説明

ガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュール

【課題】優れたガス透過性を有しながら、高いガス分離選択性をも実現し、さらにBTXが混入している混合ガスの分離に対して膜寿命が長期化されたガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールを提供する。
【解決手段】支持体と該支持体上に形成された樹脂からなる分離層とを具備するガス分離膜であって、前記分離層は前記支持体とは反対側に親水性の改質処理面を有し、該親水性改質処理面を構成する層の膜厚が0.1μm以下であり、前記親水性改質処理面の水を用いた表面接触角が60°以下である記載のガス分離膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の高分子化合物から構成された膜によって、所望の気体成分を選択的に透過させ、その気体成分を分離する分離膜がある。その産業上の利用態様として、地球温暖化の問題と関連し、火力発電所やセメントプラント、製鉄所高炉等の大規模な二酸化炭素発生源からこれを分離回収することが検討されている。そして、この膜分離技術は、比較的小さなエネルギーで達成できる環境問題の解決手段として着目されている。一方、天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)は主としてメタンと二酸化炭素の混合ガスである。その二酸化炭素等の不純物を除去する手段としても、上記膜分離法の利用が検討されている(特許文献1、2等参照)。
【0003】
ところで、上述したような分離操作を施すべき混合ガスには相当量の水分が含まれており、これに対し分離膜を保護する必要がある。その観点から、ガス分離膜の表面を疎水性にする処理を施すことが提案されている(特許文献3、4参照)。あるいは、膜の表面を活性化させグラフト処理することにより膜の分離性能を改良することが提案されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−297605号公報
【特許文献2】特開2006−297335号公報
【特許文献3】特開平08−24602号公報
【特許文献4】特許第2521884号明細書
【特許文献5】特許第3668772号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特に二酸化炭素をメタン等から分離する際の技術課題に着目し、さまざまなガス分離特性や膜の物性変化、分離挙動について調査分析を行い、素材等に関する研究を行った。すると、ガス分離膜の寿命を左右する因子として、水分ではなく、むしろこの系の混合ガスにおいては、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン系有機成分)が関与していることを突き止めた。特に、ガス分離膜として溶解・拡散機構を利用する膜素材においてはその影響が大きく、特定の態様で分離膜表面を親水性に改質することで、高いガス分離特性を維持したまま、膜寿命を長期化することができることを確認した。
【0006】
上記の点を考慮し、本発明は、優れたガス透過性を有しながら、高いガス分離選択性をも実現し、さらにBTXが混入している混合ガスの分離に対して膜寿命が長期化されたガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は以下の手段により達成された。
(1)支持体と該支持体上に形成された樹脂からなる分離層とを具備するガス分離膜であって、前記分離層は前記支持体とは反対側に親水性の改質処理面を有し、該親水性改質処理面を構成する層の膜厚が0.1μm以下であり、前記親水性改質処理面の水を用いた表面接触角が60°以下であるガス分離膜。
(2)前記親水性改質処理面を構成する層の膜厚が0.05μm以下である(1)に記載のガス分離膜。
(3)前記親水性改質処理面が、以下のいずれかの処理を施された改質面である(1)又は(2)のいずれかに記載のガス分離膜。
[(1)プラズマ処理、電子線照射処理、UV照射処理、UVオゾン照射処理、又はコロナ放電処理]
[(2)(1)の処理後に行う親水性シランカップリング剤処理]
[(3)金属酸化物による蒸着もしくはスパッタリング処理]
[(4)化学的エッチング処理]
(4)前記分離層が、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、又はポリエチレングリコール樹脂で形成されている(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(5)前記(2)シランカップリング処理より、前記分離層の改質処理面に、下記式A−1に示すケイ素含有化合物が付与された(3)又は(4)に記載のガス分離膜。
【化1】

(式中、Xは官能基を示す。Lは直鎖、分岐鎖、もしくは環状鎖の炭素鎖を含む連結基を示す。Rは水素もしくは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは加水分解基を示す。m、nはそれぞれ0〜3の整数を示し、m+n=3である。)
