説明

ガス検知システム

【課題】検知部を配設する前に、指示計及び監視部を配設して、設置確認作業等を行うことが可能なガス検知システムを提供する。
【解決手段】被検知ガスの濃度に応じた出力値を出力する検知部2と、検知部2が接続されて、出力値に応じた濃度情報を表示可能である指示計3と、指示計3が接続されて、少なくとも指示計3から取得した濃度情報を監視する監視部6と、を備え、指示計3は、検知部2と指示計3とが接続されていない状態のときに監視部6に異常信号を出力するモードと、検知部2と指示計3とが接続されていない状態であっても異常信号を監視部6に出力しない特定モードと、に切り替え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス濃度を検知する必要がある施設等に設置されるガス検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検知ガスの濃度に応じた出力値を出力する検知部と、検知部が接続されて、出力値に応じた濃度情報を表示可能である指示計と、指示計が接続されて、少なくとも指示計から取得した濃度情報を監視する監視部と、を備えたガス検知システムがあった。
【0003】
例えば、新築の工場にガス検知システムを導入する場合、指示計及び監視部は、工場の生産ラインを構成する機器等が設置される前に配設可能であるが、検知部は、各機器の位置に対応して配設しなければならないため、各機器が設置されない限りは配設できない。したがって、ガス検知システムを導入する場合は、指示計及び監視部を先行して配設し、最後に検知部を配設して、検知部と指示計を接続する場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のガス検知システムでは、検知部が指示計に接続されていないと監視部に異常信号が出力されるので、指示計及び監視部を先行して配設しても、結局は検知部を配設するまでは異常信号が邪魔になって、指示計及び監視部の設置確認作業を行ったり、設定作業を行ったりすることができない。
【0005】
上記実情を鑑み、本発明は、検知部を配設する前に、指示計及び監視部を配設して、設置確認作業等を行うことが可能なガス検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガス検知システムの第一特徴構成は、被検知ガスの濃度に応じた出力値を出力する検知部と、前記検知部が接続されて、前記出力値に応じた濃度情報を表示可能である指示計と、前記指示計が接続されて、少なくとも前記指示計から取得した前記濃度情報を監視する監視部と、を備え、前記指示計は、前記検知部と前記指示計とが接続されていない状態のときに前記監視部に異常信号を出力するモードと、前記検知部と前記指示計とが接続されていない状態であっても前記異常信号を前記監視部に出力しない特定モードと、に切り替え可能である点にある。
【0007】
本構成によると、特定モードでは、検知部と指示計とが接続されていない状態であっても異常信号が監視部に出力されない。即ち、特定モード以外のモードのときは、検知部と指示計とが接続されていないという異常状態を監視しつつも、必要に応じて設定モードにすることにより、検知部に先行して指示計及び監視部を配設し、それらの設置確認作業等を行うことができる。
【0008】
本発明に係るガス検知システムの第二特徴構成は、前記特定モードのとき、前記指示計は前記監視部に所定値の仮想濃度情報を出力する点にある。
【0009】
本構成であると、特定モードのとき監視部に所定値の仮想濃度情報が出力されるため、検知部を接続していない状態でも、指示計と監視部との電気的接続の確認を正確に行うことができる。
【0010】
本発明に係るガス検知システムの第三特徴構成は、前記仮想濃度情報の値が変更可能である点にある。
【0011】
本構成であれば、例えば、仮想濃度情報を変化させることによって、監視部がその変化に対応して正確に動作するか等を確認することができる。また、検知対象とする被検知ガスの種類を変更すれば、検知部の出力値の出力レベルも変わるところ、本構成であれば、検知部を配設する前に、検知部の出力値の出力レベルの変化に監視部が対応できるか否かを確認すること等も可能である。
【0012】
本発明に係るガス検知システムの第四特徴構成は、前記特定モードは、前記指示計の電源が落とされて再度前記電源が投入されたとき、前記異常信号を出力するモードに切り替わる点にある。
【0013】
本構成であると、指示計の電源が一旦落とされ、再度電源が投入されるまでは、特定モードはリセットされない。したがって、例えば、指示計及び監視部の設定作業が長引く等、施工が長時間に亘って行われても、勝手にモードが切り替えられず、作業が阻害されない。また、施工が終われば必然的に一旦電源が落とされるので、必ず特定モードがリセットされて、異常信号を出力するモードに切り替わる。即ち、その後に、検知部と指示計との間で断線等が生じれば異常信号が出力されるため、その断線等を見落とすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は、本発明に係るガス検知システムの概要を示す模式図である。
【図2】は、本発明に係るガス検知システムを示すブロック図である。
【図3】のうち、(a)は指示計の正面側の全体斜視図であり、(b)はフロントカバーを開いたときの前面パネル下部付近の斜視図である。
【図4】のうち、(a)は指示計の背面側の全体斜視図であり、(b)はサイドカバーを外したときの本体部下部付近の斜視図である。
【図5】は、指示計の底面側の斜視図である。
【図6】は、指示計の正面図であって、(a)は検知モードのうち濃度情報が第一しきい値よりも小さいときの図であり、(b)は検知モードのうち濃度情報が第一しきい値以上かつ第二しきい値よりも小さいときの図であり、(c)は検知モードのうち濃度情報が第二しきい値よりも大きいときの図であり、(d)は設定モードのときの図である。
