説明

ガス化装置モニタ及び制御システム

【課題】複合供給インジェクタを取り外すことなくガス化装置の内部チャンバを視覚的に監視できるようにする。
【解決手段】チャンバ168を画成する壁188、入口170、出口172及びポート174を有するガス化装置106と、入口170に結合され、第1の燃料178及び空気181又は酸素182をチャンバ168に噴射してガス化装置152を予熱するように構成され且つ第2の燃料180及び空気181を予熱後にガス化装置106に噴射して第2の燃料180をガス化するように構成された複合供給インジェクタ154と、ポート174に結合された光学装置156と、光学装置156に結合されたセンサ158と、センサ158に結合され、センサ158からデータ222を収集し、該データ224を処理し、データ222に基づいてガス化装置152の状態を表す出力226を提供するように構成された監視システム160と、を備えるシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、ガス化装置に関し、より詳細にはガス化装置センサ及びモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
IGCC発電プラントは、石炭又は天然ガスなどの様々な炭素系原材料から比較的清浄且つ効率的にエネルギーを発生することができる。IGCC技術は、炭素系原材料をガス化装置において酸素及び蒸気と反応させることによって、一酸化炭素(CO)と水素(H2)のガス状混合物に転化することができる。ガス化装置内の反応は、スラグと呼ばれる副生成物を生成する場合がある。スラグは通常、ガス化装置の内壁を流れ落ち、最終的にガス化装置から出る。場合によっては、スラグは、ガス化装置から流出せず、その代わりにガス化装置スロート内に集まる可能性がある。スラグがガス化装置スロートを閉塞しているか否かを判定するために、オペレータがガス化装置を停止させて供給インジェクタを取り外し、ガス化装置の内部を手作業で検査することができる。残念なことに、手作業の検査は、ガス化装置の高コストの運転休止時間をもたらす結果となり、実際にはオペレータの経験に基づく比較的個人的なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5777797号明細書
【発明の概要】
【0004】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0005】
第1の実施形態において、システムは、チャンバを画成する壁、入口、出口及びポートを有するガス化装置と、入口に結合され、第1の燃料及び空気をチャンバに噴射してガス化装置を予熱するように構成され且つ第2の燃料及び酸素を予熱後にガス化装置に噴射して第2の燃料をガス化するように構成された複合供給インジェクタと、ポートに結合された光学センサと、光学センサに結合され、該光学センサからデータを収集し、該データを処理し、データに基づいてガス化装置の状態を表す出力を提供するように構成された監視システムと、を含む。
【0006】
第2の実施形態において、システムは、ガス化装置のチャンバに配向される光学センサからのイメージデータを収集し、イメージデータを処理して、イメージデータに基づくガス化装置の状態を表す出力を提供するように構成されたガス化装置モニタと、ガス化装置モニタからの出力に応じて、ガス化装置への燃料流、酸素流又は空気流のうちの少なくとも1つを調整するように構成される、ガス化装置コントローラとを含む。
【0007】
第3の実施形態において、方法は、ガス化装置のチャンバのイメージを取得するステップと、ベースラインに対するイメージを空間分析して、チャンバ内部の損耗状態又はスラグ状態を識別するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ガス化装置に対する内部監視及び制御システムを利用できるIGCC発電プラントの一実施形態のブロック図。
【図2】ガス化装置を内部的に監視及び制御するシステムを備えたガス化装置の一実施形態の断面図。
【図3】予熱モードからガス化モードへの移行中にガス化装置を内部的に監視及び制御するためのプロセスの一実施形態を示すフローチャート。
【図4】ガス化装置の内部の1以上の状態を識別するために分析されるイメージデータに基づいて、ガス化装置を内部的に監視及び制御するプロセスの一実施形態を示すフローチャート。
【図5】ガス化装置の内部を表すイメージデータの一実施形態の例示的な図。
【図6】ガス化装置の内部を表す処理されたイメージデータの一実施形態の例示的な図。
【図7】ガス化装置の作動中にガス化装置を内部的に監視するための光学装置の一実施形態の断面図。
【図8】ガス化装置の運転休止時間中にガス化装置を内部的に検査するための光学装置の一実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【0010】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0012】
本開示は、入口又は供給インジェクタの位置から分離されたガス化装置に装着される光学装置を用いたガス化装置の内部監視及び制御に関する。例えば、光学装置は、例えば上流側又は下流側部分などのガス化装置の内部のイメージデータを取得することができる。イメージデータは、UVデータ、IRデータ、可視光スペクトルデータ、その他を含むことができる。次いで、モニタ及び制御システムは、イメージを分析し、ガス化装置の内部状態を評価することができる。例えば、システムは、光学装置からのイメージデータを判読することにより、ガス化装置内にスラグ蓄積又は耐火物損耗が存在するかどうかを判定することができる。システムはまた、ガス化装置内の他の内部状態を判定することができる。更に、システムは、イメージデータの分析に基づいてガス化プロセスを制御することができる。例えば、システムは、イメージデータを用いて、予熱モードからガス化モードへの移行を改善することができる。特定の実施形態において、光学装置は、ガス化装置の作動中にガス化装置の壁に装着され、該ガス化装置の連続的な監視及び制御を可能にすることができる。他の実施形態では、光学装置は、ガス化装置の壁内のポートに取り外し可能に配置され、イメージデータがガス化装置の分析に望ましい状態にある場合にだけ、光学装置を使用するようにすることができる。何れの構成においても、光学装置は、オペレータの経験及び手作業検査にのみ依存することなく、ガス化装置の内部状態を分析するための客観的且つ再現可能な基準をシステムが提供できるようにする。
