説明

ガス流から粒子状物質を濾過する濾過媒体

空気中の粒子状物質を濾過する高効率エアフィルタに用いる濾過媒体が開示されている。この媒体は、比較的低圧力降下で高効率粒子エア(HEPA)濾過性能を達成する2枚のスクリム層間に挟まれた直径が1000ナノメートル未満のファイバーの少なくとも1層を使用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流から粒子状物質を濾過する高効率エアフィルタに用いる濾過媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率粒子エア(HEPA)レベルの性能は、半導体製造やバイオクリーンルームなどのHEPA濾過を用いる多くのプロセスにとって重要である。かかる用途において、空気中の粒子状物質は、製品欠陥やクリーンルーム内の物質の封じ込めの喪失に関与する場合がある。これらの用途に用いるHEPAフィルタの性能が不安定であることは許容されない。
【0003】
不織フィルタ要素は、HEPA濾過において表面実装媒体として用いることができる。媒体は、通常、ガス流に対して透過性があり、かつ、十分に細かい孔径と、そこを通る選択したサイズよりも大きな粒子の通行は妨げる適切な空隙率も有するように構築されている。粒子状物質がフィルタを通る際、フィルタの上流側は、拡散と遮断により操作されて、選択したサイズの粒子をガス流から捕捉し保持する。粒子は集められて、フィルタの上流側およびフィルタ内に「ダストケーク」を形成する。
【0004】
現在、市販のHEPA濾過媒体は、マイクロガラス繊維およびマイクロガラスのブレンド、およびプリーツ性基材にラミネートされた静電処理済みの(「エレクトレット」としても知られている)高坪量のメルトブローンウェブのカテゴリに分類される。これらの部類の濾過媒体はそれぞれ制限を有している。
【0005】
マイクロガラス繊維およびマイクロガラス繊維を含有するブレンドを利用するHEPA媒体は、一般的に、化学的侵食に対する十分な抵抗性があり、比較的空隙率の小さな織または不織構造のいずれかに配列された小径のガラス繊維を含有している。かかるガラス繊維媒体は、スミス(Smith)らの特許文献1、ワグナー(Waggoner)の特許文献2、ラクチェク(Raczek)の特許文献3、ヤング(Young)らの特許文献4、ボーデンドルフ(Bodendorf)らの特許文献5、アダムス(Adams)の特許文献6およびピューズ(Pews)らの特許文献7に開示されている。マイクロガラス繊維およびマイクロガラス繊維を含有するブレンドには、プリーツをつけると、それらは一般的に比較的脆性であり、HEPAフィルタは100%検査する必要があるため、望ましくない収率損失となる、という制限がある。スポット補修は、面倒な手動プロセスである。
【0006】
特許文献8および特許文献9に記載されているような静電処理済みメルトブローンウェブは、最初は良好に機能するが、媒体が粒子を捕捉し始め、静電電荷が絶縁すると性能が降下する。特許文献8および特許文献9は両方とも、5−10mmHO(水柱)の範囲の低い圧力降下を特徴とするHEPAエアフィルタ媒体を開示している。これらのフィルタは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンでできた不織ウェブ(特許文献8)またはスライスしたフィルム(特許文献9)でできており、約100℃まで加熱することにより部分的に溶融され、その後、ポリマーを帯電する電界をかける。付与された電荷は、これらのフィルタに高効率粒子エア品質を与える。かかるフィルタにはいくつかの制限がある。第1に、粒子の有効な捕捉のための電荷を基にして、かかるフィルタの性能は、空気湿度に大きく影響され、電荷放散を引き起こす。第2に、それらが作用する様式および比較的薄いことに起因して、かかるフィルタは、約0.8の面積比当たりのフィルタ重量当たりのダスト負荷(フィルタの面積当たりのダストの重量、圧力降下を2倍とさせる)が低いという特徴があり、一般的に、かかるフィルタのダスト負荷は約50〜80g/m、面積当たりのそれらの重量は約80〜130g/mである。
【0007】
特許文献10には、HEPAに好適な濾過媒体、ならびに細繊維をノズルから静電紡糸して、可動集塵電極に繊維状構造を形成し、繊維状構造の孔をエーロゾル粒子で充填することにより、その媒体を製造する装置および方法が開示されている。
【0008】
