説明

ガス検知器校正装置

【課題】 携帯用ガス検知器について、ガス校正処理などの所要の更新処理を容易に行うことができるガス検知器校正装置の提供。
【解決手段】 ガス検知器校正装置は、ガス吸引手段が内蔵された吸引式の携帯用ガス検知器を更新処理するものであって、更新処理用ガスを携帯用ガス検知器に導入するガス流路と、携帯用ガス検知器が装着されるガス検知器装着用凹所とを有し、電源がオン状態とされた携帯用ガス検知器が、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結された状態とされることにより、携帯用ガス検知器の確認試験処理、ガス校正処理、および充電処理からなる更新処理が行われ、確認試験処理およびガス校正処理においては、携帯用ガス検知器に内蔵されたガス吸引手段によって、更新処理用ガスが携帯用ガス検知器に導入されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知器校正装置に関し、詳しくは、吸引式の携帯用ガス検知器について、例えばガスセンサの確認試験処理およびガス校正処理、並びに駆動用電池の充電処理を内容とする、次回に当該携帯用ガス検知器を使用するために必要な更新処理を行うガス検知器校正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば地下の工事現場や坑道、その他の人が立ち入る作業現場などにおいて、その環境雰囲気中において一酸化炭素ガスや硫化水素ガスなどの危険性ガスが含有される場合や、環境雰囲気中における酸素ガスの濃度が低下している場合など、環境雰囲気が人に対して危険な状態となっているおそれ、あるいは危険な状態となるおそれがある場合が少なくない。そして、環境雰囲気中に含有される危険性ガスの濃度が高いことにより、または酸素ガスの濃度が低いことにより、人に対して危険な状態となったときには、そのことを直ちに知る必要がある。
【0003】
現在、作業現場においては、例えば、検知対象ガスの濃度変化などのガス検知器情報を記録する機能を有し、当該作業領域において人に携帯されて使用される携帯用ガス検知器によって、環境雰囲気中の例えば酸素ガス、可燃性ガス、一酸化炭素ガス、硫化水素ガスなどの濃度を検知するガス検知動作が行われている。
【0004】
この種の携帯用ガス検知器については、ガス検知動作の終了後、例えば1日の作業終了後に、電池の充電処理および必要に応じて行われるガスセンサの確認試験処理やガス校正処理を含む、次回にガス検知器を使用するための更新処理が行われる。
携帯用ガス検知器の更新処理を行うに際して用いられる機器として、通信機能、充電機能およびガス校正機能を備えてなるクレードルが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このクレードルは、例えばガス吸引手段を内蔵しない拡散式の携帯用ガス検知器を被処理体として更新処理を行うものであって、この拡散式の携帯用ガス検知器に更新処理用ガスを供給するためには、独立した専用のガス吸引手段を当該クレードルに取り付けなければならず、作業が煩雑となってしまう、という問題がある。
【特許文献1】特開2002−116169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ガス吸引手段を内蔵する吸引式の携帯用ガス検知器について、ガス校正処理などの所要の更新処理を容易に行うことができるガス検知器校正装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガス吸引手段を内蔵しない拡散式の携帯用ガス検知器について、ガス校正処理などの所要の更新処理を容易に行うことができるガス検知器校正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス検知器校正装置は、ガス吸引手段が内蔵された吸引式の携帯用ガス検知器を更新処理するためのものであって、
更新処理用ガスを被処理携帯用ガス検知器に導入するためのガス流路と、吸引式の携帯用ガス検知器が装着されるガス検知器装着用凹所とを有し、
電源がオン状態とされた被処理携帯用ガス検知器が、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結された状態とされることにより、
前記被処理携帯用ガス検知器の検知対象ガスの種類の選択性およびガス濃度指示値の適否が確認される確認試験処理、
前記被処理携帯用ガス検知器の感度が調整されるガス校正処理、
および前記被処理携帯用ガス検知器の駆動用電池の充電処理
からなる更新処理が行われ、
確認試験処理およびガス校正処理においては、被処理携帯用ガス検知器に内蔵されたガス吸引手段によって、更新処理用ガスが当該被処理携帯用ガス検知器に導入されることを特徴とする。
