説明

ガス化炉生成ガス中のタール分析方法およびその装置

【課題】コンパクトな装置構成で、プラントの稼動現場で速やかにタール濃度を精度良く把握する。
【解決手段】試料ガス導入管2にて導入される一定量の生成ガスを、空気導入管7にて導入される空気で希釈して分離カラム12に導入し、この分離カラム12にて生成ガス中のタールを分離してその分離カラム12内に吸着保持させ、次いで、分離カラム12に空気を通過させて吸着保持されたタールを空気とともに分離カラム12から流出させ、流出されたタールを燃焼室18にて酸化触媒の作用により燃焼させ、その燃焼により生成される二酸化炭素量を非分散赤外線分析計19にて計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス等をガス化炉でガス化して得られる生成ガス中のタール量を計測するガス化炉生成ガス中のタール分析方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばバイオマスを流動層ガス化炉でガス化して得られる生成ガス中には"タール"と総称される有機物を含有している。このタールは、高温域ではガスとして存在しているが、低温域では固体などに相変化してプラントやガス利用設備(例えばガスエンジン、ガスタービンなどの発電機や燃料電池)に障害を与える原因となる。流動層ガス化炉において、この障害の引き金となる主なタール成分はナフタレンであるが、他に、アセナフチレンやフェナントレンなど、ナフタレンよりやや大きい多環芳香族炭化水素類も含まれる。
【0003】
ところで、"タール"の定義は曖昧なため、生成ガス中のタールを計測する方法としては多数の方法が存在する。非特許文献1には、この計測法を国際的に統一する目的で示された方法が記載されている。この方法においては、図3に示されるように、生成ガスを取り込むサンプリングプローブ51と、このサンプリングプローブ51の後端部に接続されたフィルタ52とが設けられ、このフィルタ52によってガス中のダストおよび粒子状タールが捕集される。なお、サンプリングプローブ51およびフィルタ52は、途中でタールが凝縮しないように加温されている。フィルタ52を通過したガス状タールは冷却された複数の有機溶媒トラップ53内の捕集液(2−プロピルアルコールなどの有機溶媒)により捕集され、有機溶媒トラップ53を通過したタールは、固形吸着剤54によって捕集される。なお、図中符号55は流量指示器、56は体積流量計である。
【0004】
このようにしてフィルタ52および固形吸着剤54に捕集されたタールは、ソックスレー抽出器などを用いて有機溶媒(捕集液と同じもの)中に抽出される。そして、この抽出液と有機溶媒トラップ53内の捕集液とを混合し、所定の温度・圧力条件下にて有機溶媒を蒸発させてその蒸発残渣の重量を秤量し、これをタール量とする。得られたタール量の値をサンプリングガス量で除すことにより、ガス化生成ガス量当たりのタール量を求めることができる。
【0005】
タール分析方法の他の従来例としては、非特許文献2に示されているような水素炎イオン化検出器を用いる方法や、特許文献1に示されているようなガスクロマトグラフィーおよび重量計測法による方法などがある。
【0006】
しかしながら、非特許文献1および特許文献1に開示された方法を含むほとんどのタール分析法は、試料をラボに持ち帰って分析する手法であるために、結果が判明するまでに数日を要し、プラントの運転管理に反映させる上で支障がある。また、これらの分析法は、大部分を手動操作によっているため、再現性の高い結果を得るためには、操作者の熟練を必要とするという問題点がある。
【0007】
一方、非特許文献2に開示された水素炎イオン化検出器を用いる方法では、対象成分によって検出感度が異なるという問題点があるほか、水素ガスを用いるために水素ガスボンベもしくは水素ガス発生器が必要となって、装置構成が大掛かりになってしまうという問題点がある。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−2071号公報
【非特許文献1】J.P.A.Neeftほか、"Guideline for Sampling and Analysis of Tar and Particles in Biomass Producer Gases"、Energy project EEN5−1999−00507、p.1−46
【非特許文献2】O.Moerschほか、"Tar quantification with a new online analyzing method"、Biomass and Bioenergy 18(2000)、p.79−86
