説明

ガス感知体

【課題】衛生的であり、生鮮品に含まれる水分による機能の劣化がなく、簡易に生鮮品から発生するガスを感知して、生鮮品の品質を判定し、表示することができるガス感知体を提供する。
【解決手段】本発明のガス感知体10は、透明基材11と、透明基材11の一方の面11aに設けられたガス反応部12および粘着層13と、透明基材11の他方の面11bに設けられた印刷領域14と、ガス反応部12を覆い、粘着層13を介して透明基材11に重ね合わせられた剥離基材15とを備え、粘着層13はガス反応部12の外縁に設けられ、印刷領域14はガス反応部12と対向しない領域に設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物、肉、魚などの生鮮品の品質を、これらの生鮮品が発生するガスを感知することにより判定し、表示するガス感知体に関し、さらに詳しくは、果物や野菜などの青果物が発生するエチレンガス、肉が発生するアンモニアガス、および、魚が発生するアミンガスを感知し、これらの生鮮品の品質を表示するガス感知体に関する。
【背景技術】
【0002】
果物などの青果物は、熟成しないうちに出荷され、消費者の手に渡ることが多く、必ずしも購入した時点が青果物の食べ頃とは限らない。そこで、消費者の元で青果物の熟度を簡易に判定し、その食べ頃を知ることができる手段が望まれていた。
ところで、青果物は後熟が起きるとエチレンガスを発生する。そこで、この性質を利用し、エチレンガスと呈色反応する試薬を用いて、青果物から発生するエチレンガスを経時的に検知することにより、青果物の熟度を判定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、このエチレンガスの検知方法を応用して、繊維質基材層の内部もしくは表面に保持されたエチレンガス検知物質を備えたエチレンガス検知インジケーター付粘着ラベルが開示されている(例えば、特許文献2参照)。このエチレンガス検知物質は、エチレンガスの存在下で変色する性質を有している。
【0003】
また、肉は後熟が起きるとアンモニアガスを発生することが知られている。従って、この性質を利用し、肉から発生するアンモニアガスを経時的に検知することにより、肉の熟度を判定することができる。アンモニアガスを検知する手段として、アンモニアガス試験紙を用いたアンモニアガス測定方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
同様に、魚は後熟が起きるとアミンガスを発生することが知られている。従って、この性質を利用し、魚から発生するアミンガスを経時的に検知することにより、魚の熟度を判定することができる。アミンガスの中でも、トリメチルアミン(TMA)を検知する手段として、ルテニウム(Ru)を酸化チタン(TiO)に添加したTMAセンサを用いたアミンガス測定装置が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平1−22581号公報
【特許文献2】実開平2−123976号公報
【特許文献3】特開2003−121365公報
【特許文献4】特開平6−34613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている方法では、青果物に、直接、ガスを検知する手段(試薬、試験紙など)を接触させて用いるため、衛生的でないという問題があった。また、青果物に含まれる水分によって、ガスを検知する手段の機能が損なわれ、目的とするガスの検知ができないという問題もあった。
また、特許文献3、4に開示されている方法では、肉や魚から発生するガスを、ガスを検知する手段に接触させるためには、大がかりな装置が必要となり、コストが嵩むという問題があった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、衛生的であり、生鮮品に含まれる水分による機能の劣化がなく、簡易に生鮮品から発生するガスを感知して、生鮮品の品質を判定し、表示することができるガス感知体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス感知体は、透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられたガス反応部および粘着層と、前記透明基材の他方の面に設けられた印刷領域と、前記ガス反応部を覆い、前記粘着層を介して前記透明基材に重ね合わせられた剥離基材とを備えたガス感知体であって、前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたことを特徴とする。
【0007】
前記透明基材の一方の面または他方の面において、前記印刷領域に対して厚み方向の領域に有色下地領域が設けられたことが好ましい。
【0008】
本発明のガス感知体は、透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられたガス反応部および粘着層と、前記透明基材の他方の面に設けられた印刷領域と、前記ガス反応部に対向し、前記粘着層を介して前記透明基材が貼着された包装材とを備えたガス感知体であって、前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記包装材にはその厚み方向に貫通し、前記ガス反応部に対向するガス透過部が設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたことを特徴とする。
【0009】
