説明

ガス化発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システム

【課題】ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にした石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムを提供する。
【解決手段】石炭ホッパ2から石炭1をガス化炉3に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統51と、チャーホッパ25からチャー9をガス化炉3に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統52を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、ガス化炉3で生成した生成ガス5の処理系統で発生する熱源を用いて石炭搬送系統51及びチャー搬送系統52のうち、少なくとも石炭搬送系統51を通じて石炭1の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する不活性ガスの予熱手段を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭等の固体燃料を用いたガス化炉を備えたガス化発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公知例の特開平5−32977号公報には、石炭の搬送ガス、ホッパの加圧及び石炭流動化用に常温の窒素を用い、ホッパからロータリーバルブを介してガス化炉に石炭を定量搬送する石炭搬送方法が記載されている。
【0003】
また、公知例の特開2000−119666号公報には、ホッパとガス化炉に圧力差をつけることで、ホッパとガス化炉の搬送管の固/気比を高めて、常温の搬送ガスを用いる石炭搬送方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−32977号公報(第1図)
【特許文献2】特開2000−119666号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特開平5−32977号公報及び特開2000−119666号公報に記載された石炭ガス化石炭搬送システムにおいては、下記の課題がある。
【0006】
課題の一つ目は、100〜200℃程度の水又は蒸気の廃熱の有効利用促進である。前記特開平5−32977号公報及び特開2000−119666号公報に記載された石炭ガス化複合発電プラントでは、ガス化炉で発生する生成ガスの冷却過程において100〜200℃程度の水又は蒸気の廃熱は有効利用されずに、そのまま系外に排出されており、プラント効率の低下を招いていることである。
【0007】
また、化学吸収方式のCO回収設備を追設した場合、上記の廃熱がさらに増加する。COの再生塔では、CO吸収液の一部を蒸気等で100℃以上に再加熱・再循環させるプロセスが必要となるが、ここで発生する100℃以上の蒸気が、そのまま廃熱となって系外に排出されている。
【0008】
課題の二つ目は、ガス化複合発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システムにおいて、石炭をガス化炉に搬送する不活性ガスの流量が多く、プラント効率の低下を招いていることである。
【0009】
本発明の目的は、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にしたガス化発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統で発生する熱源を用いて前記石炭搬送系統及びチャー搬送系統のうち、少なくとも前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する不活性ガスの予熱手段を設置したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統を構成する生成ガスを冷却するベンチュリ及び水洗塔で発生する高温水のうち、少なくとも前記水洗塔で発生する高温水を熱源として用いて前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガス及び前記チャー搬送系統を通じてチャーの気流搬送を行う不活性ガスの双方をそれぞれ予熱する熱交換装置を設置したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で生成した生成ガスの脱硫装置を備えた生成ガスの処理系統と、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、前記脱硫装置による脱硫後の生成ガスをシフト反応させるシフト反応器と、前記シフト反応器でシフト反応させた生成ガスをCO吸収液を気液接触させるCO吸収塔と、前記CO吸収液を加熱してCOを分離して回収するCO再生塔を備えたCO回収設備を備え、前記CO再生塔からCO吸収液の一部を抜き出して蒸気で加熱して該CO再生塔に再投入するCO吸収液の循環系統を備え、このCO吸収液を加熱する蒸気を熱源として利用して前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する熱交換装置を設置したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統を構成する生成ガスを冷却するベンチュリ及び水洗塔で発生する高温水を熱源として用いて前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する第1の熱交換装置、及び前記チャー搬送系統を通じてチャーの気流搬送を行う不活性ガスを予熱する第2の熱交換装置をそれぞれ設置し、前記石炭搬送系統及びチャー搬送系統に、前記第2の熱交換装置及び第2の熱交換装置によって予熱した不活性ガスを供給する供給系統と、前記石炭及びチャーを気流搬送する常温の不活性ガスを供給する供給系統をそれぞれ配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にしたガス化発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例である石炭ガス化発電プラントを示す概略構成図。
【図2】本発明の第2実施例である石炭ガス化発電プラントを示す概略構成図。
【図3】本発明の第3実施例である石炭ガス化発電プラントを示す概略構成図。
【図4】本発明の第4実施例である石炭ガス化発電プラントを示す概略構成図。
【図5】第1実施例乃至第4実施例の石炭ガス化複合発電プラントに用いる石炭供給系統の詳細構成を示す一例。
【図6】第1実施例乃至第4実施例の石炭ガス化複合発電プラントに用いる石炭供給系統の詳細構成を示す他の一例。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例であるガス化発電プラントの石炭搬送システムについて、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の第1実施例であるガス化発電プラントの石炭搬送システムは、図1に示すように、ガス化複合発電プラントのガス化炉3で発生した生成ガス5の冷却過程で発生する高温水を熱源とし、石炭及びチャー搬送の不活性ガスを予熱する熱交換器15、16を備えた石炭搬送システムを開示している。
【0018】
図1に示した本実施例の石炭ガス化発電プラントでは、ガス化炉3で発生した生成ガス5を冷却するベンチュリ11、及び水洗塔13で発生する高温水を熱源とし、石炭1及びチャー9を搬送する不活性ガスを予熱する熱交換器15、16を備えた、石炭ガス化複合発電プラントのプロセスフローを示している。
【0019】
石炭1は石炭ホッパ2に貯蔵されており、不活性ガスによる気流搬送によって該石炭1はガス化炉3に供給される。ここで不活性ガスは、空気分離器4で製造した窒素Nを用いている。
【0020】
前記ガス化炉3において、石炭1は空気分離器4で製造されて該ガス化炉3に供給された酸素Oとガス化する。そして石炭1中の可燃分はCOやHを主成分とする高温の生成ガス5に、石炭1中の灰分は溶融してスラグ6となる。
【0021】
ガス化炉3で発生した生成ガス5は、生成ガスの処理系統を構成するガス化炉3の下流側に設置された熱回収部7で約350℃に冷却され、更に熱回収部7の下流側に設置された生成ガスの処理系統を構成する脱塵装置8で生成ガス5中のチャー9が分離されてチャーホッパ25に排出され、更に脱塵装置8の下流側に設置された生成ガスの処理系統を構成する熱交換器10で約300℃に冷却される。
【0022】
次に、前記熱交換器10を経た生成ガス5は、該熱交換器10の下流側に設置された生成ガスの処理系統を構成するベンチュリ11及び水洗塔13において、常温の冷却水との気液接触により、それぞれ約200℃、約100℃に冷却される。
【0023】
前記ベンチュリ11及び水洗塔13で冷却された生成ガス5は、該水洗塔13の下流側に設置された生成ガスの処理系統を構成する脱硫装置17で脱硫された後に上記熱交換器10によって再加熱され、加熱された生成ガス5がガスタービン装置の燃焼器18に燃料として供給されて燃焼し、ガスタービン装置を駆動する。
【0024】
ガスタービン装置を構成するコンプレッサ24は、空気を加圧して前記燃焼器18に供給すると共に、空気分離器4にも加圧した空気を供給するように構成している。
【0025】
そして燃焼器18で生成ガス5を燃焼して生じた燃焼排ガスは、発電機(図示せず)に連結されたガスタービン19を駆動し、該ガスタービン19を流下した排ガスをボイラ20に導いて、排ガスの廃熱をボイラ20で回収して蒸気を発生させ、この発生した蒸気を蒸気タービン21に供給して発電機(図示せず)に連結された前記蒸気タービン21を駆動する。
【0026】
