットおよびガス分析装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0079】
100、200 ガス分析装置
1 煙道
1a 煙道壁
3 第1のリフレクタ
4 受光部
5 第2のリフレクタ
6 既知物質収容部
7 演算部
8 切替部
81 ばね
82、820 ばね機構
83、830 空気圧機構
84 エアシリンダ
841 一方の空気室
842 他方の空気室
85 供給側バルブ
86 排出側バルブ
87 ピストン
88 ロッド
9 プローブ管
91 導入孔
11 光学ユニットの筐体
12 光学窓
14、16 パージエア導入口
15 フランジ
17、18 孔
19 第1のユニット
20 第2のユニット
Lb 測定光
Sg 試料ガス
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析装置に関し、より特定的には試料ガス中の所定成分の濃度を光吸収法を用いて分析するガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭や重油を燃焼させるボイラから排出される燃焼排ガスの中にはNOx、SOx、CO2、CO等の成分が含まれている。そして、ガス中におけるこれらの成分の含有量を分析するガス分析装置が開発されている。このようなガス分析装置としては、例えば、プローブ方式を採用した装置が開発されている。プローブ方式のガス分析装置は、光源から出射された測定光をプローブ先端部に配置されたリフレクタで反射させ、当該リフレクタで反射された測定光の情報に基づいて試料ガスの成分濃度を分析するものである。
【0003】
従来のプローブ方式のガス分析装置には、上記した成分濃度分析機能の他に、ゼロ補正機能を有するものがある。例えば、光源から出射された1本の測定光を光カプラ・スプリッタで2本の光束に分岐させ、そのうちの1本の光束をガス成分分析に用い、もう1本の光束をゼロ補正に用いている。ガス成分分析に用いられる光束と、ゼロ補正に用いられる光束は、別々の受光部に入力されて個別に信号処理される。
【0004】
しかしながら、上記したガス分析装置には以下の課題が存在した。すなわち、光カプラ・スプリッタは、波長依存性を有しており、波長域によっては分岐後の2本の光束を同じ強度で出力することができない。また、受光部にも個体差(機差)があり、同じ設計の受光部であれば、本来、同じ入力に対して同じ出力が生じるはずであるが、実際には出力に若干の違いが出ることが多い。また、受光部の後段にある信号処理回路も受光部毎に別々のものが使用され、各信号処理回路の処理結果において若干の個体差がある。よって、上記した分岐後の2本の光束から得られる信号処理結果には、各部品の個体差に基づく違いが累積して生じる可能性が高かった。このため、正確なゼロ補正を行うことができず、精度の高い成分分析が困難であるという課題があった。また、分岐後の2本の光束をそれぞれ、別々の系(受光部と信号処理回路からなる系)が必要となるので、分析装置全体が大型化するとともに、各系からの発熱によって分析装置全体での発熱量が大きくなり、信号処理回答等の耐久性が低下するという課題があった。プローブ方式のガス分析装置は、煙突等に装着して使用されるものなので、試料ガスの熱の影響を受けて高温になりやすく、特に劣化しやすい。
【0005】
また、プローブ方式のガス分析装置として、成分濃度分析機能の他に、キャリブレーション機能を有するものが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるガス分析装置は、試料ガスを導入する導入孔が形成されたプローブ管を有している。このプローブ管は、先端部を含む殆どの部分が煙道壁の内側に配置され、基端部のみが煙道壁の外側に配置されている。このガス分析装置では、測定光が、煙道壁の外側に配置された光源からプローブ管内の試料ガスに向かって出射される。測定光は筒状筐体の先端部に配置された第1のリフレクタで反射され、当該反射された測定光は煙道壁の外側に配置された受光センサで受光される。受光センサにおいて得られた測定光の情報に基づき、試料ガスに含まれる所定成分の濃度を算出することができる。
【0006】
このガス分析装置は、上記したように、光源から出射された測定光を第1のリフレクタで反射させて試料ガスの成分濃度を分析する機能に加え、光源から出射された測定光を第2のリフレクタで反射させてガス分析装置のキャリブレーションを行う機能を有している。第2のリフレクタは、プローブ管の中途部でかつ煙道壁の内側に配置されている。第2のリフレクタは、切替部によって位置を変更できるようになっている。この切替部は、プローブ筒の中途部でかつ煙道壁の内側に配置され、成分濃度の分析を行うときには第2のリフレクタを光路上から外し、キャリブレーションを行うときには第2のリフレクタを光路上に配置するように構成されている。切替部の切替動作により、ガスの成分濃度分析と、ガス分析装置のキャリブレーションとを選択的に行うことができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるガス分析装置には、以下の課題が存在した。すなわち、第2のリフレクタと切替部は、煙道壁の内側に配置されているため、煙道内を流れる高温の試料ガスから熱の影響を受けやすく、劣化が早いという課題があった。また、第2のリフレクタと切替部が煙道壁の内側に配置されているため、第2のリフレクタと切替部を交換する際には、プローブ管を含むガス分析装置全体を煙道から引き抜く必要があり、交換作業にかなりの手間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5781306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、コンパクトでかつ製造コスト、維持コストを低く抑えることができるとともに、濃度分析精度に優れたガス分析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一見地に係るガス分析装置は、煙道を流れる試料ガス中の所定成分濃度を分析する装置であって、1つの照射部と、第1のリフレクタと、1つの受光部と、第2のリフレクタと、既知物質収容部と、演算部と、切替部とを備えている。
照射部は、煙道を構成する壁の外側に配置され、測定光を煙道内に流れる試料ガス中へ照射する。
第1のリフレクタは、照射部から出射され煙道の中を通過した測定光を反射する。
受光部は、照射部の近傍でかつ壁の外側に配置され、第1のリフレクタで反射された測定光を受光する。
第2のリフレクタは、壁の外側に配置され、測定光を受光部に向けて反射する。
既知物質収容部は、照射部と第2のリフレクタの間および第2のリフレクタと受光部の間の光路上の空間領域に設けられ、照射部から照射される測定光を減衰させないかまたは所定量減衰させる既知物質を収容する。
演算部は、照射部から出射された測定光を第1のリフレクタで反射させて試料ガスの成分濃度を分析するとともに、照射部から出射された測定光を第2のリフレクタで反射させてガス分析装置の既知物質を用いた補正および校正の少なくともいずれか一方を行う。