本発明のガス感知体は、基材と、該基材の一方の面に設けられたガス反応部、粘着層および印刷領域と、前記ガス反応部を覆い、前記粘着層を介して前記基材に重ね合わせられた剥離基材とを備えたガス感知体であって、前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガス感知体は、透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられたガス反応部および粘着層と、前記透明基材の他方の面に設けられた印刷領域と、前記ガス反応部を覆い、前記粘着層を介して前記透明基材に重ね合わせられた剥離基材とを備えたガス感知体であって、前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたので、剥離基材を剥離した後、粘着層の粘着面を、青果物などの生鮮品を容れた容器の外面に貼着し、容器のガス透過部と、ガス反応部を対向させることにより、ガス反応部がガス感知機能を発揮するので、生鮮品から発生したガス以外のガスによってガス感知機能が損なわれることを防止できる。
また、本発明のガス感知体は、容器の外面に貼付した状態で使用することができるから、ガス反応部の変色の度合いを判別し易いとともに、生鮮品にガス感知体を直接貼付することなく、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。したがって、本発明のガス感知体によれば、衛生的かつ安全に、生鮮品の品質を判定することができる。
また、本発明のガス感知体は、容器の外面に貼付した状態で使用することができるから、生鮮品に含まれる水分によって、ガス反応部のガス感知機能が損なわれることを防止できる。
【0011】
本発明のガス感知体は、透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられたガス反応部および粘着層と、前記透明基材の他方の面に設けられた印刷領域と、前記ガス反応部に対向し、前記粘着層を介して前記透明基材が貼着された包装材とを備えたガス感知体であって、前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記包装材にはその厚み方向に貫通し、前記ガス反応部に対向するガス透過部が設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたので、包装材により、ガス透過部が生鮮品に対向するように、青果物などの生鮮品を包装することにより、ガス反応部がガス感知機能を発揮するので、生鮮品から発生したガス以外のガスによってガス感知機能が損なわれることを防止できる。
また、本発明のガス感知体は、ガス反応部が包装材の外面となる面側に配されているから、ガス反応部の変色の度合いを判別し易いとともに、生鮮品にガス感知体を直接貼付することなく、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。したがって、このガス感知体によれば、衛生的かつ安全に、生鮮品の品質を判定することができる。
また、本発明のガス感知体は、ガス反応部が包装材の外面となる面側に配されているから、生鮮品に含まれる水分によって、ガス反応部のガス感知機能が損なわれることを防止できる。
【0012】
本発明のガス感知体は、基材と、該基材の一方の面に設けられたガス反応部、粘着層および印刷領域と、前記ガス反応部を覆い、前記粘着層を介して前記基材に重ね合わせられた剥離基材とを備えたガス感知体であって、前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたので、青果物などの生鮮品を容れた容器の内側面などに貼付した後、剥離基材を剥離することにより、ガス反応部がガス感知機能を発揮するので、生鮮品から発生したガス以外のガスによってガス感知機能が損なわれることを防止できる。
また、本発明のガス感知体は、生鮮品を容れた容器の内側面などに貼付した状態で使用することができるから、生鮮品にガス感知体を直接貼付することなく、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。したがって、このガス感知体によれば、衛生的かつ安全に、生鮮品の品質を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のガス感知体の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0014】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明のガス感知体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1中、符号10はガス感知体、11は透明基材、12はガス反応部、13は粘着層、14は印刷領域、15は剥離基材、16は有色下地領域、をそれぞれ示している。
この実施形態のガス感知体10は、透明基材11と、この透明基材11の一方の面11aに設けられたガス反応部12、粘着層13および有色下地領域16と、透明基材11の他方の面11bに設けられた印刷領域14と、ガス反応部12を覆い、粘着層13を介して透明基材11に重ね合わせられた剥離基材15とから概略構成されている。
また、粘着層13は、ガス反応部12の外縁に設けられている。また、印刷領域14は、透明基材11の他方の面11bにおいて、ガス反応部12と対向しない領域に設けられている。さらに、有色下地領域16は、透明基材11の一方の面11aにおいて、印刷領域14に対して厚み方向の領域に、透明基材11の他方の面11b側から見て印刷領域14の外縁をなすように設けられている。すなわち、透明基材11の他方の面11b側から見て、有色下地領域16の面積は、印刷領域14の面積よりも大きくなっている。そして、粘着層13は、透明基材11の一方の面11aにおいて、印刷領域14に対して厚み方向の領域に、有色下地領域16を覆うように設けられている。
【0015】
