説明

ガス検出装置

【課題】検出対象の気体中に検出対象ガスと検出対象ガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、検出対象のガス成分の濃度を精度よく検出する。
【解決手段】みなし濃度算出部32によって、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bからの検出信号に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであるとみなした場合のみなし濃度Cpreを算出し、信頼度要否判定部34によって、みなし濃度が閾値より大きく、信頼度Rを算出する必要があると判定された場合に、信頼度算出部36によって、各センサからの検出信号の変化特性から得られたみなし濃度Cpre1とCpre2との比で表される変数xに対して、呼気中のガス成分がエタノールガスであること信頼度Rを算出し、エタノール濃度算出部38によって、みなし濃度Cpreと信頼度Rとを乗算してエタノールガス濃度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出装置に係り、特に、運転者の呼気に含まれるアルコールの濃度を検出することができるガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特性の異なる複数のガスセンサの出力を組み合わせてガスを識別する際に、情報装置によりパターン認識を行うことによりガス識別能力を向上させたガス識別装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、酸化物半導体ガスセンサを周期的に温度変化させ、温度変化に対する応答波形のパラメータからガス種を決定するガス検出装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−242039号公報
【特許文献2】特開平7−311170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、パターン認識のための複雑な情報処理を必要とし、また、ガスセンサからの出力パターンが予め記憶された出力パターンに一致しない場合には対応することができないため、検出対象の気体中に検出対象ガスと検出対象ガス以外のガスが含まれている場合には、検出対象ガスの成分と検出対象ガス以外のガスの成分との区別ができない場合がある、という問題がある。
【0006】
また、上記の特許文献2に記載の技術では、センサ温度を周期的に変化させる必要があるため、目的とするガスが、人の呼気のように持続時間の短い一過性のガスである場合には、十分対応することができず、精度よくガス濃度を検出することができない、という問題がある。このような場合には、金属酸化物半導体ガスセンサのような応答性の良いガスセンサを用いて、安定した状態で使用することが望ましい。しかし、金属酸化物半導体ガスセンサは、ガス選択性が高くないため、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガス以外のガス成分に対しても応答してしまい、検出対象ガスの実際のガス濃度よりも高い定量値として検出されて誤検出となる、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、検出対象の気体中に検出対象ガスと検出対象ガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、検出対象のガス成分の濃度を精度よく検出することができるガス検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明のガス検出装置は、各々検出対象ガス成分に対して感度を有し、かつ該検出対象ガス成分以外のガス成分に対する感度が異なり、各々検出対象の気体中に含まれるガス成分の濃度に関連する物理量を検出して検出信号を出力する複数のガスセンサと、前記複数のガスセンサの検出信号の各々を用いて、前記検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度を算出するみなしガス濃度算出手段と、前記複数のガスセンサの検出信号の各々について求めた同一の特性から特徴量を算出し、予め複数の特徴量の各々について求めた検出対象ガス成分であることの信頼度、及び算出された特徴量に基づいて、前記みなしガス濃度が前記検出対象ガス成分であることの信頼度を算出する信頼度算出手段と、前記みなしガス濃度と前記信頼度算出手段で算出された信頼度とを乗算して前記検出対象ガスのガス濃度を算出するガス濃度算出手段とを含んで構成されている。
【0009】
第1の発明のガス検出装置によれば、各々検出対象ガス成分に対して感度を有し、かつ該検出対象ガス成分以外のガス成分に対する感度が異なる複数のガスセンサが、各々検出対象の気体中に含まれるガス成分の濃度に関連する物理量を検出して検出信号を出力する。みなしガス濃度算出手段が、複数のガスセンサの検出信号の各々を用いて、検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度を算出する。また、信頼度算出手段が、複数のガスセンサの検出信号の各々について求めた同一の特性から特徴量を算出し、予め複数の特徴量の各々について求めた検出対象ガス成分であることの信頼度、及び算出された特徴量に基づいて、みなしガス濃度が検出対象ガス成分であることの信頼度を算出する。そして、ガス濃度算出手段が、みなしガス濃度と信頼度算出手段で算出された信頼度とを乗算して検出対象ガスのガス濃度を算出する。
【0010】
