説明

ガス採取装置及びガス採取方法

【課題】ガス採取装置において、採取するガス中のダストやタール分を除去するためのフィルタを効率的に洗浄できるようにしてメンテナンス性を向上させるとともにランニングコストを低減すること。
【解決手段】ガスを採取するガス採取管1と、ガス採取管1の内部に配置された筒状のフィルタ2とを有するガス採取装置において、フィルタ2を洗浄する逆流ガスをフィルタ2の内側と外側にそれぞれ吹き付けてフィルタ2の付着物を吹き飛ばすブラスタ手段4、5を設けた。逆流ガスをフィルタ2の内側に吹き付けるブラスタ手段4には高速開閉弁4aを設け、高速開閉弁4aの動作により逆流ガスをパルス状に吹き付ける。フィルタ2の外側に供給する逆流ガスについては、フィルタ2の外面に沿って旋回流を形成するように吹き付ける。フィルタ2の内側と外側に加えて、ガス採取管1のガス採取口近傍1aに逆流ガスを吹き付けてガス採取口1a近傍を洗浄することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃焼排ガス中のガス成分を連続して測定する際に分析用のガスを採取するためのガス採取装置及びガス採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガス採取装置においては、通常、採取するガス中のダストやタール分を除去するためにフィルタが設けられており、フィルタにはそれらが付着するので、その付着物を定期的に洗浄する必要がある。従来、フィルタの洗浄方法としては、圧縮気体を逆流ガスとして用い逆洗操作により洗浄する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、とくに採取するガス中に多量のダストやタール分が含まれる場合、単に逆流ガスによって逆洗操作を行うだけでは十分な洗浄効果が得られず、フィルタに目詰まりが生じて短期間で交換を余儀なくされたり、あるいは、目詰まりを防止するために逆洗操作を頻繁に行う必要があった。このように従来の洗浄方法には、ランニングコスト、メンテナンス性の両方に問題があった。
【特許文献1】特開2002−131198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ガス採取装置において、採取するガス中のダストやタール分を除去するためのフィルタを効率的に洗浄できるようにしてメンテナンス性を向上させるとともにランニングコストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の要旨は、ガス採取管の内部に配置された筒状のフィルタの内側と外側にそれぞれ逆流ガスを吹き付けてフィルタの付着物を吹き飛ばし、フィルタを洗浄するようにしたことにある。
【0006】
すなわち、本発明に係るガス採取装置は、ガスを採取するガス採取管と、ガス採取管の内部に配置された筒状のフィルタとを有するガス採取装置において、フィルタを洗浄する逆流ガスをフィルタの内側と外側にそれぞれ吹き付けてフィルタの付着物を吹き飛ばすブラスタ手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るガス採取方法は、ガスを採取するガス採取管と、ガス採取管の内部に配置された筒状のフィルタとを有するガス採取装置によるガス採取方法において、フィルタの洗浄時に、逆流ガスをフィルタの内側と外側にそれぞれ吹き付けてフィルタの付着物を吹き飛ばすことを特徴とする。
【0008】
本発明において、逆流ガスは、フィルタの内側に吹き付けた後に、フィルタの外側に吹き付けることが好ましい。また、フィルタの内側に吹き付ける逆流ガスについては、高速開閉弁の動作によりパルス状に吹き付けて瞬時にフィルタに衝撃を与えるように吹き付けることが好ましい。さらに、フィルタの外側に供給する逆流ガスについては、フィルタの外面に沿って旋回流を形成するように吹き付けることが好ましい。これによって、フィルタから吹き飛ばされたダストやタール分等の付着物を効率的にガス採取装置外にパージすることができる。
【0009】
