説明

ガス流中の粒子を検出するためのセンサならびに該センサを製造するための方法

内燃機関の排ガスシステムに用いられるパーティキュレートセンサ(20)が、第1の電極装置(24)と第2の電極装置(32)とを有している。両電極装置(24,32)は互いに間隔(D)を置いて配置されていて、少なくとも所定の範囲でガス流に暴露可能である。両電極装置(24,32)が、電気的に絶縁性の材料から成る中間層(36)により互いに分離されており、さらに両電極装置(24,32)が、前記中間層(36)の厚さ(D)の分だけ互いに間隔を置いて配置された、ガス流に暴露可能な自由縁部(38,40)を有していることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、ガス流中の粒子を検出するためのセンサ、特に内燃機関の排ガスシステムに用いられるパーティキュレートセンサであって、第1の電極装置と第2の電極装置とが設けられており、両電極装置が、互いに間隔を置いて配置されていて、少なくとも所定の範囲でガス流に暴露可能である形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第10133385号明細書に基づき、冒頭で述べた形式のセンサが公知である。同ドイツ連邦共和国特許明細書に開示されているセンサでは、捕集室が設けられており、この捕集室は内燃機関の排ガス流と流体接続され得る。この極めて扁平な捕集室の上側には第1の電極が配置されており、下側、つまり第1の電極に向かい合って位置する側には、第2の電極が配置されている。両電極の間の捕集室は中空である。公知のセンサの運転時では、煤粒子が捕集室に流入して、両電極の間の中空室内に沈積する。これにより、両電極の間のこの間隙は電気的に橋絡されるので、この電極構造体のインピーダンスが変化する。インピーダンスの時間的な変化は、煤粒子による排ガス流の負荷度、つまり煤粒子による排ガス流の汚染度を知るための尺度となる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10133384号明細書からも、冒頭で述べた形式のセンサが公知である。同ドイツ連邦共和国特許出願公開明細書に記載の構成では、両電極が捕集室の下側に配置されていて、互いにコーム状に噛み合っている。この場合にも、両電極の間のインピーダンスの変化が排ガス流の煤負荷度もしくは煤汚染度を知るための尺度となる。
【0004】
排ガス流の煤負荷度もしくは煤汚染度を精密に検出するためには、センサの高い感度が必要となる。この場合に云えることは、両電極の間の間隔が小さくなればなるほど、センサはますます敏感になることである。前記両公知のセンサの場合、両電極の間の間隔(「GAP」)は典型的に30〜100μmである。公知のセンサの場合、両電極の間の間隔をさらに減少させることは製造技術的に困難であり、しかも運転時に寿命問題を招く恐れがある。
【0005】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式のセンサを改良して、該センサが廉価に製造され得るようになり、かつ長い寿命を有しており、しかもガス流の粒子負荷度もしくは粒子汚染度を高い精度で検出することのできるようなセンサを提供することである。
【0006】
この課題は、冒頭で述べた形式のセンサにおいて、第1第2の両電極装置が、電気的に絶縁性の材料から成る中間層により互いに分離されており、さらに両電極装置が、前記中間層の厚さの分だけ互いに間隔を置いて配置された、ガス流に暴露可能な自由縁部を有していることにより解決される。
【0007】
発明の利点
本発明によるセンサでは、両電極装置の間の小さな間隔をも精密に実現することができる。なぜならば、この間隔は電気的に絶縁性の材料から成る中間層により規定されているからである。本発明によるセンサでは、両電極装置が互いに僅か数μmまでの間隔を置いてのみ配置されていてよく、このことは原理的に見てコンデンサ状の構造に相当しているので、このセンサは高い感度および短い応答時間を有しており、このように短い応答時間はガス流中の粒子の特に精密な検出を可能にする。この場合、電極装置の支持構造体は、当該センサが高い寿命を有するように安定的に形成され得る。本発明によるセンサの製造はさらに比較的廉価である。なぜならば、電極間の間隔が中間層によっていわば「自動的に」設定されていて、複雑な製作方法により達成される必要がないからである。
【0008】