【図7】は、表示板及びスケール板の固定方法を示す前面パネルの斜視図である。
【図8】のうち、(a)は前面パネルの前後方向の縦断断面図であって、(b)は留め具及び前面パネル上部の左右方向の横断断面図である。
【図9】は、本体部をケース部に固定したときの指示計の前後方向の縦断断面図である。
【図10】は、本体部をケース部から抜き出したときの指示計の前後方向の縦断断面図である。
【図11】は、設定作業に際して本体部をケース部から抜き出すときの本体部とケース部との関係を示す模式断面図であって、(a)は本体部をケース部に完全に収容したときの図であり、(b)は下側当接部が開口部の下端部に当接したときの図であり、(c)は本体部が当接箇所Pを中心に傾いたときの図である。
【図12】は、本体部をケース部から完全に抜き出すときの本体部とケース部との関係を示す模式断面図であって、(d)は本体部を少し持ち上げたときの図であり、(e)本体部を当接箇所Q回りに回転させたときの図であり、(f)は本体部を完全に抜き出したときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を、被検知ガスの濃度を検出するガス検知システム及び当該ガス検知システムを構成する指示計に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
1.ガス検知システム
ガス検知システムは、例えば、複数箇所においてガス濃度を検知する必要がある施設、例えば、化学物質製造工場や半導体製造工場等に設置される。図1に示すごとく、ガス検知システム1は、各検知対象区域(Area1〜Area5)に夫々配置された検知部2と、夫々の検知部2が個別に接続され、各検知対象区域における被検知ガスの濃度情報(ガス濃度)を表示する複数の指示計3と、何れかの検知対象区域でガス濃度がしきい値を越えたときに警報を発する一つの警報部4と、全ての指示計3からの濃度情報を総括して監視する監視部6と、を備えている。指示計3及び警報部4は一台の総合盤5に集設されており、総合盤5及び監視部6は事務所などの常に人の目が行き届く場所に設置されている。
【0017】
〔検知部〕
検知部2は、被検知ガスの種類に応じたガス検知素子を備えている。ガス検知素子は被検知ガスを検知し、その濃度に応じた出力値を指示計3に出力する。ガス検知素子としては、例えば、被検知ガスがメタンガスやLPG(液化石油ガス)のときは、熱線型半導体式センサや接触燃焼式センサを使用し、被検知ガスが水素ガスやヘリウムガスや二酸化炭素ガスのときは気体熱伝導式センサを使用する。全ての検知対象区域で被検知ガスが同じガスであるとは限られず、被検知ガスが異なる場合は、必要に応じて異なるガス検知素子を配設すれば良い。
【0018】
〔指示計〕
指示計3は、検知部2が出力した出力値を取得して、その出力値を濃度情報に変換し、その濃度情報(表示対象値)を表示する。即ち、指示計3は、検知対象区域における被検知ガスの濃度情報をリアルタイムに表示する。濃度情報の表示単位は、特定のものでなくても良く、ppm表示、%LEL表示等のように、ガス種やガス検知素子の検知方式によって適宜変更可能である。また、指示計3は検知部2に電源を供給すると共に、警報部4を経由して監視部6に濃度情報等の信号を出力する。なお、指示計3の詳細については後述する。
【0019】
〔警報部〕
警報部4は、指示計3に接続され、指示計3における濃度情報がしきい値を超えたときに不図示のスピーカーから警報音を発する。
【0020】
〔監視部〕
監視部6は、例えば、パソコン等の電子計算機であって、警報部4に接続され、警報部4から被検知ガスの濃度情報を取得する。監視部6は、検知対象区域毎のガス濃度情報の履歴やシステムの故障等を監視し、管理する。
【0021】
2. 指示計の概要
指示計3の構成概念を示すブロック図を図2に示す。指示計3は、制御演算部10と、記憶部11と、入力部12と、メンテナンスモード切替部13と、テスト部14と、設定モード切替部15と、補助操作部16と、バーグラフ表示部17と、計器状態表示部18と、を備えている。
【0022】
指示計3は、通常の検知モードと、メンテナンス第一モードと、メンテナンス第二モードと、設定モードと、にモード切替可能である。メンテナンスモード切替部13の操作によって、検知モードとメンテナンス第一モードとメンテナンス第二モードとの切り替えが可能である。設定モード切替部15の操作によって、検知モードと設定モードとの切り替えが可能である。具体的には、後述するメンテナンススイッチMSW(図3(b)参照)がメンテナンスモード切替部13に相当し、後述する設定スイッチCSW(図5及び図9参照)が設定モード切替部15に相当する。
【0023】
〔制御演算部〕
制御演算部10は、検知部2からの出力値を濃度情報に変換したり、バーグラフ表示部17に濃度情報を表示させたり、計器状態表示部18に現在の計器状態や設定モードにおける設定項目の種別を表示させたりする。計器状態とは、現在何れのモードであるかという情報、故障が発生しているという情報、各種警報を発すべき状態にあるという情報等のことである。
【0024】
〔記憶部〕
記憶部11は、検知部2からの出力値を濃度情報に変換するための変換式や、指示計3の計器設定情報等を記憶している。計器設定情報は、例えば、メンテナンス時に使用する管理用の計器番号や、検知部2の種類や、警報部4が警報を発するしきい値等を示す。
【0025】
記憶部11に記憶された変換式や計器設定情報は、入力部12の手動操作によって書換可能である。なお、具体的には、後述する設定スイッチCSW(図5及び図9参照)が入力部12に相当する。
【0026】
〔検知モード〕