切替部は、壁の外側に配置され、成分濃度の分析を行うときには第2のリフレクタを光路上から外し、補正及び校正の少なくともいずれか一方を行うときには第2のリフレクタを光路上に配置する。
【0011】
「既知物質」は、測定光を照射した場合に透過する光量が予め分かっている物質であればよく、例えば、ゼロガスやスパンガス、さらには測定光に対して完全に透明または透過する測定光を所定量に制限するような光透過板や光学素子を含むものである。
また、「補正」とは、照射部から測定光を既知物質に対して照射し、当該既知物質を透過した測定光を受光して行うゼロ補正を含み、「校正」とは、照射部から測定光を既知物質に対して照射し、当該既知物質を透過した測定光を受光して行うゼロ校正およびスパン校正を含むものである。
また、「測定光を減衰させない」とは、測定光を完全に透過させることである。そのような性質を有する既知物質としては、例えばゼロガスが挙げられる。
【0012】
この装置によれば、第2のリフレクタと切替部が煙道壁の外側に配置されているので、これらの部品が高温の試料ガスに晒されない。よって、第2のリフレクタと切替部の劣化を抑制することができ、部品交換の頻度を抑えて維持コストを抑えることができる。また、本発明においては、切替部の切替動作により、第2のリフレクタを光路から外している状態と、第2のリフレクタを光路上に配置する状態とに選択的に設定することができる。よって、光カプラ・スプリッタで2つの光束に分岐させずに、1つの受光部で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正などを行うことができる。よって、従来のように2つの受光部を設けたことによる個体差の影響を受けることがなく、高い精度で成分濃度分析を行うことができる。また、1つの系(受光部、信号処理回路からなる系)で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正などを行うことができるので、ガス分析装置全体を少ない部品点数でコンパクトに構成することができ、製造コストを抑えることができる。また、第2のリフレクタと切替部が煙道壁の外側に配置されているので、これらの部品の交換を容易に行うことができる。
【0013】
ガス分析装置は、試料ガスを内部に導入する導入孔が設けられた筒状のプローブ管をさらに備えていてもよい。その場合、照射部は、プローブ管内に導入された試料ガス中に測定光を照射する。
【0014】
この装置では、煙道壁への取り付け、および維持管理が容易なプローブ式のガス分析装置に適用することができる。
【0015】
第1のリフレクタは、先端部が煙道の中に配置されたプローブ管の当該先端部に配置されていてもよい。その場合、第2のリフレクタおよび既知物質収容部は、基端部が煙道の中に配置されたプローブ管の当該基端部に配置されている。
【0016】
この装置では、第2のリフレクタおよび既知物質収容部は、プローブ管の基端部(煙道壁の外側)に配置されているので、第2のリフレクタおよび既知物質収容部を交換する際、プローブを煙道から引き抜かずに容易に交換することができる。
【0017】
第1のリフレクタは、上記煙道における上記第2のリフレクタとは反対側の壁の外側に配置されていてもよい。
【0018】
この装置では、第1のリフレクタを、煙道における第2のリフレクタとは反対側の壁の外側に配置して、いわゆるオープンパス式のガス分析装置に適用することができる。
【0019】
切替部は、上記第2のリフレクタを上記光路上から外すことと、光路上に配置することができる進退移動機構を有してもよい。
【0020】
この装置では、第2のリフレクタを進退させることにより、当該第2のリフレクタを光路上から外すことができ、さらに光路上に配置することができる。よって、簡易な構成で第2のリフレクタの位置を確実に切り替えることができる。
【0021】
進退移動機構は、エアシリンダと、エアシリンダが第2のリフレクタを光路上に配置するときに第2のリフレクタを常に同じ向きと同じ位置を位置決めするための位置決め機構とを有していてもよい。
この装置では、エアシリンダからの力によって第2のリフレクタが光路上に戻されたときに、位置決め機構によって第2のリフレクタが同じ向きと同じ位置に位置決めされる。特に、位置決めのための複雑な機構又は特別なエネルギー源が不要になるので、コストが低くなる。
【0022】
位置決め機構は、第2のリフレクタに固定されたホルダと、ホルダを受け止める軸受部材とを有していてもよい。その場合、軸受部材は、円錐形状の凹部を有している。ホルダは、円錐形状又は球形状の凸部を有している。凹部には、円周方向の一部において凹部の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面が形成されている。凸部には、第1平面に対して相補的に当接可能な第2平面が形成されている。
この装置では、エアシリンダが第2のリフレクタ及びホルダを軸受部材に向けて押すと、ホルダの凸部が軸受部材の凹部に嵌り込む。このとき、上記形状によって凸部は凹部に対して回転方向に移動を許容された状態で凹部に近づいていき、最後に、凸部の第2平面が凹部の第1平面に相補的に当接する。この状態で、凸部は凹部に対して移動方向及び回転方向に移動不能になる。このようにして、第2のリフレクタが常に同じ向きと同じ位置に位置決めされる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンパクトでかつ製造コスト、維持コストを低く抑えることができるとともに、分析精度に優れたガス分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガス分析装置の外観構成図
【図2】図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、ガス濃度分析モードを示す図
【図3】図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、補正モードまたは校正モードを示す図
【図4】本発明の第1実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図
【図5】本発明の第1実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図
【図6】本発明の第1実施形態における切替部の他の構成を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図
【図7】本発明の第1実施形態における切替部の他の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図
【図8】本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、ガス濃度分析モードを示す図
