説明

ガス分解装置

【課題】多孔質触媒体内のガスの流動を妨げることがなく、流動するガスを均一に加熱することができるとともに、大量のガスを流動させて効率よく分解することができ、さらに流量が変動してもガスを一定温度に加熱して触媒に作用させることができるガス分解装置を提供する。
【解決手段】ガスが流動させられる容器内1に、連続気孔を有する多孔質触媒体11,12,13を充填して構成されるガス分解装置100であって、通電することにより発熱し、上記連続気孔内を流動する上記ガスを加熱できるように構成された上記多孔質触媒体と、連続気孔を備えるとともに上記多孔質触媒体に給電する多孔質給電体7,8,9,10とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガス分解装置に関する。詳しくは、アンモニア(NH3)等の有毒ガスを、大量に分解することができるガス分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、化合物半導体製造装置等における窒化物製造工程において、アンモニアガスが排出される。アンモニアガスは、人体や環境に悪影響を及ぼすため、その濃度を25ppm以下にまで低下させた上で、大気に放出しなければならない。上記アンモニアガスの濃度を低下させる手法として、硫酸等の水溶液に接触吸収させて捕捉する方法、燃焼炉に導入して除去する方法、乾式除害剤に接触させて除去する方法等が知られている。また、アンモニアガスを高温で触媒に接触させて、N2とH2に分解する手法も知られている。
【0003】
アンモニアガスを高温で触媒に接触させる従来の手法では、アンモニアガスを分解した筒状容器の触媒充填部を分解温度に加熱するため、筒状容器の外部に加熱装置を設けたり、触媒充填部にヒータを埋設する等の構造が採用されていた。
【0004】
【特許文献1】特開平8−150320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、筒状容器の外部に加熱装置を設けた場合、ガスが流動する触媒内部への熱の伝達が遅いため、ガスの流量が増加すると、ガスを充分に加熱することができないという問題が生じる。また、触媒内部の温度差が生じ、ガスの分解性能にむらが生じやすい。このため、大径の容器を構成するのが困難であり、大量のガスを処理できるガス分解装置を構成することができなかった。また、筒状容器の全体を加熱しなければならないため、熱効率も悪かった。
【0006】
ヒータを多孔質触媒内に埋設した場合、ヒータのみならず、ヒータに給電する電極部等もガスが流動する多孔質触媒内に埋設しなければならない。このため、これら電極等が触媒内のガスの流動を妨げてガスの流れに偏流が生じ、ガスを触媒に均一に作用させることができなくなる。
【0007】
さらに、ガス分解装置に流入するガスの流量が一定とはかぎらない。このため、一定の出力の加熱装置を設けた場合、ガスの流量が既定流量より少ないとガス温度が高くなり、一方、ガスの流量が既定流量より多くなるとガス温度が低下する。従来、ヒータ出力を調節することによりガス流量に対応していたが、外部から加熱する加熱装置では、熱の伝達が遅いため流量の変化に対応することができず、容器内を流れるガスを効率よく加熱することができなかった。
【0008】
本願発明は、上記従来の問題を解決し、多孔質触媒内のガスの流動を妨げることがなく、流動するガスを均一に加熱することができるとともに、大量のガスを流動させて効率よく分解することができ、さらに流量が変動してもガスを一定温度に加熱して触媒に作用させることができるガス分解装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に記載した発明は、ガスが流動させられる容器内に、連続気孔を有する多孔質触媒体を充填して構成されるガス分解装置であって、通電することにより発熱し、上記連続気孔内を流動する上記ガスを加熱できるように構成された上記多孔質触媒体と、連続気孔を備えるとともに上記多孔質触媒体に給電する多孔質給電体とを備えて構成される。
【0010】
本願発明では、多孔質触媒体自体が発熱して、この多孔質触媒体の連続気孔内を流れるガスを加熱することができる。このため、外部に発熱装置を設けた場合に比べてエネルギ効率が高い。しかも、多孔質触媒体の量を増加させることにより、ガスの処理量を増加させることができる。したがって、処理能力の大きなガス分解装置を容易に構成できる。
【0011】
また、本願発明に係る給電体は連続気孔を有する多孔質体から形成されているため、給電体内でガスを流動させることできる。このため、多孔質触媒体の表面や内部に設けても、上記給電体がガスの流動を妨げることがない。したがって、ガスの偏流等が生じることがなく、多孔質触媒体にガスを均等に作用させることができる。
【0012】
また、上記多孔質給電体を介して上記多孔質触媒体に対して給電することにより、多孔質触媒体との接触面積を確保することができる。このため、大きな容量の多孔質触媒体にも確実に給電することが可能となり、処理能力の大きなガス分解装置を構成できる。
【0013】
発熱して触媒作用を発揮できるものであれば、上記多孔質触媒体を構成する材料は限定されることはなく、分解するガスの種類に応じて選定することができる。また、ガスを所要の流動速度で流動させることができれば、上記触媒体の形態も限定されることはない。たとえば、一体的に成形された多孔質体から構成される触媒体を採用することができる。
【0014】
