説明

ガス流路のサンプリングノズル構造

【課題】サンプリング検査を行う準備作業時において、ガス流路内からガスが流出することを防止または抑制できるガス流路のサンプリングノズル構造を提供する。
【解決手段】煙道1に設けたサンプリングノズル2の出口開口2aを塞ぐ盲フランジ4がガスサンプリング時に採取用フランジ5と交換されるガス流路のサンプリングノズル構造において、サンプリングノズル2に固定設置された部材交換治具20を備え、部材交換治具20には、盲フランジ4が出口開口2aを塞ぐ通常位置のスライド方向両側に、採取用フランジ5のフランジ部待機領域と盲フランジ4の待避領域とが設けられ、盲フランジ4及び採取用フランジ5の交換時、盲フランジ4及び採取用フランジ5のフランジ部は、部材交換治具20により、サンプリングノズル2の軸方向に移動することを阻止された状態で軸方向移動と直交する方向のスライドが許容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば火力発電所等の排ガスサンプリング検査に用いられるガス流路のサンプリングノズル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火力発電所等の煙道を流れる排ガスを採取し、排ガス中に含まれる成分(窒素、二酸化炭素、酸素等)を分析するサンプリング検査が行われている。
このようなサンプリング検査を行う際には、たとえば図7及び図8に示すように、煙道1に設置してあるサンプリングノズル2の出口開口2aを塞ぐようにして、ノズル側フランジ3に取り付けたサンプリング座となる盲フランジ(通常は呼称125A程度を使用)4を取り外し、採取用フランジ5をセットするという準備作業が必要になる。この後、採取用フランジ5のノズル6にサンプリングユニット10を挿入し、煙道1から排ガスを採取してガス成分のサンプリング検査が行われる。なお、図中の符号7は、ノズル側フランジ3に盲フランジ4を固定するボルトである。
また、図示のサンプリングユニット10は、分析器材(不図示)に連結された採取管11の先端にサンプリングノズル12を備え、ノズル5を貫通する採取管11の外周にはシール部材13としてグラスウールが巻き付けられている。
【0003】
このように、ガス流路内を流れるガスをサンプリングし、ガス成分を分析するための従来技術としては、たとえば特許文献1に開示されたガス測定孔のシール具や特許文献2に開示されたガスサンプリング装置等が知られている。
【特許文献1】実開昭58−57942号公報
【特許文献2】実開昭62−81041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したサンプリング検査を行う場合、ガス・油焚きボイラの煙道1内は正圧となっている。従って、盲フランジ4を取り外して採取用フランジ5をセットする準備作業時には、盲フランジ4を取り外す時点で高温の燃焼排ガス(〜400℃)が出口開口2aから煙道1の外部へ噴出するという問題を有している。なお、石炭焚きボイラの場合には、煙道1内が負圧であるため、このような問題を生じる可能性は低い。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サンプリング検査を行う準備作業時において、ガス流路内からガスが流出することを防止または抑制できるガス流路のサンプリングノズル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の請求項1に係るガス流路のサンプリングノズル構造は、ガス流路に設けたサンプリングノズルの出口開口を塞ぐサンプリング座がガスサンプリング時に採取用部材と交換されるガス流路のサンプリングノズル構造において、前記サンプリングノズルに固定設置された部材交換治具を備え、前記部材交換治具には、前記サンプリング座が前記出口開口を塞ぐ通常位置のスライド方向両側に、前記採取用部材のフランジ部待機領域と前記サンプリング座の待避領域とが設けられ、前記サンプリング座及び前記採取用部材の交換時、前記サンプリング座及び前記採取用部材のフランジ部は、前記部材交換治具により、前記サンプリングノズルの軸方向に移動することを阻止された状態で前記軸方向移動と直交する方向のスライドが許容されることを特徴とするものである。
