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ガス収着回収素子、ガス収着回収素子の製造方法及びガス収着回収装置
説明

ガス収着回収素子、ガス収着回収素子の製造方法及びガス収着回収装置

【課題】高い濃度の脱着ガスを生成させることができるとともに、ガスの脱着率を高めることができ、さらに、脱着させる際のエネルギ効率が高いガス収着回収素子を提供することを課題としている。
【解決手段】連続気孔101bを有するとともに熱伝導性を有する多孔質体102の各気孔表面にガス収着剤層170を設け、上記ガス収着剤層を加熱することにより、上記ガス収着剤層に収着されたガスを脱着させるように構成されたガス収着回収素子100であって、上記ガス収着回収素子を、少なくとも200℃以上に加熱することにより、上記ガス収着剤層に収着されたガスを脱着させるように構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガス収着回収素子、ガス収着回収素子の製造方法及びガス収着回収装置に関する。詳しくは、し尿処理や堆肥製造工程等において生成されるガスを効率よく収着(吸収あるいは吸着)し、濃縮して回収することができるとともに、所要の濃度で脱着することができるガス収着回収素子等に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、し尿処理や堆肥製造工程等において生じる種々のガスは悪臭の原因となる。このため、種々の手法を用いて上記ガスを回収し、処理する装置が提案されている。
【0003】
たとえば、低い濃度で大量のガスを回収する手法として、上記ガスを収着する機能をもった収着剤、たとえば、活性炭やゼオライト等をハニカム状の多孔質体に担持したハニカムロータに、ガスを一旦収着させ、これを少量の加熱空気等のキャリヤガスで脱着させることにより回収し、その後燃焼処理等する手法が採用されることが多い。
【0004】
【特許文献1】特開2001−310110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているガス収着方法では、収着ロータをその回転方向に対して順に、収着ゾーン、第1脱着ゾーン、第2脱着ゾーンに分割し、第1ヒータで加熱した空気等のキャリヤガスを上記第1脱着ゾーンに通し、第1脱着ゾーンを通ったキャリヤガスを第2ヒータで再度加熱して第2脱着ゾーンに通して収着ガスを収着剤から脱着するように構成されている。
【0006】
上記手法においては、収着ガスを回収する空気等のキャリヤガスを収着ロータの外部で加熱して、上記ロータに保持した収着剤に作用させるように構成されているため、装置が大掛かりになる。また、加熱されたキャリヤガスの温度が、ガス収着剤内部を流動する間に低下するため、収着剤の全体を所定の脱着温度にするまでにかなりの時間を要する。このため、収着剤の全体を所定温度に加熱して収着ガスを回収することはできない。この結果、ガスの脱着効率が低くなる。また、高沸点のガスを回収するには、キャリヤガスを2度加熱して収着剤に作用させる必要があり、脱着させるためのエネルギ効率も低い。
【0007】
一方、収着したガスを燃料や、燃料電池に供給して発電に利用する場合、所定濃度のガスを脱着させる必要がある。ところが、脱着率が低く、所要の濃度の脱着ガスを得ることは困難であった。
【0008】
本願発明は、上記従来の問題を解決し、脱着ガスの濃度を高めることができるとともに、ガスの脱着率を高めることができ、さらに、脱着させる際のエネルギ効率が高いガス収着回収素子を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に記載した発明は、連続気孔を有するとともに熱伝導性を有する多孔質体の各気孔表面にガス収着剤層を設け、上記ガス収着剤層を加熱することにより、上記ガス収着剤層に収着されたガスを脱着させるように構成されたガス収着回収素子であって、上記ガス収着回収素子を、少なくとも200℃以上に加熱することにより、上記ガス収着剤層に収着されたガスを脱着させるように構成されたものである。
【0010】
本願発明においては、連続気孔を有するとともに熱伝導性を有する多孔質体の各気孔表面にガス吸着剤層が設けられる。本願発明に係る多孔質体においては、上記連続気孔内でガスを流動させて収着させることができる。上記多孔質体の気孔率は、少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上のものを採用するのが良い。上記気孔率の多孔質体を採用することにより、上記気孔内でガスを円滑に流動させて収着することができる。また、上記多孔質体は熱伝導性を有するため、ガスを脱着させる際に、上記多孔質体を介して収着剤層の全域を所定温度まで迅速に加熱することが可能となる。このため、短時間に収着したガスを脱着させることが可能となり、脱着初期において高い濃度のガスを生成することが可能となる。
【0011】
また、収着性能を高めるため、比表面積が1000m2/m3以上の多孔質体を採用するのが好ましい。比表面積が上記の値以上のものを採用することにより、多量の収着剤を気孔表面に保持させること可能となる。
【0012】
ゼオライト等の収着剤は、脱着初期に、脱着可能量の多くの部分が脱着される特性を有する。また、加熱温度を高めるほど脱着ガスの濃度が高まるとともに、脱着率も大きくなる。従来は、150℃程度の温度で脱着させるものが多く、脱着時間も長く設定されることが多かった。この間キャリヤガスが気孔内を流動させられるため、その分脱着ガスの濃度が低下した。
【0013】
一方、脱着したガスを燃料に利用したり、脱着したガスを燃料電池に供給して発電を行うような場合、所定の濃度の脱着ガスを生成する必要がある。上記従来の手法では、脱着時のガス濃度が低いため、燃焼効率や発電効率を高めることができなかった。
【0014】
多孔質体を200℃以上に加熱して収着したガスを脱着させると、非常に短時間で、しかも従来の脱着率よりも高い脱着率で収着したガスを脱着することができる。特に、脱着初期に高い濃度のガスを生成することが可能となった。この脱着初期における高い濃度の脱着ガスを利用することにより、所要の濃度のガスを容易に生成することが可能となる。より好ましくは、250℃以上に加熱して、ガスを脱着させるのが良い。また、上記の加熱温度まで加熱するとともに所定時間保持した後、キャリヤガスを流して脱着ガスを回収することにより、濃度の高いガスを回収することが可能となる。上記保持時間は、収着剤やガスの種類、必要なガスの濃度等に応じて設定できる。
【0015】
上記ガス収着剤層を構成する材料は、少なくとも200℃以上の温度で収着したガスを脱着できれば特に限定されることはない。たとえば、上記ガス収着剤層を、ゼオライト粉末を、バインダを介して気孔表面にコーティングして形成することができる。また、ガスの流動を阻害しない範囲であれば、上記ガス収着剤層の厚みも特に限定されることはない。たとえば、ガス収着剤層の厚みを、気孔孔径の2分の1以下に設定することができる。また、活性炭、メソポーラスシリカ等を収着剤として採用できる。
【0016】
また、上記収着剤をコーティングするバインダも、少なくとも200℃以上の耐熱性を有するものを採用するのが好ましい。たとえば、PTFEバインダ(ポリテトラフルオロエチレンバインダ)を採用することができる。さらに、250℃以上の耐熱性を有するPTFEバインダを採用するのがより好ましい。
