ガス放散組成物ならびにそれらを製造および使用する方法
【課題】大量の圧縮ガスを保持したガス放散組成物およびその褐変や異臭の発生を防止可能な製造方法を提供する。
【解決手段】ガス放散組成物、特に、それらの開放内部空隙内に保持されている圧縮ガスを有する粒子状組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法が提供される。
【解決手段】ガス放散組成物、特に、それらの開放内部空隙内に保持されている圧縮ガスを有する粒子状組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス放散組成物に関し、特に、粒子内の制限通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出することができる、粒子内の内部空隙内に保持された圧縮ガスを有するガス放散粒子組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法に関する。本発明のガス放散組成物は、例えば、可溶性ガス貯蔵および放出剤として使用することができ、それらが即席食品または飲料製品に組み入れられて液体で再構成される場合に、泡(foam)、泡立ち(froth)、または炭酸様組織(aerated texture)を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来どおりに調製された食品アイテムの多くは、泡立ちや泡を包む。例えば、カプチーノ、ミルクセーキ、および一部のスープは、泡立ちや泡を有することがある。従来どおりに調製された食品アイテムは、一部の消費者によって好ましいと見なされることがあるとはいえ、他の消費者は、調製された即席食品代替物に消費者の利便性を益々求めている。消費者の好みに便宜を図るために、製造者は、従来どおりに調製された食品アイテムと同じかまたは類似した特徴を有する即席食品アイテムを開発することにより製造された即席食品製品に、消費者が求める食品製品を彼らに与える即席食品製品を開発してきた。製造者にとっての1つの挑戦は、即席食品アイテムから、泡立ちや泡を有する食品製品をいかに製造するかである。
【0003】
先行する1つの解決法は、液体中で再構成した時点で泡を生成する粉末発泡組成物の使用をとおして泡立ちや泡を有する即席食品製品を製造するために使用した。発泡粉末組成物は、多種多様な食品および飲料に泡立ちや発泡組織を付与するのに使用されている。例えば、発泡組成物は、水、ミルク、または他の適当な液体と混ぜ合わせられた場合に、即席カプチーノおよび他のコーヒーミックス、即席清涼飲料ミックス、即席スープミックス、即席ミルクセーキミックス、即席デザートトッピング、即席ソース、ホットまたはコールドシリアルなどに泡立ちや発泡組織を付与するのに使用されている。
【0004】
発泡組成物を製造するための1つの先行方法は、炭水化物、タンパク質、およびトラップされた圧縮ガスを含有するマトリックスからなり、組成物を圧力容器内で圧縮ガスと接触させながらガラス転移温度より高い温度に加熱し、次いで、ガス圧力の迅速な放出または冷却により急冷し、組成物の温度を組成物のガラス転移温度未満に低下させることにより製造され、マトリックス中に存在する閉鎖細孔からの圧縮ガスの損失を防ぐ、粉末状可溶性発泡剤を製造するための方法を開示する特許文献1により提供される。組成物をガラス転移温度より高い温度に加熱することは、包装食品の外観、風味および保存期間に有害な影響を及ぼすことのできる望ましくない非酸化的褐変(メイラード)反応に導くことができる。また、圧力容器の内部で組成物をそのガラス転移温度より高く加熱することは、典型的には、高度に特殊化した機器、長引く処理時間、および実質的なエネルギーの使用を要求し、それらはすべて、機器および製造のコストを不利に増加させ、製造速度を実質的に減少させる。
【0005】
特許文献2は、発泡組成物を製造するための別のプロセスを開示し、ここに、タンパク質組成物を、加圧容器内で、組成物のガラス転移温度より高い温度で圧縮ガスによりガス化し、続いて、急冷または冷却によって、ガラス転移温度未満まで組成物の温度を低下させ、そしてマトリックス中に存在する閉鎖細孔からの圧縮ガスの損失を防ぐ。発泡組成物は、好ましくは、炭水化物ポリオールまたは糖アルコールなどの可塑剤を含有し、その中に開示されているすべての実施例の基礎を形成する発泡組成物は、5重量%のレベルで炭水化物グリセロールを含有する。
【0006】
特許文献3は、炭水化物ベースの医薬品または食品の錠剤または粉末を形成するための方法を開示し、該方法は、可溶性コーヒー、発泡粉末、砂糖およびクリーマーなどの飲料基剤を含む錠剤または粉末に、圧力およびガラス転移温度より高い温度をかけ、水と接触したときの溶解性または分散性を増加させた錠剤または粉末を製造することを包含する。加えて、錠剤または粉末を圧力容器内にある間にガラス転移温度より高い温度で圧縮ガスにさらし、続く、ガラス転移温度未満まで温度を低下するための効果的な急冷または冷却により、圧縮ガスが錠剤または粉末中に存在する閉鎖細孔内に捕捉され、水との接触において錠剤または粉末の溶解または分散が促進される、錠剤または非発泡性粉末の溶解または分散を促進する方法が開示されている。
【0007】
特許文献4および5は、それぞれ、非炭水化物および非タンパク質の発泡性組成物を形成するための方法を開示し、それぞれ、タンパク質または炭水化物の粒子が、加圧容器内でガスにより加圧され、ガラス転移温度より高い温度まで加熱され、ガラス転移温度未満の温度まで冷却され、そして減圧され、粒子中に存在する複数個の密閉内部空隙内に圧縮ガスが効果的に捕捉される。これらの方法は、タンパク質と炭水化物の両方を含有する他の組成物よりも処理中に褐変および異臭の形成に影響されにくい炭水化物非含有またはタンパク質非含有発泡性組成物を提供するが、これらの方法は、特殊化された機器、加熱および冷却の適用、ならびに長い処理時間を必要とする。
【0008】
特許文献6は、増加された発泡能力を有する粉末可溶性発泡性組成物を製造するための方法を開示し、該組成物は、その開放内部空隙内に保持された大気圧ガスを有する非晶質粒子を含む。この方法は、組成物の空の内部空隙の一部が大気に開放され、そして大気圧ガスで満たされるように、密閉された空の内部空隙を有する非晶質粒子を含む粉末可溶性噴霧乾燥組成物に外部ガス圧力を付与し、そして組成物を減圧することを包含する。この方法は、加熱または冷却することなく迅速に処理できる利点を有するけれども、粒子内に圧縮ガスを捕捉せず、閉鎖細孔または密閉内部空隙内に圧縮ガスをトラップする方法に従って製造されるものと比較して組成物の発泡能力を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,713,113号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/019699号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0026836号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0040033号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0040034号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0040023号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0040038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既存の方法は、発泡性の食品および飲料添加物を製造するのに使用できるけれども、現行方法の欠点なしに大量の圧縮ガスを保持しそして解放するのに使用することができる発泡組成物を製造するための方法への要求が残っている。例えば、既存の方法は、標的組成物をガラス転移温度より高い高温にさらし、それは組成物の褐変をもたらし、そして異臭を生じさせるであろう。さらに、既存の方法は、閉鎖細孔または密閉内部空隙中に捕捉された圧縮ガスを有する組成物を提供するが、捕捉された圧縮ガスの容量は、輸送および取扱中に組成物が被る損傷、即席食品や飲料混合物中の水分との接触、または大気水蒸気への暴露などから、時間と共に減少することがあり、これらの組成物を、加熱および冷却を要求することなしに、従来の加圧機器を使用する大規模で、簡単にかつ迅速に製造することはできない。さらに、既存の組成物は、特に、製造設備を離れた後に、都合良く再充填できる圧縮ガス源を提供しない。
【0011】
本発明の実施形態の以下の説明から明らかなように、本発明は、他の要求および有益性と同様に、これらの要求を満たすのに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、一態様によれば、本発明は、外部表面を有する粒子、粒子内に複数の内部空隙、粒子内に複数の制限通路、および第2の高圧で内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を提供する。制限通路は、内部空隙と外部表面との間のガス伝達を提供し、制限直径を有する。制限直径は、(1)粒子を第1の高圧において食用ガスと接触させたとき、制限通路を通して食用ガスを外部表面から内部空隙内に通過させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を提供し、そして(2)粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内のガスを第2の高圧において内部空隙から制限通路を通してゆっくりとかつ制御可能に脱出させる。第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい。第2の高圧において食用ガスを含有する内部空隙を有する粒子は、水性媒体と接触したときに、速やかに溶け、それによって、内部空隙から水性媒体中に食用ガスを放出し、水性媒体に泡、泡立ち、または炭酸様組織を提供する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、外部表面、粒子内の複数の内部空隙、粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子、および内部空隙と外部表面との間のガス伝達で第2の高圧において内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を製造するための方法が提供される。この方法は、外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、および粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子を含む可溶性のガス注入噴霧乾燥粒子成分を、食用ガスが外部表面から内部空隙内に制限直径通路を通過するように、第1の高圧において周囲温度で食用ガスと接触させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を調製すること、次いで、粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内の食用ガスを内部空隙内の食用ガスを内部空隙から制限通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出させることを含む。第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カプチーノ混合物貯蔵時間に対して図表化された飲料の初期泡立ち高さを示す表である。
【図2】カプチーノ混合物貯蔵時間の自然対数に対して図表化された飲料の増加初期泡立ち高さを示す表である。
【図3】カプチーノ飲料初期泡立ち高さに対する粒子成分ガス負荷圧力および時間の効果を示す表である。
【図4A】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4B】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4C】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4D】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4E】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4F】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図5】水銀ポロシメトリー侵入分析を使用して得られた平均細孔直径分布に対して図表化された、図4A〜4Fに示す粒子成分についての増分細孔容量を示す表である。
【図6】窒素ガス吸着分析を使用して得られた平均細孔直径分布に対して図表化された、図4A〜4Fに示す粒子成分についての増分細孔表面積を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ガス放散組成物、特に、それらの細孔構造内に保持されている圧縮ガスを有する粒子を含むガス放散粒子組成物に向けられる。本発明の一態様によれば、外部表面を有する粒子、粒子内に複数の内部空隙、粒子内に複数の制限通路、および第2の高圧で内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を提供する。制限通路は、内部空隙と外部表面との間のガス伝達を提供し、制限直径を有する。制限直径は、(1)粒子を第1の高圧において食用ガスと接触させたとき、制限通路を通して食用ガスを外部表面から内部空隙内に通過させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を提供し、そして(2)粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内のガスを第2の高圧において内部空隙から制限通路を通してゆっくりとかつ制御可能に脱出させる。第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい。第2の高圧において食用ガスを含有する内部空隙を有する粒子は、水性媒体と接触したときに、速やかに溶け、それによって、内部空隙から水性媒体中に食用ガスを放出し、水性媒体に泡、泡立ち、または炭酸様組織を提供する。
【0016】
本明細書で使用する「細孔構造」は、粒子の複数の内部空隙を指し、そして「内部空隙」は、周囲の大気に直接的または間接的に連結された粒子の開放細孔としても知られている開放内部空隙を指し、そして粒子内で、亀裂、穴、細孔など、および/またはそれらの組合せなどのような通路または開口部により、お互いと相互連結もしていてもよく、そのような開口部の少なくとも一部は、分子放散のプロセスを介して、それらからの圧縮ガスの脱出を実質的に妨害するのに十分な小さな直径を有する。本明細書で使用する「閉鎖内部空隙」という用語は、「密閉内部空隙」または「閉鎖細孔」としても知られており、周囲の大気に連結されていない粒子の内部空隙または細孔を指す。
【0017】
粒子内に存在する開口部の少なくとも一部は、好ましくは、制限通路である。すなわち、それらは、内部空隙の少なくとも一部の直径よりも実質的に小さい(すなわち、約10分の1、好ましくは、約100分の1、より好ましくは、約1000分の1の寸法)。制限通路は、内部空隙の少なくとも一部からのガス分子の移動を遅らせ、粒子細孔構造からの少なくとも一部の圧縮ガスの脱出を実質的に妨害するのに有効である。不均一な断面を有する制限通路において、最も狭い断面直径は、ガス分子移動速度を支配する制限因子である。本明細書で使用する開口部、制限通路、またはオリフィスの寸法を記載するための「直径」という用語の使用は、断面直径を意味する。
【0018】
制限通路の少なくとも一部は、約1マイクロメートル(μm)未満、より好ましくは、約0.1μm未満、最も好ましくは、約0.01μm未満、場合により、約0.001μm未満である直径を有することが好ましい。0.001μmの直径は、1ナノメートルまたは10オングストローム(Å)に等しく、大気中に存在するものなどの多くのガスの有効分子直径、またはいわゆる動的直径もしくは衝突直径よりもわずかに大きいにすぎない。例えば、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、窒素、酸素、二酸化炭素、および亜酸化窒素の分子直径は、約2〜5Åの範囲である。
【0019】
少なくとも一部が制限通路を通じて周囲の大気と直接的または間接的に連結している開放内部空隙は、一般的に、約0.01〜2000μm、より好ましくは、約0.1〜1000μm、最も好ましくは、約1〜100μmの範囲に好ましい直径を有する、球形の形状を有することができるが、他の形状および/または直径を有する内部空隙も期待される。個々の粒子も、一般的に、約0.5〜5000μm、より好ましくは、約1〜1000μm、最も好ましくは、約5〜500μmの好ましい直径を有する球形を有することができるが、他の形状および/または直径を有する粒子も期待される。本明細書に負荷するとも参照される、圧縮ガスを粒子に充填するプロセスは、典型的には、粒子の形状または直径を実質的に変えないが、粒子中の開口部および/または制限通路の数および/または直径を増加させてもよい。加圧された粒子が速やかに脱圧される場合などの一部の場合において、一部の粒子は、細孔構造の内部表面上のガス分子により及ぼされた不均衡な力の突然の発生の結果としてある大きさに断片化してもよい。
【0020】
本明細書で使用する「ガス放散」という用語は、粒子の内部空隙中に存在するガス分子が、ガス放散の確立した原理に一般的に従って、ゆっくりとかつ制御可能に内部空隙中の開口部を通じて放散することを意味する。当業者に知られているように、ガスの動的理論に従って、理想気体の放散の速度は、ガスの圧力、温度、および分子量、そのガスを囲んでいる容器の容量、ならびに容器中の開口部の面積に関連付けられる。放散の速度が、単位時間(t)当たりに容器から、面積Aを有する開口部を通じて脱出するガスのモル数(N)として表される場合、この速度は、tの変化(dt)当たりのNの変化(dN)として表すことができる。この速度は、dN/dt=A(Pi−Po)/(2πMRT)0.5から得ることができ、ここに、Piは、容器内のガス圧力であり、Poは、容器外のガス圧力であり、πは、数学的定数パイ(3.14)であり、Mは、ガスの分子量であり、Rは、理想気体定数であり、Tは、温度である。容器から放散することができるガスのモル数(N)は、N=V(Pi−Po)/RTとして表される理想気体式から得ることができ、ここに、Vは、容器の容量である。これらの式は、一般的に、本発明の粒子組成物からのガスの放散の速度および持続時間に適用される。しかしながら、AおよびPiに対する値は、粒子組成物について容易には測定されず、結果として、ガス放散の速度および持続時間は、実験を介して得られる。Piは、粒子組成物に付与された外部ガス圧力が解放された後に時間と共に連続的に減少し、一般的に指数関数的速度でPoに近づくので、粒子組成物からのガス放散の速度は、一般的に、容器中のガス圧力(Pi)が周囲の大気または真空中のガス圧力(Po)と平衡に達するまで、時間と共に指数関数的に減少する。
【0021】
しかしながら、物理化学の分野において、ガス放散はガス拡散の理想化された形式であることが留意されるべきであり、この形式のガス拡散は、無視できるほどの長さを有する小さなオリフィスを通した単一ガス分子の連続的な流れによって一般的に証明され、オリフィス内にある間に、他のガス分子やオリフィス壁との衝突なしに、より高い内部とより低い外部のガス圧力の間の相対的に小さなガス圧力降下を越えて起きる。かくして、それらの関係は、理想的条件下の理想気体の挙動に基づいて展開されてきたので、本発明の組成物のガス放散挙動は、ガスの動的理論から導かれる物理的−化学的関係に正確に従うことを期待することができない。本発明において典型的に用いられる高圧は、ガスを理想的挙動から有意に逸脱させる原因となることができる。また、本発明の組成物は、典型的には、内部空隙、開口部、および制限通路直径の広い範囲により特徴付けられた複雑で不均一な細孔構造を有する。さらに、制限通路は、長いかまたは曲がりくねった細孔もしくはその中に存在する他のものおよび/または周囲の壁と衝突するガス分子を許容する一様でない表面を有する亀裂として存在してもよい。
【0022】
多くの例において、あらゆる非制限通路を通じて大気と連結している内部空隙内に保持されている圧縮ガスは、実質的に妨害されることなく迅速に脱出することができるので、本発明の加圧粒子成分は、脱圧直後の比較的短い期間(すなわち、数秒または数分)の間に、バルクフロー(すなわち、いわゆるマスフロー、粘性流、または乱流)の確立された原理により一般的に従う方法でガス分子を最初に放出するであろう。ガスのこの相対的に短寿命の初期放出は、典型的には、分子放散に迅速に移行するであろうし、分子放散は、次いで、かなり長い期間にわたって見られるであろう。実際に、そのような場合において、分子放散への移行は、典型的には、粒子内に保持されているガスの含有量および粒子からのガス損失の速度を測定するのに必要とされる時間よりも速く起きる。
【0023】
ガス放散の速度は、主に、粒子の細孔構造により支配され、一般的に、内部空隙を周囲の大気に連結している開口部および制限通路の直径、数、および/または容量が減少するにつれて減少するであろう。粒子が、必要とされる細孔構造を有していない場合、分子放散は起きないか、極めて短期間にのみ起きるかのどちらかであり、発泡剤としての組成物の有用性を大幅に制限するであろう。ガス放散の速度および持続時間は、圧縮ガスを細孔構造に充填するのに使用されるガス圧力および時間などの処理条件によると同様に、内部空隙の直径、数、および/または容量、制限通路容量に対する内部空隙容量の比、および制限通路開口部総面積などの粒子成分の他の物理的特性により様々な程度まで影響されることができる。
【0024】
ピンホールを有する容器などのモデルシステムにおけるガス放散の発生は、容器中に存在するガス分子の平均自由行程(衝突と衝突の間に移動する平均距離)が、ピンホールの直径に比較して大きく、容器の直径に比較して小さい場合に有利になることが知られている。これらの条件は、容器の壁およびピンホールとのガス分子の衝突頻度を減少させ、ガスが容器から脱出する速度を妨げる役割を果たす。理論により制約されることを望むわけではないが、本発明の組成物によるガス放散は、粒子組成物の細孔構造内に存在するガス分子の平均自由行程と比較して相対的に小さい少なくとも一部の制限通路直径、および相対的に大きい少なくとも一部の内部空隙直径の存在により同じように有利になると考えられる。
【0025】
異なる条件下の異なるガス分子の平均自由行程は、ガスの動的理論に基づいて確立された関係を使用して推定することができる。平均自由行程は、一般的に、ガス圧力が減少するにつれて、およびガス分子量が増加するにつれて増加する。本発明の粒子状組成物中にガスを負荷するのに典型的に使用される相対的な高圧において、ガス分子の実質的に短縮された平均自由行程は、ガスが制限通路の少なくとも一部を通じて内部空隙に流入する速度を増加させ、必要とされるガス負荷時間を有利に短縮することができる。逆に、組成物を減圧した直後に見られる短縮された平均自由行程は、ガス圧力を低下させて平均自由行程を長くするのに十分な期間の後に起きるよりも速い速度の粒子からのガス損失を生じることがある。結果として、ガス放出の速度は、減圧後に、指数関数的速度で、着実に減少する。
【0026】
モデル放出システムにおけるガス分子は、ピンホールと直接「衝突し」、容器から脱出するまで、他の分子および容器の内部表面と衝突することが知られている。この場合も、理論により制約されることを望むわけではないが、この機構は、一般的に、ガス分子が、開口部または制限通路と直接「衝突して」内部空隙から周囲の大気に脱出するまで他のガス分子および内部空隙の表面と衝突することを除いては、本発明のガス放散組成物で見られると考えられる。さらに、本発明の組成物中に存在する内部空隙は、高度に相互連結しているため、ガス分子は、潜在的に多数の内部空隙間で、おそらくある程度は分子放散に加えてバルクフローのプロセスにより、開口部および制限通路を通じて交換されることができ、また、ガス分子を細孔構造内に取り込むであろう得られた迷路様経路は、ガス分子が粒子表面上の外部開口部または制限通路から最終的に脱出する場合に測定されるように、放散の速度を有利に遅らせることができると信じられる。
【0027】
したがって、制限通路は、内部空隙内に保持されているガス分子の直径の約2から約5000倍の範囲、より好ましくは、約2から約500倍の範囲、最も好ましくは、約2から約50倍の範囲の直径を有することが好ましい。内部空隙内に保持されたガス分子に関して、「保持された」という用語は、ガスが、粒子の開放内部空隙中に存在し、所与の十分な時間を与えられれば内部空隙を出入りすることができることを意味する。本発明の実施形態による粒子組成物中にガスを負荷した後に、粒子中に存在するガスの大部分は、周囲の大気と連結している粒子の開放内部空隙中に保持された圧縮ガスであることが好ましい。粉末中に存在するであろう任意のガスの残部は、主に、水溶液のガス注入噴霧乾燥によるような粒子の製造により閉鎖内部空隙中に捕捉される非圧縮ガスである。
【0028】
本明細書で使用する「構造」、「粒子状構造」、「粒子構造」、または「粉末構造」という用語は、大気と相互連結しておりかつ/または大気に開放されている多数の内部空隙を含有する構造を意味する。「細孔構造」という用語は、それらのすべてが大気に開放されており、少なくともある程度、お互いと相互連結していることがある内部空隙、開口部、および制限通路を含有する構造を意味する。細孔構造内に存在する内部空隙は、液体に粒子を溶かすと気泡として放出され、泡、泡立ち、炭酸組織、または他の有益性を生み出す大容量の圧縮ガスを保持することができる。「非晶質」という用語は、大部分が非結晶性であるガラス状構造を意味する。
【0029】
「粉末可溶性発泡組成物」、「粉末発泡組成物」、「粒子発泡組成物」または「発泡組成物」という用語は、液体、特に、水性液体中で溶解するか、または崩壊し、そのような液体との接触で泡または泡立ちを形成するかまたは炭酸様組織を形成するいかなる粒子組成物をも意味する。
【0030】
「周囲温度」という用語は室温を意味し、典型的には約18〜30℃の範囲であるが、高めまたは低めであってもよい。周囲温度は、たとえ実際の室温がわずかに高めかまたは低めであったとしても、本明細書で実施されるように、科学実験では「25℃において」と記録されることが多い。「大気圧」という用語は、天気および高度によってわずかに変わることがある、海面位での1気圧に等しい周囲圧力を意味する。「圧縮ガス」という用語は、周囲圧力より大きな圧力まで圧縮されたガスを意味し、超大気圧ガスとしても知られている。
【0031】
本発明に従って好適に使用することができるガスは、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、空気、アルゴン、酸素、ヘリウム、水素、またはそれらの混合物から選択することができる。窒素が好ましいが、その他の食品用ガスを使用し、粉末に外部ガス圧力を付与することができる。食品で使用することが認可されていないガスを使用し、消費が意図されていない本発明の組成物を製造することができる。また、特定の製品応用例において、炭化水素ガス、食用冷媒ガス、ハロゲン化炭化水素、またはそれらの混合物などの代替ガスを使用して粒子成分を加圧することが望ましいことがある。これらのガスの一部は、一般の大気ガスよりもかなり高い分子量を有してもよく、その結果、他の有益性に加えて、組成物からの有意に遅めの放出速度を提供することができる。代替ガスの非制限な例は、プロパン、Freon115、およびFreon318を包含するであろう。
【0032】
本発明のガス放散組成物は、粒子成分の物理的特性、その中に保持されているガスの圧力および組成、貯蔵温度、および包装方法に応じて、数分から数年の範囲の所定の期間にわたって有用な容量の圧縮ガスを保持することができる食用材料で形成されることが好ましい。場合により圧縮ガス下で包装することを包含する処理および包装方法を容易に制御し、様々な製品応用例に特に適合している貯蔵期間を有する、本発明の発泡組成物を含有する即席の食品および飲料ミックスなどの本発明のガス放散組成物またはそれらの混合物を提供することができる。処理は、製造設備などにおけるような大きい規模で、もしくは、製品が消費、販売、または配送される小売店または外食店などにおけるようなより小さい規模で行うことができる。
【0033】
粒子成分は、炭水化物、タンパク質、および/またはそれらの混合物を包含する様々な形態であってよい。1つの好ましい形態において、粒子成分は、非晶質構造を有し、低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)を含む。本明細書で使用する「スキムミルク粉末」および「SMP」という用語は、乾燥スキム(脱脂)ミルクを含む粒子成分を意味し、これらの用語は、スキムミルク粉末、無脂肪ドライミルク(NFDM)粉末、またはそれらの混合物を包含する。SMPおよびNFDM粉末は、典型的には、類似の組成を有しているが、前者は、少なくとも34重量%のタンパク質を有していなければならず、後者は、規定されておらず、典型的には、34〜37重量%のタンパク質を有していることから、わずかに異なるタンパク質含有量を有していてもよい。SMPおよびNFDMという用語は、互換的に使用されることが多く、どちらの名称も、同じ粉末について記載するのに使用されることが多い。本発明において使用されるものなどのSMPおよびNFDM粉末は、典型的には、約1重量%の分散残留乳脂肪を含有するが、正確なレベルは、重要ではなく、高めかまたは低めであってもよい。