透明基材11としては、光透過性で、かつ、ガスバリア性(ガスを透過しない)ものが用いられる。このような透明基材11としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびこれらの金属架橋物などからなるフィルム、シート、板などが挙げられる。なお、透明基材11は、有色透明のものでもよいが、ガス反応部12を視認し易くするためには、無色透明なものが望ましい。
【0016】
ガス反応部12は、不可逆性のガス反応剤から構成されている。この不可逆性のガス反応剤としては、エチレンガスと呈色反応する試薬、アンモニアガスおよびアミンガスと呈色反応する試薬などが用いられる。ガス反応部12を形成するには、溶媒または溶液にこれらの試薬を溶解して調製したインキを用いる。
なお、不可逆性のガス反応剤とは、一旦、ガスと反応して変色したら、変色前の状態(変色前の色)に戻らない試薬のことである。
エチレンガスと呈色反応する試薬としては、硫酸パラジウム触媒を含むモリブデン酸アンモニウム酸性水溶液などが用いられ、これを酸性溶液とするためには濃硫酸を混合する。この試薬のエチレンガスによる呈色反応は、下記の式(1)で表される。
3(NHO・7MoO→Mo・3MoO・6HO (1)
モリブデン酸アンモニウム((NHO・7MoO)は白色であり、この物質がエチレンガスと呈色反応することによって生成するモリブデンブルー(Mo・3MoO・6HO)は青色である。
なお、モリブデン酸アンモニウムは、吸湿すると失活する(呈色反応を示さなくなる)ため、エチレンガスには接触しても、水分と接触しないようにする必要がある。
また、アンモニアガスおよびアミンガスと呈色反応する試薬としては、アマニ油などが用いられる。
【0017】
粘着層13は、貼着後は剥離困難または剥離不可な接着剤で形成されている。このような接着剤としては、220gf/25mm〜340gf/25mmの剥離力を有する接着剤が用いられる。
【0018】
印刷領域14は、公地の印刷用インキを用い、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、転写などの印刷方法により、文字、記号、模様または画像などの各種印刷情報が印刷された領域である。
【0019】
剥離基材15としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙、アート紙、模造紙などから選択した紙の粘着層13と接する面に剥離剤が塗布されたものが用いられる。
【0020】
有色下地領域16は、印刷領域14を引き立てる背景をなし、公地の印刷用インキを用い、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、転写などの印刷方法により印刷された領域である。また、有色下地領域16の色は、印刷領域14を引き立てるために、印刷領域14の色と異なることが望ましい。
【0021】
次に、図1〜図3を参照して、この実施形態のガス感知体10の使用方法について説明する。
剥離基材12を剥離した後、粘着層13の粘着面13aを、青果物などの生鮮品を容れた容器(被着体)20の外面20aに貼着する(図2、図3参照)。
この際、容器20を厚み方向に貫通する多数の貫通孔からなるガス透過部21と、ガス反応部12が対向するように、ガス感知体10を貼付する。
このようにすると、ガス透過部21を介して、生鮮品を容れた容器20内とガス反応部12が設けられた空間22が連通する(図3参照)。
この状態で生鮮品からエチレンガス、アンモニアガス、アミンガスが発生すると、ガス透過部21を通ってきたガスが、ガス反応部12をなす試薬と反応して、ガス反応部12が変色する。これにより、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。
【0022】
次に、図1を参照して、この実施形態のガス感知体10の製造方法について説明する。
まず、スクリーン印刷などの印刷法により、透明基材11の一方の面11aに、不可逆性のガス反応剤を含むインキを印刷することにより、所定の形状のガス反応部12を形成する。
次いで、スクリーン印刷などの印刷法により、透明基材11の一方の面11aにおいて、ガス反応部12と重ならない領域に、印刷用インキを印刷することにより、所定の形状の有色下地領域16を形成する。
次いで、スクリーン印刷などの印刷法により、透明基材11の一方の面11aにおいて、ガス反応部12の外縁に、有色下地領域16を覆うように粘着剤を塗布することにより、粘着層13を形成する。
次いで、粘着層13の粘着面13aに、剥離基材15を貼付する。
次いで、スクリーン印刷などの印刷法により、透明基材11の他方の面11bにおいて、ガス反応部12と対向しない領域、かつ、有色下地領域16に対して厚み方向の領域に、印刷用インキを印刷することにより、所定の形状の印刷領域14を形成し、ガス感知体10を得る。
【0023】
この実施形態のガス感知体10は、剥離基材15を剥離した後、粘着層13の粘着面13aを、青果物などの生鮮品を容れた容器20の外面20aに貼着し、容器20のガス透過部21と、ガス反応部12を対向させることにより、ガス反応部12がガス感知機能を発揮するので、生鮮品から発生したガス以外のガスによってガス感知機能が損なわれることを防止できる。
また、このガス感知体10は、容器20の外面20aに貼付した状態で使用することができるから、ガス反応部12の変色の度合いを判別し易いとともに、生鮮品にガス感知体を直接貼付することなく、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。したがって、このガス感知体10によれば、衛生的かつ安全に、生鮮品の品質を判定することができる。
また、このガス感知体10は、容器20の外面20aに貼付した状態で使用することができるから、生鮮品に含まれる水分によって、ガス反応部12のガス感知機能が損なわれることを防止できる。