また、フィルタの内側と外側に加えて、ガス採取管のガス採取口近傍に逆流ガスを吹き付けて、ガス採取口近傍を洗浄するようにすることもできる。このガス採取管のガス採取口近傍に吹き付ける逆流ガスについては、高速開閉弁の動作によりパルス状に瞬時に吹き付けて、その衝撃によりダストやタール分等の付着物を吹き飛ばすようにすることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明においては、逆流ガスをそれぞれのブラスタ手段に供給するガスタンクをガス採集装置に一体的に設けることが好ましく、これによって、ブラスタ手段の逆流ガス配管を短くすることができ、設備コストを低減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルタの内側と外側にそれぞれ逆流ガスを供給することで洗浄能力が向上し、フィルタのメンテナンス及び交換の頻度を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るガス採取装置の実施例を示す構成図である。同図に示すガス採取装置は、廃棄物ガス化溶融炉の排ガスを採取してガス分析計に供給するように設けられたもので、排ガスは図中に矢印で示すように、排ガス吸込管7からガス採取管1のガス採取口1aを経由して採取され、ガス採取管1の内部に配置された筒状のフィルタ2(金属製)を外側から内側に通過してガス分析計へ供給される。
【0014】
このガス採取装置は、フィルタ2を洗浄するための逆流ガス(0.5MPaの空気又は窒素ガス)を貯留するガスタンク3を一体的に備え、このガスタンク3から逆流ガスが第1〜第3のブラスタ手段4〜6(逆流ガス配管)を経由して供給される。
【0015】
第1のブラスタ手段4はフィルタ2の内側に逆流ガスを吹き付けるように設けられ、第2のブラスタ手段5はフィルタ2の外側に逆流ガスを吹き付けるように設けられている。このうち、第2のブラスタ手段5は、逆流ガスがフィルタ2の外面に沿って旋回流を形成するように配置されている。第3のブラスタ手段6は、ガス採取管1のガス採取口1a近傍に逆流ガスを吹き付けるように設けられている。また、第1〜第3のブラスタ手段4〜6にはそれぞれ開閉弁として電磁弁4a〜6aが設けられている。このうち、第1のブラスタ手段4の電磁弁4a及び第3のブラスタ手段6の電磁弁4aとしては、高速で開閉可能な高速電磁弁(パルスジェット弁)を用いている。第2のブラスタ手段5の電磁弁5aについては、通常の開閉速度のものでよい。なお、図1において電磁弁4aは電磁弁5aに重なって示されており、電磁弁4aは電磁弁5aの裏側に配置されている。
【0016】
以上の構成において、フィルタ2の洗浄時には、第1及び第2のブラスタ手段4、5の電磁弁4a、5aを開にして、フィルタ2の内側と外側に逆流ガスを吹き付け、フィルタ2に付着したダストやタール分を吹き飛ばす。このとき、フィルタ2の外側には旋回流で逆流ガスが供給されるので、吹き飛ばされたダストやタール分を効率的に炉内側にパージすることができる。さらに、第3のブラスタ手段6の電磁弁6aを開にすれば、ガス採取口1a近傍にも逆流ガスが炉内側に向けて吹き付けられ、第3のブラスタ手段6の配管内及びガス採取口1a近傍に付着したダストやタール分を吹き飛ばして炉内側にパージすることができる。この操作を定期的に実施してフィルタ2やガス採取口1a近傍を定期的に洗浄する。
【0017】
図2は、第1〜第3のブラスタ手段4〜6による洗浄(パージ)操作の具体例を示すタイムチャートである。同図に示す例では、まず、第1のブラスタ手段4の電磁弁4aを開にし、逆流ガスをフィルタ2の内側に吹き込んでフィルタ2に付着したダストやタール分を吹き飛ばしてガス採取管1内に落とす。電磁弁4aはパルス状にt1時間(ここでは1秒)だけ開にし、これをt3時間間隔で数回繰り返す。
【0018】
次に、電磁弁4aを閉にしてt3時間保持しガスタンク3内の圧力を回復させた後、第2のブラスタ手段5の電磁弁5aを開にして、ガス採取管1内に落としたダストやタール分を炉内側に吹き飛ばしてパージする。ここで、電磁弁5aは通常の開閉速度でよい。
【0019】
次に、電磁弁5aを閉にしてt3時間保持しガスタンク3内の圧力を回復させた後、第3のブラスタ手段6の電磁弁6aを開にして、第3のブラスタ手段6の配管内及びガス採取口1a近傍に付着したダストやタール分を炉内側に吹き飛ばしてパージする。電磁弁6aは、第1のブラスタ手段4の電磁弁4aと同様に、パルス状にt1時間だけ開にし、これをt3時間間隔で数回繰り返す。
【0020】
以上の操作をt4時間間隔で繰り返して行い、フィルタ2やガス採取口1a近傍の洗浄、パージを行う。
【0021】