【0034】
他の適当なガス放散組成物は、SMPおよびNFDM粉末のそれよりも高い脂肪レベルを有する低密度ガス注入噴霧乾燥ミルク粉末から製造することができる。しかしながら、そのような粉末は、酸化および異臭の形成をより受けやすいことがあり、風味品質を落とし保存期間を短縮することがある。さらに、適当なガス放散組成物は、好ましいSMPおよびNFDM組成物中に見いだされるレベルに匹敵するかまたはそれらのレベルより大きい乳漿およびカゼインレベル、または総タンパク質レベルを有し、スキムミルクまたはミルクから製造されるミルクタンパク質濃縮物および/または単離物を使用し、乾燥する前に、製剤化された低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルクまたはミルク粉末から製造することができる。
【0035】
本明細書で使用する「低密度粉末」という用語は、好ましくは、約0.35g/mL未満、より好ましくは、約0.30g/mL未満、最も好ましくは、約0.25g/mL未満、場合により、約0.20g/mL未満のかさ密度を有する粉末を意味する。好ましい形態において、低密度ガス注入噴霧乾燥粒子成分は、水分を包含する総重量を基準として、好ましくは、少なくとも約60%、より好ましくは、少なくとも約80%、さらにより好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、約100%のSMPおよび/またはNFDMを含むように製剤化される。好ましい形態において、100%SMPおよび/またはNFDMではない粒子の任意の部分は、任意の炭水化物噴霧乾燥担体(すなわち、増量剤)、補足的タンパク質源、機能性成分、界面活性剤、緩衝剤、および/またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0036】
粒子組成物を製剤化するのに使用することができる適当な任意の炭水化物噴霧乾燥担体は、例えば、糖、多価アルコール、糖アルコール、オリゴ糖、多糖、デンプン加水分解生成物、ガム、可溶性繊維、修飾デンプン、修飾セルロース、およびそれらの混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。適当な糖は、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マンノース、トレハロース、およびマルトースを包含する。適当な多価アルコールは、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール、およびポリエチレングリコールを包含する。適当な糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、およびキシリトールを包含する。適当なデンプン加水分解生成物は、マルトデキストリン、グルコースシロップ、コーンシロップ、高マルトースシロップ、および高フルクトースシロップを包含する。適当なガムは、キサンタン、アルギネート、カラギーナン、グアー、ゲラン、ロカーストビーン、および加水分解ガムを包含する。適当な可溶性繊維は、イヌリン、加水分解グアーガム、およびポリデキストロースを包含する。適当な修飾デンプンは、水に溶解性であるかまたは分散性である物理的または化学的修飾デンプンを包含する。適当な修飾セルロースは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。
【0037】
粒子組成物を製剤化するのに使用することができる好適な任意の補足的タンパク質源は、例えば、ミルクタンパク質、大豆タンパク質、卵タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、小麦タンパク質、および加水分解タンパク質を包含する。適当な加水分解タンパク質は、加水分解ゼラチン、加水分解コラーゲン、加水分解カゼイン、加水分解乳漿タンパク質、加水分解ミルクタンパク質、加水分解大豆タンパク質、加水分解卵タンパク質、加水分解小麦タンパク質、およびアミノ酸を包含する。
【0038】
処理、栄養価、風味、または外観を強化することができる任意の機能性成分は、粒子組成物を製剤化するのに使用することができ、有機および無機塩、界面活性剤、乳化剤、植物化学物質、栄養添加物、流動剤、人工甘味料、保存剤、着色料、および一部の香料を包含することができるが、これらに限定されるものではない。脂質は、脂肪、油、硬化油、エステル交換油、リン脂質、ワックス、ステロール、スタノール、テルペン、および野菜、乳製品、または動物源に由来する脂肪酸を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の粒子組成物は、周囲圧力下で完全密閉型ではない閉鎖容器中に貯蔵される場合に、好ましくは、約1日を超える、より好ましくは約1週を超える、さらにより好ましくは、約1カ月を超える、最も好ましくは、約1年を超える期間にわたってある容量の圧縮ガスを保持することができる、制限通路を通じて大気および粒子の表面と直接的または間接的に連結している複数の内部空隙を有する適当な粒子状構造および細孔構造を提供するのに有効な任意の方法により製造することができる。
【0040】
1つの好ましい形態において、水溶液の従来型ガス注入噴霧乾燥を使用し、粒子状組成物を製造する。ガス注入をしない水溶液の噴霧乾燥は、典型的には、相対的に小さな内部空隙容量を有する粒子状組成物を生じる。ガス注入噴霧乾燥は、噴霧乾燥機に移送する前かまたは噴霧乾燥中のどちらかに、任意の有効なガス分散方法を使用してガスまたは圧縮ガスを水溶液中に分散させる(水溶液に溶解されているか、および/または噴霧乾燥機から回収される乾燥固形物1キログラム当たり約1〜6、より好ましくは、約2〜4リットルのガスの比を提供することが好ましい)ことにより行うことができる。したがって、ガスは、水溶液のバッチ中に注入されてもよいが、噴霧乾燥機に達する前に、混合または均質化と併せてインラインで連続的に注入されることが好ましい。代替方法として、ガスおよび水溶液の2つ以上の別々の流れを、噴霧乾燥機ノズルもしくは噴霧器においてかまたはその中のどちらかで混ぜ合わせることができる。適当なガス組成物、ガス対溶液比、ガス注入方法、ガスおよび溶液の流速、ガスおよび溶液の圧力、溶液温度、および噴霧乾燥機の入口および出口の温度は、ガス注入噴霧乾燥の当業者により容易に決定することができる。窒素ガス(N2)が好ましいが、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素、またはそれらの混合物を包含するその他の食品用ガスをガス注入のために使用することができる。
【0041】
本発明のガス放散組成物を形成するのに使用される特に好ましいSMP組成物は、従来型ガス注入噴霧乾燥を使用して製造される。これらの粒子状組成物は、噴霧乾燥後にいかなる圧縮ガスも含有せず、それらの本来の形態で従来型低密度発泡剤粉末としてのみ機能する。有利には、圧縮ガスを保持し、本発明のガス放散組成物の製造を可能にするに特に適している細孔構造を予想外に有する、本発明者らが発見した好ましい粒子組成物を製造するのに特別な技法は必要ではない。
【0042】
場合により、本発明の粒子組成物は、噴霧乾燥中に気泡形成および内部空隙の作成を改善するために1種または複数の界面活性剤を使用して製剤化することができる。適切なレベルにおける適当な界面活性剤の使用は、内部空隙の相対的なサイズ、数、および容量に影響を及ぼすことがある。適当な界面活性剤は、ポリソルベート、スクロースエステル、ステアロイルラクチレート、モノ/ジ−グリセリド、モノ/ジ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステル、およびリン脂質などの食品認可された乳化剤を包含する。加えて、アラビアゴム、アルギン酸プロピレングリコール、およびオクテニルスクシネート置換デンプンなどの親油性修飾食品デンプンを包含する一部の炭水化物は、界面活性である。
【0043】
場合により、本発明の粒子組成物は、噴霧乾燥および液体中の再構成を容易にするための1種または複数の緩衝剤を使用して製剤化することができる。適切なレベルにおける適当な緩衝剤の使用は、粉末溶解および製品泡立ち属性を改善しつつ十分な粒子内部空隙容量を提供することができる。本発明において使用される好ましい緩衝剤は、有機または無機酸の塩である。すでに述べた有益性を提供する他に、これらの緩衝剤は、酸性飲料などの特定の製品応用例におけるタンパク質の凝集または変性に対する抵抗性も改善する。最も好ましい緩衝剤は、有機酸のナトリウムおよびカリウム塩である。適当な緩衝剤は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、およびリン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明のガス放散組成物を製造するのに使用される粉末は、外部ガス圧力を受ける前に、約0.1〜0.4g/mL、より好ましくは、約0.2〜0.3g/mLの範囲のかさ密度およびタップ密度、約0.3〜1.1g/mL、より好ましくは、約0.4〜1.0g/mL、最も好ましくは、約0.5〜0.9g/mLの範囲が好ましい見掛け密度、約1.2〜1.6g/mLの材料密度、約0.5〜5.0mL/g、典型的には、約1.0〜4.0mL/g、より典型的には、約2.0〜3.0mL/gの範囲の内部空隙容量、約0.2〜3.0mL/g、典型的には、約0.3〜2.0mL/g、より典型的には、約0.4〜1.0mL/gの範囲の見掛け内部空隙容量(AIVV)、約30〜80%、典型的には、約35〜75%、より典型的には、約40〜60%の範囲の%AIVVを有することが好ましい。
【0045】
内部空隙容量およびAIVV値は、粒子組成物中に存在する細孔構造の容量を測定するのに使用される2つの異なる方法から導かれる。これら2つの異なる方法を一緒に使用した場合、粒子の、圧縮ガスを保持と分子放散のプロセスによるその圧縮ガスを放出の両方に関する能力に大きな理解を提供する。これらの方法について以下に記載する。
【0046】
相対的に大きな内部空隙容量を持つ粉末は、一般的に、それらのガスを保持する能力がより大きいため、本発明のガス放散組成物を製造するための使用にとって好ましい。相対的に大きな内部空隙容量および相対的に大きなAIVVと併せて制限通路を有する粉末は、ガスを保持し、そして放散によるガス損失の速度を妨げる両方の能力がより大きいため、特に好ましい。内部空隙容量は、適当には、少なくとも約0.5mL/g、好ましくは、少なくとも約1.0mL/g、より好ましくは、少なくとも約1.5mL/g、最も好ましくは、少なくとも約2.0mL/gである。AIVVは、適当には、少なくとも約0.2mL/g、好ましくは、少なくとも約0.4mL/g、より好ましくは、少なくとも約0.6mL/g、最も好ましくは、少なくとも約0.8mL/gである。パーセントAIVV(%AIVV)は、好ましくは、少なくとも約30%、より好ましくは、少なくとも約40%、最も好ましくは、少なくとも約50%である。粉末は、約30〜150℃、好ましくは、約35〜125℃、より好ましくは、約40〜100℃のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。粉末は、約0〜15%、好ましくは、約1〜10%、より好ましくは、約2〜5%の水分含有量、および約0〜0.5、好ましくは、約0.05〜0.4、より好ましくは、約0.1〜0.3の水分活性を有することが好ましい。
【0047】
本発明のガス放散粒子組成物は、液体で再構成される場合の使用時、または減圧の直後のどちらかに、その中に存在する細孔構造中に存在する開放内部空隙内に、少なくとも約2気圧、より好ましくは、少なくとも約3気圧、最も好ましくは、少なくとも約4気圧、場合により、少なくとも約5気圧、またはそれ以上の平均絶対ガス圧力で、ガスを保持することが好ましい。そのような高めの平均絶対ガス圧力は、最高で約10気圧まで、20気圧、さらには最高で約50気圧までなどのより高い圧力を包含することができる。
【0048】
パーセンテージは、他に指示がない限り、発泡組成物の重量を基準とする。かさ密度(g/mL)は、メスシリンダーにロートを通して注がれた場合に所与の重量(g)の粉末が占める容量(mL)を測定することにより決定される。タップ密度(g/mL)は、メスシリンダーに粉末を注ぎ、粉末がその最低容量に落ち着くまでシリンダーを振動させ、容量を記録し、粉末を秤量し、重量を容量で除すことにより決定される。見掛け密度(g/mL)は、ヘリウムピクノメーター(Micromeritics AccuPyc1330)を使用して秤量した量の粉末の容量を測定し、重量を容量で除すことにより決定される。
【0049】
見掛け密度は、閉鎖内部空隙などの、大気と連結していない、粒子中に存在するあらゆる空隙の容量を包含する密度の尺度である。見掛け密度は、大気と連結しているが、かなり短い分析時間中にピクノメーターにより使用されるかなり低圧(約20psi未満のゲージ圧力)のヘリウムによる透過には利用できない、粒子中に存在するあらゆる空隙の容量も包含する。開放されており、ピクノメトリー分析中の透過には利用できないそのような空隙は、制限通路の少なくとも一部、および制限通路を通じて、直接的または間接的に、大気と連結している内部空隙の少なくとも一部を包含する。見掛け密度は、粒子と粒子の間の間隙容量および大気に開放されており、ピクノメトリー分析中にヘリウム透過に利用できる、粒子中に存在するあらゆる間隙の容量を除外する。
【0050】
本明細書において「閉塞内部空隙」と呼ばれる、大気と連結しておらずかつ/またはピクノメトリー分析中にヘリウムガス透過には利用できない内部空隙および開口部の総容量は、水中で粉末を再構成した後に粉末の見掛け密度を測定すること、溶液を凍結および凍結乾燥すること、ならびに乳鉢および乳棒で凍結乾燥粉末を粉砕して粉末中にもともと存在するすべての閉鎖空隙または利用できない空隙を取り除くか、または大気に開放することからも導くことができる。本明細書において「材料密度」(g/mL)と呼ばれるこのタイプの見掛け密度は、粉末を含む固体物のみの実際の密度である。
【0051】
粒子中に含有される閉塞内部空隙の容量である見掛け内部空隙容量(AIVV)は、逆数見掛け密度(mL/g)から逆数材料密度(mL/g)を減じることにより決定することができる。粒子中に含有される閉塞内部空隙の容量パーセントであるパーセントAIVVは、逆数見掛け密度(mL/g)から逆数材料密度(mL/g)を減じ、次いで、その結果に見掛け密度(g/mL)および100%を乗じることにより決定される。
【0052】
内部空隙容量(mL/g)は、水銀ポロシメーター(Micromeritics AutoPore III)を使用し、約0から60,000psi(4218kg/cm2)(ゲージ)まで増加させる付与水銀圧力下で、秤量した量(g)の粒子に侵入する液体水銀の容量(mL)を測定し、侵入した水銀容量を粒子の重量で除すことにより決定することができる。この方法は、粒子細孔構造の直径、面積、および容量の分布を提供し、大気と、直接的または間接的に連結している内部空隙、開口部、および制限通路の存在を裏付ける。この方法は、機器により利用されるソフトウェアに組み込まれている標準の数学的な関係および仮定を使用して水銀侵入圧力を粉末細孔の直径および容量に関連付けるのに一般的に使用される。付与圧力が増加するにつれて、非濡れ性の水銀は、60,000psi(4218kg/cm2)において侵入されることがある最小直径細孔(3nmすなわち30Å)が満たされるまで、より小さな細孔に徐々に侵入する。対応する細孔直径、面積、および容量は、円柱状の細孔断面を仮定して計算される。増加する圧力において追加された水銀の各用量は、新たな細孔直径および連続する用量と用量の間の細孔平均直径を中心とする対応する増分細孔容量を提供する。
【0053】
より小さな細孔は、場合により、より高い圧力上限を提供する水銀ポロシメーターを使用するか、または窒素ガス吸着分析器(Micromeritics Gemini)を使用することにより測定することができる。窒素吸着方法を使用し、粒子状成分の細孔構造中に存在する「ミクロ細孔」(すなわち、直径が約2nm未満の細孔)および「メソ細孔」(すなわち、直径が約2〜50nmの細孔)の細孔直径、面積、および容量の分布を測定し、これらの範囲内の直径を有する制限通路の存在を裏付けることができる。この方法は、粉末の表面積を測定し、機器により利用されるソフトウェアに組み込まれている標準の数学的な関係および仮定を使用し、約0(真空)から約1気圧(絶対)の圧力まで増加する付与ガス「分圧」下で、液体窒素の沸点(−196℃)において、粉末の表面上に物理的に吸着される窒素ガスの量を関連付けるのに一般的に使用される。付与ガス圧力が増加するにつれて、窒素は、窒素分子の多層の吸着でミクロ細孔およびメソ細孔を満たしながら、より大きな細孔の表面上に徐々に吸着する。対応する細孔直径、面積、および容量は、円柱状の細孔断面を仮定して計算される。増加する分圧において追加された窒素の各用量は、新たな細孔直径および連続する用量と用量の間の細孔平均直径を中心とする対応する増分細孔面積および容量を提供する。細孔平均直径は、連続する用量において追加された低めおよび高めの窒素ガス分圧に対応する低めおよび高めの計算された細孔直径の数学的平均である。本発明の粒子状組成物を分析するのに利用される最低分圧は、約4.5Åの細孔直径に理論的に対応する約0.001気圧とした。これは、窒素ガスの広く受け入れられている小さめの分子次元(3.5Å)よりわずかに大きいにすぎない。この技法を使用し、確立した数学的な関係および仮定を使用して約17Åよりも小さな細孔直径を正確に数量化することができるかどうかについてはガス吸着分析の熟練者の間で議論があるが、しかしながら、この方法により提供される情報は、本発明の組成物を特徴付けるのに有用であることが判明している。
【0054】
ガラス転移温度は、硬いガラス状の粒子固体状態から軟化したゴム状の粒子固体状態への粉末組成物の変換を特徴とする二次相変化の跡を残す。一般に、固相の粒子組成物内のガスの溶解性および拡散速度は、典型的には、ガラス転移温度以上の材料においてのみ意味がある。ガラス転移温度は、化学組成および水分レベルに左右され、一般に、低めの平均分子量および/または高めの水分は、ガラス転移温度を下げるであろう。ガラス転移温度は、当業者に知られている任意の適当な方法を使用して粉末の水分含有量をそれぞれ単に増加または減少させることにより、意図的に上昇または低下させることができる。ガラス転移温度は、確立した示差走査熱量測定(DSC)または熱機械分析(TMA)技法を使用して測定することができる。
【0055】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載されているガス放散組成物は、外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、および粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子を含む可溶性のガス注入噴霧乾燥粒子状成分を、食用ガスが外部表面から内部空隙内に制限直径通路を通過するように、第1の高圧において周囲温度で食用ガスと接触させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を調製すること、次いで、粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内の食用ガスを第2の高圧において内部空隙から制限直径通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出させることを含み、第2の高圧が、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい方法に従って製造されることが好ましい。このことは、例えば、適当な容器内に適切な粒子構造を有するガス注入噴霧乾燥粉末を密閉し、圧縮ガスで粒子の内部空隙を満たすのに有効な時間にわたって圧縮ガスで容器を加圧し、容器内の圧力を解除してガス放散組成物を回収することにより行うことができる。好ましい方法は、外部からの加熱も冷却もなしに周囲温度において圧力容器内で粉末のガス加圧および減圧を行うことである。粉末の温度は、加圧および減圧ステップ中にガラス転移温度未満のままである。この方法によれば、ガス放散組成物は、バッチで、または任意の適当な手段を使用して連続的に製造することができる。
【0056】
1つの好ましい形態において、粒子組成物は、非晶質構造を有する低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)を含む。圧力容器内の圧力は、100〜5000psi(7.03〜351.5kg/cm2)、より好ましくは、500〜3000psi(35.15〜210.9kg/cm2)、最も好ましくは、1000〜2000psi(70.3〜140.6kg/cm2)の範囲であることが好ましい。窒素ガス(N2)の使用が好ましいが、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素、アルゴン、酸素、ヘリウム、水素、またはそれらの混合物を包含するその他の食品用ガスを、容器を加圧するために使用することができる。
【0057】
粉末を含む粒子中の開放内部空隙を圧縮ガスで満たすのに必要とされる時間は、ガス圧力および利用されるガス組成に左右され、当業者により容易に決定することができる。典型的には、ガス加圧時間は、少なくとも約1分、好ましくは、少なくとも約5分であるが、特に、相対的に低いガス圧力が使用される場合には、最長で数時間または数日までであってもよい。一部の場合において、粒子中の開放内部空隙を圧縮ガスで完全に満たすために数週かかることがある。粉末、または粉末を含有する混合物が、相対的に低いかまたは中程度に加圧されたガスの雰囲気下で包装され、少しして消費者に達する前に製品倉庫または流通チャンネルを通じて送られる場合の製品応用例におけるように、ゆっくりした充填が意図的にプロセス内に設計されることが有益であることがある。粉末が保持するガス含有量および得られる発泡能力は、一般的に、処理時間およびガス圧力と共に増加する。
【0058】
有利には、本発明のガス放散組成物は、粒子を加熱および冷却する必要がないため、有意に低めのコストおよび速めの処理速度において、閉鎖細孔または密閉内部空隙内に捕捉された圧縮ガスを含有する従来の発泡組成物に匹敵するガス容量を解放することができる。圧縮ガス下の粒子状組成物の加熱および冷却は、典型的には、より多くのコストをかけて特殊化された機器の使用を必要とし、必要な処理時間を長引かせ、望ましくない粉末凝集、風味または色の変化、および機器汚染を引き起こすことがある。本発明のガス放散組成物は、捕捉された圧縮ガスを含有する市販の非タンパク質発泡組成物の使用に比べて、組成物を組み入れた製品の消費者認知のミルク状態(milkiness)および泡立ち安定性を高めることもできる。
【0059】
本発明のガス放散組成物は、従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末よりも大きなガス容量を放出することができる。そのような従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末は、典型的には、約0.1〜0.3g/mLの範囲のかさ密度および発泡剤粉末1グラム当たり約2〜5mLの範囲のガス含有量を有する。対照的に、大気圧発泡剤粉末に類似したかさ密度を有する本発明のガス放散組成物は、液体で再構成される場合の使用時に、ガス放散組成物1グラム当たり、好ましくは、少なくとも約8mL、より好ましくは、少なくとも約12mL、最も好ましくは、少なくとも約16mLのガス含有量を有する。望ましい場合、ガス放散組成物のガス含有量は、液体で再構成される場合の使用時に、場合により、ガス放散組成物1グラム当たり、最高で約30mLまで、おそらく最高で約40mLまで、またはおそらくさらに最高で約50mLまたはそれ以上にさらに増加させることができる。
【0060】
ガス含有量の増加は、例えば、本発明の方法に従って、高めのガス圧力、長めのガス加圧時間、高めの分子量ガス、高めのガス圧力または低めの温度における貯蔵、またはそれらの任意の組合せを利用することにより提供することができる。しかしながら、ガス放散組成物1グラム当たり約30mL超までのガス含有量の増加は、液体中に放出される圧縮ガスの大きめの相対的膨張により、一部の製品応用例において液体で再構成される場合に、望まれるよりも大きな泡セルを提供することがある。したがって、一部の応用例において、低めのガス含有量を有する多めの重量のガス放散組成物を使用することが好ましいことがある。個々の製品応用例に適しているガス含有量、重量、ガス組成、および貯蔵条件は、当業者に知られている方法により容易に決定することができる。
【0061】
それらのかなり高めのガス含有量のため、本発明のガス放散組成物は、従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末よりもかなり大きなガス容量を解放することができる。例えば、再構成した即席カプチーノミックスなどの熱飲料において、従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末は、典型的には、発泡剤粉末1グラム当たり約2〜6mLの範囲の泡容量を提供する。対照的に、そのような熱飲料応用例において、一般に、本発明のガス放散組成物は、ガス放散組成物1グラム当たり、少なくとも約12mL、より好ましくは、少なくとも約18mL、最も好ましくは、少なくとも約24mLの泡容量を提供することが好ましい。望ましい場合、液体で再構成される場合の使用時に提供される泡容量は、場合により、ガス放散組成物1グラム当たり、最高で70mL程度まで、またはそれ以上までさらに増加させることができる。そのような泡容量の増加は、高めのガス含有量を有するガス放散組成物を利用することにより提供することができる。
【0062】
ガス含有量は、既知重量の大気圧発泡剤粉末またはガス放散組成物を、単独で、または有意な量の泡を発生しないかまたは既知量の泡を発生するかどちらかの成分と一緒に、65mm(6.5cm)の内径を有する250mLのビーカーに入れ、88℃の温度において水150mLを加え、攪拌して溶かし、ミリメートル定規を使用してビーカー壁を背景にして初期泡高さを測定することにより決定することができる。泡中に存在するガスの容量分率は、泡の試料をメスシリンダーに入れ、測定重量(g)を測定容量(mL)で除して泡密度(g/mL)を取得し、泡密度を、溶液の測定密度(g/ml)(泡が消えた後に既知容量の溶液を秤量することにより得られる)で除し、次いで、その結果を1.0から減じることにより決定することができる。実際には、溶液密度は、水の密度に極めて近く、泡密度を溶液密度で除すことは、主に、ガスの容量分率を無次元にする役割を果たす。ガス容量分率は、典型的には、即席熱カプチーノ製品により提供される泡について約0.8であるが、わずかに高めまたは低めであることもある。泡容量(mLまたはcm3)は、初期泡高さ(cm)にビーカーの円柱状断面積(cm2)を乗じることにより決定することができる。次いで、泡容量に、ガス容量分率を乗じると、測定された初期泡高さにおけるガスの容量が得られる。次いで、測定溶液温度(一般的に、熱カプチーノでは約75℃)に対応するガス容量を、理想気体式を使用して下向きに補正し、25℃における等価のガス容量に対応させる。これには、ガス容量に、ケルビン単位(K)の高めの温度に対する低めの温度の比を乗じることが必要である。例えば、75℃から25℃へ補正するためには、ガス容量に298K/348Kを乗じる。次いで、得られたガス容量(mL)を、粉末重量(g)で除すると、粉末のガス含有量(mL/g)が得られる。混合物が、飲料泡高さを有意に増加させる成分を含有している場合、その寄与を、ガス含有量を報告する前に粉末の寄与から減じる。組成物が、泡に対する有意な不安定化効果を有する任意の成分を含有している場合、この式は、誤った低い値を提供するであろう。
【0063】
本発明のガス放散組成物は、液体で再構成される場合の使用時か減圧直後のどちらかに、元の粒子成分のガス含有量および放出泡容量の少なくとも約3倍、より好ましくは、約4倍を提供することが好ましい。場合により、加圧を、本発明の方法による条件下で行い、約5倍以上程度のガス含有量および放出泡容量のこれまで以上の増加を提供することができる。本発明の前には、ガス含有量および放出泡容量のそのような増加は、粒子を、その中に存在する密閉内部空隙または閉鎖細孔内に圧縮ガスを捕捉するのに有効な付与ガス加圧下で非晶質粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度まで加熱する(次いで、Tg以下まで冷却する)ことを必要とする長時間の費用のかかる方法を使用して達成できるにすぎなかった。
【0064】