【0008】
本発明のガス検知器校正装置は、ガス吸引手段が内蔵されない拡散式の携帯用ガス検知器を更新処理するためのものであって、
更新処理用ガスを被処理携帯用ガス検知器に導入するためのガス流路と、被処理携帯用ガス検知器が装着されるガス検知器装着用凹所と、ガス吸引手段とを有し、
電源がオン状態とされた被処理携帯用ガス検知器が、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結された状態とされることにより、
前記被処理携帯用ガス検知器の検知対象ガスの種類の選択性およびガス濃度指示値の適否が確認される確認試験処理、
前記被処理携帯用ガス検知器の感度が調整されるガス校正処理、
および前記被処理携帯用ガス検知器の駆動用電池の充電処理
からなる更新処理が行われ、
確認試験処理およびガス校正処理においては、前記ガス吸引手段によって更新処理用ガスが当該被処理携帯用ガス検知器に導入されることを特徴とする。
【0009】
本発明のガス検知器校正装置においては、確認試験処理は、一定期間経過毎の確認試験処理時期にある場合に行われるものであることが好ましい。
【0010】
本発明のガス検知器校正装置においては、ガス校正処理は、確認試験処理の結果が不良である場合、および、確認試験処理の結果が良好であり、かつ、一定期間経過毎のガス校正処理時期にある場合に行われるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガス検知器校正装置によれば、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結される被処理携帯用ガス検知器が吸引式のものであることによって、当該被処理携帯用ガス検知器内部に設けられたガス吸引手段によって更新処理用ガスをこの携帯用ガス検知器に導入することができるので、装置に専用のガス吸引手段を取り付ける作業が必要なく、簡単にガス校正処理を行うことができる。また、このガス検知器校正装置を小型化が達成されたものとして構成することができる。
【0012】
また、本発明のガス検知器校正装置によれば、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結される被処理携帯用ガス検知器が拡散式のものであっても、当該ガス検知器校正装置に内蔵されたガス吸引手段によって更新処理用ガスをこの携帯用ガス検知器に導入することができるので、装置に専用のガス吸引手段を取り付ける作業が必要なく、簡単にガス校正処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のガス検知器校正装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明のガス検知器校正装置の構成の一例における概略を示すガス流路系統図である。図2は、本発明のガス検知器校正装置の構成の一例を示す平面図、図3は、図2のガス検知器校正装置の背面図、図4は、図3のガス検知器校正装置のA−A線断面図である。
【0015】
<ガス検知器校正装置>
本発明のガス検知器校正装置10は、内蔵されたポンプなどのガス吸引手段によって被検ガスがガス検知部30Cに導入される吸引式の携帯用ガス検知器(以下、「吸引式ガス検知器」ともいう。)30を被処理体とするものであって、当該ガス検知部30Cを構成するガスセンサについてのガス校正処理などの所要の更新処理を行うものである。
【0016】
この被処理体である吸引式ガス検知器30は、例えば、各々、互いに異なる種類のガス成分を検知する複数のガスセンサを具えたガス検知部30Cおよび各ガス成分の濃度変化などのガス検知動作に係るガス濃度データなどを記録するための記録手段(図示せず)を具え、充電可能な二次電池よりなる駆動用電池(図示せず)により駆動されるものであって、例えば、作業現場などにおいて人に携帯されて使用されるものである。
この吸引式ガス検知器30の内部には、ガス導入口30Aからガス検知部30Cに至るガス流路30Bに、例えばポンプPなどよりなるガス吸引手段が介挿されている。また、ガス流路30BにおけるポンプPよりも下流側の位置には、ガス流路30Bを流過する更新処理用ガスの流量を検出する圧力センサ(図示せず)が介挿されていると共に、この圧力センサよりも下流側の位置に、ガス吐出量が例えば0.4L/min以上とされる絞り部(図示せず)が形成されている。
【0017】
本発明のガス検知器校正装置10は、例えば略箱状のハウジング17を有し、その上部には当該ハウジング17の上面に開口するようガス検知器装着用凹所11が設けられていると共に、その内部には、当該ガス検知器装着用凹所11に装着されると共に後述するガス流路Rに連結されてセットされた吸引式ガス検知器30について所要の更新処理を行う更新処理制御手段(図示せず)および例えばフラッシュメモリなどよりなる記憶手段(図示せず)が設けられている。