前記利点を実現するために重要となるのは、第1に既に述べた中間層である。この中間層を用いて両電極装置の間の極小間隔をも信頼性良く実現することができる。第2には、実際のセンサ面が電極装置の側方の露出した縁部により形成されるという事実である。電極の表面における摩耗の低減およびこのような摩耗の作用の低減に基づき、寿命が高められる。
【0009】
本発明の有利な改良形は請求項2以下に記載されている。
【0010】
中間層がシートまたは厚膜を有していると特に有利である。電気的に絶縁性の材料から成るシートは、極めて小さな肉厚さを有するものでも市場で入手可能である。そのうえ、このようなシートの取扱いは比較的容易である。すなわち、全体的に見て製造が単純化され、かつ廉価となる。厚膜技術において特に小さな肉厚さを実現することができる。
【0011】
両電極装置のうちの少なくとも一方の電極装置が、多数の個別電極を有していることも提案される。このことはやはり幾つかの利点を持っている。すなわち、第1に、センサの運転安全性を高めることができる。なぜならば、個別電極が冗長的な全体システムをもたらすからである。第2に、1つの個別電極の機能を、少なくとも1つの別の個別電極の信号の比較によりチェックすることができる。さらに、特に個別電極の自由縁部が種々異なる個所に配置されていると、個別電極の信号を平均化することによって、ガス流の粒子負荷度を特に精密に検出することができる。
【0012】
本発明によるセンサのさらに別の有利な構成では、両電極装置の、ガス流にさらされる自由縁部が、当該センサの少なくとも1つの自由外縁部および/または当該センサに設けられた少なくとも1つの貫通開口および/または少なくとも1つの盲孔状の開口に配置されている。
【0013】
このことは、測定したいガス流を有する装置の各個の流れ特性および組込み特性にセンサを最適に適合させることを可能にする。さらに、前記自由縁部は穿孔加工、切断加工、打抜き加工等により簡単に製作することができる。
【0014】
前記自由縁部のこのような製作は、両電極装置が、それぞれシートに印刷もしくはプリントにより被着されていると、一層容易となる。このようなシートはそれと同時に、電気的に絶縁性の中間層としても働くことができる。
【0015】
同じく本発明により提案されているように、当該センサが加熱装置を有していると、電極装置の自由縁部を加熱することによって、この場所に体積された粒子を容易に燃焼除去することができるので、その場合、当該センサを交換する必要なしに再び新たな測定サイクルを開始することができる。
【0016】
これに対する改良形では、当該センサが温度検出装置をも有していると有利である。この温度検出装置を用いて、加熱過程を監視することができるので、加熱による当該センサの損傷を回避することができる。
【0017】
この場合、前記加熱装置および/または前記温度検出装置が、それぞれシートにプリント被着されていると特に有利である。このことは製造を簡単にすると共に、製造コストを低下させる。
【0018】
本発明の対象は、上記形式のセンサを製造するための方法でもある。本発明によれば、当該方法が以下のステップ:
a.第1の電極装置を第1の支持体に被着させ;
b.第2の電極装置を第2の支持体に被着させ;
c.第1の支持体の、第1の電極装置が被着されている方の側に、電気的に絶縁性の材料から成る中間層を被着させ;
d.電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層に、第2の電極装置を備えた第2の支持体を、該第2の支持体の、第2の電極装置が被着されている方の側が電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層に向けられるように配置し、
e.積み重ねられた支持体および層を互いに結合し(貼り合わせ);
f.前記支持体および層の複合体が、両電極装置の、電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層の厚さ分に相当する相互間隔しか有しない、互いに隣接し合う露出した縁部を有するように前記複合体を加工する
より成ることが提案される。
【0019】
このようなシート技術法はセンサの廉価で精密でかつ迅速な製造を可能にする。
【0020】
上記構成に対して択一的に、当該方法は以下のステップ:
a.第1の電極装置を第1の支持体に被着させ;
b.前記第1の電極装置に少なくとも1つの絶縁性の中間層を被着させ;
c.第2の電極装置を絶縁性の前記中間層に被着させ;
d.前記第2の電極装置に保護層を被着させ;
e.積み重ねられた支持体および層を互いに結合し(貼り合わせ);