(6)前記(3)金属酸化物による蒸着・スパッタリング処理により、前記分離層の改質処理面に、ケイ素、アルミニウム、インジウム、チタン、及び/又はスズの金属酸化物が付与された(3)又は(4)に記載のガス分離膜。
(7)前記親水性改質処理面の水の表面接触角(α)と前記処理の施されていない分離層基部を表面出ししたときの水の接触角(α)との差(α−α)が10°以上である(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(8)支持体と該支持体上に形成された分離層とを具備するガス分離膜の製造方法あって、前記支持体の上側に分離層を形成し、該分離層に以下のいずれかの処理を施して親水性の改質処理面を形成するガス分離膜の製造方法。
[(1)プラズマ処理、電子線照射、UV照射、UVオゾン照射、又はコロナ放電処理]
[(2)(1)の処理後に行うシランカップリング処理]
[(3)金属酸化物による蒸着もしくはスパッタリング処理]
[(4)化学的エッチング処理]
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載のガス分離膜を有するガス分離膜モジュール。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールは、優れたガス透過性を有しながら、高いガス分離選択性をも実現し、さらにBTXが混入している混合ガスの分離に対して長寿命を示すという優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のガス分離複合膜の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のガス分離複合膜の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のガス分離膜は、支持体と該支持体上に形成された分離層とを具備するガス分離機能を有する複合膜であって、前記分離層が親水性の改質処理面を有する。以下に、本発明について、その好ましい実施形態を中心に図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[複合膜の構成]
図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す断面図である。1はガス分離層、2は多孔質層からなる支持層である。図2は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、ガス分離層1及び多孔質層2に加え、支持層として不織布層3が追加されている。このような形態の複合膜は、多孔質性の支持体の少なくとも表面に、上記のガス分離層をなす塗布液(ドープ)を塗布し(本明細書において塗布とは浸漬により表面に付着される態様を含む意味である。)、任意の方法で硬化させることが好ましい。なお、支持層上側とは、支持層とガス分離層との間に他の層が介在してもよい意味である。なお、上下の表現については、特に断らない限り、分離対象となるガスが供給される方向を「上」とし、分離されたガスが出される方向を「下」とする。
【0012】
本実施形態のガス分離複合膜10,20においては、ガス分離層の上側に親水性に表面改質された面(親水性改質処理面)1aを有する。残された分離層基部1bはガス分離機能を発揮し、上記改質処理面1aのもつBTX遮断効果と相まって、優れたガス分離性と膜の長寿命とを両立して実現する。親水性改質処理面1aを形成するための改質処理は特に限定されないが、例えば上述のようにして分離層1を形成したのちに、後述する各処理を施すことにより行うことができる。
【0013】
[改質処理面]
本実施形態において、表面改質面は、所望の効果を奏する範囲で、前記分離膜表面の少なくとも一部を表面改質されたものであればよい。前記表面改質面としては、特に制限はなく、表面改質後に、最表面の水に対する接触角(α)が、60°以下になっていることと定義され、50°以下であることが好ましい。下限値は特にないが、4°以上であることが実際的である。
水に対する接触角の測定方法としては、液滴法を選択することができる。液滴法は、1〜4μLの水を膜表面に滴下し、滴下後、10秒後の液滴の様子を画像として撮影する。その際、液滴の画像の輪郭形状を円の一部と仮定し、円の中心を求め、円の接線と直線でなす角度を接触角として求めることができる。必要により、JIS R 3257を参照して測定条件等を設定してもよい。
【0014】
前記親水性改質処理面の水の表面接触角(α)と、前記処理の施されていない分離層基部の水の接触角(α)との差(α−α)は、特に限定されないが、相対的に分離層基部1b(図1、図2)に対して、改質処理面1aの親水性が高められていることが好ましい。より定量的に評価するなら、前記親水性改質処理面の水の表面接触角(α)と、前記処理の施されていない分離層基部を表面だししたときの水の接触角(α)との差(α−α)は、10°以上であることが好ましく、20°以上であることがより好ましい。表面出しするとは、分離層1から改質処理面1aを剥ぎ取るように切除し、その露出面を形成することを言う。上記分離層基部の水の接触角(α)は、その露出面について水の接触角を測定した値をいい、その測定方法は上記に準ずるものとする。
