説明

ガス洗浄装置及びガス洗浄方法

ガス洗浄装置及びガス洗浄方法が提供される。本発明によるガス洗浄装置は、 反応ガスが流入される反応管と、反応管と連結され、流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、反応器内のプラズマに水を注入するための水注入部とを備え、別途のヒーターを使用せず、プラズマの熱源を利用して水を蒸気化させるため、非常に経済的なガス洗浄が可能である。さらに、プラズマ化した反応ガスが排出される最適の領域で水を直接蒸気化させて反応ガスを洗浄するため、ガス洗浄の効率も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス洗浄装置及びガス洗浄方法にかかり、より詳細には、経済的なガス洗浄方式を具現することができ、プラズマ化した反応ガスが排出される最適の領域で水を直接蒸気化させるため、ガス洗浄効率の向上したガス洗浄装置及びガス洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製造工程は多様な化学反応を伴い、NF、CFのようにフッ素系のガス、VOC(Volatile Organic Compound)のような廃ガスが生成及び排出される。このような廃ガスが所定濃度以下に浄化されていない状態で大気中に放出される場合、深刻な大気汚染及び環境汚染をもたらすため、現在、ガススクラバー方式を利用して廃ガスを洗浄している。
【0003】
従来技術によるガススクラバーは、多様な有害ガスのうち水溶性ガスを水に溶解させて処理する湿式スクラバー(wet type gas scrubber)、可燃性ガスを燃消させて処理するバーニングスクラバー(burning type gas scrubber)、ヒーターによって廃ガスを直接酸化させ、散水器を利用して、酸化ガスを噴射させることによって、酸化ガスに含まれたパウダーを分離させる方法、ファン・デル・ワールス力を利用した吸着剤によって有害ガスを取り除く吸着/触媒方式などがある。そのうち、湿式スクラバーがより一般的に使用されるが、他の方式に比べて優れた効果を発揮し、工程経済性にも優れているためである。
【0004】
図1は、従来の半導体工程用のガス洗浄装置で使用される湿式タイプのガススクラバーを概略的に示す構成図である。
【0005】
図1に示すように、ガススクラバー1は、上部の湿式チャンバー10と下部の水循環タンク20とから構成される。湿式チャンバー10は、上部にガス流入口11が設けられ、その一側にはガス排出口12が設けられる。また、湿式チャンバー10の内部の一部を分離する隔壁13が軸方向に設けられる。隔壁13の下端の近接部には、水と反応して水溶性ガスを濾す吸収剤16が備えられ、吸収剤16に水を噴射するノズル15を備える水供給管14が湿式チャンバー10の一側から貫設される。また、水循環タンク20の一側には、前記湿式チャンバー10に供給された水が流入して循環して排出される水排出口22が設けられる。
【0006】
前記構成を有するガススクラバー1は、湿式チャンバー10の中間部に水を噴射し、効率を高めるために吸収剤16を通過しつつガスの流れを遅延させ、水溶性ガスを水と反応させる。しかし、このような湿式タイプは多量の水を使用するため、水の消費量が多く、水分子のサイズの大きい状態で流れるため、反応性が悪く、頻繁なノズルの詰まりのためメンテナンスが頻繁に行われるという問題点があった。
【0007】
したがって、水分子のサイズを小さくすることによって洗浄工程の効率を向上させようとする試みがあったが、このような試みの一環として、特許文献1は、水を蒸気化させて変化させることによって、小さくなった水分子とガスを容易に反応させ、その結果、水の使用量を減少させたガススクラバーを開示している。しかし、この場合、別途のヒーターまたは超音波装置が必要であり、経済性が低下し、装置のサイズが不要に大きくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許第0501533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、さらに優れた経済性を有し、効果的な装置構成の可能なガス洗浄装置を提供するところにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記ガス洗浄装置を用いた効果的なガス洗浄方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、反応ガスが流入される反応管と、反応管と連結され、前記流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、前記反応器内のプラズマに水を注入するための水注入部と、を備えることを特徴とするガス洗浄装置を提供する。本発明の一実施形態で、前記水注入部は、水滴を所定の速度で落下させるドロッパー状であることができ、前記反応管から約10ないし20cm離れた位置に備えられることができる。また、前記水注入速度は、毎分2ないし10mlとすることができる。