【0017】
請求項2に記載した発明は、上記多孔質体の一部又は全部を多孔質発熱体から構成したものである。
【0018】
ガス収着剤層を設ける多孔質体自体を発熱させることにより、ガス収着剤層を直接加熱して収着されたガスを脱着させることができる。また、収着されたガスを脱着させる際のエネルギ効率がきわめて高い。しかも、通電した多孔質発熱体の全域を、所定温度に迅速に加熱することができる。このため、短時間にガス収着剤層を所定温度まで加熱することが可能となり、ガスの脱着率を高めて、所要の濃度で多量のガスを脱着させることができる。しかも、キャリヤガスを加熱する装置を別途設ける必要がないことから、装置の小型化を図ることもできる。
【0019】
さらに、キャリヤガスを流すことなく、ガス収着剤層を所定温度まで加熱してガスを脱着させ、その後にキャリヤガスを流すように構成できる。この手法を用いることにより、脱着初期において、これまでにない濃度の脱着ガスを生成することが可能となる。
【0020】
上記多孔質体の全部を発熱体とする必要はなく、収着回収素子の形態や加熱温度に応じて、多孔質体の一部を発熱体とすることもできる。
【0021】
収着したガスを短時間に脱着させるには、多孔質体の全域を迅速に加熱する必要がある。加熱したキャリヤガスを用いて脱着させる場合や、多孔質体の一部を発熱体とした構成では、多孔質体の全域を短時間に所要温度まで加熱することが困難な場合がある。
【0022】
請求項3に記載した発明は、上記多孔質体内に熱伝導部材を設けたものである。上記熱伝導部材は、たとえば、銅等の熱伝導性が高い材料で形成することができる。上記熱伝導部材を設けることにより、多孔質体内の熱伝導性が高まり、多孔質体の全域を200℃以上の温度に迅速に加熱することが可能となる。このため、短時間に多量のガスを脱着することが可能となる。
【0023】
多孔質体を発熱体とした場合、多孔質発熱体の一部から通電すると、多孔質発熱体の一部に大きな電流が流れ、多孔質発熱体を均一に加熱することができない恐れがある。上記不都合を回避するために、請求項4に記載された発明のように、上記多孔質発熱体を、連続気孔を有する多孔質導電体を備えて構成するとともに、この多孔質導電体を介して通電できるように構成するのが好ましい。
【0024】
上記多孔質導電体は、上記多孔質発熱体より抵抗率の小さい多孔質体、たとえば、Ni(ニッケル)、Cu(銅)等で形成することができる。上記多孔質導電体は、多孔質発熱体のように高い温度で発熱しないため、給電のための配線を容易に接続することができる。上記多孔質導電体の抵抗率は、多孔質発熱体の抵抗率の100分の1以下に設定するのが好ましい。
【0025】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを別体の多孔質体から形成して溶接やかしめ等によって接合することができる。また、請求項5に記載された発明のように、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを共通の多孔質体から一体形成するのが好ましい。上記構成を採用することにより、上記ガス収着回収素子内の多孔質構造及び気孔率を一定にすることが可能となり、収着ガスを流動させた際の流動抵抗をガス収着回収素子内で均一にすることができる。このため、収着ガスの流動を阻害することなく、しかも、流動する収着ガスをガス収着剤層に効率よく収着させることができる。また、脱着する際のキャリヤガスの流動も均一になり、収着ガスを効率よく脱着して回収することができる。
【0026】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体の少なくとも一方は、上記共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより形成することができる。上記発熱体化あるいは導電体化する部位及び領域の大きさや数は特に限定されることはない。
【0027】
たとえば、少なくとも2以上の多孔質発熱体を備え、選択した1又は2以上の発熱体に通電して発熱させることができるように構成することができる。
【0028】
上記構成を採用することにより、ガス収着回収素子内の所要の部分を発熱させることが可能となる。これにより、収着ガスの脱着量を容易に調節することが可能になり、後に設けられるガス焼却装置やガス分解装置の能力等に応じて供給するガス量を調節できる。また、一部の発熱体が溶断等によって発熱しなくなった場合にも、他の発熱体に給電することによりガス収着回収素子の機能を維持することも可能となる。
【0029】
また、発熱体化又は導電体化する手法も特に限定されることはない。たとえば、上記共通の多孔質体として、上記多孔質導電体を構成できる金属多孔質体を採用し、この金属多孔質体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱体を形成することができる。
【0030】
また、上記共通の多孔質体として上記多孔質発熱体を構成できる金属多孔質体を採用し、この金属多孔質体の所定領域の表面に導電層を設けることにより、上記多孔質導電体を形成することもできる。上記導電層は、たとえば、金属等の導電性材料を、上記多孔質導電体を構成する領域にコーティング等することにより形成することができる。さらに、絶縁性を有する多孔質体に、発熱性を有する領域と導電性を有する領域の双方を連続して形成することにより、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを形成することもできる。
【0031】
上記多孔質発熱体の形態は特に限定されることはない。たとえば、シート状又は板状の多孔質体を採用することができる。シート状又は板状の多孔質体を採用することにより、所要の領域を容易に発熱体化あるいは導電体化することができる。
【0032】
さらに、2以上のガス収着回収素子を組み合わせることにより、所要の形態及び大きさのガス分解回収素子を構成することができる。この場合、対接する発熱体及び/又は上記導電体を電気的に接続することができる。この構成を採用することにより、種々の形態のガス収着回収素子を形成することができる。また、一体的に形成するのが不可能な形態のガス収着回収素子を構成することも可能となる。特に、シート状又は板状のガス収着回収素子を複数積層することにより、所要の部位を発熱させて収着ガスを脱着できる立体的なガス収着回収装置を容易に構成することができる。なお、組み合わされるガス収着回収素子の数及び形態は特に限定されることはなく、同一形態のガス収着回収素子のみならず、異なる形態のガス収着回収素子を組み合わせることができる。たとえば、気孔率やガス収着特性の異なるガス収着回収素子を組み合わせることも可能となる。
【0033】
また、対接する多孔質発熱体及び/又は上記多孔質導電体を電気的に接続することにより、複数のガス収着回収素子を構成する発熱体及び/又は導電体を一体化させて、一のガス収着回収素子として機能させることも可能となる。上記多孔質発熱体及び/又は上記多孔質導電体を電気的に接続する手法は特に限定されることはない。たとえば、対接する部分を溶接により接続して導通させることができる。また、複数の導電体を貫通して導通させる接続部材を設けることもできる。