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、コンパクトな装置構成で、プラントの稼動現場で速やかにタール濃度を把握することができるとともに、操作者間の癖や習熟度の差に基づく計測誤差が発生することのないガス化炉生成ガス中のタール分析方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、第1発明によるガス化炉生成ガス中のタール分析方法は、
ガス化炉でガス化して得られる生成ガス中のタール量を計測するガス化炉生成ガス中のタール分析方法において、
一定量の生成ガスを空気で希釈して分離カラムに導入し、この分離カラムにて生成ガス中のタールを分離してその分離カラム内に吸着保持させ、次いで、分離カラムに空気を通過させて吸着保持されたタールを空気とともに分離カラムから流出させ、流出されたタールを酸化触媒の作用により燃焼させ、その燃焼により生成される二酸化炭素量を計測することで生成ガス中のタール量を計測することを特徴とするものである。
【0011】
また、第2発明によるガス化炉生成ガス中のタール分析装置は、
ガス化炉でガス化して得られる生成ガス中のタール量を計測するガス化炉生成ガス中のタール分析装置において、
(a)一定温度に保持された恒温槽と、
(b)生成ガスを前記恒温槽内へ導入する生成ガス導入管と、
(c)空気を前記恒温槽内へ導入する空気導入管と、
(d)生成ガスを前記恒温槽外へ導出する生成ガス導出管と、
(e)前記恒温槽内に配され、前記生成ガス導入管により導入された生成ガスもしくは前記空気導入管により導入された空気が選択的に流入されるガスホルダと、
(f)前記恒温槽内に配され、前記空気導入管により導入された空気と前記ガスホルダ内の生成ガスとが流入されるか、もしくは前記空気導入管により導入された空気のみが流入される分離カラムと、
(g)前記分離カラムを通過した後の処理ガスを前記恒温槽外へ導出する処理ガス導出管と、
(h)前記恒温槽内に配され、前記生成ガス導入管から導入された生成ガスを前記ガスホルダを通過させて前記生成ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出するとともに、前記空気導入管から導入された空気を前記分離カラムを通過させて前記処理ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出する第1の動作位置と、前記生成ガス導入管から導入された生成ガスを前記ガスホルダを通過させずに前記生成ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出するとともに、前記空気導入管から導入された空気を前記ガスホルダおよび前記分離カラムを通過させて前記処理ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出する第2の動作位置とを切り替え操作される切替弁と、
(i)前記分離カラムから流出された処理ガス中のタールを酸化触媒の作用により燃焼させる燃焼室と、
(j)前記燃焼室から導出される二酸化炭素量を計測する分析計と
を備えることを特徴とするものである。
【0012】
前記第2発明において、前記分離カラムは、珪藻土にジメチルシロキサンポリマーをコーティングしたものをステンレス管もしくはガラス管に充填したものであるのが良い(第3発明)。
【0013】
前記生成ガス導入管は、100℃〜350℃に加熱されているのが好ましい(第4発明)。また、前記生成ガス導入管には、生成ガス中のダストを除去するフィルタが介挿されるのが好ましい(第5発明)。さらに、前記生成ガス導入管には、生成ガスを希釈するための希釈用窒素ガス導入管が接続されるのが好ましい(第6発明)。
【0014】
前記空気導入管には、空気中の水分を除去する除湿管、空気中の二酸化炭素を除去する二酸化炭素トラップおよび空気中の有機物を除去するカーボントラップが介挿されるのが好ましい(第7発明)。
【発明の効果】
【0015】
第1発明または第2発明によれば、従来の湿式捕集法などと比べて、プラントの稼動現場でガス化炉生成ガス中のタール濃度を速やかに把握することができる。また、機械的手法であるため、操作者間の癖や習熟度の差に基づく測定誤差が生じることがない。また、従来の水素炎イオン化検出器を用いる手法と比べて、水素ガスが不要であるため、水素ガスボンベもしくは水素ガス発生器が不要となり、装置構成をコンパクトにすることができる。また、対象成分に関わらず検出感度を維持することができる。この結果、タール処理設備の運転管理に有用なシステムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明によるガス化炉生成ガス中のタール分析方法およびその装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係るタール分析装置のシステム構成図が示されている。本実施形態は、バイオマスを流動層ガス化炉でガス化して得られた生成ガス中のタール量を計測する装置に適用されたものである。