【図9】本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、補正モードまたは校正モードを示す図
【図10】本発明の第3実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図
【図11】軸受部材の斜視図
【図12】軸受部材の平面図
【図13】図10の部分拡大図
【図14】第3実施形態の第1変形例としての位置決め機構の断面図
【図15】第3実施形態の第2変形例における軸受部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るガス分析装置100について説明する。ガス分析装置100は、いわゆるプローブ方式のガス分析装置である。図1は、本発明の第1実施形態に係るガス分析装置の外観構成図である。図2は、図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、ガス濃度分析モードを示す図である。図3は、図1に示すガス分析装置のA−A断面を含む図であり、補正モードまたは校正モードを示す図である。
【0026】
第1実施形態に係るガス分析装置100は、煙道1を流れる試料ガス中の所定成分濃度を分析するガス分析装置である。ガス分析装置100は、例えば、非分散型赤外分析計(Non-dispersive Infrared Analyzer: NDIR)である。
【0027】
図2、3に示されるように、ガス分析装置100は、1つの照射部2と、第1のリフレクタ3と、1つの受光部4と、第2のリフレクタ5と、既知物質収容部6と、演算部7と、切替部8と、プローブ管9とを備えている。第1のリフレクタ3と、第2のリフレクタ5と、既知物質収容部6は、プローブ管9の中に収められている。照射部2と受光部4は、光学ユニットを構成しており、これらは光学ユニットの筐体11内に収められている。筐体11とプローブ管9の接続箇所には、光学窓12が配置されている。光学窓12は、測定光Lbを透過する素材で形成された板状部材である。
【0028】
プローブ管9は、試料ガスSgを拡散により内部に導入する導入孔91が設けられた円筒状の部材である。プローブ管9の材質は、ガス分析装置100の使用環境に応じて任意の金属素材を選択してよい。導入孔91は、例えば図1に示すように、プローブ管9の側面に断続的なスリットとして形成されている。プローブ管9内の先端部には、図2に示すように第1のリフレクタ3が備えられている。一方、プローブ管9内の基端部には、第2のリフレクタ5および既知物質収容部6が備えられている。
【0029】
照射部2は、筒状の煙道1を構成する壁1aの外側に配置され、測定光Lbを煙道1内に流れる試料ガスSg中へ照射するものである。照射部2は、典型的には、赤外線レーザー発振装置等、直進性の高い所定波長域光を射出する光源装置である。
【0030】
第1のリフレクタ3は、照射部2から出射され煙道1の中を通過した測定光Lbを受光部4に向けて反射するものである。すなわち、第1のリフレクタ3は、照射部2から出射された光(光軸)の向きを受光部4の方向へ変更する手段であって、例えばコーナーキューブであり、図2に示される例では、コーナーキューブ・プリズムとされている。なお、第1のリフレクタ3は、コーナーキューブ・ミラーであってもよい。
【0031】
受光部4は、照射部2の近傍でかつ壁1aの外側に配置され、第1のリフレクタ3で反射された測定光Lbを受光するものである。受光部4は、測定光Lb1を受光面において受光する受光装置である。受光部4は、典型的には、フォトダイオード等の光電変換装置である。受光部4は、演算部7と電気的に接続され、受光した測定光Lbに関する情報(例えば光量)を電気信号として演算部7へ送信する。
【0032】
第2のリフレクタ5は、壁1aの外側に配置され、測定光Lbを受光部4に向けて反射するものである。すなわち、第2のリフレクタ5は、照射部2から出射された光(光軸)の向きを受光部4の方向へ変更する手段であって、例えばコーナーキューブであり、図2に示される例では、コーナーキューブ・プリズムとされている。なお、第2のリフレクタ5は、コーナーキューブ・ミラーであってもよい。
【0033】
既知物質収容部6は、照射部2と第2のリフレクタ5の間および第2のリフレクタ5と受光部4の間の光路上の空間領域に設けられ、照射部2から照射される測定光Lbを減衰させないかまたは所定量減衰させる既知物質を収容するものである。ここで、「既知物質」は、測定光Lbを照射した場合に透過する光量が予め分かっている物質であればよく、例えば、ゼロガスやスパンガス、さらには測定光に対して完全に透明または透過する測定光を所定量に制限するような光透過板や光学素子を含むものである。図2,3に示される例では、既知物質収容部6は、ガス分析装置100を補正または校正するために使用される既知のガス(ゼロガスやスパンガス)を充填するようになっている。既知物質収容部6は、例えば、光透過性のセル61と、セル61内に既知のガスを供給するガス導入パイプ62と、セル61内の既知のガスを排出するガス排出パイプ63とで構成することができる。第1実施形態において、「補正」とは、例えばゼロ補正を行うことを意味する。また、「校正」とは、例えばゼロ校正またはスパン校正を行うことを意味する。ゼロガスは、ガス分析装置100のゼロ点を補正するための基準ガスであって、例えば窒素を採用することができる。なお、既知物質収容部6の構成は、上記した構成に限定されるものではなく、例えば、光透過性のセル61を設けずに、第2のリフレクタ5が光路上に配置されている状態で、光学窓12と第2のリフレクタ5の間の空間領域に既知のガスを導入して充填させることで構成してもよい。また、校正を行う場合には、既知物質収容部6に、スパンガスを入れるか、または、ゼロガスとスパンガスを交互に入れればよい。
【0034】
演算部7(演算処理装置)は、照射部2、受光部4、および切替部8の動作を制御すると共に、照射部2から出射された測定光Lbを第1のリフレクタ3で反射させ、受光部4から受信した信号に基づいてプローブ管9内の試料ガスSgの成分濃度を分析するものである。また演算部7は、照射部2から出射された測定光Lbを第2のリフレクタ5で反射させてガス分析装置100の既知のガスを用いた補正または校正を行うものである。演算部7は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)等の情報処理装置、メモリ等の記憶装置、ユーザの操作を受け付けるインターフェース装置、分析結果を表示する表示装置等を備え、ユーザの操作および記憶装置に記憶されたプログラムに基づいた演算処理を行う。
【0035】
切替部8は、壁1aの外側に配置され、成分濃度の分析を行うときには第2のリフレクタ5を光路上から外し(図2,4参照)、補正または校正を行うときには第2のリフレクタ5を光路上に配置する(図3,5参照)ものである。
【0036】