このように、検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度と、複数のガスセンサの特性から求まる特徴量に基づいて算出されたみなしガス濃度が検出対象ガス成分であることの信頼度とを乗算して検出対象ガス成分のガス濃度を算出することにより、検出対象ガスであることの信頼度を加味したガス濃度が算出されて、検出対象の気体中に検出対象ガスと検出対象ガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、検出対象ガス成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0011】
第1の発明のガス検出装置において、前記特徴量を、前記複数のガスセンサの検出信号の各々について求めた同一の特性の比率とすることができる。
【0012】
第2の発明のガス検出装置は、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガス成分、及び該検出対象ガス成分以外のガス成分の濃度に関連する物理量を検出して検出信号を出力するガスセンサと、前記ガスセンサの検出信号を用いて、前記検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度を算出するみなしガス濃度算出手段と、前記ガスセンサの検出信号について求めた複数種類の特性から特徴量を算出し、予め複数の特徴量の各々について求めた検出対象ガス成分であることの信頼度、及び算出された特徴量に基づいて、前記みなしガス濃度が前記検出対象ガス成分であることの信頼度を算出する信頼度算出手段と、前記みなしガス濃度と前記信頼度算出手段で算出された信頼度とを乗算して前記検出対象ガスのガス濃度を算出するガス濃度算出手段とを含んで構成されている。
【0013】
第2の発明のガス検出装置によれば、ガスセンサが、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガス成分、及び該検出対象ガス成分以外のガス成分の濃度に関連する物理量を検出して検出信号を出力する。みなしガス濃度算出手段が、ガスセンサの検出信号を用いて、検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度を算出する。また、信頼度算出手段が、ガスセンサの検出信号について求めた複数種類の特性から特徴量を算出し、予め複数の特徴量の各々について求めた検出対象ガス成分であることの信頼度、及び算出された特徴量に基づいて、みなしガス濃度が検出対象ガス成分であることの信頼度を算出する。そして、ガス濃度算出手段が、みなしガス濃度と信頼度算出手段で算出された信頼度とを乗算して検出対象ガスのガス濃度を算出する。
【0014】
このように、検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度と、ガスセンサの複数種類の特性から求まる特徴量に基づいて算出されたみなしガス濃度が検出対象ガス成分であることの信頼度とを乗算して検出対象ガス成分のガス濃度を算出することにより、検出対象ガスであることの信頼度を加味したガス濃度が算出されて、検出対象の気体中に検出対象ガスと検出対象ガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、検出対象ガス成分の濃度を精度よく検出することができる。
【0015】
第2の発明のガス検出装置において、前記複数種類の特性に、前記検出対象の気体中に含まれるガス成分の濃度に依存する特性、及び前記検出対象の気体中に含まれるガス成分の種類に依存する特性を含めることができる。
【0016】
また、第1及び第2の発明のガス検出装置において、前記特性を、前記検出信号のピーク値、前記検出信号の変化率の最大値、前記検出信号の変化率の最小値、前記検出信号が変化を開始してからピーク値になるまでの時間、前記検出信号がピーク値になってから変化が終了するまでの時間、前記検出信号が変化を開始してからピーク値になるまでの該検出信号の変化パターン、または前記検出信号がピーク値になってから変化が終了するまでの該検出信号の変化パターンとすることができる。
【0017】
また、第1及び第2の発明のガス検出装置において、前記みなし濃度が予め定めた値より大きい場合には、前記信頼度算出手段で算出された信頼度を用いて前記ガス濃度算出手段で前記検出対象ガス成分のガス濃度を算出し、前記みなし濃度が予め定めた値より小さい場合には、前記みなし濃度を前記検出対象ガス成分のガス濃度とするようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度と、みなしガス濃度が検出対象ガス成分であることの信頼度とを乗算して検出対象ガス成分のガス濃度を算出することにより、検出対象ガスであることの信頼度を加味したガス濃度が算出されて、検出対象の気体中に検出対象ガスと検出対象ガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、検出対象ガス成分の濃度を精度よく検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係るエタノール濃度検出装置を運転席のステアリングコラムに取り付けた状態を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態を示す概略図である。
【図3】本実施の形態のエタノール濃度検出装置のアルコールセンサの構成を示す回路図である。
【図4】第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置の構成を示すブロック図である。