飲料泡立ち高さ、増分泡立ち高さ、組成物ガス含有量、または放出泡容量のいずれか1つを、減圧後に始まるガス放散組成物の貯蔵時間に対してプロットする場合、これらの属性の減少速度は、一般的に、式y=Alogx+B、(ここで、yは、述べた属性のいずれか1つであり、logxは、貯蔵時間xの対数(logまたはln)であり、A(勾配)およびB(y軸切片)は、ガス放散組成物を製造するのに使用される粒子組成物に特異的である実験的に決定される定数である)を有する直線式に従うであろう。そのような式を特定および使用する1つの利点は、ガス放散の速度を、数時間または数日などの相対的に短期間の保存時間にわたって述べた属性のいずれか1つの減少速度を測定することにより実験的に誘導することができ、得られた情報を使用して、有用な貯蔵期間か、または組成物が、数週間後、数カ月後、または数年後に起きる可能性がある周囲の大気と平衡に達する時点のどちらかを予測することができることである。例えば、述べた直線式をAおよびB値と一緒に実験的に導き、数日間にわたって、放散速度に対応する飲料増分泡立ち高さの減少速度を提供することができる。式を、例えば、yをゼロ(増分泡立ち高さなし)とおいて、放散の持続時間に対応する、組成物が周囲の大気との平衡に達する時間xを予測することにより数学的に解くことができる。式を、関心のあるその他の時間xについて解き、その時の飲料増分泡立ち高さ、および対応する放散速度を予測することができる。加圧包装で貯蔵される組成物に当てはまるように、周囲の大気が、周囲大気圧ガスか圧縮ガスかどうかの予測を、そのような式を使用して行うことができる。
【0065】
したがって、本発明の方法は、非晶質粒子状成分のガス含有量および放出泡容量を増加させる従来の方法を上回る多くの処理利点を提供することができる。本発明の別の利点は、ガス放散発泡組成物を、望ましい場合に、ある期間または貯蔵後に、圧縮ガスで好都合に再充填し、それらのガス含有量および放出泡容量を増加させることができることである。本発明のそれ以外の利点は、異なるガスの使用が、異なるガス含有量および異なるガス放散速度を有するガス放散組成物を提供することができることである。
【0066】
有利には、ガス放散組成物を、直ちに、単独で、または食品を製剤化するための成分として使用することができ、場合により、圧力下で包装し、商業流通に適している貯蔵期間を提供することができる。本発明で使用するのに適している粒子成分は、商業的に調達することができ、利用可能な機器または携帯型装置を使用して室温において、容易にかつ迅速に、流通の前に圧縮ガスを負荷するかまたは外食顧客の要求に応じて負荷することができる。
【0067】
これらのガス放散発泡組成物についての好ましい使用は、可溶性飲料ミックス、特に、即席のコーヒーおよびカプチーノミックスにおいてである。しかしながら、それらは、液体で再水和されるいかなる即席食品においても使用することができる。これらの発泡組成物は、典型的には、冷たい液体によく溶けて泡立ちを生じるが、溶解および発泡能力は、一般的に、熱い液体中の再構成により改善される。応用例は、例えば、即席飲料、デザート、チーズ粉末、シリアル、スープ、トッピング粉末、ソース、および他の製品を包含することができる。
【実施例】
【0068】
本明細書の実施例は、本発明の様々な特徴をさらに例示するものであるが、決して、添付の特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲を制限するものではない。他に断りのない限り、すべてのパーセンテージおよび比は、重量によるものである。
【0069】
以下の実施例は、即席ホットカプチーノおよびココアミックス、即席コールドデザートトッピングミックス、クリーム入りの淹れたコーヒー、発泡スープミックス、シリアル製品、デザートミックス、ソースミックス、ミルクセーキなどの食品から得ることができる泡立ちの容量またはオーバーランを大きく増加させる際の本発明のガス放散組成物の有用性を示している。
【実施例1】
【0070】
ガス放散組成物を、非晶質構造、44℃のガラス転移温度(Tg)、および複数の内部空隙を有する市販の低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)(ロット1)(Diehl Foods;Defiance、Ohio;Cocoa Riche LDブランドNFDM粉末)から調製した。SMPの試料6.0gを、75mLのステンレススチール圧力容器(Whiteyガスサンプリングシリンダー;1800psi(75.9kg/cm2)までの定格最大圧力)に入れ、次いで、25℃において窒素で1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧した。容器を、窒素ガス源に容器を連結するバルブを閉じることにより密閉した。容器を、5分にわたって保持し、次いで、排気することにより減圧し、ガス放散SMP組成物を得た。
【0071】
加圧の前に、SMPは、0.22g/mLのかさ密度、0.31g/mLのタップ密度、1.44g/mLの材料密度、0.63g/mLの見掛け密度、2.88mL/gの内部空隙容量、および0.89mL/gの見掛け内部空隙容量(56容量%のAIVV)を有していた。したがって、加圧の前に測定された内部空隙容量は、AIVVよりも1.99mL/g大きかった(すなわち、3.2倍大きかった)。加圧の後に、SMPは、0.70g/mLの見掛け密度および0.73mL/gのAIVV(51容量%のAIVV)を有していた。
【0072】
このガス放散SMP組成物5.5gを、可溶性コーヒー粉末2.0g、砂糖4.0g、および50%脂肪、非発泡性、高密度コーヒーホワイトナー粉末2.5gに加えることにより、カプチーノミックス(試料1a)を調製した。比較カプチーノミックス(試料1b)は、上記の方式に従うが、ガス放散SMP組成物を未処理SMP(ロット1)で置き換えて調製した。各ミックスを、65mmの内径を有する250mLのビーカー内で88℃において水150mLで、減圧から5分後に再構成した。ガス放散SMP組成物の添加は、未処理のSMPとの比較カプチーノミックスを超えて初期飲料泡立ち高さを大きく増加させることが分かった。より具体的には、ガス放散SMP組成物を含有するカプチーノミックスである試料1aは、39mmの泡立ち高さを有し、一方、未処理SMPを含有するカプチーノミックスである試料1bは、10mmにすぎない泡立ち高さを有していた。
【0073】
したがって、ガス放散SMP組成物のガス含有量は、再構成時に、約16mL/gであり、一方、未処理SMPのそれは、約4mL/gにすぎなかった。ガス放散SMP組成物の放出泡容量は、再構成時に、約23mL/gであり、一方、未処理SMPのそれは、約6mL/gにすぎなかった。したがって、本発明の方法は、この応用例において約4倍のガス含有量および放出泡容量を提供したことが分かる。
【0074】
追加のカプチーノミックス(試料1c〜1q)を、試料1aの方式に従って調製し、ガスケット付き金属スクリューキャップ蓋で密閉された(すなわち、完全密閉ではない)閉鎖ガラスジャー内に室温において様々な期間にわたって貯蔵した。ミックスを上記に記載されているように熱水で再構成した場合、初期飲料泡立ち高さは、ミックスを貯蔵した時間の長さの関数として減少した。より具体的には、図1に例示するように、一般的に対数的な(0.99の相関係数)低下が、ミックス貯蔵時間の関数としての初期飲料泡立ち高さにおいて観察された。実験データを、下記の表1に要約する。
【0075】
増分初期飲料泡立ち高さを、ガス放散SMP組成物と共に製剤化された貯蔵カプチーノミックスの初期飲料泡立ち高さから、未処理SMPと共に製剤化されたカプチーノミックス(試料1b)の初期飲料泡立ち高さを減じることにより計算した。図2に見られるように、ミックス貯蔵時間の自然対数(Ln)の関数として増分初期泡立ち高さをプロットすると、−2.2323の勾配(A)および31.54のy軸切片(B)を有する直線(相関係数0.99)が得られる。線を0増分泡立ち高さに外挿すると(yをゼロとおいて、直線式を解くことにより)、ガス放散SMP組成物の細孔構造内に保持されている圧縮ガスのすべてが周囲の大気と平衡になる(すなわち、1気圧まで減少する)ためには約950日の貯蔵時間が必要であることが予測される。本発明の組成物の挙動を制御するガス放散機構について得られた理解をもってしても、SMPが圧縮ガスと接触したのがガス負荷中の5分間にすぎないことを考えると、このことは驚くべき結果である。もし操作の根底にある機構が、本発明の開発中に解明されず、数学的にモデル化されなかったら、そのような結果を信じるのは困難であろう。0.0021日(最初のデータポイント)と950日の間の貯蔵期間にわたってガス放散SMP組成物から放散するであろうガスの容量は、0.0021日における処理SMPのガス含有量(約16mL/g)から未処理SMPのガス含有量(約4mL/g)を減じることにより得ることができる。したがって、処理SMPについての放散速度は、950日当たり約12mL/g、すなわち約0.013mLガス/g/日になるであろう。放散速度が、950日の貯蔵時間前の任意の時点について計算される場合、高めの値が得られるのは、初期の放散速度が極めて高く、一般的に、時間と共に指数関数的に減少するからである。
【0076】
【表1】
【実施例2】
【0077】
実施例1の市販SMPの追加ロット(ロット2および3)を、実施例1の方法を使用して加圧した。加圧する前に、ロット2のSMPは、0.23g/mLのかさ密度、0.32g/mLのタップ密度、1.44g/mLの材料密度、0.87g/mLの見掛け密度、2.82mL/gの内部空隙容量、および0.45mL/gのAIVV(40容量%)を有していた。したがって、加圧の前に測定された内部空隙容量は、AIVVよりも1.95mL/g大きかった(すなわち、3.2倍大きかった)。加圧の後に、ロット2のSMPは、1.06g/mLの見掛け密度および0.25mL/gのAIVV(26容量%)を有していた。加圧する前に、ロット3のSMPは、0.24g/mLのかさ密度、0.33g/mLのタップ密度、1.44g/mLの材料密度、0.72g/mLの見掛け密度、2.64mL/gの内部空隙容量、および0.69mL/gのAIVV(50容量%)を有していた。したがって、加圧の前に測定された内部空隙容量は、AIVVよりも2.57mL/g大きかった(すなわち、3.8倍大きかった)。加圧の後に、ロット3のSMPは、0.80g/mLの見掛け密度および0.56mL/gのAIVV(44容量%)を有していた。
【0078】
ロット2および3のSMPから調製されたガス放散組成物を、試料1aの方式に従ってカプチーノミックス(それぞれ試料2aおよび2b)に組み入れ、圧力処理および得られる発泡性能に対するSMP製品変動の影響を評価した。実施例1に記載されているように熱水で再構成すると、試料2aおよび2bは、それぞれ24mmおよび36mmの初期飲料泡立ち高さを提供した。ガス放散組成物を同じ重量のロット2および3の未処理SMPで置き換えた比較カプチーノミックス(試料2cおよび2d)を調製した。両方の比較試料は、10mmにすぎない初期飲料泡立ち高さを提供した。
【0079】
したがって、試料2aおよび2bにおけるガス放散SMP組成物のガス含有量は、再構成時に、それぞれ約10mL/gおよび約15mL/gであり、一方、両方の未処理SMP組成物(試料2cおよび2d)のガス含有量は、約4mL/gにすぎなかった。試料2aおよび2bにおけるガス放散SMP組成物の放出泡容量は、再構成時に、それぞれ約14mL/gおよび約22mL/gであり、一方、未処理SMP組成物(試料2cおよび2d)のそれは、約6mL/gにすぎなかった。したがって、試料2aおよび2bのガス放散組成物は、この製品応用例において熱水で再構成される場合の使用時に、未処理SMPよりもそれぞれほぼ3倍およびほぼ4倍高いガス含有量および放出泡容量を有していた。望ましい場合、それ以上の増加を、ガス負荷中の高めのガス圧力の使用、または本発明の方法による他の処理改変により達成することができる。
【0080】
次に、市販の高密度噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)(DairyAmerica;Fresno、California;NFDM粉末)の試料6.0gを、実施例1の方法に従って加圧し、加圧した高密度SMP5.5gを、試料1aの方式に従って調製されたカプチーノミックス(試料2e)に組み入れた。加圧の前に、この高密度SMPは、0.46g/mLのかさ密度、0.74g/mLのタップ密度、1.25g/mLの見掛け密度、および0.11mL/gのAIVV(13容量%)を有していた。加圧の後に、この高密度SMPは、1.27g/mLの見掛け密度および0.09mL/gのAIVV(12容量%)を有していた。実施例1に記載されているように熱水で再構成すると、加圧した粉末は、飲料表面を完全に覆うことなく5mmにすぎない初期飲料泡立ち高さを提供した。上記の加圧した高密度SMPを同じ重量の未処理高密度SMPで置き換えた別の比較カプチーノミックスを調製した。上記と同じ条件下で再構成した場合に、この試料も、飲料表面を完全に覆うことなく5mmの初期飲料泡立ち高さを提供した。この結果は、高密度SMPの圧力処理が、ガス放散組成物を生成しないことを示している。処理および未処理高密度SMPのガス含有量は、約1mL/gにすぎず、放出泡容量は、2mL/g未満であった。これらの結果は、不十分な高密度SMP粒子状成分構造および細孔構造に直結していることがある。そのような不十分さは、高すぎるかさ密度および見掛け密度、ならびに低すぎるAIVVおよび%AIVVを包含し、高密度SMP粒子状成分構造および細孔構造を、開放内部空隙に圧縮ガスを保持するのには不適当にしている。
【実施例3】
【0081】
以下の実施例は、上記に記載されているようなカプチーノミックスに組み入れられる場合の本発明のガス放散組成物の発泡能力に対するガス圧力および加圧時間の影響を示している。実施例2のロット3SMPの追加試料6.0gを、窒素ガスで実施例1の方法を使用して125psi(8.79kg/cm2)、250psi(17.58kg/cm2)、375psi(25.33kg/cm2)、500psi(35.15kg/cm2)、750psi(52.73kg/cm2)、1000psi(70.3kg/cm2)、および1250psi(87.9kg/cm2)において加圧し、一連のガス放散組成物を得た。異なる圧力において調製されたこれらのガス放散組成物の試料5.5gを別々に使用し、試料1aの方式に従ってカプチーノミックス(試料3a〜3g)を製剤化し、実施例1の方法に従ってSMP減圧から5分後に再構成した。
【0082】
初期飲料泡立ち高さを測定した。結果を表2および図3に示す。図3に見られるように、ガス放散組成物を調製するのに使用された圧力の関数としてプロットされた初期泡立ち高さは、初めは、0〜500psi(0〜35.15kg/cm2)の間で圧力が増加するにつれて不均衡に増加し、次いで、500〜1250psi(35.15kg/cm2〜87.9kg/cm2)の間で直線的に増加した。この挙動は、加圧の5分は、低めの圧力範囲で平衡に達するには不十分であることを示した。いくつかの追加実験を行ってこの仮説を試験した。30分にわたる500psi(35.15kg/cm2)におけるロット3SMPの別の試料の加圧は、初期泡立ち高さの増加をもたらさず、匹敵する平衡には5分で達したことを示唆した。しかしながら、30分にわたる250psi(17.58kg/cm2)におけるロット3SMPの別の試料の加圧は、初期泡立ち高さを幾分増加させ、匹敵する平衡には5分では達しないことを示唆した。20時間(匹敵する平衡を超えると予想される時間)にわたって250psi(17.58kg/cm2)において加圧されたロット3SMPの別の試料は、初期泡立ち高さを大きく増加させ、新たなポイントは、低めおよび高めの圧力までグラフの500〜1250psi(35.15kg/cm2〜87.9kg/cm2)直線部分を外挿することにより形成される直線傾向線上で直接重なった。この結果は、5分の加圧時間を、約500psi(35.15kg/cm2)を超える圧力において有意にかつ徐々に短縮することができるであろうことを示した。
【0083】
未処理ロット3SMP出発材料は、カプチーノ飲料において1グラム当たり約4mLにすぎないガスを提供したが、ガス放散SMP組成物は、試験された範囲にわたって、1グラム当たり最高で約16mLまでのガスを提供した。相対的に高いガス負荷圧力において見掛け平衡に達したSMP試料中に保持されているガスの大部分は、減圧とカプチーノミックス再構成の間の期間に失われたことも明白であった。理論により制約されることを望むわけではないが、試験された範囲にわたって、SMP試料の開放内部空隙内の平均ガス圧力は、最高で約85気圧(1250psi)までのガス圧力による処理にもかかわらず、再構成時に約1から6気圧(atm)にすぎない範囲であったらしいことが考えられる。
【0084】
したがって、相対的に高いガス圧力は、圧縮ガスをMSPに極めて迅速に負荷するのに必要とされるが、少量にすぎない残ったガスの保持は、本発明のガス放散組成物を組み入れた製品のガス含有量および発泡能力を大きく増加させることできる。また、少量の残ったガスは、相対的に遅い速度で放出するため、ガス放散組成物をあまり急がずに取り扱うことができる。このことは、ガス放散組成物を得るために相対的に高いガス圧力を使用して粉末に素早く負荷し、ガス放散組成物を食品に組み入れ、次いで、有意に低めの圧力下で食品を包装し、再構成した食品の発泡能力を大きく増加させるのに有効なガス放散組成物中の残りのガスを保持する機会を提供する。代替方法として、ガス放散組成物と共に製剤化された食品に圧縮ガスを負荷し、すべての成分を混ぜ合わせ、相対的に低いかまたは中程度のガス圧力下で包装し、包装を開いて食品を再構成する前に組成物の開放内部空隙にガスが入るのに十分な時間を取ることにより発泡能力を増加させることができる。
【0085】
本明細書で提供される実施例において他に指定がない限り、圧力容器は加圧直後に閉じられたことが留意されるべきである。したがって、図1、2、および3に示す圧力は、初期圧力である。実施例1および2のSMP成分などの一部の組成物は、大きな開放内部空隙容量を有するため、容器内の初期圧力は、圧縮ガスが圧力容器から粒子空隙に流れ込むにつれて有意に降下することがある。理論により制約されることを望むわけではないが、このことは、図3におけるゼロ圧力(ゲージ圧力;1気圧の絶対圧力および周囲圧力に等しい)まで外挿された破線の傾向線が、加圧SMPを同じ重量の非加圧SMPで置き換えた比較カプチーノミックスの10mm泡立ち高さと交差しない理由を説明していると考えられる。
【0086】
一定圧力を維持するのに有効な貯蔵時間中の容器への圧縮ガスの補足的添加は、飲料泡立ち高さをさらに増加させ、より急勾配の外挿データ傾向線を生み出すと仮定した。この仮説を試験するため、ロット3SMPの追加試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、容器を窒素ガス源に開放しておくことにより5分にわたって1000psi(70.3kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散SMPの試料5.5gを実施例1aの方式に従ってカプチーノミックスに組み入れた(試料3h)。ミックスを、減圧から5分後に再構成した場合、42mmの初期飲料泡立ち高さが得られた。これは、容器を保持時間中に密閉した場合に得られる36mmの初期飲料泡立ち高さよりも有意に大きく(約17%も)、本発明のガス放散組成物の発泡能力をさらに増加させるのに有効な方法を示している。
【0087】
42mmおよび36mmの初期泡立ち高さを提供するガス放散SMP組成物のガス含有量は、熱水による再構成の時点で、それぞれ約17mL/gおよび約15mL/gであった。ガス放散SMP組成物の放出泡容量は、熱水による再構成の時点で、それぞれ約25mL/gおよび約22mL/gであり、一方、未処理SMPのそれは、約6mL/gにすぎなかった。したがって、本発明の方法は、この応用例において約4倍のガス含有量および放出泡容量を提供したこと、および望ましい場合に、これらの値をさらに増加させることができることが分かる。
【0088】
理論により制約されることを望むわけではないが、SMP粉末を加圧するための1250psi(87.9kg/cm2)より高いガス圧力の使用は、さらに高めの初期飲料泡立ち高さおよび組成物ガス含有量を提供することが予想される。例えば、ロット3のSMPについての図3の傾向線(勾配は0.016;y軸切片は20)を1500psi(105.2kg/cm2)、2000psi(140.6kg/cm2)、3000psi(210.9kg/cm2)、4000psi(281.2.2kg/cm2)、または5000psi(351.5kg/cm2)の初期ガス圧力まで外挿することは、それぞれ約44mm、52mm、68mm、84mm、および100mmの初期泡立ち高さ、ならびにそれぞれ約18mL/g、21mL/g、28mL/g、35mL/g、および41mL/gのガス含有量を予測するであろう。容器を窒素ガス源に開放したままでロット3のSMP粉末試料を1500psi(105.2kg/cm2)、2000psi(140.6kg/cm2)、3000psi(210.9kg/cm2)、4000psi(281.2.2kg/cm2)、または5000psi(351.5kg/cm2)の一定圧力まで加圧することは、それぞれ約51mm、61mm、79mm、98mm、または117mmの潜在的初期泡立ち高さ、ならびにそれぞれ約21mL/g、25mL/g、33mL/g、40mL/g、または48mL/gの潜在的ガス含有量などの高めの値を提供することが予想されるであろう。
【0089】
約1500psi(105.2kg/cm2)よりかなり大きなガス圧力利用は、本明細書に開示されている実験において利用される75mLの容器よりも高い定格圧力を有する厚めの壁の圧力容器の使用を必要とするであろう。しかしながら、そのような圧力容器は、容易に入手可能であり、付与高ガス圧力下での加熱および冷却のストレスに耐えるように特別に組み立てる必要はない。さらに、約40mmよりかなり大きい初期泡立ち高さを提供するガス放散組成物の利用には、ビーカーが溢れるのを防ぎ、組成物ガス含有量および放出泡容量を決定するための泡立ち高さの測定を可能にするために、250mLより大きいビーカーを使用するかまたは水および/または組成物重量を減らす必要があるであろう。
【0090】
【表2】
【実施例4】
【0091】
以下の実施例は、即席コールドデザートトッピングミックスから得られるオーバーラン容量を増加させるための本発明のガス放散組成物の有用性を示している。実施例2のロット3SMPの追加試料8.5gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、5分にわたって保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。
【0092】
即席デザートトッピングミックス(試料4a)を、53mmの内径を有する150mLのビーカー内で砂糖5.0gにこのガス放散組成物8.0gを加えることにより調製した。比較デザートトッピングミックス(試料4b)を、ガス放散SMP組成物を同じ重量の未処理SMPにより置き換えることを除いて、同じ方式に従って調製した。ガス放散SMP組成物を含有する即席デザートミックス(試料4a)は、各々を冷水(5℃)8mLで再構成し、攪拌して溶かした場合に、未処理SMPによる比較デザートミックス(試料4b)を上回って大きく増加した容量および粘度を提供した。ガス放散組成物によるビーカー内のトッピング高さは、約140%のオーバーランにおいて約60mmであり、一方、比較デザートミックスのビーカー内のトッピング高さは、約60%のオーバーランにおいて約40mmであった。さらに140%のオーバーランのデザートトッピングは、デザートトッピングとして使用するには理想的には適していない幾分軟らかすぎる質感を有していた60%のオーバーランの製品よりも優れた口当たりを持った優しいホイップクリーム様のスプーンにとることができる質感を提供した。別の比較デザートトッピング(試料4c)を、ガス放散SMP組成物を同じ重量の未処理高密度噴霧乾燥SMPで置き換えることを除いて、上記に記載されているように調製した。ミックスを冷水(5℃)8mLで再構成し、攪拌して溶かした場合、ミックスは、デザートトッピングとして使用するには適していない幾分水っぽい質感と共に本質的に0%のオーバーランにおいて25mmにすぎないトッピング高さを生じた。したがって、ガス放散SMP組成物の使用のみが、許容できる容量、オーバーラン、質感、および粘度を有する即席デザートトッピングを提供するのに有効であった。さらに高めのガス含有量を有するガス放散SMP組成物の使用は、さらに高めの容量およびオーバーランを有する即席デザートトッピングを提供することが予想されるであろう。
【実施例5】
【0093】
以下の実施例は、相対的に低い圧力において相対的に長い時間にわたって本発明のガス放散組成物に負荷する効果および無脂肪または脂肪含有即席カプチーノミックスから得られる泡立ち容量を増加させる能力を示している。実施例2のロット3SMPの追加試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで300psi(21.09kg/cm2)まで加圧し、直ちに150psi(10.55kg/cm2)まで排気し、密閉し、16日にわたって保持し、次いで、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。保持時間の間に、容器内の圧力は、150psi(10.55kg/cm2)から約90psi(63.27kg/cm2)まで降下した。理論により制約されることを望むわけではないが、このことは、主に、SMP材料中に存在する制限通路を通じて有意な部分のガスが内部粒子空隙へ相対的にゆっくりと移動したことに起因すると考えられた。このガス放散SMPの試料5.5gを、250mLのビーカー内で可溶性コーヒー粉末2.0gおよび砂糖4.0gと混ぜた(試料5a)。88℃の温度において水150mLで再構成すると、初期泡立ち高さが30mmの小さな気泡状泡立ちの即席無脂肪カプチーノ飲料が得られた。このことは、実施例2において得られた見掛け平衡データポイント(図3に示す)が、真の最終平衡を示すものではなかったこと、および長めの保持時間が、開放内部粒子空隙に移動する圧縮ガスの量をさらに増加させることができることを示している。ガス充填と損失は共に、対数速度の現象であるはずであり、見掛け平衡は、最終平衡の前に現れるであろう。
【0094】
したがって、相対的に長い時間にわたって相対的に低いガス圧力において粒子成分に負荷するこの方法は、プラスチック瓶または金属缶などの小さな密閉容器中にカプチーノミックスを包装し、約10気圧(約150psi)のガス圧力下で容器を密閉し、減圧および再構成する前に同様の(すなわち、約16日)、またはおそらくさらに短めの期間にわたって保持することにより泡立ち高さの同様の改善を生み出すために有利に使用することができるであろう。SMPは、場合により、カプチーノミックス中の他の成分とブレンドしかつ/または圧力下で包装する前に同じかまたは高めの圧力まで加圧することができるであろう。製品は、1回分か複数回分のどちらかで包装することができるであろう。いったん開けたら、複数回包装は、数日にわたって優れた発泡性能を維持しそうであり、1または2週超にわたって満足のいく性能を提供することがある。圧力下の包装は、ガス圧力を印加することにより、または少量の、例えば、液体窒素などの液化ガス、もしくは、ドライアイスなどの固化ガスを、例えば、密閉する前に包装中に入れることにより行うことができるであろう。
【0095】
同じ無脂肪カプチーノミックスにおいてガス放散SMPを同じ重量の未処理SMP出発材料と置き換えた比較ミックス(試料5b)を調製した。上記に記載されているように再構成すると、10mmにすぎない初期泡立ち高さを有する飲料が得られた。したがって、未処理SMP出発材料のガス含有量および放出泡容量は、それぞれほんの約4mL/gおよびほんの約6mL/gであった。したがって、SMP出発材料を、ガス放散組成物を提供するために開示されている条件下で圧縮ガスと接触させることは、ガス放散組成物を作成するためのSMPガス負荷中の相対的に低いガス圧力の使用にもかかわらず、熱水による再構成時に、未処理SMP出発材料に比べ、約3倍のガス含有量(約12mL/g)および放出泡容量(18mL/g)を提供するのに有効であった。
【0096】
当技術分野において知られている給食瓶を、大量の本発明のガス放散組成物を製造および貯蔵するための加圧システムとして使用することができる。バッグインボックスシステムの導入の前にシロップの分配および販売のためにソーダ製造者により広く使用されてきたCornelius樽(2.5または5ガロン容量の)は、伝えられるところによれば、100psi(70.03kg/cm2)圧力に耐えると評価されている。幾分高めの圧力定格の類似の樽は、粒子状成分に負荷し、本発明のガス放散組成物を製造するのにより有効であろう。粒子状成分は、製造設備においてガスで加圧し、次いで、給食瓶で顧客に分配することができ、または非加圧粒子状成分を含有する瓶を顧客に分配し、次いで、必要に応じて現場で加圧することができるであろう。
【0097】
本発明のガス放散組成物が特に有利である1つの応用例は、スチームドミルクを切り換えるためにコーヒー店およびレストランにおいて使用するのに有効な粉末状スキムミルク発泡剤を提供することである。1バッチの粉末を朝に現場で素早く加圧し、次いで、1日を通して使用することができるであろう。未使用の粉末は、1日または複数日後に再加圧し(すなわち、ガスを再充填し)、発泡能力を回復することができるであろう。例えば、適当な容器内の粉末を加圧するためのハンドポンプ、コンプレッサーまたはガスボンベを包含する安価な携帯用機器は、現場の処理を可能にするであろう。さらに、一部の注文対応のコーヒーメーカーは、有用な量のガスでこれらの材料を満たすのに十分な圧力を放出することができるが、加圧粉末の供給を提供するのに適合していることが必要であろう。