f.前記支持体および層の複合体が、両電極装置の、電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層の厚さ分に相当する相互間隔しかを有しない、互いに隣接し合う露出した縁部を有するように前記複合体を加工する
のステップにより成っていてよい。
【0021】
この方法は特に迅速でかつ廉価となる。
【0022】
本発明の改良形では、前記ステップfで、前記複合体を切断加工するか、打抜き加工するか、または穿孔加工することが提案される。このことは両電極装置の自由縁部を簡単に製造することを可能にする。
【0023】
また、前記支持体を積み重ねる前に、少なくとも第1の支持体と電気的に絶縁性の材料から成る中間層とに、両電極装置が自由縁部を有するべきである少なくとも1つの個所で、可燃性の材料を被着させ、前記複合体をあとから加熱することも可能である。この場合、前記複合体は、可燃性の材料が燃焼し、このときに該材料が被着されていた前記支持体の範囲もしくは前記中間層の範囲をも燃焼させるように加熱される。運転時にガス流に暴露されている、つまりガス流にさらされている電極装置の自由縁部はこの場合、焼結法により製造される。こうして、盲孔状の開口をも極めて良好に加工成形することができる。
【0024】
図面
以下に、本発明の特に有利な実施例を図面につき詳しく説明する。
【0025】
図1は、排気管とパーティキュレートセンサとを備えた内燃機関を示す概略図であり;
図2は、図1に示したパーティキュレートセンサの最も単純な実施例を示す分解斜視図であり;
図3は、図1に示したパーティキュレートセンサの別の実施例を示す分解斜視図であり;
図4は、図3に示したパーティキュレートセンサを組み立てられた状態で示す斜視図であり;
図5は、パーティキュレートセンサのさらに別の実施例を示す、図3に類似した図であり;
図6は、パーティキュレートセンサのさらに別の実施例を示す、図3に類似した図である。
【0026】
実施例の説明
図1には、内燃機関全体が符号10で示されている。この内燃機関10はエンジンブロック12と、吸気管14と、排気管16とを有している。内燃機関10はディーゼル内燃機関である。内燃機関10の排気管16には、パーティキュレートフィルタ18が配置されている。
【0027】
このパーティキュレートフィルタ18によって、排ガス流に存在する煤粒子が捕獲されて捕集される。内燃機関10の確実な運転のためには、パーティキュレートフィルタ18のパーマビリティ(浸透性)が制限されてしまい、フィルタ負荷に基づいて再生がもはや保証され得なくなるほどの大量の煤粒子をパーティキュレートフィルタ18が収容している状態を検出することが必要となる。このような状況が検知されると、パーティキュレートフィルタ18は交換されるか、または再生されなければならない。このような状況を検知し得るようにするためには、パーティキュレートフィルタ18の上流側と下流側とで排気管16内にパーティキュレートセンサ20a,20bが配置されている。両パーティキュレートセンサ20a,20bは排気管16内での相応する個所における排ガスの煤粒子負荷度を検出し、こうしてパーティキュレートフィルタ18の煤粒子負荷度の推定と、パーティキュレートフィルタ18の適正な機能の監視とを可能にする。
【0028】
パーティキュレートセンサ20a,20bは、図2に示した実施例に相応して形成されていてよい。すなわち、図2に分解斜視図で示されたパーティキュレートセンサ20は、セラミック製の第1の支持体22を有している。この第1支持体22は細長い方形の基本輪郭を有していて、僅か数10分の1ミリの厚さしか有していない。すなわち、基本的にこの第1の支持体22はセラミックシートである。セラミック製の第1の支持体22には、第1の電極装置24がプリントにより被着されている。この第1の電極装置24は平面図で見てほぼ正方形の電極26を有している。この電極26は、セラミック製の第1の支持体22の、図2で見て左側の前端部で第1の支持体22に被着されている。この場合、電極26は、側方ではセラミック製の第1の支持体22と正確に等しい幅を有していて、しかも第1の支持体22の、図2で見て手前側の縁部と面一に整合している。さらに、第1の電極装置24は供給線路28を有しており、この供給線路28は第1の電極26に通じている。
【0029】
パーティキュレートセンサ20はセラミック製の第2の支持体30を有している。この第2の支持体30はセラミック製の第1の支持体22と同一に形成されている。第2の支持体30には、第2の電極装置32がプリントにより被着されている。この第2の電極装置32と第1の電極装置24との唯一の相違点は、第2の電極装置32では第2の電極34に通じた供給線路が、図2で見て背後側の縁部の範囲に配置されている点にある。したがって、図2の斜視図では、第2の電極34に通じた供給線路がセラミック製の第2の支持体30によって隠蔽されているので見えていない。