ここで、生成ガスの処理系統を構成する上記ベンチュリ11にて冷却水12は約200℃、水洗塔13にて冷却水14は約100℃にそれぞれ加熱されており、これらの冷却水12及び冷却水14を再循環するためには、常温(35℃)に冷却する必要がある。
【0027】
そこで、ベンチュリ11と水洗塔13において、常温の冷却水との気液接触により、それぞれ約200℃、約100℃に冷却された100〜200℃の冷却水12、14を熱源として利用して、石炭1をガス化炉3に搬送する搬送窒素を予熱する低温熱交換器15及び、該低温熱交換器15によって予熱された搬送窒素を更に高温に予熱する高温熱交換器16をそれぞれ設置し、これらの低温熱交換器15及び高温熱交換器16によって予熱した搬送窒素を前記石炭ホッパ2を経由してガス化炉3に供給する石炭搬送系統51を配設している。
【0028】
上記の構成によって石炭1をガス化炉3に搬送する搬送窒素は、約100℃の水洗塔13の冷却水14を熱源とする低温熱交換器15によって最大100℃に予熱され、更に約200℃のベンチュリ11の冷却水12を熱源とする高温熱交換器16によって最大200℃に予熱されて前記石炭搬送系統51を通じて供給される。
【0029】
以上説明したように、本実施例のガス化複合発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システムにおいて、石炭1を搬送する搬送窒素を200℃に予熱できれば、常温(35℃)の窒素を石炭の搬送に使用する場合と比較して、搬送窒素の流量を約35%削減できる。これは、石炭1の搬送窒素流速を一定とするため、(1)式が成り立つことによる。尚、(1)式の温度はケルビン表示している。
【0030】
100×(1−(273+35)/(273+200))≒35% ・・・(1)
また、チャー9をチャーホッパ25からガス化炉3に再投入する場合に使用するチャー9の搬送窒素も、上記したように、低温熱交換器15及び高温熱交換器16から予熱した搬送窒素を前記チャーホッパ25を経由してガス化炉3に供給するチャー搬送系統52が配設されている。
【0031】
よって、チャー9の搬送窒素としても、約100℃の水洗塔13の冷却水14を熱源とする低温熱交換器15によって最大100℃に予熱され、更に約200℃のベンチュリ11の冷却水12を熱源とする高温熱交換器16によって最大200℃に予熱される予熱窒素を用いることで、石炭1の搬送窒素の場合と同様に、搬送窒素の流量を削減できる。
【0032】
上記した本実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムによれば、ガス化炉で発生する生成ガスの冷却過程において生じる100〜200℃の高温水の廃熱を有効利用できる。
【0033】
更に、石炭1の搬送窒素量を削減できることにより、生成ガス5中の窒素量も削減され、精製ガス5中の窒素ガスの顕熱ロスを削減できるためプラントの廃熱を削減でき、この結果、プラント効率の向上を図ることが可能となる。
この結果、本実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭ガス化石炭搬送システムにおいては、これまで利用されなかった100〜200℃の水又は蒸気の廃熱を有効利用でできる。
【0034】
また、石炭搬送の不活性ガスを最大200℃に予熱することで、石炭搬送流速を一定とした場合の搬送ガス流量は、常温のガスを用いた場合よりも約35%削減できる。これにより、排ガス中に含まれる不活性ガスの顕熱を削減できるため、発電プラントの廃熱をさらに削減できる。
【0035】
さらに、予熱しない常温の不活性ガス供給系も備えることで、搬送ガスの温度調整が可能となる。搬送ガスの温度調整は、ガス化炉に投入する石炭粒子の温度を調整することとなり、ガス化炉内の火炎温度の調整手段となる。
【0036】
本実施例によれば、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる水又は蒸気の廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にしたガス化発電プラントの石炭搬送システムが実現できる。
【実施例2】
【0037】
次に本発明の第2実施例である石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムについて図2を用いて説明する。
【0038】
第2実施例の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、図1に示した第1実施例である石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムと基本的な構成は同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分だけを以下に説明する。
【0039】
