説明

ガス吸引ポンプ

【課題】 ガス吸引ポンプにおけるガスの吸引回数を電気を用いないで自動的にカウントできるようにすること。
【解決手段】 少なくとも円筒状のシリンダーと、該シリンダーの一端部に設けられた支持筒と、該支持筒に摺動可能な状態で挿設されたシャフトと、該シャフトの前記シリンダー内側の端部に接続されたピストンとを備え、該ピストンを前記シリンダー内で摺動させることにより該シリンダー内にガスを吸引できるガス吸引ポンプであって、該シャフトの前記シリンダー内側の端部側にストローク完了確認手段を設け、前記支持筒の内部に前記ストローク完了確認手段によるストロークの完了を検知できる検知手段を設けると共に、該検知手段で検知したことをカウントできるカウンタを前記支持筒の外部に設けてストローク回数をカウントできる構成にしたことにより、ガスの吸引回数を電気を用いないで自動的にカウントできるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガス検知管等を取り付けて定量のガスを吸引するためのガス吸引ポンプに関し、詳しくは、ストローク回数をカウントできるようにするガス吸引ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のストローク回数をカウントできるガス吸引ポンプにおいては、同一出願人によるものとして、例えば、特定のガスを測定する検知管を収容し、該検知管に一定量の空気を吸引させるポンプであって、前記ポンプには圧力センサ及び表示部を配設し、ポンプ内部の圧力が規定値に達することによって吸引回数をカウントし、該カウントを表示し、該表示をディジタルで表示するガス検知管用定量ポンプがある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の公知技術においては、ガス検知管用定量ポンプ内に配設させた電池等によって圧力センサやディジタルの表示器に電源を供給する、即ち電気式のカウンタを用いた構成になっている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−270104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の公知技術においては、電源を必要とする電気式のカウンタを用いているため、例えば、引火性のガス等が存在するような環境での使用は好ましくないことから、このような環境下では吸引回数を自動的にカウントすることができず、複数回の吸引、即ちシャフトに接続されたピストンの摺動を複数回必要とするような場合には、吸引と待機とを繰り返すうちに誤カウントしてしまうことがあるという問題点を有している。
【0006】
従って、従来のガスを吸引するポンプにおいては、ガスの吸引回数を電気を用いないで自動的にカウントできるようにするということに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明に係るガス吸引ポンプは、少なくとも円筒状のシリンダーと、該シリンダーの一端部に設けられた支持筒と、該支持筒に摺動可能な状態で挿設されたシャフトと、該シャフトの前記シリンダー内側の端部に接続されたピストンとを備え、該ピストンを前記シリンダー内で摺動させることにより該シリンダー内にガスを吸引できるガス吸引ポンプであって、該シャフトの前記シリンダー内側の端部側にストローク完了確認手段を設け、前記支持筒の内部に前記ストローク完了確認手段によるストロークの完了を検知できる検知手段を設けると共に、該検知手段で検知したことをカウントできるカウンタを前記支持筒の外部に設けてストローク回数をカウントできる構成にしたことを最も主要な特徴とする。
【0008】
この発明において、前記ストローク回数のカウントは、機械式であること;前記ストローク完了確認手段は、ピストンまたはフランジ部材であること;前記シャフトには、シリンダー内の気圧を感知してガスの吸引が完了したことを通知する通知手段を設けたこと;前記一端部に支持筒が設けられたシリンダーは、他端部にガス検知管を装着することができる案内筒を設けたこと;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るガス吸引ポンプは、少なくとも円筒状のシリンダーと、該シリンダーの一端部に設けられた支持筒と、該支持筒に摺動可能な状態で挿設されたシャフトと、該シャフトの前記シリンダー内側の端部に接続されたピストンとを備え、該ピストンを前記シリンダー内で摺動させることにより該シリンダー内にガスを吸引できるガス吸引ポンプであって、該シャフトの前記シリンダー内側の端部側にストローク完了確認手段を設け、前記支持筒の内部に前記ストローク完了確認手段によるストロークの完了を検知できる検知手段を設けると共に、該検知手段で検知したことをカウントできるカウンタを前記支持筒の外部に設けてストローク回数をカウントできる構成であるため、複数回シャフトをストロークしてガスを吸引するような場合であっても、ガスの吸引回数を誤ってカウントすることがなく、また、引火性のガス等が存在するような環境下であっても使用できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明の実施の形態に係るガス吸引ポンプを図1乃至図10を用いて説明する。図1に、ガス吸引ポンプを略示的に示した斜視図を示し、図2に、ガス吸引ポンプを略示的に示した平面図を示してある。