(α−α)が10°以上である場合は、性能・寿命向上に対する明確な効果はみられなかった。上限値は特に限定されないが、100°以下であることが実際的である。
【0015】
[改質処理面の厚さ]
前記分離層の親水性改質処理面(層)において改質処理された部分の深さ方向の膜厚T(図1、図2参照)は、0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。金属酸化物薄膜については後で個別的に述べるが、いずれの処理においても共通して、処理領域の厚さが薄すぎるとポリマー基板の表面を十分な範囲で均一に覆うことができず、厚すぎるとガス透過性能が落ちる。樹脂膜の表面改質処理には、所定のモノマーを利用したグラフト化が挙げられるが、この処理では処理面領域の厚さの制御が困難で、例えば均一に覆うため、塗布液のモノマー濃度を高めると、厚くなりすぎてしまう。また、薄くするため、モノマー濃度を低下させると、不均一に覆われてしまい、所望の効果が得られない。それゆえ、本発明の好ましい実施形態としては適用しがたい(後記比較例参照)。なお、本発明において改質処理面の構成領域の厚さTはその全面にわたって上記の厚さである必要はなく、本発明の効果を損ねない範囲で好適な厚さが実現されていればよい。例えば、改質処理面の60%(面積)が上記の厚さの範囲にあり、その他の部分で前記の範囲を超える、あるいは下回るものであってもよい。なお、膜厚Tの下限値は特に限定されず、後記プラズマ処理等のドライ処理では、樹脂を構成するポリマー分子にOH基が付加されることなどにより改質される。このため厚さでみたときには0を超えると言い得るが、実質的に厚さのない状態として評価しうる。
膜の厚さないし表面改質面(層)の厚さは、特に断らない限り、支持体を含めた膜全体を液体窒素で凍結した後、割断したサンプル、もしくは、ウルトラミクロトームによる切削などにより作成した超薄切片サンプルを、高倍率のTEMやSEMにより観察することで解析する。また、モデル的には、表面改質時にマスクなどを用いることで、表面改質ありの部位となしの部位を意図して作成し、AFMによるトポ像の凹凸差を膜厚として見てもよい。
【0016】
[表面改質処理]
表面改質の方法としては、例えば、(1)プラズマ処理、電子線照射処理、UV照射処理、UVオゾン照射処理、又はコロナ放電処理、(2)(1)の処理後に、親水シランカップリング処理を行う方法、(3)金属酸化物による蒸着・スパッタリング、(4)化学的エッチング処理などが挙げられる。これらの中でも、顕著な親水化効果が得られ、かつ、経時変化が少ないという点で、(2)、(3)が特に好ましい。
【0017】
<(1−1)プラズマ処理>
本発明に適用されるプラズマ処理は定法によればよく、従来的なものとしては、安定したプラズマを発生させるため減圧プラズマを利用し、その大型の真空チャンバ内で被処理体を処理する態様が挙げられる。昨今では大気圧雰囲気下での処理が可能である大気圧プラズマ処理装置が開発されている。そこではプロセス室内にアルゴンガスを主体としたガスを導入し、大気圧雰囲気下で高密度プラズマを安定して発生させることができる。大気圧プラズマ処理装置のシステム構成としては、ガス混合・制御部、反応器および搬送コンベヤ(もしくはXYテーブル)から構成されるものが挙げられる。円形ノズルよりスポット的にプラズマジェットを吹き出して処理するものも提案されている。
【0018】
<(1−2)電子線照射処理>
電子線照射においては、電子線(Electon Beam)が利用され、人工的に電子を加速し、ビームとして被処理体に照射するものである。EBの持つ高いエネルギーを利用して、表面を所望の状態に改質することができる。EBは放射線の一種であり、アイソトープから発生する放射線とは異なり、電子線は電気的に制御が可能で、瞬時にオン・オフができる。強力な電子ビームは、熱線処理をはじめとする他のエネルギーに比べコントロールしやすい利点を有する。EB照射システムは電子の持つ高エネルギーと、被照射体が求めるエネルギー量を容易にコントロールでき、吸収線量(照射される物質の受けるエネルギー)を管理でき好ましい。
一般的な電子線照射装置は主に照射部、電源部、制御部からなっている。照射部はEBを発生する部分であり、真空チャンバ内のフィラメントで生じた熱電子を、グリッドによって引き出し、さらにウインドウとの間にかけられた高圧電(70〜300kV)によって、電子を加速することができる。二次的に発生するX線はセルフシールド構造によって安全に遮蔽され、作業環境には影響しないよう安全が確保されることが好ましい。電源部には加速のための高電圧電源、フィラメント電源などが納められ、制御部には制御システム、各種モニターなどが納められているものを好適に用いることができる。
【0019】
<(1−3)UV照射処理>