【0006】
このようなガス流路のサンプリングノズル構造によれば、サンプリングノズルに固定設置された部材交換治具を備え、部材交換治具には、サンプリング座が出口開口を塞ぐ通常位置のスライド方向両側に、採取用部材のフランジ部待機領域とサンプリング座の待避領域とが設けられ、サンプリング座及び採取用部材の交換時、サンプリング座及び採取用部材のフランジ部は、部材交換治具により、サンプリングノズルの軸方向に移動することを阻止された状態で軸方向移動と直交する方向のスライドが許容されるので、サンプリング座を取り外して採取用部材をセットする準備作業時には、サンプリング座及び採取用部材をスライドさせるという簡単な作業により、サンプリングノズルの出口開口からガス流路内のガスが流出することを防止または抑制できる。このとき、サンプリング座及び採取用部材は、サンプリングノズルの軸方向に移動することを阻止された状態にあるので、容易かつ確実に作業を行うことができる。
【0007】
上記の発明において、前記サンプリング座及び前記採取用部材の交換時には、両部材間にアタッチメントを介在させ、前記アタッチメントが、前記スライド方向に形成された一対のガイド面と、前記スライド方向と交差する両端面の少なくとも一方に形成されて円形フランジ形状と一致する円弧面と、を備えていることが好ましく、これにより、円形フランジとの間に形成される隙間をアタッチメントが塞ぐとともにスライドを容易にするので、サンプリングノズルの出口開口からガス流路内のガスが流出することをより一層確実に防止または抑制できる。
この場合、前記アタッチメントの高温側端面に断熱材を設けることが好ましく、これにより、採取用部材は、ガス流路内を流れる高温のガスにより温度上昇したサンプリング座と断熱材を介して接することになるので、熱影響を受けにくくなる。
【0008】
本発明の請求項4に係るガス流路のサンプリングノズル構造は、ガス流路に設けたサンプリングノズルの出口開口を塞ぐサンプリング座がガスサンプリング時に採取用部材と交換されるガス流路のサンプリングノズル構造において、前記サンプリングノズルの出口開口フランジと前記サンプリング座との間に、前記出口開口フランジに沿ってスライド可能な塞ぎ部材を配設したことを特徴とするものである。
【0009】
このようなガス流路のサンプリングノズル構造によれば、サンプリングノズルの出口開口フランジとサンプリング座との間に、出口開口フランジに沿ってスライド可能な塞ぎ部材を配設したので、サンプリング座を取り外した状態では、サンプリングノズルの出口開口が塞ぎ部材によって塞がれている。このため、塞ぎ部材の上に採取用部材を載置した後には、塞ぎ部材をスライドさせて除去し、速やかに採取用部材を取り付けることができるので、ガス流路内のガスが流出することを防止または抑制できる。
【0010】
上記の発明において、前記塞ぎ部材は、前記出口開口フランジの面に密着するパッキンを備えていることが好ましく、これにより、出口開口フランジ面と塞ぎ部材との間のシール性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明によれば、煙道等のガス流路内を流れるガス成分のサンプリング検査を行うため、準備作業として採取用部材を取り付ける場合には、サンプリングノズルの出口開口を塞いだ状態が維持されるので、ガス流路内からガスが流出することを防止または抑制できるという顕著な効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るガス流路のサンプリングノズル構造の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1〜図3に示す第1の実施形態では、ガス流路となる煙道1にサンプリングノズル2が設けられている。このサンプリングノズル2は、サンプリング検査を実施しない通常運転時において、上端部の出口開口2aがサンプリング座として設けた盲フランジ4により塞がれている。この場合の盲フランジ4は、後述する部材交換治具20にボルト7で固定された構成とされ、サンプリング検査時には、盲フランジ4を取り外して採取用部材の採取用フランジ5と交換される。
ここで使用する採取用部材は、円形または矩形状とした採取用フランジ(フランジ部)5の中央位置にノズル6を設けたものであり、ノズル6が採取用フランジ5を貫通した状態になっている。