【0030】
第1第2の両電極26,34の間には、電気的に絶縁性の材料から成る中間層36が配置されている。この中間層36は両電極26,34と正確に等しい幅を有していて、やはりパーティキュレートセンサ20の、図2で見て手前側の端部にまで到達している。しかし、中間層36全体は両電極26,34よりも少しだけ長尺に形成されていて、したがって供給線路28もしくは図面には見えていない第2の電極34に通じた供給線路に対して平行な方向で両電極26,34の内縁部を超えて延びている。これにより、パーティキュレートセンサ20内部で第1第2の両電極装置24,32の間に電気的なコンタクトが形成されないことが確保される。中間層36は比較的薄く形成されており、その厚さDは通常、数μmである。このような厚さDを実現するためには、たとえば厚膜技術を使用することができる。場合によっては、シートを使用することもできる。
【0031】
図2に示したパーティキュレートセンサ20は、まず第1の電極装置24をセラミック製の第1の支持体22に被着させ、第2の電極装置32をセラミック製の第2の支持体30に被着させることにより製造される。次いで、第1の電極装置24とセラミック製の第1の支持体22とから成る複合体に中間層36が被着され、その上にセラミック製の第2の支持体30と第2の電極装置32とから成る複合体が載着される。この積層体の個々のエレメントは、たとえば熱接着法または焼結法により互いに固く結合され得る。
【0032】
択一的に、パーティキュレートセンサ20は厚膜技術でも製造され得る。この場合には、第2の支持体30が単純に保護・絶縁層であってもよい。
【0033】
セラミック製の両支持体22,30、両電極装置24,32および中間層36の各側縁部は、さしあたりまだ比較的不精密であってよい。図2に示したような最終的な側縁部は、前記複合体もしくは積層体の製造後に、たとえばソーイング加工または打抜き加工により形成される。完成したパーティキュレートセンサ20は、上から見て直接に上下にかつ相互間隔Dを置いて配置されている2つの電極26,34を有している。この場合、間隔Dは中間層36の厚さにより規定されている。完成したパーティキュレートセンサ20の両電極26,34は、それぞれ3つの露出した真っ直ぐの縁面38;40を有しており、これらの縁面38;40の高さは電極26,34の厚さに相当している。第1の電極26の縁面38は第2の電極34の縁面40からちょうど間隔D分だけ相互間隔を置いて配置されている。
【0034】
図2に示した実施例により形成された、図1の2つのパーティキュレートセンサ20a,20bの傍らを通って、煤粒子で負荷された排ガスが流れると、煤粒子は両パーティキュレートセンサ20a,20bにも沈積する。これにより、第1の電極26の縁面38と第2の電極34の縁面40との間の間隔Dの電気的な橋絡が進行する。したがって、両電極26,34から形成された装置のインピーダンスが変化し、このことは、供給線路28と、図2には見えていない供給線路とを介して両電極26,34に接続されている検出装置によって検出され得る。隣接し合う縁面38,40の間の間隔が極端に小さく形成されているので、パーティキュレートセンサ20a,20bは高い感度を有している。
【0035】
次に、図3および図4につき、パーティキュレートセンサ20の択一的な別の実施例を詳しく説明する。以下において、先行した図面の構成部分および範囲に対して同等の機能を有している構成部分および範囲は、先行した図面と同じ符号で示されており、これらの構成部分および範囲については再度の詳細な説明は行わない。
【0036】
図3に示したパーティキュレートセンサ20と、図2に示したパーティキュレートセンサ20との第1の大きな相違点は、第2の電極装置32の構成に関するものである。すなわち、図3の実施例では、第2の電極装置32が互いに別個の合計3つの個別電極34a,34b,34cを有している。そのうちの2つの電極34a,34cはパーティキュレートセンサ20の互いに反対の側に位置する2つの側縁部に配置されている。もう1つの電極34bは1つの環状線路42と、さしあたりべた面(vollflaechig)の4つの導体点とを有しており、これらの導体点は、これらの導体点が1つの仮想方形体の各先端部を形成するように互いに相対的に配置されている。べた面の導体点は環状線路42に配置されており、図3では符号を有していない。これらの導体点については、さらに下で詳しく説明する。個別電極34a,34b,34cはそれぞれ固有の供給線路43a,43b,43cを有しており、これらの供給線路はそれぞれ対応する電気的な接続コンタクト45a,45b,45cを備えている。