【0034】
上記多孔質導電体に、給電を行う配線を直接接続することもできるが、上記多孔質導電体に所要の面積で接続された電極部を設けるのが好ましい。たとえば、上記多孔質導電体の表面に所要の面積で接続される電極板を溶接等によって設けて、この電極板に対して配線を接続することができる。上記電極板の接続面積は、多孔質発熱体及び多孔質導電体の大きさや給電量により設定することができる。上記電極板を構成する材料も特に限定されることはなく、Cu板等を採用できる。また、複数のガス収着回収素子を組み合わせる場合、複数の導電体の表面に掛け渡し状に上記電極板を接合することができる。また、複数の多孔質導電体を貫通して接続される棒状の電極部を設けることもできる。
【0035】
上記多孔質体を構成する材料及び形態は、特に限定されることはない。上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する多孔質体として、たとえば、請求項7に記載した発明のように、上記共通の多孔質体が、外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成しているものを採用することができる。
【0036】
上記多孔質体は、骨格が3次元網目構造に形成されているため、気孔率をきわめて大きく設定することができる。これにより、気孔内におけるガスの流動抵抗が小さくなり、大量の収着ガスを流動させて収着することが可能となる。また、上記骨格は、一体的に連続するように形成されている。このため、多孔質発熱体を構成する場合、繊維状の発熱体を充填して構成される多孔質発熱体のように、隣接する各繊維間の接触抵抗が生じることがなく、多孔質発熱体内各部における電気抵抗が大きく変化することはない。また、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とが同一の形態で連続させると、境界部分において気体の流動抵抗や電気抵抗が大きくなることもない。また熱伝導性が阻害されることもない。したがって、ガス収着回収素子内を流動する収着ガスやキャリヤガスの流れが偏在することはない。また、多孔質体内を流れる電流に偏在が生じることもなく、多孔質発熱体の全体を均一に加熱することが可能となる。
【0037】
また、上記請求項8に記載した発明のように、上記多孔質体における上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定となるように構成するのが好ましい。特に、多孔質発熱体を構成する場合、上記結節部では各骨格(枝部)からの電流が集中するため、一の結節部に集合する各枝部の電気抵抗が異なると、結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れて温度が上昇し、骨格が溶断したり劣化する恐れがある。一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みをほぼ一定に設定することにより、一の結節部に集合する各骨格の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、一の結節点に集合する一部の骨格に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、多孔質発熱部における骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
【0038】
多孔質発熱体の一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各枝部の外殻厚みと、内部の結節部に集合する枝部の外殻厚みが異なることになる。しかし、各結節部に集合する骨格の厚みがほぼ一定であれば、一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。また、結節部周りの骨格が均等な強度を備えるため、強度も確保することができる。
【0039】
多孔質体で発熱体を構成しない場合、上記骨格部分において熱伝導が生じることになる。この場合において、上記構成の骨格を採用することにより、電流と同様に多孔質体内での熱移動が円滑に行われる。したがって、多孔質発熱体の全域を迅速かつ均等に加熱することが可能となる。
【0040】
上記骨格を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば、請求項9に記載した発明のように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成することができる。上記骨格の外殻を金属めっき層又は金属コーティング層から形成することにより、骨格の厚みを非常に薄くかつ均一に設定することが可能となる。これにより、大きな気孔率を備える多孔質発熱体を形成することが可能となる。
【0041】
また、外殻をめっき層等から形成すると、一の結節部に集合する骨格の外殻の厚みをほぼ一定に形成することが可能となる。これにより、結節部周りの外殻の電気抵抗や熱抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、ガス収着回収素子の全域を均一に加熱することができる。
【0042】
上記芯部は、製造方法に応じて、中空又は/及び導電性材料から構成される。たとえば、上述したように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成する場合、上記樹脂が消失した部分が中空状となる。また、上記めっき層を設けるために上記3次元網目状樹脂の表面に導電性材料をコーティング等して導電化処理を施した場合には、上記導電性材料からなる表面導電化層が中空芯部の内周面に残存する場合がある。さらに、めっき処理の後に熱処理等を施した場合は、外殻が収縮して、中空部分がなくなる場合もある。なお、上記芯部の構造は、多孔質体の全体において均一である必要はなく、部分によって異なっていてもよい。たとえば、芯部を構成する導電性材料が後の熱処理によって溶解して、発熱体内で偏在したり、一部の中空部が消失した状態であってもよい。
【0043】
上記導電性又は熱伝導性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえば、Niから上記多孔質導電体の外殻を形成することができる。また、発熱性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえば、請求項10に記載した発明のように、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成するのが好ましい。上記範囲の配合量に設定することにより、上記多孔質発熱体を効率よく発熱させることができる。なお、上記NiとCrの配合比を保持した状態で他の成分が配合されてもよい。
【0044】
請求項11に記載した発明のように、多孔質発熱体を構成する上記外殻を、Niを主成分とするとともに導電部を構成できる金属多孔質体の所定部分に、Crを拡散させることにより合金化して発熱性を付与することにより形成することができる。Ni−Cr合金から、直接所要の気孔率を有する多孔質体を形成するのは困難な場合がある。たとえば、上述しためっき法によって、所要部分にNi−Cr合金のめっき層を直接形成するのは困難である。