特許文献11には、粒子汚染物質を含有するガスおよび液体の濾過をはじめとする様々な用途のナノ繊維層を含む濾過媒体およびその媒体の製造方法が開示されている。特許文献12および特許文献13には、粒子汚染物質を含有する空気の濾過をはじめとする様々な用途のナノ繊維の低坪量層を含む濾過媒体およびその媒体の製造方法が開示されている。これらの公報には、高効率粒子エアフィルタ媒体または高効率空気濾過を達成する方法は開示されていない。
【0009】
公知の濾過媒体の上述した制限を排除しながら、HEPAレベルの空気濾過を達成する手段を提供するのが望ましいであろう。
【0010】
【特許文献1】米国特許第2,797,163号明細書
【特許文献2】米国特許第3,228,825号明細書
【特許文献3】米国特許第3,240,663号明細書
【特許文献4】米国特許第3,249,491号明細書
【特許文献5】米国特許第3,253,978号明細書
【特許文献6】米国特許第3,375,155号明細書
【特許文献7】米国特許第3,882,135号明細書
【特許文献8】米国特許第4,874,659号明細書
【特許文献9】米国特許第4,178,157号明細書
【特許文献10】米国特許第6,604,925号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0038014 A1号明細書
【特許文献12】PCT国際公開第02/20132 A2号パンフレット
【特許文献13】国際公開第02/20133 A2号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の実施形態において、本発明は、2枚のスクリム層間に挟まれた連続ポリマー繊維の少なくとも1枚のナノ繊維層を含んでなり、ナノ繊維層の連続ポリマー繊維の直径が約1000ナノメートル未満であり、ナノ繊維層の坪量が約25g/m〜約60g/m、固体体積分率が約0.10〜約0.30および厚さが100μmを超える濾過媒体に関する。
【0012】
本発明の第2の実施形態は、2枚のスクリム層間に挟まれた連続ポリマー繊維の少なくとも1枚のナノ繊維層を含んでなる実質的に電気的に中性の濾過媒体に気流を通す工程を含んでなり、ナノ繊維層の連続ポリマー繊維の直径が約1000ナノメートル未満であり、ナノ繊維層の坪量が約25g/m〜約60g/mであり、ナノ繊維層の厚さが約100μmを超え、約265μm以下である、粒子状物質を気流から濾過する方法に関する。
【0013】
定義
「高効率粒子エア」および「HEPA」という用語は、5.33cm/秒の面速度で流れる空気中で0.3μmの粒子の99.97%を濾過することができる濾過媒体を説明するのに同じ意味で用いられる。
【0014】
「ナノ繊維」という用語は、1,000ナノメートル未満の直径を有する繊維のことを指す。
【0015】
「濾過媒体」または「媒体」という用語は、粒子を搬送する流体が通過し、同時に、かつ少なくとも一時的に粒子状物質が媒体に付着する材料または材料の集合体を指す。
【0016】
本明細書に組み込まれ一部を構成する添付の図面は、本発明の現在考えられる実施形態を示すものであり、明細書の記載と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態について詳細を述べ、その例を添付の図面に示す。図面全体にわたって、同様の要素を指すのに同様の参照番号を用いている。
【0018】
本発明は、2枚のスクリム層間に挟まれた少なくとも1枚のナノ繊維層を含んでなる濾過媒体に関する。ナノ繊維層は、濾過媒体層に実質的に連続した有機ポリマーナノ繊維の集合体を含んでなり、ナノ繊維の直径は約1μmまたは1000nm未満、有利には約100nm〜700nm、さらには約300nm〜650nmである。かかるフィルタ媒体は、粒子状物質を流体流から、特に、空気などのガス流から粒子状物質を除去する高効率エア濾過用途に用いることができる。
【0019】
HEPAレベルの性能の能力のある濾過媒体は、1枚もしくはそれ以上のナノ繊維層を2枚スクリム層間に挟むことにより作製することができる。ナノ繊維の坪量は、約25g/m〜約60g/m、有利には約27g/m〜約60g/m、さらには約30g/m〜約49g/mである。
【0020】
ナノ繊維層の固体体積分率は約0.10〜約0.30、有利には約0.25〜約0.28である。固体体積分率を増やすと、効率またはその他のフィルタ特性を大幅に減じることなく、層の厚さを減じることができる。一定の層厚さで、固体体積分率を増やすと、孔径を減じ、粒子蓄積が増大する。ナノ繊維層の厚さはナノ繊維ポリマーの密度に応じて異なる。本発明の媒体において、ナノ繊維層の厚さは約100μmを超え、有利には約100μmを超え、約265μm以下、より有利には約100μmを超え、約150μm以下、例えば、約104μm〜147μmの間である。