【0098】
本発明は、中程度の圧力下で瓶詰めされたかまたは缶詰にされた粉末からなる包装された消費者製品のまったく新しいカテゴリーの開発も可能にするであろう。例えば、ガス放散成分を含む1回分の即席のカプチーノミックスまたはホットココアミックスを、小さなプラスチックまたは金属の瓶中に包装し、ヘッドスペースの圧縮ガス下で密閉することができるであろう。圧縮ガスは、分配および貯蔵中に開放内部空隙に浸み込み、続く再構成により、泡立ち容量の大きな飲料が得られるであろう。2リットルのプラスチックソーダ瓶は、伝えられるところによれば、最高で約10気圧以上の圧力に耐えることができ、小さめの瓶は、さらに高めの圧力に耐えることができるはずである。プラスチックスクリューキャップ閉鎖を有するアルミニウム瓶も、より普及しつつあり、高圧に耐えるように製造することができるであろう。
【0099】
既存の圧力限界内で利用可能な容器において、本発明のガス放散組成物を使用して製剤化される即席カプチーノミックスなどの包装製品を使用し、消費者が好む現行の増強された泡立ち品質目標を満たすのに十分なように、未処理の従来の大気圧発泡剤粉末と共に製剤化される基準製品に比べて、発泡剤粉末ガス含有量および放出泡容量を少なくとも2倍、好ましくは、少なくとも約3倍、より好ましくは、少なくとも約4倍、潜在的には、さらに約5倍にすることができるであろう。また、異なる時間にわたってかつ/または異なる圧力までかつ/または異なるガスを使用して加圧されたガス放散組成物の混合物も、ガス損失の総合的速度、使用時の保有ガス含有量、および有用な保存期間をより良く制御するために製造することができるであろう。例えば、減圧直後の高めのガス含有量、貯蔵中および使用前のガス損失の遅めの速度、および/または長めの有用な貯蔵期間を有するガス放散発泡剤組成物、またはそれらを使用して製剤化された製品を提供するために、そのような措置を講じることができるであろう。
【実施例6】
【0100】
実施例2のロット3SMPの追加試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで150psi(10.55kg/cm2)まで加圧し、容器を窒素ガス源に開放しておくことにより7日にわたって150psi(10.55kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散SMPの試料5.5gを、65mmの内径を有する250mLのビーカー内で可溶性コーヒー粉末2.0g、砂糖4.0g、および非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末(50%脂肪)2.5gからなるカプチーノミックス(試料6a)に加えた。ガス放散SMPを同じ重量の未処理ロット3SMP出発材料で置き換えた比較カプチーノミックス(試料6b)を調製した。ミックスを、SMP減圧から3分後に250mLのビーカー内で88℃の水150mLで別々に再構成した。ガス放散組成物によるカプチーノミックス(約12mL/gのガス含有量を有する)は、28mmの初期泡立ち高さを生じた。これは、10mmにすぎない初期泡立ち高さを生じた未処理SMPによる比較カプチーノミックス(約4mL/gにすぎないガス含有量を有する)よりも大きく増加した。したがって、SMP出発材料をこれらの条件下で圧縮ガスと接触させることは、この応用例において約3倍のガス含有量および放出泡容量を提供するのに有効であった。
【0101】
したがって、入手可能な成分およびガス加圧機器を使用するこの実施例は、非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末(トラップされた圧縮ガスを含有する特許文献5の実施例2に記載されている組成物など)と従来の低密度ガス注入噴霧乾燥タンパク質含有発泡クリーマー粉末の組合せを使用して達成されてきた典型的には約25mmの飲料泡立ち高さを提供する商品化されたカプチーノミックスなどの増強された即席カプチーノ飲料泡立ち高さに匹敵するかまたはそれを超える能力を示す。ガス放散SMPを含有するカプチーノミックスは、組合せ発泡剤システムを含有するミックス(ガス放散組成物5.5gを非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末3.0gおよび発泡クリーマー粉末3.0gで置き換えることにより製剤化される)よりもわずかに低いレシピおよび粉末容量を有し、組合せ発泡剤システムを含有するミックスの粉末レシピまたは容量に匹敵するまで増量された場合にさらに幾分大きめの泡立ち容量を提供するであろう。
【0102】
基準とする非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末は、密閉内部粒子空隙内に圧縮ガスをトラップするために、粉末を圧力容器内に密閉し、窒素または他の適当なガスで、最高で約1000psiまでなどの高圧まで加圧し、粉末ガラス転移温度より高く加熱し、空隙を圧縮ガスで満たすために長時間にわたって保持し、次いで、容器を減圧する前に粉末ガラス転移温度より低くまで冷却することにより製造される、その中に存在する密閉内部空隙内に圧縮ガスをトラップするために後で処理されるガス注入噴霧乾燥炭水化物粉末である。そのような非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末は、典型的には、約20mL/gのガス容量を有するが、高めまたは低めであることもあり、典型的には、約15〜25mL/gの範囲である。
【実施例7】
【0103】
以下の実施例は、即席ホットココアミックスから得られる泡立ち容量を増加させる本発明のガス放散組成物の能力を示している。実施例2のロット3SMPの試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、20分にわたって保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散組成物のすべて6.0gを、250mLのビーカー内でBaker’s(商標)Hot Cocoaミックス29gと混ぜ合わせた(試料7a)。ミックスを、SMP減圧から4分後に、88℃の温度において水150mLで再構成すると、初期泡立ち高さが30mmのホットココア飲料が得られた。泡立ちは、クリーム状の硬さおよび主に微小な気泡サイズの外観を有していた。ガス放散SMPを同じ重量の未処理SMP出発材料で置き換えた比較ミックス(試料7b)を調製した。上記のように再構成すると、初期泡立ち高さが10mmにすぎずあまり望ましくない粗めの泡立ち外観の飲料となった。ガス放散SMPと未処理SMPのどちらも添加しない別の比較ミックス(試料7c)を調製した。このミックスを再構成すると、初期泡立ち高さが7mmにすぎずあまり望ましくない粗めの泡立ち外観の飲料が得られた。したがって、開示されている条件下でSMP出発材料を圧縮ガスと接触させることは、この応用例において約3倍のガス含有量および放出泡容量を提供するのに有効であった。さらに、ガス放散SMPおよび未処理SMPと共に製剤化された飲料は、これらの成分なしに製剤化された飲料に比較して改善された風味および口当たりを有していた。
【実施例8】
【0104】
以下の実施例は、淹れたコーヒー飲料上に泡立ち状トッピングを生じる本発明のガス放散組成物の能力を示している。実施例2のロット3SMPの試料9.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで500psi(35.15kg/cm2)まで加圧し、容器を窒素ガス源に開放しておくことにより10分にわたって500psi(35.15kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散組成物の試料8.0gを、内径が72mmの400mLのビーカー内で非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末(50%脂肪)4.0gと混ぜた(試料8a)。SMP減圧から3分後に、65℃の温度において淹れたてのコロンビアコーヒー150mLで再構成すると、初期泡立ち高さが24mmの白くなったカプチーノ飲料が得られた。泡立ちは、クリーム状の硬さおよび主に明るい色の微気泡サイズの外観を有していた。ガス放散SMPを同じ重量の未処理SMP出発材料で置き換え、同じ重量のコーヒーホワイトナー粉末と混ぜ合わせ、同じ容量の淹れたコーヒーを使用して同様に再構成した比較試料(試料8b)は、類似の明るい色の微気泡サイズの泡立ち外観で8mmにすぎない初期泡立ち高さを有する飲料を生じた。ガス放散SMPか未処理SMP出発材料のどちらかと共に製剤化された飲料は、淹れたコーヒー単独と比較した場合に改善された風味および口当たりを示し、有利には、良好なタンパク質およびカルシウム源と一緒に3分の1回分のスキムミルクの等価物を提供した。
【0105】
したがって、指示された条件下で加圧窒素ガスをSMPに負荷することは、この製品応用例において、再構成時に、3倍の有効ガス含有量および発泡能力を提供した。大きめの泡立ち容量は、望ましい場合、圧縮された窒素または他のガスをガス放散SMP組成物に負荷するのに使用されるガス圧力を増加させることにより得ることができるであろう。代替方法として、少量の水、淹れたコーヒー、ミルク、または他の液体を使用し、ガス放散SMP組成物、またはコーヒーホワイトナー粉末との混合物を再構成し、淹れたコーヒー飲料中に注ぐことができるかまたはその上にスプーンにとることができる別の泡立ち状トッピングを作成することができる。
【実施例9】
【0106】
内部空隙を含有する粒子を含むいくつかの代替非晶質粉末を、粉末の試料6.0gを75mLの容器に別々に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、密閉し、5分にわたって保持し、排気することにより減圧することにより、有効なガス放散組成物を提供するそれらの能力について同様に評価した。これらは、異なる供給業者から市販されている高密度(かさ密度0.40g/mL)、噴霧乾燥SMP(試料9a)、極めて高い表面積(108m2/g)およびミクロ多孔性構造を有する低密度(タップ密度0.24g/mL)凍結乾燥マルトデキストリン粉末(試料9b)、および低密度(0.09g/mL)噴霧乾燥即席茶粉末(試料9c)を包含した。同様に評価された内部空隙を含有する他の代替非晶質粉末は、特許文献5の実施例1、2、3、および11の低密度ガス注入噴霧乾燥非タンパク質粉末(試料9d)、特許文献4の実施例1および2の噴霧乾燥非炭水化物粉末(試料9e)、および特許文献7の実施例1、4、6、7、および8のコーヒー粉末(試料9f)を包含した。
【0107】
これらの代替粒子状成分はどれも、開示されている方法に従って加圧窒素ガスと接触させた場合に、ガス放散組成物の製造を支援しないことが分かった。それらを、加圧粒子状成分の試料5.5gを砂糖4.0gおよび50%脂肪非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末2.5gと混ぜ、65mmの内径を有する250mLのビーカー内で88℃において水150mLで減圧直後に混合物を再構成し、泡立ち高さを、加圧粒子状成分の代わりに等しい重量の未処理粒子状成分を用いた対応する基準ミックスのそれと比較することにより各々評価した。すべての場合において、対応する基準ミックスにより提供される初期泡立ち高さの約2倍を超える初期泡立ち高さの有意な増加は測定されず、ガス放出の証拠も観察されなかった。これらの加圧粒子状成分は、空の内部粒子空隙の開口部により提供されるものを超える測定可能な利点を提供しなかった。
【0108】
しかしながら、スキムミルク固形物(47%)、グルコースシロップ固形物およびラクトース(52%)、およびリン酸二ナトリウム緩衝液(1%)からなる低密度(かさ密度0.34g/mL)ガス注入噴霧乾燥非晶質粉末(異なる供給業者により製造された)(Friesland Foods;The Netherlands)は、有意に増加したSMP含有量まで適当に再製剤化されると、有効なガス放散組成物を提供する可能性を示した。理論により制約されることを望むわけではないが、0.34g/mLのかさ密度、1.49g/mLの材料密度、0.71g/mLの見掛け密度、および0.73mLのAIVV(52%AIVV)を有するこの非晶質SMP含有粒子状成分は、本発明の方法を使用して有効なガス放散組成物を潜在的に提供するために、SMPおよび/またはNFDMを少なくとも約60重量%、好ましくは、少なくとも約80重量%、より好ましくは、少なくとも約90重量%を含むように再製剤化されるべきである。
【0109】
このSMP含有粉末を、本明細書に実施例1に記載されている圧縮ガス負荷プロセスおよび泡測定方法に試料6.0gをかけることにより本発明の開発中に試験した。この製品応用例において、未処理粉末のガス含有量は、再構成時に、処理の後に約4mL/gから8mL/g未満まで増加することが観察された。別の試料6.0gを同様に加圧し、4日にわたって処理粉末を保持した後に評価した。貯蔵した処理粉末のガス含有量は、7mL/g未満の値まで、おそらくほんのわずかに減少するように見えた。本発明の好ましいSMPまたはNFDMに比較すると、この加圧SMP含有粒子状成分は、有意に低めのガス含有量および放出泡容量を提供し、空の内部粒子空隙の開口部により提供されるものを超える測定可能な利点を提供しなかった。
【実施例10】
【0110】
以下の実施例は、トラップされた圧縮ガスを含有する非タンパク質発泡性組成物の使用に比べて、本発明のガス放散組成物と共に製剤化された即席カプチーノ飲料の認知されるミルク状態および泡立ち安定性を増強する能力を示している。実施例2のロット3SMPの試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、2.5分にわたって1000psi(70.3kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。カプチーノミックス(試料10a)を、このガス放散組成物5.0gを、可溶性コーヒー粉末2.0g、砂糖4.0g、および非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末(50%脂肪)4.0gに加えることにより調製した。比較カプチーノミックス(試料10b)を、ガス放散組成物を等しい重量の、92%マルトデキストリンおよび8%ナトリウムオクテニルスクシネート置換修飾デンプン(乾燥ベース)を含有する窒素注入噴霧乾燥粉末を含む非タンパク質発泡組成物で置き換えることを除いて、同じ方式に従って調製し、続いて、特許文献5の実施例2に一般的に記載されている方法を使用してトラップされた圧縮ガスを負荷した(すなわち、粉末試料6.0gを圧力容器内で室温において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、60分超にわたって120℃の温度において容器を加熱することによりそのガラス転移温度より高く粉末を加熱し、室温まで容器を冷却し、開けることにより容器を減圧して圧縮ガスを放出させる)。各ミックスを、65mmの内径を有する250mLのビーカーに入れ、減圧から5分後に、88℃の温度において水150mLで再構成した。ガス放散組成物を含有するカプチーノミックスである試料10aは、再構成された場合に、32mmの初期飲料泡立ち高さを生じた。比較ミックスである試料10bも、再構成された場合に、32mmの初期飲料泡立ち高さを生じた。比較飲料と本発明のガス放散組成物を含有する飲料の双方の初期泡立ち高さを二つ組で測定し、泡立ち高さも、再構成後に最長10分にわたって経時的に測定し、泡安定性を比較した。下記の表3に示す結果により例示されるように、本発明のガス放散組成物により生じた泡立ちは、比較非タンパク質発泡性組成物により生じた泡立ちよりも有益に安定であり、有意に長めの半減期(すなわち、泡立ちが、その初期高さの2分の1(この実施例では16mm)まで減衰する時点)を提供した。
【0111】
複製カプチーノ飲料を、訓練された官能パネルにより評価し、各飲料の認知されるミルク状態を決定した。パネルを、まず、メンバーに、250mLのビーカー内で88℃の温度において生温かい液体全乳50mLおよび水100mLで再構成された可溶性コーヒー粉末2.0gおよび砂糖4.0gを含む基準飲料の外観を観察し風味を味わってもらうことにより較正した。全乳の使用は、本発明のガス放散組成物を含有する飲料と比較飲料の双方を製剤化するのに使用されるコーヒーホワイトナー粉末により付与される脂肪レベル(2.0g)よりも約15%高い(2.3g)脂肪レベルを基準飲料に付与した。全乳脂肪は、硬化ココナッツ脂肪(コーヒーホワイトナー粉末に含有されているような)ではなく乳脂肪を含有し、本発明のガス放散組成物(5.0g)とコーヒーホワイトナー(0.2g)の組合せにより与えられるのとほぼ同じ総レベルの無脂肪ミルク固形物(5.2g)を与えた。比較飲料は、分散した脂肪滴を安定化するために製造中にコーヒーホワイトナーを製剤化するのに使用されるカゼイン酸ナトリウム(タンパク質)のみにより与えられるかなり低めのレベルの無脂肪ミルク固形物(0.2g)を含有していた。
【0112】
基準飲料を使用し、可溶性コーヒーおよび砂糖を含有する熱飲料においてミルクはどのように認知されるかについて5名のメンバーからなる官能パネルを訓練した。較正の後に、パネルメンバーは、本発明のガス放散組成物を含有する飲料および非タンパク質発泡組成物を含有する比較飲料を評価し、直接比較した。飲料を、どの飲料がどの発泡組成物を含有しているについて知らせずに、パネルの前で調製した。パネルの各メンバーに、2つの飲料のうちのどちらが、よりミルク状の外観、質感、風味、後味、および口当たりを有していたかを示すように個別に尋ね、次いで、パネルの各メンバーに、どちらの飲料がよりミルク状であったかを示すように求めた。これらの官能評価を行った後に、パネルメンバーに、官能訓練または測定ではなく個人的選好のみを基準として、潜在的消費者としてどちらの飲料を飲みたいか、および相対的なそれらの選好度(軽度、中等度、または強度)を示すように求めた。表4に示す結果により例示されるように、パネルメンバーは、個人的にも集団的にも、本発明のガス放散組成物を含有する飲料が非タンパク質発泡剤を含有する比較飲料より明らかにミルク状であると評価した。2名のパネルメンバーは、本発明の組成物を組み入れた飲料よりも強いコーヒーインパクトを有していると認知したため、比較飲料に対して軽度の選好を表明した。他の3名のパネルメンバーは、よりミルク状のその属性のため、本発明のガス放散組成物を含有する飲料に対して中等度(2名のメンバー)の選好か強度(1名のメンバー)の選好のどちらかを表明した。数学的乗数(軽度=×1;中等度=×2;強度=×3)を使用してこれらの選好スコアに重み付けすると、比較飲料を上回る本発明のガス放散組成物を含有する飲料に対する明らかな総合的選好(3.5対1)が示された。
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【実施例11】
【0115】
以下の実施例は、本発明の粒子状成分およびガス放散組成物の物理的および構造的特性を特徴付けることができることを示している。実施例2のロット3SMPの別の試料を、圧縮ガスと接触させる前に走査電子顕微鏡(SEM)、水銀ポロシメトリー侵入、および窒素ガス吸着により分析し、粒子状成分の細孔構造に関連する情報を得た。
【0116】
図4A〜Fは、外部および内部表面ならびに細孔構造を示すSEM顕微鏡写真をまとめたものである。これらの画像は、粒子状成分が、内部および外部開口部および制限通路を通じて周囲の大気と間接的または直接的に連結している内部空隙からなる多孔性構造を有することを明らかに裏付けている。多くの内部空隙が複数の開口部および制限通路を通じて他の内部空隙と相互連結していることも分かる。より近くで調べると、隣接する内部空隙を隔てる多くの半透明な薄壁表面が存在することが分かる。理論により制約されることを望むわけではないが、そのような表面は、内部空隙と内部空隙の間ならびに粒子の中および外への、分子放出による圧縮ガスの移動を遅らせる1つまたは複数の見えないほど小さな制限通路により貫かれている可能性が最も高いことが考えられる。
【0117】
図5は、細孔平均直径の対数の関数として増分細孔容量をプロットする水銀侵入ポロシメトリーグラフである。分析データを下記の表5に示す。データは、制限通路と開放内部空隙の両方の存在を明らかに裏付けている。図5は、平均細孔直径の3つの異なる範囲、約3〜300μmに位置している最大直径範囲、約3〜20nmに位置している最小直径範囲、および約30〜2000nmに位置している中間直径範囲を明らかに示している。理論により制約されることを望むわけではないが、最大直径範囲は、ほぼすべてが内部空隙からなるが一部の開口部も包含し、最小直径範囲は、事実上すべてが制限通路からなり、中間直径範囲は、主に、開口部および制限通路からなるが、小さな内部空隙も包含する。実施例1のSMPロット1および実施例2のSMPロット2の試料の同様の分析は、一般的に、SMPロット3について得られたのと同じ傾向、すなわち、3つの異なる細孔平均直径範囲の存在を生じたが、わずかにから幾分異なる範囲スパンおよび関連する増分細孔容量を伴った。
【0118】
図6は、細孔平均直径の対数の関数として増分細孔表面積(この分析方法に関連する確立した関係を使用して細孔容量に関連付けることができる)をプロットする窒素吸着グラフである。分析データを下記の表6に示す。データは、極端に小さな制限通路の存在を明らかに裏付けている。図6は、水銀ポロシメトリーを使用して同定された3つの範囲の補足となる0.5〜2.8nm(約5〜28Å)に位置する別個の4番目の範囲の細孔平均直径の存在を明らかに示している。SMPロット1および2は、この方法を使用して分析しなかったが、一般的に同じ傾向をしめすと予想されるであろう。同じ分析は、SMPが、周囲温度においてあらゆる有意な量の物理的ガス吸着を提供するか、または物理的吸着により圧縮ガスを保持する粉末の能力を有意に増加させるにはあまりにも低すぎる約0.4m2/gの単層表面積を有することを示した。
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】
【表7】
【0122】
本発明を、好ましい実施形態に関して記載してきたが、本発明は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者に明らかな多くの修正および変更が可能であることは明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス放散組成物に関し、特に、粒子内の制限通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出することができる、粒子内の内部空隙内に保持された圧縮ガスを有するガス放散粒子組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法に関する。本発明のガス放散組成物は、例えば、可溶性ガス貯蔵および放出剤として使用することができ、それらが即席食品または飲料製品に組み入れられて液体で再構成される場合に、泡(foam)、泡立ち(froth)、または炭酸様組織(aerated texture)を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来どおりに調製された食品アイテムの多くは、泡立ちや泡を包む。例えば、カプチーノ、ミルクセーキ、および一部のスープは、泡立ちや泡を有することがある。従来どおりに調製された食品アイテムは、一部の消費者によって好ましいと見なされることがあるとはいえ、他の消費者は、調製された即席食品代替物に消費者の利便性を益々求めている。消費者の好みに便宜を図るために、製造者は、従来どおりに調製された食品アイテムと同じかまたは類似した特徴を有する即席食品アイテムを開発することにより製造された即席食品製品に、消費者が求める食品製品を彼らに与える即席食品製品を開発してきた。製造者にとっての1つの挑戦は、即席食品アイテムから、泡立ちや泡を有する食品製品をいかに製造するかである。
【0003】
先行する1つの解決法は、液体中で再構成した時点で泡を生成する粉末発泡組成物の使用をとおして泡立ちや泡を有する即席食品製品を製造するために使用した。発泡粉末組成物は、多種多様な食品および飲料に泡立ちや発泡組織を付与するのに使用されている。例えば、発泡組成物は、水、ミルク、または他の適当な液体と混ぜ合わせられた場合に、即席カプチーノおよび他のコーヒーミックス、即席清涼飲料ミックス、即席スープミックス、即席ミルクセーキミックス、即席デザートトッピング、即席ソース、ホットまたはコールドシリアルなどに泡立ちや発泡組織を付与するのに使用されている。
【0004】
発泡組成物を製造するための1つの先行方法は、炭水化物、タンパク質、およびトラップされた圧縮ガスを含有するマトリックスからなり、組成物を圧力容器内で圧縮ガスと接触させながらガラス転移温度より高い温度に加熱し、次いで、ガス圧力の迅速な放出または冷却により急冷し、組成物の温度を組成物のガラス転移温度未満に低下させることにより製造され、マトリックス中に存在する閉鎖細孔からの圧縮ガスの損失を防ぐ、粉末状可溶性発泡剤を製造するための方法を開示する特許文献1により提供される。組成物をガラス転移温度より高い温度に加熱することは、包装食品の外観、風味および保存期間に有害な影響を及ぼすことのできる望ましくない非酸化的褐変(メイラード)反応に導くことができる。また、圧力容器の内部で組成物をそのガラス転移温度より高く加熱することは、典型的には、高度に特殊化した機器、長引く処理時間、および実質的なエネルギーの使用を要求し、それらはすべて、機器および製造のコストを不利に増加させ、製造速度を実質的に減少させる。
【0005】
特許文献2は、発泡組成物を製造するための別のプロセスを開示し、ここに、タンパク質組成物を、加圧容器内で、組成物のガラス転移温度より高い温度で圧縮ガスによりガス化し、続いて、急冷または冷却によって、ガラス転移温度未満まで組成物の温度を低下させ、そしてマトリックス中に存在する閉鎖細孔からの圧縮ガスの損失を防ぐ。発泡組成物は、好ましくは、炭水化物ポリオールまたは糖アルコールなどの可塑剤を含有し、その中に開示されているすべての実施例の基礎を形成する発泡組成物は、5重量%のレベルで炭水化物グリセロールを含有する。
【0006】
特許文献3は、炭水化物ベースの医薬品または食品の錠剤または粉末を形成するための方法を開示し、該方法は、可溶性コーヒー、発泡粉末、砂糖およびクリーマーなどの飲料基剤を含む錠剤または粉末に、圧力およびガラス転移温度より高い温度をかけ、水と接触したときの溶解性または分散性を増加させた錠剤または粉末を製造することを包含する。加えて、錠剤または粉末を圧力容器内にある間にガラス転移温度より高い温度で圧縮ガスにさらし、続く、ガラス転移温度未満まで温度を低下するための効果的な急冷または冷却により、圧縮ガスが錠剤または粉末中に存在する閉鎖細孔内に捕捉され、水との接触において錠剤または粉末の溶解または分散が促進される、錠剤または非発泡性粉末の溶解または分散を促進する方法が開示されている。
【0007】
特許文献4および5は、それぞれ、非炭水化物および非タンパク質の発泡性組成物を形成するための方法を開示し、それぞれ、タンパク質または炭水化物の粒子が、加圧容器内でガスにより加圧され、ガラス転移温度より高い温度まで加熱され、ガラス転移温度未満の温度まで冷却され、そして減圧され、粒子中に存在する複数個の密閉内部空隙内に圧縮ガスが効果的に捕捉される。これらの方法は、タンパク質と炭水化物の両方を含有する他の組成物よりも処理中に褐変および異臭の形成に影響されにくい炭水化物非含有またはタンパク質非含有発泡性組成物を提供するが、これらの方法は、特殊化された機器、加熱および冷却の適用、ならびに長い処理時間を必要とする。
【0008】
特許文献6は、増加された発泡能力を有する粉末可溶性発泡性組成物を製造するための方法を開示し、該組成物は、その開放内部空隙内に保持された大気圧ガスを有する非晶質粒子を含む。この方法は、組成物の空の内部空隙の一部が大気に開放され、そして大気圧ガスで満たされるように、密閉された空の内部空隙を有する非晶質粒子を含む粉末可溶性噴霧乾燥組成物に外部ガス圧力を付与し、そして組成物を減圧することを包含する。この方法は、加熱または冷却することなく迅速に処理できる利点を有するけれども、粒子内に圧縮ガスを捕捉せず、閉鎖細孔または密閉内部空隙内に圧縮ガスをトラップする方法に従って製造されるものと比較して組成物の発泡能力を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,713,113号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/019699号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0026836号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0040033号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0040034号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0040023号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0040038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既存の方法は、発泡性の食品および飲料添加物を製造するのに使用できるけれども、現行方法の欠点なしに大量の圧縮ガスを保持しそして解放するのに使用することができる発泡組成物を製造するための方法への要求が残っている。例えば、既存の方法は、標的組成物をガラス転移温度より高い高温にさらし、それは組成物の褐変をもたらし、そして異臭を生じさせるであろう。さらに、既存の方法は、閉鎖細孔または密閉内部空隙中に捕捉された圧縮ガスを有する組成物を提供するが、捕捉された圧縮ガスの容量は、輸送および取扱中に組成物が被る損傷、即席食品や飲料混合物中の水分との接触、または大気水蒸気への暴露などから、時間と共に減少することがあり、これらの組成物を、加熱および冷却を要求することなしに、従来の加圧機器を使用する大規模で、簡単にかつ迅速に製造することはできない。さらに、既存の組成物は、特に、製造設備を離れた後に、都合良く再充填できる圧縮ガス源を提供しない。
