ガス分解装置、ガス分解方法及びガス分解発電装置
【課題】分解過程のガス濃度の変化に対応して、最適な配合割合の触媒を採用させることにより、ガスの分解効率を高めたガス分解装置を提供する。
【解決手段】固体電解質層101と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層102と、他側に設けられる第2の電極層105とを備える複数のガス分解素子100a,100b,100cを含んで構成されるガス分解装置であって、上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成が、上記ガス分解素子によって異なるように構成されているとともに、上記複数のガス分解素子に、ガスを順次作用させて分解するように構成されている。
【解決手段】固体電解質層101と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層102と、他側に設けられる第2の電極層105とを備える複数のガス分解素子100a,100b,100cを含んで構成されるガス分解装置であって、上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成が、上記ガス分解素子によって異なるように構成されているとともに、上記複数のガス分解素子に、ガスを順次作用させて分解するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガス分解装置、ガス分解方法及びガス分解発電装置に関する。詳しくは、ガス分解過程におけるガスの濃度変化やガスの組成変化等に対応して、効率よくガスを分解できるガス分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、し尿処理や堆肥製造工程において生じるバイオガス(揮発性有機化合物)には、種々のガス成分が含まれる。たとえば、悪臭の原因となるガス成分として、アンモニアガスが含まれる場合が多い。
【0003】
上記アンモニアガスは、悪臭を発するだけでなく人体にも有害であるため、外気にそのまま放出することはできない。このため、アンモニアガスを分離して、次亜臭素酸溶液や硫酸と接触させて処理する手法(特許文献1)や、触媒を用いて燃焼処理する手法(特許文献2)が採用されることが多い。
【0004】
上記特許文献1に記載されているような薬品を用いる手法や、特許文献2に記載されているような燃焼処理する手法によって、アンモニアガスを分解して無害化することができる。しかし、これら手法では、薬品や外部エネルギを必要とすることから、ランニングコストが大きくなるという問題がある。また、燃焼する手法を採用すると、NOXやCO2が生成されて、環境に悪影響を与える恐れもある。
【0005】
上記問題を解消する手法として、特許文献3に記載されているような固体電解質を備えるガス分解素子を用いてガスを電気化学的に分解して除害する手法が提案されている。上記手法を用いることにより、有害ガスが生成されることがなく、装置を小型化できるとともに、ランニングコストを低く抑えることが可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開平7−31966号公報
【特許文献2】特開平7−116650号公報
【特許文献3】特開2010−247033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記固体電解質を用いてガスを分解する場合、ガスは、アノード電極に沿うようにして流動させられながら分解される。このため、分解対象となるガスの濃度は、固体電解質層に沿う流動距離に応じて低下することになる。
【0008】
従来、上記触媒は、ガスが流動して接触させられるアノード電極の全体に一定割合で、均一に配合されていた。ところが、ガスは分解されるにつれて濃度が低下し、あるいは組成が変化する。このため、流動にともなって変化するガス濃度等に応じて、最適な配合量や組成を有する触媒を作用させることができない。したがって、ガス分解素子(MEA)の能力を最大限に発揮させているとはいえなかった。
【0009】
たとえば、アンモニアガスを、上記固体電解質層を備えるガス分解素子で分解する場合、アンモニアガス(NH3)の一部が、アノード電極表面ないし近傍において次のように分解される。
<アノード反応>
2NH3→N2+3H2
上記N2は、排気として排出される。上記H2は、酸素導電性の固体電解質を採用した場合は、アノードにおいて酸素と化合して水が生成される。一方、プロトン導電性の固体電解質を採用した場合、上記H2がアノードにおいてさらに分解されてプロトンH+と電子e-が生成され、上記プロトンH+が固体電解質中をカソードに向けて移動させられ、カソードにおいて酸素と化合して水が生成される。
【0010】
すなわち、ガス分解素子のアノード電極には、水素ガスとアンモニアガスとが混合されたガスが作用させられることになる。また、ガスの分解効率を高めるため、前工程において、アンモニアガスを加熱して、アンモニアガスの一部を水素化する手法も採用される。
【0011】
上記水素ガスとアンモニアガスを含むガスを分解する触媒成分として、Ni−Feからなる触媒を採用することが多い。ところが、上記Ni−Feからなる触媒のうち、アンモニアガスを分解する効率はFe触媒の方が高く、一方、水素ガスを分解して水を生成し、あるいはプロトンを生成する効率はNi触媒の方が高い。従来のガス分解装置では、所定の配合割合を有するNi−Fe触媒が、アノード電極全域に均一に配合されていた。このため、ガス分解素子の能力を充分に発揮させているとはいえなかった。
【0012】
また、し尿処理や堆肥製造工程において生じるバイオガスには、上述したアンモニアガスの他、種々のガス成分が含まれる場合が多い。アンモニアガスと他のガス成分が含まれる混合ガスを分解する場合、上述したアンモニアガス用の触媒では、アンモニアガス以外のガスを充分に分解できない場合がある。また、これらガス成分が無害である場合には、そのまま大気に放出することができるが、有害である場合やアンモニアガスの分解に悪影響を与える場合には除去する必要がある。たとえば、H2Sは人体に有害であり、また水蒸気が共存すると、ガス分解装置の性能低下を引き起こす。したがって、これらガスをアンモニアガス分解素子に作用する前に除去するのが好ましい。
【0013】
本願発明は、上述した問題を解決し、分解過程のガス濃度の変化や組成の変化等に対応して、最適な触媒を採用させることにより、ガスの分解効率を高めたガス分解装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の請求項1に記載した発明は、固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置であって、上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成が、上記ガス分解素子によって異なるように構成されているとともに、上記複数のガス分解素子に、ガスを順次作用させて分解するように構成されているものである。
【0015】
本願発明が適用される分解対象ガスの種類は、特に限定されることはない。固体電解質の種類、触媒の種類を選定して組み合わせることにより種々のガスに適用できる。たとえば、アンモニア、メタン、メチルメルカプタン、アルデヒド等の炭化水素系ガス等を含む種々のガスに適用できる。また、分解対象とすべきガス成分が複数含まれるガスに対しても適用できる。
【0016】
上記固体電解質層を構成する材料も特に限定されることはない。たとえば、固体酸化物、固体高分子等を備える複数種類のガス分解素子を組み合わせてガス分解装置を構成できる。固体酸化物からなる固体電解質層を作用する場合、酸素イオン導電性の、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)、SDC(サマリウム安定化ジルコニア)、LSGM(ランタンガレート)、GDC(ガドリア安定化セリア)等を採用することができる。また、BYZ(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)やBCY(バリウムセレイト)等からなるプロトン導電性の固体電解質層を採用することができる。BYZは、低い作動温度においてプロトン伝導率が高く、活性化エネルギが低いため、エネルギ効率を高めることができる。また、反応生成物である水が、外側(第2の電極層側)に生じるため、内側(第1の電極層側)に作用させられるアンモニアガスが、水蒸気により希釈されて反応効率が低下するのを防止することができる。また、各ガス成分に対応した固体電解質を備えて構成される複数のガス分解素子を組み合わせてガス分解装置を構成するのが好ましい。
【0017】
上記第1の電極層と上記第2の電極層の一方の電極層が燃料側のアノード電極として機能し、他方の電極層がカソード電極として機能する。上記電極層は、ガス成分の種類や濃度に応じて、所要の濃度及び組成を有する触媒を設けることができれば、上記電極層を構成する材料は特に限定されることはない。たとえば、酸素イオン導電性の固体電解質層を採用する場合、アノード電極を、表面酸化された酸化層を有する触媒としての金属粒連鎖体と、酸素イオン導電性セラミック(SSZ,YSZ等)とを主成分とする焼結体から形成することができる。また、プロトン導電性の固体電解質層を採用する場合、アノード電極を、表面酸化された酸化層を有する触媒としての金属粒連鎖体と、プロトン導電性のセラミック(BYZ,BCY等)とを主成分とする焼結体から形成することができる。たとえば、アノード電極を、Fe,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成することができる。一方、上記カソード電極に採用される第2の触媒を、Ni,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成することができる。
【0018】
本願発明では、触媒としての上記金属粒連鎖体の組成を、ガス分解装置を構成する複数のガス分解素子において異ならせ、これらガス分解素子にガスを順次作用させて分解するように構成される。