【0021】
本発明のナノ繊維層は、参照により本明細書に援用されるPCT特許公報、国際公開第04/027140A号パンフレットに開示されているバリアウェブに従って作製してもよい。
【0022】
フィルタ媒体の層は、キャリア層(「スクリム」と呼ばれる)で接着ラミネーションにより結合されるのが有利である。
【0023】
ナノ繊維層は、直径が1000nm未満、有利には約100nm〜約700nm、さらには約300nm〜650nmの実質的に連続したポリマー繊維でできている。ナノ繊維層の連続ポリマー繊維は、静電紡糸またはエレクトロブローイングをはじめとする、この直径範囲で連続繊維を製造できる任意のプロセスにより形成することができる。エレクトロブローイングによってナノ繊維を形成するプロセスは、参照により本明細書に援用されるPCT特許公報、国際公開第03/080905A号パンフレットに開示されている。国際公開第03/080905A号パンフレットには、図1に示す、ナノ繊維ウェブを製造する装置および方法が開示されている。その方法は、ポリマー溶液が放出される、高電圧が印加される紡糸口金102内で、ポリマーと溶剤とを含んでなるポリマー溶液流を貯蔵タンク100から紡糸ノズル104(「ダイ」とも呼ばれる)へ供給する工程を含んでなる。それと同時に、エアヒータ108で任意で加熱された圧縮空気を、紡糸ノズル104の側部または周囲に配置されたエアノズル106から出す。空気を吹込みガス流として略下方へ向け、新たに出たポリマー溶液を覆って送出し、繊維状ウェブの形成を補助する。繊維状ウェブは、送風機112の入口から真空を適用している真空チャンバ114の上の接地された多孔性収集ベルト110で集められる。
【0024】
本発明の媒体は、一回の通過でナノ繊維を比較的厚い層へと形成することにより、またはエレクトロブローイングプロセスで多数回通過を用いて媒体の厚さを構築することにより作製することができる。
【0025】
本発明のポリマーフィルタ媒体は、有機ポリマー材料から作製される。
【0026】
スクリム層はスパンボンド不織層であるのが有利であるが、不織繊維等のカードウェブから作製することができる。スクリム層は、プリーツおよびデッドフォールドを保持するのに十分な剛性を必要とする。
【0027】
本発明の媒体は、カートリッジ、平板、キャニスタ、パネル、袋およびポーチなどの任意の所望のフィルタ形式へ製造することができる。かかる構造内で、媒体は実質的にプリーツをつけたり、巻いたり、その他支持構造に配置される。本発明の濾過媒体は、フラットパネルフィルタ、楕円フィルタ、カートリッジフィルタ、螺旋状に巻いたフィルタ構造をはじめとする事実上任意の従来の構造に用いることができ、プリーツのついたZフィルタまたは媒体を有用な形状または輪郭へと形成することを伴うその他幾何形状で用いることができる。有利な形状としては、プリーツのついた円柱パターンが挙げられる。かかる円柱パターンは、比較的製造が簡単で、従来のフィルタ製造技術を用い、比較的使い易いため、通常好ましい。媒体にプリーツをつけると、与えられた体積内で媒体の表面積が増大する。通常、かかる媒体の配置に関する主なパラメータは、プリーツ深さ、一般的に、プリーツのついた媒体シリンダの内径に沿った1インチ当たりのプリーツの数として測定されるプリーツ密度、円柱長さまたはプリーツ長さである。通常、特に、バリア構成について、媒体のプリーツ深さ、プリーツ長さおよびプリーツ密度の選択に関する主要な因子は、与えられた用途または状況に必要とされる総表面積である。かかる原則は、通常、本発明の媒体および好ましくは同様のバリアタイプの構成に適用される。
【0028】
本発明のフィルタ媒体は、様々な粒子状物質を流体流から除去するのに用いることができる。粒子状物質は、有機と無機の両方の汚染物質を含む可能性がある。有機汚染物質としては、大きな粒子天然生成物、有機化合物、ポリマー粒子、食物残渣およびその他の物質を挙げることができる。無機残渣としては、ダスト、金属粒子、灰、煙、ミストおよびその他の物質を挙げることができる。
【0029】