また、多孔質触媒体を、球状等の粒状の形態を備える触媒を集合させて構成することができる。たとえば、請求項2に記載した発明のように、上記多孔質触媒体を、表面に触媒層を設けた粒状触媒を集合させて構成することもできる。たとえば、メッキ等によって表面にNi−Cr等の触媒層を設けた多孔質アルミナ球体を容器内に充填することにより、連続気孔を有する多孔質触媒体を構成することができる。この場合、ガスが流動する際の圧力損失が大きくならないように、たとえば、直径2mm以上のアルミナ球体を採用し、気孔率が25%〜80%となるように充填するのが好ましい。なお、異なる粒度を有する粒状触媒を集合させて所要の気孔率を有する多孔質触媒体を構成できる。また、2種以上の異なる触媒を担持させた粒状触媒を配合して集合させた多孔質触媒体を採用することもできる。
【0015】
球状等の粒状触媒を集合させた多孔質触媒体の形態は不定形である。このため、これを容器に充填して触媒体を構成する場合、これら球状触媒を所定形状に保持するために、保持手段を設けるのが好ましい。請求項7に記載した発明は、上記多孔質給電体が上記保持手段を構成しているものである。
【0016】
たとえば、板状あるいはシート状の多孔質給電体を採用するとともに、粒状触媒から構成される多孔質触媒体の外周部に配置することにより、多孔質触媒体を所定の形態に保持することができる。これにより、他の部材から形成された保持手段を設ける必要がなくなり、部品点数を削減できるとともに製造コストを低減させることもできる。
【0017】
請求項3に記載した発明のように、上記多孔質給電体を、上記多孔質触媒体に給電して発熱させるとともに、自己発熱するように構成することができる。
【0018】
多孔質給電体自体を発熱させることにより、多孔質給電体内を流動するガスの温度が低下することがなくなる。したがって、流動するガスをより効率よく加熱することが可能となり、ガス分解装置の性能を高めることができる。また、ガスをより均等に加熱することが可能となり、大流量のガスを処理できるガス分解装置を構成できる。
【0019】
さらに、請求項4に記載した発明のように、上記多孔質給電体を、触媒として機能するように構成することもできる。この構成を採用することにより、ガス分解装置の効率をさらに高めることができる。
【0020】
多孔質触媒体を一体的に形成して、一対の多孔質給電体から給電を行うように構成すると、ガスの流量が変化に迅速に対応できない場合が考えられる。特に、流量が少ない場合、効率が低下する恐れがある。
【0021】
上記不都合を回避するため、請求項5に記載した発明のように、複数の多孔質触媒体と、これら多孔質触媒体に各々給電できる多孔質給電体とを備え、上記複数の多孔質触媒体の一部又は全部を選択的に発熱させることができるように構成することができる。
【0022】
上記構成を採用することにより、ガスの流量等に応じて発熱する多孔質触媒体を選択することが可能となり、流量等に応じてガスの温度調節を容易に行うことができる。また、熱効率を高めることもできる。
【0023】
複数の多孔質触媒体を設ける手法は特に限定されることはない。たとえば、請求項6に記載した発明のように、上記多孔質給電体と上記多孔質触媒体とを、上記容器内でガスの流動方向に交互に積層配置して構成することができる。
【0024】
上記構成を採用することにより、多孔質触媒体内を流動するガスを多段的に加熱することが可能となり、多孔質触媒体内を流れるガスを一定の温度に設定することができる。また、複数の多孔質発熱体のうち、所要の多孔質触媒体及び/又は多孔質給電体に通電して加熱することができるため、流量等の変動に迅速に対応することも可能となる。なお、所要の多孔質触媒体に通電できるとともに、各多孔質触媒体の温度を制御できるように構成することもできる。
【0025】
さらに、上記多孔質触媒体と上記多孔質給電体とを交互に設けることにより、流動するガスの速度を調整する機能を発揮させることができる。たとえば、一体的に設けられた多孔質触媒体の気孔に偏在があった場合、ガスの流路が曲げられて偏流が生じ、ガスを多孔質触媒体に均一に接触させることができない場合が生じる。上記多孔質触媒体をガスの流動方向に配列される複数の層に分割して設けるとともに、これら層の間に多孔質給電体を配置することにより、ガスが流動する気孔が不均一な多孔質触媒体あるいは多孔質給電体を採用した場合にも、ガスの偏流を緩和することができる。これにより、多孔質発熱体内及び多孔質触媒体内を流れるガスの流れを均一にすることが可能となり、均一に加熱できるとともに多孔質触媒体に均一に接触させて分解することが可能となる。
【0026】
たとえば、一体的なブロック状の多孔質触媒体に一対の多孔質給電体から電流を流した場合、多孔質触媒体内における電流が流れるルートが特定されず、多孔質触媒体内を流れる電流に偏流が生じて、多孔質触媒体の全域を均等に発熱させることができない恐れがある。
【0027】
上記不都合を回避するため、請求項8に記載した発明のように、上記多孔質触媒体を、電流が流れる回路を備えて構成することができる。
【0028】
上記回路を構成する手法は特に限定されることはない。たとえば、板状あるいはシート状の絶縁体を、一部に導電路を設けた状態で多孔質触媒体を区画するよう配置することにより、電流が流れる回路を構成できる。
【0029】
上記回路を設けることにより、上記多孔質触媒体の全体に均一に電流を流し、多孔質触媒体を均一に発熱させることが可能となる。
【0030】