【0012】
前記課題を解決するための他の構成として、本発明は、反応ガスが流入される反応管と、前記反応管と連結され、前記流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、前記反応器内で水を外部圧力によって直接注入するためのノズルとを備え、前記ノズルを介して反応器内に注入された水をプラズマの熱源によって気化させて前記反応ガスとプラズマ反応させることを特徴とするガス洗浄装置を提供し、前記ノズルは、前記反応管から約10ないし20cm離れた位置に備えられることができる。
【0013】
また、本発明は、前記課題を解決するためのさらに他の構成として、反応ガスが流入される反応管と、前記反応管と連結され、前記流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、前記反応器と接し、内部に水が満たされる配管ラインと、前記反応器の熱によって気化した前記配管ラインの水を前記反応器内に注入するためのノズルと、を備えることを特徴とするガス洗浄装置を提供し、前記ノズルは、前記反応管から約10ないし20cm離れた位置に備えられることができる。また、前記配管ラインは、前記反応器の壁内に位置し、それにより前記反応器は二重壁を形成することができる。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明は、反応ガスを流入させるステップと、前記反応ガスをプラズマ化させるステップと、前記反応ガスのプラズマによる熱源を利用して水を蒸気化させて、プラズマ化した反応ガスに流入させてプラズマ反応させるステップと、を含むことを特徴とするガス洗浄方法を提供する。このとき、前記水は、前記反応ガスプラズマ火炎の開始位置から約10ないし20cm離れた位置で蒸気化して最大の反応効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるガス洗浄装置は、別途のヒーターを使用せず、プラズマの熱源を利用して水を蒸気化させるため、非常に経済的なガス洗浄を可能にする。さらに、プラズマ化した反応ガスが排出される最適の領域で水を直接蒸気化させて反応ガスを洗浄するため、ガス洗浄の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の半導体工程用のガス洗浄装置で使用される湿式タイプのガス洗浄装置を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態によるガス洗浄装置の模式図である。
【図3】本発明による水注入の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるガス洗浄装置の模式図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態によるガス洗浄装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、前述のように、プラズマによる反応ガスの分解と、前記プラズマの熱源を利用した水の蒸気化を同時に誘導する。特に、このような過程を一つの反応器内で誘導することによって、蒸気化した水は直ぐプラズマ化した反応ガスと反応するため、非常に迅速に反応ガスの除去が行われることができる。
【0018】
本明細書全般にわたって使用される反応ガスは、プラズマによって分解されて除去されるガスを言い、半導体工程などから排出されるPFC(Per Fluoro Compound)、VOCなどを含む。しかし、本発明の範囲は単純に半導体工程そのものに限らず、プラズマによって分解された後、水蒸気などによって洗浄され得る任意のあらゆるガスが本明細書の反応ガスに属する。
【0019】
本発明は、特に、半導体工程で発生するPFCなどがプラズマによって分解される場合、多様な種類のラジカルが形成され、前記ラジカルなどは水とさらに容易に反応して除去されることができる。また、水の反応面積を拡大させるために、従来では別途のヒーターを使用して水を蒸気状態に変換させる装置が要求されたが、本発明では、プラズマによって発生した高熱によって、水が反応器に注入されるとすぐに蒸気化されるため、ヒーターのような装置が不要となる。さらに、従来技術の場合、蒸気を別途の装置で生成させた後、それを廃ガスに注入させるステップを行うが、本発明では、活性化した反応ガスが排出される反応器そのもので蒸気を生成させ、反応ガスと反応させるため、蒸気の移動時に温度の低下による表面凝縮のような問題を本質的に予防することができる。また、従来の技術は、このような表面凝縮を予防するために別途の加熱コイルのような装置を必要としたが、本発明では、根本的にこのような装置を使用しなくても良いため、非常に経済的である。
【0020】
