ガス分析計
【課題】試料ガスの測定結果の時間変化を広範囲に亘り表示して、大域的な測定結果の時間変化を視覚的に把握し易くする。
【解決手段】試料ガスをイオン化して、そのイオンを検出するセンサ部21と、前記センサ部21からの検出信号に基づいて前記試料ガスを分析する分析部31と、前記分析部31による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部33を備えている。
【解決手段】試料ガスをイオン化して、そのイオンを検出するセンサ部21と、前記センサ部21からの検出信号に基づいて前記試料ガスを分析する分析部31と、前記分析部31による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部33を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析計に関し、特に、四重極質量分析法等を用いたガス分析計の測定結果の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の残留ガス分析計は、イオン化部、質量分析部及び検出部を有するセンサ部並びに交流発生器部を備えるセンサユニットと、このセンサユニットに対してケーブル接続される装置本体と、を具備して成るものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
そしてこの残留ガス分析計によれば、まず、イオン化部に導入された残留ガスは、高温のフィラメントから放出された熱電子に影響されイオン化される。生成されたイオンは、レンズで加速・収束されて、質量分析部に導かれる。質量分析部では、例えば4本の円柱形電極(四重極)に直流及び交流電圧を印加し、イオンがふるい分けられる。分離されたイオンは、検出部のファラデーカップで電流として検出される。このイオン電流は、残留ガスの量(分圧)に応じて変化するため、残留ガスを精度良く測定することができる。
【0004】
従来の残留ガス分析計では、試料ガスに含まれる全ての成分毎の圧力分布を表示する場合、横軸又は縦軸の一方を試料ガスに含まれる各成分を示す原子質量単位(AMU)軸とし、横軸又は縦軸の他方を圧力軸として、測定時刻毎の圧力分布を2次元で表示している(図11参照)。
【0005】
また、試料ガスに含まれるある成分の圧力の時間変化を表示する場合、横軸又は縦軸の一方を時間軸とし、横軸又は縦軸の他方を圧力軸として、2次元で表示している。なお、複数の成分(例えばAMU18、28)の圧力の時間変化を表示する場合には、各成分の表示線(例えば色や線種など)を異ならせて表示している(図12参照)。
【0006】
しかしながら、試料ガスに含まれる全ての成分毎の圧力の時間変化を見ることができないという問題がある。つまり、測定時刻又はAMUを設定しなければ、測定結果をグラフ表示することができないという問題がある。なお、前述したように、成分の圧力の時間変化を表示する場合には、表示線を異ならせて表示することができるが、成分の数が増えるほど、煩雑になり見にくいという問題がある。
【0007】
具体的には、AMU軸及び圧力軸を用いた2次元グラフ表示では、予め定められた測定時刻しかグラフ表示できない、また、ある測定時刻のグラフを表示するためには、一々設定する必要があるという問題がある。一方、時間軸及び圧力軸を用いた2次元グラフ表示では、予め定められたAMUについてのグラフしか表示できない、また、他のAMUについての圧力変化を表示するためには、一々AMUを設定する必要があるという問題がある。
【0008】
さらに、上記のように各測定時刻又は各AMU毎にしか表示できないものでは、残留ガスの大域的な成分変化やその圧力変化を把握することが難しいという問題がある。
【非特許文献1】池田亨、「特集論文 超小型残留ガス分析計PressureMaster RGAシリーズ」、HORIBA Technical Reports、株式会社堀場製作所、2004年3月、第28号、p.1214
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、試料ガスの測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を広範囲に亘り表示して、大域的な測定結果の時間変化を視覚的に把握し易くすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係るガス分析計は、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記センサ部からの検出信号に基づいて前記試料ガスを分析する分析部と、前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、分析部による測定結果に基づく値(例えば、各成分の圧力(分圧))、時間、及び試料ガス中の成分を示す値(例えば原子質量単位(AMU))をそれぞれ軸とする3次元グラフを画面上に表示するので、測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を視覚的に把握することができる。また、3次元グラフを回転可能に表示することにより、3次元グラフをあらゆる角度が見ることができ、測定結果をより一層視覚的に把握することができる。例えば、特定成分の圧力の時間変化を把握したいとき、3次元グラフで表示しても一方向のみからでは、他の成分の表示に隠れて見えない又は見えにくいことがある。しかし、3次元グラフを回転して表示角度を変更することで、特定成分の圧力の時間変化を視覚的に把握することができる。
【0012】
具体的には、本発明に係るガス分析計は、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記イオン検出部からの検出信号に基づいて、前記試料ガスを分析する演算装置と、を具備し、前記演算装置が、測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを生成する3次元グラフ生成部と、前記3次元グラフ生成部により生成された3次元グラフの表示角度を設定する表示設定部と、前記表示設定部により設定された表示角度により、前記3次元グラフを表示する表示制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
過去の測定結果を表示するだけでなく、その検索を容易に行うことができるようにするためには、前記表示制御部が、測定時刻毎の測定結果に対応付けられたスクロールバーを表示するものであり、入力手段による前記スクロールバーのスクロール操作により、画面上に表される測定結果を切り換えるものであることが望ましい。
【0014】
残留ガスの種類や測定用途等に応じた表示を可能にして、視覚的に把握を一層容易にするためには、前記表示制御部が、前記試料ガス中の予め選択された成分を示す値の測定結果を3次元表示するものであることが望ましい。
【0015】
また、本発明に係るガス分析計用画面表示プログラムは、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記イオン検出部からの検出結果に基づいて前記試料ガスを分析する演算装置と、を備えたガス分析計で実行されるガス分析計用画面表示プログラムであって、前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部としての機能を前記演算装置に備えさせることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係るガス分析計用演算装置は、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、を備えたガス分析計に用いられるガス分析計用演算装置であって、前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、試料ガスの測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を広範囲に亘り表示して、大域的な測定結果の時間変化を視覚的に把握し易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態に係るガス分析計1を示す模式的構成図であり、図2はセンサ部21の内部構成図である。図3は演算装置3の機能構成図であり、図4〜図10は表示手段5の画面上に表示される表示画面を示す図等である。
【0019】
<装置構成>
【0020】