【0045】
請求項11に記載した発明は、まず、Niから多孔質導電体を構成できる多孔質体を形成し、この多孔質体の多孔質発熱部を設ける所定の領域において、上記Niの表面から、Crを拡散させて発熱体として機能するNi−Cr合金としたものである。
【0046】
Niは、めっき処理しやすいため、上記骨格を容易に形成することができる。また、骨格の厚みや気孔率の異なる種々の金属多孔質体を容易に構成できる。そして、このNi多孔質体をCr合金化することによって、所要の電熱特性を備える発熱体を構成できる。また、多孔質導電体を構成する多孔質導電体の所定の領域を合金化することにより、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とを、ほぼ同一の形態及び気孔率を有する多孔質体で一体的に形成することができる。
【0047】
上記Ni多孔質体を、Cr合金化する手法は特に限定されることはない。たとえば、多孔質導電体を構成する領域にマスキングを施したNi多孔質体に、Cr粉末を充填して加熱することにより、Ni多孔質体の上記領域以外の部分をNi−Cr合金とすることができる。また、Cr源粉末の加熱により発生させた拡散浸透成分ガスと還元性希釈ガスとの混合ガス中で熱処理することにより、Ni多孔質体の所定領域をNi−Cr合金とすることができる。
【0048】
また、請求項12に記載した発明のように、Niによって形成された第1の外殻の所定部分に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより、多孔質発熱体を構成する外殻を形成できる。
【0049】
請求項13に記載した発明は、多孔質発熱体と多孔質導電体とを一体的に備えるとともに、少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けたガス収着回収素子の製造方法であって、上記多孔質導電体を構成できる多孔質体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱体を形成する合金化工程と、少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けるガス収着剤層形成工程とを含んで構成したものである。
【0050】
請求項14に記載した発明は、多孔質発熱体と多孔質導電体とを一体的に備えるとともに、少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けたガス収着回収素子の製造方法であって、上記多孔質発熱体を構成できる多孔質発熱体の所定領域の表面に導電層を設けることにより、上記多孔質導電体を形成する導電体形成工程と、少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けるガス収着剤層形成工程とを含んで構成したものである。
【0051】
請求項15に記載した発明は、請求項1から請求項12に記載したガス収着回収素子を備えるガス収着回収装置に係るものである。
【0052】
本願発明に係るガス収着回収素子は、気孔表面にガス収着剤層を設けてガスを流動させることができるため、ガスを効率よく収着させることが可能となる。しかも、外殻が熱伝導性の高い材料から形成されるため、多孔質体の全域を迅速に加熱することができる。
【0053】
さらに、外殻を発熱体から形成することにより、ガス収着剤層を内部から直接加熱して、収着ガスを脱着することができる。これにより、脱着に要するエネルギを小さくすることが可能になる。また、ガス収着回収素子の全体を均一に、かつ迅速に加熱することができるため、ガスの脱着効率の良いガス収着回収装置を構成できる。
【発明の効果】
【0054】
収着ガスを効率よく収着させることができるばかりでなく、多孔質体を迅速に加熱してガスを脱着させることにより、高い濃度のガスを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本願発明に採用される多孔質体の構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】図1に示す多孔質体の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】図2におけるII−II線に沿う断面図である。
【図4】収着剤の加熱温度による脱着ガスの濃度の変化を示すグラフである。
【図5】収着剤の加熱温度による脱着率を示すグラフである。
【図6】上記多孔質体を発熱体とした場合のガス収着回収素子の一例を示す側面図である。
【図7】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図8】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図9】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図10】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図11】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図12】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図13】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図14】図5に示すガス収着回収素子の製造工程を示す図である。
【図15】図5に示す多孔質体を用いて構成したガス収着回収装置の一例を示す概略斜視図である。
【図16】図14におけるXV−XV線に沿う断面図である。
【図17】第3の実施形態に係るガス収着回収装置の例を示す図であり、図15に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0057】
図1は、本実施形態に係るガス収着回収素子100を構成する金属多孔質体102の外観構造を示す電子顕微鏡写真である。上記金属多孔質体102は、形成される材料によって多孔質発熱体を構成することもできるし、熱伝導性を有する多孔質導電体を構成することもできる。上記金属多孔質体102の連続気孔の表面にガス収着剤をコーティングすることにより、本願発明に係るガス収着回収素子100が形成される。
【0058】
以下に、上記金属多孔質体を多孔質発熱体102とした場合について説明する。なお、本願発明は、上記金属多孔質体102が多孔質発熱体を構成する場合に限定されるものではなく、熱伝導性を有する金属多孔質体からガス回収収着素子を構成することができる。
【0059】
図2及び図3に、上記金属多孔質体102に、上記ガス収着剤層170を設けて構成したガス収着回収素子100の断面構造を模式的に示す。金属多孔質体102は、連続気孔101bを有する3次元網目構造を備える。上記3次元網目構造は、三角柱状の骨格110が3次元に連続して連なった形態を備え、上記骨格110を構成する複数の枝部112が結節部150に集合して一体的に連続する形態を備える。また、骨格110の各部は、図3に示すように、外殻110aと、中空状の芯部110bとを備えて構成される。なお、図2及び図3に示す実施形態では、上記外殻110aは、後に説明するように、めっき層112aと表面導電化層112bとが、一体的に合金化されて発熱体として機能するように構成されている。