検知モードは、検知対象区域のガス濃度情報をバーグラフ表示部17にリアルタイムに表示するモードである。検知モードにおいて、制御演算部10は、検知部2からの出力値を取得し、記憶部11に記憶された変換式に基づいて出力値を濃度情報に変換して、濃度情報に基づいてバーグラフ表示部17を制御する。また、制御演算部10は、濃度情報を警報部4を介して監視部6に常時出力すると共に、ガス濃度がしきい値を超えたときは、その情報(以下、「警報情報」と称する)を警報部4に出力する。警報部4は、警報情報を取得すると警報音を発する。警報音は、警報部4において所定の消音操作がなされると、消音される。
【0027】
本実施形態においては、第一段目の警報を発する第一しきい値と、第二段目の警報を発する第二しきい値との二つのしきい値を記憶部11に記憶させてある。例えば、一段目警報は、危険度は低いが注意を要するガス濃度となったことを示し、二段目警報は、危険度が高く、避難を要するガス濃度となったことを報知するものとして設定してある。
【0028】
また、検知モードでは、制御演算部10は、検知部2及び指示計3の各部の故障や、検知部2と指示計3との電気的接続状態についても監視している。故障等が発生した場合、制御演算部10は、故障が発生したという信号(以下、「故障情報」と称する)を、警報部4を介して監視部6に出力すると共に、計器状態表示部18にそれらの表示を行う。
【0029】
〔メンテナンス第一モード〕
メンテナンス第一モードは、定期的なメンテナンス等に使用するモードであって、ガス濃度がしきい値を越えても、制御演算部10が警報部4に警報情報を出力しないモードである。即ち、メンテナンス第一モードにおいては、検知対象区域におけるガス濃度に拘らず警報音が発せられない。したがって、メンテナンス第一モードであれば、例えば、検知部2の出力値の変化に対応してバーグラフ表示部17が正常に反応するか否かや、同様に監視部6が正常に反応するか否かを確認するべく、しきい値を超える濃度の被検知ガスを検知部2に吹き掛けても、警報部4から警報音が発せられないため、工場作業者の作業に影響を与えない。よって、工場稼動中においても円滑なメンテナンス作業を行うことができる。
【0030】
加えて、メンテナンス第一モードであれば、さらにスパン調整用のワンマンメンテナンスモードにモード変更して、スパン調整等の専門の作業員が行うメンテナンス作業も行うことができる。メンテナンス第一モードにおいてワンマンメンテナンスモードに入り、被検知ガスのガス濃度に対応する出力値を設定する。その後、検知部2に実際に被検知ガスを暴露させ、後述する設定スイッチCSWを操作すると、設定した出力値と実測値との関係から自動で内部係数が補正され、簡単にスパン調整を行うことができる。本構成によれば、警報音が発せられないため、工場稼働中においても作業に影響を与えず、かつ一人の作業員でも簡単にメンテナンスを行うことができる。
【0031】
なお、制御演算部10は、メンテナンス第一モードであることを計器状態表示部18に表示する。
【0032】
〔メンテナンス第二モード〕
メンテナンス第二モードは、ガス検知システム1を導入する初期工事等に使用するモードである。他のモードでは、検知部2が指示計3に接続されていないと、制御演算部10は、警報部4を経由して監視部6に異常信号を出力するが、メンテナンス第二モードにおいては、検知部2が指示計3に接続されていなくても、制御演算部10は、異常信号を監視部6に出力しない。即ち、この異常信号を出力しないという点で、他のモードと区別して、メンテナンス第二モードは「特定モード」であると言える。さらに、メンテナンス第二モードのとき、制御演算部10は、所定値の仮想濃度情報を、警報部4を介して監視部6に出力する。
【0033】
例えば、新築の工場にガス検知システム1を導入する場合、総合盤5及び監視部6は、工場の生産ラインを構成する機器等が設置される前に配設可能であるが、検知部2は、各機器の位置に対応して配設しなければならないため、各機器が設置されない限りは配設できない。即ち、ガス検知システム1を導入する場合は、総合盤5及び監視部6を先行して配設し、最後に検知部2を配設して、検知部2と指示計3を接続する場合がある。
【0034】
メンテナンス第二モードであれば、総合盤5及び監視部6だけを配設し、検知部2を未だ配設していない状況で、警報部4を経由する異常信号を監視部6が無駄に取得することなく、かつ、制御演算部10が出力する仮想濃度情報によって、警報部4を介した指示計3と監視部6との接続状態を確認でき、円滑に作業を行うことができる。ただし、メンテナンス第二モードであっても、検知部2が指示計3に接続されている場合は、検知モードと同様に、検知対象区域の現実のガス濃度情報の値が表示される。
【0035】
メンテナンス第一モードは、一定時間が経過すると自動的に検知モードに戻るが、メンテナンス第二モードは、指示計3の電源が一旦落とされるか、特定の操作が行われるまでリセットされない。したがって、施工が長時間に亘って行われても、勝手にモードが切り替えられず、作業が阻害されない。指示計3の電源が落とされ、再度電源が投入されたときには検知モードに切り替わっている。
【0036】
なお、制御演算部10は、メンテナンス第二モードであることを計器状態表示部18に表示する。
【0037】
〔設定モード〕
設定モードは、入力値調整、濃度情報出力調整、仕様設定、ネットワーク調整等が可能なモードである。即ち、これらの調整や設定が、記憶部11の計器設定情報の書き換え作業に相当する。通常は検知モードから設定モードにモード変更するが、メンテナンス第一モードから設定モードにモード変更することも可能であって、この場合に上述したワンマンメンテナンスモードにモード変更される。
【0038】
入力値調整には、入力ゼロ値の粗調整、入力ゼロ値の微調整等の設定項目がある。濃度情報出力調整には、出力ゼロ値の調整、メンテナンス第二モードにおける仮想濃度情報の値の設定、バーグラフに表示可能な濃度情報のフルスケール値の設定等の設定項目がある。仕様設定には、検知部2の種類設定等の設定項目がある。ネットワーク調整には、管理用の計器番号の設定、濃度情報の単位設定等の設定項目がある。入力部12の操作によって記憶部11を制御し、設定項目の選択とその設定項目における設定数値の書き換えとが可能である。