上記多孔質給電体の形態及び材料は特に限定されることはない。たとえば、請求項9に記載した発明のように、上記多孔質給電体として、導電性を有する外殻と、中空又は/及び導電性を有する芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成している多孔質体を採用することができる。
【0031】
上記多孔質給電体の骨格を3次元網目構造に形成することにより、気孔率をきわめて大きく設定することができる。これにより、気孔内におけるガスの流動抵抗が小さくなり、大量のガスを流動させることが可能となる。
【0032】
さらに、上記外殻を発熱体から構成することにより、上記多孔質給電体自体を発熱させるように構成できる。特に、上記骨格は、一体的に連続するように形成されている。このため、繊維状の発熱体を集合させて構成される多孔質発熱体のように、隣接する各繊維間の接触抵抗が生じることがなく、多孔質発熱体内各部における電気抵抗が大きく変化することはない。したがって、多孔質給電体内の電流の流れに偏在が生じることが少なく、多孔質給電体の全体を均一に加熱することが可能となる。
【0033】
上記骨格を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にメッキ層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成することができる。上記骨格の外殻を金属メッキ層又は金属コーティング層から形成することにより、外郭の厚みを非常に薄くかつ均一に設定することが可能となる。これにより、大きな気孔率を備える多孔質給電体を形成することが可能となる。
【0034】
上記芯部は、製造方法に応じて、中空又は/及び導電性材料から構成される。たとえば、上述したように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にメッキ層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成する場合、上記樹脂が消失した部分が中空状となる。また、上記メッキ層を設けるために上記3次元網目状樹脂の表面に導電性材料をコーティング等して導電化処理を施した場合には、上記導電性材料からなる表面導電化層が中空芯部の内周面に残存する場合がある。さらに、メッキ処理の後に熱処理等を施した場合は、外殻が収縮して、中空部分がなくなる場合もある。
【0035】
上記多孔質給電体における上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定となるように構成するのが好ましい。上記結節部では各骨格(枝部)からの電流が集中するため、一の結節部に集合する各枝部の電気抵抗が異なると、結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れて温度が上昇し、骨格が溶断したり劣化する恐れがある。一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みをほぼ一定に設定することにより、一の結節部に集合する各骨格の電気抵抗をほぼ一定にすることが可能となり、一部の骨格に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
【0036】
多孔質給電体の一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であればよく、給電体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、給電体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各枝部の外殻厚みと、内部の結節部に集合する枝部の外殻厚みが異なることになる。しかし、各結節部に集合する骨格の厚みがほぼ一定であれば、一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。また、結節部周りの骨格が均等な強度を備えるため、多孔質体としての強度も確保できる。
【0037】
外殻をメッキ層等から形成すると、一の結節部に集合する骨格の外殻の厚みをほぼ一定に形成することが可能となる。これにより、結節部周りの外殻の電気抵抗のばらつきが小さくなり、多孔質給電体の全域を均一に電流を流すことができる。
【0038】
上記給電体を発熱しないように構成する場合、上記外殻を導電性の高い材料から構成すればよい。たとえば、上記外殻を、Ni等の導電性の高いメッキ層から構成することができる。
【0039】
一方、上記給電体を発熱するように構成する場合、上記外殻を構成する材料を発熱材料から形成すればよい。たとえば、上記外殻を、Niを70〜95%と、Crを5〜30%とを含む合金から形成するのが好ましい。上記範囲の配合量に設定することにより、上記多孔質発熱体を効率よく発熱させることができる。なお、上記NiとCrの配合比を保持した状態で他の成分が配合されてもよい。上記Ni−Cr合金は、発熱体であると同時に触媒作用を有する。このため、多孔質触媒体として利用することもできる。
【0040】
上記多孔質給電体を、Niを主成分とする金属多孔質体に、Crを拡散させることにより合金化して構成することができる。Ni−Cr合金から、直接所要の気孔率を有する多孔質体を形成するのは困難な場合がある。たとえば、Ni−Cr合金のメッキ層を直接形成するのは困難である。
【0041】
このため、まず、Niから多孔質体を形成し、この多孔質体を構成するNiの表面から、Crを拡散させて発熱体として機能するNi−Cr合金層を形成することができる。
【0042】