切替部8の構成は、特に限定されるものではないが、例えば、図4、5に示される構成とすることができる。図4は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図である。図5は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図である。図4、5に示される例では、切替部8は、第2のリフレクタ5を光路上から外したり、当該光路上に配置したりする進退移動機構を有している。進退移動機構は、第2のリフレクタ5をばね81の弾性力によって光路上に配置するばね機構82と、第2のリフレクタ5をばね81の弾性力に抗する空気圧で光路上から外す空気圧機構83とを含んでいる。
【0037】
空気圧機構83は、第2のリフレクタ5の上方に設けられたエアシリンダ84と、このエアシリンダ84に空気圧を供給する供給側バルブ85と、エアシリンダ84内の空気を排出する排出側バルブ86と、ピストン87と、ロッド88とを備えている。エアシリンダ84は、ピストン87を介して2つの空気室を有している。一方の空気室840は、エアシリンダ84の基端側底部とピストン87の間に形成され、当該一方の空気室840には圧縮コイル型のばね81が配置されている。他方の空気室841にはばねは配置されていない。供給側バルブ85と排出側バルブ86は、他方の空気室841に接続されており、当該他方の空気室841内にコンプレッサからの空気を供給し、また当該他方の空気室841内の空気を排出するようになっている。
【0038】
図4に示されるように、供給側バルブ85がオープンで、排出側バルブがクローズになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85を通じて他方の空気室841内に流れ込み、当該他方の空気室841内の空気圧を高まる。ばね81の弾性力よりも空気圧による力が大きくなると、ばね81が縮んでピストン87が上昇する。ピストン87の上昇に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が上昇し、第2のリフレクタ5は光路から外れる。
【0039】
一方、図5に示されるように、供給側バルブ85がクローズで、排出側バルブがオープンになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85によって遮断され、他方の空気室841内の空気圧が低下する。ばね81の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね81が伸びてピストン87が降下する。ピストン87の降下に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が降下し、第2のリフレクタ5は光路上に配置される。
【0040】
また、図5に示されるように、停電等による異常によってコンプレッサからの空気の供給が断たれたときは、供給側バルブ85がオープンであったとしても、他方の空気室841内の空気圧が低下する。ばね81の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね81が伸びてピストン87が降下する。ピストン87の降下に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が降下し、第2のリフレクタ5は光路上に配置される。第2のリフレクタ5はシャッタの役割を果たしてプローブ管9内を塞ぐので、試料ガスSgが照射部2側に侵入するのを防止することができる。
【0041】
なお、切替部8の構成は、上記の構成に代えて、図6、7に示される構成とすることも可能である。図6は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、ガス濃度分析モードを示す図である。図7は、切替部8の構成の一例を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図である。図6、7に示される例では、切替部8は、第2のリフレクタ5を光路上から外したり、当該光路上に配置したりする進退移動機構を有している。進退移動機構は、第2のリフレクタ5をばね810の弾性力によって光路上から外すばね機構820と、第2のリフレクタ5をばね810の弾性力に抗する空気圧で光路上に配置する空気圧機構830とを含んでいる。
【0042】
空気圧機構830は、第2のリフレクタ5の上方に設けられたエアシリンダ84と、このエアシリンダ84に空気圧を供給する供給側バルブ85と、エアシリンダ84内の空気を排出する排出側バルブ86と、ピストン87と、ロッド88とを備えている。エアシリンダ84は、ピストン87を介して2つの空気室を有している。一方の空気室840は、エアシリンダ84の基端側底部とピストン87の間に形成され、当該一方の空気室840には引張コイル型のばね810が配置されている。他方の空気室841にはばねは配置されていない。供給側バルブ85と排出側バルブ86は、一方の空気室840に接続されており、当該一方の空気室840内にコンプレッサからの空気を供給し、また当該一方の空気室840内の空気を排出するようになっている。
【0043】
図6に示されるように、供給側バルブ85がクローズで、排出側バルブ86がオープンになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85によって遮断され、一方の空気室840内の空気圧が低下する。ばね810の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね810が縮んでピストン87が上昇する。ピストン87の上昇に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が上昇し、第2のリフレクタ5は光路から外れる。
【0044】
また、図6に示されるように、停電等による異常によってコンプレッサからの空気の供給が断たれたときは、供給側バルブ85がオープンであったとしても、一方の空気室840内の空気圧が低下する。ばね810の弾性力が空気圧による力よりも大きくなると、ばね810が縮んでピストン87が上昇する。ピストン87の上昇に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が上昇し、第2のリフレクタ5は光路から外れる。
【0045】
一方、図7に示されるように、供給側バルブ85がオープンで、排出側バルブがクローズになっているときには、コンプレッサからの空気が供給側バルブ85を介して一方の空気室840内に供給され、一方の空気室840内の空気圧が高まる。空気圧による力がばね810の弾性力よりも大きくなると、ばね810が伸びてピストン87が降下する。ピストン87の降下に伴って、ロッド88に接続された第2のリフレクタ5が降下し、第2のリフレクタ5は光路上に配置される。
【0046】