【0037】
第1の電極装置24の第1の電極26もやはり環状線路44を有している。この環状線路44は平面図で見て正方形に形成されている。環状線路44の、図3で見て上側の区分と下側の区分とは、図3で見て鉛直な、つまり全体的にパーティキュレートセンサ20の長手方向に延びる2つの接続線路46を介して互いに接続されている。これらの接続線路46には、同じくそれぞれ2つのべた面の導体点が設けられており、これらの導体点は平面図で見て、つまり上から見て第2の電極装置32の導体点の真下に位置している。これらの導体点についても、さらに下で詳しく説明する。第1の電極26に通じた接続線路は、図3では符号28で示されており、対応する接続コンタクトは符号50で示されている。
【0038】
エレメント30は支持体または単純に絶縁層および/または保護層であってもよい。図3に示したパーティキュレートセンサ20と、図2に示したパーティキュレートセンサ20との別の相違点は、図3に示したパーティキュレートセンサ20は付加的にシート52を有していて、このシート52に温度センサ54がプリント被着されている点にある。温度センサ54の接続線路56a,56bは円形のコンタクト点58a,58bに通じている。シート52はシート状の第1の支持体22の、第1の電極26とは反対の側に被着されている。
【0039】
このパーティキュレートセンサ20はさらに、もう一度付加的なシート60を有している。このシート60には加熱導体路62がプリント被着されている。加熱導体路62の接続線路64a,64bは接続コンタクト66a,66bに通じている。温度センサ54ならびに加熱導体路62は、パーティキュレートセンサ20が組み立てられた状態では両電極26,34のすぐ近くに配置されている。
【0040】
図3に示したパーティキュレートセンサ20は、図2に示したパーティキュレートセンサ20と同様にして製造される。しかし、個々の層の接合後に、完成した複合体は穿孔工具を用いて加工される。この穿孔工具は第1第2の両支持体22,30の平面に対して直角な方向で正確に、第1第2の両電極26,34のべた面の導体点が位置している個所で前記複合体に複数の貫通孔を穿孔する。これらの貫通孔は図3および図4において符号68a,68b,68c,68dで示されている。複合体の側縁部も、たとえば打抜き加工、ソーイング加工または切断加工による複合体の精密な製造の後に、外側の2つの個別電極34a,34cの範囲で穿孔工具によって加工される。これにより、半円形の横断面を有する、支持体22,30の平面に対して垂直に延びる切欠き70a,70b,70c,70dが得られる。典型的にはパーティキュレートセンサ20は約60mmの長さと、1〜2mmの高さと、4〜8mmの幅とを有している。
【0041】
ところで、第2の電極装置32の、排気管16内のガス流に暴露可能となる自由な縁部は以下に挙げる個所で得られる。すなわち、第1に、線状の個別電極34a,34cの範囲におけるパーティキュレートセンサ20の側方の長手方向縁部(符号40a,40bで示す)、第2に貫通孔68a〜68dの範囲において、環状線路42にべた面の円形の導体点が存在していた個所が挙げられる。これらの環状の露出した縁面は符号40c,40d,40e,40fで示されている。これと同様に、第1の電極26の露出した縁面も側方の長手方向縁部(符号38a,38bで示す)に形成されており、さらに貫通孔68a〜68dに基づき、接続線路46に位置する、最初にべた面だった円形の導体点の範囲にも形成されている。これらの露出した縁面は符号38c,38d,38e,38fで示されている。
【0042】
図3および図4に示したパーティキュレートセンサ20は、第1第2の両電極26,34の、排気管16内のガス流に暴露可能でかつ中間層36の厚さDの分だけ互いに間隔を置いて配置された複数の露出した縁面対38,40を有していることが判る。両電極26,34のインピーダンスは粒子負荷度の増大と共に変化し、こうして排気管16内を流れる排ガスの粒子負荷度もしくは粒子汚染度のための信号を供給する。切欠き70a〜70dならびに貫通孔68a〜68dは特に好都合な流れ特性を提供する。電極材料の、寿命を短縮する摩耗は減じられ、しかもセンサ信号に及ぼす影響をほとんど持たなくなる。貫通孔68a〜68dの範囲に配置された加熱導体路62により、特に環状の自由な縁面38c〜38fおよび40c〜40fの最適な燃焼清浄化(Freibrennen)を確保することができる。