Niは、メッキ処理しやすいため、上記骨格を容易に形成することができる。また、骨格の厚みや気孔率の異なる種々の金属多孔質体を容易に構成できる。そして、このNi多孔質体をCr合金化することによって、所要の電熱特性を備える種々の発熱体を構成できる。
【0043】
上記Ni多孔質体を、Cr合金化する手法は特に限定されることはない。たとえば、上記Ni多孔質体を、Cr源粉末の加熱により発生させた拡散浸透成分ガスと還元性希釈ガスとの混合ガス中で熱処理することにより、Ni多孔質体をNi−Cr合金とすることができる。
【0044】
また、Niによって形成された第1の外殻に、Crで形成された第2の外殻を積層形成し、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化し、上記多孔質発熱体とすることもできる。
【0045】
請求項10に記載した発明は、本願発明をアンモニアガスを分解するガス分解装置に適用したものであり、上記ガス分解装置を、上記アンモニアガスを、室温、常圧時の空塔線速度で、0.1〜200cm/secで流動させることができるように構成する一方、上記容器内で上記アンモニアガスを、450〜1200℃に加熱しながら、上記室温、常圧時の流量に相当する流量で流動させるように構成したものである。なお、上記空塔線速度は、充填物等が存在しない筒状容器内を流れる流体の速度を意味するものである。
【0046】
ガスを所要の濃度以下に分解するには、ガスの温度を分解反応が生じる温度である450〜1200℃に加熱する必要がある。一方、触媒に接触する時間を確保するために、触媒を充填した容器内を、室温、常圧時の空塔線速度が0.1〜200cm/secとなる流量に相当する流量で、アンモニアガスを流動させるのが好ましい。さらに、ガスの温度を600〜900℃に加熱した状態で、室温、常圧時の空塔線速度が0.1〜20cm/secとなる流量に相当する流量で流動させることができるように構成するのが望ましい。
【0047】
アンモニアガスを上記流動速度で流動させながら、アンモニアガスを上記温度に加熱できるように、多孔質触媒体や多孔質発熱体の気孔率、流動断面積、多孔質発熱体の加熱温度等が設定される。アンモニアガスの温度及び流動速度を上記のように設定することにより、アンモニアガスの濃度を25ppm以下にまで低減させることができる。
【0048】
請求項11に記載した発明は、容器内に収容されるとともに、連続気孔を有する多孔質触媒体内でガスを流動させて分解するガス分解方法であって、上記多孔質触媒体に多孔質給電体を介して通電することにより発熱させ、上記多孔質触媒体内を流動するガスを加熱しながら分解するものである。
【0049】
請求項12に記載した発明は、上記多孔質給電体が、上記多孔質触媒体に給電するとともに、自己発熱してガスを加熱するように構成したものである。
【発明の効果】
【0050】
ガスの流動を妨げることがなく、流動するガスを均一に加熱することが可能になるとともに、大量のガスを流動させて効率よく分解することができるガス分解装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施形態に係るガス分解装置の軸線に沿う縦断面図である。
【図2】図1に示すガス分解装置の要部の拡大断面図である。
【図3】第2の実施形態に係るガス分解装置の軸線に沿う縦断面図である。
【図4】第3の実施形態に係るガス分解装置の軸線に沿う縦断面図である。
【図5】多孔質給電体の構造の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】図5に示す多孔質給電体の結節部近傍の断面構造を模式的に示す図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0053】
図1に第1の実施形態に係るガス分解装置100の断面を示す。ガス分解装置100は、円筒状の容器1と、この容器1の内部空間に充填された多孔質給電体7,8,9,10及び多孔質触媒体11,12,13とを備えて構成されている。
【0054】
上記容器1は、金属等の材料から形成されるとともに、ガス流入口3と、ガス排出口4と、上記多孔質給電体7,8,9,10及び多孔質触媒体11,12,13を充填する円筒空間1aとを備えて構成されている。側壁2の内周部には、セラミック繊維等から形成された断熱材5が設けられている。
【0055】
本実施形態に係る上記多孔質給電体7,8,9,10は、円板ないし短円柱状に一体形成された多孔質体から形成されている。一方、上記多孔質触媒体11,12,13は、多孔質アルミナから形成された球体の表面に触媒層を設けて形成された球状触媒の集合体として構成されている。上記多孔質給電体7,8,9,10と、上記多孔質触媒体11,12,13とは、上記断熱材5の内周部において、ガス流動方向に交互に積層配置されて、一体的な多孔質体6が構成されている。本実施形態では、上記多孔質給電体7,8,9,10間において、上記球状触媒の集合体が保持された形態を備え、上記多孔質給電体7,8,9,10が多孔質触媒体11,12,13へ給電するとともに、球状触媒の集合体を円板状あるいは円柱状の形態に保持する保持手段として機能するように構成されている。
【0056】
各多孔質給電体7,8,9,10のうち、最上部に配置された給電体7と最下部に配置された給電体10には、上記側壁2から引き出されたリード線7b,10bを備える電極16,17が接続されている。上記リード線7b,10bは、電源50に接続されており、電極16,17を介して、上記多孔質給電体7,8,9,10及び上記多孔質触媒体11,12,13に電流を流すことができるように構成されている。