上述のプローブ管9には、図2に示すようにプローブ管9の内部にパージエアPaを導入するためのパージエア導入口14が設けられている。パージエア導入口14は、例えば図2に示すように、煙道壁1aの外側であって、かつ第2のリフレクタ5の煙道側に設けられる。このように配置されたパージエア導入口14からパージエアPaが所定圧で導入されることによってプローブ管9内の試料ガスSgや粉塵が光学窓12に触れることを防ぎ、光学窓12の汚れや腐食を抑制することができる。なお、図2においてパージエアPaの流路のイメージを黒色太線矢印にて示す。また、図2において試料ガスSgの流路のイメージを白色矢印にて示す。
【0047】
さらに、プローブ管9は、パージエアPaを第1のリフレクタ3の前面へ導入し、それを保護するパージエア導入パイプ16を備える。このような構成によれば、プローブ管9内の試料ガスSgや粉塵が第1のリフレクタ3に触れることを防ぎ、第1のリフレクタ3の汚れや腐食を抑制することができる。
【0048】
また、図2に示すようにプローブ管9には、導入孔91の対向面両端側(試料ガスSgの流れの上流側)に孔17、18が各々形成されている。このような孔17、18から試料ガスSgを流入させることにより、パージエアPaはプローブ管9の中央部に流入することを防止することができ、試料ガスSgと混ざり合って、導入孔91から排出される(SgPa)。導入孔91は、パージエアPaを排出する排出口としても用いられる。
【0049】
フランジ15は、試料ガスSgを排出する煙道壁1aや、試料ガスSgが封入された容器にガス分析装置100を固定するための部材である(図2参照)。フランジ15は、例えば、円盤板状の部材であり、プローブ管9の基端部側(光学ユニットと連結している側)において、プローブ管9に貫通されるように設けられている。フランジ15は、煙道壁1aに例えばボルトを介して締結される。
【0050】
次に、ガス分析装置100の使用方法について説明する。
まず、通常のガス濃度分析を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、ガス濃度分析の実行を指示する。すると、図2、4に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路から外される。照射部2から出射された測定光Lbはプローブ管9内の試料ガスSgを通過して第1のリフレクタ3に反射され、その反射された測定光Lbは再度試料ガスSgを通過して受光部4に受光される。測定光Lbは、試料ガスSgを通過する際にその一部が試料ガスSgに吸収される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、試料ガスSgでの測定光Lbの吸収量を求め、当該吸収量に基づいて試料ガスSgに含まれる所定成分の濃度を算出することができる。
【0051】
次に、補正(ゼロ補正)を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、補正の実行を指示する。すると、図3、5に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路上に配置される。照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内に供給されたゼロガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のゼロガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、ゼロ補正用の基準値を算出することができる。演算部7は、算出した基準値を用いて、ガス分析装置100のゼロ補正を行う。ゼロ補正の実行は、例えば、1時間毎に行うとよい。なお、ゼロ補正は、ユーザの指示で逐一行われるようにしてもよいし、自動的に定期的な実行が行われるようにしてもよい。
【0052】
次に、校正を行う場合について説明する。ここでは、ゼロ補正とスパン校正の双方を行う場合を例にとって説明する。
ゼロ補正とスパン校正を行う場合には、既知物質収容部6に、ゼロガスとスパンガスを交互に入れるとともに、図3,5に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路上に配置されるようにすればよい。ゼロガス導入時には、照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内に供給されたゼロガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のゼロガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、ゼロ補正用の基準値を算出することができる。そして、スパンガス導入時には、照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内に供給されたスパンガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のスパンガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、スパン校正用の基準値を算出することができる。演算部7は、ゼロガス導入時およびスパンガス導入時にそれぞれ算出した基準値を用いて、ガス分析装置100の校正を行う。校正の実行は、例えば、1時間毎に行うとよい。なお、校正は、ユーザの指示で逐一行われるようにしてもよいし、自動的に定期的な実行が行われるようにしてもよい。
【0053】
第1実施形態によれば、第2のリフレクタ5と切替部8が煙道壁1aの外側に配置されているので、これらの部品が高温の試料ガスSgに晒されない。よって、第2のリフレクタ5と切替部8の劣化を抑制することができ、部品交換の頻度を抑えて維持コストを抑えることができる。本実施形態においては、成分濃度分析(サンプリング)を高い精度で行うために、補正または校正の少なくともいずれか一方を行う。補正に用いられるゼロガスの温度は、分析対象ガスの温度と同程度にする必要はない(ゼロガスは温度に関わらず測定光を実質的に吸収しないため)ので、本実施形態においては既知物質収容部6を第2のリフレクタ5とともに煙道壁1aの外側に配置することができる。なお、既知物質収容部6を第2のリフレクタ5とともに煙道壁1aの外側に配置しても、上記の如く校正は可能である。また、本実施形態においては、切替部8の切替動作により、第2のリフレクタ5を光路から外している状態と、第2のリフレクタ5を光路上に配置する状態とに選択的に設定することができる。よって、光カプラ・スプリッタで2つの光束に分岐させずに、1つの受光部4で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正を行うことができる。よって、従来のように2つの受光部を設けたことによる個体差の影響を受けることがなく、高い精度で成分濃度分析を行うことができる。また、1つの系(受光部4、演算部7からなる系)で成分濃度分析とゼロ補正、ゼロ校正、スパン校正を行うことができるので、ガス分析装置100全体を少ない部品点数でコンパクトに構成することができ、製造コストを抑えることができる。また、第2のリフレクタ5と切替部8が煙道壁1aの外側に配置されているので、これらの部品の交換を容易に行うことができる。