【0011】
本発明の実施形態の以下の説明から明らかなように、本発明は、他の要求および有益性と同様に、これらの要求を満たすのに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、一態様によれば、本発明は、外部表面を有する粒子、粒子内に複数の内部空隙、粒子内に複数の制限通路、および第2の高圧で内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を提供する。制限通路は、内部空隙と外部表面との間のガス伝達を提供し、制限直径を有する。制限直径は、(1)粒子を第1の高圧において食用ガスと接触させたとき、制限通路を通して食用ガスを外部表面から内部空隙内に通過させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を提供し、そして(2)粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内のガスを第2の高圧において内部空隙から制限通路を通してゆっくりとかつ制御可能に脱出させる。第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい。第2の高圧において食用ガスを含有する内部空隙を有する粒子は、水性媒体と接触したときに、速やかに溶け、それによって、内部空隙から水性媒体中に食用ガスを放出し、水性媒体に泡、泡立ち、または炭酸様組織を提供する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、外部表面、粒子内の複数の内部空隙、粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子、および内部空隙と外部表面との間のガス伝達で第2の高圧において内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を製造するための方法が提供される。この方法は、外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、および粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子を含む可溶性のガス注入噴霧乾燥粒子成分を、食用ガスが外部表面から内部空隙内に制限直径通路を通過するように、第1の高圧において周囲温度で食用ガスと接触させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を調製すること、次いで、粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内の食用ガスを内部空隙内の食用ガスを内部空隙から制限通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出させることを含む。第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カプチーノ混合物貯蔵時間に対して図表化された飲料の初期泡立ち高さを示す表である。
【図2】カプチーノ混合物貯蔵時間の自然対数に対して図表化された飲料の増加初期泡立ち高さを示す表である。
【図3】カプチーノ飲料初期泡立ち高さに対する粒子成分ガス負荷圧力および時間の効果を示す表である。
【図4A】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4B】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4C】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4D】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4E】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4F】圧縮ガスを負荷する前の粒子成分の外部および内部表面ならびに細孔構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図5】水銀ポロシメトリー侵入分析を使用して得られた平均細孔直径分布に対して図表化された、図4A〜4Fに示す粒子成分についての増分細孔容量を示す表である。
【図6】窒素ガス吸着分析を使用して得られた平均細孔直径分布に対して図表化された、図4A〜4Fに示す粒子成分についての増分細孔表面積を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ガス放散組成物、特に、それらの細孔構造内に保持されている圧縮ガスを有する粒子を含むガス放散粒子組成物に向けられる。本発明の一態様によれば、外部表面を有する粒子、粒子内に複数の内部空隙、粒子内に複数の制限通路、および第2の高圧で内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を提供する。制限通路は、内部空隙と外部表面との間のガス伝達を提供し、制限直径を有する。制限直径は、(1)粒子を第1の高圧において食用ガスと接触させたとき、制限通路を通して食用ガスを外部表面から内部空隙内に通過させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を提供し、そして(2)粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内のガスを第2の高圧において内部空隙から制限通路を通してゆっくりとかつ制御可能に脱出させる。第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい。第2の高圧において食用ガスを含有する内部空隙を有する粒子は、水性媒体と接触したときに、速やかに溶け、それによって、内部空隙から水性媒体中に食用ガスを放出し、水性媒体に泡、泡立ち、または炭酸様組織を提供する。
【0016】
本明細書で使用する「細孔構造」は、粒子の複数の内部空隙を指し、そして「内部空隙」は、周囲の大気に直接的または間接的に連結された粒子の開放細孔としても知られている開放内部空隙を指し、そして粒子内で、亀裂、穴、細孔など、および/またはそれらの組合せなどのような通路または開口部により、お互いと相互連結もしていてもよく、そのような開口部の少なくとも一部は、分子放散のプロセスを介して、それらからの圧縮ガスの脱出を実質的に妨害するのに十分な小さな直径を有する。本明細書で使用する「閉鎖内部空隙」という用語は、「密閉内部空隙」または「閉鎖細孔」としても知られており、周囲の大気に連結されていない粒子の内部空隙または細孔を指す。
【0017】
粒子内に存在する開口部の少なくとも一部は、好ましくは、制限通路である。すなわち、それらは、内部空隙の少なくとも一部の直径よりも実質的に小さい(すなわち、約10分の1、好ましくは、約100分の1、より好ましくは、約1000分の1の寸法)。制限通路は、内部空隙の少なくとも一部からのガス分子の移動を遅らせ、粒子細孔構造からの少なくとも一部の圧縮ガスの脱出を実質的に妨害するのに有効である。不均一な断面を有する制限通路において、最も狭い断面直径は、ガス分子移動速度を支配する制限因子である。本明細書で使用する開口部、制限通路、またはオリフィスの寸法を記載するための「直径」という用語の使用は、断面直径を意味する。
【0018】
制限通路の少なくとも一部は、約1マイクロメートル(μm)未満、より好ましくは、約0.1μm未満、最も好ましくは、約0.01μm未満、場合により、約0.001μm未満である直径を有することが好ましい。0.001μmの直径は、1ナノメートルまたは10オングストローム(Å)に等しく、大気中に存在するものなどの多くのガスの有効分子直径、またはいわゆる動的直径もしくは衝突直径よりもわずかに大きいにすぎない。例えば、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、窒素、酸素、二酸化炭素、および亜酸化窒素の分子直径は、約2〜5Åの範囲である。
【0019】
少なくとも一部が制限通路を通じて周囲の大気と直接的または間接的に連結している開放内部空隙は、一般的に、約0.01〜2000μm、より好ましくは、約0.1〜1000μm、最も好ましくは、約1〜100μmの範囲に好ましい直径を有する、球形の形状を有することができるが、他の形状および/または直径を有する内部空隙も期待される。個々の粒子も、一般的に、約0.5〜5000μm、より好ましくは、約1〜1000μm、最も好ましくは、約5〜500μmの好ましい直径を有する球形を有することができるが、他の形状および/または直径を有する粒子も期待される。本明細書に負荷するとも参照される、圧縮ガスを粒子に充填するプロセスは、典型的には、粒子の形状または直径を実質的に変えないが、粒子中の開口部および/または制限通路の数および/または直径を増加させてもよい。加圧された粒子が速やかに脱圧される場合などの一部の場合において、一部の粒子は、細孔構造の内部表面上のガス分子により及ぼされた不均衡な力の突然の発生の結果としてある大きさに断片化してもよい。
【0020】
本明細書で使用する「ガス放散」という用語は、粒子の内部空隙中に存在するガス分子が、ガス放散の確立した原理に一般的に従って、ゆっくりとかつ制御可能に内部空隙中の開口部を通じて放散することを意味する。当業者に知られているように、ガスの動的理論に従って、理想気体の放散の速度は、ガスの圧力、温度、および分子量、そのガスを囲んでいる容器の容量、ならびに容器中の開口部の面積に関連付けられる。放散の速度が、単位時間(t)当たりに容器から、面積Aを有する開口部を通じて脱出するガスのモル数(N)として表される場合、この速度は、tの変化(dt)当たりのNの変化(dN)として表すことができる。この速度は、dN/dt=A(Pi−Po)/(2πMRT)0.5から得ることができ、ここに、Piは、容器内のガス圧力であり、Poは、容器外のガス圧力であり、πは、数学的定数パイ(3.14)であり、Mは、ガスの分子量であり、Rは、理想気体定数であり、Tは、温度である。容器から放散することができるガスのモル数(N)は、N=V(Pi−Po)/RTとして表される理想気体式から得ることができ、ここに、Vは、容器の容量である。これらの式は、一般的に、本発明の粒子組成物からのガスの放散の速度および持続時間に適用される。しかしながら、AおよびPiに対する値は、粒子組成物について容易には測定されず、結果として、ガス放散の速度および持続時間は、実験を介して得られる。Piは、粒子組成物に付与された外部ガス圧力が解放された後に時間と共に連続的に減少し、一般的に指数関数的速度でPoに近づくので、粒子組成物からのガス放散の速度は、一般的に、容器中のガス圧力(Pi)が周囲の大気または真空中のガス圧力(Po)と平衡に達するまで、時間と共に指数関数的に減少する。
【0021】
しかしながら、物理化学の分野において、ガス放散はガス拡散の理想化された形式であることが留意されるべきであり、この形式のガス拡散は、無視できるほどの長さを有する小さなオリフィスを通した単一ガス分子の連続的な流れによって一般的に証明され、オリフィス内にある間に、他のガス分子やオリフィス壁との衝突なしに、より高い内部とより低い外部のガス圧力の間の相対的に小さなガス圧力降下を越えて起きる。かくして、それらの関係は、理想的条件下の理想気体の挙動に基づいて展開されてきたので、本発明の組成物のガス放散挙動は、ガスの動的理論から導かれる物理的−化学的関係に正確に従うことを期待することができない。本発明において典型的に用いられる高圧は、ガスを理想的挙動から有意に逸脱させる原因となることができる。また、本発明の組成物は、典型的には、内部空隙、開口部、および制限通路直径の広い範囲により特徴付けられた複雑で不均一な細孔構造を有する。さらに、制限通路は、長いかまたは曲がりくねった細孔もしくはその中に存在する他のものおよび/または周囲の壁と衝突するガス分子を許容する一様でない表面を有する亀裂として存在してもよい。
【0022】
多くの例において、あらゆる非制限通路を通じて大気と連結している内部空隙内に保持されている圧縮ガスは、実質的に妨害されることなく迅速に脱出することができるので、本発明の加圧粒子成分は、脱圧直後の比較的短い期間(すなわち、数秒または数分)の間に、バルクフロー(すなわち、いわゆるマスフロー、粘性流、または乱流)の確立された原理により一般的に従う方法でガス分子を最初に放出するであろう。ガスのこの相対的に短寿命の初期放出は、典型的には、分子放散に迅速に移行するであろうし、分子放散は、次いで、かなり長い期間にわたって見られるであろう。実際に、そのような場合において、分子放散への移行は、典型的には、粒子内に保持されているガスの含有量および粒子からのガス損失の速度を測定するのに必要とされる時間よりも速く起きる。
【0023】
ガス放散の速度は、主に、粒子の細孔構造により支配され、一般的に、内部空隙を周囲の大気に連結している開口部および制限通路の直径、数、および/または容量が減少するにつれて減少するであろう。粒子が、必要とされる細孔構造を有していない場合、分子放散は起きないか、極めて短期間にのみ起きるかのどちらかであり、発泡剤としての組成物の有用性を大幅に制限するであろう。ガス放散の速度および持続時間は、圧縮ガスを細孔構造に充填するのに使用されるガス圧力および時間などの処理条件によると同様に、内部空隙の直径、数、および/または容量、制限通路容量に対する内部空隙容量の比、および制限通路開口部総面積などの粒子成分の他の物理的特性により様々な程度まで影響されることができる。
【0024】
ピンホールを有する容器などのモデルシステムにおけるガス放散の発生は、容器中に存在するガス分子の平均自由行程(衝突と衝突の間に移動する平均距離)が、ピンホールの直径に比較して大きく、容器の直径に比較して小さい場合に有利になることが知られている。これらの条件は、容器の壁およびピンホールとのガス分子の衝突頻度を減少させ、ガスが容器から脱出する速度を妨げる役割を果たす。理論により制約されることを望むわけではないが、本発明の組成物によるガス放散は、粒子組成物の細孔構造内に存在するガス分子の平均自由行程と比較して相対的に小さい少なくとも一部の制限通路直径、および相対的に大きい少なくとも一部の内部空隙直径の存在により同じように有利になると考えられる。
【0025】
異なる条件下の異なるガス分子の平均自由行程は、ガスの動的理論に基づいて確立された関係を使用して推定することができる。平均自由行程は、一般的に、ガス圧力が減少するにつれて、およびガス分子量が増加するにつれて増加する。本発明の粒子状組成物中にガスを負荷するのに典型的に使用される相対的な高圧において、ガス分子の実質的に短縮された平均自由行程は、ガスが制限通路の少なくとも一部を通じて内部空隙に流入する速度を増加させ、必要とされるガス負荷時間を有利に短縮することができる。逆に、組成物を減圧した直後に見られる短縮された平均自由行程は、ガス圧力を低下させて平均自由行程を長くするのに十分な期間の後に起きるよりも速い速度の粒子からのガス損失を生じることがある。結果として、ガス放出の速度は、減圧後に、指数関数的速度で、着実に減少する。
【0026】
モデル放出システムにおけるガス分子は、ピンホールと直接「衝突し」、容器から脱出するまで、他の分子および容器の内部表面と衝突することが知られている。この場合も、理論により制約されることを望むわけではないが、この機構は、一般的に、ガス分子が、開口部または制限通路と直接「衝突して」内部空隙から周囲の大気に脱出するまで他のガス分子および内部空隙の表面と衝突することを除いては、本発明のガス放散組成物で見られると考えられる。さらに、本発明の組成物中に存在する内部空隙は、高度に相互連結しているため、ガス分子は、潜在的に多数の内部空隙間で、おそらくある程度は分子放散に加えてバルクフローのプロセスにより、開口部および制限通路を通じて交換されることができ、また、ガス分子を細孔構造内に取り込むであろう得られた迷路様経路は、ガス分子が粒子表面上の外部開口部または制限通路から最終的に脱出する場合に測定されるように、放散の速度を有利に遅らせることができると信じられる。
【0027】
したがって、制限通路は、内部空隙内に保持されているガス分子の直径の約2から約5000倍の範囲、より好ましくは、約2から約500倍の範囲、最も好ましくは、約2から約50倍の範囲の直径を有することが好ましい。内部空隙内に保持されたガス分子に関して、「保持された」という用語は、ガスが、粒子の開放内部空隙中に存在し、所与の十分な時間を与えられれば内部空隙を出入りすることができることを意味する。本発明の実施形態による粒子組成物中にガスを負荷した後に、粒子中に存在するガスの大部分は、周囲の大気と連結している粒子の開放内部空隙中に保持された圧縮ガスであることが好ましい。粉末中に存在するであろう任意のガスの残部は、主に、水溶液のガス注入噴霧乾燥によるような粒子の製造により閉鎖内部空隙中に捕捉される非圧縮ガスである。
【0028】
本明細書で使用する「構造」、「粒子状構造」、「粒子構造」、または「粉末構造」という用語は、大気と相互連結しておりかつ/または大気に開放されている多数の内部空隙を含有する構造を意味する。「細孔構造」という用語は、それらのすべてが大気に開放されており、少なくともある程度、お互いと相互連結していることがある内部空隙、開口部、および制限通路を含有する構造を意味する。細孔構造内に存在する内部空隙は、液体に粒子を溶かすと気泡として放出され、泡、泡立ち、炭酸組織、または他の有益性を生み出す大容量の圧縮ガスを保持することができる。「非晶質」という用語は、大部分が非結晶性であるガラス状構造を意味する。
【0029】
「粉末可溶性発泡組成物」、「粉末発泡組成物」、「粒子発泡組成物」または「発泡組成物」という用語は、液体、特に、水性液体中で溶解するか、または崩壊し、そのような液体との接触で泡または泡立ちを形成するかまたは炭酸様組織を形成するいかなる粒子組成物をも意味する。
【0030】
「周囲温度」という用語は室温を意味し、典型的には約18〜30℃の範囲であるが、高めまたは低めであってもよい。周囲温度は、たとえ実際の室温がわずかに高めかまたは低めであったとしても、本明細書で実施されるように、科学実験では「25℃において」と記録されることが多い。「大気圧」という用語は、天気および高度によってわずかに変わることがある、海面位での1気圧に等しい周囲圧力を意味する。「圧縮ガス」という用語は、周囲圧力より大きな圧力まで圧縮されたガスを意味し、超大気圧ガスとしても知られている。
【0031】
本発明に従って好適に使用することができるガスは、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、空気、アルゴン、酸素、ヘリウム、水素、またはそれらの混合物から選択することができる。窒素が好ましいが、その他の食品用ガスを使用し、粉末に外部ガス圧力を付与することができる。食品で使用することが認可されていないガスを使用し、消費が意図されていない本発明の組成物を製造することができる。また、特定の製品応用例において、炭化水素ガス、食用冷媒ガス、ハロゲン化炭化水素、またはそれらの混合物などの代替ガスを使用して粒子成分を加圧することが望ましいことがある。これらのガスの一部は、一般の大気ガスよりもかなり高い分子量を有してもよく、その結果、他の有益性に加えて、組成物からの有意に遅めの放出速度を提供することができる。代替ガスの非制限な例は、プロパン、Freon115、およびFreon318を包含するであろう。
【0032】
本発明のガス放散組成物は、粒子成分の物理的特性、その中に保持されているガスの圧力および組成、貯蔵温度、および包装方法に応じて、数分から数年の範囲の所定の期間にわたって有用な容量の圧縮ガスを保持することができる食用材料で形成されることが好ましい。場合により圧縮ガス下で包装することを包含する処理および包装方法を容易に制御し、様々な製品応用例に特に適合している貯蔵期間を有する、本発明の発泡組成物を含有する即席の食品および飲料ミックスなどの本発明のガス放散組成物またはそれらの混合物を提供することができる。処理は、製造設備などにおけるような大きい規模で、もしくは、製品が消費、販売、または配送される小売店または外食店などにおけるようなより小さい規模で行うことができる。
【0033】
粒子成分は、炭水化物、タンパク質、および/またはそれらの混合物を包含する様々な形態であってよい。1つの好ましい形態において、粒子成分は、非晶質構造を有し、低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)を含む。本明細書で使用する「スキムミルク粉末」および「SMP」という用語は、乾燥スキム(脱脂)ミルクを含む粒子成分を意味し、これらの用語は、スキムミルク粉末、無脂肪ドライミルク(NFDM)粉末、またはそれらの混合物を包含する。SMPおよびNFDM粉末は、典型的には、類似の組成を有しているが、前者は、少なくとも34重量%のタンパク質を有していなければならず、後者は、規定されておらず、典型的には、34〜37重量%のタンパク質を有していることから、わずかに異なるタンパク質含有量を有していてもよい。SMPおよびNFDMという用語は、互換的に使用されることが多く、どちらの名称も、同じ粉末について記載するのに使用されることが多い。本発明において使用されるものなどのSMPおよびNFDM粉末は、典型的には、約1重量%の分散残留乳脂肪を含有するが、正確なレベルは、重要ではなく、高めかまたは低めであってもよい。
【0034】
他の適当なガス放散組成物は、SMPおよびNFDM粉末のそれよりも高い脂肪レベルを有する低密度ガス注入噴霧乾燥ミルク粉末から製造することができる。しかしながら、そのような粉末は、酸化および異臭の形成をより受けやすいことがあり、風味品質を落とし保存期間を短縮することがある。さらに、適当なガス放散組成物は、好ましいSMPおよびNFDM組成物中に見いだされるレベルに匹敵するかまたはそれらのレベルより大きい乳漿およびカゼインレベル、または総タンパク質レベルを有し、スキムミルクまたはミルクから製造されるミルクタンパク質濃縮物および/または単離物を使用し、乾燥する前に、製剤化された低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルクまたはミルク粉末から製造することができる。
【0035】
本明細書で使用する「低密度粉末」という用語は、好ましくは、約0.35g/mL未満、より好ましくは、約0.30g/mL未満、最も好ましくは、約0.25g/mL未満、場合により、約0.20g/mL未満のかさ密度を有する粉末を意味する。好ましい形態において、低密度ガス注入噴霧乾燥粒子成分は、水分を包含する総重量を基準として、好ましくは、少なくとも約60%、より好ましくは、少なくとも約80%、さらにより好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、約100%のSMPおよび/またはNFDMを含むように製剤化される。好ましい形態において、100%SMPおよび/またはNFDMではない粒子の任意の部分は、任意の炭水化物噴霧乾燥担体(すなわち、増量剤)、補足的タンパク質源、機能性成分、界面活性剤、緩衝剤、および/またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0036】
粒子組成物を製剤化するのに使用することができる適当な任意の炭水化物噴霧乾燥担体は、例えば、糖、多価アルコール、糖アルコール、オリゴ糖、多糖、デンプン加水分解生成物、ガム、可溶性繊維、修飾デンプン、修飾セルロース、およびそれらの混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。適当な糖は、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、マンノース、トレハロース、およびマルトースを包含する。適当な多価アルコールは、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール、およびポリエチレングリコールを包含する。適当な糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、およびキシリトールを包含する。適当なデンプン加水分解生成物は、マルトデキストリン、グルコースシロップ、コーンシロップ、高マルトースシロップ、および高フルクトースシロップを包含する。適当なガムは、キサンタン、アルギネート、カラギーナン、グアー、ゲラン、ロカーストビーン、および加水分解ガムを包含する。適当な可溶性繊維は、イヌリン、加水分解グアーガム、およびポリデキストロースを包含する。適当な修飾デンプンは、水に溶解性であるかまたは分散性である物理的または化学的修飾デンプンを包含する。適当な修飾セルロースは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。
【0037】
粒子組成物を製剤化するのに使用することができる好適な任意の補足的タンパク質源は、例えば、ミルクタンパク質、大豆タンパク質、卵タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、小麦タンパク質、および加水分解タンパク質を包含する。適当な加水分解タンパク質は、加水分解ゼラチン、加水分解コラーゲン、加水分解カゼイン、加水分解乳漿タンパク質、加水分解ミルクタンパク質、加水分解大豆タンパク質、加水分解卵タンパク質、加水分解小麦タンパク質、およびアミノ酸を包含する。
【0038】
処理、栄養価、風味、または外観を強化することができる任意の機能性成分は、粒子組成物を製剤化するのに使用することができ、有機および無機塩、界面活性剤、乳化剤、植物化学物質、栄養添加物、流動剤、人工甘味料、保存剤、着色料、および一部の香料を包含することができるが、これらに限定されるものではない。脂質は、脂肪、油、硬化油、エステル交換油、リン脂質、ワックス、ステロール、スタノール、テルペン、および野菜、乳製品、または動物源に由来する脂肪酸を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の粒子組成物は、周囲圧力下で完全密閉型ではない閉鎖容器中に貯蔵される場合に、好ましくは、約1日を超える、より好ましくは約1週を超える、さらにより好ましくは、約1カ月を超える、最も好ましくは、約1年を超える期間にわたってある容量の圧縮ガスを保持することができる、制限通路を通じて大気および粒子の表面と直接的または間接的に連結している複数の内部空隙を有する適当な粒子状構造および細孔構造を提供するのに有効な任意の方法により製造することができる。
【0040】
1つの好ましい形態において、水溶液の従来型ガス注入噴霧乾燥を使用し、粒子状組成物を製造する。ガス注入をしない水溶液の噴霧乾燥は、典型的には、相対的に小さな内部空隙容量を有する粒子状組成物を生じる。ガス注入噴霧乾燥は、噴霧乾燥機に移送する前かまたは噴霧乾燥中のどちらかに、任意の有効なガス分散方法を使用してガスまたは圧縮ガスを水溶液中に分散させる(水溶液に溶解されているか、および/または噴霧乾燥機から回収される乾燥固形物1キログラム当たり約1〜6、より好ましくは、約2〜4リットルのガスの比を提供することが好ましい)ことにより行うことができる。したがって、ガスは、水溶液のバッチ中に注入されてもよいが、噴霧乾燥機に達する前に、混合または均質化と併せてインラインで連続的に注入されることが好ましい。代替方法として、ガスおよび水溶液の2つ以上の別々の流れを、噴霧乾燥機ノズルもしくは噴霧器においてかまたはその中のどちらかで混ぜ合わせることができる。適当なガス組成物、ガス対溶液比、ガス注入方法、ガスおよび溶液の流速、ガスおよび溶液の圧力、溶液温度、および噴霧乾燥機の入口および出口の温度は、ガス注入噴霧乾燥の当業者により容易に決定することができる。窒素ガス(N2)が好ましいが、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素、またはそれらの混合物を包含するその他の食品用ガスをガス注入のために使用することができる。
【0041】