フィルタ媒体の初期圧力降下(「圧力降下」または「圧力差」とも呼ぶ)は、約60mmHOを超えないのが有利であり、約30mmHO〜約50mmHOの間であるのがより有利である。フィルタの圧力降下は、粒子がフィルタを詰まらせると、使用中、経時により増大する。他の変数が一定に保たれると仮定すると、フィルタの圧力降下が大きければ大きいほど、フィルタの寿命が短くなる。フィルタは、一般的に、フィルタの選択した制限の圧力降下となったときに、交換の必要があると判断される。制限された圧力降下は、用途によって異なる。この圧力の蓄積は、ダスト(または粒子)負荷の結果であるため、等しい効率のシステムについては、長い寿命は、高い負荷能力に直接関連している。効率とは、媒体が粒子を通過させるのではなく捕捉する傾向である。通常、フィルタ媒体がガス流から粒子を除去するのがより効率的になればなるほど、他の変数が一定に保たれると仮定すると、フィルタ媒体が「寿命」の圧力差により早く達する。一方、フィルタ媒体の透気度が高ければ高いほど、圧力降下は低くなるため、他の変数が一定に保たれると仮定すると、フィルタ寿命が長くなる。本発明のフィルタ媒体のフラジール通気度は、約0.3m/分/m〜約3.0m/分/mの間、約0.77m/分/m〜1.2m/分/mの間であるのが有利である。
【0030】
本発明のフィルタ媒体は、実質的に電気的に中性であるのが有利であるため、その性能がそれに関連した電荷に因る、上述した米国特許第4,874,659号明細書および同第4,178,157号明細書に開示されたフィルタと比べて、空気湿度にはるかに影響されにくい。「実質的に電気的に中性」とは、媒体が検出可能な電荷を運搬しないことを意味する。
【0031】
試験方法
TSIインコーポレーティッド(TSI Incorporated)(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,Minnesota))より市販されている部分分離効率フィルタ試験機(Fractional Efficiency Filter Tester)型番3160により濾過効率を求めた。調べるエーロゾル粒子の所望の粒度を、試験機のソフトウェアに入力し、所望のフィルタ流量をセットした。32.4リットル/分の容量気流速度および5.33cm/秒の面速度を用いた。フィルタが選択した粒度で調べられるまで、試験を自動的に続けた。各粒度のフィルタ効率データを圧力降下と共に含む記録を印刷した。TSIインコーポレーティッド(TSI Incorporated)(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,Minnesota))より市販されている部分分離効率フィルタ試験機(Fractional Efficiency Filter Tester)型番8130を用いて実施例5の試料を試験した。用いた試験条件については実施例5を参照のこと。
【0032】
TSIインコーポレーティッド(TSI Incorporated)(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,Minnesota))より市販されている部分分離効率フィルタ試験機(Fractional Efficiency Filter Tester)型番3160により圧力降下を記録した。試験条件は、濾過効率試験方法に記載されている。圧力降下は、水柱のmmで記録され、mmHOとも呼ばれる。
【0033】
坪量は、参照により本明細書に援用されるASTM D−3776により求め、g/mで記録されている。
【0034】
厚さは、参照により本明細書に援用されるASTM D177−64により求め、マイクロメートルで記録されている。
【0035】
ナノ繊維試料の固体体積分率は、g/mでの試料の坪量を、g/cmでのナノ繊維ポリマー密度かけるマイクロメートルでの層厚さで除算することにより計算した。すなわち、固体体積分率=坪量/(密度×厚さ)である。
【0036】
ファイバー直径は次のようにして求めた。走査型電子顕微鏡(SEM)画像を5,000倍で各ナノ繊維層試料で10枚撮った。11の明らかに異なるナノ繊維の直径を写真から測定し、記録した。欠陥(すなわち、ナノ繊維の塊、ポリマー脱落、ナノ繊維の交差)は含まれていなかった。各試料についての平均繊維直径を計算した。
【実施例】
【0037】
実施例1〜4