【図5】アルコールセンサまたはガスセンサの検出信号の時系列変化、ピークの高さ、変化開始からピークまでの時間、及びピークから変化終了までの時間を示すグラフである。
【図6】信頼度関数R(x)の一例を示すグラフである。
【図7】第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノールガス濃度算出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態を示す概略図である。
【図9】第2の実施の形態のエタノール濃度検出装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノールガス濃度算出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】アルコールセンサまたはガスセンサの検出信号の時系列変化、検出信号の変化率の最大値、及び最小値を示すグラフである。
【図12】アルコールセンサまたはガスセンサの検出信号の時系列変化、及び予測された飽和出力値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、ドライバの呼気からアルコールの一種であるエタノールの濃度を検出するエタノール濃度検出装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0021】
図1に示すように、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置10は、運転席に設けられたステアリングコラム12のドライバの呼気が到達可能な位置に取り付けられている。エタノール濃度検出装置10は、先端部に拡径した吸い込み口20Aが形成された細長円筒状の呼気導入管20を備えており、呼気導入管20の中間部の内部には、後述するアルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bを備えたガスセンサ群24が取り付けられている。
【0022】
図2に示すように、呼気導入管20の内部であって、ガスセンサ群24より吸い込み口20A側には、ドライバの呼気を吸い込み口20Aから吸い込むために駆動される吸い込みファン22が設けられている。
【0023】
呼気導入管20の中間部の内部に、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出する酸化物半導体ガスセンサであるアルコールセンサ24Aと、多くの種類のガス成分に感度を有するガスセンサ24Bとが取り付けられている。アルコールセンサ24Aと、ガスセンサ24Bとは、呼気導入管20の中間部の内部に対向するように取り付けられている。
【0024】
アルコールセンサ24Aは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれるエタノールガスを検出するセンサであり、例えば、金属酸化物半導体を用いたTGS2620(フィガロ技研社製、商品名)を使用することができ、図3に示すような回路で構成されている。アルコールセンサ24Aでは、ヒーター電圧Vと回路電圧Vが印加され、センサ抵抗Rに直列に接続された負荷抵抗Rの両端電圧VOUTを、検出信号として出力する。従って、アルコールセンサ24Aは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれるエタノールガスの濃度が高くなるに従って、レベルが高い検出信号を出力し、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれるエタノールガスの濃度が低くなるに従って、レベルが低い検出信号を出力する。
【0025】
また、アルコールセンサ24Aは、ガス成分の選択性が比較的低く、エタノールガス以外に、例えば、水素、一酸化炭素、メタン、イソブタンなどに感度を有し、各々のガス成分に対して異なる感度特性を有している。
【0026】
ガスセンサ24Bは、目的成分(エタノール)以外のガス成分に対する感度(変化特性)が、アルコールセンサ24Aと異なり、多くの種類のガス成分に感度を有している。ガスセンサ24Bとしては、例えば、空気質センサ(空気の汚れを検知するセンサ)を用いることができ、TGS2600(フィガロ技研社製、商品名)を使用することができる。
【0027】
ガスセンサ24Bは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれる、感度を有するガス成分の濃度が高くなるに従って、レベルが高い検出信号を出力し、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれる、感度を有するガス成分の濃度が低くなるに従って、レベルが低い検出信号を出力する。
【0028】
この実施の形態によれば、吸い込みファン22を駆動することにより、ドライバから吐き出された呼気は呼気導入管20の吸い込み口20Aから呼気導入管20内に吸入されると共に、呼気が空気と混合されることで任意に希釈され、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bへ一定流速で到達する。そして、呼気は、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bに接触した後、呼気導入管20から外部に排出される。
【0029】
アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bに感度を有するガス成分がアルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bに接触することにより、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bによって気体中のガス成分の濃度に応じた検出信号が出力される。アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bの各々から出力された検出信号は、後述するエタノール濃度検出器30に入力され、入力された検出信号に基づいて、検出対象ガスとしてのエタノールガスの濃度が検出される。
【0030】
図4に示すように、エタノール濃度検出装置10は、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bに接続され、かつ、エタノールガス成分の濃度を検出して、表示装置50に表示させるエタノール濃度検出器30を備えている。
【0031】
エタノール濃度検出器30は、エタノール濃度検出装置10全体の制御を司るCPU、後述するエタノール濃度算出処理ルーチン等の各種プログラム等を記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、及びこれらを接続するバスを含むマイクロコンピュータで構成することができる。
【0032】
エタノール濃度検出器30は、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bからの検出信号に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであるとみなした場合のみなし濃度を算出するみなし濃度算出部32と、みなし濃度算出部32で算出されたみなし濃度に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであることの信頼度を算出する必要があるか否かを判定する信頼度要否判定部34と、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bからの検出信号に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであることの信頼度を算出する信頼度算出部36と、みなし濃度及び信頼度に基づいて、エタノールガス濃度を算出するエタノール濃度算出部38と、エタノール濃度算出部38による算出結果を表示装置50に表示するように制御する表示制御部40とを備えている。
【0033】
みなし濃度算出部32は、呼気中に含まれるガス成分がエタノールガスであるとみなして、アルコールセンサ24Aからの検出信号の変化特性として検出信号のピークの高さを算出する。検出信号のピークの高さΔf(図5参照)は、検出信号がピークとなったときのピーク最大値fを検出し、ピーク最大値f及び検出信号の閾値fth(例えば、変化前の検出信号の値を検出信号のベース値fとした場合、ベース値f+0.2V)を用いて、下記(1)式に従って算出する。
【0034】
Δf=f−fth ・・・(1)
【0035】
そして、ピークの高さΔfとエタノールガス濃度との予め求められた関係に基づいて、アルコールセンサ24Aの検出信号に基づくみなし濃度Cpre1を算出する。同様に、ガスセンサ24Bの検出信号の変化特性として検出信号のピークの高さを算出し、ピークの高さΔfとエタノールガス濃度との予め求められた関係に基づいて、ガスセンサ24Bの検出信号に基づくみなし濃度Cpre2を算出する。そして、予め算出された定量係数a、b及びcを用いて表される重回帰式(下記(2)式)に従って、エタノールガスのみなし濃度Cpreを算出する。
【0036】
pre=a×Cpre1+b×Cpre2+c ・・・(2)
【0037】
信頼度要否判定部34は、みなし濃度算出部32で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreが閾値Cthより大きいか否かを判定することにより、後述する信頼度算出部36により信頼度を算出する必要があるか否かを判定する。みなし濃度算出部32でエタノールガスのみなし濃度Cpreを算出する際に、呼気中に含まれるガス成分がエタノールガスであるとみなしたが、実際には、エタノールガス以外のガス成分が含まれている可能性がある。この場合、目的成分であるエタノールガス以外のガス成分に対するセンサ応答が検出信号に重畳されて、エタノールガスのガス濃度よりも高い定量値としてエタノールガスのみなし濃度Cpreが算出されている可能性がある。そこで、エタノールガスのみなし濃度Cpreが閾値Cth(例えば、0.15mg/L)より大きい場合には、信頼度の算出が必要であると判定する。みなし濃度Cpreが閾値Cth以下の場合には、信頼度の算出は不要であると判定して、みなし濃度Cpreをそのままエタノールガス濃度Cとする。
【0038】
信頼度算出部36は、下記(3)式で表されるように、みなし濃度算出部32で算出されたアルコールセンサ24Aの検出信号に基づくみなし濃度Cpre1、及びガスセンサ24Bの検出信号に基づくみなし濃度Cpre2の比を変数xとする。
【0039】
x=Cpre2/Cpre1 ・・・(3)
【0040】
ここで、みなし濃度Cpre1及びみなし濃度Cpre2は、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bの各々の検出信号の変化特性であるピークの高さに基づいて算出されており、みなし濃度Cpre1及びみなし濃度Cpre2自体も、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bの各々の検出信号の変化特性といえる。
【0041】