本発明で前記反応器とは、反応ガスがプラズマ化すると同時に、蒸気化した水とプラズマによって活性化した反応ガスとが結合する物理的、化学的反応が行われる箇所を言い、反応器の形状は導管状またはベッセル状であり得る。しかし、前記反応器内でプラズマの熱源によって水が蒸気化し、蒸気化した水が前記プラズマによって活性化した反応ガスと反応及び結合する限り、本発明は前記反応器の形状に制限されるものではない。
【0021】
本発明の理解を助けるために、以下の図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態によるガス洗浄装置の模式図である。
【0023】
図2に示すように、大気に放出されない、すなわち洗浄の対象となる反応ガスが反応管110に流入される。その後、前記反応ガスのプラズマ化のためのトーチ反応が前記反応管110で行われるが、本発明は前記反応管の形状に特別に制限されず、前記反応ガスを点火させ得るいかなる構造も本発明の範囲に属する。また、本発明の一実施形態で、前記プラズマ工程はマイクロウエーブ・プラズマ法によって行われたが、反応ガスをプラズマ化させることができ、注入される水を蒸気化させ得る程度の温度を達成できる限り、いかなるプラズマ法も本発明の範囲に属する。
【0024】
前記反応管で点火した反応ガスは、反応管110及び前記反応管と連結された反応器130側に排出される。本発明の一実施形態で、前記反応器130は管状であるが、後述するさらに他の実施形態で説明するように、前記反応器130は管状ではないベッセル状であってもよい。
【0025】
反応器で前記プラズマ120の火炎は、前記反応器130から所定長さLだけ吐出し、前記反応器130内で反応ガスがプラズマ化して活性種に切り換わる。前述のように、本発明は、前記プラズマ化した活性反応ガスが同時に存在する前記プラズマ120に水を注入する場合、プラズマ120によって高温条件が形成された反応器130内で水が蒸気化し、それと同時に蒸気化した水が活性反応ガスと効果的に反応し得るという点に着目した。したがって、本発明によるガス洗浄装置は、反応器130に水を注入するための水注入部140を備えるが、前記水注入部140は微細な水分子を噴射させるノズル状、または所定の速度で所定の位置に液滴状の水を落下させるドロッパー(dropper)状であることができる。特に、前記水注入部140がドロッパー状である場合、水注入速度は毎分2ないし10mlが好ましいが、もし前記注入速度より遅い場合、洗浄効果が僅かであり、前記注入速度より速い場合、プラズマ工程に影響を及ぼして、放電が消滅するかまたはHOによる反応自体が行われないという問題がある。
【0026】
本発明者は、反応器130内のプラズマ状態で所定の範囲に水を注入する場合、活性反応ガスと水蒸気が非常に効果的に反応する点を見つけたが、前記反応管110からの距離が、好ましくは、10ないし20cmであり、さらに好ましくは18cmである。前記範囲の技術的意義は以下の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0027】
図3は、本発明による水注入の構成を示す模式図である。
【0028】
図3に示すように、もし、反応管110からあまりにも近い位置から水を注入する場合、例えば、反応管から10cm以内の距離では、反応ガスが十分に活性化されていない状態であるため、蒸気化した水と反応ガスの反応が十分に行われない。逆に、20cmより遠い距離で水を注入する場合には、水が十分に気化しないという問題がある。したがって、水注入部140がノズル状である場合には、前記ノズルの最大噴霧量が前記範囲以内になるように構成することが好ましい(例えば、ノズルを前記距離範囲以内に設置した後、放射される水の半径が前記範囲以内になるように構成することができる)。また、水注入部140がドロッパー状である場合には、ドロッパーから水滴が前記範囲以内に落下する構成を導出することができる。ここで、本発明での湿式効果を達成するために、単一のノズルまたは単一のドロッパーの構成にすることができるが、複数のノズルまたは複数のドロッパーによって広い領域での反応を誘導することも可能である。
【0029】
図4は、本発明による他の実施形態を示す。
【0030】
図4に示すように、本実施形態で、反応器330は全体として円筒のベッセル状であり、反応器の外側面と接する配管ライン340が水で満たされている。
【0031】