【0060】
上記金属多孔質体102は、連続気孔101bを有する多孔質状に形成されているため、上記気孔101b内でガスを流動させることができる。しかも、上記金属多孔質体102は、3次元網目構造を採用することによって、気孔率をきわめて大きく設定することができる。上記金属多孔質体の気孔率は、少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上に設定される。上記気孔率の金属多孔質体102を採用することにより、上記気孔内でガスを円滑に流動させて収着することができる。また、上記金属多孔質体は、金属で形成されているため、基本的に熱伝導性が高い。したがって、外部から加熱する方式を採用してガスを脱着させる場合にもおいても、上記金属多孔質体を介して収着剤層の全域を所定温度まで迅速に加熱することが可能となる。このため、短時間に収着したガスを脱着させることが可能となり、脱着初期において高い濃度のガスを生成することが可能となる。また、気孔率が大きいため、ガス収着剤層170を設けても、気孔内におけるガスの流動抵抗が低く、大量のガスを流動させて収着し、また脱着することが可能となる。
【0061】
また、図2に示すように、上記3次元網目構造における一の結節部150に集合する上記枝部112の外殻110aの厚みtがほぼ一定に形成されている。一の結節部150に集合する枝部112の外殻の厚みtがほぼ一定であるため、一の結節部150に集合する各枝部112の電気抵抗や熱伝導率もほぼ一定となる。したがって、一の結節部に集合する一部の枝部に過大な電流が流れたり、熱伝導が阻害されたりすることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することができるとともに、金属多孔質体内を均一に加熱することができる。
【0062】
なお、金属多孔質体102の一の結節部150に集合する枝部112の外殻110aの厚みがほぼ一定であればよく、金属多孔質体の全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みtが、金属多孔質体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各骨格の外殻厚みと、内部の結節部に集合する骨格の外殻厚みが異なることになる。しかし、一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であれば、少なくとも上記結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れたり、熱伝導の障害となることはなく、結節部近傍の骨格が溶断したり、金属多孔質体内の温度が部位によって異なるのを防止することができる。
【0063】
また、収着性能を高めるために、比表面積が1000m2/m3以上の金属多孔質体102を採用するのが好ましい。比表面積が上記値以上のものを採用することにより、多量の収着剤を気孔表面に保持させること可能となる。
【0064】
図4及び図5は、気孔率が96%、比表面積が1250m2/m3であって、3×7×100mmの短冊状のNi金属多孔質体に、グラム当たり約0.1gのゼオライトをコーティングして形成したガス収着回収素子にアンモニアガスを収着させた場合の脱着特性を示すものである。
【0065】
図4は、加熱温度を異ならせた状態で、キャリヤガスとしてN2ガスを50cc/minで流した場合に回収された脱着ガスの濃度の相異を示すグラフである。なお、図4には、従来の耐熱性の低いPVDFバインダ(ポリフッ化ビニリデン)を150℃に加熱してガスを脱着させた場合の濃度の変化も参考に表している。図4から、加熱温度を高めると、初期の脱着ガスの濃度が高まることが判る。特に、200℃以上に加熱した場合は、上記PVDFバインダの使用温度である150℃に加熱した場合にくらべて、脱着ガスの濃度を格段に高めることができる。
【0066】
図5に、加熱温度を異ならせた状態で、キャリヤガスとしてN2ガスを50cc/minで流した場合のアンモニアガスの脱着率(=脱着量/収着量×100)を示す。図5から、加熱温度を高めると、ガスの脱着率が大幅に高まることが判る。また、N2ガスを5L流した後のガスの脱着率は、加熱温度が200℃では、28%であるのに対し、260℃まで加熱するとは41%まで増加する。したがって、加熱温度を高めることにより、収着されたガスをより多く脱着させることができる。
【0067】
本実施形態では、上記脱着特性に示すように、脱着初期における濃度の高いガスを利用して所定濃度のガスを回収するように構成される。すなわち、ガス収着回収素子にできるだけ高い温度を作用させて、短時間に収着ガスを脱着させることにより、濃度の高いガスを回収することが可能となる。
【0068】
本実施形態に係る上記金属多孔質体102は、気孔率が大きいため多量の収着剤を保持させることができる。しかも、連続する3次元網目構造の骨格を備えるため、熱伝導率が多孔質体内で均一である。したがって、上記金属多孔質体102の気孔表面にコーティングされた収着剤層170の各部を均一に、かつ迅速に加熱して収着されたガスを脱着させることができる。
【0069】
上記構成によって高い濃度で脱着させたガスを生成することが可能となり、燃料として利用したり、固体電解質を備える燃料電池等によって発電を行うような場合に、燃焼効率や発電効率を高めることが可能となる。
【0070】
本願発明では、上記金属多孔質体102を発熱体として構成することができる。図6に、上記金属多孔質体102を多孔質発熱体102bとして機能させる場合のガス収着回収素子100の概略構造を示す。
【0071】
本実施形態に係るガス収着回収素子100は、外形が矩形板状に形成されているとともに、全体が連続気孔101bを有する多孔質状に形成されている。
【0072】
上記連続気孔101bの表面には、図2及び図3に示すように、ガス収着剤層170が設けられている。上記ガス収着剤層170の内部には、長手方向の中間部分に多孔質発熱体102bが設けられているとともに、この多孔質発熱体102bの両側に多孔質導電体104a,104bが設けられている。上記多孔質導電体104a,104bの上面に、導電性金属から形成された電極板103a,103bが溶接等によって接合されている。各電極板103a,103bには、電源106から延びるリード線105a,105bが接続されており、上記ガス収着回収素子100の内部に設けた多孔質発熱体102に、上記電極板103a,103b及び多孔質導電体104a,104bを介して給電して発熱させることができるように構成されている。なお、リード線を多孔質発熱体に直接接続して給電するように構成することもできる。
【0073】
上記多孔質発熱体102bと上記多孔質導電体104a,104bは、図1〜図3に示すほぼ同じ形態及び気孔率の多孔質体で形成されているため、ガスの流動抵抗もほぼ同一である。この多孔質体の気孔表面にガス吸着剤層を設けたガス吸着回収素子内にガスを流動させて、上記ガス収着剤層に効率よく収着させることができる。
【0074】