図2に示した本実施例である石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムにおいては、生成ガス中のCOをCO吸収液を用いて吸収・再生方式で化学回収するCO回収設備を備えており、第1実施例の熱交換器15、16の代わりに、CO再生塔30でCO吸収液の一部を加熱する蒸気の廃熱を熱源とし、石炭及びチャー搬送の不活性ガスを予熱する熱交換器36を備えた、石炭ガス化複合発電プラントを開示している。
【0040】
図2に示した本実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムでは、石炭1は石炭ホッパ2に貯蔵されており、不活性ガスによる気流搬送によって該石炭1はガス化炉3に供給される。ここでも不活性ガスは、空気分離器4で製造した窒素Nを用いている。
【0041】
前記ガス化炉3において、石炭1は空気分離器4で製造されて該ガス化炉3に供給された酸素Oとガス化する。そして石炭1中の可燃分はCOやHを主成分とする高温の生成ガス5に、石炭1中の灰分は溶融してスラグ6となる。
【0042】
ガス化炉3で発生した生成ガス5は、ガス化炉3の下流側に設置された熱回収部7で400℃以下に冷却され、更に熱回収部7の下流側に設置された脱塵装置8で生成ガス5中のチャー9が分離されてチャーホッパ25に排出される。
【0043】
次に、脱塵装置8を経た生成ガス5は、脱塵装置8の下流側に設置されたベンチュリ11と水洗塔13において、常温の冷却水との気液接触により、約100℃に冷却される。
【0044】
前記ベンチュリ11及び水洗塔13で冷却された生成ガス5は、該水洗塔13の下流側に設置された脱硫装置17で脱硫された後に、該脱硫装置17の下流側に設置された熱交換器10及び加熱器27によって再加熱されて、該加熱器27の下流側に設置されたシフト反応器28に投入される。
【0045】
前記シフト反応器28においては、生成ガス5に水蒸気が添加され、生成ガス5中のCOは、シフト反応によりCOとなる。そして、前記シフト反応器28では、シフト反応の反応熱によって、COを多く含む生成ガス5は高温化する。
【0046】
従って、COを多く含む生成ガス5は、前記シフト反応器28を経た後で熱交換器10によって冷却された後に、CO吸収塔29に投入される。
【0047】
前記CO吸収塔29においては、COを多く含む生成ガス5は、該CO吸収塔29のCO吸収液31と接触することで、COが分離・回収される。これにより、CO吸収塔29を出た生成ガス5の可燃分は、Hが中心となる。
【0048】
前記CO吸収塔29を出た生成ガス5は、ガスタービン装置の燃焼器18に燃料として供給されて燃焼する。
【0049】
そして前記燃焼器18によって生成ガス5を燃焼して生じた燃焼排ガスは、ガスタービン19を駆動し、該ガスタービン19を流下した排ガスをボイラ20に導いて、排ガスの廃熱をボイラ20で回収して蒸気を発生させ、この発生した蒸気を蒸気タービン21に供給して該蒸気タービン21を駆動する。
【0050】
CO吸収塔29でCOを吸収したCO吸収液31は、CO吸収塔29とCO再生塔30との間に設置されたCO吸収液の熱交換器32及びCO吸収液の加熱器33で100℃以上に加熱されてCO再生塔30に供給される。そしてCO再生塔30でCO吸収液31中のCOが分離・回収される。
【0051】
前記CO再生塔30において、CO吸収液31の多くは、上記CO吸収液の熱交換器32で冷却されてCO吸収塔29に投入され、再度、生成ガス5中のCOを吸収する。
【0052】
一方、一部のCO吸収液は、CO再生塔30内の保温用として抽出され、CO吸収液の循環系統34を循環して再生加熱用のCO吸収液となり、熱交換器35で再加熱されて、CO再生塔30に再び投入される。
【0053】
CO吸収液の循環系統34に設置した上記熱交換器35で、再生加熱用のCO吸収液を加熱する熱源に、ボイラ20で発生した蒸気の一部を用いる。即ち、ボイラ20で加熱した蒸気の一部を、CO吸収液の加熱用蒸気37として抜き出し、この加熱用蒸気37を熱交換器35にて再生加熱用のCO吸収液を加熱する熱源として用いている。
【0054】
熱交換器35に供給するCO吸収液の加熱用蒸気37の温度は、200〜300℃程度で十分であり、ボイラ20で加熱中の蒸気を用いると良い。これは、再生加熱用のCO吸収液34の加熱温度が、最大150℃程度のためである。
【0055】
熱交換器35を出たCO吸収液の加熱用蒸気37の温度は、CO吸収液と同じ、最大150℃程度である。石炭ガス化複合発電プラントでは、150℃程度の蒸気は、一般に復水器26に戻され、蒸気の熱は廃熱となる。
【0056】
そこで、150℃程度のCO吸収液の加熱用蒸気37を熱源として、搬送窒素予熱の熱交換器36にて、石炭1及びチャー9の搬送窒素を予熱する。
【0057】
石炭1及びチャー9の搬送窒素流量に対し、CO吸収液の加熱用蒸気37の流量が多いこともあり、搬送窒素は100℃以上への予熱が可能となる。これにより、搬送窒素の流量を削減できる。
【0058】