紫外線(UV)は、通常、可視光(約380nm紫色〜780nm赤色)より波長が短く、目に見えない電子線を言う。さらに紫外線は、その波長により,UV−A(400nm〜315nm)、UV−B(315nm〜280nm)、UV−C(280nm〜200nm)と一般的には分類される。この紫外線(UV)を照射することが、UV照射処理である。この際、積算照度が少なくとも1J/cm以上で、被処理体の表面処理を行うことが好ましい。それ以上である場合、十分な照射エネルギーが得られ、効果的な親水化処理できるため好ましい。
代表的なUV照射装置の構成は以下のとおりである。UVランプとして、紫外線を効率よく発光する専用ランプが採用される。発光させる波長により、低圧水銀/高圧水銀/メタルハライドの3タイプがあり、用途に応じて使い分けられる。さらに、UVランプを保持し、紫外線を効率よく被照射物に照射する反射板を有してもよい。冷却装置として、ランプから発生する熱を強制冷却する装置も好適に採用される。さらに、電源装置、搬送装置m安全扉などが適用されることが好ましい。
【0020】
<(1−4)UVオゾン照射処理>
代表的なUV−O処理の原理は、紫外線による有機化合物の分解とOの生成及び分解の過程における強力な酸化作用により有機化合物が揮発性の物質に変化して(例えば水、炭酸ガス、窒素等)表面改質するものである。公知の低圧水銀灯より放射される主な紫外線の波長は184.9nm及び253.7nmで、空気中の酸素Oが184.9nmの紫外線に照射されると紫外線を吸収し、特定の反応によってOを発生する。またオゾンOが253.7nmの紫外線に照射されると紫外線を吸収して、Oを分解する。このOの生成、分解の過程において原子状の酸素Oが発生し、この原子状の酸素Oが強力な酸化力を持っており、被処理体の表面改質を行うことができる。UVオゾン照射の装置としては、上記UV照射で上げたもの等を利用することができる。
【0021】
<(1−5)コロナ放電処理>
コロナ放電(Corona discharge)は、従来公知の現象であり、尖った電極(針電極)の周りに不均一な電界が生じることにより起こる持続的な放電の総称である。この際、針電極周辺に認められる発光部をコロナと呼ぶ。コロナ放電によって流れる電流は小さく数μA程度である一方、気体中に効果的にイオンを増加させることができる。放電路の発光は電界の集中する針電極周囲に限定して認められる。火花放電においても、主放電路形成に先だって認められる。
コロナ放電処理装置は、典型的なものとして、絶縁された電極と誘電体ロールとの間にフィルムを通し、高周波(約40kHz)高電圧を印加してコロナ放電を発生させるものが挙げられる。このコロナ放電によって酸素等の気体成分が活発なプラズマ状態となり、コロナ放電の中の加速電子が樹脂表面に衝突し、樹脂表面の分子鎖切断含酸素官能基付加が起こる。その結果、樹脂表面に極性基(OH基・カルボニル基等)が発生し、被処理体の表面を改質することができる。
【0022】
<(2)シランカップリング処理を行う方法>
上記(1)の処理のみの場合、経時で水に対する接触角が上がってきてしまうことがある。他方、(1)の処理の後、ラジカルや、ヒドロキシル基が表面に存在しているので、シランカップリング剤を塗布し、さらなる表面改質を行うことができる。シランカップリング剤として下記式A−1に示すケイ素含有化合物を利用することにより、金属酸化物や窒化物との間に金属(ケイ素)−酸素−ケイ素−炭素といった共有結合を形成させることができる。その結果、基材表面を官能基で被覆することができる。
【0023】
【化2】

【0024】
・X
式中、Xは官能基を示す。
Xとしては、親水性を有していれば、特に限定はされず、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、メトキシ基、スルホン酸基、アセトアミド基、エポキシ基、ウレイド基、スルホン酸基などの官能基とその組み合わせやその誘導体を利用することができる。
また、ラジカルやヒドロキシル基と反応する官能基を含むポリマーとして、ポリマー末端もしくは側鎖に、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、チオール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、シアノ基、ヒドラジノ基、ヒドラジド基、ビニルスルホン基、ビニル基などの官能基を有するものが挙げられる。
【0025】
・L
Lは直鎖、分岐鎖、環状鎖の炭素鎖を含む連結基(リンカー部位)を示す。中でも、アルキレン基、エーテル基(−O−)、又はアミン(−NR−,Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基)が好ましく、炭素数3〜18のアルキレン基がより好ましい。アルキレン基はさらに任意の置換基を伴っていてもよい。
【0026】
・R
Rは水素もしくは炭素数1〜6のアルキル基を示す。中でも、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0027】
・Y