【0013】
図1は、ガス化装置用の内部監視及び制御システムを含むことができる、統合型ガス化複合サイクル(IGCC)システム100の一実施形態の概略図である。図1に示すように、IGCCシステム100は、原材料又は燃料源102をガス化し、蒸気及びガスタービンを駆動して電気を生成するように構成される。燃料源102は、石炭又は炭化水素などの様々な炭素系燃料を固体又は液体の形態で含むことができる。原材料調製ユニット104は、例えば、固体形態の燃料源102をフライス加工、分離及び微粉砕することによって、ガス化装置用の燃料を調製するために含めることができる。しかしながら、原材料調製ユニット104は、燃料源102が液体形態である場合には省略してもよい。
【0014】
原材料は、原材料調製ユニット104からガス化装置106に送ることができる。ガス化装置106は、原材料をシンガス(例えば、一酸化炭素(CO)と水素の化合物)に転化することができる。この結果として得られるガスは、例えば、H2Sを含むので、未処理のシンガスと呼ぶことができる。ガス化装置106はまた、湿灰材料とすることができるスラグ108などの副生成物質を生成する場合がある。ガス清浄器110を利用して、未処理シンガスを清浄化することができる。ガス清浄器110は、未処理シンガスをスクラビング処理し、該未処理シンガスからHCl、HF、COS、HCN及びH2Sを除去することができ、これは、硫黄プロセッサ112における硫黄111の分離を含むことができる。更に、ガス清浄器110は、水処理ユニット114により未処理シンガスから塩113を分離することができ、該水処理ユニット114は、浄水技術を利用して未処理シンガスから利用可能な塩113を生成することができる。続いて、ガス清浄器110からのガスは、処理済みシンガス(例えば、シンガスから硫黄111が除去された)と、微量の他の化学物質(例えば、NH3(アンモニア)及びCH4(メタン))を含むことができる。
【0015】
一部の実施形態では、炭素捕捉システム116は、シンガスに含まれる炭素含有ガス(例えば、約80〜100又は90〜100容量%ピュアの二酸化炭素)を除去し処理することができる。炭素捕捉システム116はまた、圧縮機、清浄器、隔離又は増進油回収用にCO2を供給するパイプライン、CO2貯蔵タンク、或いはこれらの組合せを含むことができる。次に、硫黄含有成分と大部分の二酸化炭素とが除去された処理済みシンガスは、ガスタービンエンジン118の燃焼器120(例えば、燃焼室)に可燃性燃料として送ることができる。
【0016】
IGCCシステム100は更に、空気分離ユニット(ASU)122を含むことができる。ASU122は、例えば、蒸留技術によって空気を成分ガスに分離するよう動作することができる。ASU122は、補助空気圧縮機123により供給される空気から酸素を分離することができ、分離した酸素をガス化装置106に移送することができる。加えて、ASU122は、分離した窒素を希釈窒素(DGAN)圧縮機124に送ることができる。
【0017】
DGAN圧縮機124は、ASU122から受け取った窒素を少なくとも燃焼器120内の圧力に等しい圧力レベルにまで圧縮し、シンガスの適正燃焼を妨げないようにすることができる。従って、DGAN圧縮機124が適正レベルまで窒素を十分に圧縮すると、該DGAN圧縮機124は、圧縮窒素をガスタービンエンジン118の燃焼器120に送ることができる。窒素は、例えば、エミッション制御を向上させるための希釈剤として用いることができる。
【0018】
上述のように、圧縮窒素は、DGAN圧縮機124からガスタービンエンジン118の燃焼器120に送ることができる。ガスタービンエンジン118は、タービン130、駆動シャフト131及び圧縮機132、並びに燃焼器120を含むことができる。燃焼器120は、シンガスなど、燃料ノズルから圧力を受けて注入することができる燃料を受け取ることができる。この燃料は、圧縮空気並びにDGAN圧縮機124からの圧縮窒素と混合されて、燃焼器120内で燃焼することができる。この燃焼は、高温の加圧された排気ガスを生成することができる。 燃焼器120は、排気ガスをタービン130の排気出口に向けて配向することができる。燃焼器120からの排気ガスがタービン130を通過すると、該排気ガスによって、タービン130のタービンブレードがガスタービンエンジン118の軸線に沿って駆動シャフト131を回転させる。駆動シャフト131は、タービン130を圧縮機132に接続し、ロータを形成することができる。圧縮機132は、駆動シャフト131に結合されたブレードを含むことができる。従って、タービン130のタービンブレードが回転することにより、タービン130を圧縮機132に接続する駆動シャフト131が
、圧縮機132内でブレードを回転させるようにすることができる。圧縮機132におけるこのブレードの回転によって、圧縮機132は、該圧縮機132内の吸気口を介して受け取る空気を圧縮する。次いで、圧縮空気は、燃焼器120に送給されて燃料及び圧縮窒素と混合され、高効率の燃焼を可能にすることができる。駆動シャフト131はまた、負荷134に接続することができ、該負荷は、例えば、発電プラントにおいて電力を生成する発電機のような定置負荷とすることができる。実際に、負荷134は、ガスタービンエンジン118の回転出力により動力が供給される何れかの好適な装置とすることができる。
【0019】