【0013】
部材交換治具20は、ノズル側フランジ3の上面に対し、下面側から挿入した複数本のボルト8により固定して取り付けられている。なお、図中の符号9はパッキンであり、ノズル側フランジ3の上面と部材交換治具20の下面との間に配設されている。
【0014】
以下では、部材交換治具20について、具体的な構成例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す部材交換治具20は、盲フランジ4の直径Dよりやや大きな幅Wを有する長さLの矩形状スライド面21を有している。この矩形状スライド面21は、矩形の長手方向が後述するスライド方向(図中に矢印Sで示す)となる。
スライド面21の両端部には、スライド方向に延在する略L字状断面のガイド壁22が設けられている。すなわち、ガイド壁22は、矩形状スライド面21の幅Wを規定して立設された壁面を形成するとともに、盲フランジ4及び採取用フランジ5の厚さより若干大きな高さ寸法Hを規定するため、スライド面21の内向きに略90度折り曲げられた折曲壁22aを形成している。なお、上述したスライド面21及びガイド壁22は、たとえば溶接等により別部品を一体化した構造とされるが、これに限定されることはない。
【0015】
また、部材交換治具20には、スライド面21の略中央位置に円形の開口部23が穿設されている。この開口部23は、サンプリングノズル2の出口開口2aに部材交換治具20を固定して取り付ける際、後述するサンプリングユニット10の挿入に用いられる。そして、図示の構成例では、スライド面21の下面に、開口部23の穴径と略一致する内径を有するガイド管24が取り付けられている。このガイド管24は、サンプリングノズル2に挿入することにより、部材交換治具20を取り付けて固定する際の位置決めを容易にしている。
なお、図1(b)において、図中の符号4aは盲フランジ4のボルト穴、25はスライド面21に設けた盲フランジ固定用のネジ穴である。
【0016】
このように、サンプリングノズル2の出口開口2aを塞ぐ盲フランジ4がガスサンプリング時に採取用フランジ5と交換されるガス流路1のサンプリングノズル構造において、本発明ではサンプリングノズル2に固定設置された部材交換治具20を備えている。
この部材交換治具20は、盲フランジ4が出口開口2aを塞ぐ通常位置のスライド方向両側に、採取用フランジ5のフランジ部待機領域と、盲フランジ4の待避領域とを備えている。すなわち、図1(a)に示す通常位置において、出口開口2aを塞ぐ盲フランジ4の紙面左側には採取用ノズル5のフランジ部待機領域が設けられ、盲フランジ4の紙面右側には待避領域が設けられている。なお、上述したフランジ部待機領域及び待避領域の位置については、左右逆としてもよい。
【0017】
上述したフランジ部待機領域は、盲フランジ4が出口開口2aを塞いでいる通常位置の状態において、スライド面21に採取用ノズル5を予めセットしておくことができる領域(スライド範囲)を確保したものである。
同様に、上述した盲フランジ4の待避領域は、盲フランジ4が出口開口2aを塞いでいる通常位置の状態において、スライド面21に取り外した盲フランジ4をスライドさせて保持しておくことができる領域(スライド範囲)を確保したものである。
従って、上述したスライド面21の長さLは、採取用フランジ5が図2に示すような矩形の場合、盲フランジ4の直径をDとし、採取用フランジ5のスライド方向長さをLfとすれば、L≧2D+Lfの条件を満たしていることが望ましい。また、採取用フランジ5が円形の場合、盲フランジ4及び採取用フランジ5の直径をDとすれば、L≧3Dの条件を満たしていることが望ましい。
【0018】
そして、盲フランジ4及び採取用フランジ5の交換時には、採取用フランジ5を予めスライド面21にセットしておくことにより、盲フランジ4及び採取用フランジ5が、部材交換治具20の折曲壁22aによりサンプリングノズル2の軸方向(紙面の上下方向)に移動することを阻止され、かつ、軸方向移動と直交するスライド方向の移動を許容された状態にある。