Yは加水分解基を示す。
ここで、加水分解基(Y)とは、アルコキシ基、ハロゲン、アシロキシ基などが挙げられ、より具体的にはメトキシ基、エトキシ基、塩素などが挙げられる。
【0028】
m,nはそれぞれ0〜3の整数を示し、m+n=3とする。なかでも、nが1以上であることが好ましい。
【0029】
式A−1で表されるケイ素化合物の例として具体的には、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルプロピルマレアミックアシッド、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、アセトアミドプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルプロピルジヒドロイミダゾール、トリエトキシシリルスクシニックアンハイドライド、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ポリエチレングリコールトリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−(トリヒドロキシリル)−1−プロパンスルホン酸などが挙げられる。シランカップリング剤の反応方法としては一般的な方法に従えば良く、例えば書籍、「シランカップリング剤の効果と使用法」(サイエンス&テクノロジー社)に記載の方法を利用することができる。下記が挙げられるが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0030】
<(3)金属酸化物を蒸着・スパッタリングする方法>
金属酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、インジウム、チタン、スズなどの金属酸化物を用いることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、SiO、Al、TiO、ITO、SnO、又はこれらの混合物を使用することができる。金属酸化物の薄膜は、上記した材料にて形成される単層でもよいし、上記した材料の2種以上を成分とする単層でもよいし、又はこれらの単層を複数層重ねることによって形成される多層であってもよい。SiOまたはSiOからなる金属酸化物の薄膜、またはSiOまたはSiOを含む組成物を用いて形成した金属酸化物の薄膜を設けることが特に好ましい。
【0031】
金属酸化物の薄膜の膜厚は適宜設定することができる。例えば、真空蒸着法によってポリマー基板の表面にSiOまたはSiOの薄膜を被覆する場合は、金属酸化物の薄膜は、10nm〜50nmであることが好ましい。層厚が薄すぎるとポリマー基板の表面を完全かつ均一に覆うことができず、また膜厚が厚すぎると、ガス透過性能が落ちる、金属酸化物層の間で割れや層間剥離が生じるなど、何れも好ましくない。
【0032】
金属酸化物の薄膜の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法又はスパッタリング法などの物理的蒸着法や、CVD法、メッキなどにより形成することができる。好ましくは、真空蒸着法を用いることができる。
【0033】
<(4)化学的エッチング処理>
前記(4)の化学的エッチング処理としては、アルカリ金属を用いて、前記分離層を変性し、親水性が付与される。
【0034】
前記化学的エッチング処理に用いられる有機アルカリ金属溶液としては、例えばメチルリチウム、金属ナトリウム−ナフタレン錯体、金属ナトリウム−アントラセン錯体のテトラヒドロフラン等の有機溶剤溶液、金属ナトリウム−液体アンモニアの溶液等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、アントラセン、ビフェニルを芳香族アニオンラジカルとして用いることが好ましい。
【0035】
[支持層]
支持層に好ましく適用される多孔質支持体は、機械的強度及び高気体透過性の付与に合致する目的のものであれば、特に限定されるものではなく有機、無機どちらの素材であっても構わないが、好ましくは有機高分子の多孔質膜であり、その厚さは1〜3000μm、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは5〜300μmである。この多孔質膜の細孔構造は、通常平均細孔直径が10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下であり、空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜90%である。また、その気体透過率は二酸化炭素透過速度で3×10−5cm(STP)/cm・sec・cmHg以上であることが好ましい。多孔質膜の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。なかでも、高い膜強度、高いガス透過性と分離選択性とを同時に達成する観点から、支持層が、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシドからなるものであることが好ましい。多孔質膜の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状などいずれの形状をとることができる。