【0057】
上記多孔質給電体7,8,9,10及び多孔質触媒体11,12,13は、連続気孔を備えて構成されており、上記ガス流入口3から流入するガスを所定の流動速度で通過できる気孔率に設定されている。
【0058】
本実施形態では、上記多孔質給電体7,8,9,10を、上記多孔質触媒体に電流を供給できるとともに、自己発熱できるように構成している。上記多孔質給電体7,8,9,10及び上記多孔質触媒体11,12,13は、少なくとも800℃以上で発熱するように構成されており、上記多孔質給電体7,8,9,10及び上記多孔質触媒体11,12,13を通過するガスを所定の分解温度まで加熱する。
【0059】
また、上記多孔質触媒体11,12,13は、上記温度及びガスの流動速度において、流動するガスの有害成分を所定の濃度以下に分解できる性能に設定されている。
【0060】
図2に示すように、上記多孔質触媒体11,12,13は、球体20aの表面に、触媒層20bを設けた球状触媒20の集合体として構成されている。本実施形態では、直径が4〜6mmのアルミナ球体20aの表面に上記触媒層20bを設けた球状触媒20を採用している。これにより、多孔質触媒体の気孔率を40%〜80%に設定することができる。上記球体20aを構成する材料は、所要の耐熱性等を備えていれば、種々の材料を採用することができる。たとえば、多孔質アルミナから形成されるセラミック球体や、ステンレス等の金属球体を採用できる。また、上記触媒体の形態も特に限定されることはなく、不定形粒状の形態を備えるものや、所定の気孔率を有する多孔質成形体を採用することもできる。
【0061】
上記触媒層20bを構成する材料も特に限定されることはない。たとえば、Niから形成される触媒層や、Ni−Cr合金から形成される触媒層を採用できる。また、上記各多孔質触媒体11,12,13に、異なる材料から形成された触媒層を備える球状触媒を採用することもできる。本実施形態では、各多孔質触媒体を、Ni−Crから形成された触媒層20bを備える球状触媒の集合体から構成している。
【0062】
一方、上記多孔質給電体7,8,9,10として、発熱性を有する外殻と、中空又は/及び導電性を有する芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を備えるものを採用することができる。たとえば、図5〜図7に示す形態の多孔質給電体401を採用することができる。
【0063】
図5は、上記多孔質給電体401の外観構造を示す電子顕微鏡写真である。多孔質給電体401は、連続気孔401bを有する3次元網目構造を備える。上記3次元網目構造は、三角柱状の骨格410が3次元に連続して連なった形態を備え、上記骨格を構成する複数の枝部412が結節部411に集合して一体的に連続する形態を備える。また、骨格410の各部は、図7に示すように、外殻410aと、中空状の芯部410bとを備えて構成される。なお、図6及び図7に示す実施形態では、上記外殻410aは、後に説明するように、メッキ層412aと表面導電化層412bとが、一体的に合金化されて発熱体として機能するように構成されている。
【0064】
上記多孔質給電体401は、連続気孔401bを有する多孔質状に形成されているため、上記気孔401b内でガスを流動させて、効率よく加熱することができる。しかも、上記多孔質給電体401は、3次元網目構造を採用することによって、気孔率をきわめて大きく設定することができる。このため、気孔内におけるガスの流動抵抗が低く、大量のガスを流動させて加熱することも可能となる。
【0065】
また、図6に示すように、上記3次元網目構造における一の結節部411に集合する上記枝部412の外殻410aの厚みtがほぼ一定に形成されている。一の結節部に集合する枝部(骨格)の外殻の厚みtがほぼ一定であるため、一の結節部に集合する各枝部412の電気抵抗もほぼ一定となる。したがって、一の結節部に集合する一部の枝部に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
【0066】
なお、多孔質給電体401の一の結節部411に集合する枝部412(骨格)の外殻410aの厚みがほぼ一定であればよく、給電体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、給電体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各骨格の外殻厚みと、内部の結節部に集合する骨格の外殻厚みが異なることになる。しかし、一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であれば、少なくとも上記結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。
【0067】
本実施形態に係る上記多孔質給電体401は、少なくともNiとCrとを含む合金から形成されている。上記NiとCrの配合量は、所要の発熱量に応じて設定することができる。たとえば、上記多孔質給電体401の上記外殻410aを、Niを70〜95%と、Crを5〜30%とを含む合金から形成することができる。
【0068】
上記多孔質給電体401は、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、上記骨格をメッキによって形成する場合、3次元網目状樹脂に導電化処理を施す工程と、3次元網目状樹脂に金属メッキを施す工程と、3次元網目状樹脂を除去する工程とを含んで構成することができる。