本実施形態に係る上記多孔質発熱体102bは、少なくともNiとCrとを含む合金から形成されている。上記NiとCrの配合量は、所要の発熱量に応じて設定することができる。たとえば、上記多孔質発熱体102bの上記外殻110aを、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成することができる。
【0075】
上記多孔質発熱体102bは、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、上述した構造を備える多孔質導電体104a,104bを構成できる金属多孔質体を形成する工程と、この金属多孔質体の所定領域(発熱体に対応する領域)をCr合金化することにより、上記多孔質発熱体102bを形成する合金化工程を経て、上記多孔質発熱体102bと上記多孔質導電体とが一体化された金属多孔質体を形成することができる。
【0076】
上記多孔質発熱体102bを構成する骨格をめっきによって形成する場合、3次元網目状樹脂に導電化処理を施す工程と、3次元網目状樹脂にNiめっきを施す工程と、上記合金化する領域以外の領域に、めっき処理又はコーティング処理に対するマスキング層を設けるマスキング工程と、上記マスキングを施していない領域に、Cr等の金属をめっき又はコーティングする積層工程と、上記3次元網目状樹脂を除去する工程と、上記めっき又はコーティングが施された多孔質体を加熱して、積層されたNi層とCr層とを合金化する熱処理工程とを含んで構成することができる。
【0077】
上記3次元網目状樹脂の形態として、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等を用いることができる。上記3次元網目状樹脂を構成する素材は特に限定されることはないが、金属めっきした後、加熱等によって消失させることができるものを採用するのが好ましい。また、加工性やハンドリング性を確保するため、柔軟性を有するものを採用するのが好ましい。特に、3次元網目状樹脂として樹脂発泡体を採用するのが好ましい。樹脂発泡体は、連続気孔を有する多孔質状であればよく、既知のものを採用できる。たとえば、発泡ウレタン樹脂、発泡スチレン樹脂等を採用することができる。発泡樹脂の気孔の形態や気孔率、寸法等は特に限定されることはなく、用途に応じて適宜設定することができる。
【0078】
上記3次元網目状樹脂を導電化する処理は、各気孔の表面に上記骨格を構成する金属めっき層を設けるために行われるものであり、図3における表面導電化層112bを設けることができれば特に限定されることはない。たとえば、ニッケルを用いる場合には、無電解めっき処理、スパッタリング処理等を採用することができる。また、チタン、ステンレス等の金属やカーボンブラック、黒鉛等を採用する場合には、これらの微粉末にバインダを添加した混合物を、上記3次元網目状樹脂に含浸塗着する処理を採用することができる。
【0079】
上記めっき処理も特に限定されることはなく、公知のめっき法によって処理をすることができる。たとえば、ニッケルめっきの場合、生産性、コスト等の観点から電気めっき法を採用するのが好ましい。電気めっきに用いるめっき浴として、公知あるいは市販のものを採用できる。
【0080】
上記Niめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはない。所要の気孔率や、強度を勘案して設定することができる。たとえば、100g/m2〜2000g/m2の目付量を採用することができる。
【0081】
上記手法によって、まず、Niめっき層を形成し、導電体を構成する領域にマスキングを施した後、Crめっき層を積層形成する。上記Crめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはなく、たとえば、10g/m2〜1000g/m2の範囲で設定することができる。
【0082】
上記めっき層を形成した後、上記3次元網目状樹脂を除去する工程が行われる。上記3次元網目状樹脂を除去する工程は、たとえば、ステンレスマッフル内で大気等の酸化性雰囲気において、上記めっき層を設けた多孔質体を、600℃〜800℃で熱処理することにより、上記3次元網目状樹脂を焼却除去することができる。
【0083】
さらに、上記Niめっき層にCrめっき層を積層形成した多孔質体を、ステンレスマッフル内でCOやH2 等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記Crめっき層とNiめっき層とを互いに拡散させてNi−Cr合金層を形成することができる。また、N2やAr等の不活性ガス雰囲気では、カーボンマッフル内で1000℃〜1500℃に加熱して上記Crめっき層とNiめっき層とから合金層を形成することもできる。Niによって、図3及び図4に示す表面導電化層112bを設けた場合には、表面導電化層112bも上記合金化工程においてNi−Cr合金化されて全体が発熱体となる。
【0084】
上記工程を採用することにより、外殻のクロム濃度のバラツキが少なく、高い耐蝕性を有するとともに発熱特性の高い多孔質発熱体を形成することができる。また、めっき層によって外殻が構成されるため、外殻の厚み(断面積)を多孔質体内でほぼ均一に設定することが可能となる。このため、多孔質体内における電気抵抗のばらつきが少なくなり、通電することにより、多孔質体の全体を均一に加熱することができる。
【0085】
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る上記芯部110bは、中空状に形成されるが、これに限定されることはない。すなわち、上述した実施形態は、Niから形成された表面導電化層112bがCr合金化されたため外殻と一体化されたが、上記表面導電化層を別の導電性材料から形成する場合、芯部として残存する場合もある。たとえば、上記表面導電化層をチタンやカーボン等から形成するとともに、Niめっきによって骨格を形成した後Cr合金化した場合、上記表面導電化層が合金化されずに芯部として残存することになる。また、Niめっき層をCr合金化する熱処理工程において、外殻が収縮して、中空の芯部が消失する場合もある。なお、上記表面導電化層は、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
【0086】
上記のようにして形成された、多孔質発熱体102bと上記多孔質導電体104a,104bとが一体形成された多孔質体の連続気孔表面に、ガス収着剤をコーティングすることにより、ガス収着剤層170が形成される。
【0087】
上記ガス収着剤層170を形成する手法は特に限定されることはなく、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、ゼオライト粉末とバインダと溶剤とを混合して形成されるペーストを、上記多孔質体に塗布し、乾燥させることにより、上記ガス収着剤層170を形成することができる。上記バインダは、上述した耐熱性が高いPTFE樹脂から形成されるとともに、少なくとも200℃以上の温度で加熱できるように構成するのが好ましい。
【0088】