本実施形態に係るガス分析計1は、例えば半導体製造プロセス中又は装置クリーニング後の真空チャンバ100内のガスモニタに用いられるものであり、図1に示すように、真空チャンバ100内のプロセスガス又は残留ガス等の試料ガスを検知するセンサ部21を有するセンサユニット2と、前記センサ部21を制御するとともに、前記センサ部21の出力に基づいて残留ガスの分析処理等を行う演算装置3と、を備えている。
【0021】
以下、センサユニット2及び演算装置3について説明する。
【0022】
センサユニット2は、図1に示すように、センサ部21と当該センサ部21の後端部に設けられた交流発生器部22等を備えている。また、交流発生器部22の後端部には、演算装置3と該センサユニット2とを接続するケーブルCAが接続されている。
【0023】
センサ部21は、図2に示すように、真空チャンバ100に取り付けられた際に真空チャンバ100内の残留ガスを導入するためのガス導入口(図示しない)を備え、当該ガス導入口からセンサ部21内に導入された試料ガスである残留ガスをイオン化するイオン化部211と、前記イオン化部211によりイオン化されたイオンを検出するイオン検出部212と、前記イオン化部211及び前記イオン検出部212の間に設けられ、前記イオン化部211からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部としての四重極部213と、を備えている。
【0024】
イオン化部211は、例えば内部にフィラメントを備え、フィラメントから放出される熱電子により試料ガスをイオン化するものである。そして、イオン化部211により、生成されたイオンは、引出電極214によって引き出される。引出電極214は単一又は複数の電極により構成されている。引出電極214は、イオン化部211と四重極部213との間に設けられ、イオン化部211により生成されたイオンを四重極部213及びイオン検出部212側に引き出すとともに、そのイオンを加速、収束させるものである。
【0025】
四重極部213は、引出電極214で加速、収束されたイオンビームをイオンの電荷対質量比に応じて分離するものである。具体的には、四重極部213は、90°間隔で配置した2組の対向電極(円柱形電極)からなり、対向するもの同士を同電位とした上で、90°異なるそれぞれの組の間に直流電圧Uと高周波電圧Vcosωtとを重畳した電圧を印加し、そのU/V比を一定にするとともにVを変化させて、その対向電極内に入射したイオンを(質量/電荷数)の比に応じて選択通過させるものである。本実施形態のガス分析計1は、全マススキャンモード及び選択マススキャンモードの機能を有し、全マススキャンモードの場合、四重極部213の電極に印加する電圧を1スキャン中に所定範囲(例えば0Vから30V)で掃引する。一方、選択マススキャンモードの場合、指定した成分(本実施形態ではAMUであり、例えば8、15、18、40)を選択するための電圧を1スキャン中に切り換えて印加する。なお、本実施形態では、以下、全マススキャンモードにより測定した場合について説明する。
【0026】
イオン検出部212は、四重極部213により分離されたイオンを捕らえてイオン電流として検出するファラデーカップである。具体的にイオン検出部212は、四重極部213によりスキャン中に分離された特定成分のイオンを検出して、その特定成分の試料ガスにおける分圧を検出するためのものである。また、イオン化部211によりイオン化された試料ガスのイオンを全て検出して、試料ガスの全圧を検出する。
【0027】
交流発生器部22は、前記イオン検出部212で検出したイオン電流を、電圧値を示すデジタル電圧信号に変換して、その電圧信号を演算装置3に出力するものである。
【0028】
演算装置3は、CPUや内部メモリ等を搭載した回路部(図示せず)を内蔵し、その内部メモリに記憶されたプログラムにしたがって、前記CPUや周辺機器を作動し、当該情報処理装置3が、前記センサ部21の出力に基づいて試料ガスの分析処理等を行うものである。具体的には、演算装置3は、図3に示すように、分析部である圧力算出部31、測定データ格納部D1、3次元グラフ生成部32、表示制御部33、表示設定部34等として機能する。
【0029】
以下、圧力算出部31、測定データ格納部D1、3次元グラフ生成部32、表示制御部33、表示設定部34について詳述する。
【0030】
圧力算出部31は、センサ部21からのイオン電流、より詳細には、当該イオン電流から変換された電圧信号を交流発生器から受信して、1スキャン毎の試料ガス中に含まれる各成分の圧力(分圧)を算出するものである。そして、圧力算出部31は、その測定結果を示す測定データ(圧力データ)を測定データ格納部D1に送信する。
【0031】
測定データ格納部D1は、圧力算出部31から測定データを受け付けて、その測定時刻を示す測定時刻データに対応付けて格納するものである。
【0032】
3次元グラフ生成部32は、測定データ格納部D1に格納されている測定データ及び測定時刻データを取得して、その測定データの示す測定結果から、測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを生成するものである。本実施形態の3次元グラフ生成部32は、図4に示すように、測定結果に基づく値として各成分の圧力値、試料ガス中の成分を示す値として原子質量単位(AMU)を用いて、圧力軸(Pa)、時間軸(s)、原子質量単位軸(AMU、以下、単にAMU軸という)を3軸とするグラフを生成する。
【0033】
表示制御部33は、3次元グラフ生成部32から3次元グラフデータを取得して、その3次元グラフを表示手段5の画面上に表示するものである。具体的に表示制御部33は、図4に示すように、例えば圧力軸を縦軸、AMU軸を横軸、時間軸を奥行き軸として表示する。なお、表示手段5としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示画面を有するものである。
【0034】
以下、表示制御部33の具体的な表示機能(方法)について説明する。
【0035】
<<更新表示機能>>
【0036】
本実施形態の表示制御部33は、測定開始時から測定終了時までの測定結果をスキャン毎に1つ1つ順次更新しながら3次元グラフ上に表示するものである。例えば、1秒ごとの測定結果を時間経過とともに表示する。例えば、図4に示すように、最新の測定結果を3次元グラフの一番手前(最前列)に表示する。そして、その最新の測定結果の測定時刻を示すための測定時刻欄TCをグラフ表示領域の近傍(図4では左下側)に表示し、その欄TC中に測定時刻を表示する。つまり、3次元グラフの最前列には、測定時刻欄TCに表示された測定時刻の測定結果が表示される。また、最前列の測定結果は色を変えて表示し、その測定結果が測定時刻と対応していることが分かりやすいようにする。例えば、最前列の測定結果は赤色で表示し、その他の測定結果は青色で表示する等である。
【0037】
<<スクロール検索機能>>
【0038】
また、表示制御部33は、図4に示すように、3次元グラフの近傍(具体的には下側)に測定時刻毎の測定結果に対応付けられたスクロールバーSB1を表示する。このスクロールバーSB1のスライド方向は、画面左右方向に延びており、左へスライドさせることにより、過去の測定時刻に遡ってその測定結果を表示することができる。なお、スクロールバーSB1のスライド方向は、左右方向に限られず、上下方向であっても良い。
【0039】
そして、オペレータの入力手段4によるスクロールバーSB1のスライド操作(スクロール操作)により、表示制御部33は、画面上に表される測定結果を切り換える。このとき、表示制御部33は、スクロールバーSB1のスライド位置に対応した測定時刻を測定時刻欄TCに表示するとともに、それに対応する過去の測定結果を3次元グラフ上の最前列に表示する。このとき、最前列から奥行き方向に、その過去の測定結果から測定時刻が遡るように、一連の測定結果が表示される。
【0040】
例えば、図5に示すように、最新の測定時刻がT1である場合には、3次元グラフの最前列には測定時刻T1における測定結果が表示される(図5の上図参照)。なお、このとき、スクロールバーSB1は一番右に表示される。そして、新たに1スキャンが完了した場合には、スクロールバーSB1は一番右に表示されたままで、測定時刻欄TCに表示される測定時刻、及び3次元グラフ上の最前列に表示される測定結果が更新される。
【0041】