ガス検知器校正装置10のガス検知器装着用凹所11は、被処理体である吸引式ガス検知器30が、当該ガス検知器校正装置10に対して垂立した姿勢において上方から位置決め用突起19に従って挿入されることにより安定に受容された状態となるよう、当該吸引式ガス検知器30の下部の形状に対応する形状を有している。
【0018】
また、ハウジング17の内部には、吸引式ガス検知器30に導入される更新処理用ガスが流過するガス流路Rが設けられている。具体的には、ガス流路Rは、ガス入口22から更新処理用ガスが導入される更新処理用ガス導入流路22Aと、空気入口26から装置外部の空気が導入される空気導入流路26Aと、これらの更新処理用ガス導入流路22Aおよび空気導入流路26Aに流路開閉弁である例えば三方電磁弁24によって連結されて当該更新処理用ガス導入流路22Aおよび空気導入流路26Aのいずれか一方に連通される、チューブコード接続用口23Aに至るガス導入流路25と、チューブコード接続用口23Bからガス出口27に至るガス排出流路28とよりなるものである。
そして、吸引式ガス検知器30は、ガス検知器校正装置10に対して、ガス流路Rのガス導入流路25に係るチューブコード接続用口23AからチューーブコードTを介してガス検知部30Cに更新処理用ガスが導入されると共に、当該ガス検知部30CからチューブコードTを介してガス排出流路28に係るチューブコード接続用口23Bに更新処理用ガスが排出されるよう、連結される構成とされている。
【0019】
更新処理用ガスは、吸引式ガス検知器30のガス検知部30Cのガスセンサに係る検知対象ガスに応じたものが用いられ、具体的には、例えば酸素ガス、高濃度可燃性ガス、低濃度可燃性ガス、硫化水素ガス、一酸化炭素ガスなどを例示することができる。
ガス流路Rのガス導入流路25において流過される更新処理用ガスの流量は、例えば0.4L/min以上とされる。
【0020】
さらに、ハウジング17の前面から視認される前面下部に形成された操作表示パネル12に、セットされた吸引式ガス検知器30の確認試験処理の動作状態を示す確認試験処理ランプ12Aおよびガス校正処理の動作状態を示すガス校正処理ランプ12Bが設けられていると共に、ハウジング17の前面から視認される前面上部に、セットされた吸引式ガス検知器30の更新処理の動作状態または結果を示す表示ランプ16A,16Bが設けられている。
具体的には、「BUMP」と表示された確認試験処理ランプ12Aが確認試験処理の状態を点滅状態により区別して表示するものとされ、「CAL」と表示されたガス校正処理ランプ12Bがガス校正処理の状態を点滅状態により区別して表示するものとされている。また、「CAL」と表示された一方の表示ランプ16Aが確認試験処理およびガス校正処理の結果を点灯状態および発色状態により区別して表示するものとされ、「CHARGE」と表示された他方の表示ランプ16Bが充電処理の状況を点灯状態および発色状態により区別して表示するものとされている。
【0021】
図において、14はチューブコードTを収容するチューブコード収容用凹部、13Aは交流電源回路、21はノイズフィルターである。
【0022】
<更新処理>
更新処理制御手段は、電源がオン状態の吸引式ガス検知器30がガス検知器校正装置10にセットされたことを認識することにより、更新処理を行うものである。
具体的には、ガス検知部30Cのガスセンサの検知対象ガスの種類の選択性およびガス濃度指示値の適否が確認される確認試験処理、ガス検知部30Cのガスセンサの感度が調整されるガス校正処理、および駆動用電池の充電処理からなる更新処理が行われる。
更新処理においては、確認試験処理およびガス校正処理が、この順に行われるよう構成されている。
また、充電処理は、確認試験処理に先行して、および/またはガス校正処理に後続して、行われるよう構成されており、確認試験処理に先行して行い、さらにガス校正処理に後続しても行うことが好ましい。これにより、ポンプPを確実に作動させて確実に更新処理用ガスを吸引式ガス検知器30に導入することができて確認試験処理およびガス校正処理を正確に行うことができると共に、確認試験処理およびガス校正処理において作動されるポンプPによって消費された電力が回復された状態で次回のガス検知動作を行うことができる。
【0023】
〔確認試験処理〕
確認試験処理は、例えば吸引式ガス検知器30のガス検知部30Cにおける各々のガスセンサによって選択されるガスの種類およびガスセンサによる検知対象ガスのガス濃度指示値が適正なものであるか否かを確認するものであって、必要に応じて行われる。
この確認試験処理は、一定期間経過毎の確認試験処理時期にある場合に行われるものであって、操作表示パネル12に設けられた確認試験スイッチ12Cを1秒間以上押し続けることにより、確認試験処理が開始される。