上記ガス収着剤層170の厚みは特に限定されることはない。本実施形態の場合は100μmの厚みで上記ガス収着剤層170を形成したが、ガスの流動を阻害しない気孔率を確保できれば大きな厚みで形成して収着容量を増大させることができる。たとえば、上記ガス収着剤層170の厚みを、気孔孔径の2分の1以下に設定するのが好ましい。また、上記ガス収着剤層170を形成した後の気孔率が26%〜32%となるように構成するのが好ましい。上記ガス収着剤層を形成する手法は特に限定されることはない。他の手法を用いて形成することができる。
【0089】
図6に示すガス収着回収素子100は、具体的に、図7〜図14に示す手法によって形成することができる。なお、図7〜図14は、上記ガス収着回収素子100を製造する手法を模式的に示したものである。また、これら図面においては、図6におけるガス収着回収素子の一部の製造工程を表している。
【0090】
まず、図6に示す多孔質導電体104a,104bと多孔質発熱体102bを構成する共通の骨格を形成するため、図7に示す3次元網目状樹脂160を準備する。上記3次元網目状樹脂160は、上述した骨格を構成する中空の芯部に対応する部分160aと、連続気孔に対応する連続気孔部分160bとを備えて構成されている。たとえば、上記3次元網目状樹脂160を、ウレタン樹脂を所定の気孔率で発泡させることにより形成することができる。
【0091】
図8に示すように、上記3次元網目状樹脂160に、上述した手法によって表面を導電化処理した後、全体にNiめっき層111を形成する。上記Niめっき層111は、図6における多孔質導電体104a,104bを構成するものであり、上述したように、100g/m2〜2000g/m2の目付量で形成することができる。その後、図9に示すように、上記多孔質導電体104bを構成する部分に、上記Crめっき処理に対するマスキング層122を形成する。上記マスキング層122は、たとえば、エポキシ樹脂等で形成することができる。
【0092】
次に、図10に示すように、上記マスキング層122を設けた多孔質体に、上述した手法によって、Crめっき層113を設ける。上記マスキング層122を設けているため、上記多孔質発熱体102に対応した領域にのみ上記Crめっき層113を形成することができる。これにより、上記多孔質発熱体102bを構成する部分に、Niめっき層111とCrめっき層113とが積層形成された複合めっき層120が形成される。
【0093】
図11に示すように、複合めっき層120を形成した後に上記マスキング層122が除去される。その後、上述した3次元網目状樹脂を除去する工程が行われ、図12に示すように、Niめっき層111のみ設けられて導電体104bを構成する領域と、上記Niめっき層111にCrめっき層113が積層された複合めっき層120を備える領域とが一体的に連続する3次元網目状の金属多孔質体114が形成される。
【0094】
上記金属多孔質体114を、ステンレスマッフル内でCOやH2 等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記複合めっき層120を構成する上記Niめっき層111と上記Crめっき層113とを互いに拡散させてNi−Cr合金化し、多孔質発熱体102が形成される。図13に示すように、金属多孔質体114は、中空の芯部101cとCr合金化された外殻101aとからなる多孔質発熱体102bの骨格101と、中空の芯部111cとNiのみから形成された外殻111aとからなる導電体104bの骨格121とが連続的に形成された形態を備えている。
【0095】
上記手法を採用することにより、Niによって形成された金属多孔質体の所要の部分をNi−Cr合金化して、多孔質発熱体102と、この多孔質発熱体102に連続するCr合金化されていない多孔質導電体104bとを一体的に形成することができる。ガス収着剤層170は、絶縁性材料から形成されることが多いため、ガス収着剤層170を形成する前に、上記多孔質導電体104bの上面には、電極板103bが設けられる。
【0096】
上記構成の金属多孔質体114の電極を除く全域に、ゼオライト粉末とバインダ(PTFE60%ディスパージョン)と溶媒(CMC0.5%水溶液)とを、12g:3.1g:32.5gの重量比で混合して形成されるペーストを塗布し、上記溶媒を加熱除去して、図14に示すガス収着回収素子100が形成される。
【0097】
図15に、上述した手法によって形成されたガス収着回収素子を用いてガス収着回収装置200を形成した例を示す。
【0098】
本実施形態に係るガス収着回収装置200は、円筒状のロータ201を半径方向に延びる電気絶縁性のある隔壁202a,202b,202c,202dで4つの領域A,B,C,Dに区画し、この区画にガス収着回収素子207a,207b,207c,207dをそれぞれ配置して構成されている。
【0099】
上記ロータ201は、図示しないモータによって回転させられ、所定の回転位置にある領域に収着ガスを流動させて上記ガス収着剤層に収着させる一方、所定の回動位置において上記多孔質発熱体に通電して加熱するとともに、上述したN2等のキャリヤガスを流動させることにより、収着剤層に収着させたガスを脱着させて回収できるように構成したものである。
【0100】
図16に示すように、本実施形態では、上記各領域A,B,C,Dに配置されるガス収着回収素子207a,207b,207c,207dは、内周部が回転軸212に保持された円筒壁状の第1の電極板213a,213b,213c,213dと、外周部を覆うように設けられた円筒壁状の第2の電極板214a,214b,214c,214dと、これら電極板の間の空間に設けられた多孔質収着部211a,211b,211c,211dとを備えて構成されている。なお、図示はしないが、各多孔質収着部211a,211b,211c,211dは、一体形成された多孔質発熱体と多孔質導電体に、ガス収着剤をコーティングして形成されている。
【0101】
電源220からの電流が、ロータ201の回転軸212の外周に設けた第1の電極板213a,213b,213c,213dと、回転しながら上記第2の電極板214a,214b,214c,214dおよびこれら電極板に接触させられる通電体215を介して、上記ガス収着回収素子207a,207b,207c,207dに順次流される。これにより、上記ガス収着回収素子207a,207b,207c,207dが順次発熱させられて、各ガス収着剤層に収着されたガスが脱着させられ、キャリヤガスとともに回収される。
【0102】
上記構成のガス収着回収装置200に、濃度200ppmのアンモニアガスを流速8cm/secで通気したところ、収着後のアンモニアガス濃度が1〜2ppmとなった。
【0103】
一方、上記アンモニアガスを収着させた領域のガス収着回収素子に通電して200〜260℃に加熱するとともに、キャリヤガスとしてN2を流動させたところ、脱着初期において濃度4400ppmのアンモニアを検出した。
【0104】
上記構成を採用することにより、発生するガスを連続的に収着し、回収することが可能となる。また、上記構成のガス収着回収装置において、脱着領域を所定温度まで加熱した後に所定時間保持して多孔質体内にガスを脱着させ、その後上記キャリヤガスを流動させるように、上記加熱温度及び上記ロータ201の回転を制御することができる。この手法を採用することにより、脱着初期の濃度高いガスを連続的に回収することが可能となる。
【0105】