一方、入力手段4によるスクロール操作によりスクロールバーSB1を左にスライド移動させた場合、スクロールバーSB1の位置に対応する測定時刻T2が測定時刻欄TCに表示されるとともに、その測定時刻T2における測定結果が3次元グラフの最前列に表示される(図5の下図参照)。スクロールバーSB1が一番右に無い場合には、1スキャンが完了しても3次元グラフは更新されない。
【0042】
このように、3次元グラフの最前列に最新の測定結果が表示されている場合には、その最新の測定時刻T1を含む例えば過去10スキャンの一連の測定結果が表示され、最前列に過去のある測定時刻T2の測定結果が表示されている場合には、その測定時刻T2を含む例えばそれ以前10スキャンの一連の測定結果が表示される。なお、表示される測定結果の個数は、時間軸のレンジにより決定される。
【0043】
なお、過去の測定結果を最前列に表示している場合であっても、測定中であれば、3次元グラフ生成部32は、常に最新の測定結果に基づく3次元グラフデータを生成している。スキャン中であっても、自由にシームレスに(現在の測定結果閲覧モードから過去の測定結果閲覧モードへ操作者が切り換えを意識することなく)過去の測定結果を見ることができる。例えば、イベントドリブン(event−driven)型設計によりデータの整合性を取ることにより、このような機能が可能になる。これにより、ガス分析計1の操作者がストレスを感じることなく、現在の測定結果と過去の測定結果とを容易に見ることができる。
【0044】
さらに、表示制御部33は、図6に示すように、後述する各種グラフ表示ボタンB2により選択された1又は複数の2次元グラフ及び/又は3次元グラフを画面上に表示する。なお、2次元グラフを表示する場合には、表示制御部33は、3次元グラフ生成部32から取得した3次元グラフデータを2次元グラフデータに変換することにより、2次元グラフを画面上に表示する。また、画面上に表示される複数のグラフは、同期されており、同時に更新される。
【0045】
図6における具体的な表示内容としては、例えばトレンドグラフ、バーグラフ、3次元グラフ(タワー表示)及び3次元グラフ(面表示)である。
【0046】
ここで、トレンドグラフとは、試料ガスに含まれる所定成分の圧力の時間変化を表示するものであり、本実施形態では、横軸を時間軸とし、縦軸を圧力軸とした2次元グラフである。図6においては、所定成分として、原子質量単位18の成分と、原子質量単位28の成分との圧力の時間変化を表示している。
【0047】
バーグラフとは、試料ガスに含まれる全ての成分毎の圧力分布を表示するものであり、本実施形態では、横軸をAMU軸とし、縦軸を圧力軸とした2次元グラフである。図6においては、2008年2月4日14時54分08秒の圧力分布を表示している。
【0048】
3次元グラフ(タワー表示)とは、各測定時間における各成分(各AMU)の圧力値を棒状に表現したものである。
【0049】
3次元グラフ(面表示)とは、各測定時間における各成分(各AMU)の圧力値において、隣接するもの同士を線で結び、当該線により形成される面をハッチングすることにより形成されるものである。
【0050】
また、表示制御部33は、これらグラフ表示領域の近傍(図4、図6等では上側近傍)には、画面上の表示設定を行うためにボタン群BGを表示する。
【0051】
ボタン群BGは、図7に示すように、スタート/ストップボタンB1、各種グラフ表示ボタンB2、グラフ設定ボタンB3、バックグラウンドボタンB4、グラフ整列ボタンB5、グラフレンジ変更ボタンB6などのアイコンにより構成される。なお、ボタン群BGに含まれるボタンは、これらに限られず、また、これら表示されるボタンは、設定により変更(増減)することができる。
【0052】
各ボタンB1〜B6の機能について、表示制御部33の機能とともに説明する。
【0053】
スタート/ストップボタンB1のうち、スタートボタンは、一連の測定データを表示し始めるためのものである。また、ストップボタンは、測定データの表示を停止するためのものである。このスタートボタンが選択(クリック)されることにより、表示制御部33は、測定結果を経時的に最新データに更新しつつ表示する。また、ストップボタンが選択(クリック)されることにより、表示制御部33は、測定結果の表示を停止する。
【0054】
各種グラフ表示ボタンB2は、画面上に表示する2次元グラフ及び/又は3次元グラフの種類を設定するものである。図6においては、トレンドグラフ、バーグラフ、3次元グラフ(タワー表示)及び3次元グラフ(面表示)を選択した場合を示している。このように、表示制御部33は、各種グラフ表示ボタンB2により選択されたグラフの全てを表示する。このように、3次元グラフとともに2次元グラフを表示することにより、3次元グラフにより大域的な成分分布や各成分の圧力分布の時間変化を把握することができるだけでなく、同時に2次元グラフにより、詳細な時間変化を把握することができる。また、3次元グラフで表示された測定結果のみでは把握困難な場合であっても、2次元グラフで表示された測定結果を表示することでその把握を容易にすることができる。
【0055】
グラフ設定ボタンB3は、表示するグラフの軸の長さなどグラフの詳細設定を行うためのボタンである。そして、グラフ設定ボタンB3を選択した場合には、表示制御部33は、別の詳細設定画面(図示しない)を表示し、その詳細設定画面により行われた詳細設定に基づいて、各グラフを画面上に表示する。
【0056】
<<差分表示機能>>
【0057】
バックグラウンドボタンB4は、画面上に表示される2次元グラフ又は3次元グラフを、基準時刻における測定結果である基準データ(バックグラウンドデータ)を差し引いて表示するためのものである。このバッググラウンド表示の用途としては、真空チャンバ内部のガス圧が安定状態になった時刻で、バックグラウンドを設定して、その時刻からの圧力(各成分の分圧)の増減を一目で把握したい場合などに用いられる。このバックグラウンドボタンB4が選択されることにより、表示制御部33は、図8に示すバックグラウンド設定画面W1を表示する。このバックグラウンド設定画面W1により、例えば「使用しない(バックグラウンド表示しない)」W11、「現在のグラフから差し引く」W12、「保存データから差し引く」W13の3通りを選択することができる。
【0058】
また、「現在のグラフから差し引く」W12を選択した場合には、スクロールバーSB2により、測定データ格納部D1に格納されている測定データの中からバックグラウンドデータを選択することができるようにしている。そして、スクロールバーSB2により選択された測定データは、同一画面上に設けられたグラフ表示領域W14及びそのグラフ表示領域W14の近傍に設けられた測定時刻表示領域W15に、その測定データのバーグラフ及びその測定時間が表示される。なお、表示するグラフとしては、バーグラフに限られない。図8には、測定時刻2008年2月4日15時37分15秒の測定データをバックグラウンドデータとして選択する場合を示している。そして、バックグラウンドデータを決定してOKボタンW16を選択(クリック)すると、選択したバックグラウンドデータを差し引いた測定結果が3次元グラフ上に表示される。また、過去に保存したバックグラウンドデータは、読み出しボタンW17を選択(クリック)することにより、読み出すことができ、その過去に保存したバックグラウンドデータを用いることもできる。また、保存ボタンW18を選択(クリック)することにより、選択したバックグラウンドデータを保存することができる。
【0059】
図9(B)は、バックグラウンド設定画面W1により測定時刻15時37分15秒の測定結果をバックグラウンドデータ(基準データ)としてバックグラウンド補正した場合の3次元グラフ表示である。このとき、縦軸である圧力軸は、バックグラウンドデータの示す圧力に対する差圧を示している。なお、図9(A)は、バックグラウンド補正する前の3次元グラフ表示である。図9(B)において、最新データの測定時刻は15時37分20秒であり、15時37分15秒は3次元グラフの時間軸の真ん中付近の測定時刻で、差圧が0となっており、基準となっていることが分かる。
【0060】
グラフ整列ボタンB5は、画面上に表示するグラフの表示領域を設定するためのものである。このグラフ整列ボタンB5が選択(クリック)されることにより、表示制御部33は、画面上に表示するグラフの表示領域の配置などを変更する。例えば、1つのウィンドウ画面内に複数のグラフ表示領域を左右に整列表示したり、1つのウィンドウ画面内に複数のグラフ表示領域を上下に整列表示したり、又はそれぞれのグラフを表示するための異なるウィンドウを表示したりする。なお、図6は、上下左右に2つずつ計4つのグラフ表示領域が表示されている。