【0054】
また、図4,5に記載した進退移動機構は、ノーマルクローズの考え方を採用している。すなわち、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって行われているときは、空気圧はばね81の弾性力に抗して第2のリフレクタ5を光路から外し、ガス分析装置100はガス濃度分析モードとなる(図4参照)。一方、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって断たれているときは、ばね81の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上に配置され、ガス分析装置100はゼロ補正モードまたは校正モードとなる(図5参照)。また、停電等の異常によって空気圧の供給が断たれているときは、ばね81の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上に配置され、ガス分析装置100はゼロ補正モードまたは校正モードとなる(図5参照)。これにより、停電等の異常時には第2のリフレクタ5がシャッタの機能を果たし、試料ガスSgが照射部2や受光部4側に侵入するのを防止することができる。
【0055】
また、図6,7に記載した進退移動機構は、ノーマルオープンの考え方を採用している。すなわち、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって行われているときは、空気圧はばね810の弾性力に抗して第2のリフレクタ5を光路上に配置し、ガス分析装置100は補正モードまたは校正モードとなる(図7参照)。一方、空気圧の供給がバルブ85,86の正常な動作によって断たれているときは、ばね810の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上から外され、ガス分析装置100はガス濃度分析モードとなる(図6参照)。また、停電等の異常によって空気圧の供給が断たれているときは、ばね810の弾性力によって第2のリフレクタ5が光路上から外され、ガス分析装置100はガス濃度分析モードとなる(図6参照)。
【0056】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置200について説明する。ガス分析装置200は、いわゆるオープンパス方式のガス分析装置である。図8は、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、ガス濃度分析モードを示す図である。図9は、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の内部構成を示す断面図であり、ゼロ補正モードを示す図である。第2実施形態については、主として第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0057】
第2実施形態では、図8、9に示すように、ガス分析装置200は、各々別体的に形成された第1のユニット19および第2のユニット20から成る。第1のユニット19は試料ガスSgが流れる煙道壁1aの一方側面に取り付けられ、第2のユニット20は煙道壁1aの他方側面に互いに対向するよう取り付けられる。
【0058】
第1のユニット19は、照射部2、受光部4、第2のリフレクタ5、既知物質収容部6、演算部7、切替部8、光学窓12A、パージ導入口14Aを備える。パージエア導入口14Aは第2のリフレクタ5の直前において煙道壁1aと連結した空間内にパージエアPaを導入する。
【0059】
第2のユニット20は、第1のリフレクタ3、光学窓12B、パージ導入口14Bを備える。パージエア導入口14Bは光学窓12Bの直前において煙道壁1aと連結した空間内にパージエアPaを導入する。
【0060】
次に、ガス分析装置200の使用方法について説明する。
まず、通常のガス濃度分析を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、ガス濃度分析の実行を指示する。すると、図8に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路から外される。照射部2から出射された測定光Lbは煙道1内の試料ガスSgを通過して第1のリフレクタ3に反射され、その反射された測定光Lbは再度煙道1内の試料ガスSgを通過して受光部4に受光される。測定光Lbは、試料ガスSgを通過する際にその一部が試料ガスSgに吸収される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、試料ガスSgでの測定光Lbの吸収量を求め、当該吸収量に基づいて試料ガスSgに含まれる所定成分の濃度を算出することができる。
【0061】
次に、ゼロ補正を行う場合について説明する。
ユーザは、演算部7に対して、ゼロ補正の実行を指示する。すると、図9に示されるように、切替部8によって第2のリフレクタ5が照射部2から出射される測定光Lbの光路上に配置される。照射部2から出射された測定光Lbは既知物質収容部6内のゼロガスを通過して第2のリフレクタ5に反射され、その反射された測定光Lbは再度既知物質収容部6内のゼロガスを通過して受光部4に受光される。演算部7は、受光部4おいて得られた測定光Lbの情報と、照射部2から照射された時点の測定光Lbの情報との差分から、ゼロ補正用の基準値を算出することができる。演算部7は、算出した基準値を用いて、ガス分析装置200のゼロ補正を行う。ゼロ補正の実行は、例えば、1時間毎に行うとよい。なお、ゼロ補正は、ユーザの指示で逐一行われるようにしてもよいし、自動的に定期的な実行が行われるようにしてもよい。
【0062】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の優れた効果を奏することができる。
【0063】
なお、上記各実施形態では、既知物質収容部6は、ゼロガスやスパンガスを収容しているが、これに代えて、測定光Lbに対して完全に透明または透過する測定光Lbを所定量に制限するような光透過板や光学素子を収容してもよい。
【0064】
また、上記各実施形態では、既知物質収容部6は、プローブ管9の中に固定的に配置されているが、これに代えて、プローブ管9から出し入れ可能に構成されてもよい。この場合、既知物質収容部6をプローブ管9内に配置した状態ではガス分析装置の補正または校正を行い、既知物質収容部6をプローブ管9の外に出した状態ではガス濃度分析を行うことができる。出し入れ機構としては、例えば、上記した進退移動機構と同様の構成を採用することができる。
【0065】
また、上記各実施形態では、既知物質収容部6は、プローブ管9の中に配置されているが、これに代えて、光学ユニットの筐体11、第1のユニット19の筐体内に配置してもよい。この場合、光学窓12、12Aと第2のリフレクタ5を近接させて、その間の隙間を実質的になくすようにすることができる。
【0066】
(第3実施形態)