また、図示の構成例では、円形の盲フランジ4と円形の採取用フランジ5との間に、たとえば図3に示すようなアタッチメント30を介在させている。このアタッチメント30は、スライド方向に形成された一対のガイド面31と、スライド方向と交差する両端面に形成されて盲フランジ4及び採取用フランジ5のフランジ形状と一致する円弧面32とを備えている。
【0019】
さらに、図示のアタッチメント30は、盲フランジ4と接する円弧面32を含む高温側端面に断熱材33が設けられている。このような断熱材33を設けることにより、採取用フランジ5は、ガス流路1内を流れる高温のガスにより温度上昇した盲フランジ4と断熱材を介して接することになるので、温度上昇等の熱影響を受けにくくなる。
また、上述したアタッチメント30は、必要に応じて位置決め用の凸部34を設けておくことが好ましい。この凸部34は、特に円形フランジ側に設けた凹部(不図示)との係合により、ネジ穴25に対する採取用フランジ5の位置決めを容易にする。
【0020】
このようなガス流路1のサンプリングノズル構造では、以下に説明する手順(方法)により盲フランジ4と採取用フランジ5との交換作業が行われる。
最初に、ガス流路1内のサンプリング検査が実施されない通常運転時の状態では、図1(a)に示すように、盲フランジ4が部材交換治具20を介してサンプリングノズル2の出口開口2aを塞いでいる。このとき、図示された採取用フランジ5及びアタッチメント30は不要であるから、取り外した状態にしてもよい。
【0021】
次に、ガス流路1内を流れるガス成分のサンプリング検査を行う場合には、図1(b)に示すように、盲フランジ4を取り外してサンプリングノズル2の出口開口2aに位置合わせして採取用フランジ5を取り付ける。
このとき、盲フランジ4に隣接して採取用フランジ5がセットされているので、盲フランジ4を固定するボルト7を取り外した後には、採取用フランジ5及び盲フランジ4を一体的に紙面右方向へ押してスライドさせる。このスライド時には、ガイド壁22が両側からスライド方向を規制するとともに、折曲壁22aがスライド面21から離間する方向の移動を規制するので、盲フランジ4及び採取用フランジ5をスムーズかつ容易にスライド方向へ移動させることができる。
【0022】
この結果、サンプリングフランジ2の出口開口2aを介して煙道1の内外が連通する状態(時間や面積)は最小限に抑えられ、従って、採取用フランジ5の準備(交換)作業時に煙道1から出口開口2aを通って流出するガス量を抑制することができる。なお、この準備作業で採取用フランジ5に押圧されて移動した盲フランジ4は、スライド面21に設けた待避領域に保持されて落下することはない。
また、上述した準備作業時にアタッチメント30を使用すると、たとえば円形の盲フランジ4と円形または矩形の採取用フランジ5との間に形成される隙間をなくすことができるので、採取用フランジ5の準備作業時に煙道1内のガスが出口開口2aを通って流出することを防止または抑制することができる。
なお、アタッチメント30の円弧面32については、アタッチメント30と接する側のフランジ形状が円形の場合に形成すればよく、従って、たとえば採取用フランジ5が矩形の場合には、円形の盲フランジ4側にのみ円弧面32を形成すればよい。
【0023】
こうして所定位置まで移動した採取用フランジ5は、スライド面21との接合面からガスが漏出しないようにするため、盲フランジ4を固定したネジ穴25にボルト固定することが望ましい。しかし、採取用フランジ5を折曲壁22aにより保持するだけでも、ガスの漏れ量を抑制することができる。
採取用フランジ5が出口開口2aと略一致する所定位置にセットされた後には、図8に示す従来構造と同様に、ノズル6の開口部からサンプリングユニット10を挿入してサンプリング検査が行われる。なお、サンプリングユニット10を挿入した後には、シール部材13によりノズル6側の出口開口がシールされるので、煙道1内のガスが漏出するようなことはない。
なお、採取用フランジ5を盲フランジ4と交換する場合には、基本的に上述した手順の逆で作業をすればよい。
【0024】
ところで、上述した実施形態の部材交換用治具20は、ボルト8を用いてノズル側フランジ3に固定する構造としたが、これに限定されることはない。
図4に示す変形例の部材交換用治具20Aは、スライド方向を二分割としたスライド面21Aを左右一対用意し、ノズル側フランジ3を両側から挟持するようにして、ボルト26及びナット27で固定するものである。なお、図中の符号28はスライド面21Aの両側面に設けたフランジ部であり、このフランジ部28にボルト26を通し、ナット27を締め込むことで固定される。