【0061】
<<レンジ変更表示機能>>
【0062】
グラフレンジ変更ボタンB6は、各軸(圧力軸、時間軸、AMU軸)のレンジを変更するためのボタンである。このグラフレンジ変更ボタンB6が選択されることより、表示制御部33は、画面上に表示されているグラフの1又は複数の軸のレンジを拡大又は縮小して表示する。これにより、各測定結果の変化を把握しやすくすることなどできる。
【0063】
<<回転表示機能>>
【0064】
しかして、本実施形態の演算装置3は、表示設定部34をさらに備え、前記表示制御部33が、その表示設定部34により設定された表示角度により、3次元グラフを表示する。
【0065】
表示設定部34は、キーボードやマウス等の入力手段4からの入力信号を取得して、その入力信号から得られるグラフの表示角度を示す角度設定信号を表示制御部33に出力するものである。表示制御部33は、その角度設定信号に基づいて、図10の上段に示されるように、3次元グラフを回転表示する。図10においては、回転することにより、縦軸が圧力軸、横軸がAMU軸の概略2次元グラフに表示している様子を示している。
【0066】
具体的には、例えばマウスを用いたドラッグ操作により、表示設定部34が角度設定信号を表示制御部33に出力し、表示制御部33が3次元グラフを回転表示する。回転方法としては、各軸周りに回転させることや、グラフの原点や中心を回転中心として回転させること等種々考えられる。これにより、オペレータは、マウスを用いたドラッグ操作により、感覚的に見やすい角度に3次元グラフを回転することができ、
【0067】
<<拡大表示機能>>
【0068】
また、表示設定部34は、キーボードやマウス等の入力手段4からの入力信号を取得して、その入力信号から得られるグラフの拡大又は縮小を示す拡大/縮小設定信号を表示制御部33に出力する。表示制御部33は、表示設定部34から拡大/縮小設定信号を取得して、図10の下段に示されるように、画面上の2次元グラフ又は3次元グラフを拡大表示又は縮小表示するものである。例えば、マウスにより拡大する領域を指定する等により拡大することが考えられる。
【0069】
<本実施形態の効果>
【0070】
このように構成した本実施形態に係るガス分析計1によれば、圧力軸、時間軸、及びAMU軸からなる3次元グラフを画面上に表示するので、測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を視覚的に把握することができる。また、3次元グラフを回転可能に表示することにより、3次元グラフをあらゆる角度が見ることができ、測定結果(圧力分布)をより一層視覚的に把握することができる。さらに、表示制御部33が、更新表示機能、スクロール検索機能、差分表示機能、レンジ変更機能、又は拡大表示機能を有することにより、3次元グラフをあらゆる方法で表示することができるので、オペレータが試料ガス中の各成分の圧力分布の時間変化をより一層視覚的に把握することができるようになる。
【0071】
<その他の変形実施形態>
【0072】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0073】
例えば、前記実施形態では、全マススキャンモードであり、AMU軸の範囲を1〜46として全てをグラフ表示するものであったが、試料ガス中に含まれる所定成分(所定のAMU)のみを表示するようにしても良い。この場合、入力手段4により、表示制御部に表示する成分(AMU)を予め入力することにより、全マススキャンモードにより得られた測定結果の中から、表示制御部がその成分の測定結果を表示する。これにより、指定した成分(AMU)のみの測定結果を3次元表示して、無駄な情報を省くことができるので、オペレータにとって測定結果を見やすくすることができる。
【0074】
一方、選択マススキャンモードにより、指定したAMU(例えばAMU8、15、18、40、45)のみを測定する場合には、表示制御部は、その測定結果を3次元表示するようにしても良い。
【0075】
また、前記実施形態の分析部は、試料ガス中の各成分の圧力を算出する圧力算出部であったが、その他、各成分の濃度などを算出するものであっても良い。
【0076】
さらに、前記実施形態の3次元グラフは、縦軸、横軸及び奥行き軸をそれぞれ圧力軸、時間軸及びAMU軸としたものであったが、それら各軸を入れ替えたものであっても良い。
【0077】
その上、3次元グラフ上の例えば最前列等にリファレンス測定結果を表示するようにしても良い。ここで、リファレンス測定結果とは、特定の気体の濃度、圧力における測定結果(圧力分布)である。このように、同一グラフ上にリファレンス測定結果を表示することにより、リファレンス測定結果との比較を容易に行うことができる。
【0078】
加えて、前記実施形態では、3次元グラフ生成部32からの3次元グラフデータを表示制御部が2次元グラフデータに変換することにより、画面上に2次元グラフも表示するようにしているが、その他、3次元グラフ生成部32が、2次元グラフデータを生成するようにしても良いし、別に2次元グラフ生成部を設けるようにしても良い。
【0079】
その上、3次元グラフ生成部の機能を表示制御部に持たせても良い。
【0080】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス分析計の模式的構成図。
【図2】同実施形態におけるセンサ部の内部構成図。
【図3】同実施形態における演算装置の機能構成図。
【図4】表示画面(3次元グラフ)を示す図。
【図5】スクロール検索機能を示す図。
【図6】表示画面(複数グラフ表示)を示す図。
【図7】ボタン群の説明図。
【図8】表示画面(バックグラウンド設定画面)を示す図。
【図9】表示画面(バックグラウンド補正前後)を示す図。
【図10】表示画面(回転/拡大)を示す図。
【図11】従来のガス分析計の表示画面(トレンドグラフ)を示す図。
【図12】従来のガス分析計の表示画面(バーグラフ)を示す図。
【符号の説明】
【0082】
1・・・ガス分析計
211・・・イオン化部
212・・・イオン検出部
213・・・フィルタ部(四重極部)
3・・・演算装置
31・・・分析部(圧力算出部)
32・・・3次元グラフ生成部
33・・・表示制御部
34・・・表示設定部
SB1・・・スクロールバー
4・・・入力手段
5・・・表示手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析計に関し、特に、四重極質量分析法等を用いたガス分析計の測定結果の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の残留ガス分析計は、イオン化部、質量分析部及び検出部を有するセンサ部並びに交流発生器部を備えるセンサユニットと、このセンサユニットに対してケーブル接続される装置本体と、を具備して成るものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
そしてこの残留ガス分析計によれば、まず、イオン化部に導入された残留ガスは、高温のフィラメントから放出された熱電子に影響されイオン化される。生成されたイオンは、レンズで加速・収束されて、質量分析部に導かれる。質量分析部では、例えば4本の円柱形電極(四重極)に直流及び交流電圧を印加し、イオンがふるい分けられる。分離されたイオンは、検出部のファラデーカップで電流として検出される。このイオン電流は、残留ガスの量(分圧)に応じて変化するため、残留ガスを精度良く測定することができる。
【0004】
従来の残留ガス分析計では、試料ガスに含まれる全ての成分毎の圧力分布を表示する場合、横軸又は縦軸の一方を試料ガスに含まれる各成分を示す原子質量単位(AMU)軸とし、横軸又は縦軸の他方を圧力軸として、測定時刻毎の圧力分布を2次元で表示している(図11参照)。
【0005】
また、試料ガスに含まれるある成分の圧力の時間変化を表示する場合、横軸又は縦軸の一方を時間軸とし、横軸又は縦軸の他方を圧力軸として、2次元で表示している。なお、複数の成分(例えばAMU18、28)の圧力の時間変化を表示する場合には、各成分の表示線(例えば色や線種など)を異ならせて表示している(図12参照)。
【0006】
しかしながら、試料ガスに含まれる全ての成分毎の圧力の時間変化を見ることができないという問題がある。つまり、測定時刻又はAMUを設定しなければ、測定結果をグラフ表示することができないという問題がある。なお、前述したように、成分の圧力の時間変化を表示する場合には、表示線を異ならせて表示することができるが、成分の数が増えるほど、煩雑になり見にくいという問題がある。