【0043】
図5には、さらに別の変化実施例が示されている。図5に示した実施例は、孔が盲孔として形成されている点で、図3および図4に示したパーティキュレートセンサ20とは異なっている。これらの盲孔は符号72a,72b,72c,72dで示されている。第1の支持体22ならびにシート52およびシート60はこのような孔を有していない。このことは特定の組込み状況において流れ技術的な利点を有し得る。これらの盲孔72a〜72dは、パーティキュレートセンサ20の個々の層の結合前にセラミック製の第2の支持体30と中間層36とに、カーボンブラック充填されたペーストをプリント被着させることにより形成される。焼結による個々の層の熱結合プロセスの際に、被着されたこれらの材料点は燃焼し、そして各構造体に図5に示した複数の孔を残す。しかしこのためには、パーティキュレートセンサ20を構成する層構造体の個々のエレメントが横方向(lateral)に極めて高い精度で位置調整されていて、これにより個々の層に設けられたこれらの孔が最終的に、内側に位置する自由縁部38,40を有する一貫した盲孔68a〜68dを生ぜしめることが必要となる。
【0044】
図6には、次のようにして製造されるパーティキュレートセンサ20が示されている:まず、第1の電極装置24が第1の支持体22にプリントにより被着される。その後に、第1の電極装置24に2つの絶縁性の中間層36a,36bが、たとえば厚膜技術で被着される。両中間層36a,36bには、第2の電極装置32が位置決めされる。さらに、第2の電極装置32が保護層30によってカバーされる。
【0045】
積み重ねられた支持体22および層30,36a,36bは次いで貼り合わせによって互いに結合される。これにより得られ積層体は、この積層体が、両電極装置24,32の、電気的に絶縁性の材料から成る中間層36a,36bの厚さの分だけ互いに間隔を置いて配置された、互いに隣接し合う露出した縁部38,40を有するように加工される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】排気管とパーティキュレートセンサとを備えた内燃機関を示す概略図である。
【図2】図1に示したパーティキュレートセンサの最も単純な実施例を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示したパーティキュレートセンサの別の実施例を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示したパーティキュレートセンサを組み立てられた状態で示す斜視図である。
【図5】パーティキュレートセンサのさらに別の実施例を示す、図3に類似した図である。
【図6】パーティキュレートセンサのさらに別の実施例を示す、図3に類似した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流中の粒子を検出するためのセンサ、特に内燃機関(10)の排ガスシステム(16)に用いられるパーティキュレートセンサ(20)であって、第1の電極装置(24)と第2の電極装置(32)とが設けられており、両電極装置(24,32)が、互いに間隔(D)を置いて配置されていて、少なくとも所定の範囲でガス流に暴露可能である形式のものにおいて、両電極装置(24,32)が、電気的に絶縁性の材料から成る中間層(36)により互いに分離されており、さらに両電極装置(24,32)が、前記中間層(36)の厚さ(D)の分だけ互いに間隔を置いて配置された、ガス流に暴露可能な自由縁部(38,40)を有していることを特徴とする、ガス流中の粒子を検出するためのセンサ。
【請求項2】
中間層がシート(36)または厚膜を有している、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
両電極装置のうちの少なくとも一方の電極装置(24)が、多数の個別電極(34a,34b,34c)を有している、請求項1または2記載のセンサ。
【請求項4】
両電極装置(24,32)の、ガス流に暴露可能な自由縁部(38,40)が、当該センサ(20)の少なくとも1つの自由外縁部および/または当該センサ(20)に設けられた少なくとも1つの貫通開口(68)および/または少なくとも1つの盲孔状の開口(72)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のセンサ。