このような構造の部材交換用治具20Aとしても、取り付け完了後にはスライド面21A及び折曲壁22aを含むガイド壁22が一体化し、上述した部材交換用治具20Aと略同様の機能を有したものとなる。
【0025】
<第2の実施形態>
図5及び図6に示す第2の実施形態では、サンプリングノズル2のノズル開口2aに設けたノズル側フランジ3と盲フランジ4との間に、ノズル側フランジ3に沿ってスライド可能な塞ぎ部材40が配設されている。なお、図5及び図6において、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
上述した塞ぎ部材40は、たとえば矩形状の板状部材を折曲成形したものであり、平板部41の対向する両端部には、略コ字状断面に折曲成形されたガイド部42が設けられている。このガイド部42は、平板部41から略直角に折曲された縦壁部43と、縦壁部43から内向きの方向に平板部41と略平行となるように折曲された対向面44とを備えている。コ字状断面を形成する平板部41の端部、縦壁部43及び対向面44は、ノズル側フランジ3及びパッキン50の厚さを許容するコ字状内面高さhを有し、さらに、対向する縦壁部43の間に入り込んだノズル側フランジ3の端部をガイド部42が上下両面から挟み込んで、スライド方向Sの移動を許容するように構成されている。
【0026】
このように構成された塞ぎ部材40は、図6に示す手順により使用して盲フランジ4を採取用フランジ5に交換する。
通常運転時において、サンプリングノズル2の出口開口2aは、図5(b)に示すように、塞ぎ部材40を介して盲フランジ4で塞がれている。この状態から採取用フランジ5に交換する場合、最初に盲フランジ4を固定しているボルト7及び盲フランジ4を取り外す。このとき、煙道1の内部から圧力を受けるが、対向面44がノズル側フランジ3に係止されるため、塞ぎ部材40が外れることはない。
従って、出口開口2aから漏出するガス量を抑制することができ、特に、塞ぎ部材40の下面と出口開口フランジ3の上面との間に、出口開口フランジ3の上面に密着するパッキン50を備えている場合には、出口開口フランジ3の上面と塞ぎ部材40との間のシール性が向上してガスの漏れ量を低減することができる。
【0027】
この後、塞ぎ部材40の上面に採取用フランジ5を重ね合わせ、ノズル6に対してサンプリングユニット10を仮設置する。この時点では、塞ぎ部材40が出口開口2aを塞いでいるので、サンプリングユニット10に煙道1内のガスが流入することはない。なお、採取管11の適所にクリップ14を取り付けることで、採取管11を閉塞状態にしておくことが望ましい。
続いて、シール材13でノズル6の出口開口を塞ぎ、塞ぎ部材40をスライド方向に移動させて引き抜く。このとき、ガイド部42が塞ぎ部材40のスムーズの移動を助けるので、容易かつ迅速な引き抜きを可能にしてガスの漏出を防止または抑制する。
【0028】
塞ぎ部材40を引き抜いた後には、たとえば出口開口フランジ3及び採取用フランジ5の適所を万力60を用い挟持し、確実に固定する。この状態では、ノズル6及びサンプリングノズル2が連通しているので、採取管11及びサンプリングノズル12を煙道1内の所定位置まで挿入すれば、クリップ14を取り外すことでガスのサンプリングが可能となる。
このように、本実施形態のサンプリングノズル構造としても、サンプリングノズル2の出口開口フランジ3と盲フランジ4との間に、出口開口フランジ3に沿ってスライド可能な塞ぎ部材40を配設したので、盲フランジ4を取り外した状態では、サンプリングノズル2の出口開口2aが塞ぎ部材40によって塞がれている。従って、塞ぎ部材40の上に採取用フランジ5を重ね合わせて載置した後には、塞ぎ部材40をスライドさせて除去することで、速やかに採取用フランジ5を取り付けることができるようになり、ガス流路1内のガスが流出することを防止または抑制できる。
なお、採取用フランジ5を盲フランジ4と交換する場合には、基本的に上述した手順の逆で作業をすればよい。
【0029】