【0011】
ガス吸引ポンプ1には、略円筒状に形成されたケーシング2が備えられている。図3に、ガス吸引ポンプを上側から見て略示的に示しケーシング2を省略した断面図を示してある。前記ケーシング2の内部には、円筒状に形成されたシリンダー3が配設されている。
【0012】
ケーシング2の一端部側には、案内筒4が配設されており、該案内筒4には、ガス検知管5を装着させることができるガス検知管装着部6が設けられている。該ガス検知管装着部6の内径側には、ガス吸引口6aが形成されており、該ガス吸引口6aからシリンダー3の内部に周囲のガスを吸引できるようになっている。
【0013】
一方、ケーシング2(シリンダー3)の他端部側には、支持筒7が配設されている。該支持筒7には、挿通用孔部7aが形成されており、該挿通用孔部7aには、摺動可能な状態でシャフト8が挿設されている。このシャフト8は、アルミニウム等の金属または熱可塑性エンジニアリング樹脂等の樹脂等により棒状に形成されている。
【0014】
ケーシング2の外側に位置する前記シャフト8の端部には、操作ハンドル9が配設されており、該操作ハンドル9を握って前後に操作することにより、該操作ハンドル9の操作に伴って前記シャフト8が前後に摺動するので、該シャフト8の出し入れが容易にできるようになっている。なお、前記操作ハンドル9は、前記シャフト8と一体的に形成しても良いことは勿論である。
【0015】
シリンダー3(ケーシング2)の内部側に位置するシャフト8の端部には、ピストン10が接続されており、該ピストン10は、前記シリンダー3内に摺動可能な状態で挿設されている。つまり、操作ハンドル9を操作することにより、前記シャフト8を介して前記ピストン10をシリンダー3内で前後に摺動させることができるのである。
【0016】
シャフト8内には、アルミニウム等の金属または熱可塑性エンジニアリング樹脂等の樹脂等で形成されたパイプ11が配設されており、該パイプ11(シャフト8)の内部には、パイプ11の長さ方向にガス通気路11aが設けられている。なお、前記パイプ11は、前記ピストン10の接続を容易にすること及びシャフト8の製造を容易にするために設けたものであって、前記シャフト8と前記パイプ11とは、必ずしも別々に形成しなければならないというものではなく、例えば、前記シャフト8と前記パイプ11とを一体で形成してパイプ11を省略しても良い。
【0017】
ピストン10は、固定ネジ12を用いてシャフト8(パイプ11)の端部に接続させている。この固定ネジ12には、パイプ11(シャフト8)内に設けられたガス通気路11aに連通するガス通気用孔12aが設けられている。そのため、前記パイプ11内に設けられたガス通気路11a内の気圧は、ピストン10よりも前方、即ち該ピストン10よりも案内筒4寄りのシリンダー3内と同気圧になるのである。
【0018】
図4に、シャフト8の端部に設けられた操作ハンドル9を分解して略示的に示した平面図を示し、図5に、ガス吸引ポンプ1の通常状態時(ピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部(大気)と同圧乃至高圧である状態(例えばシャフト8を前方に押し込んでピストン10が案内筒4寄りに位置している状態))におけるシャフト8の端部に設けられた操作ハンドル9を略示的に示した断面図を示し、図6に、ガス吸引ポンプ1の吸引状態時(ピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部(大気)より低圧である状態(例えばシャフト8を後方に引っ張ってピストン10が支持筒7寄りに位置している状態))におけるシャフト8の端部に設けられた操作ハンドル9を略示的に示した断面図を示してある。
【0019】
操作ハンドル9の中央部には、凹部9aが形成されており、該凹部9aの上部側と下部側とには、切欠部9bが形成されている。この凹部9aには、シャフト8内に配設させたパイプ11の端部11bが露出・突出している。該パイプ11の端部11bには、該パイプ11内に設けられたガス通気路11aよりも端部側が広径になるように傾斜して形成されたガス通気口11cが設けられている。
【0020】
この凹部9aには、まずインジケータ13を配設させる。インジケータ13は、円柱状の嵌合部13aと、該嵌合部13aの一端部側にフランジ状に設けられた弾性部13bと、該弾性部13bの周縁部から垂下状に設けられた垂下部13cとからなる。