IGCCシステム100はまた、蒸気タービンエンジン136及び熱回収蒸気発生(HRSG)システム138を含むことができる。蒸気タービンエンジン136は、第2の負荷140を駆動することができる。第2の負荷140はまた、電力を発生する発電機とすることができる。しかしながら、第1の負荷130及び第2の負荷140は共に、ガスタービンエンジン118及び蒸気タービンエンジン136によって駆動できる他のタイプの負荷であってもよい。加えて、ガスタービンエンジン118及び蒸気タービンエンジン136は、図示の実施形態で示すように、個別の負荷134及び140を駆動することができ、縦一列の形態で利用して単一のシャフトにより単一負荷を駆動することもできる。蒸気タービンエンジン136並びにガスタービンエンジン118の特定の構成は、実装時固有とすることができ、あらゆるセクションの組合せを含むことができる。
【0020】
本システム100はまた、HRSG138を含むことができる。ガスタービンエンジン118からの加熱した排気ガスは、HRSG138に運ばれ、水を加熱するのに使用され、更に蒸気タービンエンジン136を駆動するのに用いる蒸気を発生することができる。例えば、蒸気タービンエンジン136の低圧セクションからの排気は、凝縮器142内に配向することができる。凝縮器142は、冷却塔128を利用して加熱水を冷却水に換えることができる。冷却塔128は、凝縮器142に低温水を供給して、蒸気タービンエンジン136から凝縮器142に送られた蒸気の凝縮を助ける働きをする。凝縮器142からの凝縮液は次に、HRSG138内に配向することができる。この場合も同様に、ガスタービンエンジン118からの排気もまたHRSG138内に配向され、凝縮器142からの水を加熱して蒸気を発生させることができる。
【0021】
IGCCシステム100のような複合サイクルシステムでは、高温排気は、ガスタービンエンジン118から流れてHRSG138に送ることができ、HRSG138において、高温排気を使用して高圧高温蒸気を発生させることができる。HRSG138によって発生した蒸気は次に、電力発生のために蒸気タービンエンジン136を通って流れることができる。加えて、発生した蒸気はまた、ガス化装置106のような蒸気を使用することができる他の何れかのプロセスに供給することができる。ガスタービンエンジン118の発電サイクルは、多くの場合「トッピングサイクル」と呼ばれ、他方、蒸気タービンエンジン136の発電サイクルは、多くの場合、「ボトミングサイクル」と呼ばれる。これら2つのサイクルを図1に示すように組合せることによって、IGCCシステム100は両サイクルにおいてより大きな効率をもたらすことができる。具体的には、トッピングサイクルからの排熱を捕捉して、ボトミングサイクルにおいて使用するための蒸気を発生させるのに使用することができる。
【0022】
図2は、一実施形態による、ガス化装置152を内部的に監視及び制御するためのシステム150の断面図である。システム150は、複合供給インジェクタ154、光学装置156、センサ158、ガス化装置モニタ160及びガス化装置コントローラ162を含むことができる。複合供給インジェクタ154は、予熱バーナーとプロセス供給インジェクタとを含む。複合供給インジェクタ154は、予熱モード時に予熱バーナーを使用して、ガス化装置152内の温度をガス化に好適なレベルにまで上昇させる。温度が十分に高くなると、複合供給インジェクタ154は、予熱バーナーから、ガス化装置152のガス化モード時に使用されるプロセス供給インジェクタに移行する。従って、複合供給インジェクタ154は、予熱モード時とガス化モード時の両方でガス化装置152に結合されたままとなる。残念なことに、ガス化装置152内部の手作業検査は、複合供給インジェクタ154を取り外す必要があり、これにより、予熱バーナーとプロセス供給インジェクタを単一ユニット154に結合する利点が無効化される。図示の実施形態において、光学装置156及びセンサ158は、複合供給インジェクタ154を取り外すことなくガス化装置152の内部のイメージデータを取得するよう互いに協働する。センサ158は、UVセンサ、IRセンサ、可視光スペクトルセンサ、その他又はこれらの組合せとすることができる。次いで、センサ158からのデータは、モニタ160によって判読されて、ガス化装置152の動作状態、スラグ蓄積、耐火物損耗及び他のパラメータを判定することができる。ガス化装置152の検知された状態に基づいて、コントローラ162に信号を送信することができ、その結果、該コントローラ162が複合供給インジェクタ154を制御する。例えば、コントローラ162は、予熱モードの改善、ガス化モードの改善、スラグ蓄積の低減又は阻止、耐火物損耗の低減又は阻止、その他を行うよう複合供給インジェクタ154を調整することができる。
【0023】
ガス化装置152は、第1の層164と第2の層166とを定める。第1の層164は、ガス化装置152の外層又は圧力格納シェルとして説明することができる。第2の層166は、内層又は断熱ライナとして説明することができる。第2の層166は、通常、耐火性材料(例えば、セラミックス)から作られる。第2の層166は、ガス化プロセスを促進する内部燃焼チャンバ168を画成する。更に、第1及び第2の層164、166は全体として、入口170、出口部分172、観察又は監視ポート174及びドーム型部分176を画成する。
【0024】
入口170によって、複合供給インジェクタ154は、燃料178、燃料180、空気181及び酸素182を燃焼チャンバ168に挿入できるようになる。入口170は、実施形態に応じて、複数の開口又は単一の開口を含むことができる。燃料178は、燃料180と同じ又は異なるものとすることができる。幾つかの実施形態において、燃料178は、燃焼による汚染の少ない燃料(例えば、天然ガス)とすることができる。この燃焼による汚染の少ない燃料は、予熱バーナーにより使用され、ガス化工程の前にチャンバ168内の温度を上昇させる、或いは、連続するガス化工程の間のチャンバ168内の温度を維持することができる。ガス化工程中、入口170により、燃料180及び酸素182がチャンバ168に流入することができる。例えば、燃料180は、石炭のような炭素系原材料とすることができる。
【0025】