【0036】
この支持層は上述したように薄く、多孔質な素材であることが、十分なガス透過性を確保することができ好ましい。また、後述するガス分離層の優れたガス分離選択性を最大限に引き出すためにも、薄膜多孔質の形態が好ましい。一方、ガス分離膜の成形に高温・長時間等のシビアな反応条件が課される場合には、上述した薄く多孔質の支持層を損傷し、複合膜として十分な性能を発揮できない場合がある。かかる観点から、本発明が採用するラジカル架橋性のポリイミド化合物を利用したガス分離複合膜は穏和な条件で製膜することができ、優れた効果を発揮し、製造適正と、製品質との両面で高い性能を発揮しうるものである。
【0037】
本発明においては、ガス分離層を形成する支持層の下部にさらに機械的強度を付与するために支持体が形成されていることが望ましい。その支持体としては、織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性およびコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたり等の目的で、不織布を2本のロール挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
【0038】
[分離層の構成材料]
本発明のガス分離膜において、分離層は樹脂からなり、これに適用される材料は、以下にあげられるが、これらに限定されるわけではない。具体的には、ポリイミド類、ポリアミド類、セルロース類、ポリエチレングリコール類であることが好ましい。
【0039】
また、より具体的には、Huntsman Advanced Materials社よりMatrimid(登録商標)の商標で販売されているMatrimid(Matrimid(登録商標)5218は、Matrimid(登録商標)の商標で販売されている特定のポリイミドポリマーを指す)およびHP Polymers GmbH社よりそれぞれ商品名P84および商品名P84HTで販売されているP84またはP84HT等のポリイミド類、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース類、ポリジメチルシロキサン類、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(新中村化学社製)の重合したポリマーなどのポリエチレングリコール類、また、特表2010−513021に記載のポリマーなどを選択することができる。
【0040】
[ガス分離膜の製造方法]
本発明のガス分離膜は、支持体と該支持体上に形成された分離層とを具備する分離膜の製造方法あって、前記支持体の上側に分離層を形成し、該分離層に以下のいずれかの処理を施して親水性の改質処理面を形成することが好ましい。
[(1)プラズマ処理、電子線照射処理、UV照射処理、UVオゾン照射処理、又はコロナ放電処理]
[(2)(1)の処理後に行うシランカップリング処理]
[(3)金属酸化物による蒸着もしくはスパッタリング処理]
[(4)化学的エッチング処理]
(1)〜(4)の各処理に関する詳細についてはすでに詳しく述べた。
【0041】
[ガス混合物の分離方法]
本発明のガス混合物の分離方法は、少なくとも一種の酸性ガスを含むガス混合物から酸性ガスを気体分離膜によって分離する方法において、本発明のガス分離膜又は前記複合膜を用いることができる酸性ガスが二酸化炭素又は硫化水素であることが好ましい。このように、本発明の分離膜はガス(気体)を分離する膜であるが、臨界流体等の分離膜であってもよい。対象となる臨界流体としては、超臨界二酸化炭素が挙げられる。
【0042】
本発明の分離膜を用いる気体の分離方法において、原料の気体混合物の成分は特に規定されるものではないが、ガス混合物の主成分が二酸化炭素及びメタン、又は二酸化炭素及び水素であることが好ましい。ガス混合物が二酸化炭素や硫化水素のような酸性ガス共存下で特に優れた性能を発揮し、好ましくは二酸化炭素とメタン等の炭化水素、二酸化炭素と窒素、二酸化炭素と水素の分離において優れた性能を発揮する。そして、上述のとおり、分離する混合ガス中にBTXが含まれるような場合に本発明が高い効果を発揮して、良好なガス分離性を維持して、膜の長寿命化を図ることができる。
【0043】
とりわけ、供給されるガスが二酸化炭素とメタンとの混合ガスであり、40℃、8気圧における二酸化炭素の透過速度が10GPU超であることが好ましく、10〜500GPUであることがより好ましい。二酸化炭素とメタンとの透過速度比(PCO2/PCH4)は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。
【0044】
[ガス分離膜モジュール・気体分離装置]