さらに、この実施形態のガス感知体10は、透明基材11および剥離基材15以外の構成要素を、スクリーン印刷法などの印刷法によって形成することができるので、低コストで製造することができる。
【0024】
なお、この実施形態では、ガス反応部12と粘着層13の厚みが異なるガス感知体10を例示したが、本発明のガス感知体はこれに限定されない。本発明のガス感知体にあっては、ガス反応部と粘着層の厚みが同じであってもよい。
また、この実施形態では、ガス反応部12と粘着層13が離隔して設けられたガス感知体10を例示したが、本発明のガス感知体はこれに限定されない。本発明のガス感知体にあっては、ガス反応部と粘着層が接して設けられていてもよい。
【0025】
(2)第二の実施形態
図4は、本発明のガス感知体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
図4において、図1に示したガス感知体10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態のガス感知体30が、上述のガス感知体10と異なる点は、透明基材11の他方の面11bに、有色下地領域31が設けられ、この有色下地領域31上に印刷領域14が設けられている点である。
このガス感知体30は、ガス感知体10と同様に機能し、ガス感知体10と同様の効果がある。
【0026】
(3)第三の実施形態
図5は、本発明のガス感知体の第三の実施形態を示す概略断面図である。
図5において、図1に示したガス感知体10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
図5中、符号41は包装材、42はガス透過部、をそれぞれ示している。
この実施形態のガス感知体40は、透明基材11と、この透明基材11の一方の面11aに設けられたガス反応部12、粘着層13および有色下地領域16と、透明基材11の他方の面11bに設けられた印刷領域14と、ガス反応部12に対向し、粘着層13を介して透明基材11が貼着された包装材41とから概略構成されている。
また、包装材41には、その厚み方向に貫通する多数の貫通孔からなり、ガス反応部12に対向するガス透過部42が設けられている。
【0027】
包装材41としては、特に限定されず、一般的に青果物、肉、魚などの生鮮品の包装に用いられるラッピングフィルムなどが用いられる。また、包装材41は、一般的に青果物、肉、魚などの生鮮品を収容する容器や箱などであってもよい。
【0028】
次に、図5を参照して、この実施形態のガス感知体40の使用方法について説明する。
ガス感知体40の包装材41により、青果物などの生鮮品を包装する。この際、ガス透過部42が生鮮品に対向するようにする。
この状態で生鮮品からエチレンガス、アンモニアガス、アミンガスが発生すると、ガス透過部42を通ってきたガスが、ガス反応部12をなす試薬と反応して、ガス反応部12が変色する。これにより、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。
【0029】
この実施形態のガス感知体40は、ガス感知体40の包装材41により、ガス透過部42が生鮮品に対向するように、青果物などの生鮮品を包装することにより、ガス反応部12がガス感知機能を発揮するので、生鮮品から発生したガス以外のガスによってガス感知機能が損なわれることを防止できる。
また、このガス感知体40は、ガス反応部12が包装材41の外面となる面側に配されているから、ガス反応部12の変色の度合いを判別し易いとともに、生鮮品にガス感知体を直接貼付することなく、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。したがって、このガス感知体40によれば、衛生的かつ安全に、生鮮品の品質を判定することができる。
また、このガス感知体40は、ガス反応部12が包装材41の外面となる面側に配されているから、生鮮品に含まれる水分によって、ガス反応部12のガス感知機能が損なわれることを防止できる。
さらに、この実施形態のガス感知体40は、透明基材11および包装材41以外の構成要素を、スクリーン印刷法などの印刷法によって形成することができるので、低コストで製造することができる。
【0030】
なお、ガス透過部42の生鮮品と対向する側(ガス反応部12などが配されていない側)の開口部は、包装材41により生鮮品を包装する直前まで、粘着剤などを介して剥離基材などで覆っていてもよい。
【0031】
(4)第四の実施形態
図6は、本発明のガス感知体の第四の実施形態を示す概略断面図である。
図6中、符号50はガス感知体、51は基材、52はガス反応部、53は粘着層、54は印刷領域、55は剥離基材、56は有色下地領域、をそれぞれ示している。
この実施形態のガス感知体50は、基材51と、この基材51の一方の面51aに設けられたガス反応部52、粘着層53および有色下地領域56と、有色下地領域56上に設けられた印刷領域54と、ガス反応部52を覆い、粘着層53を介して基材51に重ね合わせられた剥離基材55とから概略構成されている。
また、粘着層53は、ガス反応部52の外縁に設けられている。また、印刷領域54は、基材51の一方の面51a側において、ガス反応部52と対向しない領域に設けられている。さらに、有色下地領域56は、基材51の一方の面51aにおいて、印刷領域54に対して厚み方向の領域に、基材51の一方の面51a側から見て印刷領域54の外縁をなすように設けられている。すなわち、基材51の一方の面11a側から見て、有色下地領域56の面積は、印刷領域54の面積よりも大きくなっている。
【0032】
基材51としては、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材や、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材などが用いられる。