【0007】
具体的には、AMU軸及び圧力軸を用いた2次元グラフ表示では、予め定められた測定時刻しかグラフ表示できない、また、ある測定時刻のグラフを表示するためには、一々設定する必要があるという問題がある。一方、時間軸及び圧力軸を用いた2次元グラフ表示では、予め定められたAMUについてのグラフしか表示できない、また、他のAMUについての圧力変化を表示するためには、一々AMUを設定する必要があるという問題がある。
【0008】
さらに、上記のように各測定時刻又は各AMU毎にしか表示できないものでは、残留ガスの大域的な成分変化やその圧力変化を把握することが難しいという問題がある。
【非特許文献1】池田亨、「特集論文 超小型残留ガス分析計PressureMaster RGAシリーズ」、HORIBA Technical Reports、株式会社堀場製作所、2004年3月、第28号、p.1214
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、試料ガスの測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を広範囲に亘り表示して、大域的な測定結果の時間変化を視覚的に把握し易くすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係るガス分析計は、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記センサ部からの検出信号に基づいて前記試料ガスを分析する分析部と、前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、分析部による測定結果に基づく値(例えば、各成分の圧力(分圧))、時間、及び試料ガス中の成分を示す値(例えば原子質量単位(AMU))をそれぞれ軸とする3次元グラフを画面上に表示するので、測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を視覚的に把握することができる。また、3次元グラフを回転可能に表示することにより、3次元グラフをあらゆる角度が見ることができ、測定結果をより一層視覚的に把握することができる。例えば、特定成分の圧力の時間変化を把握したいとき、3次元グラフで表示しても一方向のみからでは、他の成分の表示に隠れて見えない又は見えにくいことがある。しかし、3次元グラフを回転して表示角度を変更することで、特定成分の圧力の時間変化を視覚的に把握することができる。
【0012】
具体的には、本発明に係るガス分析計は、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記イオン検出部からの検出信号に基づいて、前記試料ガスを分析する演算装置と、を具備し、前記演算装置が、測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを生成する3次元グラフ生成部と、前記3次元グラフ生成部により生成された3次元グラフの表示角度を設定する表示設定部と、前記表示設定部により設定された表示角度により、前記3次元グラフを表示する表示制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
過去の測定結果を表示するだけでなく、その検索を容易に行うことができるようにするためには、前記表示制御部が、測定時刻毎の測定結果に対応付けられたスクロールバーを表示するものであり、入力手段による前記スクロールバーのスクロール操作により、画面上に表される測定結果を切り換えるものであることが望ましい。
【0014】
残留ガスの種類や測定用途等に応じた表示を可能にして、視覚的に把握を一層容易にするためには、前記表示制御部が、前記試料ガス中の予め選択された成分を示す値の測定結果を3次元表示するものであることが望ましい。
【0015】
また、本発明に係るガス分析計用画面表示プログラムは、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記イオン検出部からの検出結果に基づいて前記試料ガスを分析する演算装置と、を備えたガス分析計で実行されるガス分析計用画面表示プログラムであって、前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部としての機能を前記演算装置に備えさせることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係るガス分析計用演算装置は、試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、を備えたガス分析計に用いられるガス分析計用演算装置であって、前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、試料ガスの測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を広範囲に亘り表示して、大域的な測定結果の時間変化を視覚的に把握し易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態に係るガス分析計1を示す模式的構成図であり、図2はセンサ部21の内部構成図である。図3は演算装置3の機能構成図であり、図4〜図10は表示手段5の画面上に表示される表示画面を示す図等である。
【0019】
<装置構成>
【0020】
本実施形態に係るガス分析計1は、例えば半導体製造プロセス中又は装置クリーニング後の真空チャンバ100内のガスモニタに用いられるものであり、図1に示すように、真空チャンバ100内のプロセスガス又は残留ガス等の試料ガスを検知するセンサ部21を有するセンサユニット2と、前記センサ部21を制御するとともに、前記センサ部21の出力に基づいて残留ガスの分析処理等を行う演算装置3と、を備えている。
【0021】
以下、センサユニット2及び演算装置3について説明する。
【0022】
センサユニット2は、図1に示すように、センサ部21と当該センサ部21の後端部に設けられた交流発生器部22等を備えている。また、交流発生器部22の後端部には、演算装置3と該センサユニット2とを接続するケーブルCAが接続されている。
【0023】
センサ部21は、図2に示すように、真空チャンバ100に取り付けられた際に真空チャンバ100内の残留ガスを導入するためのガス導入口(図示しない)を備え、当該ガス導入口からセンサ部21内に導入された試料ガスである残留ガスをイオン化するイオン化部211と、前記イオン化部211によりイオン化されたイオンを検出するイオン検出部212と、前記イオン化部211及び前記イオン検出部212の間に設けられ、前記イオン化部211からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部としての四重極部213と、を備えている。
【0024】
イオン化部211は、例えば内部にフィラメントを備え、フィラメントから放出される熱電子により試料ガスをイオン化するものである。そして、イオン化部211により、生成されたイオンは、引出電極214によって引き出される。引出電極214は単一又は複数の電極により構成されている。引出電極214は、イオン化部211と四重極部213との間に設けられ、イオン化部211により生成されたイオンを四重極部213及びイオン検出部212側に引き出すとともに、そのイオンを加速、収束させるものである。
【0025】
四重極部213は、引出電極214で加速、収束されたイオンビームをイオンの電荷対質量比に応じて分離するものである。具体的には、四重極部213は、90°間隔で配置した2組の対向電極(円柱形電極)からなり、対向するもの同士を同電位とした上で、90°異なるそれぞれの組の間に直流電圧Uと高周波電圧Vcosωtとを重畳した電圧を印加し、そのU/V比を一定にするとともにVを変化させて、その対向電極内に入射したイオンを(質量/電荷数)の比に応じて選択通過させるものである。本実施形態のガス分析計1は、全マススキャンモード及び選択マススキャンモードの機能を有し、全マススキャンモードの場合、四重極部213の電極に印加する電圧を1スキャン中に所定範囲(例えば0Vから30V)で掃引する。一方、選択マススキャンモードの場合、指定した成分(本実施形態ではAMUであり、例えば8、15、18、40)を選択するための電圧を1スキャン中に切り換えて印加する。なお、本実施形態では、以下、全マススキャンモードにより測定した場合について説明する。