【0019】
複数のガス分解素子を直列に配列してガス分解装置を構成する場合、ガスの組成変化に応じて、最大の分解効率を発揮できるように、各ガス分解素子における触媒の濃度や組成を設定するのが好ましい。たとえば、ガスが最初に作用させられるガス分解素子における触媒の配合割合を最大に設定し、後方に配列されるガス分解素子における触媒の配合割合を順次減少するように構成することができる。また、上記と逆に、最初に配列されるガス分解素子における触媒の配合割合を最小に設定し、後方に配列されるガス分解素子における触媒の配合割合を順次増加するように構成することができる。上記各ガス分解素子における上記触媒の配合割合の変化は、分解過程におけるガス濃度や組成の変化に応じて、最も効率よくガスを分解できるように設定される。
【0020】
各ガス分解素子において、配合割合を異ならせる触媒は1種類に限定されることはない。複数の触媒成分の配合割合をガスの濃度変化や組成変化に応じて、各ガス分解素子で異ならせることができる。
【0021】
請求項2記載した発明のように、上記触媒を、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含んで構成し、上記第1の触媒成分と上記第2の触媒成分の配合割合が、ガスの流動方向に段階的に変化するように、上記ガス分解素子を配列してガス分解装置を構成できる。たとえば、上記第1の触媒成分を、ガスの流動方向に向けて配合割合が段階的に減少するように設ける一方、上記第2の触媒成分を、ガスの流動方向に向けて配合割合が段階的に増加するように設けることができる。
【0022】
たとえば、アンモニアガスを分解する場合、分解初期において、アンモニアが窒素分子と水素分子に分解される。その後、上記水素分子がプロトンに分解されて、アノード電極あるいはカソード電極において、酸素と化合して水が生成される。このような場合、アノード電極には、アンモニアガスと水素ガスの混合ガスが作用させられることになる。さらに、上記混合ガスの濃度及び組成が、ガス分解の過程において変化する。すなわち、ガス分解過程の初期にはアンモニアガスの成分割合が多く、ガス分解過程の最終段階では、水素ガスの成分割合が多くなる。したがって、上記混合ガスの成分変化に応じて、触媒の配合割合を、配列されるガス分解素子において段階的に変化させるのが好ましい。
【0023】
アンモニアガスを分解する場合、Ni−Fe合金からなる触媒を採用するのが好ましい。上記Ni触媒は、水素分子を分解する効率が高い。一方、Fe触媒は、アンモニアガスを分解する効率が高い。したがって、ガス分解装置としては、流動初期において、アンモニアガスの分解を促進して水素分子を生成するように構成するのが好ましい。このため、Fe触媒の配合割合を、最初に配列されるガス分解素子において最大に設定するとともに、ガスの流動方向に向けて段階的に減少させるように構成するのが好ましい。一方、最終的には、水素が酸素と化合して水が生成されるものであるため、上記Ni触媒の配合割合を、最初に配列されるガス分解素子において最小に設定するとともに、ガスの流動方向に向けて段階的に増加するように構成するのが好ましい。
【0024】
また、請求項3に記載した発明のように、触媒の種類を異ならせた複数のガス分解素子を含んでガス分解装置を構成できる。たとえば、複数のガス成分から構成されるガスを分解する場合、これらガスに好適な触媒を採用したガス分解素子を所定位置に配列したガス分解装置を構成できる。たとえば、第1のガス成分が、第2のガス成分を分解するための電解質層や電極層を傷める恐れがある場合、第1のガス成分を分解するガス分解素子を、第2のガス成分を分解するガス分解素子の前に配置することができる。また、ガスを精度高く分解する必要がある場合、低い濃度のガスに対しても高い分解効率を発揮できる触媒成分を備えるガス分解素子をガス分解過程の最終段階に配置することができる。
【0025】
また、非常に有毒なガスを除害する場合、一つの触媒では対応できない場合がある。本願発明では、このような有毒なガスを、複数種類の触媒を用いて精度高く除害することも可能となる。
【0026】
各ガス分解素子において、上記配合割合が異なる触媒を設ける部位も特に限定されることはない。請求項4に記載した発明のように、上記触媒を、上記電極層を構成する材料中に配合することができる。
【0027】
また、請求項5に記載した発明のように、上記固体電解質層及び/又は電極層の表面に触媒層を設けるとともに、この触媒層において上記触媒の配合割合を異ならせて設けることもできる。
【0028】
また、請求項6に記載した発明のように、上記電極層に沿って設けられる集電体に触媒を付加するとともに、上記触媒の配合割合を異ならせることもできる。
【0029】
請求項7に記載した発明は、アンモニアガスを含むガスを分解するガス分解装置であって、上記ガスが作用させられる電極に、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含む触媒を設けるとともに、上記第1の触媒成分が、主としてアンモニアガスを分解して水素分子を生成する触媒成分である一方、第2の触媒成分が、主として水素分子を分解してプロトンを生成する触媒成分を採用したものである。
【0030】
アンモニアガスを含むガスを分解する場合、請求項8に記載されているように、上記第1の触媒として、Fe,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成するとともに、上記第2の触媒として、Ni,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成することができる。
【0031】
本願発明は、アンモニアガスを分解するガス分解素子のみならず、他のガスを分解するガス分解装置や、複数のガス成分を含むガスを分解するガス分解装置に適用できる。
【0032】
請求項9に記載した発明は、固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置によってガスを分解するガス分解方法であって、上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成を異ならせた複数のガス分解素子に、上記ガスを順次作用させて分解するものである。
【0033】
請求項10に記載した発明のように、上記ガスとして、複数のガス成分を含むものを分解することができる。
【0034】
請求項11に記載した発明のように、本願発明に係るガス分解装置から、ガス分解発電装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0035】
分解過程で変化するガスの成分に応じた触媒を作用させることが可能となり、ガスの分解効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明に係るガス分解素子の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は図1に示すガス分解素子の要部の拡大断面図である。
【図3】図2におけるIB−IB線に沿う断面図である。
【図4】本願発明に係るガス分解素子の作用を説明する拡大断面図である。
【図5】複数のガス分解素子を備えて構成されるガス分解装置の概略構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係るガス分解装置における第1のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図7】第1の実施形態に係るガス分解装置における第2のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図8】第1の実施形態に係るガス分解装置における第3のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図9】第2の実施形態に係るガス分解装置における第1のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るガス分解装置における第2のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図11】第2の実施形態に係るガス分解装置における第3のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態に係るガス分解装置100は、複数のガス分解素子100a,100b,100cを備えて構成される。図1は、上記ガス分解素子100a(100b,100c)の概要を示す断面図である。本実施形態は、アンモニアガス含むガスを分解して発電を行うガス分解装置100に、本願発明を適用したものである。
【0039】
上記ガス分解素子100aは、内側にガスを流動させて分解する筒状MEA110と、上記筒状MEA110を保持するとともにこの筒状MEAの外周部に空気を流動させることのできる筒状容器109とを備えて構成される。
【0040】
上記筒状MEA110は、上記筒状容器109のガス流入口107とガス流出口108の間に接続されるようにして上記筒状容器109内に保持されている。上記筒状容器109の外周部には、空気を導入する空気流入口117と、上記筒状MEA110の外周部を流動する空気及び生成された水分を排出する排出口118とを備える。
【0041】
上記ガス分解素子100aは、外周部に図示しないヒータが設けられており、上記筒状MEA110及び上記空気が流動する空間Sを所定温度に加熱できるように構成されている。また、上記筒状MEA110の第1の電極層(アノード電極)102と第2の電極層105(カソード電極)の間には、配線111e,112eが設けられており、この配線内に蓄電手段500が設けられる。
【0042】
図2は、上記ガス分解装置100の要部拡大断面図であり、図3は、図2におけるIB−IB線に沿う断面図である。
【0043】