上記した本実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムによれば、CO吸収液の加熱用蒸気37である150℃程度の蒸気の廃熱を有効利用できる。また、石炭やチャーの搬送窒素量の削減し、生成ガス5中の窒素量も削減され、生成ガス5中の窒素ガスの顕熱ロスを削減できるため、プラントの廃熱を削減できる。
【0059】
本実施例によれば、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる水又は蒸気の廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にしたガス化発電プラントの石炭搬送システムが実現できる。
【実施例3】
【0060】
次に本発明の第3実施例である石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムについて図3を用いて説明する。
【0061】
第3実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムは、図1に示した第1実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムと基本的な構成は同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分だけを以下に説明する。
【0062】
図3に示した本実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムにおいては、第1実施例に記載の石炭搬送システムの石炭及びチャーを搬送する搬送ガスに、予熱した不活性ガスの窒素だけでなく、常温の不活性ガスの窒素の供給系統を備えた構成である。
【0063】
図3に示した本実施例の石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムにおいて、まず、石炭1をガス化炉3に搬送する搬送窒素の石炭搬送系統51について説明する。空気分離器4で製造された窒素から、低温熱交換器15と高温熱交換器16を経由して予熱した石炭搬送窒素38と、低温熱交換器15と高温熱交換器16を経由しない常温の石炭搬送窒素39を、それぞれ石炭ホッパ2に供給する。
【0064】
ここで、予熱した石炭搬送窒素38と常温の石炭搬送窒素39の両者の流量を変えることで、混合後の窒素温度が可変となる。すなわち、石炭ホッパ2からガス化炉3までの石炭搬送系統51を流れる石炭搬送窒素の温度調整が可能となる。
【0065】
次に、チャー9をガス化炉3に搬送する搬送窒素のチャー搬送系統52について説明すると、上記石炭搬送窒素と同様に、予熱したチャー搬送窒素40と、常温のチャー搬送窒素41を、それぞれチャーホッパ25に供給する。予熱したチャー搬送窒素40と常温のチャー搬送窒素41の両者の流量を変えることで、混合後の窒素温度が可変となる。すなわち、チャーホッパ25からガス化炉3までのチャー搬送系統52を流れるチャー搬送窒素の温度調整が可能となる。
【0066】
本実施例によれば、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる水又は蒸気の廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にした石炭ガス化複合発電プラントの石炭搬送システムが実現できる。
【実施例4】
【0067】
次に本発明の第4実施例である石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムについて図4を用いて説明する。
【0068】
第4実施例の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、図3に示した第3実施例の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムと基本的な構成は同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分だけを以下に説明する。
【0069】
図4に示した本実施例の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいては、第3実施例に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、ガス化炉温度に応じて、石炭及びチャーの搬送窒素温度を調整する制御装置、温度測定器及び流量調整器を備えた構成である。
【0070】
図4に示した本実施例の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムは、ガス化炉温度に応じて石炭及びチャーの搬送窒素温度を調整できる制御装置と、温度測定器及び流量調整器を備えている。
【0071】
ガス化炉3内の温度は、ガス化炉3に設置したガス化炉温度測定器102で計測し、ガス化炉内の温度データを制御装置101に入力させている。
【0072】
前記制御装置101にはガス化炉3内の温度の許容値が設定値として備えており、ガス化炉温度測定器102で計測したガス化炉3内の温度の測定値と前記設定値とを比較してガス化炉内温度が異常に高い、或いは異常に低い場合を判断する。