【0039】
設定モードにおいて、制御演算部10は、設定作業中の項目が何れの設定項目であるかを計器状態表示部18に表示する。
【0040】
〔テスト部〕
テスト部14は、所定値の仮想濃度情報を制御演算部10に出力させるものである。この仮想濃度情報の値は、補助操作部16の操作によって大小させられる。具体的には、テストスイッチTSW(図3(b)参照)がテスト部14に相当する。
【0041】
検知モードにおいてテスト部14を操作すると、検知部2が検知した実際の濃度情報に優先して、仮想濃度情報が、制御演算部10から警報部4を経由して監視部6に出力され、その値はバーグラフ表示部17に表示される。仮想濃度情報の値がしきい値を越えていれば、警報部4は警報を発し、補助操作部16の操作によって仮想濃度情報の値を大小させれば、バーグラフ表示部17の表示はその変化に追従する。
【0042】
メンテナンス第一モードにおいてテスト部14を操作すると、検知モードの場合と同様である。ただし、仮想濃度情報の値がしきい値を超えていても、あるいは、補助操作部16の操作によって越えても、警報部4は警報を発しない。
【0043】
メンテナンス第二モードにおいてテスト部14を操作しても、その値がバーグラフ表示部17に表示されるだけで、制御演算部10から警報部4を介して監視部6に出力される濃度情報としては、メンテナンス第二モードにおいて設定されている仮想濃度情報が優先される。即ち、メンテナンス第二モードにおいてテスト部14を操作した上で、補助操作部16を操作してテスト部14の仮想濃度情報の値を大小させることにより、バーグラフ表示部17の動作の確認が可能である。
【0044】
補助操作部16には、図3(b)に示すアジャストスイッチASW、ハイスイッチHSW、ロースイッチLSWが相当する。
【0045】
3. 指示計の具体的な構成
指示計3は、図9に示すごとく、本体部30と、本体部30を収容するケース部20とを備えている。ケース部20は箱形状をしており、総合盤5に予め固定されている。図3(a)に示すごとく、本体部30は略直方体形状をしている。図9及び図10に示すごとく、本体部30はケース部20に対して抜き差し可能であって、本体部30がケース部20に収容されたとき、本体部30の前面の前面パネル31のみがケース部20から露出する。
【0046】
前面パネル31には、図3(a)に示すごとく、ネームプレートとしての表示板34と、バーグラフ表示部17と、バーグラフの目盛としてのスケール板35と、計器状態表示部18としてのメインランプL1と、が備えられている。また、図3(b)に示すごとく、前面パネル31の下部には、補助操作部16としてのアジャストスイッチASW、ハイスイッチHSW及びロースイッチLSWと、メンテナンスモード切替部13としてのメンテナンススイッチMSWと、テスト部14としてのテストスイッチTSWと、が備えられている。これらのスイッチは、主に検知モード、メンテナンス第一モード及びメンテナンス第二モードの際に使用するプッシュ式のスイッチであって、通常はフロントカバー32によって覆われている。フロントカバー32は、前面パネル31の下端付近で軸支され、水平軸周りに回転開閉可能である。なお、テストスイッチTSWは、他のスイッチと異なり、凹入された位置に配設されており、ペン先等のようなものでしか操作できないように構成されている。
【0047】
図3(a)に示すごとく、本体部30の左側面の下端部分に、後述する設定スイッチCSWの操作方法を図説する操作説明部47が表示してある。
【0048】
本体部30は、図4(a)に示すごとく、右側面に計器状態表示部18としてのサブランプL2を備えている。また、指示計3は、図2及び図4(b)に示すごとく、記憶部11の一部を構成する記憶媒体の一つとして、ROM45を取り外し自在に備えている。ROM45は、既設の指示計との取替え時に計器設定情報等のうち引継ぎが必要な情報を引き継ぐためのものである。ROM45は、本体部30の右側面のサイドカバー33を外すことによって本体部30から取り外すことができる。
【0049】
図5に示すごとく、本体部30の下面に、入力部12及び設定モード切替部15としての設定スイッチCSWを備えている。設定スイッチCSWは、ダイヤル型のスイッチであり、中立位置に付勢されつつ前後何れの方向にも一定角度だけ回転操作が可能であると共に、中立位置において上方に押し込み操作が可能である。図9に示すごとく、設定スイッチCSWが本体部30の下面から突出しないように、かつ、設定スイッチCSWを操作しやすいように、本体部30の下面のうち設定スイッチCSWの周辺を少し窪ませてある。
【0050】
本体部30の背面には、図4に示すごとく、検知部2、警報部4、及び監視部6との接続コネクタ46や、ヒューズホルダ(図番なし)等が配設されている。本体部30の上面には、不図示のチェックピン用コネクタ等が配設されている。
【0051】
〔バーグラフ表示部〕
バーグラフ表示部17は、図6(c)に示すごとく、濃度情報がレベル0からレベル50を表示するための51個のセグメントと、最上部に配設され、フルスケールオーバーを表示するための1個のセグメントと、最下部に配設され、濃度情報がレベル0よりも小さいことを表示するための1個のセグメントと、の合計53個のセグメントを備えている。53個のセグメントは一直線状に連続して配置されている。
【0052】