密度1.14g/ccのデュポン(DuPont)ナイロン66−FE3218ポリマー(デラウェア州、ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware)より入手可能)の溶液を純度99%のギ酸(フィンランド、ヘルシンキのケミラ社(Kemira Oyj,Helsinki,Finland)より入手可能)中24重量パーセントでエレクトロブローイングすることによりナノ繊維層を作製した。PCT特許公報、国際公開第03/080905号パンフレットに記載されているとおり、ポリマーと溶剤を、溶液混合タンクに供給し、溶液を容器に移し、ギアポンプにより紡糸ノズルを有するエレクトロブローイングスピンパックへ計量供給した。スピンパックは幅0.75メートルで、76個の紡糸ノズルを有していた。紡糸ノズル中の溶液の圧力は10バールで、パックは室温であった。紡糸口金は電気的に絶縁されており、75kVの圧力を印加した。44℃の温度で圧縮空気を、エアノズルを通してスピンパックへ7.5m/分の速度および660mmHgの圧力で注入した。溶液の処理量は2cc/穴/分であった。繊維は、大気圧、相対湿度65〜70%および温度29℃で空気中へ紡糸ノズルから出た。繊維を、5〜12m/分で可動する多孔性ベルトへパックの出口下310mmでレイダウンした。多孔性ベルト下100〜170mmHgの真空を引く真空チャンバで繊維のレイダウンを補助した。ナノ繊維層試料を、繊維をベルトに直接付着することにより、スクリムなしで作製した。ナノ繊維層試料を、グラビアロールアプリケータで接着剤を適用することによりスクリム層にラミネートした。オクスーカンパニー(Ok Soo Company)(韓国(S.Korea))より入手した樹脂ボンドされたカード不織材料をスクリムとして用いた。
【0038】
実施例(比較)1
上記のプロセスに従った。多孔性収集ベルトは5.7m/分で動いた。真空チャンバは多孔性ベルト下100mmHgの真空を引いた。
【0039】
それぞれ公称(目標)坪量が10.0g/mの連続ナノ繊維の2枚の層を作製することにより、長さ110mの試料を作製したところ、表1に規定したとおりの合計測定坪量となった。形成されたウェブ中の繊維の平均直径は約420nmであった。濾過効率を様々な粒度目標で試験した。結果を表2に示す。圧力降下(水のmm)もまた測定した。結果を表3に示す。
【0040】
実施例2
上記のプロセスに従った。多孔性収集ベルトは11.3m/分で動いた。真空チャンバは多孔性ベルト下140mmHgの真空を引いた。
【0041】
それぞれ公称坪量が10.0g/mの連続ナノ繊維の2枚の層、そして公称坪量が5.0g/mのナノ繊維の1枚の層を作製することにより、長さ60mの試料を作製したところ、表1に規定したとおりの合計測定坪量となった。形成されたウェブ中の繊維の平均直径は約375nmであった。濾過効率を様々な粒度目標で試験した。結果を表2に示す。圧力降下(水のmm)もまた測定した。結果を表3に示す。
【0042】
実施例3
上記のプロセスに従った。多孔性収集ベルトは11.3m/分で動いた。真空チャンバは多孔性ベルト下160mmHgの真空を引いた。
【0043】
それぞれ公称坪量が10.0g/mの連続ナノ繊維の2枚の層、そしてそれぞれ公称坪量が5.0g/mのナノ繊維の2枚の層を作製することにより、長さ60mの試料を作製したところ、表1に規定したとおりの合計測定坪量となった。形成されたウェブ中の繊維の平均直径は約368nmであった。濾過効率を様々な粒度目標で試験した。結果を表2に示す。圧力降下(水のmm)もまた測定した。結果を表3に示す。
【0044】
実施例4
上記のプロセスに従った。多孔性収集ベルトは5.7m/分で動いた。真空チャンバは多孔性ベルト下170mmHgの真空を引いた。
【0045】
それぞれ公称坪量が10.0g/mの連続ナノ繊維の2枚の層、そしてそれぞれ公称坪量が5.0g/mのナノ繊維の3枚の層を作製することにより、長さ60mの試料を作製したところ、表1に規定したとおりの合計測定坪量となった。形成されたウェブ中の繊維の平均直径は約432nmであった。濾過効率を様々な粒度目標で試験した。結果を表2に示す。圧力降下(水のmm)もまた測定した。結果を表3に示す。
【0046】
実施例5
16枚の別個のナイロン6,6ナノ繊維層を2枚のスパンボンド層間にハンドレイすることにより、濾過媒体を作製した。ナノ繊維層の合計測定坪量は49g/mであった。ナノ繊維の平均直径は約651nmであった。
【0047】
0.236μmの粒子目標、32.4リットル/分の容量気流速度および5.33cm/秒の面速度を用い、部分分離効率フィルタ試験機(Fractional Efficiency Filter Tester)型番8130を用いて、濾過効率濾過効率を試験した。99.998%の濾過効率および56.4mmHOの圧力降下が記録された。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に用いるのに好適なナノ繊維を形成する従来技術の装置図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のスクリム層間に挟まれた連続ポリマー繊維の少なくとも1枚のナノ繊維層を含んでなり、ナノ繊維層の連続ポリマー繊維の直径が約1000ナノメートル未満であり、ナノ繊維層の坪量が約25g/m〜約60g/m、固体体積分率が約0.10〜約0.30および厚さが100μmを超える濾過媒体。