また、基材51は、生鮮品を収容する容器などと一体をなしていてもよい。この場合、基材51は容器の内側面(生鮮品を収容する側)などをなしていることが望ましい。
【0033】
ガス反応部52は、上記のガス反応部12をなす不可逆性のガス反応剤と同様のものから構成されている。
粘着層53は、上記の粘着層13をなす粘着剤と同様のものから構成されている。
印刷領域54は、上記の印刷領域14をなす印刷用インキと同様のものから構成されている。
剥離基材55としては、上記の剥離基材15と同様のものが用いられる。
有色下地領域56は、上記の有色下地領域16をなす印刷用インキと同様のものから構成されている。
【0034】
次に、図6を参照して、この実施形態のガス感知体50の使用方法について説明する。
まず、粘着剤などにより、青果物などの生鮮品を容れた容器の内側面に、基材51を貼着する。
次いで、容器内に生鮮品を容れた状態で、剥離基材55を剥離して、ガス反応部52を露出させる
この状態で生鮮品からエチレンガス、アンモニアガス、アミンガスが発生すると、このガスが、ガス反応部52をなす試薬と反応して、ガス反応部52が変色する。これにより、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。
なお、ガス反応部52の変色の度合いを容器の外部から判別できるようにするために、容器は光透過性のものが望ましい。
【0035】
この実施形態のガス感知体50は、青果物などの生鮮品を容れた容器の内側面などに貼付した後、剥離基材55を剥離することにより、ガス反応部52がガス感知機能を発揮するので、生鮮品から発生したガス以外のガスによってガス感知機能が損なわれることを防止できる。
また、このガス感知体50は、生鮮品を容れた容器の内側面などに貼付した状態で使用することができるから、生鮮品にガス感知体を直接貼付することなく、生鮮品の品質を判定し、表示することができる。したがって、このガス感知体50によれば、衛生的かつ安全に、生鮮品の品質を判定することができる。
さらに、この実施形態のガス感知体50は、基材51および剥離基材55以外の構成要素を、スクリーン印刷法などの印刷法によって形成することができるので、低コストで製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のガス感知体は、食品トレーサビリティ(生産、流通情報の開示)にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のガス感知体の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明のガス感知体の第一の実施形態の使用方法を示す概略断面図である。
【図3】本発明のガス感知体の第一の実施形態の使用方法を示す概略断面図である。
【図4】本発明のガス感知体の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明のガス感知体の第三の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明のガス感知体の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10,30,40,50・・・ガス感知体、11・・・透明基材、12,52・・・ガス反応部、13,53・・・粘着層、14,54・・・印刷領域、15,55・・・剥離基材、16,56・・・有色下地領域、41・・・包装材、42・・・ガス透過部、51・・・基材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられたガス反応部および粘着層と、前記透明基材の他方の面に設けられた印刷領域と、前記ガス反応部を覆い、前記粘着層を介して前記透明基材に重ね合わせられた剥離基材とを備えたガス感知体であって、
前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたことを特徴とするガス感知体。
【請求項2】
前記透明基材の一方の面または他方の面において、前記印刷領域に対して厚み方向の領域に有色下地領域が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のガス感知体。
【請求項3】
透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられたガス反応部および粘着層と、前記透明基材の他方の面に設けられた印刷領域と、前記ガス反応部に対向し、前記粘着層を介して前記透明基材が貼着された包装材とを備えたガス感知体であって、
前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記包装材にはその厚み方向に貫通し、前記ガス反応部に対向するガス透過部が設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたことを特徴とするガス感知体。
【請求項4】
基材と、該基材の一方の面に設けられたガス反応部、粘着層および印刷領域と、前記ガス反応部を覆い、前記粘着層を介して前記基材に重ね合わせられた剥離基材とを備えたガス感知体であって、
前記粘着層は前記ガス反応部の外縁に設けられ、前記印刷領域は前記ガス反応部と対向しない領域に設けられたことを特徴とするガス感知体。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−82980(P2008−82980A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266018(P2006−266018)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】