【0021】
インジケータ13の垂下部13cは、露出・突出されたパイプ11の端部11bの周囲に嵌合できるように形成されており、この垂下部13cを前記パイプ11の端部11bに嵌合させることによって、該端部11bにインジケータ13を配設させ、該インジケータ13の弾性部13bと垂下部13cとによってパイプ11のガス通気路11aとガス通気口11cとを密閉して封止できるようになっている。
【0022】
インジケータ13の弾性部13bは、例えば、ゴム等の弾性材で形成されており、固定された垂下部13cとの接続部を支点として上下に振動できるようになっている。そのため、インジケータ13の嵌合部13aは、弾性部13bと垂下部13cとの接続部を支点とし、弾性部13bを介して上下動するようになる。従って、インジケータ13は、少なくとも弾性部13bを弾性材で形成しているが、インジケータ13の全体を弾性材で一体的に形成しても良い。また、弾性部13bは、断面直線状に形成しても良いが、垂下部13cを支点とした振幅が大きくなるように、図5に示したように、断面波状に形成して容易に上下動できるようにすることが好ましい。
【0023】
インジケータ13の嵌合部13aの上面には、表示部13dが設けられている。該表示部13dは、例えば、黒色等の特定色にされている。また、前記嵌合部13aには、例えば、オレンジ色等の特定色からなる略円筒状のインジケータ用キャップ14を嵌合させるようになっており、該インジケータ用キャップ14の上部には、前記表示部13dに対応した孔部14aが設けられている。そのため、インジケータ13の嵌合部13aにインジケータ用キャップ14を嵌合させた状態でガス吸引ポンプ1の後方側から見ると、黒色の表示部13dの周囲にオレンジ色のインジケータ用キャップ14の上部側が見えるようになって、図7に示したように、オレンジ色で大径円の中央部に黒色で小径円が見えるようになるのである。
【0024】
また、操作ハンドル9の凹部9aには、インジケータ13及びインジケータ用キャップ14の保護と、インジケータ13の嵌合部13aの表示部13d及びインジケータ用キャップ14の上部側からなる表示を拡大させるレンズ効果を生じさせることとを目的として、前記インジケータ13とインジケータ用キャップ14とを覆うことのできるレンズ部材15を配設させている。
【0025】
このレンズ部材15としては、例えば、透明な樹脂材等を用いて形成することができる。レンズ部材15には、筒状部15aと、爪部15bと、略半円球状のレンズ部15cとが形成されており、更に前記筒状部15aには、通気孔15dが設けられている。
【0026】
レンズ部材15を操作ハンドル9の凹部9aに配設させると、レンズ部材15の爪部15bが操作ハンドル9の凹部9aに形成された係合部9bと係合されるため、レンズ部材15が凹部9aから容易には外れないようになっている。
【0027】
レンズ部材15の筒状部15aは、図5に示したように、インジケータ13とインジケータ用キャップ14との外周面に位置してこれらを保護するようになっており、また、筒状部15aの一部に通気孔15dが設けられているため、インジケータ13の外部側はガス吸引ポンプ1の外部(大気)と同圧、即ち大気圧になっている。
【0028】
レンズ部材15のレンズ部15cは、操作ハンドル9の凹部9aから突出するように設けられている。前記レンズ部15cは、透明な樹脂材等を用いて略半円球状に形成されているため、レンズ効果を有している。
【0029】
そのため、レンズ部材15の内部に配設されているインジケータ13の嵌合部13aの表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とは、図5に示したレンズ部15cに近接した位置では実際の大きさと略同等の大きさで見え、図6に示したレンズ部15cから離隔した位置では実際の大きさよりも大きく見えて、特に中央部に位置する表示部13dの黒色で小径円が拡大されて協調されるようになって、恰もレンズ部15c全体が黒色であるかのように見えるようになるのである。
【0030】
このレンズ部15cは、図7のようにガス吸引ポンプ1の後方側から確認できることは勿論であるが、操作ハンドル9の凹部9aの上部側と下部側とに切欠部9bが形成されているため、図2のようにガス吸引ポンプ1の上部側と下部側とからも確認できるようになる。つまり、操作ハンドル9はシャフト8の軸を中心として360°自由に回転させることができるものであるが、操作ハンドル9が図2に示したような水平の位置にあるような場合には、ガス吸引ポンプ1の上部側からレンズ部15cを確実に確認することができるのである。
【0031】