本発明のガス放散組成物を形成するのに使用される特に好ましいSMP組成物は、従来型ガス注入噴霧乾燥を使用して製造される。これらの粒子状組成物は、噴霧乾燥後にいかなる圧縮ガスも含有せず、それらの本来の形態で従来型低密度発泡剤粉末としてのみ機能する。有利には、圧縮ガスを保持し、本発明のガス放散組成物の製造を可能にするに特に適している細孔構造を予想外に有する、本発明者らが発見した好ましい粒子組成物を製造するのに特別な技法は必要ではない。
【0042】
場合により、本発明の粒子組成物は、噴霧乾燥中に気泡形成および内部空隙の作成を改善するために1種または複数の界面活性剤を使用して製剤化することができる。適切なレベルにおける適当な界面活性剤の使用は、内部空隙の相対的なサイズ、数、および容量に影響を及ぼすことがある。適当な界面活性剤は、ポリソルベート、スクロースエステル、ステアロイルラクチレート、モノ/ジ−グリセリド、モノ/ジ−グリセリドのジアセチル酒石酸エステル、およびリン脂質などの食品認可された乳化剤を包含する。加えて、アラビアゴム、アルギン酸プロピレングリコール、およびオクテニルスクシネート置換デンプンなどの親油性修飾食品デンプンを包含する一部の炭水化物は、界面活性である。
【0043】
場合により、本発明の粒子組成物は、噴霧乾燥および液体中の再構成を容易にするための1種または複数の緩衝剤を使用して製剤化することができる。適切なレベルにおける適当な緩衝剤の使用は、粉末溶解および製品泡立ち属性を改善しつつ十分な粒子内部空隙容量を提供することができる。本発明において使用される好ましい緩衝剤は、有機または無機酸の塩である。すでに述べた有益性を提供する他に、これらの緩衝剤は、酸性飲料などの特定の製品応用例におけるタンパク質の凝集または変性に対する抵抗性も改善する。最も好ましい緩衝剤は、有機酸のナトリウムおよびカリウム塩である。適当な緩衝剤は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、およびリン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明のガス放散組成物を製造するのに使用される粉末は、外部ガス圧力を受ける前に、約0.1〜0.4g/mL、より好ましくは、約0.2〜0.3g/mLの範囲のかさ密度およびタップ密度、約0.3〜1.1g/mL、より好ましくは、約0.4〜1.0g/mL、最も好ましくは、約0.5〜0.9g/mLの範囲が好ましい見掛け密度、約1.2〜1.6g/mLの材料密度、約0.5〜5.0mL/g、典型的には、約1.0〜4.0mL/g、より典型的には、約2.0〜3.0mL/gの範囲の内部空隙容量、約0.2〜3.0mL/g、典型的には、約0.3〜2.0mL/g、より典型的には、約0.4〜1.0mL/gの範囲の見掛け内部空隙容量(AIVV)、約30〜80%、典型的には、約35〜75%、より典型的には、約40〜60%の範囲の%AIVVを有することが好ましい。
【0045】
内部空隙容量およびAIVV値は、粒子組成物中に存在する細孔構造の容量を測定するのに使用される2つの異なる方法から導かれる。これら2つの異なる方法を一緒に使用した場合、粒子の、圧縮ガスを保持と分子放散のプロセスによるその圧縮ガスを放出の両方に関する能力に大きな理解を提供する。これらの方法について以下に記載する。
【0046】
相対的に大きな内部空隙容量を持つ粉末は、一般的に、それらのガスを保持する能力がより大きいため、本発明のガス放散組成物を製造するための使用にとって好ましい。相対的に大きな内部空隙容量および相対的に大きなAIVVと併せて制限通路を有する粉末は、ガスを保持し、そして放散によるガス損失の速度を妨げる両方の能力がより大きいため、特に好ましい。内部空隙容量は、適当には、少なくとも約0.5mL/g、好ましくは、少なくとも約1.0mL/g、より好ましくは、少なくとも約1.5mL/g、最も好ましくは、少なくとも約2.0mL/gである。AIVVは、適当には、少なくとも約0.2mL/g、好ましくは、少なくとも約0.4mL/g、より好ましくは、少なくとも約0.6mL/g、最も好ましくは、少なくとも約0.8mL/gである。パーセントAIVV(%AIVV)は、好ましくは、少なくとも約30%、より好ましくは、少なくとも約40%、最も好ましくは、少なくとも約50%である。粉末は、約30〜150℃、好ましくは、約35〜125℃、より好ましくは、約40〜100℃のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。粉末は、約0〜15%、好ましくは、約1〜10%、より好ましくは、約2〜5%の水分含有量、および約0〜0.5、好ましくは、約0.05〜0.4、より好ましくは、約0.1〜0.3の水分活性を有することが好ましい。
【0047】
本発明のガス放散粒子組成物は、液体で再構成される場合の使用時、または減圧の直後のどちらかに、その中に存在する細孔構造中に存在する開放内部空隙内に、少なくとも約2気圧、より好ましくは、少なくとも約3気圧、最も好ましくは、少なくとも約4気圧、場合により、少なくとも約5気圧、またはそれ以上の平均絶対ガス圧力で、ガスを保持することが好ましい。そのような高めの平均絶対ガス圧力は、最高で約10気圧まで、20気圧、さらには最高で約50気圧までなどのより高い圧力を包含することができる。
【0048】
パーセンテージは、他に指示がない限り、発泡組成物の重量を基準とする。かさ密度(g/mL)は、メスシリンダーにロートを通して注がれた場合に所与の重量(g)の粉末が占める容量(mL)を測定することにより決定される。タップ密度(g/mL)は、メスシリンダーに粉末を注ぎ、粉末がその最低容量に落ち着くまでシリンダーを振動させ、容量を記録し、粉末を秤量し、重量を容量で除すことにより決定される。見掛け密度(g/mL)は、ヘリウムピクノメーター(Micromeritics AccuPyc1330)を使用して秤量した量の粉末の容量を測定し、重量を容量で除すことにより決定される。
【0049】
見掛け密度は、閉鎖内部空隙などの、大気と連結していない、粒子中に存在するあらゆる空隙の容量を包含する密度の尺度である。見掛け密度は、大気と連結しているが、かなり短い分析時間中にピクノメーターにより使用されるかなり低圧(約20psi未満のゲージ圧力)のヘリウムによる透過には利用できない、粒子中に存在するあらゆる空隙の容量も包含する。開放されており、ピクノメトリー分析中の透過には利用できないそのような空隙は、制限通路の少なくとも一部、および制限通路を通じて、直接的または間接的に、大気と連結している内部空隙の少なくとも一部を包含する。見掛け密度は、粒子と粒子の間の間隙容量および大気に開放されており、ピクノメトリー分析中にヘリウム透過に利用できる、粒子中に存在するあらゆる間隙の容量を除外する。
【0050】
本明細書において「閉塞内部空隙」と呼ばれる、大気と連結しておらずかつ/またはピクノメトリー分析中にヘリウムガス透過には利用できない内部空隙および開口部の総容量は、水中で粉末を再構成した後に粉末の見掛け密度を測定すること、溶液を凍結および凍結乾燥すること、ならびに乳鉢および乳棒で凍結乾燥粉末を粉砕して粉末中にもともと存在するすべての閉鎖空隙または利用できない空隙を取り除くか、または大気に開放することからも導くことができる。本明細書において「材料密度」(g/mL)と呼ばれるこのタイプの見掛け密度は、粉末を含む固体物のみの実際の密度である。
【0051】
粒子中に含有される閉塞内部空隙の容量である見掛け内部空隙容量(AIVV)は、逆数見掛け密度(mL/g)から逆数材料密度(mL/g)を減じることにより決定することができる。粒子中に含有される閉塞内部空隙の容量パーセントであるパーセントAIVVは、逆数見掛け密度(mL/g)から逆数材料密度(mL/g)を減じ、次いで、その結果に見掛け密度(g/mL)および100%を乗じることにより決定される。
【0052】
内部空隙容量(mL/g)は、水銀ポロシメーター(Micromeritics AutoPore III)を使用し、約0から60,000psi(4218kg/cm2)(ゲージ)まで増加させる付与水銀圧力下で、秤量した量(g)の粒子に侵入する液体水銀の容量(mL)を測定し、侵入した水銀容量を粒子の重量で除すことにより決定することができる。この方法は、粒子細孔構造の直径、面積、および容量の分布を提供し、大気と、直接的または間接的に連結している内部空隙、開口部、および制限通路の存在を裏付ける。この方法は、機器により利用されるソフトウェアに組み込まれている標準の数学的な関係および仮定を使用して水銀侵入圧力を粉末細孔の直径および容量に関連付けるのに一般的に使用される。付与圧力が増加するにつれて、非濡れ性の水銀は、60,000psi(4218kg/cm2)において侵入されることがある最小直径細孔(3nmすなわち30Å)が満たされるまで、より小さな細孔に徐々に侵入する。対応する細孔直径、面積、および容量は、円柱状の細孔断面を仮定して計算される。増加する圧力において追加された水銀の各用量は、新たな細孔直径および連続する用量と用量の間の細孔平均直径を中心とする対応する増分細孔容量を提供する。
【0053】
より小さな細孔は、場合により、より高い圧力上限を提供する水銀ポロシメーターを使用するか、または窒素ガス吸着分析器(Micromeritics Gemini)を使用することにより測定することができる。窒素吸着方法を使用し、粒子状成分の細孔構造中に存在する「ミクロ細孔」(すなわち、直径が約2nm未満の細孔)および「メソ細孔」(すなわち、直径が約2〜50nmの細孔)の細孔直径、面積、および容量の分布を測定し、これらの範囲内の直径を有する制限通路の存在を裏付けることができる。この方法は、粉末の表面積を測定し、機器により利用されるソフトウェアに組み込まれている標準の数学的な関係および仮定を使用し、約0(真空)から約1気圧(絶対)の圧力まで増加する付与ガス「分圧」下で、液体窒素の沸点(−196℃)において、粉末の表面上に物理的に吸着される窒素ガスの量を関連付けるのに一般的に使用される。付与ガス圧力が増加するにつれて、窒素は、窒素分子の多層の吸着でミクロ細孔およびメソ細孔を満たしながら、より大きな細孔の表面上に徐々に吸着する。対応する細孔直径、面積、および容量は、円柱状の細孔断面を仮定して計算される。増加する分圧において追加された窒素の各用量は、新たな細孔直径および連続する用量と用量の間の細孔平均直径を中心とする対応する増分細孔面積および容量を提供する。細孔平均直径は、連続する用量において追加された低めおよび高めの窒素ガス分圧に対応する低めおよび高めの計算された細孔直径の数学的平均である。本発明の粒子状組成物を分析するのに利用される最低分圧は、約4.5Åの細孔直径に理論的に対応する約0.001気圧とした。これは、窒素ガスの広く受け入れられている小さめの分子次元(3.5Å)よりわずかに大きいにすぎない。この技法を使用し、確立した数学的な関係および仮定を使用して約17Åよりも小さな細孔直径を正確に数量化することができるかどうかについてはガス吸着分析の熟練者の間で議論があるが、しかしながら、この方法により提供される情報は、本発明の組成物を特徴付けるのに有用であることが判明している。
【0054】
ガラス転移温度は、硬いガラス状の粒子固体状態から軟化したゴム状の粒子固体状態への粉末組成物の変換を特徴とする二次相変化の跡を残す。一般に、固相の粒子組成物内のガスの溶解性および拡散速度は、典型的には、ガラス転移温度以上の材料においてのみ意味がある。ガラス転移温度は、化学組成および水分レベルに左右され、一般に、低めの平均分子量および/または高めの水分は、ガラス転移温度を下げるであろう。ガラス転移温度は、当業者に知られている任意の適当な方法を使用して粉末の水分含有量をそれぞれ単に増加または減少させることにより、意図的に上昇または低下させることができる。ガラス転移温度は、確立した示差走査熱量測定(DSC)または熱機械分析(TMA)技法を使用して測定することができる。
【0055】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載されているガス放散組成物は、外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、および粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子を含む可溶性のガス注入噴霧乾燥粒子状成分を、食用ガスが外部表面から内部空隙内に制限直径通路を通過するように、第1の高圧において周囲温度で食用ガスと接触させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を調製すること、次いで、粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内の食用ガスを第2の高圧において内部空隙から制限直径通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出させることを含み、第2の高圧が、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力より大きい方法に従って製造されることが好ましい。このことは、例えば、適当な容器内に適切な粒子構造を有するガス注入噴霧乾燥粉末を密閉し、圧縮ガスで粒子の内部空隙を満たすのに有効な時間にわたって圧縮ガスで容器を加圧し、容器内の圧力を解除してガス放散組成物を回収することにより行うことができる。好ましい方法は、外部からの加熱も冷却もなしに周囲温度において圧力容器内で粉末のガス加圧および減圧を行うことである。粉末の温度は、加圧および減圧ステップ中にガラス転移温度未満のままである。この方法によれば、ガス放散組成物は、バッチで、または任意の適当な手段を使用して連続的に製造することができる。
【0056】
1つの好ましい形態において、粒子組成物は、非晶質構造を有する低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)を含む。圧力容器内の圧力は、100〜5000psi(7.03〜351.5kg/cm2)、より好ましくは、500〜3000psi(35.15〜210.9kg/cm2)、最も好ましくは、1000〜2000psi(70.3〜140.6kg/cm2)の範囲であることが好ましい。窒素ガス(N2)の使用が好ましいが、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素、アルゴン、酸素、ヘリウム、水素、またはそれらの混合物を包含するその他の食品用ガスを、容器を加圧するために使用することができる。
【0057】
粉末を含む粒子中の開放内部空隙を圧縮ガスで満たすのに必要とされる時間は、ガス圧力および利用されるガス組成に左右され、当業者により容易に決定することができる。典型的には、ガス加圧時間は、少なくとも約1分、好ましくは、少なくとも約5分であるが、特に、相対的に低いガス圧力が使用される場合には、最長で数時間または数日までであってもよい。一部の場合において、粒子中の開放内部空隙を圧縮ガスで完全に満たすために数週かかることがある。粉末、または粉末を含有する混合物が、相対的に低いかまたは中程度に加圧されたガスの雰囲気下で包装され、少しして消費者に達する前に製品倉庫または流通チャンネルを通じて送られる場合の製品応用例におけるように、ゆっくりした充填が意図的にプロセス内に設計されることが有益であることがある。粉末が保持するガス含有量および得られる発泡能力は、一般的に、処理時間およびガス圧力と共に増加する。
【0058】
有利には、本発明のガス放散組成物は、粒子を加熱および冷却する必要がないため、有意に低めのコストおよび速めの処理速度において、閉鎖細孔または密閉内部空隙内に捕捉された圧縮ガスを含有する従来の発泡組成物に匹敵するガス容量を解放することができる。圧縮ガス下の粒子状組成物の加熱および冷却は、典型的には、より多くのコストをかけて特殊化された機器の使用を必要とし、必要な処理時間を長引かせ、望ましくない粉末凝集、風味または色の変化、および機器汚染を引き起こすことがある。本発明のガス放散組成物は、捕捉された圧縮ガスを含有する市販の非タンパク質発泡組成物の使用に比べて、組成物を組み入れた製品の消費者認知のミルク状態(milkiness)および泡立ち安定性を高めることもできる。
【0059】
本発明のガス放散組成物は、従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末よりも大きなガス容量を放出することができる。そのような従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末は、典型的には、約0.1〜0.3g/mLの範囲のかさ密度および発泡剤粉末1グラム当たり約2〜5mLの範囲のガス含有量を有する。対照的に、大気圧発泡剤粉末に類似したかさ密度を有する本発明のガス放散組成物は、液体で再構成される場合の使用時に、ガス放散組成物1グラム当たり、好ましくは、少なくとも約8mL、より好ましくは、少なくとも約12mL、最も好ましくは、少なくとも約16mLのガス含有量を有する。望ましい場合、ガス放散組成物のガス含有量は、液体で再構成される場合の使用時に、場合により、ガス放散組成物1グラム当たり、最高で約30mLまで、おそらく最高で約40mLまで、またはおそらくさらに最高で約50mLまたはそれ以上にさらに増加させることができる。
【0060】
ガス含有量の増加は、例えば、本発明の方法に従って、高めのガス圧力、長めのガス加圧時間、高めの分子量ガス、高めのガス圧力または低めの温度における貯蔵、またはそれらの任意の組合せを利用することにより提供することができる。しかしながら、ガス放散組成物1グラム当たり約30mL超までのガス含有量の増加は、液体中に放出される圧縮ガスの大きめの相対的膨張により、一部の製品応用例において液体で再構成される場合に、望まれるよりも大きな泡セルを提供することがある。したがって、一部の応用例において、低めのガス含有量を有する多めの重量のガス放散組成物を使用することが好ましいことがある。個々の製品応用例に適しているガス含有量、重量、ガス組成、および貯蔵条件は、当業者に知られている方法により容易に決定することができる。
【0061】
それらのかなり高めのガス含有量のため、本発明のガス放散組成物は、従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末よりもかなり大きなガス容量を解放することができる。例えば、再構成した即席カプチーノミックスなどの熱飲料において、従来のガス注入噴霧乾燥大気圧発泡剤粉末は、典型的には、発泡剤粉末1グラム当たり約2〜6mLの範囲の泡容量を提供する。対照的に、そのような熱飲料応用例において、一般に、本発明のガス放散組成物は、ガス放散組成物1グラム当たり、少なくとも約12mL、より好ましくは、少なくとも約18mL、最も好ましくは、少なくとも約24mLの泡容量を提供することが好ましい。望ましい場合、液体で再構成される場合の使用時に提供される泡容量は、場合により、ガス放散組成物1グラム当たり、最高で70mL程度まで、またはそれ以上までさらに増加させることができる。そのような泡容量の増加は、高めのガス含有量を有するガス放散組成物を利用することにより提供することができる。
【0062】
ガス含有量は、既知重量の大気圧発泡剤粉末またはガス放散組成物を、単独で、または有意な量の泡を発生しないかまたは既知量の泡を発生するかどちらかの成分と一緒に、65mm(6.5cm)の内径を有する250mLのビーカーに入れ、88℃の温度において水150mLを加え、攪拌して溶かし、ミリメートル定規を使用してビーカー壁を背景にして初期泡高さを測定することにより決定することができる。泡中に存在するガスの容量分率は、泡の試料をメスシリンダーに入れ、測定重量(g)を測定容量(mL)で除して泡密度(g/mL)を取得し、泡密度を、溶液の測定密度(g/ml)(泡が消えた後に既知容量の溶液を秤量することにより得られる)で除し、次いで、その結果を1.0から減じることにより決定することができる。実際には、溶液密度は、水の密度に極めて近く、泡密度を溶液密度で除すことは、主に、ガスの容量分率を無次元にする役割を果たす。ガス容量分率は、典型的には、即席熱カプチーノ製品により提供される泡について約0.8であるが、わずかに高めまたは低めであることもある。泡容量(mLまたはcm3)は、初期泡高さ(cm)にビーカーの円柱状断面積(cm2)を乗じることにより決定することができる。次いで、泡容量に、ガス容量分率を乗じると、測定された初期泡高さにおけるガスの容量が得られる。次いで、測定溶液温度(一般的に、熱カプチーノでは約75℃)に対応するガス容量を、理想気体式を使用して下向きに補正し、25℃における等価のガス容量に対応させる。これには、ガス容量に、ケルビン単位(K)の高めの温度に対する低めの温度の比を乗じることが必要である。例えば、75℃から25℃へ補正するためには、ガス容量に298K/348Kを乗じる。次いで、得られたガス容量(mL)を、粉末重量(g)で除すると、粉末のガス含有量(mL/g)が得られる。混合物が、飲料泡高さを有意に増加させる成分を含有している場合、その寄与を、ガス含有量を報告する前に粉末の寄与から減じる。組成物が、泡に対する有意な不安定化効果を有する任意の成分を含有している場合、この式は、誤った低い値を提供するであろう。
【0063】
本発明のガス放散組成物は、液体で再構成される場合の使用時か減圧直後のどちらかに、元の粒子成分のガス含有量および放出泡容量の少なくとも約3倍、より好ましくは、約4倍を提供することが好ましい。場合により、加圧を、本発明の方法による条件下で行い、約5倍以上程度のガス含有量および放出泡容量のこれまで以上の増加を提供することができる。本発明の前には、ガス含有量および放出泡容量のそのような増加は、粒子を、その中に存在する密閉内部空隙または閉鎖細孔内に圧縮ガスを捕捉するのに有効な付与ガス加圧下で非晶質粒子のガラス転移温度(Tg)より高い温度まで加熱する(次いで、Tg以下まで冷却する)ことを必要とする長時間の費用のかかる方法を使用して達成できるにすぎなかった。
【0064】
飲料泡立ち高さ、増分泡立ち高さ、組成物ガス含有量、または放出泡容量のいずれか1つを、減圧後に始まるガス放散組成物の貯蔵時間に対してプロットする場合、これらの属性の減少速度は、一般的に、式y=Alogx+B、(ここで、yは、述べた属性のいずれか1つであり、logxは、貯蔵時間xの対数(logまたはln)であり、A(勾配)およびB(y軸切片)は、ガス放散組成物を製造するのに使用される粒子組成物に特異的である実験的に決定される定数である)を有する直線式に従うであろう。そのような式を特定および使用する1つの利点は、ガス放散の速度を、数時間または数日などの相対的に短期間の保存時間にわたって述べた属性のいずれか1つの減少速度を測定することにより実験的に誘導することができ、得られた情報を使用して、有用な貯蔵期間か、または組成物が、数週間後、数カ月後、または数年後に起きる可能性がある周囲の大気と平衡に達する時点のどちらかを予測することができることである。例えば、述べた直線式をAおよびB値と一緒に実験的に導き、数日間にわたって、放散速度に対応する飲料増分泡立ち高さの減少速度を提供することができる。式を、例えば、yをゼロ(増分泡立ち高さなし)とおいて、放散の持続時間に対応する、組成物が周囲の大気との平衡に達する時間xを予測することにより数学的に解くことができる。式を、関心のあるその他の時間xについて解き、その時の飲料増分泡立ち高さ、および対応する放散速度を予測することができる。加圧包装で貯蔵される組成物に当てはまるように、周囲の大気が、周囲大気圧ガスか圧縮ガスかどうかの予測を、そのような式を使用して行うことができる。
【0065】
したがって、本発明の方法は、非晶質粒子状成分のガス含有量および放出泡容量を増加させる従来の方法を上回る多くの処理利点を提供することができる。本発明の別の利点は、ガス放散発泡組成物を、望ましい場合に、ある期間または貯蔵後に、圧縮ガスで好都合に再充填し、それらのガス含有量および放出泡容量を増加させることができることである。本発明のそれ以外の利点は、異なるガスの使用が、異なるガス含有量および異なるガス放散速度を有するガス放散組成物を提供することができることである。
【0066】
有利には、ガス放散組成物を、直ちに、単独で、または食品を製剤化するための成分として使用することができ、場合により、圧力下で包装し、商業流通に適している貯蔵期間を提供することができる。本発明で使用するのに適している粒子成分は、商業的に調達することができ、利用可能な機器または携帯型装置を使用して室温において、容易にかつ迅速に、流通の前に圧縮ガスを負荷するかまたは外食顧客の要求に応じて負荷することができる。
【0067】
これらのガス放散発泡組成物についての好ましい使用は、可溶性飲料ミックス、特に、即席のコーヒーおよびカプチーノミックスにおいてである。しかしながら、それらは、液体で再水和されるいかなる即席食品においても使用することができる。これらの発泡組成物は、典型的には、冷たい液体によく溶けて泡立ちを生じるが、溶解および発泡能力は、一般的に、熱い液体中の再構成により改善される。応用例は、例えば、即席飲料、デザート、チーズ粉末、シリアル、スープ、トッピング粉末、ソース、および他の製品を包含することができる。
【実施例】
【0068】
本明細書の実施例は、本発明の様々な特徴をさらに例示するものであるが、決して、添付の特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲を制限するものではない。他に断りのない限り、すべてのパーセンテージおよび比は、重量によるものである。
【0069】
以下の実施例は、即席ホットカプチーノおよびココアミックス、即席コールドデザートトッピングミックス、クリーム入りの淹れたコーヒー、発泡スープミックス、シリアル製品、デザートミックス、ソースミックス、ミルクセーキなどの食品から得ることができる泡立ちの容量またはオーバーランを大きく増加させる際の本発明のガス放散組成物の有用性を示している。
【実施例1】
【0070】
ガス放散組成物を、非晶質構造、44℃のガラス転移温度(Tg)、および複数の内部空隙を有する市販の低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)(ロット1)(Diehl Foods;Defiance、Ohio;Cocoa Riche LDブランドNFDM粉末)から調製した。SMPの試料6.0gを、75mLのステンレススチール圧力容器(Whiteyガスサンプリングシリンダー;1800psi(75.9kg/cm2)までの定格最大圧力)に入れ、次いで、25℃において窒素で1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧した。容器を、窒素ガス源に容器を連結するバルブを閉じることにより密閉した。容器を、5分にわたって保持し、次いで、排気することにより減圧し、ガス放散SMP組成物を得た。
【0071】
加圧の前に、SMPは、0.22g/mLのかさ密度、0.31g/mLのタップ密度、1.44g/mLの材料密度、0.63g/mLの見掛け密度、2.88mL/gの内部空隙容量、および0.89mL/gの見掛け内部空隙容量(56容量%のAIVV)を有していた。したがって、加圧の前に測定された内部空隙容量は、AIVVよりも1.99mL/g大きかった(すなわち、3.2倍大きかった)。加圧の後に、SMPは、0.70g/mLの見掛け密度および0.73mL/gのAIVV(51容量%のAIVV)を有していた。
【0072】
このガス放散SMP組成物5.5gを、可溶性コーヒー粉末2.0g、砂糖4.0g、および50%脂肪、非発泡性、高密度コーヒーホワイトナー粉末2.5gに加えることにより、カプチーノミックス(試料1a)を調製した。比較カプチーノミックス(試料1b)は、上記の方式に従うが、ガス放散SMP組成物を未処理SMP(ロット1)で置き換えて調製した。各ミックスを、65mmの内径を有する250mLのビーカー内で88℃において水150mLで、減圧から5分後に再構成した。ガス放散SMP組成物の添加は、未処理のSMPとの比較カプチーノミックスを超えて初期飲料泡立ち高さを大きく増加させることが分かった。より具体的には、ガス放散SMP組成物を含有するカプチーノミックスである試料1aは、39mmの泡立ち高さを有し、一方、未処理SMPを含有するカプチーノミックスである試料1bは、10mmにすぎない泡立ち高さを有していた。
【0073】
したがって、ガス放散SMP組成物のガス含有量は、再構成時に、約16mL/gであり、一方、未処理SMPのそれは、約4mL/gにすぎなかった。ガス放散SMP組成物の放出泡容量は、再構成時に、約23mL/gであり、一方、未処理SMPのそれは、約6mL/gにすぎなかった。したがって、本発明の方法は、この応用例において約4倍のガス含有量および放出泡容量を提供したことが分かる。
【0074】
追加のカプチーノミックス(試料1c〜1q)を、試料1aの方式に従って調製し、ガスケット付き金属スクリューキャップ蓋で密閉された(すなわち、完全密閉ではない)閉鎖ガラスジャー内に室温において様々な期間にわたって貯蔵した。ミックスを上記に記載されているように熱水で再構成した場合、初期飲料泡立ち高さは、ミックスを貯蔵した時間の長さの関数として減少した。より具体的には、図1に例示するように、一般的に対数的な(0.99の相関係数)低下が、ミックス貯蔵時間の関数としての初期飲料泡立ち高さにおいて観察された。実験データを、下記の表1に要約する。
【0075】