バーグラフランプBLは、例えば、緑色と赤色との二つのLEDで構成してある。緑色のLEDと赤色のLEDとの両方が点灯すると、橙色を表示できる。図面は白黒表示であるため、バーグラフを示す図において、黒色が「赤色」を表し、濃灰色が「橙色」を表し、淡灰色が「緑色」を表しているものとする。また、図6(c)において、破線で示したバーグラフランプは、点灯していない状態、即ち、色を表示していない状態を示す。なお、バーグラフの状態を見やすくするため、図6(c)以外の図面では、点灯していない(色を表示していない)バーグラフランプは図示していない。
【0053】
指示計3における基本のモードは検知モードである。検知モードにおいて、ガス濃度(濃度情報)の変化に応じてバーグラフランプBLが三色のうち何れかの色を表示する状態と表示しない状態とに切り替わり、色を表示した状態のバーグラフランプBLが連続することによって単一色のバーグラフが構成される。本実施形態では、表示単位を「%LEL」としてあり、フルスケールのレベル50が100%LELを示す。即ち、バーグラフが一レベル伸びる毎にガス濃度は2%LELずつ高くなる。例えば、図6(a)に示すごとく、レベル0からレベル4までのバーグラフランプBLが点灯している場合は、ガス濃度が8%LELであることを示す。また、図6(b)の状態はガス濃度54%LELを示し、図6(c)の状態はガス濃度88%LELを示している。
【0054】
本実施形態においては、ガス濃度40%LEL(レベル20)とガス濃度80%LEL(レベル40)とに、上述した第一しきい値と第二しきい値とを設定してある。そして、図6(a)に示すごとく、53個のバーグラフランプBLのうちのレベル20の位置に対応するバーグラフランプBLを橙色で表示し、レベル40の位置に対応するバーグラフランプBLを赤色で表示している。
【0055】
ガス濃度が第一しきい値40%LEL(レベル20)よりも小さいときは、図6(a)に示すごとく、バーグラフを構成するバーグラフランプBLは緑色を表示する。即ち、バーグラフは、第一及び第二しきい値を示すバーグラフランプBLの表示色(橙色、赤色)とは異なる色(緑色)で表示される。
【0056】
ガス濃度が第一しきい値40%LEL(レベル20)以上かつ第二しきい値80%LEL(レベル40)よりも小さいときは、図6(b)に示すごとく、バーグラフを構成するバーグラフランプBLは橙色を表示する。即ち、バーグラフは、第二しきい値を示すバーグラフランプBLの表示色(赤色)とは異なる色(橙色)、かつ、バーグラフを構成することとなった第一しきい値を示すバーグラフランプBLが表示する色(橙色)と同じ色(橙色)を表示する。
【0057】
つまり、ガス濃度が第一しきい値40%LELになって、第一しきい値を示すバーグラフランプBLがバーグラフの一部に含まれた瞬間、バーグラフの色は、緑色から、第一しきい値を示すバーグラフランプBLが表示する橙色に変わる。
【0058】
その後に警報部4において上述の消音操作がなされて消音操作がなされても、消音操作とは別の所定の警報解除操作がなされるまでは、バーグラフは橙色を保ちながらガス濃度に応じたレベルを表示する。即ち、ガス濃度が第一しきい値40%LELよりも小さくなっても、警報解除操作がなされるまではバーグラフは橙色のままである。警報解除操作がなされると、バーグラフは通常通り緑色を表示する。以下、この設定を「自己保持設定」と称する。
【0059】
ガス濃度が第二しきい値80%LEL(レベル40)以上のときは、図6(c)に示すごとく、バーグラフを構成するバーグラフランプBLは赤色を表示する。即ち、バーグラフは、バーグラフを構成することとなった第二しきい値を示すバーグラフランプBLが表示する色(赤色)と同じ色(赤色)を表示する。
【0060】
つまり、ガス濃度が第二しきい値80%LELになって、第二しきい値を示すバーグラフランプBLがバーグラフの一部に含まれた瞬間、バーグラフの色は、橙色から、第二しきい値を示すバーグラフランプBLが表示する赤色に変わる。
【0061】
その後は、自己保持設定により、ガス濃度が第二しきい値80%LELよりも小さくなっても、警報解除操作がなされるまではバーグラフは赤色のままである。警報解除操作がなされると、バーグラフは通常通り、ガス濃度に応じて橙色または緑色を表示する。
【0062】
以上の構成であると、遠くからの目視であっても、現在のガス濃度がしきい値に対してどの程度の割合であるか、ガス濃度が何れかのしきい値を越えているか否か、の判断が容易かつ瞬時に行える。また、消音操作された後や、ガス濃度が何れかのしきい値を下回った後でも、自己保持設定によって赤色または橙色が保持されるため、どの指示計で、第一段目の警報及び第二段目の警報の何れの警報がなされたのかを、視覚的に容易に確認できる。
【0063】
検知モード、メンテナンス第一モード、及び、メンテナンス第二モードの相互切替は、メンテナンススイッチMSWの操作によって行う。
【0064】
メンテナンス第一モードのとき、バーグラフ表示部17には、検知モードの場合と同じく検知対象区域の現実のガス濃度情報の値が表示される。メンテナンス第二モードのとき、バーグラフ表示部17には、第一及び第二しきい値を示すバーグラフランプBL(赤色、橙色)と、最下部のバーグラフランプBL(緑色)と、が表示されるのみである。
【0065】
メンテナンス第一モードから設定モードにモード変更する場合、即ち、上述したワンマンメンテナンスモードとすると、スパン調整を行うことができる。具体的には、設定スイッチCSWを回転操作し、まずは設定モードに入る。この時、サブランプL2のうち後述する第一ランプL2aが点灯する。さらに、設定スイッチCSWを押し込み操作すると、メインランプL1のうちの後述するメンテナンス第二モードランプL1eが点灯し、ワンマンメンテナンスモードに入る。このとき、バーグラフ表示部17には、赤色のバーグラフによってスパンガス濃度設定予定値が表示される。設定スイッチCSWを回転操作し、スパンガス濃度設定予定値を、検知部2に暴露させる被検知ガスのガス濃度に対する出力値に合わせ、設定スイッチCSWを押し込み操作して決定する。そして、検知部2に被検知ガスを暴露させると、制御演算部10が検知部2からの出力値を受信し、バーグラフ表示部17にはその出力値が緑色のバーグラフによって表示される。ただし、その出力値のピーク値に対応するバーグラフランプBLのみは橙色を表示する。そのピーク値は記憶部に記憶され、設定スイッチCSWを押し込み操作すると、スパンガス濃度設定予定値と記憶されたピーク値との関係から内部係数が補正され、自動的にスパン調整が行われる。