要するに、パイプ11のガス通気路11aがピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内と連通していることから、該ピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧の変化に応じてインジケータ13の弾性部13bが上下動し、該インジケータ13が前方側または後方側に移動するようになり、該インジケータ13の移動によりレンズ部材15におけるレンズ部15cで確認できるインジケータ13の嵌合部13aの表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とからなる色合いが変化するため、該色合いの変化によってピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧が減圧状態であるか容易に確認できるようになる。
【0032】
そのため、前記インジケータ13の嵌合部13aの表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とを通知手段16として用いることにより、シリンダー3内(ピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内)の気圧を感知してガスの吸引が完了したことを使用者に通知できるようになるのである。
【0033】
また、ガス吸引ポンプ1の支持筒7の上部等の外部には、カウンタ17が設けられている。このカウンタ17は、例えば、表面に矢印が印刷された小径円盤状の自動回転部17aと、該自動回転部17aの周囲に設けられ表面に数字(図の例では0〜9)が印刷された大径ドーナツ状の手動回転部17bとから構成されている。該手動回転部17bの外周縁部は、例えば波状に形成されており、この波状に形成されて外周縁部を指先で挟持して前記手動回転部17bと中心として手動回転部17bを手動で容易に回転させることができるようになっている。
【0034】
図8乃至図10に、ガス吸引ポンプ1を分解して支持筒7とシャフト8との要部を拡大し略示的に示した断面図を示してある。なお、図8は、シャフト8を後方側に引っ張っている途中の過程であって該シャフト8の端部に接続されたピストン10が支持筒7に近づく状態を示しており、図9は、シャフト8を後方側に引っ張って該シャフト8の端部に接続されたピストン10が支持筒7内に収容された状態を示しており、図10は、シャフト8を後方側に完全に引っ張りきった状態を示している。
【0035】
支持筒7とケーシング2との接続部には、断面略コの字状に形成されたシリンダー受部材18が配設されており、該シリンダー受部材18には、前記ケーシング2内に配設されたシリンダー3の端部が挿設されるようになっている。この断面略コの字状に形成されたシリンダー受部材18には、支持筒7内に位置するところに、該支持筒7内をケーシング2側と仕切るための仕切部18aが設けられている。該仕切部18aの略中央部には孔部が形成されており、該孔部には、シャフト8を挿設させるため支持筒7に形成された挿通用孔部7aが延設されてその端部が挿通されている。
【0036】
シリンダー受部材18の仕切部18aに挿通された挿通用孔部7aの近傍、即ち支持筒7の内部におけるシャフト8の近傍には、該シャフト8を後方側に完全に引っ張りきってストロークが完了したことを検知できる検知手段19が設けられている。
【0037】
この検知手段19は、例えば、シリンダー受部材18の仕切部18aに形成された孔部から支持筒7内からケーシング2内側に向けて突出するように摺動自在に設けられた棒状の検知部19aと、該検知部19aが接続され仕切部18aより支持筒7内側に設けられた本体部19bと、該本体部19bに備えられたカウンタラッチ部19cと、前記本体部19bの後端側に設けられたストッパー部19dとから構成されており、前記本体部19bまたはストッパー部19dには、検知手段19をケーシング2方向に付勢するバネ材等の弾性部材20が設けられている。
【0038】
支持筒7の内部には、歯車21が配設されており、該歯車21は支持板22に立設された軸23を中心として回転できるようになっている。この歯車21は、支持筒7の外部(上部)に設けられたカウンタ17と接続している。そのため、支持筒7の内部に配設された歯車21を軸23を中心として回転させると、該歯車21の回転に連動して支持筒7の外部に配設されたカウンタ17の中央部に設けられた自動回転部17aが回転するようになるのである。
【0039】
そして、検知手段19の検知部19aが案内筒4乃至ケーシング2側(前方側)から支持筒7側(後方側)方向に押圧されていない通常時には、検知手段19は弾性部材20によりケーシング2方向に付勢されているため、本体部19bの後端側に設けられたストッパー部19dが歯車21の歯部21aに係合して該歯車21は回転できないようになっている。
【0040】