【0069】
上記3次元網目状樹脂の形態として、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等を用いることができる。上記3次元網目状樹脂を構成する素材は特に限定されることはないが、金属メッキした後、加熱等によって消失させることができるものを採用するのが好ましい。また、加工性やハンドリング性を確保するため、柔軟性を有するものを採用するのが好ましい。特に、3次元網目状樹脂として樹脂発泡体を採用するのが好ましい。樹脂発泡体は、連続気孔を有する多孔質状であればよく、既知のものを採用できる。たとえば、発泡ウレタン樹脂、発泡スチレン樹脂等を採用することができる。発泡樹脂の気孔の形態や気孔率、寸法等は特に限定されることはなく、用途に応じて適宜設定することができる。
【0070】
上記3次元網目状樹脂を導電化する処理は、各気孔の表面に上記骨格を構成する金属メッキ層を設けるために行われるものであり、図6における表面導電化層412bを設けることができれば特に限定されることはない。たとえば、ニッケルを用いる場合には、無電解メッキ処理、スパッタリング処理等を採用することができる。また、チタン、ステンレス等の金属やカーボンブラック、黒鉛等を採用する場合には、これらの微粉末にバインダを添加した混合物を、上記3次元網目状樹脂に含浸塗着する処理を採用することができる。
【0071】
上記メッキ処理も特に限定されることはなく、公知のメッキ法によって処理をすることができる。たとえば、ニッケルメッキを採用する場合、生産性、コスト等の観点から電気メッキ法を採用するのが好ましい。電気メッキに用いるメッキ浴として、公知あるいは市販のものを採用できる。
【0072】
上記メッキ層の厚み(目付量)も特に限定されることはない。所要の気孔率や、強度を勘案して設定することができる。たとえば、100g/m2〜2000g/m2の目付量を採用することができる。
【0073】
上記メッキ層を形成した後、上記3次元網目状樹脂を除去する工程が行われる。上記3次元網目状樹脂を除去する工程は、たとえば、ステンレスマッフル内で大気等の酸化性雰囲気において、上記メッキ層を設けた多孔質体を、600℃〜800℃で熱処理することにより、上記3次元網目状樹脂を焼却除去することができる。
【0074】
高い発熱性能を得るため、Cr成分の配合量が多いNi合金から上記多孔質給電体を形成するのが好ましい。Ni−Crの合金材料から上記メッキ層を直接形成するのは困難である。このため、たとえば、Niメッキ層とCrメッキ層とを別々に形成し、その後合金化する手法を採用することができる。すなわち、3次元網目状樹脂に、上記手法によってまずNiメッキ層を形成し、その上に、Crメッキ層を積層形成する。その後、3次元網目状樹脂を除去し、さらに、所定の温度で熱処理することにより、上記Crメッキ層とNiメッキ層とを互いに拡散させて合金化することができる。
【0075】
上記Crメッキ層の厚み(目付量)も特に限定されることはなく、たとえば、10g/m2〜3000g/m2の範囲で設定することができる。
【0076】
上記Crメッキ層とNiメッキ層とを積層形成した多孔質体を、ステンレスマッフル内でCOやH2等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記Crメッキ層とNiメッキ層とを互いに拡散させてNi−Cr合金層を形成することができる。また、N2やAr等の不活性ガス雰囲気では、カーボンマッフル内で1000℃〜1500℃に加熱して上記Crメッキ層とNiメッキ層とから合金層を形成することもできる。Niによって、図6及び図7に示す表面導電化層412bを設けた場合には、表面導電化層412bも上記合金化工程においてNi−Cr合金化されて全体が発熱体となる。
【0077】
上記工程を採用することにより、外殻のクロム濃度のバラツキが少なく、高い耐蝕性を有するとともに発熱特性の高い多孔質給電体を形成することができる。また、メッキ層によって外殻が構成されるため、外殻の厚み(断面積)を多孔質体内でほぼ均一に設定することが可能となる。このため、多孔質体内における電気抵抗のばらつきが少なくなり、通電することにより、多孔質体の全体を均一に加熱することができる。なお、上述した実施形態は、上記骨格を3次元網目状樹脂にメッキを施すことによって形成したが、粉体金属をコーティングし、その後、熱処理を施すことにより形成することもできる。この場合、Ni粉末とCr粉末とを含む粉体をコーティングすることにより、一度でNi−Cr合金を形成することもできる。
【0078】
図6及び図7に示すように、本実施形態に係る上記芯部は、中空状に形成されるが、これに限定されることはない。すなわち、上述した実施形態は、Niから形成された表面導電化層412bがCr合金化されたため外殻と一体化されたが、上記表面導電化層を別の導電性材料から形成する場合、芯部として残存する場合もある。たとえば、上記表面導電化層をチタンやカーボン等から形成するとともに、Niメッキによって骨格を形成した後Cr合金化した場合、上記表面導電化層412bが合金化されずに芯部として残存することになる。また、Niメッキ層をCr合金化する熱処理工程において、外殻が収縮して、中空の芯部が消失する場合もある。
【0079】