【0026】
イオン検出部212は、四重極部213により分離されたイオンを捕らえてイオン電流として検出するファラデーカップである。具体的にイオン検出部212は、四重極部213によりスキャン中に分離された特定成分のイオンを検出して、その特定成分の試料ガスにおける分圧を検出するためのものである。また、イオン化部211によりイオン化された試料ガスのイオンを全て検出して、試料ガスの全圧を検出する。
【0027】
交流発生器部22は、前記イオン検出部212で検出したイオン電流を、電圧値を示すデジタル電圧信号に変換して、その電圧信号を演算装置3に出力するものである。
【0028】
演算装置3は、CPUや内部メモリ等を搭載した回路部(図示せず)を内蔵し、その内部メモリに記憶されたプログラムにしたがって、前記CPUや周辺機器を作動し、当該情報処理装置3が、前記センサ部21の出力に基づいて試料ガスの分析処理等を行うものである。具体的には、演算装置3は、図3に示すように、分析部である圧力算出部31、測定データ格納部D1、3次元グラフ生成部32、表示制御部33、表示設定部34等として機能する。
【0029】
以下、圧力算出部31、測定データ格納部D1、3次元グラフ生成部32、表示制御部33、表示設定部34について詳述する。
【0030】
圧力算出部31は、センサ部21からのイオン電流、より詳細には、当該イオン電流から変換された電圧信号を交流発生器から受信して、1スキャン毎の試料ガス中に含まれる各成分の圧力(分圧)を算出するものである。そして、圧力算出部31は、その測定結果を示す測定データ(圧力データ)を測定データ格納部D1に送信する。
【0031】
測定データ格納部D1は、圧力算出部31から測定データを受け付けて、その測定時刻を示す測定時刻データに対応付けて格納するものである。
【0032】
3次元グラフ生成部32は、測定データ格納部D1に格納されている測定データ及び測定時刻データを取得して、その測定データの示す測定結果から、測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを生成するものである。本実施形態の3次元グラフ生成部32は、図4に示すように、測定結果に基づく値として各成分の圧力値、試料ガス中の成分を示す値として原子質量単位(AMU)を用いて、圧力軸(Pa)、時間軸(s)、原子質量単位軸(AMU、以下、単にAMU軸という)を3軸とするグラフを生成する。
【0033】
表示制御部33は、3次元グラフ生成部32から3次元グラフデータを取得して、その3次元グラフを表示手段5の画面上に表示するものである。具体的に表示制御部33は、図4に示すように、例えば圧力軸を縦軸、AMU軸を横軸、時間軸を奥行き軸として表示する。なお、表示手段5としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示画面を有するものである。
【0034】
以下、表示制御部33の具体的な表示機能(方法)について説明する。
【0035】
<<更新表示機能>>
【0036】
本実施形態の表示制御部33は、測定開始時から測定終了時までの測定結果をスキャン毎に1つ1つ順次更新しながら3次元グラフ上に表示するものである。例えば、1秒ごとの測定結果を時間経過とともに表示する。例えば、図4に示すように、最新の測定結果を3次元グラフの一番手前(最前列)に表示する。そして、その最新の測定結果の測定時刻を示すための測定時刻欄TCをグラフ表示領域の近傍(図4では左下側)に表示し、その欄TC中に測定時刻を表示する。つまり、3次元グラフの最前列には、測定時刻欄TCに表示された測定時刻の測定結果が表示される。また、最前列の測定結果は色を変えて表示し、その測定結果が測定時刻と対応していることが分かりやすいようにする。例えば、最前列の測定結果は赤色で表示し、その他の測定結果は青色で表示する等である。
【0037】
<<スクロール検索機能>>
【0038】
また、表示制御部33は、図4に示すように、3次元グラフの近傍(具体的には下側)に測定時刻毎の測定結果に対応付けられたスクロールバーSB1を表示する。このスクロールバーSB1のスライド方向は、画面左右方向に延びており、左へスライドさせることにより、過去の測定時刻に遡ってその測定結果を表示することができる。なお、スクロールバーSB1のスライド方向は、左右方向に限られず、上下方向であっても良い。
【0039】
そして、オペレータの入力手段4によるスクロールバーSB1のスライド操作(スクロール操作)により、表示制御部33は、画面上に表される測定結果を切り換える。このとき、表示制御部33は、スクロールバーSB1のスライド位置に対応した測定時刻を測定時刻欄TCに表示するとともに、それに対応する過去の測定結果を3次元グラフ上の最前列に表示する。このとき、最前列から奥行き方向に、その過去の測定結果から測定時刻が遡るように、一連の測定結果が表示される。
【0040】
例えば、図5に示すように、最新の測定時刻がT1である場合には、3次元グラフの最前列には測定時刻T1における測定結果が表示される(図5の上図参照)。なお、このとき、スクロールバーSB1は一番右に表示される。そして、新たに1スキャンが完了した場合には、スクロールバーSB1は一番右に表示されたままで、測定時刻欄TCに表示される測定時刻、及び3次元グラフ上の最前列に表示される測定結果が更新される。
【0041】
一方、入力手段4によるスクロール操作によりスクロールバーSB1を左にスライド移動させた場合、スクロールバーSB1の位置に対応する測定時刻T2が測定時刻欄TCに表示されるとともに、その測定時刻T2における測定結果が3次元グラフの最前列に表示される(図5の下図参照)。スクロールバーSB1が一番右に無い場合には、1スキャンが完了しても3次元グラフは更新されない。
【0042】
このように、3次元グラフの最前列に最新の測定結果が表示されている場合には、その最新の測定時刻T1を含む例えば過去10スキャンの一連の測定結果が表示され、最前列に過去のある測定時刻T2の測定結果が表示されている場合には、その測定時刻T2を含む例えばそれ以前10スキャンの一連の測定結果が表示される。なお、表示される測定結果の個数は、時間軸のレンジにより決定される。
【0043】
なお、過去の測定結果を最前列に表示している場合であっても、測定中であれば、3次元グラフ生成部32は、常に最新の測定結果に基づく3次元グラフデータを生成している。スキャン中であっても、自由にシームレスに(現在の測定結果閲覧モードから過去の測定結果閲覧モードへ操作者が切り換えを意識することなく)過去の測定結果を見ることができる。例えば、イベントドリブン(event−driven)型設計によりデータの整合性を取ることにより、このような機能が可能になる。これにより、ガス分析計1の操作者がストレスを感じることなく、現在の測定結果と過去の測定結果とを容易に見ることができる。
【0044】
さらに、表示制御部33は、図6に示すように、後述する各種グラフ表示ボタンB2により選択された1又は複数の2次元グラフ及び/又は3次元グラフを画面上に表示する。なお、2次元グラフを表示する場合には、表示制御部33は、3次元グラフ生成部32から取得した3次元グラフデータを2次元グラフデータに変換することにより、2次元グラフを画面上に表示する。また、画面上に表示される複数のグラフは、同期されており、同時に更新される。
【0045】
図6における具体的な表示内容としては、例えばトレンドグラフ、バーグラフ、3次元グラフ(タワー表示)及び3次元グラフ(面表示)である。
【0046】
ここで、トレンドグラフとは、試料ガスに含まれる所定成分の圧力の時間変化を表示するものであり、本実施形態では、横軸を時間軸とし、縦軸を圧力軸とした2次元グラフである。図6においては、所定成分として、原子質量単位18の成分と、原子質量単位28の成分との圧力の時間変化を表示している。
【0047】
バーグラフとは、試料ガスに含まれる全ての成分毎の圧力分布を表示するものであり、本実施形態では、横軸をAMU軸とし、縦軸を圧力軸とした2次元グラフである。図6においては、2008年2月4日14時54分08秒の圧力分布を表示している。
【0048】
3次元グラフ(タワー表示)とは、各測定時間における各成分(各AMU)の圧力値を棒状に表現したものである。
【0049】
3次元グラフ(面表示)とは、各測定時間における各成分(各AMU)の圧力値において、隣接するもの同士を線で結び、当該線により形成される面をハッチングすることにより形成されるものである。
【0050】