出口部分172により、シンガス及びスラグ108のような他の副生成物がガス化反応チャンバ168から出ることを可能にする。出口部分172は、コーン型部分184とスロート部186とを画成することができる。燃料180のガス化は、燃焼チャンバ168内でスラグ108を生成する可能性がある。通常は、スラグ108は、耐火壁188に固着するか又は、壁188を流れ落ちてスロート部186を通って流出する。スロート部186から出たスラグは、出口172の下方に配置されるガス化クエンチチャンバ(図2には図示されていない)において冷却され、次いで、ガス化装置から定期的に放出するためのロックホッパー(同様に図示せず)により収集することができる。残念ながら、ガス化装置152における一定の条件により、スラグの不十分な流動に起因してスラグがスロート186内に集まる場合がある。最終的には、ガス化装置152の動作状況に変わりがない場合には、スラグが実質的に又は完全にスロート部186を閉塞する可能性がある。ガス化装置152が高温である間にスロート部186がスラグ除去できない場合には、スロート部186から障害物を取り除くために機械的ツールが必要となる可能性がある。機械的ツールの使用は、ガス化装置152を大気温度まで冷却し、その後、機械的ドリル又は同様の装置を用いてスロート部186からスラグを取り除くことを決定付けることができる。機械的ツールを用いてスラグ除去することは、損失時間及び失われた生産の観点で極めて高価になる可能性がある。
【0026】
これらの種類のスラグ除去工程を回避するために、開示されたシステム150は、複合供給インジェクタ154を取り外すことなくスラグ蓄積及び他のガス化装置の状態を検出する。このことは、ポート174によって、複合供給インジェクタ154を取り外すことなくガス化装置チャンバ168の視覚的監視を可能にすることで可能になる。ポート174は、光学装置156を受けるのに十分なサイズにされる。ポート174は、ガス化装置152のドーム型部分176上に配置され、或いは、入口170及び複合供給インジェクタ154から独立した他の場所に配置することができる。光学装置156をドーム型部分176上に配置することにより、ガス化装置出口部分172の好適な角度及び視野を提供することができる。例えば、光学装置156は、約20〜90度の視野175を可能にすることができる。光学装置156は、ガス化装置152の内部の光学的ビューをセンサ158に伝送し、次いで、センサ158は、光学ビューをガス化装置モニタ160によって収集されたイメージデータに変換する。
【0027】
光学装置156は、予熱モード時及びガス化モード時の両方で燃焼チャンバ168の連続的観察を可能にすることができる。これによりセンサ158が、チャンバ168及びスロート部186内の状態を検知することが可能となり、その結果、ガス化装置のリアルタイム制御が動作を改善し、望ましくない状態(例えば、スラグ蓄積及び耐火物損耗)を低減することが可能になる。図示の実施形態において、センサ158は電磁放射線を検知する。例えば、センサ158は、電磁スペクトルの赤外線、可視及び/又は紫外線領域で動作する装置を含むことができる。更に、センサ158に含まれる装置は、カメラ、パイロメータ又は簡単な検出器とすることができる。
【0028】
ガス化装置モニタ160は、データ収集回路又は論理回路190を用いてセンサ158からイメージデータを受け取る。データ収集回路/論理回路190は、この情報をデータ処理回路/論理回路192にわたし、このデータを処理する。データを処理した後、該データをグラフィック表示回路/論理回路194に移送し、技術者がディスプレイ196上で見て判読することができる。技術者がデータを判読すると、ユーザ入力デバイス198を用いてガス化装置内の状態が変えるか否かを判定することができる。ガス化装置152内の状態に起因して変更が必要であると技術者が決断すると、ユーザ入力をガス化装置コントローラ162に供給することができる。幾つかの実施形態において、ガス化装置モニタ160は、収集されて処理されたイメージデータをコントローラ162に供給することができ、コントローラ162は、ユーザ入力の有無に関係なくガス化装置152の動作を自動的に制御することができる。変更は、予熱制御部200、空気制御部201、酸素制御部202、第1の燃料制御部204及び/又は第2の燃料制御部206を調整することを含むことができる。例えば、イメージデータがスラグ蓄積及び耐火物損耗を示唆する場合、コントローラ162は、予熱制御部200を利用してガス化装置152における予熱モードを調整し、空気制御部201を利用して空気181の流量を制御し、酸素制御部202を利用して酸素182の流量を制御し、第1の燃料制御部204を利用して燃料178の流量を制御し及び/又は第2の燃料制御部206を利用して燃料180の流量を制御することができる。種々の調整は、燃料-酸素又は燃料-空気の比、燃焼温度(予熱モードの場合)、ガス化温度、ガス化副生成物及びスラグ蓄積及び耐火物損耗を増減する可能性がある他のパラメータを変更することができる。従って、ガス化装置152の内部状態を表す改善されたイメージデータに応じて、コントローラ162は、望ましくない状態に迅速に応答し、ガス化装置152のどのような運転休止時間も無しに是正措置を提供することができる。
【0029】