【0018】
本実施形態のタール分析装置1においては、前記生成ガスから試料ガスを導入する試料ガス導入管(生成ガス導入管)2が設けられ、この試料ガス導入管2により取り込まれた生成ガスがフィルタ3に導かれ、このフィルタ3によって試料ガス中のダストが除去される。ここで、試料ガス導入管2は、導管内部での水分やタールの凝縮を避けるため、100〜350℃に加熱されている。フィルタ3の下流側には、試料ガスの希釈用の窒素ガスを混入する窒素ガス導入管4が接続され、試料ガス中のタール量が多い場合には流量調整弁5を開作動して既知量の希釈用窒素ガスを混入して試料ガスを希釈するようにされている。この場合、希釈用窒素ガス中にはCOおよび有機物を含有しないようにされている。
【0019】
その後、試料ガスは一定温度に保持された恒温槽6に導入される。一方、この恒温槽6にはその恒温槽6内に空気を導入する空気導入管7が接続されている。ここで、空気導入管7の途中には、シリカゲルなどを充填した除湿管8、水酸化リチウムペレットなどを充填したCOトラップ9およびカーボンモレキュラーシーブや活性炭を充填したカーボントラップ10が配されており、除湿管8により空気中の水分が除去され、COトラップ9により空気中のCOが除去され、カーボントラップ10により空気中の有機物が除去される。こうして、清浄化された空気が恒温槽6に導入される。なお、除湿管8、COトラップ9およびカーボントラップ10は同等の機能を持つ他の装置に置き換えることもできる。
【0020】
恒温槽6内には、試料ガス導入管2により導入された試料ガスが流入されるガスホルダ11と、試料ガス中のタールを吸着保持する分離カラム12と、試料ガス導入管2により恒温槽6内に導入された試料ガスの導出方向および空気導入管7により恒温槽6内に導入された空気の導出方向をそれぞれ切り替える八方切替弁で構成される切替弁13が配されている。また、恒温槽6には、試料ガス導入管2により導入された試料ガスを恒温槽6外へ導出する試料ガス導出管14と、分離カラム12を通過した後の処理ガスを恒温槽6外へ導出する処理ガス導出管15とが接続されている。なお、試料ガス導出管14には流量調整弁16および吸引ポンプ17が介挿されている。また、分離カラム12は、珪藻土にジメチルシロキサンポリマーをコーティングしたものをステンレス管もしくはガラス管に充填したものである。
【0021】
前記処理ガス導出管15は燃焼室18に接続されている。この燃焼室18は、酸化触媒の作用により、流入するタールを燃焼させて二酸化炭素(CO)へと変換する。この後、その二酸化炭素は非分散赤外線分析計19に導入されてその濃度が計量され、空気は流量調整弁20および吸引ポンプ21を経て排気される。
【0022】
図2にも示されるように、前記切替弁13は、8個のポート(第1ポート13a〜第8ポート13h)を有しており、第1ポート13aに前記空気導入管7が接続され、第3ポート13cに前記試料ガス導入管2が接続され、第4ポート13dに前記試料ガス導出管14が接続され、第7ポート13gに前記処理ガス導出管15が接続されている。また、第2ポート13bと第5ポート13e間は第1バイパス管22にて接続されてその第1バイパス管22の途中に前記ガスホルダ11が介挿され、第8ポート13hと第6ポート13f間は第2バイパス管23にて接続されてその第2バイパス管23の途中に前記分離カラム12が介挿されている。
【0023】
次に、上述の構成よりなるタール分析装置1を用いて、試料ガス中のタール量を計測する手順について説明する。
【0024】
まず、切替弁13を操作して、図2(a)に示されるように、第2ポート13bと第3ポート13c、第4ポート13dと第5ポート13e、第6ポート13fと第7ポート13gおよび第8ポート13hと第1ポート13aが連通するようにした状態で、一定温度に保った試料ガスを試料ガス導入管2より恒温槽6内に導入する。なお、恒温槽6内への導入前に試料ガス中のダストはフィルタ3により除去される。また、試料ガス中のタール量が多い場合には流量調整弁5を開作動して既知量の希釈用窒素ガスを混入して試料ガスを希釈する。
【0025】
こうして、恒温槽6内に導入された試料ガスは、切替弁13の第3ポート13cから第2ポート13bおよび第1バイパス管22を経由してガスホルダ11内に取り込まれ、その後、第5ポート13eおよび第4ポート13dを経由して試料ガス導出管14から排気される。ここで、ガスホルダ11内の圧力を読み取り、圧力が大気圧に満たない場合には、窒素ガス導入管4から希釈用窒素ガスを導入して圧力調整を行っても良い。