図3は、本発明に係るガス採取装置の他の実施例を示す構成図である。同図において、図1の実施例を同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図3の実施例では、ガス採取管1を炉内側に向けて斜め下方に傾斜させ、これによってガス採取管1にダストやタール分が堆積しにくくなるようにしている。この実施例においても第1〜第3のブラスタ手段4〜6により逆流ガスを吹き込んでフィルタ2やガス採取口1a近傍の洗浄、パージを行う。
【0022】
以上のように、本発明によれば、フィルタ2やガス採取口1a近傍に付着したダストやタール分を効率的に吹き飛ばして炉内側にパージすることができるので、フィルタ等のメンテナンスの頻度を低くすることができる。また、上記各実施例では、フィルタ2のフィルタ部分(金網)だけを取り外し可能としているのでメンテナンスを容易に行うことができ、交換時もフィルタ部分を交換するだけで済むのでランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るガス採取装置の実施例を示す構成図である。
【図2】本発明によるフィルタ等の洗浄(パージ)操作の具体例を示すタイムチャートである。
【図3】本発明に係るガス採取装置の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ガス採取管
1a ガス採取口
2 フィルタ
3 ガスタンク
4 第1のブラスタ手段
5 第2のブラスタ手段
6 第3のブラスタ手段
4a、5a、6a 電磁弁
7 排ガス吸込管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを採取するガス採取管と、ガス採取管の内部に配置された筒状のフィルタとを有するガス採取装置において、
フィルタを洗浄する逆流ガスをフィルタの内側と外側にそれぞれ吹き付けてフィルタの付着物を吹き飛ばすブラスタ手段を設けたことを特徴とするガス採取装置。
【請求項2】
逆流ガスをフィルタの内側に吹き付けるブラスタ手段に高速開閉弁を設け、高速開閉弁の動作により逆流ガスをパルス状に吹き付け可能とした請求項1に記載のガス採取装置。
【請求項3】
逆流ガスをフィルタの外側に吹き付けるブラスタ手段が、逆流ガスがフィルタの外面に沿って旋回流を形成するように配置されている請求項1又は2に記載のガス採取装置。
【請求項4】
逆流ガスをガス採取管のガス採取口近傍に吹き付けてガス採取口近傍の付着物を吹き飛ばすブラスタ手段をさらに設けた請求項1〜3のいずれかに記載のガス採取装置。
【請求項5】
逆流ガスをガス採取管のガス採取口近傍に吹き付けるブラスタ手段に高速開閉弁を設け、高速開閉弁の動作により逆流ガスをパルス状に吹き付け可能とした請求項4に記載のガス採取装置。
【請求項6】
逆流ガスをそれぞれのブラスタ手段に供給するガスタンクを一体的に設けた請求項1〜5のいずれかに記載のガス採取装置。
【請求項7】
ガスを採取するガス採取管と、ガス採取管の内部に配置された筒状のフィルタとを有するガス採取装置によるガス採取方法において、
フィルタの洗浄時に、逆流ガスをフィルタの内側と外側にそれぞれ吹き付けてフィルタの付着物を吹き飛ばすことを特徴とするガス採取方法。
【請求項8】
逆流ガスをフィルタの内側に吹き付けた後に、フィルタの外側に吹き付ける請求項7に記載のガス採取方法。
【請求項9】
フィルタの内側に吹き付ける逆流ガスをパルス状に吹き付ける請求項7又は8に記載のガス採取方法。
【請求項10】
フィルタの外側に供給する逆流ガスを、フィルタの外面に沿って旋回流を形成するように吹き付ける請求項7〜9のいずれかに記載のガス採取方法。
【請求項11】
フィルタの洗浄時に、逆流ガスをガス採取管のガス採取口近傍に吹き付ける請求項7〜10のいずれかに記載のガス採取方法。
【請求項12】
ガス採取管のガス採取口近傍に吹き付ける逆流ガスをパルス状に吹き付ける請求項11に記載のガス採取方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−349397(P2006−349397A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173399(P2005−173399)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】