図3は、図2にシステム150を用いた予熱モードからガス化モードへの移行中のガス化装置152を内部的に監視及び制御するプロセス210の一実施形態を示すフローチャートである。プロセス210は、ガス化装置152を予熱するよう複合供給インジェクタ154を作動させるステップから開始することができる(ブロック212)。上記で検討するように、天然ガス火炎を用いて、標準的なガス化燃料が燃焼チャンバ168に流入したときに直ちに燃焼できるようにガス化装置152を予熱することができる。次に、センサ158(例えば、IRセンサ)は、予熱モード中にガス化装置152内部の赤外線イメージデータを取得するステップを開始することができる(ブロック214)。次に、赤外線イメージデータを分析し、予熱モード中のガス化装置内部の1以上の状態を識別することができる(ブロック216)。例えば、赤外線イメージは、ガス化装置152内の温度分布、耐火壁状態、スロート部状態及び平均温度を示すことができる。次のステップは、識別された状態に応じてガス化装置152の作動を制御することを含む(ブロック218)。例えば、耐火性材料が適切な温度に達していないことを赤外線イメージデータが示す場合、十分な温度に達するまでは予熱バーナーが作動状態を維持することになる。或いは、予熱バーナー火炎が作動状態にないことをUVセンサが示すことができる。この場合は、コントローラ218は、予熱バーナーを再始動するか又はアラームの出力を行って技術者に通知することができる。予熱モード中、ステップ214、216及び218を繰り返し実施し、予熱動作を連続的に監視及び制御することができる。
【0030】
温度が正常なガス化動作に対して十分に高いときには、プロセス210は、次のステップに進み、予熱モードからガス化モードに移行するよう複合供給インジェクタ154を作動させる(ブロック220)。例えば、移行ステップ220は、空気181及び予熱燃料178(例えば、天然ガス)から、酸素182及び通常のガス化燃料180(例えば、石炭)又は他の炭素系原材料に切り替えることができる。理解されるように、予熱モード中に使用される燃料178は、ガス化を受けず、ガス化モード中に使用される燃料180がガス化反応を起こしてシンガスを生成する。移行すると、プロセス210は、ガス化モード中にガス化装置152内部のセンサ/イメージデータを取得する(ブロック222)。次に、センサ/イメージデータを分析し、ガス化モード中のガス化装置152内部の状態を識別することができる(ブロック224)。例えば、イメージの異なる領域における光の強さ又は色は、これらの領域におけるより高い又は低い温度を示すことができる。結果として、これは、耐火物損耗、スラグ蓄積又は正常状態を示すことができる。特定の実施形態において、イメージデータは、ベースラインイメージデータと比較して望ましくない状態の検出を可能にすることができる。別の実施例によれば、センサ/イメージデータを分析し、ガス化反応が最適であるかどうか又は状態が最適未満であるかどうかを判定することができる。センサ/イメージデータは、燃料/酸素混合、反応の完全正、その他を示すことができる温度分布を表すことができる。このセンサ/イメージデータに基づき、ガス化装置152は、識別された状態に応じて制御することができる(ブロック226)。例えば、燃料/空気又は燃料/酸素の量は、状態の是正又は調整のため増減することができる。これらの調整は、スラグ蓄積、耐火物損耗又は他の望ましくない状態を軽減又は阻止することができる。これらの調整はまた、ガス化反応の効率を改善して、シンガス出力の増大又はシンガス組成の最適化を行うことができる。ガス化モードステップ222、224及び226を繰り返し、ガス化動作を連続的に監視及び制御することができる点は理解される。
【0031】
図4は、ガス化装置152内部の1以上の状態を識別するのに分析されたイメージデータに基づいてガス化装置152を内部的に監視及び制御するためのプロセス240の一実施形態を示すフローチャートである。プロセス240は、ガス化装置152のチャンバ168(例えば、出口/スロート部)のイメージデータを取得するステップを含む(ブロック242)。例えば、プロセス240は、ガス化装置152のチャンバ168のイメージデータを取得し、ベースラインを取得することができる。ベースラインイメージデータは、ガス化装置152の新しい又は改修した状態を表すことができる。プロセス240はまた、ガス化装置152の作動後又は作動中にチャンバ168のイメージデータを取得することができる。例えば、プロセス240は、予熱モード及びガス化モード中にガス化装置152の内部チャンバ168を連続的に監視することができる。次いで、プロセス240は、ベースラインに対してイメージデータを空間的に分析し、例えば、スロート部186など、ガス化装置152内の変化を判定することができる(ブロック244)。例えば、ベースラインと現在のイメージデータとの間の空間分析比較244は、ガス化装置152のチャンバ168内部の耐火物損耗、スラグ蓄積又は幾何形状の変化を示すことができる。詳細には、空間分析比較244は、スロート部186内の耐火物損耗又はスラグ蓄積を示すことができる。次いで、プロセス240は、空間分析比較により識別された損耗状態又はスラグ状態に応じてガス化装置152の作動を制御する(ブロック246)。例えば、ガス化装置制御ステップ246は、空気流量、酸素流量、燃料流量、燃料/空気比、燃料/酸素比、蒸気流又は他の動作パラメータを調整し、識別された状態を軽減又は排除することができる。具体的には、ガス化装置制御ステップ246は、予熱バーナーからの熱入力を低下させることを通じてガス化装置温度を低下させることによって、或いは、予熱バーナーに対する空気/燃料又は酸素/燃料比を低下させることによる酸素濃度の低減によって、スラグ蓄積を低減又は制限することができる。上記の検討と同様に、ステップ242、244及び246を繰り返し、ガス化動作を連続的に監視及び制御することができる。
【0032】
図5は、光学装置156及びセンサ158から見たガス化装置152の内部チャンバ168の一部に相当する視覚イメージ(例えば、イメージ250)の例示的な図であり、すなわち、イメージ250は、内部チャンバ168の4つの領域252、254、256及び258を表す。領域252は、ガス化装置の壁の一部に相当し、領域254はコーン型底部184に相当し、領域256は、ガス化装置スロート部186に最も近いコーン型底部184の領域に相当し、領域258は、ガス化装置スロート部186と、光学装置156の見通しのよい地点からガス化装置スロート部186を通して見えるガス化装置出口の部分とに相当する。領域の異なる陰影付けは、温度が異なることを示している。例えば、領域252及び領域254の大部分は、ガス化装置152の壁188及びコーン型底部184が受ける温度がより高温であることに起因して、より明るい陰影付けを有することになる。領域258は、ガス反応により直接加熱されないスロート部186の下方の材料と一致するので、領域252及び254よりも有意に低い温度を有し、結果として遙かに暗い陰影付けを有することになる。領域256は、2つの異なる温度領域(すなわち、ガス化装置チャンバ168の高温と、ガス化装置152の下方に位置付けられるクエンチチャンバの低温)の接合部であるので、これに対応して中間の陰影付けを有する。領域256と258の間の境界部は、一般に、スロート部186を画成する。