また、変数xに対し、呼気中のガス成分が目的成分であるエタノールガスであることの信頼度を示す信頼度関数R(x)を予め定めておく。ここでは、信頼度関数R(x)を、パラメータa及びbを用いて下記(4)式で定義しており、このR(x)に基づいて、みなし濃度Cpreに対する信頼度Rを算出する。
【0042】
【数1】

【0043】
例えば、a=1、b=0.5とした場合の信頼度関数R(x)を表すグラフを図6に示す。呼気中に含まれるガス成分がエタノールガスであれば、みなし濃度Cpre1及びみなし濃度Cpre2は略同一の値となるはずであるので、変数xが「1」のときに信頼度Rが最も大きくなる。
【0044】
なお、パラメータbの値が小さいほど誤検出が少なくなり、未検出が多くなる。一方、パラメータbの値が大きいほど誤検出が多くなり、未検出が少なくなる。そこで、各センサからの検出信号の実測値や、どの程度未検出を許容して誤検出を低減させるか等の目的に応じて、パラメータa及びbの値を設定する。
【0045】
エタノール濃度算出部38は、下記(5)式に従って、みなし濃度算出部32で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreと、信頼度算出部36で算出された信頼度Rとの積をエタノールガス濃度Cとして算出する。
【0046】
C=Cpre×R ・・・(5)
【0047】
信頼度Rが大きい場合には、エタノールガス濃度Cも大きくし、信頼度Rが小さい場合には、エタノールガス濃度Cも小さくすることで、目的成分であることの信頼度をガス濃度に反映させている。
【0048】
次に、図7を参照して、第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置10におけるエタノールガス濃度算出処理ルーチンについて説明する。ドライバが車両シートに着座すると、ドライバの呼気が呼気導入管20に吹き込まれる状態となり、ドライバによってイグニッションスイッチがオンされると、エタノール濃度検出装置10のエタノール濃度検出器30において、図7に示すエタノール濃度算出処理ルーチンが実行される。
【0049】
ステップ100で、アルコールセンサ24A及びガスセンサ24Bの検出信号を取得する。
【0050】
次に、ステップ102で、上記ステップ100で取得した検出信号の時系列変化に基づいて、アルコールセンサ24Aの検出信号の変化特性としてピークの高さを算出し、ピークの高さとエタノールガス濃度との予め求められた関係に基づいて、アルコールセンサ24Aの検出信号に基づくみなし濃度Cpre1を算出する。同様に、ガスセンサ24Bの検出信号の変化特性としてピークの高さを算出し、ピークの高さとエタノールガス濃度との予め求められた関係に基づいて、ガスセンサ24Bの検出信号に基づくみなし濃度Cpre2を算出する。
【0051】
次に、ステップ104で、上記(2)式に従って、上記ステップ102で算出されたアルコールセンサ24Aの検出信号に基づくみなし濃度Cpre1、及びガスセンサ24Bの検出信号に基づくみなし濃度Cpre2を用いて、エタノールガスのみなし濃度Cpreを算出する。
【0052】
次に、ステップ106で、上記ステップ104で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreが閾値Cthより大きいか否かを判定することにより、信頼度の算出が必要であるか否かを判定する。エタノールガスのみなし濃度Cpreが閾値Cth(例えば、0.15mg/L)より大きい場合には、信頼度の算出が必要であると判定してステップ108へ進む。一方、みなし濃度Cpreが閾値Cth以下の場合には、信頼度の算出は不要であると判定して、ステップ114へ進み、上記ステップ104で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreをそのままエタノールガス濃度Cとして置き換えて、ステップ116へ進む。
【0053】
ステップ108では、上記(3)式に従って、上記ステップ102で算出されたアルコールセンサ24Aの検出信号に基づくみなし濃度Cpre1、及びガスセンサ24Bの検出信号に基づくみなし濃度Cpre2を用いて、これらの比を変数xとして算出する。次に、ステップ110で、上記(4)式に従って、上記ステップ108で算出された変数xに対する信頼度Rを算出する。
【0054】
次に、ステップ112で、上記(5)式に従って、上記ステップ104で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreと、上記ステップ110で算出された信頼度Rとの積をエタノールガス濃度Cとして算出する。
【0055】
次に、ステップ116で、上記ステップ112で算出されたエタノールガス濃度C、または、上記ステップ114で置き換えられたエタノールガス濃度Cを表示装置50に表示させて、本ルーチンを終了する。
【0056】
以上説明したように、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置によれば、呼気中のガス成分がエタノールガスであるとみなして、アルコールセンサ及びガスセンサの検出信号の変化特性からエタノールガスのみなし濃度を算出し、アルコールセンサの検出信号に基づくみなし濃度とガスセンサの検出信号に基づくみなし濃度とに基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであることの信頼度を算出し、エタノールガスのみなし濃度と信頼度との積からエタノールガス濃度を算出する。これにより、目的成分であるエタノールガスであることの信頼度を加味したエタノールガス濃度を算出することができるため、呼気中にエタノールガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、エタノールガス濃度を精度よく検出することができる。
