説明

ガス噴射ノズル装置

【目的】装置を大型化,複雑化することなくガス噴射位置を視覚的に正確に把握することができ、所望する箇所にピンポイントで正確にガス噴射させることができるガス噴射ノズル装置を提供する。
【構成】ガス噴射ノズル装置は、ノズル1に、その噴射口3からのガス噴射路の中心線上を通過して有色可視レーザ光11を照射するレーザ発信器2を内蔵して、当該レーザ光11の照射個所にガス10が噴射されるように構成してある。レーザ発信器2としては、赤色レーザ又は緑色レーザを使用するレーザポインタが使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ガス,加熱ガス等のガスを噴射させるガス噴射ノズル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、メカニカルシール用密封環においては、相手密封環との摺動面である密封端面の特性を向上させるために、当該密封端面に炭化珪素等の溶射膜を形成しておくことがあり、かかる溶射膜の形成は一般にプラズマ溶射により行われるが、かかるプラズマ溶射工程においては、溶射熱による歪発生を防止するために、密封環の外周部分あって溶射箇所(密封端面となる当該密封環の一方の端面)から所定量離間した部分を、これに空気等の冷却ガスをノズルから噴射させることにより、冷却しておくことが必要である。
【0003】
このような冷却を行う場合、予め、冷却すべき箇所にガス噴射させるようにノズル位置を設定しておくが、このようなノズル位置の設定は、ガスの噴射位置を視覚的に正確に把握できないことから、極めて困難である。しかも、密封環のサイズが変更される都度、ノズル位置を修正する必要があり、作業効率も頗る悪い。
【0004】
ところで、ノズルからの噴射位置を正確に把握する手段として、従来からも、ノズルと相対位置関係を一定に保持した複数のマーカライトを設けて、これらマーカライトからの照射箇所をもってノズルの噴射箇所を特定できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平9−71916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような複数のマーカライトを使用したものでは、ノズルと対象物(密封環等)との距離が異なる場合、その都度、マーカライトの位置を調整する必要があり、甚だ面倒である。しかも、ノズルとマーカライトとを連動して移動させる手段が必要となる等、装置が徒に大型化,複雑化することになる。
【0006】
本発明は、このような問題を生じることなく、装置を大型化,複雑化することなくガス噴射位置を視覚的に正確に把握することができ、所望する箇所にピンポイントで正確にガス噴射させることができるガス噴射ノズル装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成すべく、ノズルに、その噴射口からのガス噴射路の中心線上を通過して有色可視レーザ光を照射するレーザ発信器を内蔵して、当該レーザ光の照射個所にガスが噴射されるように構成したことを特徴とするガス噴射ノズル装置を提案する。かかるガス噴射ノズル装置の好ましい実施の形態にあっては、レーザ発信器として、赤色レーザ又は緑色レーザを使用するレーザポインタが使用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス噴射ノズル装置によれば、ノズルからのガス噴射経路とレーザ発信器から有色可視レーザ光の照射経路とを一致させてあるから、レーザ光が所望するガス噴射箇所に照射されるようにノズル位置を設定することにより、当該ガス噴射箇所に正確にガスを噴射させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて具体的に説明する。図1は本発明のガス噴射ノズル装置の一例を示す縦断側面図であり、図2は当該装置によるガス噴射形態を示す側面図であり、図3は被ガス噴射面におけるレーザ光の照射箇所とガス噴射領域との位置関係を示す平面図である。
【0010】
本発明のガス噴射ノズル装置は、図2に示す如く、ノズル1とこれに内蔵されたレーザ発信器2とを具備する。
【0011】
ノズル1は、図1に示す如く、先端部にガス噴射口3を形成すると共に周面部にガス供給口4を形成した中空円筒状のノズルケース5と、ノズルケース5の基端部に一体形成された発信器格納ケース6とからなる。
【0012】
ノズル1は、図2に示す如く、支持筒7を介して支持台8に支持されている。支持筒7は、金属製のフレキシブルチューブで構成されていて、任意に屈曲変形させることができる。支持筒7は、一端部をノズルケース5のガス供給口4に連結すると共に他端部を支持台8に導かれたガス供給管9に連結してあって、ガス供給管9から供給されたガス(冷却用の空気等又は加熱用の高温空気等)10をノズルケース5内に導入するガス導入管として兼用されている。
【0013】
レーザ発信器2は有色可視レーザ光を照射するもので、一般に、赤色レーザ又は緑色レーザを使用する公知のレーザポインタが使用される。
【0014】
レーザ発信器2は、図1に示す如く、ノズル1の発信器格納ケース6内に配置されており、レーザ光11をガス噴射口3からガス噴射経路の中心を通過して照射する。
【0015】
ノズルケース5内には、図1に示す如く、発信器格納ケース6との間の隔壁12からガス噴射口3の中心部へと延びる保護筒13が突設されており、レーザ光11は当該保護筒13を通過してガス噴射経路の中心線上を照射される。すなわち、レーザ光11の照射経路とガス10の噴射経路とが一致するようになっている。
【0016】
以上のように構成されたガス噴射ノズル装置によれば、支持筒7を適宜に屈曲変形させて、ノズル1を、図2(A)又は同図(B)に例示する如く、被ガス噴射面14における所望の箇所14aにレーザ光11が照射されるように位置させることにより、当該被ガス噴射箇所14aにガス10をピンポイントで正確に噴射させることができる。
【0017】
すなわち、上記した如く、レーザ光11の照射経路とガス10の噴射経路とが一致していることから、図3に示す如く、レーザ光11の照射箇所はガス10の噴射範囲の中心に位置することになる。
【0018】
したがって、ノズル1をレーザ光11が所望する被ガス噴射箇所14aに照射される位置に位置させるだけで、ノズル1から当該被ガス噴射箇所14aに確実にガス10を噴射させることができる。
【0019】
なお、本発明のガス噴射ノズル装置の構成は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。本発明は、ノズル1の形状,構造やガスの種類に拘わらず、ピンポイントで正確にガス噴射を行う必要のある全てのガス噴射ノズル装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のガス噴射ノズル装置の一例を示す縦断側面図である。
【図2】当該ガス噴射ノズル装置の使用形態を示す側面図である。
【図3】図2のIII −III 線に沿う矢視図であって、被ガス噴射面におけるレーザ光の照射箇所とガス噴射領域との位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ノズル
2 レーザ光発信器(レーザポインタ)
3 ガス噴射口
4 ガス供給口
5 ノズルケース
6 発信器格納ケース
7 支持筒
8 支持台
9 ガス供給管
10 ガス
11 レーザ光
12 隔壁
13 保護筒
14 被ガス噴射面
14a 被ガス噴射箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルに、その噴射口からのガス噴射路の中心線上を通過して有色可視レーザ光を照射するレーザ発信器を内蔵して、当該レーザ光の照射個所にガスが噴射されるように構成したことを特徴とするガス噴射ノズル装置。
【請求項2】
レーザ発信器が赤色レーザ又は緑色レーザを使用するレーザポインタであることを特徴とする、請求項1に記載するガス噴射ノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−73610(P2008−73610A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255270(P2006−255270)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000229737)日本ピラー工業株式会社 (337)
【Fターム(参考)】