【0033】
図6は、図2のガス化装置モニタ160のデータ処理回路/論理回路192によって、図5のイメージ250の処理の後に処理されるイメージデータ(例えば、処理されたイメージ260)の一実施形態の例示的な図である。図6において分かるように、イメージ260は、図5の同じ領域252、254、256及び258を含むが、イメージ260はデジタル形式であり、イメージ260の各個々の画素が、イメージ250の対応する小部分を表すようになる。ピクセルの各々に関連する入射放射線の波長(又は色)及び強度は、データ処理回路/論理回路192によって、チャンバ168におけるイメージ250に対応する空間温度分布のマップに変換することができる。上記で検討したように、モニタ160は、ガス化装置152の新しい又は再改修状態のベースラインイメージ260を取得し、次いで、ガス化装置152のリアルタイムの作動イメージ260を取得して、作動中のチャンバ168内の何らかの変化を評価することができる。例えば、モニタ160は、ベースライン及び作動イメージ260を空間的に分析し、スロート部186の直径サイズが増大又は減少したかどうかを判定することができる。例えば、耐火物損耗が生じた場合、スロート部186の直径のサイズは増大することになる。スロート部186のこのサイズの増加は、温度領域258のサイズの増加及び温度領域254のサイズの減少をもたらすことになる。対照的に、スラグがスロート部186を塞ぎ始めた場合には、温度領域258のサイズが減少し、温度領域256のサイズが増加することになる。モニタ160が、ベースラインと動作イメージ260とを比較し、損耗又はスラグ蓄積を示す空間的差違を識別すると、コントローラ162は、ガス化装置152の動作パラメータを自動的に調整し、識別された状態の進展を軽減、除去又は阻止することができる。コントローラ162はまた、アラーム(例えば、音響的、視覚的又は両方)を発生して、識別された状態を技術者に警報し、技術者が適切な是正措置を選ぶことができるようにすることができる。本実施形態では4つの領域だけが示されているが、追加の実施形態は、4つよりも多い又は少ない温度領域を含むことができ、これらはガス化装置152のステータスを判定する際に用いることができる点は理解される。
【0034】
図7は、ガス化装置152の作動中にガス化装置152を内部的に監視するための光学装置156の一実施形態の断面図である。光学装置156は、ポート174を通してガス化装置152上に装着することができる。これにより、センサ158(例えば、視覚カメラ、UVカメラ、IRカメラ、その他)が、光学装置156を通じてガス化装置152のチャンバ168を検査できるようになる。光学装置156は、光学管部分270、冷却/装着システム272、圧力格納/安全システム274及びビームスプリッタ部276を含むことができる。光学管部分270は、中空本体277、ピンホール先端278及び転送レンズ280を画成する。転送レンズ280は、光学管部分270の中空本体277内に収められ、該光学管部分270を通してビームスプリッタ部276にガス化装置152のイメージを移送する。本発明の実施形態では、9つの転送レンズが図示されているが、他の実施形態は、図7に示す9つよりも多い又は少ない転送レンズを含むことができる。同様に、図示の転送レンズの形状及び向きは、例示の目的のものであり、他の実施形態は、他の形状及び向きのレンズ、並びに光ファイバー構成要素を含むことができる。
【0035】
ビームスプリッタ部276は、ハウジング282及びビームスプリッタ284を含む。ビームスプリッタ284は、軸線283に対してある角度でハウジング276と共に所定位置に保持される。ビームスプリッタ284は、ガス化装置152のチャンバ186の複数のイメージを生成し、複数のセンサ158がガス化装置152のイメージを受け取ることが可能になる。例えば、ビームスプリッタ284は、IRセンサ、UVセンサ及び/又は可視光センサにイメージを送ることができる。本実施形態では、2つのビームスプリッタが図示されているが、他の実施形態は、2つよりも多い又は少ないビームスプリッタ(例えば、1から10)を含むことができる。
【0036】
冷却/装着システム272は、ガス化装置152の内部温度及び圧力から光学装置を保護するために設けられる。冷却/装着システム272は、光学管部分270を囲む冷却ジャケット286及び装着部288を含む。冷却ジャケットは、冷却経路290及び出口経路292を画成する。冷却経路290は、光学管部分270の周りの冷却流体291(例えば、水、クーラント、その他)を冷却ジャケット286の端部294に配向する。冷却ジャケット286の端部294は、冷却経路290を出口経路292に移行させる。装着部288は、冷却流体入口296及び冷却流体出口298を画成する。これにより、冷却流体が冷却ジャケット286を流入及び流出できるようになる。冷却流体入口296及び冷却流体出口298は、冷却流体を供給し、且つ冷却ジャケット286から流出するときに冷却流体を集めるリザーバに接続することができる。クーラントはまた、冷却タワー、冷凍サイクル装置又は熱交換器のような冷却システムによって冷却することができる。
【0037】
装着部288はまた、シールドガス301が光学管部270に流入できるようにするガス入口300を画成することができる。このガス入口300により、シールドガス(例えば、窒素)が光学管部270に流入して、中空本体277内でピンホール278に向けて流れることができるようになる。ピンホール278に到達すると、ガス301は、光学管部270から出てガス化装置152に流入する。このようにして、シールドガス301は、灰分、デブリ、スラグ、その他が除去された状態のままであることを確保する。ガス化の間及びその後にピンホール278に閉塞物が除去された状態を維持することより、除去のために光学装置156を取り外す必要もなく、光学イメージをセンサ158に転送することができる。