上記筒状MEA110は、円筒状の固体電解質層101と、この固体電解質層101の内面を覆うように形成された第1の電極層(アノード電極)102と、上記固体電解質層101の外面を覆うように形成された第2の電極層(カソード電極)105とを備えて構成されている。上記第1の電極層102及び第2の電極層105には、集電体111,112が設けられている。上記第1の電極層102は燃料極と、また、上記第2の電極層105は空気極と呼ばれる。本実施形態では、筒状MEA110(101,102,105)を採用したが、これに限定されることはなく、平板状の固体電解質層を備えるMEAを組み合わせてガス分解装置を構成することもできる。また、適用する装置に応じて寸法等を設定できる。
【0044】
アノード側集電体111は、銀ペースト塗布層111gと、Niメッシュシート111aと、多孔質金属体111sと、中心導電棒111kとを備えて構成されている。Niメッシュシート111aが、銀ペースト塗布層111gを介して、筒状MEA110の内面側の第1の電極層102に接触して、多孔質金属体111sから中心導電棒111kへと導電するように構成されている。多孔質金属体111sは、アンモニアを含む気体の圧力損失を低減させるために、気孔率を高くできる金属メッキ体、たとえば、セルメット(登録商標:住友電気工業株式会社)を用いるのが好ましい。第1の電極層102とアノード側集電体111との間の電気抵抗を低減させるために、上記銀ペースト塗布層111gとNiメッシュシート111aとが配置されている。
【0045】
カソード側集電体112は、銀ペースト塗布配線112gとNiメッシュシート112aとを備えて構成されている。本実施形態では、Niメッシュシート112aが、筒状MEA110の外面に接触して、外部配線へと導電している。銀ペースト塗布配線112gは、第2の電極層(カソード電極)105における酸素ガスを酸素イオンに分解するのを促進する触媒として作用する銀を含み、かつカソード側集電体112の電気抵抗を低くすることに寄与する。所定の性状の銀ペースト塗布配線112gは、酸素分子を通しながら銀粒子が第2の電極層(カソード電極)105に接触して、第2の電極層(カソード電極)105内に含まれる銀粒子と同等の触媒作用を発現する。
【0046】
図4は、固体電解質層101にプロトン導電性の固体電解質を採用した場合における要部の機能を模式的に表した図である。アンモニアを含む気体は、ガス流入口107から気密性を厳格にした筒状MEA110の内筒、すなわちアノード側集電体111が配置されている空間に導入される。筒状MEA110を用いた場合、内面側にアンモニアを含む気体を通すことから、多孔質金属体111sが用いられる。圧力損失を低くする点から、上述のように、多孔質金属体111sとして、多孔質金属めっき体、たとえば、上述したセルメットを用いることができる。アンモニアを含む気体は、多孔質金属体111s、Niメッシュシート111a、及び多孔質の銀ペースト塗布層111gの空隙を通りながら、アンモニアの一部が熱分解されて、窒素ガスと水素ガスに分解される。
(アノード側集電体における反応):2NH3→N2+3H2
【0047】
上記アンモニアは、上記集電体111を通過して第1の電極層102と接触し、第1の電極層102において、下記のアンモニア分解反応をする。
(アノード反応):2NH3→N2+6H++6e-
また、上記アンモニアが、上記アノード側集電体111を通過する際に熱分解して生成された水素ガスも、上記第1の電極層102においてプロトンに分解される。
(アノード反応):H2→2H++2e-
そして、上記プロトンは、固体電解質層101中を第2の電極層105に向けて移動する。一方、N2は、排気ガスとしてガス流出口108から排出される。
【0048】
すなわち、プロトン導電性の固体電解質層101を用いると、第1の電極層102において、アンモニアが、プロトンと、窒素ガスと、電子に分解される。発生したプロトンは、固体電解質層101中を第2の電極層105へ向けて移動する。プロトンは、酸素イオンと比べて小さいので固体電解質層101中の移動速度が大きく、装置の加熱温度を低く設定することが可能となる。
【0049】
一方、第2の電極層105では、固体電解質層101を移動してきた上記プロトンと空気中の酸素とが反応し、水が生成される。
(カソード反応):4H++O2-+4e-→2H2O
【0050】
上記の電気化学反応の結果、電力が発生し、第1の電極層102と第2の電極層105との間に電位差を生じ、カソード側集電体112からアノード側集電体111へと電流Iが流れる。カソード側集電体112とアノード側集電体111との間に蓄電池500を接続することにより、電力が蓄えられる。また、蓄電池の代わりに、負荷、たとえばこのガス分解素子100aを加熱するための図示しないヒータに接続しておけば、そのための電力を供給することができる。
【0051】
酸素イオン導電性の固体電解質を採用した場合、水を筒状MEA110の内側(アノード電極側)で生成する反応となる。水は、筒状MEA110の出口付近の温度が低い部分では水滴を形成して圧力損失の原因となる場合がある。これに対して、本実施形態のようにプロトン導電性の固体電解質を用いると、プロトンと酸素分子と電子とが、外側(カソード側)で反応して水を生成する。外側はほぼ開放されているので、出口側の温度の低い箇所で水滴となって付着しても圧力損失を生じにくい。
【0052】
<固体電解質層>
上記固体電解質層101として、BYZ(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)から形成されたものを採用するのが好ましい。BYZは、低い作動温度においてプロトン伝導率が高く、活性化エネルギが低いため、エネルギ効率を高めることができる。また、上記構成によって、反応生成物である水が、外側(第2の電極層側)に生じるため、内側(第1の電極2側)に作用させられるアンモニアガスが、水蒸気により希釈されて反応効率が低下するのを防止することができる。なお、上記BYZの代わりに、BCY(バリウムセレイト)を用いることもできる。
【0053】
<第1の電極層(アノード電極)>
本実施形態に係る第1の電極層102は、表面に酸化層を有し、触媒として機能する金属粒連鎖体と、イオン導電性のセラミックスとを含む焼結体から形成することができる。本実施形態では、上記イオン導電性のセラミックスとして、プロトン導電性のセラミックスが採用される。たとえば、BYZ(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)やBCY(バリウムセレイト)等を採用することができる。アンモニアを分解する場合、金属粒連鎖体の金属として、Ni及びFeを含むものを採用するのが好ましい。また、Ni−Co,Co−Fe,Ni−Ru,Ni−W等を含むものを採用することができる。
【0054】
<第2の電極層(カソード電極)>
上記第2の電極層105(カソード電極)として、上記第1の電極層102(アノード電極)を構成する材料と同様に、プロトン導電性を有するセラミックス焼結体を用いて形成することができる。また、プロトンと酸素との反応を促進するため、銀等の触媒を添加することができる。また、分解するガスの種類によって、上記第1の電極層102と同様に、金属粒連鎖体を配合することができる。上記第2の電極層105(カソード電極)も、上記第1の電極層102(アノード電極)と同様の手法により形成することができる。
【0055】
上述したように、本実施形態では、第1の電極層102に、アンモニアガスと水素ガスの混合ガスが作用させられて、上記のように分解される。上記触媒として配合される金属粒連鎖体は、上記混合ガスを分解するのに好適なNi−Fe合金から形成されるが、Feはアンモニアガスの分解効率が高く、一方、Niは水素ガスの分解効率が高い。
【0056】
アンモニアガスは、上記筒状MEAの内側を軸方向に流動させられながら分解される。このため、アンモニアガスと水素ガスからなる混合ガスの濃度は、筒状容器のガス流入口近傍で最も大きく、筒状MEA内を軸方向に流動するにつれて低下し、ガス流出口近傍で最も小さくなる。アンモニアガスは、上記集電体内における分解反応と、第1の電極層102(アノード電極)における分解反応が同時に進行するため、上記ガス流入口からガス流出口に向かって減少する。一方、集電体内でアンモニアガスが分解された後水素ガスが分解されるまで、ある程度の時間差があるため、水素ガスの濃度低下は、アンモニアガスの濃度低下より小さくなる。この結果、ガスの流動初期においては、アンモニアガスの占める成分割合は、水素ガスの占める成分割合より大きくなるが、流動するにつれて水素ガスの占める割合が増加して、ガス流出口近傍では、分解未了のほとんどのガスが水素ガスになる。従来のガス分解素子における上記第1の電極層102は、均一な組成の触媒を配合して構成されていたため、上記アンモニアガスの濃度変化に対応できず、分解性能を高めることができなかった。
【0057】
本実施形態では、図5に示すように、上記ガスの濃度及び成分割合が変化するのに対応して、触媒の配合割合を段階的に異ならせた複数のガス分解素子100a,100b,100cから、ガス分解装置100を構成している。
【0058】
図6から図8は、上記各ガス分解素子100a,100b,100cにおける触媒の配合割合の相異を模式的に示したものである。なお、本実施形態は、各ガス分解素子における第1の電極層102(アノード電極)の触媒の組成を異ならせたものである。これらの図に示すように、ガスが最初に通過させられるガス分解素子100aの第1の電極層102a(アノード電極)おけるFe触媒151の配合割合を最も大きく設定し、第2のガス分解素子100b、第3のガス分解素子100cにおけるFe触媒151の配合割合を段階的に減少させている。一方、Ni触媒152の配合割合は、ガスが最初に通過させられるガス分解素子100aの第1の電極層(アノード電極)102aにおいて最も小さく設定し、上記とは逆に、第2のガス分解素子100b、第3のガス分解素子100cにおける配合割合を段階的に増加させている。
【0059】
上記構成を採用することにより、ガスの分解初期には、アンモニアガスの分解を促進するとともに、流動するにつれて成分割合が増加する水素ガスの分解能力を高めることが可能となる。これにより、複数の筒状MEA内を流動しながら、濃度及び成分比率が変化するガスを効率よく分解することが可能となる。
【0060】