【0057】
また、算出されたエタノールガスのみなし濃度が所定の閾値より大きい場合にのみ信頼度を算出することにより、信頼度の算出が不要な場合の計算時間を短縮することができる。
【0058】
また、信頼度関数のパラメータa及びbを、誤検出及び未検出の目標レベルに基づいて定めることにより、目的に応じた柔軟な検出結果を得ることができる。
【0059】
次に、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。第1の実施の形態では、2つのガスセンサを用いる場合について説明したが、第2の実施の形態では、1つのガスセンサの検出信号について2つの変化特性を用いる点が異なる。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図8に示すように、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置210には、呼気導入管20の中間部の内部に、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出する酸化物半導体ガスセンサであるアルコールセンサ24Aが取り付けられている。
【0061】
この実施の形態によれば、吸い込みファン22を駆動することにより、ドライバから吐き出された呼気は呼気導入管20の吸い込み口20Aから呼気導入管20内に吸入されると共に、呼気が空気と混合されることで任意に希釈され、アルコールセンサ24Aへ一定流速で到達する。そして、呼気は、アルコールセンサ24Aに接触した後、呼気導入管20から外部に排出される。
【0062】
アルコールセンサ24Aに感度を有するガス成分がアルコールセンサ24Aに接触することにより、アルコールセンサ24Aによって気体中のガス成分の濃度に応じた検出信号が出力される。アルコールセンサ24Aから出力された検出信号は、後述するエタノール濃度検出器230に入力され、入力された検出信号に基づいて、検出対象ガスとしてのエタノールガスの濃度が検出される。
【0063】
図9に示すように、エタノール濃度検出装置210は、アルコールセンサ24Aに接続され、かつ、エタノールガス成分の濃度を検出して、表示装置50に表示させるエタノール濃度検出器230を備えている。
【0064】
エタノール濃度検出器230は、エタノール濃度検出装置210全体の制御を司るCPU、後述するエタノール濃度算出処理ルーチン等の各種プログラム等を記憶した記憶媒体としてのROM、ワークエリアとしてデータを一時格納するRAM、及びこれらを接続するバスを含むマイクロコンピュータで構成することができる。
【0065】
エタノール濃度検出器230は、アルコールセンサ24Aからの検出信号に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであるとみなした場合のみなし濃度を算出するみなし濃度算出部232と、信頼度要否判定部34と、アルコールセンサ24Aからの検出信号に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであることの信頼度を算出する信頼度算出部236と、エタノール濃度算出部38と、表示制御部40とを備えている。
【0066】
みなし濃度算出部232は、第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置10のみなし濃度算出部32で、アルコールセンサ24Aの検出信号に基づくみなし濃度Cpre1を算出したのと同様に算出されるみなし濃度を、エタノールガスのみなし濃度Cpreとする。
【0067】
信頼度算出部236は、アルコールセンサ24Aの検出信号の変化から、ガス吸着時の検出信号の変化特性として、検出信号の変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間(図5のTth1−p参照)を算出する。また、アルコールセンサ24Aの検出信号の変化から、ガス脱着時の検出信号の変化特性として、検出信号がピークとなってから検出信号の変化終了までの時間(図5のTp−th2参照)を算出する。
【0068】
一つのガスセンサの検出信号の変化特性のうち、変化開始からピークまでの検出信号の変化特性、すなわちガス吸着時の変化特性は、ガス成分の吸着特性のみならず、ガス拡散、反応の特性を反映するため、ガス成分の種類による違いが生じにくい。一方、ピークから変化終了までの検出信号の変化特性、すなわちガス脱着時の変化特性は、主にガス成分の脱着特性を反映しており、一定流速下における一過性のガスに対する検出信号の変化特性であっても、ガス成分の種類による違いが生じやすい。そこで、双方の検出信号の変化特性を用いて変数xを算出する。
【0069】
まず、上記の検出信号の変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間は以下のように算出される。図5に示すように、検出信号の時系列変化から、検出信号の値が閾値fth(例えば、ベース値f+0.2V)を超えたときを、検出信号の変化開始時間tth1として検出し、検出信号がピークとなるときを、ピーク最大値時間tとして検出する。そして、以下の(6)式に従って、検出信号の変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間Tth1−pを算出する。
【0070】
th1−p=t−tth1 ・・・(6)
【0071】