ここに、吸引式ガス検知器30についての確認試験処理の期限は、例えば30日間とされることが好ましい。
また、確認試験処理の所要時間は、例えば3分間程度である。
【0024】
〔ガス校正処理〕
ガス校正処理は、例えば吸引式ガス検知器30におけるガスセンサの感度のバラツキの調整や経時的なガスセンサの感度特性の変動の補償などを行うものであって、更新処理において確認試験処理に後続して、必要に応じて行われる。
このガス校正処理は、一定期間経過毎のガス校正処理時期にある場合に実行されるものであって、操作表示パネル12に設けられたガス校正スイッチ12Dを1秒間以上押し続けることにより、ガス校正処理が開始される。ただし、このガス校正処理に先行して行われた確認試験処理の結果が不良であった場合には、ガス校正処理時期であるか否かにかかわらず更新処理制御手段によってガス校正処理が自動的に開始される。
ここに、吸引式ガス検知器30についてのガス校正処理の期限は、必要に応じて適宜に設定されており、例えば90日間とされている。
また、ガス校正処理の所要時間は、例えば3分間程度である。
【0025】
ここに、確認試験処理の結果が良好である場合とは、吸引式ガス検知器30の選択性が維持されていること、および濃度指示値が適正なものである場合であって、具体的には、例えばガス検知部30Cの各々のガスセンサに係る検知対象ガスの、実際の濃度に対する検知された濃度の指示値の差が±10〜30%以下の範囲内である場合である。検知された濃度の指示値の差がこの範囲外である場合は、確認試験処理の結果が不良であるとされる。
【0026】
〔充電処理〕
充電処理は、ガス検知器校正装置10のガス検知器装着用凹所11の底部に設けられた充電用出力端子18に吸引式ガス検知器30の充電用入力端子(図示せず)が電気的に接続されていること、および吸引式ガス検知器30の電源がオフ状態であることが、更新処理制御手段によって認識されることにより、行われるものである。
吸引式ガス検知器30の充電処理に要する時間は、例えば2時間程度である。
【0027】
以上のガス検知器校正装置10においては、図5に示されるように、吸引式ガス検知器30の更新処理が行われる。
先ず、ガス検知動作終了後に、作業者がガス検知器校正装置10の電源スイッチ13を投入し、吸引式ガス検知器30の電源をオフ状態としてガス検知器校正装置10のガス検知器装着用凹所11に装着させることにより、更新処理制御手段によって充電処理が開始される。
そして、適宜の時間の経過後に作業者が手動操作にて吸引式ガス検知器30の電源をオン状態とすると共に、チューブコードT,Tによって当該吸引式ガス検知器30のガス検知部30Cをガス流路Rに連結させることにより、当該吸引式ガス検知器30がガス検知器校正装置10にセットされたことが更新処理制御手段によって認識され、さらに、一定期間経過毎の確認試験処理時期にある場合には、操作表示パネル12に設けられた確認試験スイッチ12Cを1秒間以上押し続けることにより、確認試験処理が開始される。
【0028】
具体的には、吸引式ガス検知器30のポンプPによって空気または更新処理用ガスがガス流路Rのガス導入流路25を介して当該吸引式ガス検知器30のガス検知部30Cに導入され、以下のように確認試験処理が行われる。
すなわち、例えば、ガス流路Rの三方電磁弁24が空気側に切り替えられて、空気入口26から空気導入流路26Aを介して装置外部から空気が例えば45秒間、ガス検知部30Cに対して導入されてこのときのガス濃度指示値をゼロとするゼロ校正が行われる。続いて、三方電磁弁24がガス側に切り替えられて、ガス入口22から更新処理用ガス導入流路22Aを介して図示しないガス源から更新処理用ガスが例えば90秒間、ガス検知部30Cに対して導入され、ガス検知部30Cにおけるガスセンサの各々について、検知対象ガスの種類の選択性、およびガス濃度指示値の適否が確認される。
【0029】
次いで、一定期間経過毎のガス校正処理時期にある場合には、操作表示パネル12に設けられたガス校正スイッチ12Dを1秒間以上押し続けることにより、ガス校正処理が開始される。
一方、確認試験処理の結果が不良であった場合には、当該吸引式ガス検知器30について後述するガス校正処理が自動的に行われる。
【0030】
すなわち、例えば、ガス流路Rの三方電磁弁24が空気側に切り替えられて、空気入口26から空気導入流路26Aを介して装置外部から空気が例えば45秒間、ガス検知部30Cに対して導入されてこのときのガス濃度指示値をゼロとするゼロ校正が行われる。続いて、三方電磁弁24がガス側に切り替えられて、ガス入口22から更新処理用ガス導入流路22Aを介して更新処理用ガスが例えば90秒間、ガス検知部30Cに対して導入され、これにより、吸引式ガス検知器30のガス検知部30Cにおけるガスセンサの各々において、感度のバラツキの調整および経時的な感度特性の変動の補償が行われる。