触媒の配合割合が異なる上記第1の電極層102を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば、固体電解質層と電極層とを焼結手法で一体形成する場合、成形工程において電極層における触媒の配合割合を異ならせることができる。各ガス分解素子における上記Ni−Feの配合割合は特に限定されることはない。たとえば、第1のガス分解素子100aにおけるNi−Feの配合割合を1:9とし、第2のガス分解素子100bにおけるNi−Feの配合割合を5:5とし、第3のガス分解素子100cにおけるNi−Feの配合割合を9:1とすることができる。
【0061】
なお、図6〜図8に示す実施形態では、第2の電極層105a,105b,105cにおける触媒の配合割合を変化させていないが、分解するガスの種類や装置の構成に応じて、触媒の配合割合を変化させることができる。
【0062】
また、第1の実施形態では、アノード側集電体111に銀ペーストからなる触媒を設けたが、Ni−Feからなる触媒に置き換えることができる。Ni−Feからなるメッシュシートは、たとえば、Feメッシュシートに、異なる厚みでNiメッキ層を設け、これを加熱して合金化することにより、Ni−Fe成分の配合割合が異なる複合触媒メッシュシートを形成できる。
【0063】
図9から図11に、本願発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、異なる触媒を備える複数のガス分解素子200a,200b,200cを組み合わせて、ガス分解装置200を構成したものである。なお、図9から図11は、図5における各ガス分解素子の要部を模式的に示す図であり、第1の実施形態に係る図6から図8に対応するものである。また、固体電解質層及び第1の電極層以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0064】
上述したように、アンモニアガスを分解するには、Ni−Fe触媒が有効である。一方、上記Ni−Fe触媒がすべてのガスに効果的であるとはいえない。本実施形態では、アンモニアガスとメタンガスとを含む混合ガスに適用できるガス分解装置200に本願発明を適用したものである。
【0065】
本実施形態では、メタンガスを効果的に分解できる第1のガス分解素子200aと、アンモニアガスを効果的に分解できる第2のガス分解素子200bと、主として前置された上記ガス分解素子200bにおいて生成される水素を効果的に分解できる第3のガス分解素子200cとを直列に接続して、図5に示すガス分解装置200を構成している。なお、本実施形態に係るガス分解装置200は、上記組成の異なる触媒を有するガス分解素子を一つずつ備えて構成されているが、それぞれのガス分解素子200a,200b,200cにおいて、触媒の配合割合が異なる複数のガス分解素子をそれぞれ備えて構成することができる。
【0066】
図9に示す第1の筒状MEA210aを備える第1のガス分解素子200aは、YSZ等の酸素イオン導電性の固体電解質層201aを備えるとともに、Ru−Niからなる触媒を含む第1の電極層202a(アノード電極)を採用している。
【0067】
上記第1のガス分解素子200aにおいては、メタンガスの分解効率を高めるため、Ni触媒251に比べて、Ru触媒252の配合割合を高く設定している。たとえば、Ru−Niの配合割合を7:3以上に設定するのが好ましい。上記構成により、第1のガス分解素子200aにおいては、上記混合ガス成分のうち、主としてメタンガスを効率的に分解できるように構成している。第1のガス分解素子200aにおける第1の電極層202a(アノード電極)における反応は下記のとおりである。
(アノード電極反応):CH4+4O2-→2H2O+CO2+8e-
第1の電極層202aにおける上記アノード反応によって生成される水蒸気2H2O及び炭酸ガスCO2は、他のガス分解素子を通過後に、大気へ排出される。
なお、触媒を有する集電体を設けることにより、
6CH4→+4C6H2+9H2
CH4→C+2H2
のように、水素を生成する反応を生じさせてから第1の電極層に作用させることもできる。
【0068】
第2の電極層205a(カソード電極)では、上記アノード反応に用いられる酸素イオンO2-が空気から生成され、固体電解質層201a中を第1の電極層202a(アノード電極)に向けて移動させられる。
(カソード反応):2O2+8e-→4O2-
上記構成を採用することにより、第1のガス分解素子200aにおいて、主としてメタンガスを効率よく分解することができる。
【0069】
また、BYZ等のプロトン導電性の固体電解質を用いてガス分解素子を形成した場合、第1の電極層において、
(アノード反応)
CH4→C+2H2
2H2→4H++4e-
が生じる。
上記アノード反応によって生成された水素イオンが固体電解質層内を第2の電極層に移動させられる。第2の電極層では、
(カソード反応)
4H++O2+4e-→2H2O
が生じ、上記カソード反応によって生成された水蒸気は、大気へ放出される。
【0070】
図10に示す第2の筒状MEA210bを備える第2のガス分解素子200bは、第1の実施形態と同様に、アンモニアガスを分解するために設けられるものであり、第1の実施形態と同様に、Fe−Niからなる触媒を含む第1の電極層202b(アノード電極)が採用されている。上記アンモニアガスを効率よく分解するために、Fe触媒251の配合割合を、Ni触媒253の配合割合より高く設定している。本実施形態では、Fe−Niの配合割合を7:3以上に設定するのが好ましい。
【0071】
上記第2のガス分解素子200bにおいては、上述した第1の実施形態と同様にして、アンモニアガスが分解される。なお、Fe−Niの配合割合を7:3以上に設定したため、水素ガスの分解を充分に行うことができない。このため、水素ガスを効率よく分解するために、図11に示す第3のガス分解素子200cを設けている。
【0072】
上記第3のガス分解素子200cの第1の電極層202cは、Fe−Niの配合割合を9:1に設定している。上記構成を採用することにより、上記第1のガス分解素子200a及び第2のガス分解素子200bにおいて分解しきれなかった水素ガスを効率よく分解することができる。
【0073】
上記構成を採用することにより、メタンガスとアンモニアガスを含む混合ガスを効率よく分解することが可能となる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、アンモニアガスとメタンガスを含む混合ガスの分解に、本願発明に係るガス分解素子を適用したが、他のガスを分解するガス分解装置にも適用できる。
【0075】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
流動しながら濃度や組成が変化するガスを効率よく分解して除害できるとともに、分解反応を利用して効率よく発電を行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
100 ガス分解装置
100a 第1のガス分解素子
100b 第2のガス分解素子
100c 第3のガス分解素子
110a 第1の筒状MEA
110b 第2の筒状MEA
110c 第3の筒状MEA
102a 第1の電極層(アノード電極)
102b 第1の電極層(アノード電極)
102c 第1の電極層(アノード電極)
105a 第2の電極層(カソード電極)
105b 第2の電極層(カソード電極)
105c 第2の電極層(カソード電極)
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガス分解装置、ガス分解方法及びガス分解発電装置に関する。詳しくは、ガス分解過程におけるガスの濃度変化やガスの組成変化等に対応して、効率よくガスを分解できるガス分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、し尿処理や堆肥製造工程において生じるバイオガス(揮発性有機化合物)には、種々のガス成分が含まれる。たとえば、悪臭の原因となるガス成分として、アンモニアガスが含まれる場合が多い。
【0003】
上記アンモニアガスは、悪臭を発するだけでなく人体にも有害であるため、外気にそのまま放出することはできない。このため、アンモニアガスを分離して、次亜臭素酸溶液や硫酸と接触させて処理する手法(特許文献1)や、触媒を用いて燃焼処理する手法(特許文献2)が採用されることが多い。
【0004】
上記特許文献1に記載されているような薬品を用いる手法や、特許文献2に記載されているような燃焼処理する手法によって、アンモニアガスを分解して無害化することができる。しかし、これら手法では、薬品や外部エネルギを必要とすることから、ランニングコストが大きくなるという問題がある。また、燃焼する手法を採用すると、NOXやCO2が生成されて、環境に悪影響を与える恐れもある。
【0005】
上記問題を解消する手法として、特許文献3に記載されているような固体電解質を備えるガス分解素子を用いてガスを電気化学的に分解して除害する手法が提案されている。上記手法を用いることにより、有害ガスが生成されることがなく、装置を小型化できるとともに、ランニングコストを低く抑えることが可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開平7−31966号公報
【特許文献2】特開平7−116650号公報
【特許文献3】特開2010−247033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記固体電解質を用いてガスを分解する場合、ガスは、アノード電極に沿うようにして流動させられながら分解される。このため、分解対象となるガスの濃度は、固体電解質層に沿う流動距離に応じて低下することになる。
【0008】
従来、上記触媒は、ガスが流動して接触させられるアノード電極の全体に一定割合で、均一に配合されていた。ところが、ガスは分解されるにつれて濃度が低下し、あるいは組成が変化する。このため、流動にともなって変化するガス濃度等に応じて、最適な配合量や組成を有する触媒を作用させることができない。したがって、ガス分解素子(MEA)の能力を最大限に発揮させているとはいえなかった。
【0009】