【0026】
一方、空気導入管7を通って供給される空気は、除湿管8により水分が除去され、COトラップ9によりCOが除去され、カーボントラップ10により有機物が除去されて清浄化された後、恒温槽6内に導入される。こうして、恒温槽6内に導入された空気は切替弁13の第1ポート13aから第8ポート13hおよび第2バイパス管23を経由して分離カラム12に達する。この分離カラム12を空気が通過する際に、分離カラム12中に保持されたタールが溶出し、空気とともに第6ポート13fおよび第7ポート13gを経由して後段に流出する。なお、分離カラム12は使用頻度に応じて定期的に交換することが必要となる。
【0027】
タールの溶出した空気が燃焼室18に導入されると、この燃焼室18における酸化触媒の作用により、タールが燃焼されて二酸化炭素に変換され、この二酸化炭素濃度が非分散赤外線分析計19に導入されてその濃度が計量される。計測された二酸化炭素濃度を時間軸に対してプロットすると、1つないし複数のピーク値が得られるので、所定の時間内に検出された全てのピーク面積の合計値を求める。このピーク面積の合計値はタール由来の炭素量と相関を持つので、予め得ておいた検量線を参照し、タール由来の炭素量を求める。そして、求めた炭素量を試料ガス量で除することによって、試料ガス中のタール由来の炭素濃度を求めることができる。非分散赤外線分析計19に導入された試料ガス量は、ガスホルダ11の容量によって決まるが、ガスホルダ11内の圧力が大気圧でないときは、圧力補正を行う必要がある。
【0028】
所定時間経過後、切替弁13を切り替え、図2(b)に示されるように、第12ポート13aと第2ポート13b、第3ポート13cと第4ポート13d、第5ポート13eと第6ポート13fおよび第7ポート13gと第8ポート13hが連通するようにする。
【0029】
このとき、空気導入管7を通って導入される空気は、切替弁13の第1ポート13aから第2ポート13bおよび第1バイパス管22を経由してガスホルダ11に至り、このガスホルダ11内に保持されている試料ガスとともに第5ポート13eおよび第6ポート13fを経て分離カラム12内へ流入する。こうして、分離カラム12では試料ガス中のタールがカラム内に吸着保持される一方、低沸点の炭化水素(メタン、エチレンなど)、CO、COはカラムに保持されずに第2バイパス管23、第8ポート13hおよび第7ポート13gを経由して後段へと流れ、燃焼室18で燃焼された後に排気される。
【0030】
一方試料ガス導入管2より恒温槽6内に導入された試料ガスは、第3ポート13cから第4ポート13dを経由して試料ガス導出管14から排気される。
【0031】
この後、所定時間経過後に切替弁13が再度図2(a)に示す位置に切り替えられる。このようにして、切替弁13を図2(a)の位置と図2(b)の位置に交互に切り替えることで、ガスホルダ11内の試料ガスが空気とともに分離カラム12に導入されて試料ガス中のタールが分離カラム12に吸着保持され、その後、空気のみが分離カラム12を通過することで、保持されたタールが空気に溶出されてそのタールが燃焼室18にて燃焼されるという動作を交互に行うことになる。そして、この分離したタールを酸化触媒の作用により燃焼させ、その燃焼により生成される二酸化炭素量を計測することで試料ガス中のタール量を計測することができる。
【0032】
本実施形態のタール分析方法によれば、対象成分を酸化してそのCO濃度を測定しているので、対象成分に関わらず、その炭素数にほぼ比例した応答を得ることができるという利点がある。また、生成ガスに含まれるタール成分量をオンサイトで準連続的に計測することができるので、プラントの運転管理面に速やかに反映させることができる。例えば、スクラバの運転条件へのフィードバックや、おがくずフィルタや活性炭塔の交換周期の判定、改質・燃焼処理を行う際の運転条件の調整、更にはガス化炉の運転条件調整などに応用することができる。
【0033】
本実施形態では、バイオマスを流動層ガス化炉でガス化して得られた生成ガス中のタール量を計測する装置に適用したものを説明したが、本発明は、バイオマス以外の燃料、例えば石炭ガス化炉に対しても適用することができる。また、流動層ガス化炉以外のガス化炉にも適用することができる。なお、これらの場合、予め本実施形態の装置の応答と、他の手法(湿式捕集−重量法)との相関を求めておくことが必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るタール分析装置のシステム構成図
【図2】図1を部分的に拡大して示す動作説明図
【図3】従来のタール計測法を示すシステム構成図