増分初期飲料泡立ち高さを、ガス放散SMP組成物と共に製剤化された貯蔵カプチーノミックスの初期飲料泡立ち高さから、未処理SMPと共に製剤化されたカプチーノミックス(試料1b)の初期飲料泡立ち高さを減じることにより計算した。図2に見られるように、ミックス貯蔵時間の自然対数(Ln)の関数として増分初期泡立ち高さをプロットすると、−2.2323の勾配(A)および31.54のy軸切片(B)を有する直線(相関係数0.99)が得られる。線を0増分泡立ち高さに外挿すると(yをゼロとおいて、直線式を解くことにより)、ガス放散SMP組成物の細孔構造内に保持されている圧縮ガスのすべてが周囲の大気と平衡になる(すなわち、1気圧まで減少する)ためには約950日の貯蔵時間が必要であることが予測される。本発明の組成物の挙動を制御するガス放散機構について得られた理解をもってしても、SMPが圧縮ガスと接触したのがガス負荷中の5分間にすぎないことを考えると、このことは驚くべき結果である。もし操作の根底にある機構が、本発明の開発中に解明されず、数学的にモデル化されなかったら、そのような結果を信じるのは困難であろう。0.0021日(最初のデータポイント)と950日の間の貯蔵期間にわたってガス放散SMP組成物から放散するであろうガスの容量は、0.0021日における処理SMPのガス含有量(約16mL/g)から未処理SMPのガス含有量(約4mL/g)を減じることにより得ることができる。したがって、処理SMPについての放散速度は、950日当たり約12mL/g、すなわち約0.013mLガス/g/日になるであろう。放散速度が、950日の貯蔵時間前の任意の時点について計算される場合、高めの値が得られるのは、初期の放散速度が極めて高く、一般的に、時間と共に指数関数的に減少するからである。
【0076】
【表1】
【実施例2】
【0077】
実施例1の市販SMPの追加ロット(ロット2および3)を、実施例1の方法を使用して加圧した。加圧する前に、ロット2のSMPは、0.23g/mLのかさ密度、0.32g/mLのタップ密度、1.44g/mLの材料密度、0.87g/mLの見掛け密度、2.82mL/gの内部空隙容量、および0.45mL/gのAIVV(40容量%)を有していた。したがって、加圧の前に測定された内部空隙容量は、AIVVよりも1.95mL/g大きかった(すなわち、3.2倍大きかった)。加圧の後に、ロット2のSMPは、1.06g/mLの見掛け密度および0.25mL/gのAIVV(26容量%)を有していた。加圧する前に、ロット3のSMPは、0.24g/mLのかさ密度、0.33g/mLのタップ密度、1.44g/mLの材料密度、0.72g/mLの見掛け密度、2.64mL/gの内部空隙容量、および0.69mL/gのAIVV(50容量%)を有していた。したがって、加圧の前に測定された内部空隙容量は、AIVVよりも2.57mL/g大きかった(すなわち、3.8倍大きかった)。加圧の後に、ロット3のSMPは、0.80g/mLの見掛け密度および0.56mL/gのAIVV(44容量%)を有していた。
【0078】
ロット2および3のSMPから調製されたガス放散組成物を、試料1aの方式に従ってカプチーノミックス(それぞれ試料2aおよび2b)に組み入れ、圧力処理および得られる発泡性能に対するSMP製品変動の影響を評価した。実施例1に記載されているように熱水で再構成すると、試料2aおよび2bは、それぞれ24mmおよび36mmの初期飲料泡立ち高さを提供した。ガス放散組成物を同じ重量のロット2および3の未処理SMPで置き換えた比較カプチーノミックス(試料2cおよび2d)を調製した。両方の比較試料は、10mmにすぎない初期飲料泡立ち高さを提供した。
【0079】
したがって、試料2aおよび2bにおけるガス放散SMP組成物のガス含有量は、再構成時に、それぞれ約10mL/gおよび約15mL/gであり、一方、両方の未処理SMP組成物(試料2cおよび2d)のガス含有量は、約4mL/gにすぎなかった。試料2aおよび2bにおけるガス放散SMP組成物の放出泡容量は、再構成時に、それぞれ約14mL/gおよび約22mL/gであり、一方、未処理SMP組成物(試料2cおよび2d)のそれは、約6mL/gにすぎなかった。したがって、試料2aおよび2bのガス放散組成物は、この製品応用例において熱水で再構成される場合の使用時に、未処理SMPよりもそれぞれほぼ3倍およびほぼ4倍高いガス含有量および放出泡容量を有していた。望ましい場合、それ以上の増加を、ガス負荷中の高めのガス圧力の使用、または本発明の方法による他の処理改変により達成することができる。
【0080】
次に、市販の高密度噴霧乾燥スキムミルク粉末(SMP)(DairyAmerica;Fresno、California;NFDM粉末)の試料6.0gを、実施例1の方法に従って加圧し、加圧した高密度SMP5.5gを、試料1aの方式に従って調製されたカプチーノミックス(試料2e)に組み入れた。加圧の前に、この高密度SMPは、0.46g/mLのかさ密度、0.74g/mLのタップ密度、1.25g/mLの見掛け密度、および0.11mL/gのAIVV(13容量%)を有していた。加圧の後に、この高密度SMPは、1.27g/mLの見掛け密度および0.09mL/gのAIVV(12容量%)を有していた。実施例1に記載されているように熱水で再構成すると、加圧した粉末は、飲料表面を完全に覆うことなく5mmにすぎない初期飲料泡立ち高さを提供した。上記の加圧した高密度SMPを同じ重量の未処理高密度SMPで置き換えた別の比較カプチーノミックスを調製した。上記と同じ条件下で再構成した場合に、この試料も、飲料表面を完全に覆うことなく5mmの初期飲料泡立ち高さを提供した。この結果は、高密度SMPの圧力処理が、ガス放散組成物を生成しないことを示している。処理および未処理高密度SMPのガス含有量は、約1mL/gにすぎず、放出泡容量は、2mL/g未満であった。これらの結果は、不十分な高密度SMP粒子状成分構造および細孔構造に直結していることがある。そのような不十分さは、高すぎるかさ密度および見掛け密度、ならびに低すぎるAIVVおよび%AIVVを包含し、高密度SMP粒子状成分構造および細孔構造を、開放内部空隙に圧縮ガスを保持するのには不適当にしている。
【実施例3】
【0081】
以下の実施例は、上記に記載されているようなカプチーノミックスに組み入れられる場合の本発明のガス放散組成物の発泡能力に対するガス圧力および加圧時間の影響を示している。実施例2のロット3SMPの追加試料6.0gを、窒素ガスで実施例1の方法を使用して125psi(8.79kg/cm2)、250psi(17.58kg/cm2)、375psi(25.33kg/cm2)、500psi(35.15kg/cm2)、750psi(52.73kg/cm2)、1000psi(70.3kg/cm2)、および1250psi(87.9kg/cm2)において加圧し、一連のガス放散組成物を得た。異なる圧力において調製されたこれらのガス放散組成物の試料5.5gを別々に使用し、試料1aの方式に従ってカプチーノミックス(試料3a〜3g)を製剤化し、実施例1の方法に従ってSMP減圧から5分後に再構成した。
【0082】
初期飲料泡立ち高さを測定した。結果を表2および図3に示す。図3に見られるように、ガス放散組成物を調製するのに使用された圧力の関数としてプロットされた初期泡立ち高さは、初めは、0〜500psi(0〜35.15kg/cm2)の間で圧力が増加するにつれて不均衡に増加し、次いで、500〜1250psi(35.15kg/cm2〜87.9kg/cm2)の間で直線的に増加した。この挙動は、加圧の5分は、低めの圧力範囲で平衡に達するには不十分であることを示した。いくつかの追加実験を行ってこの仮説を試験した。30分にわたる500psi(35.15kg/cm2)におけるロット3SMPの別の試料の加圧は、初期泡立ち高さの増加をもたらさず、匹敵する平衡には5分で達したことを示唆した。しかしながら、30分にわたる250psi(17.58kg/cm2)におけるロット3SMPの別の試料の加圧は、初期泡立ち高さを幾分増加させ、匹敵する平衡には5分では達しないことを示唆した。20時間(匹敵する平衡を超えると予想される時間)にわたって250psi(17.58kg/cm2)において加圧されたロット3SMPの別の試料は、初期泡立ち高さを大きく増加させ、新たなポイントは、低めおよび高めの圧力までグラフの500〜1250psi(35.15kg/cm2〜87.9kg/cm2)直線部分を外挿することにより形成される直線傾向線上で直接重なった。この結果は、5分の加圧時間を、約500psi(35.15kg/cm2)を超える圧力において有意にかつ徐々に短縮することができるであろうことを示した。
【0083】
未処理ロット3SMP出発材料は、カプチーノ飲料において1グラム当たり約4mLにすぎないガスを提供したが、ガス放散SMP組成物は、試験された範囲にわたって、1グラム当たり最高で約16mLまでのガスを提供した。相対的に高いガス負荷圧力において見掛け平衡に達したSMP試料中に保持されているガスの大部分は、減圧とカプチーノミックス再構成の間の期間に失われたことも明白であった。理論により制約されることを望むわけではないが、試験された範囲にわたって、SMP試料の開放内部空隙内の平均ガス圧力は、最高で約85気圧(1250psi)までのガス圧力による処理にもかかわらず、再構成時に約1から6気圧(atm)にすぎない範囲であったらしいことが考えられる。
【0084】
したがって、相対的に高いガス圧力は、圧縮ガスをMSPに極めて迅速に負荷するのに必要とされるが、少量にすぎない残ったガスの保持は、本発明のガス放散組成物を組み入れた製品のガス含有量および発泡能力を大きく増加させることできる。また、少量の残ったガスは、相対的に遅い速度で放出するため、ガス放散組成物をあまり急がずに取り扱うことができる。このことは、ガス放散組成物を得るために相対的に高いガス圧力を使用して粉末に素早く負荷し、ガス放散組成物を食品に組み入れ、次いで、有意に低めの圧力下で食品を包装し、再構成した食品の発泡能力を大きく増加させるのに有効なガス放散組成物中の残りのガスを保持する機会を提供する。代替方法として、ガス放散組成物と共に製剤化された食品に圧縮ガスを負荷し、すべての成分を混ぜ合わせ、相対的に低いかまたは中程度のガス圧力下で包装し、包装を開いて食品を再構成する前に組成物の開放内部空隙にガスが入るのに十分な時間を取ることにより発泡能力を増加させることができる。
【0085】
本明細書で提供される実施例において他に指定がない限り、圧力容器は加圧直後に閉じられたことが留意されるべきである。したがって、図1、2、および3に示す圧力は、初期圧力である。実施例1および2のSMP成分などの一部の組成物は、大きな開放内部空隙容量を有するため、容器内の初期圧力は、圧縮ガスが圧力容器から粒子空隙に流れ込むにつれて有意に降下することがある。理論により制約されることを望むわけではないが、このことは、図3におけるゼロ圧力(ゲージ圧力;1気圧の絶対圧力および周囲圧力に等しい)まで外挿された破線の傾向線が、加圧SMPを同じ重量の非加圧SMPで置き換えた比較カプチーノミックスの10mm泡立ち高さと交差しない理由を説明していると考えられる。
【0086】
一定圧力を維持するのに有効な貯蔵時間中の容器への圧縮ガスの補足的添加は、飲料泡立ち高さをさらに増加させ、より急勾配の外挿データ傾向線を生み出すと仮定した。この仮説を試験するため、ロット3SMPの追加試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、容器を窒素ガス源に開放しておくことにより5分にわたって1000psi(70.3kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散SMPの試料5.5gを実施例1aの方式に従ってカプチーノミックスに組み入れた(試料3h)。ミックスを、減圧から5分後に再構成した場合、42mmの初期飲料泡立ち高さが得られた。これは、容器を保持時間中に密閉した場合に得られる36mmの初期飲料泡立ち高さよりも有意に大きく(約17%も)、本発明のガス放散組成物の発泡能力をさらに増加させるのに有効な方法を示している。
【0087】
42mmおよび36mmの初期泡立ち高さを提供するガス放散SMP組成物のガス含有量は、熱水による再構成の時点で、それぞれ約17mL/gおよび約15mL/gであった。ガス放散SMP組成物の放出泡容量は、熱水による再構成の時点で、それぞれ約25mL/gおよび約22mL/gであり、一方、未処理SMPのそれは、約6mL/gにすぎなかった。したがって、本発明の方法は、この応用例において約4倍のガス含有量および放出泡容量を提供したこと、および望ましい場合に、これらの値をさらに増加させることができることが分かる。
【0088】
理論により制約されることを望むわけではないが、SMP粉末を加圧するための1250psi(87.9kg/cm2)より高いガス圧力の使用は、さらに高めの初期飲料泡立ち高さおよび組成物ガス含有量を提供することが予想される。例えば、ロット3のSMPについての図3の傾向線(勾配は0.016;y軸切片は20)を1500psi(105.2kg/cm2)、2000psi(140.6kg/cm2)、3000psi(210.9kg/cm2)、4000psi(281.2.2kg/cm2)、または5000psi(351.5kg/cm2)の初期ガス圧力まで外挿することは、それぞれ約44mm、52mm、68mm、84mm、および100mmの初期泡立ち高さ、ならびにそれぞれ約18mL/g、21mL/g、28mL/g、35mL/g、および41mL/gのガス含有量を予測するであろう。容器を窒素ガス源に開放したままでロット3のSMP粉末試料を1500psi(105.2kg/cm2)、2000psi(140.6kg/cm2)、3000psi(210.9kg/cm2)、4000psi(281.2.2kg/cm2)、または5000psi(351.5kg/cm2)の一定圧力まで加圧することは、それぞれ約51mm、61mm、79mm、98mm、または117mmの潜在的初期泡立ち高さ、ならびにそれぞれ約21mL/g、25mL/g、33mL/g、40mL/g、または48mL/gの潜在的ガス含有量などの高めの値を提供することが予想されるであろう。
【0089】
約1500psi(105.2kg/cm2)よりかなり大きなガス圧力利用は、本明細書に開示されている実験において利用される75mLの容器よりも高い定格圧力を有する厚めの壁の圧力容器の使用を必要とするであろう。しかしながら、そのような圧力容器は、容易に入手可能であり、付与高ガス圧力下での加熱および冷却のストレスに耐えるように特別に組み立てる必要はない。さらに、約40mmよりかなり大きい初期泡立ち高さを提供するガス放散組成物の利用には、ビーカーが溢れるのを防ぎ、組成物ガス含有量および放出泡容量を決定するための泡立ち高さの測定を可能にするために、250mLより大きいビーカーを使用するかまたは水および/または組成物重量を減らす必要があるであろう。
【0090】
【表2】
【実施例4】
【0091】
以下の実施例は、即席コールドデザートトッピングミックスから得られるオーバーラン容量を増加させるための本発明のガス放散組成物の有用性を示している。実施例2のロット3SMPの追加試料8.5gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、5分にわたって保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。
【0092】
即席デザートトッピングミックス(試料4a)を、53mmの内径を有する150mLのビーカー内で砂糖5.0gにこのガス放散組成物8.0gを加えることにより調製した。比較デザートトッピングミックス(試料4b)を、ガス放散SMP組成物を同じ重量の未処理SMPにより置き換えることを除いて、同じ方式に従って調製した。ガス放散SMP組成物を含有する即席デザートミックス(試料4a)は、各々を冷水(5℃)8mLで再構成し、攪拌して溶かした場合に、未処理SMPによる比較デザートミックス(試料4b)を上回って大きく増加した容量および粘度を提供した。ガス放散組成物によるビーカー内のトッピング高さは、約140%のオーバーランにおいて約60mmであり、一方、比較デザートミックスのビーカー内のトッピング高さは、約60%のオーバーランにおいて約40mmであった。さらに140%のオーバーランのデザートトッピングは、デザートトッピングとして使用するには理想的には適していない幾分軟らかすぎる質感を有していた60%のオーバーランの製品よりも優れた口当たりを持った優しいホイップクリーム様のスプーンにとることができる質感を提供した。別の比較デザートトッピング(試料4c)を、ガス放散SMP組成物を同じ重量の未処理高密度噴霧乾燥SMPで置き換えることを除いて、上記に記載されているように調製した。ミックスを冷水(5℃)8mLで再構成し、攪拌して溶かした場合、ミックスは、デザートトッピングとして使用するには適していない幾分水っぽい質感と共に本質的に0%のオーバーランにおいて25mmにすぎないトッピング高さを生じた。したがって、ガス放散SMP組成物の使用のみが、許容できる容量、オーバーラン、質感、および粘度を有する即席デザートトッピングを提供するのに有効であった。さらに高めのガス含有量を有するガス放散SMP組成物の使用は、さらに高めの容量およびオーバーランを有する即席デザートトッピングを提供することが予想されるであろう。
【実施例5】
【0093】
以下の実施例は、相対的に低い圧力において相対的に長い時間にわたって本発明のガス放散組成物に負荷する効果および無脂肪または脂肪含有即席カプチーノミックスから得られる泡立ち容量を増加させる能力を示している。実施例2のロット3SMPの追加試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで300psi(21.09kg/cm2)まで加圧し、直ちに150psi(10.55kg/cm2)まで排気し、密閉し、16日にわたって保持し、次いで、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。保持時間の間に、容器内の圧力は、150psi(10.55kg/cm2)から約90psi(63.27kg/cm2)まで降下した。理論により制約されることを望むわけではないが、このことは、主に、SMP材料中に存在する制限通路を通じて有意な部分のガスが内部粒子空隙へ相対的にゆっくりと移動したことに起因すると考えられた。このガス放散SMPの試料5.5gを、250mLのビーカー内で可溶性コーヒー粉末2.0gおよび砂糖4.0gと混ぜた(試料5a)。88℃の温度において水150mLで再構成すると、初期泡立ち高さが30mmの小さな気泡状泡立ちの即席無脂肪カプチーノ飲料が得られた。このことは、実施例2において得られた見掛け平衡データポイント(図3に示す)が、真の最終平衡を示すものではなかったこと、および長めの保持時間が、開放内部粒子空隙に移動する圧縮ガスの量をさらに増加させることができることを示している。ガス充填と損失は共に、対数速度の現象であるはずであり、見掛け平衡は、最終平衡の前に現れるであろう。
【0094】
したがって、相対的に長い時間にわたって相対的に低いガス圧力において粒子成分に負荷するこの方法は、プラスチック瓶または金属缶などの小さな密閉容器中にカプチーノミックスを包装し、約10気圧(約150psi)のガス圧力下で容器を密閉し、減圧および再構成する前に同様の(すなわち、約16日)、またはおそらくさらに短めの期間にわたって保持することにより泡立ち高さの同様の改善を生み出すために有利に使用することができるであろう。SMPは、場合により、カプチーノミックス中の他の成分とブレンドしかつ/または圧力下で包装する前に同じかまたは高めの圧力まで加圧することができるであろう。製品は、1回分か複数回分のどちらかで包装することができるであろう。いったん開けたら、複数回包装は、数日にわたって優れた発泡性能を維持しそうであり、1または2週超にわたって満足のいく性能を提供することがある。圧力下の包装は、ガス圧力を印加することにより、または少量の、例えば、液体窒素などの液化ガス、もしくは、ドライアイスなどの固化ガスを、例えば、密閉する前に包装中に入れることにより行うことができるであろう。
【0095】
同じ無脂肪カプチーノミックスにおいてガス放散SMPを同じ重量の未処理SMP出発材料と置き換えた比較ミックス(試料5b)を調製した。上記に記載されているように再構成すると、10mmにすぎない初期泡立ち高さを有する飲料が得られた。したがって、未処理SMP出発材料のガス含有量および放出泡容量は、それぞれほんの約4mL/gおよびほんの約6mL/gであった。したがって、SMP出発材料を、ガス放散組成物を提供するために開示されている条件下で圧縮ガスと接触させることは、ガス放散組成物を作成するためのSMPガス負荷中の相対的に低いガス圧力の使用にもかかわらず、熱水による再構成時に、未処理SMP出発材料に比べ、約3倍のガス含有量(約12mL/g)および放出泡容量(18mL/g)を提供するのに有効であった。
【0096】
当技術分野において知られている給食瓶を、大量の本発明のガス放散組成物を製造および貯蔵するための加圧システムとして使用することができる。バッグインボックスシステムの導入の前にシロップの分配および販売のためにソーダ製造者により広く使用されてきたCornelius樽(2.5または5ガロン容量の)は、伝えられるところによれば、100psi(70.03kg/cm2)圧力に耐えると評価されている。幾分高めの圧力定格の類似の樽は、粒子状成分に負荷し、本発明のガス放散組成物を製造するのにより有効であろう。粒子状成分は、製造設備においてガスで加圧し、次いで、給食瓶で顧客に分配することができ、または非加圧粒子状成分を含有する瓶を顧客に分配し、次いで、必要に応じて現場で加圧することができるであろう。
【0097】
本発明のガス放散組成物が特に有利である1つの応用例は、スチームドミルクを切り換えるためにコーヒー店およびレストランにおいて使用するのに有効な粉末状スキムミルク発泡剤を提供することである。1バッチの粉末を朝に現場で素早く加圧し、次いで、1日を通して使用することができるであろう。未使用の粉末は、1日または複数日後に再加圧し(すなわち、ガスを再充填し)、発泡能力を回復することができるであろう。例えば、適当な容器内の粉末を加圧するためのハンドポンプ、コンプレッサーまたはガスボンベを包含する安価な携帯用機器は、現場の処理を可能にするであろう。さらに、一部の注文対応のコーヒーメーカーは、有用な量のガスでこれらの材料を満たすのに十分な圧力を放出することができるが、加圧粉末の供給を提供するのに適合していることが必要であろう。
【0098】
本発明は、中程度の圧力下で瓶詰めされたかまたは缶詰にされた粉末からなる包装された消費者製品のまったく新しいカテゴリーの開発も可能にするであろう。例えば、ガス放散成分を含む1回分の即席のカプチーノミックスまたはホットココアミックスを、小さなプラスチックまたは金属の瓶中に包装し、ヘッドスペースの圧縮ガス下で密閉することができるであろう。圧縮ガスは、分配および貯蔵中に開放内部空隙に浸み込み、続く再構成により、泡立ち容量の大きな飲料が得られるであろう。2リットルのプラスチックソーダ瓶は、伝えられるところによれば、最高で約10気圧以上の圧力に耐えることができ、小さめの瓶は、さらに高めの圧力に耐えることができるはずである。プラスチックスクリューキャップ閉鎖を有するアルミニウム瓶も、より普及しつつあり、高圧に耐えるように製造することができるであろう。
【0099】
既存の圧力限界内で利用可能な容器において、本発明のガス放散組成物を使用して製剤化される即席カプチーノミックスなどの包装製品を使用し、消費者が好む現行の増強された泡立ち品質目標を満たすのに十分なように、未処理の従来の大気圧発泡剤粉末と共に製剤化される基準製品に比べて、発泡剤粉末ガス含有量および放出泡容量を少なくとも2倍、好ましくは、少なくとも約3倍、より好ましくは、少なくとも約4倍、潜在的には、さらに約5倍にすることができるであろう。また、異なる時間にわたってかつ/または異なる圧力までかつ/または異なるガスを使用して加圧されたガス放散組成物の混合物も、ガス損失の総合的速度、使用時の保有ガス含有量、および有用な保存期間をより良く制御するために製造することができるであろう。例えば、減圧直後の高めのガス含有量、貯蔵中および使用前のガス損失の遅めの速度、および/または長めの有用な貯蔵期間を有するガス放散発泡剤組成物、またはそれらを使用して製剤化された製品を提供するために、そのような措置を講じることができるであろう。
【実施例6】
【0100】
実施例2のロット3SMPの追加試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで150psi(10.55kg/cm2)まで加圧し、容器を窒素ガス源に開放しておくことにより7日にわたって150psi(10.55kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散SMPの試料5.5gを、65mmの内径を有する250mLのビーカー内で可溶性コーヒー粉末2.0g、砂糖4.0g、および非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末(50%脂肪)2.5gからなるカプチーノミックス(試料6a)に加えた。ガス放散SMPを同じ重量の未処理ロット3SMP出発材料で置き換えた比較カプチーノミックス(試料6b)を調製した。ミックスを、SMP減圧から3分後に250mLのビーカー内で88℃の水150mLで別々に再構成した。ガス放散組成物によるカプチーノミックス(約12mL/gのガス含有量を有する)は、28mmの初期泡立ち高さを生じた。これは、10mmにすぎない初期泡立ち高さを生じた未処理SMPによる比較カプチーノミックス(約4mL/gにすぎないガス含有量を有する)よりも大きく増加した。したがって、SMP出発材料をこれらの条件下で圧縮ガスと接触させることは、この応用例において約3倍のガス含有量および放出泡容量を提供するのに有効であった。
【0101】
したがって、入手可能な成分およびガス加圧機器を使用するこの実施例は、非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末(トラップされた圧縮ガスを含有する特許文献5の実施例2に記載されている組成物など)と従来の低密度ガス注入噴霧乾燥タンパク質含有発泡クリーマー粉末の組合せを使用して達成されてきた典型的には約25mmの飲料泡立ち高さを提供する商品化されたカプチーノミックスなどの増強された即席カプチーノ飲料泡立ち高さに匹敵するかまたはそれを超える能力を示す。ガス放散SMPを含有するカプチーノミックスは、組合せ発泡剤システムを含有するミックス(ガス放散組成物5.5gを非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末3.0gおよび発泡クリーマー粉末3.0gで置き換えることにより製剤化される)よりもわずかに低いレシピおよび粉末容量を有し、組合せ発泡剤システムを含有するミックスの粉末レシピまたは容量に匹敵するまで増量された場合にさらに幾分大きめの泡立ち容量を提供するであろう。
【0102】
基準とする非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末は、密閉内部粒子空隙内に圧縮ガスをトラップするために、粉末を圧力容器内に密閉し、窒素または他の適当なガスで、最高で約1000psiまでなどの高圧まで加圧し、粉末ガラス転移温度より高く加熱し、空隙を圧縮ガスで満たすために長時間にわたって保持し、次いで、容器を減圧する前に粉末ガラス転移温度より低くまで冷却することにより製造される、その中に存在する密閉内部空隙内に圧縮ガスをトラップするために後で処理されるガス注入噴霧乾燥炭水化物粉末である。そのような非タンパク質圧縮ガス発泡剤粉末は、典型的には、約20mL/gのガス容量を有するが、高めまたは低めであることもあり、典型的には、約15〜25mL/gの範囲である。
【実施例7】
【0103】
以下の実施例は、即席ホットココアミックスから得られる泡立ち容量を増加させる本発明のガス放散組成物の能力を示している。実施例2のロット3SMPの試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、20分にわたって保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散組成物のすべて6.0gを、250mLのビーカー内でBaker’s(商標)Hot Cocoaミックス29gと混ぜ合わせた(試料7a)。ミックスを、SMP減圧から4分後に、88℃の温度において水150mLで再構成すると、初期泡立ち高さが30mmのホットココア飲料が得られた。泡立ちは、クリーム状の硬さおよび主に微小な気泡サイズの外観を有していた。ガス放散SMPを同じ重量の未処理SMP出発材料で置き換えた比較ミックス(試料7b)を調製した。上記のように再構成すると、初期泡立ち高さが10mmにすぎずあまり望ましくない粗めの泡立ち外観の飲料となった。ガス放散SMPと未処理SMPのどちらも添加しない別の比較ミックス(試料7c)を調製した。このミックスを再構成すると、初期泡立ち高さが7mmにすぎずあまり望ましくない粗めの泡立ち外観の飲料が得られた。したがって、開示されている条件下でSMP出発材料を圧縮ガスと接触させることは、この応用例において約3倍のガス含有量および放出泡容量を提供するのに有効であった。さらに、ガス放散SMPおよび未処理SMPと共に製剤化された飲料は、これらの成分なしに製剤化された飲料に比較して改善された風味および口当たりを有していた。
【実施例8】
【0104】