たとえば、アンモニアガスを、上記固体電解質層を備えるガス分解素子で分解する場合、アンモニアガス(NH3)の一部が、アノード電極表面ないし近傍において次のように分解される。
<アノード反応>
2NH3→N2+3H2
上記N2は、排気として排出される。上記H2は、酸素導電性の固体電解質を採用した場合は、アノードにおいて酸素と化合して水が生成される。一方、プロトン導電性の固体電解質を採用した場合、上記H2がアノードにおいてさらに分解されてプロトンH+と電子e-が生成され、上記プロトンH+が固体電解質中をカソードに向けて移動させられ、カソードにおいて酸素と化合して水が生成される。
【0010】
すなわち、ガス分解素子のアノード電極には、水素ガスとアンモニアガスとが混合されたガスが作用させられることになる。また、ガスの分解効率を高めるため、前工程において、アンモニアガスを加熱して、アンモニアガスの一部を水素化する手法も採用される。
【0011】
上記水素ガスとアンモニアガスを含むガスを分解する触媒成分として、Ni−Feからなる触媒を採用することが多い。ところが、上記Ni−Feからなる触媒のうち、アンモニアガスを分解する効率はFe触媒の方が高く、一方、水素ガスを分解して水を生成し、あるいはプロトンを生成する効率はNi触媒の方が高い。従来のガス分解装置では、所定の配合割合を有するNi−Fe触媒が、アノード電極全域に均一に配合されていた。このため、ガス分解素子の能力を充分に発揮させているとはいえなかった。
【0012】
また、し尿処理や堆肥製造工程において生じるバイオガスには、上述したアンモニアガスの他、種々のガス成分が含まれる場合が多い。アンモニアガスと他のガス成分が含まれる混合ガスを分解する場合、上述したアンモニアガス用の触媒では、アンモニアガス以外のガスを充分に分解できない場合がある。また、これらガス成分が無害である場合には、そのまま大気に放出することができるが、有害である場合やアンモニアガスの分解に悪影響を与える場合には除去する必要がある。たとえば、H2Sは人体に有害であり、また水蒸気が共存すると、ガス分解装置の性能低下を引き起こす。したがって、これらガスをアンモニアガス分解素子に作用する前に除去するのが好ましい。
【0013】
本願発明は、上述した問題を解決し、分解過程のガス濃度の変化や組成の変化等に対応して、最適な触媒を採用させることにより、ガスの分解効率を高めたガス分解装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の請求項1に記載した発明は、固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置であって、上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成が、上記ガス分解素子によって異なるように構成されているとともに、上記複数のガス分解素子に、ガスを順次作用させて分解するように構成されているものである。
【0015】
本願発明が適用される分解対象ガスの種類は、特に限定されることはない。固体電解質の種類、触媒の種類を選定して組み合わせることにより種々のガスに適用できる。たとえば、アンモニア、メタン、メチルメルカプタン、アルデヒド等の炭化水素系ガス等を含む種々のガスに適用できる。また、分解対象とすべきガス成分が複数含まれるガスに対しても適用できる。
【0016】
上記固体電解質層を構成する材料も特に限定されることはない。たとえば、固体酸化物、固体高分子等を備える複数種類のガス分解素子を組み合わせてガス分解装置を構成できる。固体酸化物からなる固体電解質層を作用する場合、酸素イオン導電性の、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)、SDC(サマリウム安定化ジルコニア)、LSGM(ランタンガレート)、GDC(ガドリア安定化セリア)等を採用することができる。また、BYZ(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)やBCY(バリウムセレイト)等からなるプロトン導電性の固体電解質層を採用することができる。BYZは、低い作動温度においてプロトン伝導率が高く、活性化エネルギが低いため、エネルギ効率を高めることができる。また、反応生成物である水が、外側(第2の電極層側)に生じるため、内側(第1の電極層側)に作用させられるアンモニアガスが、水蒸気により希釈されて反応効率が低下するのを防止することができる。また、各ガス成分に対応した固体電解質を備えて構成される複数のガス分解素子を組み合わせてガス分解装置を構成するのが好ましい。
【0017】
上記第1の電極層と上記第2の電極層の一方の電極層が燃料側のアノード電極として機能し、他方の電極層がカソード電極として機能する。上記電極層は、ガス成分の種類や濃度に応じて、所要の濃度及び組成を有する触媒を設けることができれば、上記電極層を構成する材料は特に限定されることはない。たとえば、酸素イオン導電性の固体電解質層を採用する場合、アノード電極を、表面酸化された酸化層を有する触媒としての金属粒連鎖体と、酸素イオン導電性セラミック(SSZ,YSZ等)とを主成分とする焼結体から形成することができる。また、プロトン導電性の固体電解質層を採用する場合、アノード電極を、表面酸化された酸化層を有する触媒としての金属粒連鎖体と、プロトン導電性のセラミック(BYZ,BCY等)とを主成分とする焼結体から形成することができる。たとえば、アノード電極を、Fe,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成することができる。一方、上記カソード電極に採用される第2の触媒を、Ni,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成することができる。
【0018】
本願発明では、触媒としての上記金属粒連鎖体の組成を、ガス分解装置を構成する複数のガス分解素子において異ならせ、これらガス分解素子にガスを順次作用させて分解するように構成される。
【0019】
複数のガス分解素子を直列に配列してガス分解装置を構成する場合、ガスの組成変化に応じて、最大の分解効率を発揮できるように、各ガス分解素子における触媒の濃度や組成を設定するのが好ましい。たとえば、ガスが最初に作用させられるガス分解素子における触媒の配合割合を最大に設定し、後方に配列されるガス分解素子における触媒の配合割合を順次減少するように構成することができる。また、上記と逆に、最初に配列されるガス分解素子における触媒の配合割合を最小に設定し、後方に配列されるガス分解素子における触媒の配合割合を順次増加するように構成することができる。上記各ガス分解素子における上記触媒の配合割合の変化は、分解過程におけるガス濃度や組成の変化に応じて、最も効率よくガスを分解できるように設定される。
【0020】
各ガス分解素子において、配合割合を異ならせる触媒は1種類に限定されることはない。複数の触媒成分の配合割合をガスの濃度変化や組成変化に応じて、各ガス分解素子で異ならせることができる。
【0021】
請求項2記載した発明のように、上記触媒を、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含んで構成し、上記第1の触媒成分と上記第2の触媒成分の配合割合が、ガスの流動方向に段階的に変化するように、上記ガス分解素子を配列してガス分解装置を構成できる。たとえば、上記第1の触媒成分を、ガスの流動方向に向けて配合割合が段階的に減少するように設ける一方、上記第2の触媒成分を、ガスの流動方向に向けて配合割合が段階的に増加するように設けることができる。
【0022】
たとえば、アンモニアガスを分解する場合、分解初期において、アンモニアが窒素分子と水素分子に分解される。その後、上記水素分子がプロトンに分解されて、アノード電極あるいはカソード電極において、酸素と化合して水が生成される。このような場合、アノード電極には、アンモニアガスと水素ガスの混合ガスが作用させられることになる。さらに、上記混合ガスの濃度及び組成が、ガス分解の過程において変化する。すなわち、ガス分解過程の初期にはアンモニアガスの成分割合が多く、ガス分解過程の最終段階では、水素ガスの成分割合が多くなる。したがって、上記混合ガスの成分変化に応じて、触媒の配合割合を、配列されるガス分解素子において段階的に変化させるのが好ましい。
【0023】
アンモニアガスを分解する場合、Ni−Fe合金からなる触媒を採用するのが好ましい。上記Ni触媒は、水素分子を分解する効率が高い。一方、Fe触媒は、アンモニアガスを分解する効率が高い。したがって、ガス分解装置としては、流動初期において、アンモニアガスの分解を促進して水素分子を生成するように構成するのが好ましい。このため、Fe触媒の配合割合を、最初に配列されるガス分解素子において最大に設定するとともに、ガスの流動方向に向けて段階的に減少させるように構成するのが好ましい。一方、最終的には、水素が酸素と化合して水が生成されるものであるため、上記Ni触媒の配合割合を、最初に配列されるガス分解素子において最小に設定するとともに、ガスの流動方向に向けて段階的に増加するように構成するのが好ましい。
【0024】
また、請求項3に記載した発明のように、触媒の種類を異ならせた複数のガス分解素子を含んでガス分解装置を構成できる。たとえば、複数のガス成分から構成されるガスを分解する場合、これらガスに好適な触媒を採用したガス分解素子を所定位置に配列したガス分解装置を構成できる。たとえば、第1のガス成分が、第2のガス成分を分解するための電解質層や電極層を傷める恐れがある場合、第1のガス成分を分解するガス分解素子を、第2のガス成分を分解するガス分解素子の前に配置することができる。また、ガスを精度高く分解する必要がある場合、低い濃度のガスに対しても高い分解効率を発揮できる触媒成分を備えるガス分解素子をガス分解過程の最終段階に配置することができる。
【0025】
また、非常に有毒なガスを除害する場合、一つの触媒では対応できない場合がある。本願発明では、このような有毒なガスを、複数種類の触媒を用いて精度高く除害することも可能となる。
【0026】