ガス検知部30Cから排出されたガスはガス排出流路28およびガス出口27を介して、最終的に、ガス検知器校正装置10から外部に排出される。
【0031】
さらに、吸引式ガス検知器30が無操作状態になって所定時間、例えば10分間が経過した後、吸引式ガス検知器30の電源が更新処理制御手段によって自動的にオフ状態とされ、これにより、吸引式ガス検知器30についての充電処理が続行される。
【0032】
以上のような吸引式ガス検知器30についての所要の更新処理中、または更新処理の終了後においては、吸引式ガス検知器30の更新処理の状態または結果が確認試験処理ランプ12A、ガス校正処理ランプ12Bの点灯状態、並びに表示ランプ16A,16Bの点灯状態および発色状態により区別されて表示される。
具体的な表示例を示すと、例えば、確認試験処理中は確認試験処理ランプ12Aが緑色点滅状態とされると共に一方の表示ランプ16Aが黄色点滅状態とされ、確認試験処理終了後は確認試験処理ランプ12Aが緑色点灯状態とされると共に、当該確認試験処理の結果が良好である場合には一方の表示ランプ16Aが緑色点灯状態とされ、当該確認試験処理の結果が不良である場合には一方の表示ランプ16Aが赤色点灯状態とされる。
また、ガス校正処理中はガス校正処理ランプ12Bが緑色点滅状態とされると共に一方の表示ランプ16Aが黄色点滅状態とされ、ガス校正処理終了後はガス校正処理ランプ12Bが緑色点灯状態とされると共に、当該ガス校正処理の結果が良好である場合には一方の表示ランプ16Aが緑色点灯状態とされ、当該ガス校正処理の結果が不良である場合、すなわち吸引式ガス検知器30のガス検知部30Cのガスセンサがガス校正可能範囲を逸脱するほど劣化されている場合には一方の表示ランプ16Aが赤色点灯状態とされる。
以上において、確認試験処理およびガス校正処理の両方が実施された場合には、その両方が良好した場合にのみ一方の表示ランプ16Aが緑色点灯状態とされ、いずれか一方でも不良した場合には、当該一方の表示ランプ16Aが赤色点灯状態とされる。
また、充電処理以外の、確認試験処理およびガス校正処理中は、他方の表示ランプ16Bが緑色点滅状態とされる。さらに、充電処理中は、他方の表示ランプ16Bが黄色点滅状態とされ、充電処理終了後は、他方の表示ランプ16Bが緑色点灯状態とされる。
【0033】
以上のようなガス検知器校正装置10によれば、ガス検知器装着用凹所11において装着されると共にガス流路Rに連結された状態とされる携帯用ガス検知器が吸引式のものであることによって、当該吸引式ガス検知器30内部に設けられたポンプPによって更新処理用ガスをこの吸引式ガス検知器30に導入することができるので、装置に専用のガス吸引手段を取り付ける作業が必要なく、簡単にガス校正処理を行うことができる。
また、専用のガス吸引手段をこのガス検知器校正装置内部に内蔵させる必要がなく、このガス検知器校正装置を小型化が達成されたものとして構成することができる。
【0034】
<第2の実施の形態>
図6は、本発明のガス検知器校正装置の構成の他の一例における概略を示すガス流路系統図、図7は、図6のガス検知器校正装置の断面の概略を示す概略断面図である。
【0035】
この例のガス検知器校正装置10は、ガス吸引手段が内蔵されておらずに被検ガスが拡散によりガス検知部30Cに供給される拡散式の携帯用ガス検知器(以下、「拡散式ガス検知器」ともいう。)31を被処理体とするものであって、その内部に更新処理用ガスを吸引するためのガス吸引手段が設けられていることの他は、基本的な構造は第1の実施の形態におけるガス検知器校正装置10と同様のものである。
【0036】
このガス検知器校正装置10の内部には、三方電磁弁24から拡散式ガス検知器31に至るガス導入流路25に、例えばポンプ32などよりなるガス吸引手段が介挿されている。また、ガス導入流路25におけるポンプ32よりも下流側の位置には、ガス導入流路25を流過する更新処理用ガスの流量を検出する圧力センサSが介挿されていると共に、この圧力センサSよりも下流側の位置に、ガス吐出量が例えば0.4L/min以上とされる絞り部Qが形成されている。
【0037】
以上のガス検知器校正装置10においては、ガス検知器校正装置10に内蔵されたポンプ32によって空気または更新処理用ガスがガス流路Rのガス導入流路25を介して拡散式ガス検知器31のガス検知部30Cに導入されることにより、当該拡散式ガス検知器31の更新処理が行われる。
【0038】