また、表示制御部33は、これらグラフ表示領域の近傍(図4、図6等では上側近傍)には、画面上の表示設定を行うためにボタン群BGを表示する。
【0051】
ボタン群BGは、図7に示すように、スタート/ストップボタンB1、各種グラフ表示ボタンB2、グラフ設定ボタンB3、バックグラウンドボタンB4、グラフ整列ボタンB5、グラフレンジ変更ボタンB6などのアイコンにより構成される。なお、ボタン群BGに含まれるボタンは、これらに限られず、また、これら表示されるボタンは、設定により変更(増減)することができる。
【0052】
各ボタンB1〜B6の機能について、表示制御部33の機能とともに説明する。
【0053】
スタート/ストップボタンB1のうち、スタートボタンは、一連の測定データを表示し始めるためのものである。また、ストップボタンは、測定データの表示を停止するためのものである。このスタートボタンが選択(クリック)されることにより、表示制御部33は、測定結果を経時的に最新データに更新しつつ表示する。また、ストップボタンが選択(クリック)されることにより、表示制御部33は、測定結果の表示を停止する。
【0054】
各種グラフ表示ボタンB2は、画面上に表示する2次元グラフ及び/又は3次元グラフの種類を設定するものである。図6においては、トレンドグラフ、バーグラフ、3次元グラフ(タワー表示)及び3次元グラフ(面表示)を選択した場合を示している。このように、表示制御部33は、各種グラフ表示ボタンB2により選択されたグラフの全てを表示する。このように、3次元グラフとともに2次元グラフを表示することにより、3次元グラフにより大域的な成分分布や各成分の圧力分布の時間変化を把握することができるだけでなく、同時に2次元グラフにより、詳細な時間変化を把握することができる。また、3次元グラフで表示された測定結果のみでは把握困難な場合であっても、2次元グラフで表示された測定結果を表示することでその把握を容易にすることができる。
【0055】
グラフ設定ボタンB3は、表示するグラフの軸の長さなどグラフの詳細設定を行うためのボタンである。そして、グラフ設定ボタンB3を選択した場合には、表示制御部33は、別の詳細設定画面(図示しない)を表示し、その詳細設定画面により行われた詳細設定に基づいて、各グラフを画面上に表示する。
【0056】
<<差分表示機能>>
【0057】
バックグラウンドボタンB4は、画面上に表示される2次元グラフ又は3次元グラフを、基準時刻における測定結果である基準データ(バックグラウンドデータ)を差し引いて表示するためのものである。このバッググラウンド表示の用途としては、真空チャンバ内部のガス圧が安定状態になった時刻で、バックグラウンドを設定して、その時刻からの圧力(各成分の分圧)の増減を一目で把握したい場合などに用いられる。このバックグラウンドボタンB4が選択されることにより、表示制御部33は、図8に示すバックグラウンド設定画面W1を表示する。このバックグラウンド設定画面W1により、例えば「使用しない(バックグラウンド表示しない)」W11、「現在のグラフから差し引く」W12、「保存データから差し引く」W13の3通りを選択することができる。
【0058】
また、「現在のグラフから差し引く」W12を選択した場合には、スクロールバーSB2により、測定データ格納部D1に格納されている測定データの中からバックグラウンドデータを選択することができるようにしている。そして、スクロールバーSB2により選択された測定データは、同一画面上に設けられたグラフ表示領域W14及びそのグラフ表示領域W14の近傍に設けられた測定時刻表示領域W15に、その測定データのバーグラフ及びその測定時間が表示される。なお、表示するグラフとしては、バーグラフに限られない。図8には、測定時刻2008年2月4日15時37分15秒の測定データをバックグラウンドデータとして選択する場合を示している。そして、バックグラウンドデータを決定してOKボタンW16を選択(クリック)すると、選択したバックグラウンドデータを差し引いた測定結果が3次元グラフ上に表示される。また、過去に保存したバックグラウンドデータは、読み出しボタンW17を選択(クリック)することにより、読み出すことができ、その過去に保存したバックグラウンドデータを用いることもできる。また、保存ボタンW18を選択(クリック)することにより、選択したバックグラウンドデータを保存することができる。
【0059】
図9(B)は、バックグラウンド設定画面W1により測定時刻15時37分15秒の測定結果をバックグラウンドデータ(基準データ)としてバックグラウンド補正した場合の3次元グラフ表示である。このとき、縦軸である圧力軸は、バックグラウンドデータの示す圧力に対する差圧を示している。なお、図9(A)は、バックグラウンド補正する前の3次元グラフ表示である。図9(B)において、最新データの測定時刻は15時37分20秒であり、15時37分15秒は3次元グラフの時間軸の真ん中付近の測定時刻で、差圧が0となっており、基準となっていることが分かる。
【0060】
グラフ整列ボタンB5は、画面上に表示するグラフの表示領域を設定するためのものである。このグラフ整列ボタンB5が選択(クリック)されることにより、表示制御部33は、画面上に表示するグラフの表示領域の配置などを変更する。例えば、1つのウィンドウ画面内に複数のグラフ表示領域を左右に整列表示したり、1つのウィンドウ画面内に複数のグラフ表示領域を上下に整列表示したり、又はそれぞれのグラフを表示するための異なるウィンドウを表示したりする。なお、図6は、上下左右に2つずつ計4つのグラフ表示領域が表示されている。
【0061】
<<レンジ変更表示機能>>
【0062】
グラフレンジ変更ボタンB6は、各軸(圧力軸、時間軸、AMU軸)のレンジを変更するためのボタンである。このグラフレンジ変更ボタンB6が選択されることより、表示制御部33は、画面上に表示されているグラフの1又は複数の軸のレンジを拡大又は縮小して表示する。これにより、各測定結果の変化を把握しやすくすることなどできる。
【0063】
<<回転表示機能>>
【0064】
しかして、本実施形態の演算装置3は、表示設定部34をさらに備え、前記表示制御部33が、その表示設定部34により設定された表示角度により、3次元グラフを表示する。
【0065】
表示設定部34は、キーボードやマウス等の入力手段4からの入力信号を取得して、その入力信号から得られるグラフの表示角度を示す角度設定信号を表示制御部33に出力するものである。表示制御部33は、その角度設定信号に基づいて、図10の上段に示されるように、3次元グラフを回転表示する。図10においては、回転することにより、縦軸が圧力軸、横軸がAMU軸の概略2次元グラフに表示している様子を示している。
【0066】
具体的には、例えばマウスを用いたドラッグ操作により、表示設定部34が角度設定信号を表示制御部33に出力し、表示制御部33が3次元グラフを回転表示する。回転方法としては、各軸周りに回転させることや、グラフの原点や中心を回転中心として回転させること等種々考えられる。これにより、オペレータは、マウスを用いたドラッグ操作により、感覚的に見やすい角度に3次元グラフを回転することができ、
【0067】
<<拡大表示機能>>
【0068】
また、表示設定部34は、キーボードやマウス等の入力手段4からの入力信号を取得して、その入力信号から得られるグラフの拡大又は縮小を示す拡大/縮小設定信号を表示制御部33に出力する。表示制御部33は、表示設定部34から拡大/縮小設定信号を取得して、図10の下段に示されるように、画面上の2次元グラフ又は3次元グラフを拡大表示又は縮小表示するものである。例えば、マウスにより拡大する領域を指定する等により拡大することが考えられる。
【0069】
<本実施形態の効果>
【0070】
このように構成した本実施形態に係るガス分析計1によれば、圧力軸、時間軸、及びAMU軸からなる3次元グラフを画面上に表示するので、測定結果(例えば、試料ガス中の各成分の圧力等)の時間変化を視覚的に把握することができる。また、3次元グラフを回転可能に表示することにより、3次元グラフをあらゆる角度が見ることができ、測定結果(圧力分布)をより一層視覚的に把握することができる。さらに、表示制御部33が、更新表示機能、スクロール検索機能、差分表示機能、レンジ変更機能、又は拡大表示機能を有することにより、3次元グラフをあらゆる方法で表示することができるので、オペレータが試料ガス中の各成分の圧力分布の時間変化をより一層視覚的に把握することができるようになる。
【0071】
<その他の変形実施形態>
【0072】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0073】