前述の実施形態と同様に、反応器330内で反応ガスのプラズマ化が行われれば、前記反応器330内のプラズマ320は反応器330の温度を上昇させる。この場合、反応器330の温度によって前記配管ライン340内の水の温度も上昇して、水は気化する。このとき、前記配管ライン340内の圧力は気化した水によって徐々に上昇し、この場合、ノズル350を介して前記気化した水は排出されて反応器330内へ移動する。本発明の一実施形態で、前記配管ラインは反応器の外側にも備えられ得るが、前記反応器の壁の内部に位置することができ、この場合、前記反応器は二重壁の構造を有する。すなわち、反応器の二重壁の内部を通じて水が流入され、プラズマの発生によって反応器の温度が上昇し、二重壁内の蒸気化した水が反応器内に流入される。このとき、前記蒸気化した水はプラズマ化した反応ガスと反応して、排ガスの有害成分が除去されることができる。前記構成では、特に、別途の圧力供給なしにプラズマの熱源を利用して水を蒸気化させて噴霧させることができる。したがって、従来技術のように、別途のエジェクター、超音波などを利用した噴霧化工程が不要であるため、経済的に非常に優秀である。さらに、プラズマ反応の終了後に残留するH2Oは反応器内のHF(Hydrogen fluoride)を洗浄することができるため、反応後に反応器に対する別途の湿式洗浄が不要であるという長所がある。
【0032】
図5は、図4に示す構成とは異なる構成を有する本発明のガス洗浄装置を示す。図5では、反応器と水を接触させた後、反応器の熱によって水を気化させる代わりに、水を直接外部の圧力によって反応器内に注入する。しかし、本発明によるあらゆる構成は、別途のヒーターを使用せずにリアルタイムで早速の湿式洗浄を誘導することによって、経済的かつ優れた洗浄効果を奏することができる。
【0033】
前記図面及び実施形態を通じて提供されるあらゆる構成は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲は、前記記述された具体的な実施形態及び図面によって制限されず、本発明の権利範囲は本発明の技術的思想の範囲内でより広範に解釈されねばならないであろう。
【符号の説明】
【0034】
110 反応管
120 プラズマ
130,330 反応器
140 水注入部
340 配管ライン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応ガスが流入される反応管と、
前記反応管と連結され、前記流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、
前記反応器内のプラズマに水を注入するための水注入部と、を備えることを特徴とするガス洗浄装置。
【請求項2】
前記水注入部は、水滴を所定の速度で落下させるドロッパー状であることを特徴とする請求項1に記載のガス洗浄装置。
【請求項3】
前記水注入部は、前記反応管から約10ないし20cm離れた位置に備えられることを特徴とする請求項1に記載のガス洗浄装置。
【請求項4】
前記水注入速度は、毎分2ないし10mlであることを特徴とする請求項1に記載のガス洗浄装置。
【請求項5】
反応ガスが流入される反応管と、
前記反応管と連結され、前記流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、
前記反応器内で水を外部圧力によって直接注入するためのノズルとを備え、前記ノズルを介して反応器内に注入された水をプラズマの熱源によって気化させて前記反応ガスとプラズマ反応させることを特徴とするガス洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記反応管から約10ないし20cm離れた位置に備えられることを特徴とする請求項5に記載のガス洗浄装置。
【請求項7】
反応ガスが流入される反応管と、
前記反応管と連結され、前記流入された反応ガスをプラズマ化させる反応器と、
前記反応器と接し、内部に水が満たされる配管ラインと、
前記反応器の熱によって気化した前記配管ラインの水を前記反応器内に注入するためのノズルと、を備えることを特徴とするガス洗浄装置。
【請求項8】
前記配管ラインは、前記反応器の壁内に位置し、それにより前記反応器は二重壁を形成することを特徴とする請求項7に記載のガス洗浄装置。
【請求項9】
前記ノズルは、前記反応管から約10ないし20cm離れた位置に備えられることを特徴とする請求項7に記載のガス洗浄装置。
【請求項10】
反応ガスを流入させるステップと、
前記反応ガスをプラズマ化させるステップと、
前記反応ガスのプラズマによる熱源を利用して水を蒸気化させて、プラズマ化した反応ガスに流入させてプラズマ反応させるステップと、を含むことを特徴とするガス洗浄方法。
【請求項11】
前記水は、前記反応ガスプラズマ火炎の開始位置から約10ないし20cm離れた位置で蒸気化することを特徴とする請求項10に記載のガス洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−506766(P2012−506766A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533111(P2011−533111)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006208
【国際公開番号】WO2010/050716
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511104587)
【Fターム(参考)】