【符号の説明】
【0035】
1 タール分析装置
2 試料ガス導入管(生成ガス導入管)
3 フィルタ
4 窒素ガス導入管
6 恒温槽
7 空気導入管
8 除湿管
9 COトラップ
10 カーボントラップ
11 ガスホルダ
12 分離カラム
13 切替弁
14 試料ガス導出管(生成ガス導出管)
15 処理ガス導出管
18 燃焼室
19 非分散赤外線分析計(分析計)
22 第1バイパス管
23 第2バイパス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化炉でガス化して得られる生成ガス中のタール量を計測するガス化炉生成ガス中のタール分析方法において、
一定量の生成ガスを空気で希釈して分離カラムに導入し、この分離カラムにて生成ガス中のタールを分離してその分離カラム内に吸着保持させ、次いで、分離カラムに空気を通過させて吸着保持されたタールを空気とともに分離カラムから流出させ、流出されたタールを酸化触媒の作用により燃焼させ、その燃焼により生成される二酸化炭素量を計測することで生成ガス中のタール量を計測することを特徴とするガス化炉生成ガス中のタール分析方法。
【請求項2】
ガス化炉でガス化して得られる生成ガス中のタール量を計測するガス化炉生成ガス中のタール分析装置において、
(a)一定温度に保持された恒温槽と、
(b)生成ガスを前記恒温槽内へ導入する生成ガス導入管と、
(c)空気を前記恒温槽内へ導入する空気導入管と、
(d)生成ガスを前記恒温槽外へ導出する生成ガス導出管と、
(e)前記恒温槽内に配され、前記生成ガス導入管により導入された生成ガスもしくは前記空気導入管により導入された空気が選択的に流入されるガスホルダと、
(f)前記恒温槽内に配され、前記空気導入管により導入された空気と前記ガスホルダ内の生成ガスとが流入されるか、もしくは前記空気導入管により導入された空気のみが流入される分離カラムと、
(g)前記分離カラムを通過した後の処理ガスを前記恒温槽外へ導出する処理ガス導出管と、
(h)前記恒温槽内に配され、前記生成ガス導入管から導入された生成ガスを前記ガスホルダを通過させて前記生成ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出するとともに、前記空気導入管から導入された空気を前記分離カラムを通過させて前記処理ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出する第1の動作位置と、前記生成ガス導入管から導入された生成ガスを前記ガスホルダを通過させずに前記生成ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出するとともに、前記空気導入管から導入された空気を前記ガスホルダおよび前記分離カラムを通過させて前記処理ガス導出管を介して前記恒温槽外へ導出する第2の動作位置とを切り替え操作される切替弁と、
(i)前記分離カラムから流出された処理ガス中のタールを酸化触媒の作用により燃焼させる燃焼室と、
(j)前記燃焼室から導出される二酸化炭素量を計測する分析計と
を備えることを特徴とするガス化炉生成ガス中のタール分析装置。
【請求項3】
前記分離カラムは、珪藻土にジメチルシロキサンポリマーをコーティングしたものをステンレス管もしくはガラス管に充填したものである請求項2に記載のガス化炉生成ガス中のタール分析装置。
【請求項4】
前記生成ガス導入管は、100℃〜350℃に加熱されている請求項2または3に記載のガス化炉生成ガス中のタール分析装置。
【請求項5】
前記生成ガス導入管には、生成ガス中のダストを除去するフィルタが介挿される請求項2〜4のうちのいずれかに記載のガス化炉生成ガス中のタール分析装置。
【請求項6】
前記生成ガス導入管には、生成ガスを希釈するための希釈用窒素ガス導入管が接続される請求項2〜5のうちのいずれかに記載のガス化炉生成ガス中のタール分析装置。
【請求項7】
前記空気導入管には、空気中の水分を除去する除湿管、空気中の二酸化炭素を除去する二酸化炭素トラップおよび空気中の有機物を除去するカーボントラップが介挿される請求項2〜6のうちのいずれかに記載のガス化炉生成ガス中のタール分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−14644(P2009−14644A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179496(P2007−179496)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000133032)株式会社タクマ (308)
【Fターム(参考)】