また、上記の検出信号がピークとなってから検出信号の変化終了までの時間は以下のように算出される。図5に示すように、検出信号の時系列変化から、検出信号がピークとなるときを、ピーク最大値時間tとして検出し、検出信号の値が閾値fthまで低下したときを、検出信号の変化終了時間tth2として検出する。そして、以下の(7)式に従って、検出信号がピークとなってから検出信号の変化終了までの時間Tp−th2を算出する。
【0072】
p−th2=tth2−t ・・・(7)
【0073】
そして、下記(8)式で表されるように、変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間Tth1−pとピークとなってから検出信号の変化終了までの時間Tp−th2との比を変数xとする。
【0074】
x=Tp−th2/Tth1−p ・・・(8)
【0075】
次に、図10を参照して、第2の実施の形態のエタノール濃度検出装置210におけるエタノールガス濃度算出処理ルーチンについて説明する。ドライバが車両シートに着座すると、ドライバの呼気が呼気導入管20に吹き込まれる状態となり、ドライバによってイグニッションスイッチがオンされると、エタノール濃度検出装置210のエタノール濃度検出器230において、図10に示すエタノール濃度算出処理ルーチンが実行される。
【0076】
ステップ250で、アルコールセンサ24Aの検出信号を取得する。
【0077】
次に、ステップ252で、上記ステップ250で取得した検出信号の時系列変化に基づいて、アルコールセンサ24Aの検出信号の変化特性としてピークの高さを算出し、ピークの高さとエタノールガス濃度との予め求められた関係に基づいて、エタノールガスのみなし濃度Cpreを算出する。
【0078】
次に、ステップ106で、上記ステップ252で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreが閾値Cthより大きいか否かを判定することにより、信頼度の算出が必要であるか否かを判定する。エタノールガスのみなし濃度Cpreが閾値Cth(例えば、0.15mg/L)より大きい場合には、信頼度の算出が必要であると判定してステップ254へ進む。一方、みなし濃度Cpreが閾値Cth以下の場合には、信頼度の算出は不要であると判定して、ステップ114へ進み、上記ステップ252で算出されたエタノールガスのみなし濃度Cpreをそのままエタノールガス濃度Cとして置き換えて、ステップ116へ進む。
【0079】
ステップ254では、上記(6)及び(7)式に従って、変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間Tth1−p及びピークとなってから検出信号の変化終了までの時間Tp−th2を算出する。次に、ステップ256で、上記(8)式に従って、上記ステップ254で算出された変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間Tth1−pとピークとなってから検出信号の変化終了までの時間Tp−th2との比を変数xとして算出する。
【0080】
以下ステップ112及び116で、第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置10におけるエタノール濃度算出処理ルーチンと同様の処理を行って、本ルーチンを終了する。
【0081】
以上説明したように、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置によれば、呼気中のガス成分がエタノールガスであるとみなして、アルコールセンサの検出信号の変化特性からエタノールガスのみなし濃度を算出し、アルコールセンサの検出信号の変化特性として、ガス吸着時及び脱着時の変化特性に基づいて、呼気中のガス成分がエタノールガスであることの信頼度を算出し、エタノールガスのみなし濃度と信頼度との積からエタノールガス濃度を算出する。これにより、目的成分であるエタノールガスであることの信頼度を加味したエタノールガス濃度を算出することができるため、呼気中にエタノールガス以外のガスが含まれている場合でも、誤検出を低減して、エタノールガス濃度を精度よく検出することができる。
【0082】
なお、第1の実施の形態では、検出信号の変化特性として検出信号のピークの高さから得られるみなし濃度を用いる場合、第2の実施の形態では、変化開始から検出信号がピークとなるまでの時間及びピークとなってから検出信号の変化終了までの時間を用いる場合について説明したが、検出信号の変化特性はこれに限定されるものではない。例えば、検出信号の時系列変化から、検出信号の変化率の時系列変化を算出し、算出された変化率の時系列変化から得られる検出信号の変化率の最大値α(図11のα参照)を用いてもよい。また、算出された変化率の時系列変化から得られる検出信号の変化率の最小値α(図11のα参照)を用いてもよい。また、検出信号がピークとなるように変化しているときの検出信号の変化パターンを抽出し、この変化パターンに基づいて、システム同定を行って、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれるエタノール成分と同じ濃度のエタノール成分が持続して含まれる場合にセンサから出力される検出信号の飽和出力値(図12のf参照)を予測して用いてもよい。また、検出信号がピークとなった以降の検出信号の変化パターンを抽出し、この変化パターンに基づいて、システム同定を行って、検出信号の飽和出力値(図12のf参照)を予測して用いてもよい。
【0083】
また、第2の実施の形態では、検出信号の変化終了時を、検出信号の値が閾値fthまで低下したときとする場合について説明したが、検出信号の変化率が最小値を示したとき、または、検出信号がピーク値に対して一定割合分低下したとき(例えば、f+1/2Δf)としてもよい。