また、検知手段19の検知部19aが案内筒4側(前方側)から支持筒7側(後方側)方向に押圧されて摺動した場合には、前記検知部19aの摺動に伴って本体部19bとカウンタラッチ部19cとストッパー部19dとが後方側に摺動される。この際、該ストッパー部19dと歯車21の歯部21aとの係合が解除されると共に、前記カウンタラッチ部19cの端部が歯車21の歯部21aを押圧するようになるため、該歯車21が前記カウンタラッチ部19cの押圧に伴って回転するようになるのである。
【0041】
更に、支持筒7の内部には、歯車21の回転を所定の角度で止めて該角度を維持するためのカウンタストッパー24が配設されている。このカウンタストッパー24は、端部24a側をL字状に形成し、該L字状の基部側が弾性を有するように形成されており、該L字状に形成されたカウンタストッパー24の端部24aが前記歯車21の周縁部に形成された歯部21aに係合することによって、前記歯車21の回転を所定の角度で止めると共に維持できるようになっており、これによって、前記歯車21と接続するカウンタ17の中央部に設けられた自動回転部17aが所定の角度で止まる、即ち該自動回転部17aの表面に印刷された矢印が手動回転部17bの表面に印刷されている数字に合わせた所定の角度で止まるようにできるのである。
【0042】
また、前記検知手段19の検知部19aを押圧する手段としては、例えば、シャフト8のシリンダー3内側の端部側に設けられたピストン10またはフランジ部材25等を用いることができる。即ち、これらピストン10またはフランジ部材25等をストローク完了確認手段26として用いることにより、シャフト8を後方側に完全に引っ張って前記ストローク完了確認手段26が支持筒7の内部に設けられた前記検知手段19の検知部19aを押圧することにより、該検知手段19によって前記シャフト8のストロークが完了したことが検知されると共に、該シャフト8のストロークが完了に伴ってカウンタ17の自動回転部17aを回転させて前記シャフト8のストローク回数をカウントすることができるのである。
【0043】
なお、ストローク完了確認手段26としては、ピストン10またはフランジ部材25を用いることに限定するものではなく、例えば、シャフト8のシリンダー3内側の端部側に凹部または凸部等を設けたものをストローク完了確認手段として用いても良く、また、検知手段19としては、前記ストローク完了確認手段26によるストロークの完了を検知し、この検知したことに基づいてカウントできる構成のものであれば、いずれのものを用いても良い。
【0044】
このように構成された本発明に係るガス吸引ポンプ1について、その動作を説明すると、まず、予め操作ハンドル9を操作してシャフト8を介してピストン10を前方側、即ち該ピストン10を案内筒4に近づける方向側に摺動させておき、ガス検知管装着部6のガス吸引口6aにガス検知管5の端部を挿入させてガス検知管装着部6に装着させる。
【0045】
この状態(通常状態)では、ピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部(大気)と同圧であるため、操作ハンドル9に設けられた通知手段16、即ちインジケータ13の嵌合部13aの表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とがレンズ部材15のレンズ部15cに近接している(図5参照)ため、該レンズ部15cから前記通知手段16と確認すると、オレンジ色の大径円の中央部に黒色の小径円が見えるのである。
【0046】
操作ハンドル9を操作してシャフト8を介してピストン10を後方側、即ち該ピストン10を支持筒7に近づける方向側にシリンダー3に沿って摺動させると、前記ピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部(大気)より低圧になるため、操作ハンドル9に設けられた通知手段16のインジケータ13の嵌合部13aの表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とがレンズ部材15のレンズ部15cから離隔される(図6参照)ようになるので、該レンズ部15cから前記通知手段16を確認すると、レンズ部15c全体が黒色に見える状態が維持される。そして、シリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部より低圧であるため、ガス検知管5を介してガス吸引口6aからシリンダー3内にガス吸引ポンプ1の周囲のガスが吸引される。
【0047】
この際、シャフト8を後方側に引っ張っている途中の状態、即ち図8に示したようにシャフト8のシリンダー3内側の端部側に設けられたピストン10を含むストローク完了確認手段26が支持筒7に達していない状態では、該支持筒7の内部に設けられた検知手段19の検知部19aに前記ストローク完了確認手段26が接触していないため、検知手段19のストッパー部19dが歯車21の歯部21aに係合して該歯車21は回転できないようになっている。
【0048】