【0066】
なお、検知モードのとき、テストスイッチTSWを押し操作すると、仮想のガス濃度情報が出力され、バーグラフ表示部17はその値を表示する。さらにその状態で、ハイスイッチHSWまたはロースイッチLSWを押し操作することにより、仮想のガス濃度情報の値を変化させることができ、それに伴ってバーグラフも変化する。
【0067】
メンテナンス第一モードのとき、テストスイッチTSWを押し操作した場合も、バーグラフ表示部17は検知モードの場合と同じように動作する。
【0068】
メンテナンス第二モードのとき、テストスイッチTSWを押し操作すると、バーグラフ表示部17は仮想のガス濃度情報の値を表示する。ただし、その値は出力されない。メンテナンス第二モードにおいて出力されるのは、あくまでも、メンテナンス第二モード用に設定された仮想のガス濃度情報である。
【0069】
検知モードと設定モードとの相互切替は、設定スイッチCSWの操作によって行う。詳細には、先ず、設定スイッチCSWの回転操作によって設定区分(入力値調整、濃度情報出力調整、仕様設定、ネットワーク調整等)を選択し、押し込み操作により区分を決定する。続いて、設定スイッチCSWの回転操作によって設定項目を選択し、押し込み操作により設定項目を決定する。
【0070】
設定区分には夫々「1」、「2」、「3」・・・の数値が割り当てられており、その下位の設定項目にも夫々「1」、「2」、「3」・・・の数値が割り当てられており、設定スイッチCSWを手前に回転操作すると数値が小さくなり、後方へ回転操作すると数値が大きくなる。設定項目を決定した後は、再度設定スイッチCSWの回転操作と押し込み操作とによって、その設定項目の数値を増減させて書き換える。
【0071】
設定スイッチCSWは本体部30の下面に配設されていて目視しにくいため、図3に示すごとく、本体部30の左側面の操作説明部47に、「設定スイッチCSWを手前に回転操作すると数値が大きくなり(UP)、後方へ回転操作すると数値が小さくなり(DOWN)、押し込み操作すると数値が決定される(ENTER)」ことを表示してある。
【0072】
例えば、設定区分「ネットワーク調整」(数値「5」が割当てられている)の設定項目「管理用の計器番号の設定」(数値「1」が割当てられている)を、「125」から「137」に変更する場合について説明する。検知モードにおいて、設定スイッチCSWを後方へ回転操作すると、設定モードに切り替わり、バーグラフ表示部17の表示が図6(d)に示すように切り替わる。バーグラフ表示部17には、上側から、百の位を示すバーグラフランプBLと、十の位を示すバーグラフランプBLと、一の位のバーグラフランプBLと、が九つのバーグラフランプBLを挟んで緑色で表示される。そして、九つのバーグラフランプBLは赤色を表示可能で、その点灯数で各位の桁数を示すよう設定してある。これにより、バーグラフランプBLは0から999までの数字を表現することができる。なお、千の位のバーグラフランプBLや、十分の一の位のバーグラフランプBL等を設定して、千以上の数値や、少数の数値等を表示することも可能である。
【0073】
そして、バーグラフランプBLによって表現された数値を確認しながら設定スイッチCSWを操作し、「5」を選択の上、決定する。その後、同様に設定スイッチCSWを操作し、「1」を選択し、押し込み操作で決定する。すると、バーグラフ表示部17には、現在の「管理用の計器番号」である「125」が図6(d)に示すように表示される。そして、設定スイッチCSWの回転操作で、「125」を「137」まで増加させ、押し込み操作で決定する。
【0074】
即ち、メンテナンス第一モードとメンテナンス第二モードとテストスイッチTSWとの操作は、前面パネル31上の操作で済むが、設定モードの操作は、本体部30をケース部20から抜き出した状態でなければ操作できない。このように、重要な情報である計器設定情報がシステム管理者以外の者等に容易に書き換えられることを防止している。
【0075】
〔計器状態表示部〕
計器状態表示部18は、上述したようにメインランプL1とサブランプL2とから構成されている。メインランプL1は、図3に示すごとく、現在の計器状態を表示するランプであって、指示計3の電源の入り切りを示す電源ランプL1a、故障等が発生していることを示す故障ランプL1b、ガス濃度が第二しきい値を越えたことを示す二段目警報ランプL1c、ガス濃度が第一しきい値を越えたことを示す一段目警報ランプL1d、点滅状態で現在メンテナンス第一モードであることを示し、かつ、点灯状態で現在メンテナンス第二モードであることを示すメンテナンス第二モードランプL1e、現在テストスイッチTSWの操作によって仮想のガス濃度情報が出力されていることを示すテストランプL1fを備えている。メインランプL1は、前面パネル31の操作による状態と、指示計3の操作に関係なく表示が必要となる状態と、を表示するものであるため、常時ケース部20から露出される前面パネル31に配置してある。
【0076】
サブランプL2は、図4に示すごとく、第一ランプL2a、第二ランプL2b、第三ランプL2c、第四ランプL2d、第五ランプL2eを備えている。サブランプL2は、設定モードにおいて、設定作業中の計器設定情報の設定項目の種別を表示するランプである。例えば、「ネットワーク調整」の「管理用の計器番号の設定」は、故障ランプL1b及び第五ランプL2eの点灯によって表現されるように設定してある。
【0077】