以下の実施例は、淹れたコーヒー飲料上に泡立ち状トッピングを生じる本発明のガス放散組成物の能力を示している。実施例2のロット3SMPの試料9.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで500psi(35.15kg/cm2)まで加圧し、容器を窒素ガス源に開放しておくことにより10分にわたって500psi(35.15kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。このガス放散組成物の試料8.0gを、内径が72mmの400mLのビーカー内で非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末(50%脂肪)4.0gと混ぜた(試料8a)。SMP減圧から3分後に、65℃の温度において淹れたてのコロンビアコーヒー150mLで再構成すると、初期泡立ち高さが24mmの白くなったカプチーノ飲料が得られた。泡立ちは、クリーム状の硬さおよび主に明るい色の微気泡サイズの外観を有していた。ガス放散SMPを同じ重量の未処理SMP出発材料で置き換え、同じ重量のコーヒーホワイトナー粉末と混ぜ合わせ、同じ容量の淹れたコーヒーを使用して同様に再構成した比較試料(試料8b)は、類似の明るい色の微気泡サイズの泡立ち外観で8mmにすぎない初期泡立ち高さを有する飲料を生じた。ガス放散SMPか未処理SMP出発材料のどちらかと共に製剤化された飲料は、淹れたコーヒー単独と比較した場合に改善された風味および口当たりを示し、有利には、良好なタンパク質およびカルシウム源と一緒に3分の1回分のスキムミルクの等価物を提供した。
【0105】
したがって、指示された条件下で加圧窒素ガスをSMPに負荷することは、この製品応用例において、再構成時に、3倍の有効ガス含有量および発泡能力を提供した。大きめの泡立ち容量は、望ましい場合、圧縮された窒素または他のガスをガス放散SMP組成物に負荷するのに使用されるガス圧力を増加させることにより得ることができるであろう。代替方法として、少量の水、淹れたコーヒー、ミルク、または他の液体を使用し、ガス放散SMP組成物、またはコーヒーホワイトナー粉末との混合物を再構成し、淹れたコーヒー飲料中に注ぐことができるかまたはその上にスプーンにとることができる別の泡立ち状トッピングを作成することができる。
【実施例9】
【0106】
内部空隙を含有する粒子を含むいくつかの代替非晶質粉末を、粉末の試料6.0gを75mLの容器に別々に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、密閉し、5分にわたって保持し、排気することにより減圧することにより、有効なガス放散組成物を提供するそれらの能力について同様に評価した。これらは、異なる供給業者から市販されている高密度(かさ密度0.40g/mL)、噴霧乾燥SMP(試料9a)、極めて高い表面積(108m2/g)およびミクロ多孔性構造を有する低密度(タップ密度0.24g/mL)凍結乾燥マルトデキストリン粉末(試料9b)、および低密度(0.09g/mL)噴霧乾燥即席茶粉末(試料9c)を包含した。同様に評価された内部空隙を含有する他の代替非晶質粉末は、特許文献5の実施例1、2、3、および11の低密度ガス注入噴霧乾燥非タンパク質粉末(試料9d)、特許文献4の実施例1および2の噴霧乾燥非炭水化物粉末(試料9e)、および特許文献7の実施例1、4、6、7、および8のコーヒー粉末(試料9f)を包含した。
【0107】
これらの代替粒子状成分はどれも、開示されている方法に従って加圧窒素ガスと接触させた場合に、ガス放散組成物の製造を支援しないことが分かった。それらを、加圧粒子状成分の試料5.5gを砂糖4.0gおよび50%脂肪非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末2.5gと混ぜ、65mmの内径を有する250mLのビーカー内で88℃において水150mLで減圧直後に混合物を再構成し、泡立ち高さを、加圧粒子状成分の代わりに等しい重量の未処理粒子状成分を用いた対応する基準ミックスのそれと比較することにより各々評価した。すべての場合において、対応する基準ミックスにより提供される初期泡立ち高さの約2倍を超える初期泡立ち高さの有意な増加は測定されず、ガス放出の証拠も観察されなかった。これらの加圧粒子状成分は、空の内部粒子空隙の開口部により提供されるものを超える測定可能な利点を提供しなかった。
【0108】
しかしながら、スキムミルク固形物(47%)、グルコースシロップ固形物およびラクトース(52%)、およびリン酸二ナトリウム緩衝液(1%)からなる低密度(かさ密度0.34g/mL)ガス注入噴霧乾燥非晶質粉末(異なる供給業者により製造された)(Friesland Foods;The Netherlands)は、有意に増加したSMP含有量まで適当に再製剤化されると、有効なガス放散組成物を提供する可能性を示した。理論により制約されることを望むわけではないが、0.34g/mLのかさ密度、1.49g/mLの材料密度、0.71g/mLの見掛け密度、および0.73mLのAIVV(52%AIVV)を有するこの非晶質SMP含有粒子状成分は、本発明の方法を使用して有効なガス放散組成物を潜在的に提供するために、SMPおよび/またはNFDMを少なくとも約60重量%、好ましくは、少なくとも約80重量%、より好ましくは、少なくとも約90重量%を含むように再製剤化されるべきである。
【0109】
このSMP含有粉末を、本明細書に実施例1に記載されている圧縮ガス負荷プロセスおよび泡測定方法に試料6.0gをかけることにより本発明の開発中に試験した。この製品応用例において、未処理粉末のガス含有量は、再構成時に、処理の後に約4mL/gから8mL/g未満まで増加することが観察された。別の試料6.0gを同様に加圧し、4日にわたって処理粉末を保持した後に評価した。貯蔵した処理粉末のガス含有量は、7mL/g未満の値まで、おそらくほんのわずかに減少するように見えた。本発明の好ましいSMPまたはNFDMに比較すると、この加圧SMP含有粒子状成分は、有意に低めのガス含有量および放出泡容量を提供し、空の内部粒子空隙の開口部により提供されるものを超える測定可能な利点を提供しなかった。
【実施例10】
【0110】
以下の実施例は、トラップされた圧縮ガスを含有する非タンパク質発泡性組成物の使用に比べて、本発明のガス放散組成物と共に製剤化された即席カプチーノ飲料の認知されるミルク状態および泡立ち安定性を増強する能力を示している。実施例2のロット3SMPの試料6.0gを75mLの容器に入れ、次いで、25℃において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、2.5分にわたって1000psi(70.3kg/cm2)の一定圧力下に保持し、排気することにより減圧してガス放散組成物を得た。カプチーノミックス(試料10a)を、このガス放散組成物5.0gを、可溶性コーヒー粉末2.0g、砂糖4.0g、および非発泡性高密度コーヒーホワイトナー粉末(50%脂肪)4.0gに加えることにより調製した。比較カプチーノミックス(試料10b)を、ガス放散組成物を等しい重量の、92%マルトデキストリンおよび8%ナトリウムオクテニルスクシネート置換修飾デンプン(乾燥ベース)を含有する窒素注入噴霧乾燥粉末を含む非タンパク質発泡組成物で置き換えることを除いて、同じ方式に従って調製し、続いて、特許文献5の実施例2に一般的に記載されている方法を使用してトラップされた圧縮ガスを負荷した(すなわち、粉末試料6.0gを圧力容器内で室温において窒素ガスで1000psi(70.3kg/cm2)まで加圧し、60分超にわたって120℃の温度において容器を加熱することによりそのガラス転移温度より高く粉末を加熱し、室温まで容器を冷却し、開けることにより容器を減圧して圧縮ガスを放出させる)。各ミックスを、65mmの内径を有する250mLのビーカーに入れ、減圧から5分後に、88℃の温度において水150mLで再構成した。ガス放散組成物を含有するカプチーノミックスである試料10aは、再構成された場合に、32mmの初期飲料泡立ち高さを生じた。比較ミックスである試料10bも、再構成された場合に、32mmの初期飲料泡立ち高さを生じた。比較飲料と本発明のガス放散組成物を含有する飲料の双方の初期泡立ち高さを二つ組で測定し、泡立ち高さも、再構成後に最長10分にわたって経時的に測定し、泡安定性を比較した。下記の表3に示す結果により例示されるように、本発明のガス放散組成物により生じた泡立ちは、比較非タンパク質発泡性組成物により生じた泡立ちよりも有益に安定であり、有意に長めの半減期(すなわち、泡立ちが、その初期高さの2分の1(この実施例では16mm)まで減衰する時点)を提供した。
【0111】
複製カプチーノ飲料を、訓練された官能パネルにより評価し、各飲料の認知されるミルク状態を決定した。パネルを、まず、メンバーに、250mLのビーカー内で88℃の温度において生温かい液体全乳50mLおよび水100mLで再構成された可溶性コーヒー粉末2.0gおよび砂糖4.0gを含む基準飲料の外観を観察し風味を味わってもらうことにより較正した。全乳の使用は、本発明のガス放散組成物を含有する飲料と比較飲料の双方を製剤化するのに使用されるコーヒーホワイトナー粉末により付与される脂肪レベル(2.0g)よりも約15%高い(2.3g)脂肪レベルを基準飲料に付与した。全乳脂肪は、硬化ココナッツ脂肪(コーヒーホワイトナー粉末に含有されているような)ではなく乳脂肪を含有し、本発明のガス放散組成物(5.0g)とコーヒーホワイトナー(0.2g)の組合せにより与えられるのとほぼ同じ総レベルの無脂肪ミルク固形物(5.2g)を与えた。比較飲料は、分散した脂肪滴を安定化するために製造中にコーヒーホワイトナーを製剤化するのに使用されるカゼイン酸ナトリウム(タンパク質)のみにより与えられるかなり低めのレベルの無脂肪ミルク固形物(0.2g)を含有していた。
【0112】
基準飲料を使用し、可溶性コーヒーおよび砂糖を含有する熱飲料においてミルクはどのように認知されるかについて5名のメンバーからなる官能パネルを訓練した。較正の後に、パネルメンバーは、本発明のガス放散組成物を含有する飲料および非タンパク質発泡組成物を含有する比較飲料を評価し、直接比較した。飲料を、どの飲料がどの発泡組成物を含有しているについて知らせずに、パネルの前で調製した。パネルの各メンバーに、2つの飲料のうちのどちらが、よりミルク状の外観、質感、風味、後味、および口当たりを有していたかを示すように個別に尋ね、次いで、パネルの各メンバーに、どちらの飲料がよりミルク状であったかを示すように求めた。これらの官能評価を行った後に、パネルメンバーに、官能訓練または測定ではなく個人的選好のみを基準として、潜在的消費者としてどちらの飲料を飲みたいか、および相対的なそれらの選好度(軽度、中等度、または強度)を示すように求めた。表4に示す結果により例示されるように、パネルメンバーは、個人的にも集団的にも、本発明のガス放散組成物を含有する飲料が非タンパク質発泡剤を含有する比較飲料より明らかにミルク状であると評価した。2名のパネルメンバーは、本発明の組成物を組み入れた飲料よりも強いコーヒーインパクトを有していると認知したため、比較飲料に対して軽度の選好を表明した。他の3名のパネルメンバーは、よりミルク状のその属性のため、本発明のガス放散組成物を含有する飲料に対して中等度(2名のメンバー)の選好か強度(1名のメンバー)の選好のどちらかを表明した。数学的乗数(軽度=×1;中等度=×2;強度=×3)を使用してこれらの選好スコアに重み付けすると、比較飲料を上回る本発明のガス放散組成物を含有する飲料に対する明らかな総合的選好(3.5対1)が示された。
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【実施例11】
【0115】
以下の実施例は、本発明の粒子状成分およびガス放散組成物の物理的および構造的特性を特徴付けることができることを示している。実施例2のロット3SMPの別の試料を、圧縮ガスと接触させる前に走査電子顕微鏡(SEM)、水銀ポロシメトリー侵入、および窒素ガス吸着により分析し、粒子状成分の細孔構造に関連する情報を得た。
【0116】
図4A〜Fは、外部および内部表面ならびに細孔構造を示すSEM顕微鏡写真をまとめたものである。これらの画像は、粒子状成分が、内部および外部開口部および制限通路を通じて周囲の大気と間接的または直接的に連結している内部空隙からなる多孔性構造を有することを明らかに裏付けている。多くの内部空隙が複数の開口部および制限通路を通じて他の内部空隙と相互連結していることも分かる。より近くで調べると、隣接する内部空隙を隔てる多くの半透明な薄壁表面が存在することが分かる。理論により制約されることを望むわけではないが、そのような表面は、内部空隙と内部空隙の間ならびに粒子の中および外への、分子放出による圧縮ガスの移動を遅らせる1つまたは複数の見えないほど小さな制限通路により貫かれている可能性が最も高いことが考えられる。
【0117】
図5は、細孔平均直径の対数の関数として増分細孔容量をプロットする水銀侵入ポロシメトリーグラフである。分析データを下記の表5に示す。データは、制限通路と開放内部空隙の両方の存在を明らかに裏付けている。図5は、平均細孔直径の3つの異なる範囲、約3〜300μmに位置している最大直径範囲、約3〜20nmに位置している最小直径範囲、および約30〜2000nmに位置している中間直径範囲を明らかに示している。理論により制約されることを望むわけではないが、最大直径範囲は、ほぼすべてが内部空隙からなるが一部の開口部も包含し、最小直径範囲は、事実上すべてが制限通路からなり、中間直径範囲は、主に、開口部および制限通路からなるが、小さな内部空隙も包含する。実施例1のSMPロット1および実施例2のSMPロット2の試料の同様の分析は、一般的に、SMPロット3について得られたのと同じ傾向、すなわち、3つの異なる細孔平均直径範囲の存在を生じたが、わずかにから幾分異なる範囲スパンおよび関連する増分細孔容量を伴った。
【0118】
図6は、細孔平均直径の対数の関数として増分細孔表面積(この分析方法に関連する確立した関係を使用して細孔容量に関連付けることができる)をプロットする窒素吸着グラフである。分析データを下記の表6に示す。データは、極端に小さな制限通路の存在を明らかに裏付けている。図6は、水銀ポロシメトリーを使用して同定された3つの範囲の補足となる0.5〜2.8nm(約5〜28Å)に位置する別個の4番目の範囲の細孔平均直径の存在を明らかに示している。SMPロット1および2は、この方法を使用して分析しなかったが、一般的に同じ傾向をしめすと予想されるであろう。同じ分析は、SMPが、周囲温度においてあらゆる有意な量の物理的ガス吸着を提供するか、または物理的吸着により圧縮ガスを保持する粉末の能力を有意に増加させるにはあまりにも低すぎる約0.4m2/gの単層表面積を有することを示した。
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】
【表7】
【0122】
本発明を、好ましい実施形態に関して記載してきたが、本発明は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者に明らかな多くの修正および変更が可能であることは明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、粒子内の複数の制限通路、および第2の高圧において内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物であって、
制限通路は、内部空隙と外部表面との間のガス伝達を提供し、
制限通路は、制限直径を有し、
制限直径は、(1)粒子を第1の高圧において食用ガスと接触させたとき外部表面から内部空隙内に制限通路を通して食用ガスを通過させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を提供し、(2)粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内のガスを第2の高圧において内部空隙から制限通路を通してゆっくりとかつ制御可能にガスを脱出させ、
第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力よりは高く、
第2の高圧において食用ガスを含有する内部空隙を有する粒子は、水性媒体と接触したときに、速やかに溶け、それによって、内部空隙から水性媒体中に食用ガスを放出し、水性媒体に泡、泡立ち、または炭酸様組織を提供する
ことを特徴とするガス放散粒子組成物。
【請求項2】
外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、粒子内の複数の制限直径通路、および内部空隙と外部表面との間のガス伝達で第2の高圧において内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を製造する方法であって、
外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、および粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子を含む可溶性のガス注入噴霧乾燥粒子状成分を、食用ガスが外部表面から内部空隙内に制限直径通路を通過するように、第1の高圧において周囲温度で食用ガスと接触させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を調製することを含み、
粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内の食用ガスを第2の高圧において内部空隙から制限直径通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出させ、
第2の高圧は、第1の高圧以下であるが、周囲圧力より大きい
ことを特徴とするガス放散粒子組成物の製造方法。
【請求項3】
制限直径が、約1μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
制限直径が、ガス分子の寸法の少なくとも約2倍であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、第2の高圧における内部空隙内のガスが内部空隙から制限通路を通じて脱出する時間が、少なくとも約1日であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
内部空隙内に保持されているガスの量が、組成物1グラム当たり少なくとも約8mLであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
第1の高圧が、約100(7.03kg/cm2)から約5000psi(3515kg/cm2)の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
粒子が、約0.5から約5000μmの範囲の粒子寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
内部空隙は、約0.5から約5.0mL/gの範囲の容量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
内部空隙は、約0.01から約2000μmの範囲の直径を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
第2の高圧が、約2気圧より大きいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
粒子が、低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末、低密度ガス注入噴霧乾燥無脂肪ミルク粉末、およびそれらの組合せを含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
制限直径が、約1μm未満であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項14】
制限直径が、ガス分子の寸法の少なくとも約2倍であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項15】
粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、第2の高圧における内部空隙内のガスが内部空隙から制限通路を通じて脱出する時間が、少なくとも約1日であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項16】
内部空隙内に保持されているガスの量が、組成物1グラム当たり少なくとも約8mLであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項17】
第1の高圧が、約100(7.03kg/cm2)から約5000psi(3515kg/cm2)の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項18】
粒子が、約0.5から約5000μmの範囲の粒子寸法を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項19】
内部空隙が、約0.5から約5.0mL/gの範囲の容量を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
内部空隙が、約0.01から約2000μmの範囲の直径を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項21】
第2の高圧が、約2気圧より大きいことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項22】
粒子が、低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末、低密度ガス注入噴霧乾燥無脂肪ミルク粉末、およびそれらの組合せを含む群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項1】
外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、粒子内の複数の制限通路、および第2の高圧において内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物であって、
制限通路は、内部空隙と外部表面との間のガス伝達を提供し、
制限通路は、制限直径を有し、
制限直径は、(1)粒子を第1の高圧において食用ガスと接触させたとき外部表面から内部空隙内に制限通路を通して食用ガスを通過させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を提供し、(2)粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内のガスを第2の高圧において内部空隙から制限通路を通してゆっくりとかつ制御可能にガスを脱出させ、
第2の高圧は、第1の高圧に等しいかそれ以下であるが、周囲圧力よりは高く、
第2の高圧において食用ガスを含有する内部空隙を有する粒子は、水性媒体と接触したときに、速やかに溶け、それによって、内部空隙から水性媒体中に食用ガスを放出し、水性媒体に泡、泡立ち、または炭酸様組織を提供する
ことを特徴とするガス放散粒子組成物。
【請求項2】
外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、粒子内の複数の制限直径通路、および内部空隙と外部表面との間のガス伝達で第2の高圧において内部空隙内に含有された食用ガスを含むガス放散粒子組成物を製造する方法であって、
外部表面を有する粒子、粒子内の複数の内部空隙、および粒子内の複数の制限直径通路を有する粒子を含む可溶性のガス注入噴霧乾燥粒子状成分を、食用ガスが外部表面から内部空隙内に制限直径通路を通過するように、第1の高圧において周囲温度で食用ガスと接触させ、内部空隙が第2の高圧において食用ガスを含有する粒子を調製することを含み、
粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、内部空隙内の食用ガスを第2の高圧において内部空隙から制限直径通路を通じてゆっくりとかつ制御可能に脱出させ、
第2の高圧は、第1の高圧以下であるが、周囲圧力より大きい
ことを特徴とするガス放散粒子組成物の製造方法。
【請求項3】
制限直径が、約1μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
制限直径が、ガス分子の寸法の少なくとも約2倍であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、第2の高圧における内部空隙内のガスが内部空隙から制限通路を通じて脱出する時間が、少なくとも約1日であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
内部空隙内に保持されているガスの量が、組成物1グラム当たり少なくとも約8mLであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
第1の高圧が、約100(7.03kg/cm2)から約5000psi(3515kg/cm2)の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
粒子が、約0.5から約5000μmの範囲の粒子寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
内部空隙は、約0.5から約5.0mL/gの範囲の容量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
内部空隙は、約0.01から約2000μmの範囲の直径を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
第2の高圧が、約2気圧より大きいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
粒子が、低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末、低密度ガス注入噴霧乾燥無脂肪ミルク粉末、およびそれらの組合せを含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
制限直径が、約1μm未満であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項14】
制限直径が、ガス分子の寸法の少なくとも約2倍であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項15】
粒子が第1の高圧におけるガスとの接触から解放されたとき、第2の高圧における内部空隙内のガスが内部空隙から制限通路を通じて脱出する時間が、少なくとも約1日であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項16】
内部空隙内に保持されているガスの量が、組成物1グラム当たり少なくとも約8mLであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項17】
第1の高圧が、約100(7.03kg/cm2)から約5000psi(3515kg/cm2)の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項18】
粒子が、約0.5から約5000μmの範囲の粒子寸法を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項19】
内部空隙が、約0.5から約5.0mL/gの範囲の容量を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
内部空隙が、約0.01から約2000μmの範囲の直径を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項21】
第2の高圧が、約2気圧より大きいことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項22】
粒子が、低密度ガス注入噴霧乾燥スキムミルク粉末、低密度ガス注入噴霧乾燥無脂肪ミルク粉末、およびそれらの組合せを含む群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【公開番号】特開2010−99067(P2010−99067A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−238310(P2009−238310)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508247877)クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238310(P2009−238310)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508247877)クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー (53)
【Fターム(参考)】
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