次に、シャフト8を更に後方側に引っ張った状態、即ち図9に示したようにシャフト8のシリンダー3内側の端部側に設けられたピストン10を含むストローク完了確認手段26が支持筒7内に設けられた検知手段19の検知部19aに接触して該検知部19aを押圧し始めた状態では、検知手段19のストッパー部19dと歯車21の歯部21aとの係合が解除されることにより前記歯車21が回転可能になると共に、検知手段19のカウンタラッチ部19cの端部が歯車21の歯部21aを押圧するようになって前記歯車21が回転するようになる。
【0049】
この歯車21が回転する際、該歯車21の歯部21aと係合しているカウンタストッパー24の端部24aが前記歯部21aによって押圧され、前記カウンタストッパー24の基部側が図9に示したように反り上がるため、前記歯車21の歯部21aと前記カウンタストッパー24の端部24aとの係合が一時的に解除されることになる。
【0050】
次に、シャフト8を完全に後方側に引っ張った状態、即ち図10に示したようにシャフト8のシリンダー3内側の端部側に設けられたピストン10を含むストローク完了確認手段26が支持筒7内に設けられた検知手段19の検知部19aを押圧し、該検知手段19により前記シャフト8のストロークが完了したことを検知した状態では、歯車21の歯部21aが検知手段19のカウンタラッチ部19cの端部に押圧されて回転する。
【0051】
このようにストローク完了確認手段26によるストロークの完了を検知手段19で検知して、該検知手段19の検知に伴って支持筒7の内部に設けられた歯車21が回転すると共に、該歯車21の回転に伴って支持筒7の外部に設けられたカウンタ17の自動回転部17aが回転することによって、シャフト8のストローク回数、即ちガスの吸引回数を電気を用いない機械式の構成によって自動的にカウントできるようになるため、例えば、複数回シャフト8をストロークしてガスを吸引するような場合であっても、ガスの吸引回数を誤ってカウントすることがなく、また、該カウントに電源を必要としない機械式のカウンタ17であるため、引火性のガス等が存在するような環境下であっても誤カウントすることなく使用することができるのである。
【0052】
そして、図10に示したように歯車21が予定の角度回転すると、一時的に解除されていた歯車21の歯部21aとカウンタストッパー24の端部24aとが再び係合するようになるため、歯車21の回転が所定の角度で止まると共に維持されるのである。更にこのとき、シャフト8の後方側への引っ張りが完全でない、即ちストローク完了確認手段26の移動が不十分である場合には、カウンタ17の自動回転部17aが所定の角度まで回転しない、つまり該自動回転部17aの表面に印刷された矢印と手動回転部17bの表面に印刷された数字との関係にズレが生じるため、使用者はシャフト8の後方側への引っ張りが完全でないことを確認できるのである。
【0053】
ここで、シリンダー3内へのガスの吸引が完了していない場合、即ちピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部(大気)より低圧の場合には、図6に示したように通知手段16におけるインジケータ13の表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とがレンズ部材15のレンズ部15cから離隔された状態が維持され、レンズ部15c全体が黒色に見える状態が維持されているが、シリンダー3内へのガスの吸引が完了した場合、即ちピストン10よりも前方寄りのシリンダー3内の気圧がガス吸引ポンプ1の外部(大気)と同圧になった場合には、図5に示したように通知手段16におけるインジケータ13の表示部13dとインジケータ用キャップ14の上部側とがレンズ部材15のレンズ部15cに近接した状態になって、レンズ部15cはオレンジ色の大径円の中央部に黒色の小径円が見えるようになる。
【0054】
このように、シャフト8の操作ハンドル9にシリンダー3内の気圧の変化を感知してガスの吸引が完了したことを通知する通知手段16を設けたことにより、前記シリンダー3内へのガスの吸引が完全に完了したことを容易に確認することができるため、シリンダー3内へのガスの吸引が不十分であるときにシャフト8を操作して誤吸引・誤測定してしまうということがなくなり、その通知手段16の確認も、操作ハンドル9の凹部9aの上部側と下部側とに切欠部9bが形成されているため、ガス吸引ポンプ1の後部側からばかりでなく、上部側等からも容易に確認できるのである。
【0055】