以上のガス検知器校正装置によれば、ガス検知器装着用凹所11において装着されると共にガス流路Rに連結される被処理携帯用ガス検知器が拡散式のものであっても、当該ガス検知器校正装置10に内蔵されたガス吸引手段によって更新処理用ガスをこの拡散式ガス検知器31に導入することができるので、装置に専用のガス吸引手段を取り付ける作業が必要なく、簡単にガス校正処理を行うことができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のガス検知器校正装置の構成の一例における概略を示すガス流路系統図である。
【図2】本発明のガス検知器校正装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】図2のガス検知器校正装置の背面図である。
【図4】図3のガス検知器校正装置のA−A線断面図である。
【図5】本発明のガス検知器校正装置に係る更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明のガス検知器校正装置の構成の他の一例における概略を示すガス流路系統図である。
【図7】図6のガス検知器校正装置の断面の概略を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ガス検知器校正装置
11 ガス検知器装着用凹所
12A 確認試験処理ランプ
12B ガス校正処理ランプ
12C 確認試験スイッチ
12D ガス校正スイッチ
12 操作表示パネル
13 電源スイッチ
13A 交流電源回路
14 チューブコード収容用凹部
16A 一方の表示ランプ
16B 他方の表示ランプ
17 ハウジング
18 充電用出力端子
19 位置決め用突起
21 ノイズフィルター
22 ガス入口
22A 更新処理用ガス導入流路
23A,23B チューブコード接続用口
24 三方電磁弁
25 ガス導入流路
26 空気入口
26A 空気導入流路
27 ガス出口
28 ガス排出流路
30 吸引式ガス検知器
30A ガス導入口
30B ガス流路
30C ガス検知部
31 拡散式ガス検知器
32 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス吸引手段が内蔵された吸引式の携帯用ガス検知器を更新処理するためのガス検知器校正装置であって、
更新処理用ガスを被処理携帯用ガス検知器に導入するためのガス流路と、被処理携帯用ガス検知器が装着されるガス検知器装着用凹所とを有し、
電源がオン状態とされた被処理携帯用ガス検知器が、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結された状態とされることにより、
前記被処理携帯用ガス検知器の検知対象ガスの種類の選択性およびガス濃度指示値の適否が確認される確認試験処理、
前記被処理携帯用ガス検知器の感度が調整されるガス校正処理、
および前記被処理携帯用ガス検知器の駆動用電池の充電処理
からなる更新処理が行われ、
確認試験処理およびガス校正処理においては、被処理携帯用ガス検知器に内蔵されたガス吸引手段によって、更新処理用ガスが当該被処理携帯用ガス検知器に導入されることを特徴とするガス検知器校正装置。
【請求項2】
ガス吸引手段が内蔵されない拡散式の携帯用ガス検知器を更新処理するためのガス検知器校正装置であって、
更新処理用ガスを被処理携帯用ガス検知器に導入するためのガス流路と、被処理携帯用ガス検知器が装着されるガス検知器装着用凹所と、ガス吸引手段とを有し、
電源がオン状態とされた被処理携帯用ガス検知器が、ガス検知器装着用凹所において装着されると共にガス流路に連結された状態とされることにより、
前記被処理携帯用ガス検知器の検知対象ガスの種類の選択性およびガス濃度指示値の適否が確認される確認試験処理、
前記被処理携帯用ガス検知器の感度が調整されるガス校正処理、
および前記被処理携帯用ガス検知器の駆動用電池の充電処理
からなる更新処理が行われ、
確認試験処理およびガス校正処理においては、前記ガス吸引手段によって更新処理用ガスが当該被処理携帯用ガス検知器に導入されることを特徴とするガス検知器校正装置。
【請求項3】
確認試験処理は、一定期間経過毎の確認試験処理時期にある場合に行われるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス検知器校正装置。
【請求項4】
ガス校正処理は、確認試験処理の結果が不良である場合、および、確認試験処理の結果が良好であり、かつ、一定期間経過毎のガス校正処理時期にある場合に行われるものであることを特徴とする請求項3に記載のガス検知器校正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−132701(P2007−132701A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323561(P2005−323561)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】