【請求項5】
両電極装置(24,32)が、それぞれシート(22,30)にプリント被着されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンサ。
【請求項6】
当該センサ(20)が加熱装置(62)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサ。
【請求項7】
当該センサ(20)が温度検出装置(54)を有している、請求項6記載のセンサ。
【請求項8】
前記加熱装置(62)および/または前記温度検出装置(54)が、それぞれシート(52,60)にプリント被着されている、請求項6または7記載のセンサ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサ(20)を製造するための方法において、以下のステップ:
a.第1の電極装置(24)を第1の支持体(22)に被着させ;
b.第2の電極装置(32)を第2の支持体(30)に被着させ;
c.第1の支持体(22)の、第1の電極装置(24)が被着されている方の側に、電気的に絶縁性の材料から成る中間層(36)を被着させ;
d.電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層(36)に、第2の電極装置(32)を備えた第2の支持体(30)を、該第2の支持体(30)の、第2の電極装置(32)が被着されている方の側が電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層(36)に向けられるように配置し、
e.積み重ねられた支持体(22,30)および層(36)を互いに結合し(貼り合わせ);
f.前記支持体(22,30)および層(36)の複合体が、両電極装置(24,32)の、電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層(36)の厚さ分に相当する相互間隔しか有しない、互いに隣接し合う露出した縁部(38,40)を有するように前記複合体を加工する
により成ることを特徴とする、ガス流中の粒子を検出するためのセンサを製造するための方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサ(20)を製造するための方法において、以下のステップ:
a.第1の電極装置(24)を第1の支持体(22)に被着させ;
b.前記第1の電極装置(24)に少なくとも1つの絶縁性の中間層(36a,36b)を被着させ;
c.第2の電極装置(32)を絶縁性の前記中間層(36a,36b)に被着させ;
d.前記第2の電極装置(32)に保護層(30)を被着させ;
e.積み重ねられた支持体(22)および層(30,36a,36b)を互いに結合し(貼り合わせ);
f.前記支持体(22)および層(30,36a,36b)の複合体が、両電極装置(24,32)の、電気的に絶縁性の材料から成る前記中間層(36a,36b)の厚さ分に相当する相互間隔しか有しない、互いに隣接し合う露出した縁部(38,40)を有するように前記複合体を加工する
により成ることを特徴とする、ガス流中の粒子を検出するためのセンサを製造するための方法。
【請求項11】
前記ステップfで、前記複合体を切断加工するか、打抜き加工するか、または穿孔加工する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記支持体(22,30)を積み重ねる前に、少なくとも第1の支持体(22)と電気的に絶縁性の材料から成る中間層(36)とに、両電極装置(24,32)が自由縁部(38,40)を有するべきである少なくとも1つの個所で、可燃性の材料を被着させ、前記複合体をあとから加熱して、前記可燃性の材料を燃焼させ、このときに該材料が被着されていた前記支持体(22,30)の範囲もしくは前記中間層(36)の範囲をも燃焼させる、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−515066(P2006−515066A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518305(P2005−518305)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001985
【国際公開番号】WO2005/050174
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】