更に、シリンダー3内へのガスの吸引が完全に完了し、操作ハンドル9を操作してシャフト8を介してピストン10を含むストローク完了確認手段26を前方側、即ち案内筒4側に摺動させると、検知手段19の本体部19bまたはストッパー部19dに設けられた弾性部材20により、図8に示したように前記検知手段19がケーシング2方向に付勢され、前記検知手段19のストッパー部19dが歯車21の歯部21aに係合するため、該歯車21が誤回転するということがないのである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るガス吸引ポンプは、シャフトのストローク回数をカウントすることによってガスの吸引回数をカウントできる構成であるため、ガスの誤吸引による誤測定を確実に防止でき、更に、引火性のガス等が存在するような環境下であっても自動的にカウントすることができるようになるのである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係るガス吸引ポンプを略示的に示した斜視図である。
【図2】同ガス吸引ポンプを略示的に示した平面図である。
【図3】同ガス吸引ポンプを上側から見て略示的に示しケーシングを省略した断面図である。
【図4】同ガス吸引ポンプに用いられるシャフトの端部に設けられた操作ハンドルを分解して略示的に示した平面図である。
【図5】同ガス吸引ポンプの通常状態時におけるシャフトの端部に設けられた操作ハンドルを略示的に示した断面図である。
【図6】同ガス吸引ポンプの吸引状態時におけるシャフトの端部に設けられた操作ハンドルを略示的に示した断面図である。
【図7】同ガス吸引ポンプを後方側からみて略示的に示した背面図である。
【図8】同ガス吸引ポンプを分解して支持筒とシャフトとの要部を拡大し略示的に示した断面図であり、ストローク完了確認手段と検知手段とが接触していない状態を示してある。
【図9】同ガス吸引ポンプを分解して支持筒とシャフトとの要部を拡大し略示的に示した断面図であり、ストローク完了確認手段が検知手段を押圧し始めた状態を示してある。
【図10】同ガス吸引ポンプを分解して支持筒とシャフトとの要部を拡大し略示的に示した断面図であり、ストローク完了確認手段が検知手段を完全に押圧し、該検知手段がシャフトのストロークの完了を検知した状態を示してある。
【符号の説明】
【0058】
1 ガス吸引ポンプ
2 ケーシング
3 シリンダー
4 案内筒
5 ガス検知管
6 ガス検知管装着部
6a ガス吸引口
7 支持筒
7a 挿通用孔部
8 シャフト
9 ハンドル
9a 凹部
10 ピストン
11 パイプ
11a ガス通気路
11b パイプの端部
11c ガス通気口
12 固定ネジ
12a ガス通気用孔
13 インジケータ
13a 嵌合部
13b 弾性部
13c 垂下部
13d 表示部
14 インジケータ用キャップ
14a 孔部
15 レンズ部材
15a 筒状部
15b 爪部
15c レンズ部
15d 通気孔
16 通知手段
17 カウンタ
17a 自動回転部
17b 手動回転部
18 シリンダー受部材
18a 仕切部
19 検知手段
19a 検知部
19b 本体部
19c カウンタラッチ部
19d ストッパー部
20 弾性部材
21 歯車
21a 歯部
22 支持板
23 軸
24 カウンタストッパー
24a 端部
25 フランジ部材
26 ストローク完了確認手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも円筒状のシリンダーと、該シリンダーの一端部に設けられた支持筒と、該支持筒に摺動可能な状態で挿設されたシャフトと、該シャフトの前記シリンダー内側の端部に接続されたピストンとを備え、該ピストンを前記シリンダー内で摺動させることにより該シリンダー内にガスを吸引できるガス吸引ポンプであって、
該シャフトの前記シリンダー内側の端部側にストローク完了確認手段を設け、
前記支持筒の内部に前記ストローク完了確認手段によるストロークの完了を検知できる検知手段を設けると共に、該検知手段で検知したことをカウントできるカウンタを前記支持筒の外部に設けてストローク回数をカウントできる構成にしたこと
を特徴とするガス吸引ポンプ。
【請求項2】
前記ストローク回数のカウントは、
機械式であること
を特徴とする請求項1に記載のガス吸引ポンプ。
【請求項3】
前記ストローク完了確認手段は、
ピストンまたはフランジ部材であること
を特徴とする請求項1に記載のガス吸引ポンプ。
【請求項4】
前記シャフトには、
シリンダー内の気圧を感知してガスの吸引が完了したことを通知する通知手段を設けたこと
を特徴とする請求項1に記載のガス吸引ポンプ。
【請求項5】
前記一端部に支持筒が設けられたシリンダーは、
他端部にガス検知管を装着することができる案内筒を設けたこと
を特徴とする請求項1に記載のガス吸引ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−214802(P2006−214802A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26264(P2005−26264)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(391028122)株式会社ガステック (15)
【Fターム(参考)】