このように、五つのサブランプL2の点灯と、電源ランプL1a以外の五つのメインランプL1の点灯との組み合わせで、少なくとも25種類の設定項目を表示するよう構成してある。メインランプL1は、計器状態を表示するランプと、設定作業中の計器設定情報の項目種別を表示するランプと、を兼ねていることとなる。
【0078】
〔表示板34及びスケール板35の固定構造〕
表示板34については、対応する検知部2の設置場所が、例えば「Area1」から「Area20」等に変わると、その表示を変更する必要がある。よって、それらの変更に合せて、スケール板35を取り替え可能に構成してある。また、表示板34も取り替え可能である。スケール板35と表示板34とを本体部30へ固定する構造について説明する。
【0079】
図7及び図8に示すごとく、前面パネル31のうち、表示板34及びスケール板35が配設される領域は、背面側に落とし込んで形成してある。前面パネル31の上部に、左右方向内側向けに突出する左右一対のガイド部36を形成すると共に、表示板34の厚み程度の段差部37を形成してある。図7及び図8(b)に示すごとく、表示板34は、前面パネル31の上方から、二つのガイド部36の背面と前面パネル31の前面との間に差し込む。表示板34の下部は、図8(a)に示すごとく、段差部37に当接して保持される。続いて、図7に示すごとく、スケール板35を前傾姿勢にした状態で、スケール板35の下部に形成した凸部35aを、前面パネル31のうちスケール板35が配設される領域の下部に形成した凹部38に差し込み、差し込んだ部分を支点としてスケール板35を起立させる。スケール板35の上部の左右にはガイド部36の形状に対応した左右一対の切欠部35bが形成してある。よって、スケール板35は、ガイド部36と干渉することなく、図8(a)及び(b)に示すごとく、スケール板35の背面は表示板34の前面と密着する。
【0080】
上述の状態を維持したまま、図7に示すごとく、留め具39を前面パネル31に固定して、表示板34とスケール板35とを前面パネル31に固定する。図8(a)に示すごとく、前面パネル31のうち表示板34が配設される直上位置に、左右一対の孔部40を形成してある。留め具39は、図8(b)に示すごとく、孔部40に挿入可能な左右一対の爪部39aを備えている。爪部39aは留め具39の押し込み操作によって孔部40に係止すると共に、留め具39の引っ張り操作によってその係止が外れる。図8(a)及び(b)に示すごとく、留め具39には幅広の溝形状の引掛け部39bが形成してあり、マイナスドライバーや作業者の爪を引掛け部39bに差し込んで引っ張り操作を行うことができる。
【0081】
留め具39には、左右方向の全幅に亘って断面四角形状に切り欠いて、図8(a)に示すごとく、押え部39cを形成してある。押え部39cの前後方向の長さは、表示板34の厚みとスケール板35との厚みとの合計に略等しい。爪部39aが孔部40に係止して留め具39が前面パネル31に固定されると、押え部39cが表示板34とスケール板35との上端部21aと、スケール板35の前面とを押さえ込む。これにより、表示板34及びスケール板35が同時に前面パネル31に簡単かつ確実に固定される。
【0082】
なお、図7に表現してあるように、スケール板35のうち、表示部とバーグラフ表示部17とメインランプL1と重なる部分は透明にしてある。
【0083】
このように簡単に表示板34とスケール板35とを固定できるので、表示板34及びスケール板35の交換も容易である。しかも、留め具39はスケール板35の上部の一部を覆うだけであるため、スケール板35のうち目盛を表示する部分を上下方向に広くすることができる。即ち、前面パネル31においてバーグラフ表示部17を高さ方向に広く設定することができ、目視しやすい指示計3とすることができる。
【0084】
〔本体部とケース部との関係〕
上述したように、本体部30はケース部20に対して抜き差し可能であって、設定モードにおいて設定スイッチCSWを操作するに際しては、設定スイッチCSWを露出させるべく、少なくとも図10に示す程度は、本体部30をケース部20から抜き出す必要がある。また、本体部30の背面の接続コネクタ46には多くの配線が接続されており、かつ、配線には長さの制限があるため、本体部30をケース部20から完全に抜き出して設定操作を行うのは手間がかかる。そこで、以下の構成を採用し、本体部30を設定スイッチCSWの操作が可能な程度にケース部20から抜き出した状態で、本体部30をケース部20に安定させて保持させることを可能にすると共に、本体部30をケース部20に対して抜き差しし易くしてある。
【0085】
図9及び図10に示すごとく、ケース部20は箱形状であって、ケース部20の前面には前方向に開口する開口部21が形成してある。本体部30は開口部21からケース部に対して抜き差し可能である。本体部30の上面であって前面パネル31の直後方に、図4及び図10に示すごとく、本体部30をケース部20に完全に収容したときに差し込み方向への付勢力を本体部30に作用させる板バネ44を備えている。板バネ44による差し込み方向への付勢力を受けつつ、図9に示すごとく、前面パネル31部の下部に設けられたブッシュピン43を、ケース部20の前面に穿孔された固定用孔22に差し込むと、本体部30はケース部20に確実に固定される。
【0086】
図9に示すごとく、本体部30の上面及び下面に、上側へ突出させた上側当接部41と下側へ突出させた下側当接部42とを夫々形成してある。図4及び図5に示すごとく、上側当接部41及び下側当接部42は、左右方向に長いリブ形状に形成してある。本体部30の抜き差し方向において、上側当接部41は、下側当接部42よりも差し込み方向側(本体部30の背面側)に形成してある。
【0087】