例えば、前記実施形態では、全マススキャンモードであり、AMU軸の範囲を1〜46として全てをグラフ表示するものであったが、試料ガス中に含まれる所定成分(所定のAMU)のみを表示するようにしても良い。この場合、入力手段4により、表示制御部に表示する成分(AMU)を予め入力することにより、全マススキャンモードにより得られた測定結果の中から、表示制御部がその成分の測定結果を表示する。これにより、指定した成分(AMU)のみの測定結果を3次元表示して、無駄な情報を省くことができるので、オペレータにとって測定結果を見やすくすることができる。
【0074】
一方、選択マススキャンモードにより、指定したAMU(例えばAMU8、15、18、40、45)のみを測定する場合には、表示制御部は、その測定結果を3次元表示するようにしても良い。
【0075】
また、前記実施形態の分析部は、試料ガス中の各成分の圧力を算出する圧力算出部であったが、その他、各成分の濃度などを算出するものであっても良い。
【0076】
さらに、前記実施形態の3次元グラフは、縦軸、横軸及び奥行き軸をそれぞれ圧力軸、時間軸及びAMU軸としたものであったが、それら各軸を入れ替えたものであっても良い。
【0077】
その上、3次元グラフ上の例えば最前列等にリファレンス測定結果を表示するようにしても良い。ここで、リファレンス測定結果とは、特定の気体の濃度、圧力における測定結果(圧力分布)である。このように、同一グラフ上にリファレンス測定結果を表示することにより、リファレンス測定結果との比較を容易に行うことができる。
【0078】
加えて、前記実施形態では、3次元グラフ生成部32からの3次元グラフデータを表示制御部が2次元グラフデータに変換することにより、画面上に2次元グラフも表示するようにしているが、その他、3次元グラフ生成部32が、2次元グラフデータを生成するようにしても良いし、別に2次元グラフ生成部を設けるようにしても良い。
【0079】
その上、3次元グラフ生成部の機能を表示制御部に持たせても良い。
【0080】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス分析計の模式的構成図。
【図2】同実施形態におけるセンサ部の内部構成図。
【図3】同実施形態における演算装置の機能構成図。
【図4】表示画面(3次元グラフ)を示す図。
【図5】スクロール検索機能を示す図。
【図6】表示画面(複数グラフ表示)を示す図。
【図7】ボタン群の説明図。
【図8】表示画面(バックグラウンド設定画面)を示す図。
【図9】表示画面(バックグラウンド補正前後)を示す図。
【図10】表示画面(回転/拡大)を示す図。
【図11】従来のガス分析計の表示画面(トレンドグラフ)を示す図。
【図12】従来のガス分析計の表示画面(バーグラフ)を示す図。
【符号の説明】
【0082】
1・・・ガス分析計
211・・・イオン化部
212・・・イオン検出部
213・・・フィルタ部(四重極部)
3・・・演算装置
31・・・分析部(圧力算出部)
32・・・3次元グラフ生成部
33・・・表示制御部
34・・・表示設定部
SB1・・・スクロールバー
4・・・入力手段
5・・・表示手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、
前記センサ部からの検出信号に基づいて前記試料ガスを分析する分析部と、
前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部と、を備えているガス分析計。
【請求項2】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、
前記イオン検出部からの検出信号に基づいて、前記試料ガスを分析する演算装置と、を具備し、
前記演算装置が、測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを生成する3次元グラフ生成部と、
前記3次元グラフ生成部により生成された3次元グラフの表示角度を設定する表示設定部と、
前記表示設定部により設定された表示角度により、前記3次元グラフを画面上に表示する表示制御部と、を備えているガス分析計。
【請求項3】
前記表示制御部が、測定時刻毎の測定結果に対応付けられたスクロールバーを表示するものであり、入力手段による前記スクロールバーのスライド操作により、画面上に表される測定結果を切り換えるものである請求項1又は2記載のガス分析計。
【請求項4】
前記表示制御部が、前記試料ガス中の予め選択された成分を示す値の測定結果を3次元表示するものである請求項1、2又は3記載のガス分析計。
【請求項5】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記イオン検出部からの検出結果に基づいて前記試料ガスを分析する演算装置と、を備えたガス分析計で実行されるガス分析計用画面表示プログラムであって、
前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部としての機能を前記演算装置に備えさせることを特徴とするガス分析計用画面表示プログラム。
【請求項6】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、を備えたガス分析計に用いられるガス分析計用演算装置であって、
前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示するガス分析計用演算装置。
【請求項1】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、
前記センサ部からの検出信号に基づいて前記試料ガスを分析する分析部と、
前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部と、を備えているガス分析計。
【請求項2】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、
前記イオン検出部からの検出信号に基づいて、前記試料ガスを分析する演算装置と、を具備し、
前記演算装置が、測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを生成する3次元グラフ生成部と、
前記3次元グラフ生成部により生成された3次元グラフの表示角度を設定する表示設定部と、
前記表示設定部により設定された表示角度により、前記3次元グラフを画面上に表示する表示制御部と、を備えているガス分析計。
【請求項3】
前記表示制御部が、測定時刻毎の測定結果に対応付けられたスクロールバーを表示するものであり、入力手段による前記スクロールバーのスライド操作により、画面上に表される測定結果を切り換えるものである請求項1又は2記載のガス分析計。
【請求項4】
前記表示制御部が、前記試料ガス中の予め選択された成分を示す値の測定結果を3次元表示するものである請求項1、2又は3記載のガス分析計。
【請求項5】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、前記イオン検出部からの検出結果に基づいて前記試料ガスを分析する演算装置と、を備えたガス分析計で実行されるガス分析計用画面表示プログラムであって、
前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示する表示制御部としての機能を前記演算装置に備えさせることを特徴とするガス分析計用画面表示プログラム。
【請求項6】
試料ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部からのイオンを選択的に通過させるフィルタ部と、前記フィルタ部を通過したイオンを検出するイオン検出部と、を備えたガス分析計に用いられるガス分析計用演算装置であって、
前記分析部による測定結果に基づく値、時間、及び前記試料ガス中の成分を示す値それぞれを軸とする3次元グラフを画面上に表示するとともに、当該3次元グラフを回転可能に表示するガス分析計用演算装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−229139(P2009−229139A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72298(P2008−72298)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]