【0038】
光学装置156をガス化装置152に装着するために、装着部288は、光学管部270に垂直な装着リング302を含むことができる。リング302は、環状形状であり、光学管部270の周りを完全に包むことができる。リング302は、ガス化装置ノズルフランジ304と、機器ブラインドフランジ306との間に嵌め込むように設計される。フランジ304及びフランジ306は、従来のボルト締めフランジとすることができ、これらが共にボルト締めされると、光学装置156は、ガス化装置152に固定することができる。特定の実施形態において、光学装置156は、シール状態でポート174にてガス化装置152に溶接、ボルト締め又は締結することができる。幾つかの実施形態において、装着リング302は、上面310から底面312に延びる突出部308(例えば、溝付きくぎ)を含むことができる。これらの突出部308は、ランジ304及びフランジ306を用いてガス化装置152に取り付けられたときに、側方移動を阻止し、光学装置156をシールすることができる。圧力格納/安全システム274は、ガス化動作中にガス化装置152内部に圧力を格納し、且つ圧力格納に異常が生じた場合に反応物質がガス化装置152から放出されるのを阻止するための光学的に透明な手段を提供するように構成される。本発明の実施形態では、安全システム274は、第1のサイトグラス314、第2のサイトグラス316、安全弁318及び加圧ガスチャンバ320を含む。サイトグラス314、316は、二重シール機構を提供し、光学イメージがレンズ280からビームスプリッタ284に通過することを可能にする。サイトグラス314、316のうちの1つが故障した場合、安全システムが安全弁318を閉鎖するよう設計されている。システムは、チャンバ320内の加圧ガスの圧力損失を検知することにより作動する。安全グラス314、316のうちの一方又は両方が破断した場合、チャンバ320内の加圧ガスが漏出する可能性があり、この結果として圧力損失を生じる。次いで、圧力損失は、コントローラ162により検知することができ、次いで安全弁318を閉鎖し、熱及びガス化装置反応物質が光学装置156を通って放出されるのを防ぐことができる。理解されるように、図7の光学装置156は、ガス化装置152の作動のあらゆる段の間にガス化装置152のポート174に装着するように構成される。同様に、実際に光学装置156を実装するのに必要な詳細事項の全てが図7に図示されている訳ではない点は理解されたい。
【0039】
更に他の実施形態において、取り外し可能な光学装置を有することが望ましいとすることができる。図8は、ガス化装置152に取り外し可能に装着することができる光学装置156の一実施形態の断面図である。図8の取り外し可能な光学装置156は、図7の恒久的に装着された光学装置156と同じ特徴要素の多くを共用している。例えば、図示の光学装置156は、光学管部270、該光学管部270を囲む冷却/装着システム272及びビームスプリッタ部276を含むことができる。図7の光学装置156とは異なり、図示の光学装置156は、圧力格納/安全システム274を含まず、或いは、ピンホール278の閉塞物を除去するためにシールドガスを使用することを含まない場合がある。例えば、図示の光学装置156は、予熱バーナーが作動中であるときにのみ挿入され、次いで、ガス化が開始されたときには取り外すことができる。上記で検討したように、予熱バーナーは、天然ガス火炎のような清浄火炎を用いることができる。光学装置156が清浄火炎に曝されたときには、ピンホール278に閉塞物を除去した状態に維持する必要がない場合がある。更に、ガス化動作の高圧特性が適用される前に光学装置156が撮りはずされるので、圧力格納/安全装置が必要でない場合がある。
【0040】
開示された実施形態の技術的作用は、複合供給インジェクタ、すなわち、予熱バーナーとプロセス供給インジェクタの機能を1つのユニットに組合せたフィードインジェクタを用いながら、ガス化チャンバの内部を監視する能力を含む。上記で検討したように、複合供給インジェクタ又は同様の装置により、インジェクタがガス化装置の上部に設置されたままであるので、ガス化チャンバの直接閉塞が阻止される。開示された実施形態により、複合供給インジェクタを取り外すことなくガス化装置の内部チャンバを視覚的に監視できるようになる。その結果、内部チャンバは、ガス化装置の作動中に監視され、ガス化装置内のスラグ蓄積、耐火物損耗及び動作状態を識別することができる。詳細には、開示された実施形態は、ベースラインイメージをガス化装置の内部チャンバの動作イメージと比較し、損耗又はスラグ蓄積を示す空間的変化を識別する。同様に、開示された実施形態は、メージ比較に基づく識別された状態に応じて制御機能を提供することができる。このようにして、開示された実施形態は、ガス化装置の寿命を延ばし、ガス化装置の性能を向上させ、更にガス化装置の運転休止時間を短縮することができる。
【0041】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0042】
100 IGCCシステム
102 燃料源
104 原材料調製ユニット
106 ガス化装置
108 スラグ
110 ガス清浄器
111 硫黄
112 硫黄プロセッサ
113 塩
114 水処理ユニット
116 炭素捕捉システム
120 燃焼器
118 ガスタービンエンジン
122 ASU
123 補助空気圧縮機
124 DGAN圧縮機
130 タービン
131 駆動シャフト
132 圧縮機
134 負荷
136 蒸気タービンエンジン
138 HRSGシステム
140 第2の負荷
142 凝縮器
128 冷却タワー
150 システム
152 ガス化装置
154 複合供給インジェクタ
156 光学装置