各ガス分解素子において、上記配合割合が異なる触媒を設ける部位も特に限定されることはない。請求項4に記載した発明のように、上記触媒を、上記電極層を構成する材料中に配合することができる。
【0027】
また、請求項5に記載した発明のように、上記固体電解質層及び/又は電極層の表面に触媒層を設けるとともに、この触媒層において上記触媒の配合割合を異ならせて設けることもできる。
【0028】
また、請求項6に記載した発明のように、上記電極層に沿って設けられる集電体に触媒を付加するとともに、上記触媒の配合割合を異ならせることもできる。
【0029】
請求項7に記載した発明は、アンモニアガスを含むガスを分解するガス分解装置であって、上記ガスが作用させられる電極に、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含む触媒を設けるとともに、上記第1の触媒成分が、主としてアンモニアガスを分解して水素分子を生成する触媒成分である一方、第2の触媒成分が、主として水素分子を分解してプロトンを生成する触媒成分を採用したものである。
【0030】
アンモニアガスを含むガスを分解する場合、請求項8に記載されているように、上記第1の触媒として、Fe,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成するとともに、上記第2の触媒として、Ni,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成することができる。
【0031】
本願発明は、アンモニアガスを分解するガス分解素子のみならず、他のガスを分解するガス分解装置や、複数のガス成分を含むガスを分解するガス分解装置に適用できる。
【0032】
請求項9に記載した発明は、固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置によってガスを分解するガス分解方法であって、上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成を異ならせた複数のガス分解素子に、上記ガスを順次作用させて分解するものである。
【0033】
請求項10に記載した発明のように、上記ガスとして、複数のガス成分を含むものを分解することができる。
【0034】
請求項11に記載した発明のように、本願発明に係るガス分解装置から、ガス分解発電装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0035】
分解過程で変化するガスの成分に応じた触媒を作用させることが可能となり、ガスの分解効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明に係るガス分解素子の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2は図1に示すガス分解素子の要部の拡大断面図である。
【図3】図2におけるIB−IB線に沿う断面図である。
【図4】本願発明に係るガス分解素子の作用を説明する拡大断面図である。
【図5】複数のガス分解素子を備えて構成されるガス分解装置の概略構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係るガス分解装置における第1のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図7】第1の実施形態に係るガス分解装置における第2のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図8】第1の実施形態に係るガス分解装置における第3のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図9】第2の実施形態に係るガス分解装置における第1のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るガス分解装置における第2のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【図11】第2の実施形態に係るガス分解装置における第3のガス分解素子の要部拡大断面図であり、触媒成分の配合割合を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0038】
図5に示すように、本実施形態に係るガス分解装置100は、複数のガス分解素子100a,100b,100cを備えて構成される。図1は、上記ガス分解素子100a(100b,100c)の概要を示す断面図である。本実施形態は、アンモニアガス含むガスを分解して発電を行うガス分解装置100に、本願発明を適用したものである。
【0039】
上記ガス分解素子100aは、内側にガスを流動させて分解する筒状MEA110と、上記筒状MEA110を保持するとともにこの筒状MEAの外周部に空気を流動させることのできる筒状容器109とを備えて構成される。
【0040】
上記筒状MEA110は、上記筒状容器109のガス流入口107とガス流出口108の間に接続されるようにして上記筒状容器109内に保持されている。上記筒状容器109の外周部には、空気を導入する空気流入口117と、上記筒状MEA110の外周部を流動する空気及び生成された水分を排出する排出口118とを備える。
【0041】
上記ガス分解素子100aは、外周部に図示しないヒータが設けられており、上記筒状MEA110及び上記空気が流動する空間Sを所定温度に加熱できるように構成されている。また、上記筒状MEA110の第1の電極層(アノード電極)102と第2の電極層105(カソード電極)の間には、配線111e,112eが設けられており、この配線内に蓄電手段500が設けられる。
【0042】
図2は、上記ガス分解装置100の要部拡大断面図であり、図3は、図2におけるIB−IB線に沿う断面図である。
【0043】
上記筒状MEA110は、円筒状の固体電解質層101と、この固体電解質層101の内面を覆うように形成された第1の電極層(アノード電極)102と、上記固体電解質層101の外面を覆うように形成された第2の電極層(カソード電極)105とを備えて構成されている。上記第1の電極層102及び第2の電極層105には、集電体111,112が設けられている。上記第1の電極層102は燃料極と、また、上記第2の電極層105は空気極と呼ばれる。本実施形態では、筒状MEA110(101,102,105)を採用したが、これに限定されることはなく、平板状の固体電解質層を備えるMEAを組み合わせてガス分解装置を構成することもできる。また、適用する装置に応じて寸法等を設定できる。
【0044】
アノード側集電体111は、銀ペースト塗布層111gと、Niメッシュシート111aと、多孔質金属体111sと、中心導電棒111kとを備えて構成されている。Niメッシュシート111aが、銀ペースト塗布層111gを介して、筒状MEA110の内面側の第1の電極層102に接触して、多孔質金属体111sから中心導電棒111kへと導電するように構成されている。多孔質金属体111sは、アンモニアを含む気体の圧力損失を低減させるために、気孔率を高くできる金属メッキ体、たとえば、セルメット(登録商標:住友電気工業株式会社)を用いるのが好ましい。第1の電極層102とアノード側集電体111との間の電気抵抗を低減させるために、上記銀ペースト塗布層111gとNiメッシュシート111aとが配置されている。
【0045】
カソード側集電体112は、銀ペースト塗布配線112gとNiメッシュシート112aとを備えて構成されている。本実施形態では、Niメッシュシート112aが、筒状MEA110の外面に接触して、外部配線へと導電している。銀ペースト塗布配線112gは、第2の電極層(カソード電極)105における酸素ガスを酸素イオンに分解するのを促進する触媒として作用する銀を含み、かつカソード側集電体112の電気抵抗を低くすることに寄与する。所定の性状の銀ペースト塗布配線112gは、酸素分子を通しながら銀粒子が第2の電極層(カソード電極)105に接触して、第2の電極層(カソード電極)105内に含まれる銀粒子と同等の触媒作用を発現する。
【0046】
図4は、固体電解質層101にプロトン導電性の固体電解質を採用した場合における要部の機能を模式的に表した図である。アンモニアを含む気体は、ガス流入口107から気密性を厳格にした筒状MEA110の内筒、すなわちアノード側集電体111が配置されている空間に導入される。筒状MEA110を用いた場合、内面側にアンモニアを含む気体を通すことから、多孔質金属体111sが用いられる。圧力損失を低くする点から、上述のように、多孔質金属体111sとして、多孔質金属めっき体、たとえば、上述したセルメットを用いることができる。アンモニアを含む気体は、多孔質金属体111s、Niメッシュシート111a、及び多孔質の銀ペースト塗布層111gの空隙を通りながら、アンモニアの一部が熱分解されて、窒素ガスと水素ガスに分解される。
(アノード側集電体における反応):2NH3→N2+3H2
【0047】
上記アンモニアは、上記集電体111を通過して第1の電極層102と接触し、第1の電極層102において、下記のアンモニア分解反応をする。
(アノード反応):2NH3→N2+6H++6e-
また、上記アンモニアが、上記アノード側集電体111を通過する際に熱分解して生成された水素ガスも、上記第1の電極層102においてプロトンに分解される。
(アノード反応):H2→2H++2e-
そして、上記プロトンは、固体電解質層101中を第2の電極層105に向けて移動する。一方、N2は、排気ガスとしてガス流出口108から排出される。
【0048】
すなわち、プロトン導電性の固体電解質層101を用いると、第1の電極層102において、アンモニアが、プロトンと、窒素ガスと、電子に分解される。発生したプロトンは、固体電解質層101中を第2の電極層105へ向けて移動する。プロトンは、酸素イオンと比べて小さいので固体電解質層101中の移動速度が大きく、装置の加熱温度を低く設定することが可能となる。
【0049】
一方、第2の電極層105では、固体電解質層101を移動してきた上記プロトンと空気中の酸素とが反応し、水が生成される。
(カソード反応):4H++O2-+4e-→2H2O