【0073】
ガス化炉3内の温度が異常に高い場合、火炎温度を低下させる手段の一つとして、予熱した石炭1及びチャー9の搬送窒素温度を低下させることが有効である。
【0074】
そこで、ガス化炉温度測定器102で計測したガス化炉内温度が異常に高いと前記制御装置101で判断した場合は、前記制御装置101からの操作指令に基づいて予熱した石炭搬送窒素38の流量を調節する石炭搬送窒素の流量調整器105の開度を調節して予熱した石炭搬送窒素38の流量を減少させ、更に、前記制御装置101からの操作指令に基づいて常温の石炭搬送窒素39の流量を調節する石炭搬送窒素の流量調整器106の開度を調節して常温の石炭搬送窒素39の流量を増加させる。
【0075】
また、ガス化炉温度測定器102で計測したガス化炉3内の温度が異常に低い場合は、上記と逆に、前記制御装置101からの操作指令に基づいて予熱した石炭搬送窒素38の流量を調節する石炭搬送窒素の流量調整器105の開度を調節して予熱した石炭搬送窒素38の流量を増加させ、更に、前記制御装置101からの操作指令に基づいて常温の石炭搬送窒素39の流量を調節する石炭搬送窒素の流量調整器106の開度を調節して常温の石炭搬送窒素39の流量を減少させる。
【0076】
以上より、窒素流速一定で、石炭搬送窒素の温度を調整することが可能となる。
【0077】
また、石炭搬送窒素の温度監視は、石炭1をガス化炉3に搬送する搬送窒素の石炭搬送系統51に設置した石炭搬送窒素の温度測定器103で計測して、その計測値を前記制御装置101に入力させて監視している。
【0078】
同様に、チャー搬送窒素の温度監視は、チャー9をガス化炉3に搬送する搬送窒素のチャー供給系統52に設置したチャー搬送窒素の温度測定器104で計測して、その計測値を前記制御装置101に入力して監視している。
【0079】
また、チャー9を搬送する予熱したチャー搬送窒素40の流量は、予熱したチャー搬送窒素の流量調整器107で計測し、チャー9を搬送する常温のチャー搬送窒素41の流量は、常温のチャー搬送窒素の流量調整器108で計測し、前記予熱したチャー搬送窒素の流量調整器107及び常温のチャー搬送窒素の流量調整器108で計測した計測値は前記制御装置101に入力して、前記制御装置101から出力する指令信号に基づいてガス化炉3に供給する前記予熱したチャー搬送窒素の流量及び常温のチャー搬送窒素の流量を夫々制御するようにしている。
【0080】
本実施例によれば、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる水又は蒸気の廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にしたガス化発電プラントの石炭搬送システムが実現できる。
【実施例5】
【0081】
本実施例は、第1実施例乃至第4実施例に記載の石炭ガス化発電プラントに設置された石炭搬送システムにおけるホッパ2を含めた石炭供給系統51の詳細について説明したものである。
【0082】
石炭供給系統51として石炭1をガス化炉3に定量搬送する方式は、図5と図6に示す2方式が考えられる。一つ目の方式は、図5に示したロータリーバルブ+エジェクタ方式であり、二つ目の方式は、図6に示した押込み方式である。
【0083】
図5に示したロータリーバルブ+エジェクタ方式では、ミルで粉砕した石炭1は、それぞれ石炭ホッパを構成する常圧ホッパ42に貯蔵され、次に粉体弁48を介してロックホッパ43に供給される。ロックホッパ43内の石炭は、フィードホッパ44と同等以上の圧力に高められることで、ロックホッパ43からフィードホッパ44に供給される。
【0084】
ここで、ホッパ間の石炭移動促進のために、常圧ホッパ42とロックホッパ43の間、及びロックホッパ43とフィードホッパ44との間に設置された各均圧弁49を開けたり、常温の石炭搬送窒素39をこれらの各ホッパ42、43、44に投入しても良い。
【0085】
フィードホッパ44内の石炭は、重力でフィードホッパ44の下流側に設置されたロータリーバルブ45、及びエジェクタ46に落下する。ガス化炉3に供給する石炭1の流量は、ロータリーバルブ45の回転数で制御する。ロータリーバルブ45の軸シール材等の保護のため、ロータリーバルブ45の内部温度を100℃以下とする運用が安全である。
【0086】
従って、ロータリーバルブ45より上流側で使用する窒素には、常温の石炭搬送窒素39を用いると良い。また、エジェクタ46に投入する窒素については、予熱した石炭搬送窒素38を用いると良い。
【0087】
エジェクタ46に投入する窒素流量は、流速一定で制御される。これにより、予熱した石炭搬送窒素38を用いることで、常温の石炭搬送窒素39のみを用いる場合よりも、窒素使用量を削減できる。
【0088】