図11及び図12を参照しつつ、本体部30をケース部20から抜き出す際の手順を示す。図11(a)では、本体部30は、ケース部20に完全に収容されている。図11(b)に示すごとく、本体部30を抜き出すと、下側当接部42が開口部21の下端部21bに内側から当接して係止する。この状態で本体部30から手を離すと、本体部30のうち抜き出された部分の自重によって、本体部30は、ケース部20と下側当接部42との当接箇所Pを中心として、下方に傾く。「当接箇所Pから上側当接部41の上端までの距離H2」が「開口部21の高さH1」よりも大きくなるように、上側当接部41と下側当接部42との高さ及び位置を設定してある。このため、本体部30が傾くと、図11(c)に示すごとく、ケース部20の上端部21aに上側当接部41が内側から当接して係止する。この結果、設定スイッチCSWを操作できる程度に本体部30を抜き出した状態を維持できる。
【0088】
本体部30をケース部20から完全に抜き出す場合は、図12(d)に示すごとく、本体部30を一旦上方に持ち上げる。すると、開口部21の上端部21aが本体部30の上面に当接し、本体部30の持ち上げが制限される。「上端部21aと本体部30との当接箇所Qから下側当接部42の下端までの距離H3」が「開口部21の高さH1」よりも小さくなるように、上側当接点と下側当接点との高さ及び位置を設定してある。この状態において、図12(e)に示すごとく、当接箇所Qを中心として、本体部30を上方に回転させると、下側当接部42を開口部21からケース部20の外側へ抜き出すことができる。当然、下側当接部42の位置設定によって、本体部30の最後側下端の角部分は開口部21に接触しない。本体部30の最後側下端の角部分をケース部20の外側へ抜き出した後は、図12(f)に示すごとく、本体部30を少し前下方に移動させれば、本体部30をケース部20から完全に抜き出すことができる。
【0089】
なお、本体部30をケース部20に差し込む際には、上述の手順と逆の手順を行えば良い。
【0090】
このように、上側当接部41と下側当接部42とを抜き差し方向において異なる位置に形成してあるため、上側当接部41と下側当接部42とを同位置に形成した場合よりも開口部21の高さを低く抑えられる。また、本体部30の抜き差しに際しても何れかの当接部を抜き差ししてから、他方の当接部を抜き差しすれば良いため、作業が行い易い。
【0091】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態においては、濃度情報の値がしきい値を越えたとき、バーグラフの表示色がしきい値を示すバーグラフランプBLの表示色と同じ色になるが、これに限られず、常時バーグラフの表示色としきい値を示すバーグラフランプBLの表示色とが異なるよう構成してあっても良い。
【0092】
(2)上述の実施形態においては、しきい値は濃度情報の値の上限を表示するものであった。しかし、被検知ガスの種類によっては、しきい値が濃度情報の下限を表示するものであっても良い。この場合は、濃度情報の値がしきい値を超えている場合は、バーグラフとしきい値との表示色が異なり、しきい値を下回るとバーグラフの表示色がしきい値の表示色と同じになるよう設定する。
【0093】
(3)上述の実施形態では、自己保持設定がなされている例を示したが、これに限られるものではない。例えば、ガス濃度が第二しきい値80%LELよりも小さくなると、バーグラフが橙色を表示し、第一しきい値40%LELよりも小さくなると緑色を表示するよう構成してあっても良い。
【0094】
(4)上述の実施形態においては、上側当接部41は突起部として構成してあったが、これに限られるものではない。上側当接部41は、本体部30の最後側上端部21aであっても良い。また、本体部30の全長や、ケース部20の大きさ、ケース部20の厚みによって、上側当接部41と下側当接部42とに対する制約は変わるため、その制約に応じて両当接部の位置、形状を変更すると良い。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、被検知ガスの濃度に応じた出力値を出力する検知部と、検知部が接続されて、出力値に応じた濃度情報を表示可能である指示計と、指示計が接続されて、少なくとも指示計から取得した濃度情報を監視する監視部と、を備えたガス検知システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 ガス検知システム
2 検知部
3 指示計
6 監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知ガスの濃度に応じた出力値を出力する検知部と、
前記検知部が接続されて、前記出力値に応じた濃度情報を表示可能である指示計と、
前記指示計が接続されて、少なくとも前記指示計から取得した前記濃度情報を監視する監視部と、を備え、
前記指示計は、前記検知部と前記指示計とが接続されていない状態のときに前記監視部に異常信号を出力するモードと、前記検知部と前記指示計とが接続されていない状態であっても前記異常信号を前記監視部に出力しない特定モードと、に切り替え可能であるガス検知システム。
【請求項2】
前記特定モードのとき、前記指示計は前記監視部に所定値の仮想濃度情報を出力する請求項1に記載のガス検知システム。
【請求項3】
前記仮想濃度情報の値が変更可能である請求項2に記載のガス検知システム。
【請求項4】
前記特定モードは、前記指示計の電源が落とされて再度前記電源が投入されたとき、前記異常信号を出力するモードに切り替わる請求項1から3の何れか一項に記載のガス検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−202710(P2012−202710A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64807(P2011−64807)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】