このように、上述した本発明によれば、煙道1のようなガス流路内を流れるガス成分をサンプリング検査するため、準備作業として採取用フランジ5を取り付ける場合には、サンプリングノズル2の出口開口2aを塞いだ状態が維持されるので、煙道1内からガスが流出することを防止または抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態となるガス流路のサンプリングノズル構造を示す要部断面図であり、(a)はサンプリング検査を実施しない通常運転時の状態、(b)はサンプリング検査を実施する状態である。
【図2】図1に示した採取用部材の取付手順を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示したアタッチメントの構成例を示す斜視図である。
【図4】図1に示した採取用部材の変形例を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態となるガス流路のサンプリングノズル構造を示す図であり、(a)は通常運転時の状態を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図6】図5に示した採取用部材の取付手順を示す工程図である。
【図7】煙道に設けられたサンプリングノズルを示す構成図である。
【図8】図7に示したサンプリングノズルに採取用フランジを取り付ける手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0031】
1 煙道(ガス流路)
2 サンプリングノズル
2a 出口開口
3 ノズル側フランジ
4 盲フランジ(サンプリング座)
5 採取用フランジ(採取用部材)
6 ノズル
10 サンプリングユニット
20,20A 部材交換治具
21,21A 矩形状スライド面
22 ガイド壁
22a 折曲壁
30 アタッチメント
31 ガイド面
32 円弧面
33 断熱材
34 凸部
40 塞ぎ部材
42 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路に設けたサンプリングノズルの出口開口を塞ぐサンプリング座がガスサンプリング時に採取用部材と交換されるガス流路のサンプリングノズル構造において、
前記サンプリングノズルに固定設置された部材交換治具を備え、
前記部材交換治具には、前記サンプリング座が前記出口開口を塞ぐ通常位置のスライド方向両側に、前記採取用部材のフランジ部待機領域と前記サンプリング座の待避領域とが設けられ、
前記サンプリング座及び前記採取用部材の交換時、前記サンプリング座及び前記採取用部材のフランジ部は、前記部材交換治具により、前記サンプリングノズルの軸方向に移動することを阻止された状態で前記軸方向移動と直交する方向のスライドが許容されることを特徴とするガス流路のサンプリングノズル構造。
【請求項2】
前記サンプリング座及び前記採取用部材の交換時には、両部材間にアタッチメントを介在させ、
前記アタッチメントが、前記スライド方向に形成された一対のガイド面と、前記スライド方向と交差する両端面の少なくとも一方に形成されて円形フランジ形状と一致する円弧面と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガス流路のサンプリングノズル構造。
【請求項3】
前記アタッチメントの高温側端面に断熱材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のガス流路のサンプリングノズル構造。
【請求項4】
ガス流路に設けたサンプリングノズルの出口開口を塞ぐサンプリング座がガスサンプリング時に採取用部材と交換されるガス流路のサンプリングノズル構造において、
前記サンプリングノズルの出口開口フランジと前記サンプリング座との間に、前記出口開口フランジに沿ってスライド可能な塞ぎ部材を配設したことを特徴とするガス流路のサンプリングノズル構造。
【請求項5】
前記塞ぎ部材が、前記出口開口フランジの面に密着するパッキンを備えていることを特徴とする請求項4に記載のガス流路のサンプリングノズル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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