次に、図6に示した押込み方式について説明する。常圧ホッパ42からフィードホッパ44までの石炭1の移送方法は、上述の図5に示したロータリーバルブ+エジェクタ方式の場合と同じである。フィードホッパ42、43、44には、予熱した石炭搬送窒素38及び常温の石炭搬送窒素39をそれぞれ供給することで、最下段のフィードホッパ44の圧力を、ガス化炉3以上に高める。
【0089】
最下段のフィードホッパ44には、ガス化炉3に石炭1を気流搬送する搬送窒素を供給する石炭搬送管47が直接配設されており、この石炭搬送管47を通じて最下段のフィードホッパ44の中の石炭1を、搬送窒素に同伴させてガス化炉3に押込むことで搬送する。
【0090】
搬送する石炭1の流量は、制御装置101によって、フィードホッパ44からガス化炉3に至る石炭搬送管47内の窒素流速、及びフィードホッパ44とガス化炉3の圧力差で制御している。
【0091】
石炭搬送管47内の窒素流速を一定とし、フィードホッパ42に供給する予熱した石炭搬送窒素38を用いることで、常温の石炭搬送窒素39のみを用いる場合よりも、窒素使用量を削減できる。
【0092】
尚、ガス化炉3の温度を下げる手段として、常温の石炭搬送窒素39を使用することも可能である。
【0093】
本実施例によれば、ガス化炉で発生する生成ガスの処理過程において生じる水又は蒸気の廃熱を石炭搬送の不活性ガスの予熱に有効利用して搬送ガス流量を削減し、プラント効率の向上を可能にしたガス化発電プラントの石炭搬送システムが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
石炭等の固体燃料を用いたガス化炉、並びにガス化複合発電プラントの石炭搬送システムに利用できる。特に、化学吸収方式のCO回収設備を追設した石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムへの適用が有望である。
【符号の説明】
【0095】
1:石炭、2:石炭ホッパ、3:ガス化炉、4:空気分離器、5:生成ガス、6:スラグ、7:熱回収部、8:脱塵装置、9:チャー、10:熱交換器、11:ベンチュリ、12:ベンチュリの冷却水、13:水洗塔、14:水洗塔の冷却水、15:低温熱交換器、16:高温熱交換器、17:脱硫装置、18:燃焼器、19:ガスタービン、20:ボイラ、21:蒸気タービン、22:煙突、23:硫黄分燃焼炉、24:コンプレッサ、25:チャーホッパ、26:復水器、27:加熱器、28:シフト反応器、29:CO吸収塔、30:CO再生塔、31:CO吸収液、32:CO吸収液の熱交換器、33:CO吸収液の加熱器、34:CO吸収液の循環系統、35:熱交換器、36:搬送窒素予熱の熱交換器、37:CO吸収液の加熱用蒸気、38:予熱した石炭搬送窒素、39:常温の石炭搬送窒素、40:予熱したチャー搬送窒素、41:常温のチャー搬送窒素、42:常圧ホッパ、43:ロックホッパ、44:フィードホッパ、45:ロータリーバルブ、46:エジェクタ、47:石炭搬送配管、48:粉体弁、49:均圧弁、51:石炭搬送系統、52:チャー搬送系統、101:制御装置、102:ガス化炉温度測定器、103:石炭搬送窒素の温度測定器、104:チャー搬送窒素の温度測定器、105:予熱した石炭搬送窒素の流量調整器、 106:常温の石炭搬送窒素の流量調整器、107:予熱したチャー搬送窒素の流量調整器、 108:常温のチャー搬送窒素の流量調整機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統で発生する熱源を用いて前記石炭搬送系統及びチャー搬送系統のうち、少なくとも前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する不活性ガスの予熱手段を設置したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
不活性ガスの予熱する前記予熱手段は、前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統で発生する熱源を用いて前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガス及び前記チャー搬送系統を通じてチャーの気流搬送を行う不活性ガスの双方をそれぞれ予熱するように構成したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項3】
石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統を構成する生成ガスを冷却するベンチュリ及び水洗塔で発生する高温水のうち、少なくとも前記水洗塔で発生する高温水を熱源として用いて前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガス及び前記チャー搬送系統を通じてチャーの気流搬送を行う不活性ガスの双方をそれぞれ予熱する熱交換装置を設置したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