本発明のガス分離膜は多孔質支持体と組み合わせた複合膜とすることが好ましく、更にはこれを用いた分離膜モジュールとすることが好ましい。また、本発明のガス分離膜、複合膜又は分離膜モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する気体分離装置とすることができる。
本発明のガス分離膜はモジュール化して好適に用いることができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。また本発明の高分子膜は、例えば、特開2007−297605号に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
<分離膜(101)の作製>
市販のMatrimid5218(Huntsman Advanced Materials社製、Matrimid(登録商標)5218。Matrimid(登録商標)の商標で販売されている特定のポリイミドポリマーを指す。)5質量%を含むメチルエチルケトン(MEK)溶液を組成物101aとして調製し、ポリアクリロニトリル多孔質膜(GMT社製、不織布上にポリアクリロニトリル多孔質膜が存在、不織布含め、膜厚は約180μm)を支持体として、塗布・乾燥させた。その後、表面改質として、UVオゾン処理(UVオゾン処理装置(NIPPON LASER&ELECTRONICS LAB社製、NL−UV253)を用いて、6分間の処理)を行うことで、分離膜(101)を作製した。
【0046】
<分離膜(102)の作製>
表面改質を、前記UVオゾン処理後、トリエトキシシリルプロピルジヒドロイミダゾールのトルエン溶液を塗布・乾燥し、メタノール洗浄したものに変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(102)を作製した。
【0047】
<分離膜(103)の作製>
表面改質を、前記UVオゾン処理後、トリエトキシシリルスクシニックアンハイドライドのアセトン溶液を塗布・乾燥し、メタノール、アルカリ洗浄したものに変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(103)を作製した。
【0048】
<分離膜(104)の作製>
表面改質を、SiO粉末を酸素ガス雰囲気中で抵抗加熱蒸着したものに変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(104)を作製した。
【0049】
<分離膜(105)の作製>
分離層を、市販のセルロースアセテートL70に変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(105)を作製した。なお、この分離膜の表面処理前の接触角は62°であった。
【0050】
(比較例)
<分離膜(c11)の作製>
表面改質を行わない以外は、実施例1と同様にして、分離膜(c11)を作製した。なお、この分離膜における分離層表面の接触角は、実施例のものにおいて、表面出しした分離層基部の表面接触角として評価することができる。
【0051】
<分離膜(c12)の作製>
表面改質を、UVオゾン処理後、フェニルジメチルクロロシランのトルエン溶液を塗布・乾燥し、メタノール洗浄したものに変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(c12)を作製した。
【0052】
<分離膜(c13)の作製>
表面改質を、UVオゾン処理後、5%アクリルアミド水溶液に含浸させ、電子線照射を行い、メタノール洗浄したものに変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(c13)を作製した。
【0053】
<分離膜(c14)の作製>
表面改質を、UVオゾン処理後、1%アクリル酸水溶液を塗布し、電子線照射を行い、メタノール洗浄したものに変更した以外は実施例1と同様にして、分離膜(c14)を作製した。
【0054】
−ガス分離評価1−
前記で製膜した各分離膜を用いて二酸化炭素ガスの分離性能について、以下のように評価した。
支持体ごと直径47mmに切り取り、PTFEメンブレンフィルターで挟んで透過試験サンプルを作製した。テストガスとしてCO/CH:50/50(容積比)の混合ガスを相対湿度0%、流量300ml/分、温度40℃、全圧200kPaで、前記の各サンプル(有効面積2.40cm)に供給し、透過側にArガス(流量90ml/分)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO透過速度と分離係数を算出した。その値を表1に示す。
【0055】
−ガス分離評価2−
ガス組成をCO/CH/BTX:40/40/20にした以外は、ガス分離評価1と同様にし、分離性能を測定した。その値を表2に示す。
BTX:ベンゼン、トルエン、キシレンの等量(質量)混合物
【0056】
−接触角評価−
前記で製膜した各分離膜の平滑をとり、水を対象液とし、接触角計(DM−501)を用いることで、表面接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0057】