本実施形態では、上記多孔質給電体7,8,9,10及び多孔質触媒体11,12,13が導電性を備えており、図2に示すように、これらを直接接触させることにより、電流を流すことができる。これにより、上記多孔質給電体7,8,9,10及び多孔質触媒体11,12,13が発熱させられて、これら部材の内部を流動するガスが加熱されるとともに多孔質触媒体に接触させられて分解される。
【0080】
また、本実施形態では、上記多孔質給電体7,8,9,10と上記多孔質触媒体11,12,13とを、上記容器1内でガスの流動方向に交互に積層配置している。
【0081】
上記多孔質給電体7,8,9,10と上記多孔質触媒体11,12,13とを交互に設けることにより、流動するガスの速度を調整する機能を発揮させることができる。たとえば、上記多孔質触媒体11,12,13内の気孔に偏在があった場合、ガスの流路が曲げられて偏流が生じ、ガスを多孔質触媒体に均一に接触させることができない場合が生じる。上記多孔質触媒体をガスの流動方向に配列される複数の層から構成するとともに、これら層の間に多孔質給電体8,9が配置されているため、ガスが流動する気孔が不均一な多孔質触媒体あるいは多孔質給電体を採用した場合にも、ガスの偏流を緩和することができる。これにより、多孔質給電体内及び多孔質触媒体内を流れるガスの流れを均一にすることが可能となり、均一に加熱できるとともに多孔質触媒体に均一に接触させて分解することが可能となる。
【0082】
〔実施例1〕
Ni−Cr合金の外殻を備え、平均孔径1〜2mm、気孔率96%の多孔質給電体と、直径4〜6mmのセラミック球体の外面にNi−Cr触媒層を設けて構成された球状触媒の集合体から、図1に示すガス装置を構成し、濃度20%のアンモニアガスを流動させた。上記ガスの容器内の流動速度を、室温、常圧時の空塔線速度が20cm/secとなる流量に相当する流量となるように設定するとともに、アンモニアガスの温度が850℃となるように、上記多孔質給電体及び上記多孔質触媒体に通電し、出口におけるアンモニア濃度を計測した。
出口におけるアンモニア濃度は20ppmであり、充分に分解されていることが判明した。
【0083】
図3に本願発明の第3の実施形態を示す。
【0084】
この実施形態は、選択した多孔質給電体に電流を流し、所要の層を発熱するように構成したものである。なお、容器201、多孔質給電体207,208,209,210、多孔質触媒体210,211,212の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0085】
図3に示すように、多孔質給電体207,208,209,210の各々に、給電を行うためのリード線207b,208b,209b,210bが設けられている。本実施形態では、最上部に配置した多孔質給電体207を共通電極とし、この多孔質給電体207と、選択した他の1の多孔質給電体208,209,210との間に電流を流して発熱させるように構成している。電源250から延びるリード線250aを、上記他の多孔質給電体208,209,210から延びるリード線208b,209b,210bに選択的に接続できるスイッチ230が設けられている。上記スイッチ230を切り換えることにより、上部から所要の厚みの多孔質給電体及び多孔質触媒体を発熱させることができる。
【0086】
図3に示す実施形態のガス分解装置に、異なる濃度のアンモニアガスを流動させた実施例2〜実施例4の結果を下記に示す。なお、本実施例では、上記多孔質給電体207,208,209,210及び多孔質触媒体210,211,212の構成は、第1の実施例と同じものを使用した。
【0087】
〔実施例2〕
図3に示すガス分解装置において、多孔質給電体207と多孔質給電体208に通電することにより、上記多孔質給電体207,208及び多孔質触媒体210を800℃に加熱し、アンモニア濃度10%のガスをガス流入口203から容器201内に導入し、ガス分解装置内でのガスの流動速度を、室温、常圧時の空塔線速度が5cm/secとなる流量に相当する流量となるように設定してガスの分解を行った。
実施例2では、ガス排出口204から排出されるガスのアンモニア濃度は、25ppm以下であった。
【0088】
〔実施例3〕
図3に示すガス分解装置において、多孔質給電体207と多孔質給電体209に通電することにより、上記多孔質給電体207,208,209及び多孔質触媒体210,211を800℃に加熱し、アンモニア濃度20%のガスをガス流入口203から容器201内に導入し、ガス分解装置内でのガスの流動速度を、室温、常圧時の空塔線速度が10cm/secとなる流量に相当する流量となるように設定してガスの分解を行った。
実施例3では、ガス排出口204から排出されるガスのアンモニア濃度は、25ppm以下であった。
【0089】
〔実施例4〕
図3に示すガス分解装置において、多孔質給電体207と多孔質給電体210に通電することにより、全ての多孔質給電体及び多孔質触媒体に通電して800℃に加熱し、アンモニア濃度30%のガスをガス流入口203から容器201内に導入し、ガス分解装置内でのガスの流動速度を、室温、常圧時の空塔線速度が20cm/secとなる流量に相当する流量となるように設定してガスの分解を行った。
実施例4では、ガス排出口204から排出されるガスのアンモニア濃度は、25ppm以下であった。
【0090】
各実施例から明らかなように、多孔質給電体及び多孔質発熱体を、アンモニアガスの濃度や流動量に応じて選択的に発熱させることにより、アンモニアガスを所要の濃度以下に分解することができる。
【0091】
図4に、本願発明の第3の実施形態を示す。
【0092】