【0084】
また、第1の実施の形態では、アルコールセンサと空気質センサなどのガスセンサとを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、アルコールセンサと共に、ガス成分に対する感度がアルコールセンサと異なるガスセンサを用いて構成すればよい。例えば、アルコールセンサと共に、酸素センサや、水蒸気センサ、二酸化炭素センサを用いて構成することができる。酸素センサとしては、固体電解質を用いて酸素濃度を検出する酸素センサを用いることができ、水蒸気センサとしては、酸化物半導体または高分子膜静電容量を用いて水蒸気の濃度を検出する水蒸気センサを用いることができる。また、二酸化炭素センサとしては、固体電解質を用いて二酸化炭素の濃度を検出する二酸化炭素センサを用いることができる。
【0085】
また、第1及び第2の実施の形態では、算出されたエタノールガス成分の濃度を表示する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、算出したエタノールガス成分の濃度と予め定めた閾値とを比較し、算出したエタノールガス成分の濃度が閾値以上の場合にエタノールの濃度が高いと判定し、エンジンが始動できないようにする等の不正ができないように制御するようにしてもよい。
【0086】
また、第1及び第2の実施の形態では、ドライバの呼気からエタノールガス成分の濃度を検出する例について説明したが、エタノール濃度検出装置を携帯可能に構成する等により、本発明はドライバ以外の人間の呼気からエタノールガス成分の濃度を検出する場合にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0087】
10、210 エタノール濃度検出装置
24A アルコールセンサ
24B ガスセンサ
30、230 エタノール濃度検出器
32、232 みなし濃度算出部
34 信頼度要否判定部
36、236 信頼度算出部
38 エタノール濃度算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々検出対象ガス成分に対して感度を有し、かつ該検出対象ガス成分以外のガス成分に対する感度が異なり、各々検出対象の気体中に含まれるガス成分の濃度に関連する物理量を検出して検出信号を出力する複数のガスセンサと、
前記複数のガスセンサの検出信号の各々を用いて、前記検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度を算出するみなしガス濃度算出手段と、
前記複数のガスセンサの検出信号の各々について求めた同一の特性から特徴量を算出し、予め複数の特徴量の各々について求めた検出対象ガス成分であることの信頼度、及び算出された特徴量に基づいて、前記みなしガス濃度が前記検出対象ガス成分であることの信頼度を算出する信頼度算出手段と、
前記みなしガス濃度と前記信頼度算出手段で算出された信頼度とを乗算して前記検出対象ガスのガス濃度を算出するガス濃度算出手段と、
を含むガス検出装置。
【請求項2】
前記特徴量を、前記複数のガスセンサの検出信号の各々について求めた同一の特性の比率とした請求項1記載のガス検出装置。
【請求項3】
検出対象の気体中に含まれる検出対象ガス成分、及び該検出対象ガス成分以外のガス成分の濃度に関連する物理量を検出して検出信号を出力するガスセンサと、
前記ガスセンサの検出信号を用いて、前記検出対象の気体中に検出対象ガス成分が含まれているとみなした場合のみなしガス濃度を算出するみなしガス濃度算出手段と、
前記ガスセンサの検出信号について求めた複数種類の特性から特徴量を算出し、予め複数の特徴量の各々について求めた検出対象ガス成分であることの信頼度、及び算出された特徴量に基づいて、前記みなしガス濃度が前記検出対象ガス成分であることの信頼度を算出する信頼度算出手段と、
前記みなしガス濃度と前記信頼度算出手段で算出された信頼度とを乗算して前記検出対象ガスのガス濃度を算出するガス濃度算出手段と、
を含むガス検出装置。
【請求項4】
前記複数種類の特性に、前記検出対象の気体中に含まれるガス成分の濃度に依存する特性、及び前記検出対象の気体中に含まれるガス成分の種類に依存する特性を含めた請求項3記載のガス検出装置。
【請求項5】
前記特性を、前記検出信号のピーク値、前記検出信号の変化率の最大値、前記検出信号の変化率の最小値、前記検出信号が変化を開始してからピーク値になるまでの時間、前記検出信号がピーク値になってから変化が終了するまでの時間、前記検出信号が変化を開始してからピーク値になるまでの該検出信号の変化パターン、または前記検出信号がピーク値になってから変化が終了するまでの該検出信号の変化パターンとした請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のガス検出装置。
【請求項6】
前記みなし濃度が予め定めた値より大きい場合には、前記信頼度算出手段で算出された信頼度を用いて前記ガス濃度算出手段で前記検出対象ガス成分のガス濃度を算出し、前記みなし濃度が予め定めた値より小さい場合には、前記みなし濃度を前記検出対象ガス成分のガス濃度とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のガス検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−27464(P2011−27464A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171182(P2009−171182)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】