158 センサ
160 ガス化装置モニタ
162 ガス化装置コントローラ
164 第1の層
166 第2の層
168 内部燃焼チャンバ
170 入口
172 出口部分
174 監視ポート
176 ドーム型部分
178 燃料
180 燃料
181 空気
182 酸素
184 コーン型部分
186 スロート部
188 耐火壁
175 視野
190 論理回路
192 回路/論理回路
194 回路/論理回路
196 ディスプレイ
198 ユーザ入力装置
200 予熱制御部
201 空気制御部
202 酸素制御部
204 第1の燃料制御部
206 第2の燃料制御部
210 プロセス
212 ブロック
214 ブロック
216 ブロック
218 ブロック
220 ブロック
222 ブロック
224 ブロック
226 ブロック
240 プロセス
242 ブロック
244 ブロック
246 ブロック
250 イメージ
252 領域
254 領域
256 領域
258 領域
260 処理されたイメージ
270 光学管部分
272 冷却/装着システム
274 圧力格納/安全システム
276 ビームスプリッタ部
277 中空本体
278 ピンホール先端
280 転送レンズ
282 ハウジング
284 ビームスプリッタ
283 軸線
286 冷却ジャケット
288 装着部分
290 冷却経路
292 出口経路
291 冷却流体
294 端部
296 冷却流体入口
298 冷却流体出口
300 ガス入口
301 シールドガス
302 装着リング
304 ガス化装置ノズルフランジ
306 機器ブラインドフランジ
308 突出部
310 上面
312 底面
314 第1のサイトグラス
316 第2のサイトグラス
318 安全弁
320 加圧ガスチャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ(168)を画成する壁(188)、入口(170)、出口(172)及びポート(174)を有するガス化装置(106)と、
前記入口(170)に結合され、第1の燃料(178)及び空気(181)又は酸素(182)を前記チャンバ(168)に噴射して前記ガス化装置(106)を予熱するように構成され且つ第2の燃料(180)及び空気(181)を予熱後に前記ガス化装置(106)に噴射して前記第2の燃料(180)をガス化するように構成された複合供給インジェクタ(154)と、
前記ポート(174)に結合された光学装置(156)と、
前記光学装置(156)に結合されたセンサ(158)と、
前記センサ(158)に結合され、前記センサ(158)からデータ(222)を収集し、該データ(224)を処理し、前記データ(222)に基づいて前記ガス化装置(152)の状態を表す出力(226)を提供するように構成された監視システム(160)と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記光学装置(156)が、前記ガス化装置の予熱プロセス(210)の間は前記ポート(174)に結合されたままであり、前記監視システム(160)が、前記予熱プロセス(210)の間に前記データ(222)を収集するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記光学装置(156)が、前記ガス化装置の予熱及びガス化プロセス(210)の間は前記ポート(174)に結合されたままであり、前記監視システム(160)が、前記予熱及びガス化プロセス(210)の間に前記データ(222)を収集するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記光学装置(156)が、前記入口(170)に隣接した前記ガス化装置(152)のドーム部(176)に結合され、前記光学装置(156)が、前記出口(172)を有するスロート部(186)に向けて角度が付けられる、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記監視システム(160)が、ベースライン(244)に対して前記データ(242)を比較するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記データ(242)が、前記出口(172)に沿った損耗状態、スラグ状態又はこれらの組合せを表す、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記データ(242)が、ベースライン(244)に対して前記データ(242)の直径の変化を示すイメージデータを含み、前記直径の変化が、損耗状態又はスラグ状態を示す、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記出力のグラフィック又は視覚的表現を表示するように構成されたディスプレイ装置(196)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記監視システム(160)からの出力に応答するコントローラ(162)を備え、前記コントローラが、前記出力に応じて、前記第1の燃料(178)、前記第2の燃料(180)、酸素(182)、空気(181)又はこれらの組合せの流れを調整するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記光学装置(156)が、中空本体(277)と、該中空本体(277)の内側に配置される複数のレンズ(280)と、少なくとも1つのビームスプリッタ(276)と、中空本体(277)の周りに配置される流体冷却ジャケット(286)とを備える、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−82419(P2012−82419A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−218829(P2011−218829)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)