【0050】
上記の電気化学反応の結果、電力が発生し、第1の電極層102と第2の電極層105との間に電位差を生じ、カソード側集電体112からアノード側集電体111へと電流Iが流れる。カソード側集電体112とアノード側集電体111との間に蓄電池500を接続することにより、電力が蓄えられる。また、蓄電池の代わりに、負荷、たとえばこのガス分解素子100aを加熱するための図示しないヒータに接続しておけば、そのための電力を供給することができる。
【0051】
酸素イオン導電性の固体電解質を採用した場合、水を筒状MEA110の内側(アノード電極側)で生成する反応となる。水は、筒状MEA110の出口付近の温度が低い部分では水滴を形成して圧力損失の原因となる場合がある。これに対して、本実施形態のようにプロトン導電性の固体電解質を用いると、プロトンと酸素分子と電子とが、外側(カソード側)で反応して水を生成する。外側はほぼ開放されているので、出口側の温度の低い箇所で水滴となって付着しても圧力損失を生じにくい。
【0052】
<固体電解質層>
上記固体電解質層101として、BYZ(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)から形成されたものを採用するのが好ましい。BYZは、低い作動温度においてプロトン伝導率が高く、活性化エネルギが低いため、エネルギ効率を高めることができる。また、上記構成によって、反応生成物である水が、外側(第2の電極層側)に生じるため、内側(第1の電極2側)に作用させられるアンモニアガスが、水蒸気により希釈されて反応効率が低下するのを防止することができる。なお、上記BYZの代わりに、BCY(バリウムセレイト)を用いることもできる。
【0053】
<第1の電極層(アノード電極)>
本実施形態に係る第1の電極層102は、表面に酸化層を有し、触媒として機能する金属粒連鎖体と、イオン導電性のセラミックスとを含む焼結体から形成することができる。本実施形態では、上記イオン導電性のセラミックスとして、プロトン導電性のセラミックスが採用される。たとえば、BYZ(イットリウム添加ジルコン酸バリウム)やBCY(バリウムセレイト)等を採用することができる。アンモニアを分解する場合、金属粒連鎖体の金属として、Ni及びFeを含むものを採用するのが好ましい。また、Ni−Co,Co−Fe,Ni−Ru,Ni−W等を含むものを採用することができる。
【0054】
<第2の電極層(カソード電極)>
上記第2の電極層105(カソード電極)として、上記第1の電極層102(アノード電極)を構成する材料と同様に、プロトン導電性を有するセラミックス焼結体を用いて形成することができる。また、プロトンと酸素との反応を促進するため、銀等の触媒を添加することができる。また、分解するガスの種類によって、上記第1の電極層102と同様に、金属粒連鎖体を配合することができる。上記第2の電極層105(カソード電極)も、上記第1の電極層102(アノード電極)と同様の手法により形成することができる。
【0055】
上述したように、本実施形態では、第1の電極層102に、アンモニアガスと水素ガスの混合ガスが作用させられて、上記のように分解される。上記触媒として配合される金属粒連鎖体は、上記混合ガスを分解するのに好適なNi−Fe合金から形成されるが、Feはアンモニアガスの分解効率が高く、一方、Niは水素ガスの分解効率が高い。
【0056】
アンモニアガスは、上記筒状MEAの内側を軸方向に流動させられながら分解される。このため、アンモニアガスと水素ガスからなる混合ガスの濃度は、筒状容器のガス流入口近傍で最も大きく、筒状MEA内を軸方向に流動するにつれて低下し、ガス流出口近傍で最も小さくなる。アンモニアガスは、上記集電体内における分解反応と、第1の電極層102(アノード電極)における分解反応が同時に進行するため、上記ガス流入口からガス流出口に向かって減少する。一方、集電体内でアンモニアガスが分解された後水素ガスが分解されるまで、ある程度の時間差があるため、水素ガスの濃度低下は、アンモニアガスの濃度低下より小さくなる。この結果、ガスの流動初期においては、アンモニアガスの占める成分割合は、水素ガスの占める成分割合より大きくなるが、流動するにつれて水素ガスの占める割合が増加して、ガス流出口近傍では、分解未了のほとんどのガスが水素ガスになる。従来のガス分解素子における上記第1の電極層102は、均一な組成の触媒を配合して構成されていたため、上記アンモニアガスの濃度変化に対応できず、分解性能を高めることができなかった。
【0057】
本実施形態では、図5に示すように、上記ガスの濃度及び成分割合が変化するのに対応して、触媒の配合割合を段階的に異ならせた複数のガス分解素子100a,100b,100cから、ガス分解装置100を構成している。
【0058】
図6から図8は、上記各ガス分解素子100a,100b,100cにおける触媒の配合割合の相異を模式的に示したものである。なお、本実施形態は、各ガス分解素子における第1の電極層102(アノード電極)の触媒の組成を異ならせたものである。これらの図に示すように、ガスが最初に通過させられるガス分解素子100aの第1の電極層102a(アノード電極)おけるFe触媒151の配合割合を最も大きく設定し、第2のガス分解素子100b、第3のガス分解素子100cにおけるFe触媒151の配合割合を段階的に減少させている。一方、Ni触媒152の配合割合は、ガスが最初に通過させられるガス分解素子100aの第1の電極層(アノード電極)102aにおいて最も小さく設定し、上記とは逆に、第2のガス分解素子100b、第3のガス分解素子100cにおける配合割合を段階的に増加させている。
【0059】
上記構成を採用することにより、ガスの分解初期には、アンモニアガスの分解を促進するとともに、流動するにつれて成分割合が増加する水素ガスの分解能力を高めることが可能となる。これにより、複数の筒状MEA内を流動しながら、濃度及び成分比率が変化するガスを効率よく分解することが可能となる。
【0060】
触媒の配合割合が異なる上記第1の電極層102を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば、固体電解質層と電極層とを焼結手法で一体形成する場合、成形工程において電極層における触媒の配合割合を異ならせることができる。各ガス分解素子における上記Ni−Feの配合割合は特に限定されることはない。たとえば、第1のガス分解素子100aにおけるNi−Feの配合割合を1:9とし、第2のガス分解素子100bにおけるNi−Feの配合割合を5:5とし、第3のガス分解素子100cにおけるNi−Feの配合割合を9:1とすることができる。
【0061】
なお、図6〜図8に示す実施形態では、第2の電極層105a,105b,105cにおける触媒の配合割合を変化させていないが、分解するガスの種類や装置の構成に応じて、触媒の配合割合を変化させることができる。
【0062】
また、第1の実施形態では、アノード側集電体111に銀ペーストからなる触媒を設けたが、Ni−Feからなる触媒に置き換えることができる。Ni−Feからなるメッシュシートは、たとえば、Feメッシュシートに、異なる厚みでNiメッキ層を設け、これを加熱して合金化することにより、Ni−Fe成分の配合割合が異なる複合触媒メッシュシートを形成できる。
【0063】
図9から図11に、本願発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、異なる触媒を備える複数のガス分解素子200a,200b,200cを組み合わせて、ガス分解装置200を構成したものである。なお、図9から図11は、図5における各ガス分解素子の要部を模式的に示す図であり、第1の実施形態に係る図6から図8に対応するものである。また、固体電解質層及び第1の電極層以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0064】
上述したように、アンモニアガスを分解するには、Ni−Fe触媒が有効である。一方、上記Ni−Fe触媒がすべてのガスに効果的であるとはいえない。本実施形態では、アンモニアガスとメタンガスとを含む混合ガスに適用できるガス分解装置200に本願発明を適用したものである。
【0065】
本実施形態では、メタンガスを効果的に分解できる第1のガス分解素子200aと、アンモニアガスを効果的に分解できる第2のガス分解素子200bと、主として前置された上記ガス分解素子200bにおいて生成される水素を効果的に分解できる第3のガス分解素子200cとを直列に接続して、図5に示すガス分解装置200を構成している。なお、本実施形態に係るガス分解装置200は、上記組成の異なる触媒を有するガス分解素子を一つずつ備えて構成されているが、それぞれのガス分解素子200a,200b,200cにおいて、触媒の配合割合が異なる複数のガス分解素子をそれぞれ備えて構成することができる。
【0066】
図9に示す第1の筒状MEA210aを備える第1のガス分解素子200aは、YSZ等の酸素イオン導電性の固体電解質層201aを備えるとともに、Ru−Niからなる触媒を含む第1の電極層202a(アノード電極)を採用している。
【0067】
上記第1のガス分解素子200aにおいては、メタンガスの分解効率を高めるため、Ni触媒251に比べて、Ru触媒252の配合割合を高く設定している。たとえば、Ru−Niの配合割合を7:3以上に設定するのが好ましい。上記構成により、第1のガス分解素子200aにおいては、上記混合ガス成分のうち、主としてメタンガスを効率的に分解できるように構成している。第1のガス分解素子200aにおける第1の電極層202a(アノード電極)における反応は下記のとおりである。
(アノード電極反応):CH4+4O2-→2H2O+CO2+8e-
第1の電極層202aにおける上記アノード反応によって生成される水蒸気2H2O及び炭酸ガスCO2は、他のガス分解素子を通過後に、大気へ排出される。
なお、触媒を有する集電体を設けることにより、
6CH4→+4C6H2+9H2
CH4→C+2H2
のように、水素を生成する反応を生じさせてから第1の電極層に作用させることもできる。
【0068】