第3の実施形態に係るガス分解装置300は、多孔質触媒体311内に、電流を流す回路を設けたものである。なお、第3の実施形態において、上記多孔質触媒体311の構成及び多孔質給電体307,310の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0093】
本実施形態では、球状触媒の集合体内に、セラミック多孔質体から形成された通気性のある3枚の板状絶縁部材312a,312b,312cを、上記多孔質触媒体を3分割できる位置に交互に配置している。各板状絶縁部材312a,312b,312cは、一部において上記多孔質触媒体311が連続するように切り欠かれており、図4に示すように、電流が上記多孔質触媒体311内で蛇行するように流される。これにより、多孔質触媒体311内に電流の流れる回路が形成される。
【0094】
上記回路を設けることにより、上記多孔質触媒体の全体に均一に電流を流し、多孔質触媒体を均一に発熱させることが可能となる。一方、上記板状絶縁部材312a,312b,312cは、多孔質体から形成されているため、ガスの流れを阻害することはない。このため、多孔質触媒体311内を流れるガスは、軸線方向に流動させることができる。
【0095】
また、上記板状絶縁部材312a,312b,312cは、多孔質体から形成されているため、第1の実施形態と同様に、ガスの偏流を緩和する効果を期待することもできる。
【0096】
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0097】
大量のガスを加熱しながら流動させて効率よく分解することができ、また、ガスの流量が変動してもガスを一定温度に加熱して分解することができるガス分解装置を構成できる。
【符号の説明】
【0098】
1 容器
7 多孔質給電体
8 多孔質給電体
9 多孔質給電体
10 多孔質給電体
11 多孔質触媒体
12 多孔質触媒体
13 多孔質触媒体
100 ガス分解装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが流動させられる容器内に、連続気孔を有する多孔質触媒体を充填して構成されるガス分解装置であって、
通電することにより発熱し、上記連続気孔内を流動する上記ガスを加熱できるように構成された上記多孔質触媒体と、
連続気孔を備えるとともに、上記多孔質触媒体に給電する多孔質給電体とを備える、ガス分解装置。
【請求項2】
上記多孔質触媒体が、通電することにより発熱する触媒層を表面に備える粒状触媒を集合させて構成されている、請求項1に記載のガス分解装置。
【請求項3】
上記多孔質給電体は、上記多孔質触媒体に給電して発熱させるとともに、自己発熱するように構成されている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガス分解装置。
【請求項4】
上記多孔質給電体は、触媒機能を有する材料から形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項5】
複数の多孔質触媒体と、
これら多孔質触媒体に各々給電できる多孔質給電体とを備え、
上記複数の多孔質触媒体の一部又は全部を選択的に発熱させることができるように構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項6】
上記多孔質給電体と上記多孔質触媒体とを、上記容器内でガスの流動方向に交互に積層配置して構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項7】
上記多孔質給電体が上記球状触媒の集合体を保持する保持手段を構成している、請求項2に記載のガス分解装置。
【請求項8】
上記多孔質触媒体は、電流が流れる回路を備えて構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項9】
上記多孔質給電体は、発熱性を有する外殻と、中空又は/及び導電性を有する芯部とを有する骨格を備え、
上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成している、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のガス分解装置。
【請求項10】
アンモニアガスを分解するガス分解装置であって、
上記ガス分解装置は、上記アンモニアガスを、室温、常圧時の空塔線速度で、0.1〜200cm/secで流動させることができるように構成される一方、
上記容器内で上記アンモニアガスを、450〜1200℃に加熱しながら、上記室温、常圧時の流量に相当する流量で流動させるように構成されている、ガス分解装置。
【請求項11】
容器内に収容されるとともに、連続気孔を有する多孔質触媒体内でガスを流動させて分解するガス分解方法であって、
上記多孔質触媒体に多孔質給電体を介して通電することにより発熱させ、
上記多孔質触媒体内を流動するガスを加熱しながら分解する、ガス分解方法。
【請求項12】
上記多孔質給電体は、上記多孔質触媒体に給電するとともに、自己発熱してガスを加熱する、請求項11に記載のガス分解方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−27804(P2013−27804A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164385(P2011−164385)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】