図17に、本願発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、ガス収着剤をコーティングした金属多孔質体を発熱体とはせず、外部加熱あるいはキャリヤガスを加熱して流動させることにより、収着ガスを脱着させる場合に本願発明を適用したものである。
【0106】
外部加熱を用いて、ガス収着回収素子からガスを短時間に脱着させるには、ガス収着回収素子を短時間で所定温度まで加熱する必要がある。一方、図15に示すような大型のガス収着回収装置では、ガス収着回収素子の全体を所定の温度まで加熱するのにかなりの時間を要する。このため、短時間に収着ガスを脱着させるのは困難である。
【0107】
本実施形態では、図17におけるガス収着回収素子207a〜207dの内部に、熱伝導部材314aを設けたものである。上記熱伝導部材314aは、熱伝導性の高い板状金属から形成されており、ガスの流動を妨げることがないように、ガスの流動方向に沿う方向に配置される。
【0108】
上記熱伝導部材314aを設けることにより、各ガス吸着回収素子内での熱伝導性が格段に高まり、ガス吸着回収素子の各部に温度差が生じるのを防止できる。
【0109】
また、外部加熱あるいはキャリヤガスから作用する熱を、上記熱伝導部材を介して金属多孔質体に迅速に伝導させることが可能となり、ガス収着回収素子を所定温度まで迅速に加熱して、収着されたガスを短時間に脱着させることができる。
【0110】
本願発明は、種々の過程で生成されるガスに適用できる。また、本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
大量のガスを収着できるとともに、濃度高いガスを効率よく脱着して回収することができる。
【符号の説明】
【0112】
100 ガス収着回収素子
101b 連続気孔
102 多孔質体
102b 多孔質発熱体
170 ガス収着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続気孔を有するとともに熱伝導性を有する多孔質体の各気孔表面にガス収着剤層を設け、上記ガス収着剤層を加熱することにより、上記ガス収着剤層に収着されたガスを脱着させるように構成されたガス収着回収素子であって、
上記ガス収着回収素子を、少なくとも200℃以上に加熱することにより、上記ガス収着剤層に収着されたガスを脱着させるように構成された、ガス収着回収素子。
【請求項2】
上記多孔質体の一部又は全部が多孔質発熱体である、請求項1に記載のガス収着回収素子。
【請求項3】
上記多孔質体内に熱伝導部材が設けられている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガス収着回収素子。
【請求項4】
上記多孔質発熱体は連続気孔を有する多孔質導電体を備えて構成されているとともに、この多孔質導電体を介して通電できるように構成されている、請求項2又は請求項3のいずれかに記載のガス収着回収素子。
【請求項5】
上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とが共通の多孔質体から一体形成されている、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のガス収着回収素子。
【請求項6】
上記ガス収着剤層は、ゼオライト粉末を、バインダを介して上記多孔質体の気孔表面にコーティングして形成されているとともに、
上記バインダは少なくとも200℃以上の耐熱性を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガス収着回収素子。
【請求項7】
上記多孔質体は、
外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、
上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のガス収着回収素子。
【請求項8】
上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定である、請求項7に記載のガス収着回収素子。
【請求項9】
上記骨格は、3次元編目状樹脂の表面にメッキ層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成されたものである、請求項7又は請求項8のいずれかに記載されたガス収着回収素子。
【請求項10】
多孔質発熱体を構成する上記外殻が、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成されている、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のガス収着回収素子。
【請求項11】
多孔質発熱体を構成する上記外殻は、Niを主成分とするとともに導電体を構成できる金属多孔質体の所定部分に、Crを拡散させることにより合金化して発熱性を付与したものである、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のガス収着回収素子。
【請求項12】
多孔質発熱体を構成する上記外殻は、Niによって形成された第1の外殻の所定部分に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより発熱性を付与して構成されている、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のガス収着回収素子。
【請求項13】
多孔質発熱体と多孔質導電体とを一体的に備えるとともに、少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けたガス収着回収素子の製造方法であって、
上記多孔質導電体を構成できる多孔質体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱体を形成する合金化工程と、
少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けるガス収着剤層形成工程とを含む、ガス収着回収素子の製造方法。
【請求項14】
多孔質発熱体と多孔質導電体とを一体的に備えるとともに、少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けたガス収着回収素子の製造方法であって、
上記多孔質発熱体を構成できる多孔質発熱体の所定領域の表面に導電層を設けることにより、上記多孔質導電体を形成する導電体形成工程と、
少なくとも上記多孔質発熱体の気孔表面にガス収着剤層を設けるガス収着剤層形成工程とを含む、ガス収着回収素子の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項12に記載したガス収着回収素子を備えるガス収着回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−94761(P2013−94761A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242303(P2011−242303)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】