図10〜図13を用いて、第3実施形態を説明する。第3実施形態は、第2のリフレクタ5を支持する構造のみが前記実施形態と異なる。図10は、第3実施形態における切替部の構成を示す断面図であって、補正モードまたは校正モードを示す図である。図11は、軸受の斜視図である。図12は、軸受の平面図である。図13は、図10の部分拡大図である。
【0067】
第2のリフレクタ5は、ミラーホルダ104によって保持されている。
図10に示すように、この実施形態では、進退移動機構は、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5を光路上に戻すときに第2のリフレクタ5を常に同じ向きと同じ位置を位置決めするための位置決め機構101を有している。
【0068】
位置決め機構101は、第2のリフレクタ5及びミラーホルダ104の下方に配置されており、軸受部材102と、ミラーホルダ104に設けられた凸部103とから構成されている。
軸受部材102は、図11に示すように、板状の部材である。軸受部材102には、上面に開口した凹部105が形成されている。凹部105は、概ね円錐形状である。凹部105は、円錐面106を有している。凹部105には、円周方向の一部において凹部105の円錐面106の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面107が形成されている。第1平面107は、底部に向かって幅が狭くなる台形状になっている。なお、第1平面107の上縁107aは、照射部2及び受光部4側に配置されており、上縁107aは光路に対して垂直である。
【0069】
ミラーホルダ104の凸部103は、概ね球形状である。凸部103は、球面103aを有している。また、凸部103は、円周方向の一部に第2平面103bが形成されている。第2平面103bは、球面の一部を内側に削られたように形成されており、形状及び大きさは第1平面107に対応している。
なお、第1平面107と第2平面103bは、第2のリフレクタ5の反射面を向けたい側に形成されている。
【0070】
この装置では、エアシリンダ84からの力によって第2のリフレクタ5が光路上に戻されたときに、位置決め機構101によって第2のリフレクタ5が同じ向きと同じ位置を位置決めされる。特に、位置決めのための複雑な機構又は特別なエネルギー源が不要になるので、コストが低くなる。
【0071】
より具体的には、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5及びミラーホルダ104を軸受部材102に向けて押すと、ミラーホルダ104の凸部103が軸受部材102の凹部105に嵌り込む。このとき、上記形状によって凸部103は凹部105に対して回転方向に移動を許容された状態で上下方向に移動し、最後に、凸部103の第2平面103bが凹部105の第1平面107に相補的に当接する。この状態で、凸部103は、凹部105に対して移動方向及び回転方向に移動不能になる。このようにして、第2のリフレクタ5が常に同じ向きと同じ位置に位置決めされる。
特に、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5を押すだけで、位置決め機構101によって第2のリフレクタ5の向き及び移動方向の位置が精度良く決められる。
【0072】
第3の実施形態の第1変形例として、図14に、位置決め機構111を示す。図14は、第3実施形態の第1変形例としての位置決め機構の断面図である。
凹部105の構造は上記実施形態と同じである。
ミラーホルダ104の凸部113は、概ね円錐形状である。凸部113は、円錐面113aを有している。また、凸部103は、円周方向の一部に第2平面113bが形成されている。第2平面113bは、円錐面113aの一部を内側に削られたように形成されており、形状及び大きさは第1平面107に対応している。
【0073】
エアシリンダ84が第2のリフレクタ5及び、ミラーホルダ104を軸受部材102に向けて押すと、ミラーホルダ104の凸部113が軸受部材102の凹部105に嵌り込む。このとき、上記形状によって凸部113は凹部105に対して回転方向に移動を許容された状態で上下方向に移動し、最後に、凸部113の第2平面113bが凹部105の第1平面107に相補的に当接する。この状態で、凸部113は、凹部105に対して移動方向及び回転方向に移動不能になる。また、このようにして、第2のリフレクタ5が常に同じ向きと同じ位置に位置決めされる。
特に、エアシリンダ84が第2のリフレクタ5を押すだけで、位置決め機構101によって第2のリフレクタ5の向き及び移動方向の位置が精度良く決められる。
【0074】
第3の実施形態の第2変形例として、図15に、軸受部材112を示す。図15は、第3実施形態の第2変形例における軸受部材の斜視図である。
軸受部材112は、図15に示すように、板状の部材である。軸受部材112には、上面に開口した凹部115が形成されている。凹部115は、概ね円錐形状である。凹部115は、円錐面106を有している。凹部115には、円周方向の一部において凹部115の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面117が形成されている。第1平面117は、底部に向かって幅が狭くなる台形状になっている。なお、第1平面117の上縁117aは、照射部2及び受光部4側に配置されており、上縁107aは光路に対して垂直である。
【0075】
この変形例では、第1平面117の円周方向両側に第3平面118及び第4平面119が形成されている。第3平面118及び第4平面119は、第1平面117と同様に、底部に向かって延び、底部に向かって幅が狭くなる台形状になっている。ただし、第3平面118及び第4平面119の円周方向幅は、第1平面117の円周方向幅より狭い。
図示していないが、ミラーホルダの凸部には、第1平面117、第3平面118及び第4平面119に相補的に当接可能な形状の面を有している。
【0076】
以上の構造により、この変形例でも、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る測定ユニットおよびガス分析装置は、試料ガスを従来に比して正確に分析可能とする測定ユニットおよびガス分析装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0079】
100、200 ガス分析装置
1 煙道
1a 煙道壁
3 第1のリフレクタ
4 受光部
5 第2のリフレクタ
6 既知物質収容部
7 演算部
8 切替部
81 ばね
82、820 ばね機構
83、830 空気圧機構
84 エアシリンダ
841 一方の空気室
842 他方の空気室
85 供給側バルブ
86 排出側バルブ
87 ピストン
88 ロッド
9 プローブ管
91 導入孔
11 光学ユニットの筐体
12 光学窓
14、16 パージエア導入口
15 フランジ
17、18 孔
19 第1のユニット
20 第2のユニット
Lb 測定光