【請求項2】
濾過媒体が電気的に中性である請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項3】
濾過媒体が、5.33cm/秒の面速度で流れる空気中で0.3μmの粒子の少なくとも99.97%を濾過することができる請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項4】
ナノ繊維層の坪量が約30g/m〜約49g/mである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項5】
ナノ繊維層の厚さが約265μm以下である請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項6】
ナノ繊維層の厚さが約150μm以下である請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項7】
ナノ繊維層の厚さが約104μm〜約147μmである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項8】
ナノ繊維層の連続ポリマー繊維の直径が約100ナノメートル〜700ナノメートルである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項9】
ナノ繊維層の連続ポリマー繊維の直径が約300ナノメートル〜650ナノメートルである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項10】
スクリム層がスパンボンド不織ウェブまたはカード不織ウェブである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項11】
圧力降下が約60mmHO以下である請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項12】
圧力降下が約30mmHO〜約50mmHOである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項13】
ナノ繊維層の固体体積分率が約0.25〜約0.28である請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項14】
媒体のフラジール通気度が約0.3m/分/m〜約3.0m/分/mである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項15】
媒体のフラジール通気度が約0.77m/分/m〜約1.2m/分/mである請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項16】
2枚のスクリム層間に挟まれた連続ポリマー繊維の少なくとも1枚のナノ繊維層を含んでなる実質的に電気的に中性の濾過媒体に気流を通す工程を含んでなり、ナノ繊維層の連続ポリマー繊維の直径が約1000ナノメートル未満であり、ナノ繊維層の坪量が約25g/m〜約60g/mであり、ナノ繊維層の厚さが約100μmを超え、約265μm以下である、粒子状物質を気流から濾過する方法。
【請求項17】
0.3μm以上の粒子の少なくとも99.97%が気流から濾過され、気流が5.33cm/秒の面速度で流れる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
濾過媒体の圧力降下が約60mmHO以下である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
濾過媒体の圧力降下が約30mmHO〜約50mmHOである請求項16に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−518780(P2008−518780A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540427(P2007−540427)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/041178
【国際公開番号】WO2006/053295
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】