第2の電極層205a(カソード電極)では、上記アノード反応に用いられる酸素イオンO2-が空気から生成され、固体電解質層201a中を第1の電極層202a(アノード電極)に向けて移動させられる。
(カソード反応):2O2+8e-→4O2-
上記構成を採用することにより、第1のガス分解素子200aにおいて、主としてメタンガスを効率よく分解することができる。
【0069】
また、BYZ等のプロトン導電性の固体電解質を用いてガス分解素子を形成した場合、第1の電極層において、
(アノード反応)
CH4→C+2H2
2H2→4H++4e-
が生じる。
上記アノード反応によって生成された水素イオンが固体電解質層内を第2の電極層に移動させられる。第2の電極層では、
(カソード反応)
4H++O2+4e-→2H2O
が生じ、上記カソード反応によって生成された水蒸気は、大気へ放出される。
【0070】
図10に示す第2の筒状MEA210bを備える第2のガス分解素子200bは、第1の実施形態と同様に、アンモニアガスを分解するために設けられるものであり、第1の実施形態と同様に、Fe−Niからなる触媒を含む第1の電極層202b(アノード電極)が採用されている。上記アンモニアガスを効率よく分解するために、Fe触媒251の配合割合を、Ni触媒253の配合割合より高く設定している。本実施形態では、Fe−Niの配合割合を7:3以上に設定するのが好ましい。
【0071】
上記第2のガス分解素子200bにおいては、上述した第1の実施形態と同様にして、アンモニアガスが分解される。なお、Fe−Niの配合割合を7:3以上に設定したため、水素ガスの分解を充分に行うことができない。このため、水素ガスを効率よく分解するために、図11に示す第3のガス分解素子200cを設けている。
【0072】
上記第3のガス分解素子200cの第1の電極層202cは、Fe−Niの配合割合を9:1に設定している。上記構成を採用することにより、上記第1のガス分解素子200a及び第2のガス分解素子200bにおいて分解しきれなかった水素ガスを効率よく分解することができる。
【0073】
上記構成を採用することにより、メタンガスとアンモニアガスを含む混合ガスを効率よく分解することが可能となる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、アンモニアガスとメタンガスを含む混合ガスの分解に、本願発明に係るガス分解素子を適用したが、他のガスを分解するガス分解装置にも適用できる。
【0075】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
流動しながら濃度や組成が変化するガスを効率よく分解して除害できるとともに、分解反応を利用して効率よく発電を行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
100 ガス分解装置
100a 第1のガス分解素子
100b 第2のガス分解素子
100c 第3のガス分解素子
110a 第1の筒状MEA
110b 第2の筒状MEA
110c 第3の筒状MEA
102a 第1の電極層(アノード電極)
102b 第1の電極層(アノード電極)
102c 第1の電極層(アノード電極)
105a 第2の電極層(カソード電極)
105b 第2の電極層(カソード電極)
105c 第2の電極層(カソード電極)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置であって、
上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成が、上記ガス分解素子によって異なるように構成されているとともに、
上記複数のガス分解素子に、ガスを順次作用させて分解するように構成されている、ガス分解装置。
【請求項2】
上記触媒は、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含んで構成されるとともに、
上記第1の触媒成分と上記第2の触媒成分の配合割合が、ガスの流動方向に段階的に変化するように上記ガス分解素子を配列した、請求項1に記載のガス分解装置。
【請求項3】
触媒の種類を異ならせた複数のガス分解素子を含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガス分解装置。
【請求項4】
上記電極層を構成する材料中に上記触媒が配合されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項5】
上記固体電解質層及び/又は電極層の表面に、上記触媒を含む触媒層が設けられている、請求項1から請求項4のいずれかに記載のガス分解装置。
【請求項6】
上記電極層に沿って設けられる集電体に、上記触媒が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項7】
アンモニアを含むガスを分解するガス分解装置であって、
上記ガスが作用させられる電極に、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含む触媒を設けるとともに、
上記第1の触媒成分が、主としてアンモニアを分解して水素分子を生成する触媒成分である一方、
第2の触媒成分が、主として水素分子を分解してプロトンを生成する触媒成分である、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項8】
上記第1の触媒が、Fe,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成されるとともに、
上記第2の触媒が、Ni,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分である、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項9】
固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置によってガスを分解するガス分解方法であって、
上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成を異ならせた複数のガス分解素子に、上記ガスを順次作用させて分解する、ガス分解方法。
【請求項10】
上記ガスが、複数のガス成分を含む、請求項9に記載のガス分解方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のガス分解素子を備えて構成される、ガス分解発電装置。
【請求項1】
固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置であって、
上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成が、上記ガス分解素子によって異なるように構成されているとともに、
上記複数のガス分解素子に、ガスを順次作用させて分解するように構成されている、ガス分解装置。
【請求項2】
上記触媒は、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含んで構成されるとともに、
上記第1の触媒成分と上記第2の触媒成分の配合割合が、ガスの流動方向に段階的に変化するように上記ガス分解素子を配列した、請求項1に記載のガス分解装置。
【請求項3】
触媒の種類を異ならせた複数のガス分解素子を含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガス分解装置。
【請求項4】
上記電極層を構成する材料中に上記触媒が配合されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項5】
上記固体電解質層及び/又は電極層の表面に、上記触媒を含む触媒層が設けられている、請求項1から請求項4のいずれかに記載のガス分解装置。
【請求項6】
上記電極層に沿って設けられる集電体に、上記触媒が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項7】
アンモニアを含むガスを分解するガス分解装置であって、
上記ガスが作用させられる電極に、第1の触媒成分と第2の触媒成分とを含む触媒を設けるとともに、
上記第1の触媒成分が、主としてアンモニアを分解して水素分子を生成する触媒成分である一方、
第2の触媒成分が、主として水素分子を分解してプロトンを生成する触媒成分である、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項8】
上記第1の触媒が、Fe,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分を含んで構成されるとともに、
上記第2の触媒が、Ni,Co,Ti,Mo,W,Mn,Ru,Cuから選ばれた少なくとも1の触媒成分である、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項9】
固体電解質層と、この固体電解質層の一側に設けられる第1の電極層と、他側に設けられる第2の電極層とを備える複数のガス分解素子を含んで構成されるガス分解装置によってガスを分解するガス分解方法であって、
上記第1の電極層又は/及び第2の電極層に含まれる触媒の組成を異ならせた複数のガス分解素子に、上記ガスを順次作用させて分解する、ガス分解方法。
【請求項10】
上記ガスが、複数のガス成分を含む、請求項9に記載のガス分解方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のガス分解素子を備えて構成される、ガス分解発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−85999(P2013−85999A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227014(P2011−227014)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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