不活性ガスを予熱する前記熱交換装置は、前記水洗塔で発生する高温水を熱源とする第1の熱交換装置、及び前記ベンチュリで発生する高温水を熱源とする第2の熱交換装置から構成されていることを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項5】
石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で生成した生成ガスの脱硫装置を備えた生成ガスの処理系統と、
前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
前記脱硫装置による脱硫後の生成ガスをシフト反応させるシフト反応器と、前記シフト反応器でシフト反応させた生成ガスをCO吸収液を気液接触させるCO吸収塔と、前記CO吸収液を加熱してCOを分離して回収するCO再生塔を備えたCO回収設備を備え、
前記CO再生塔からCO吸収液の一部を抜き出して蒸気で加熱して該CO再生塔に再投入するCO吸収液の循環系統を備え、このCO吸収液を加熱する蒸気を熱源として利用して前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する熱交換装置を設置したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項6】
請求項1又は請求項3に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
前記不活性ガスの予熱手段又は不活性ガスを予熱する熱交換装置で予熱した不活性ガスを、ガス化炉で生じたチャーを前記チャーホッパからチャー搬送系統を通じてガス化炉に再投入するチャーの気流搬送を行う不活性ガスとしても供給するように構成したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項7】
石炭を貯蔵する石炭ホッパと、石炭をガス化するガス化炉と、ガス化炉で石炭をガス化する際に生じたチャーを貯蔵するチャーホッパと、前記ガス化炉で石炭をガス化した生成ガスを燃焼して駆動するガスタービン装置と、前記石炭ホッパから石炭を前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送する石炭搬送系統と、前記チャーホッパからチャーを前記ガス化炉に不活性ガスを用いて気流搬送するチャー搬送系統を備えた石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
前記ガス化炉で生成した生成ガスの処理系統を構成する生成ガスを冷却するベンチュリ及び水洗塔で発生する高温水を熱源として用いて前記石炭搬送系統を通じて石炭の気流搬送を行う不活性ガスを予熱する第1の熱交換装置、及び前記チャー搬送系統を通じてチャーの気流搬送を行う不活性ガスを予熱する第2の熱交換装置をそれぞれ設置し、
前記石炭搬送系統及びチャー搬送系統に、前記第2の熱交換装置及び第2の熱交換装置によって予熱した不活性ガスと、前記石炭及びチャーを気流搬送する常温の不活性ガスとを供給する供給系統をそれぞれ配設したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項8】
請求項7に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
ガス化炉の炉内温度と、石炭搬送系統及びチャー搬送系統の不活性ガスの温度を計測する計測装置をそれぞれ備え、前記計測装置で計測したガス化炉の炉内温度と石炭搬送系統及びチャー搬送系統の不活性ガス温度の計測値に基づいて、予熱した不活性ガスと常温の不活性ガスの流量をそれぞれ調節する制御装置を備えたことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項9】
請求項7に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
石炭ホッパの下流側にロータリーバルブ及びエジェクタを順に備え、常温の不活性ガスは前記石炭ホッパに、予熱した不活性ガスは前記エジェクタに、それぞれ供給するように構成したことを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。
【請求項10】
請求項7に記載の石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システムにおいて、
前記石炭ホッパには、ガス化炉3に石炭を気流搬送する搬送窒素を供給する石炭搬送配管が直接配設されていることを特徴とする石炭ガス化発電プラントの石炭搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−111804(P2012−111804A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259654(P2010−259654)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)