−改質処理層の厚さ(T)−
前記本文で述べたTEMもしくはSEMによる観察により測定した。ただし、一部のサンプルはAMFによる観察測定を行った。
【0058】
−膜寿命−
ガス分離評価2において、10時間後の分離係数の減少率を、本願の膜寿命として、評価する。
【0059】
【表1】

【0060】
*1 透過流速単位:1×10-6cm3(STP)/(s・cm2・cmHg)
*2 α=Q(CO2)/Q(CH4)
*3 表面が分子レベルで親水性化されているため厚さの測定は困難であったが、0.001μm以下であると推定される。
*4 マスクによるAFM評価法にて。
【0061】
表面接触角が低い方が、親水性が高く、膜寿命が向上することが分かる(実施例101〜105、比較例c11〜c13を対比参照)。比較例c14は膜寿命・選択性の観点では良い結果を示したが、改質処理層厚が厚く、透過流束が1GPU以下であるため、実質的に、分離膜としての実用性は低くなる。
膜試料c13は、表面改質層にも、多孔質支持体にも、グラフトされてしまっており、トータルの表面処理層として厚くなりすぎてしまった。そのため、透過流束がかなり落ちている。
【0062】
(実施例2)
−モジュール化−
実施例1で作製した分離膜を用いて、特開平5−168869を参考に、スパイラル型モジュールを作製した。作製した本発明(実施例)の分離膜モジュールは、内蔵する分離膜の性能の通り良好なものであることを確認した。
【符号の説明】
【0063】
1 ガス分離層
1a 親水性改質処理面(親水性改質処理層)
1b 分離層基部
2 多孔質層
3 不織布層
10、20 ガス分離複合膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と該支持体上に形成された樹脂からなる分離層とを具備するガス分離膜であって、前記分離層は前記支持体とは反対側に親水性の改質処理面を有し、該親水性改質処理面を構成する層の膜厚が0.1μm以下であり、前記親水性改質処理面の水を用いた表面接触角が60°以下である記載のガス分離膜。
【請求項2】
前記親水性改質処理面を構成する層の膜厚が0.05μm以下である請求項1に記載のガス分離膜。
【請求項3】
前記親水性改質処理面が、以下のいずれかの処理を施された改質面である請求項1又は2のいずれかに記載のガス分離膜。
[(1)プラズマ処理、電子線照射処理、UV照射処理、UVオゾン照射処理、又はコロナ放電処理]
[(2)(1)の処理後に行う親水性シランカップリング剤処理]
[(3)金属酸化物による蒸着もしくはスパッタリング処理]
[(4)化学的エッチング処理]
【請求項4】
前記分離層が、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、又はポリエチレングリコール樹脂で形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項5】
前記(2)シランカップリング処理より、前記分離層の改質処理面に、下記式A−1に示すケイ素含有化合物が付与された請求項3又は4に記載のガス分離膜。
【化1】

(式中、Xは官能基を示す。Lは直鎖、分岐鎖、もしくは環状鎖の炭素鎖を含む連結基を示す。Rは水素もしくは炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは加水分解基を示す。m、nはそれぞれ0〜3の整数を示し、m+n=3である。)
【請求項6】
前記(3)金属酸化物による蒸着・スパッタリング処理により、前記分離層の改質処理面に、ケイ素、アルミニウム、インジウム、チタン、及び/又はスズの金属酸化物が付与された請求項3又は4に記載のガス分離膜。
【請求項7】
前記親水性改質処理面の水の表面接触角(α)と前記処理の施されていない分離層基部を表面出ししたときの水の接触角(α)との差(α−α)が10°以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項8】
支持体と該支持体上に形成された分離層とを具備するガス分離膜の製造方法あって、前記支持体の上側に分離層を形成し、該分離層に以下のいずれかの処理を施して親水性の改質処理面を形成するガス分離膜の製造方法。
[(1)プラズマ処理、電子線照射、UV照射、UVオゾン照射、又はコロナ放電処理]
[(2)(1)の処理後に行うシランカップリング処理]
[(3)金属酸化物による蒸着もしくはスパッタリング処理]
[(4)化学的エッチング処理]
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のガス分離膜を有するガス分離膜モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−75264(P2013−75264A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217159(P2011−217159)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】