Sg 試料ガス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道を流れる試料ガス中の所定成分濃度を分析するガス分析装置であって、
前記煙道を構成する壁の外側に配置され、測定光を前記煙道内に流れる前記試料ガス中へ照射する1つの照射部と、
前記照射部から出射され前記煙道の中を通過した測定光を反射する第1のリフレクタと、
前記照射部の近傍でかつ前記壁の外側に配置され、前記第1のリフレクタで反射された測定光を受光する1つの受光部と、
前記壁の外側に配置され、前記測定光を前記受光部に向けて反射する第2のリフレクタと、
前記照射部と前記第2のリフレクタの間および当該第2のリフレクタと前記受光部の間の光路上の空間領域に設けられ、前記照射部から照射される測定光を減衰させないかまたは所定量減衰させる既知物質を収容する既知物質収容部と、
前記照射部から出射された測定光を前記第1のリフレクタで反射させて前記試料ガスの成分濃度を分析するとともに、前記照射部から出射された測定光を前記第2のリフレクタで反射させて前記ガス分析装置の前記既知物質を用いた補正及び校正の少なくともいずれか一方を行う演算部と、
前記壁の外側に配置され、前記成分濃度の分析を行うときには前記第2のリフレクタを前記光路上から外し、前記補正及び前記校正の少なくともいずれか一方を行うときには前記第2のリフレクタを前記光路上に配置する切替部と、を備えたガス分析装置。
【請求項2】
前記試料ガスを内部に導入する導入孔が設けられた筒状のプローブ管をさらに備え、
前記照射部は、前記プローブ管内に導入された前記試料ガス中に前記測定光を照射する、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項3】
前記第1のリフレクタは、先端部が前記煙道の中に配置された前記プローブ管の当該先端部に配置され、
前記第2のリフレクタおよび前記既知物質収容部は、基端部が前記煙道の中に配置された前記プローブ管の当該基端部に配置されている、請求項2に記載のガス分析装置。
【請求項4】
前記第1のリフレクタは、前記煙道における前記第2のリフレクタとは反対側の壁の外側に配置されている、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項5】
前記切替部は、前記第2のリフレクタを前記光路上から外すことと、当該光路上に配置することができる進退移動機構を有する、請求項1乃至4いずれか1項に記載のガス分析装置。
【請求項6】
前記進退移動機構は、エアシリンダと、前記エアシリンダが前記第2のリフレクタを前記光路上に配置するときに前記第2のリフレクタを常に同じ向きと同じ位置を位置決めするための位置決め機構とを有している、請求項5に記載のガス分析装置。
【請求項7】
前記位置決め機構は、前記第2のリフレクタに固定されたホルダと、前記ホルダを受け止める軸受部材とを有し、
前記軸受部材は、円錐形状の凹部を有しており、
前記ホルダは、円錐形状又は球形状の凸部を有しており、
前記凹部には、円周方向の一部において前記凹部の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面が形成されており、
前記凸部には、前記第1平面に対して相補的に当接可能な第2平面が形成されている、請求項6に記載のガス分析装置。
【請求項1】
煙道を流れる試料ガス中の所定成分濃度を分析するガス分析装置であって、
前記煙道を構成する壁の外側に配置され、測定光を前記煙道内に流れる前記試料ガス中へ照射する1つの照射部と、
前記照射部から出射され前記煙道の中を通過した測定光を反射する第1のリフレクタと、
前記照射部の近傍でかつ前記壁の外側に配置され、前記第1のリフレクタで反射された測定光を受光する1つの受光部と、
前記壁の外側に配置され、前記測定光を前記受光部に向けて反射する第2のリフレクタと、
前記照射部と前記第2のリフレクタの間および当該第2のリフレクタと前記受光部の間の光路上の空間領域に設けられ、前記照射部から照射される測定光を減衰させないかまたは所定量減衰させる既知物質を収容する既知物質収容部と、
前記照射部から出射された測定光を前記第1のリフレクタで反射させて前記試料ガスの成分濃度を分析するとともに、前記照射部から出射された測定光を前記第2のリフレクタで反射させて前記ガス分析装置の前記既知物質を用いた補正及び校正の少なくともいずれか一方を行う演算部と、
前記壁の外側に配置され、前記成分濃度の分析を行うときには前記第2のリフレクタを前記光路上から外し、前記補正及び前記校正の少なくともいずれか一方を行うときには前記第2のリフレクタを前記光路上に配置する切替部と、を備えたガス分析装置。
【請求項2】
前記試料ガスを内部に導入する導入孔が設けられた筒状のプローブ管をさらに備え、
前記照射部は、前記プローブ管内に導入された前記試料ガス中に前記測定光を照射する、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項3】
前記第1のリフレクタは、先端部が前記煙道の中に配置された前記プローブ管の当該先端部に配置され、
前記第2のリフレクタおよび前記既知物質収容部は、基端部が前記煙道の中に配置された前記プローブ管の当該基端部に配置されている、請求項2に記載のガス分析装置。
【請求項4】
前記第1のリフレクタは、前記煙道における前記第2のリフレクタとは反対側の壁の外側に配置されている、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項5】
前記切替部は、前記第2のリフレクタを前記光路上から外すことと、当該光路上に配置することができる進退移動機構を有する、請求項1乃至4いずれか1項に記載のガス分析装置。
【請求項6】
前記進退移動機構は、エアシリンダと、前記エアシリンダが前記第2のリフレクタを前記光路上に配置するときに前記第2のリフレクタを常に同じ向きと同じ位置を位置決めするための位置決め機構とを有している、請求項5に記載のガス分析装置。
【請求項7】
前記位置決め機構は、前記第2のリフレクタに固定されたホルダと、前記ホルダを受け止める軸受部材とを有し、
前記軸受部材は、円錐形状の凹部を有しており、
前記ホルダは、円錐形状又は球形状の凸部を有しており、
前記凹部には、円周方向の一部において前記凹部の外径より内側から底部に向かって延びる第1平面が形成されており、
前記凸部には、前記第1平面に対して相補的に当接可能な第2平面が形成されている、請求項6に記載のガス分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−57651(P2013−57651A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281515(P2011−281515)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
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