説明

ガス混入装置およびこれを備えたオゾン含有ガス混入装置

【課題】
液体にガスを均一に混入させることができるガス混入装置およびこれを備えたオゾン含有ガス混入装置を提供すること。
【解決手段】
外管3内に間隙を隔てて外管3の軸芯に沿うように円管状の内管7が配設されている。内管7は、全体に亘って細孔が無数に形成されている。内管7内には、内管7の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路を形成する通路形成部材9が配設されている。内管7は多孔質セラミックスからなる。通路形成部材9は、その長手方向に沿う軸回りに捩れた帯状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガス等のガスを微細な無数の気泡の状態で水などの液体に均一に混入させるガス混入装置およびこれを備えたオゾン含有ガス混入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来のガス混入装置は、図7の図(1)および該図(1)の矢視Z−Z線に沿う断面図である図(2)に示すように、外周に螺旋状の溝101aを有し軸芯部に中央穴101bが設けられた管状の発泡部101が管状部102の内側に挿入された二重管構造からなり、発泡部101の中央穴101bにオゾンが注入される一方、発泡部101の螺旋状の溝101aと管状部102の内周面とで形成された螺旋状の通路103に水道水などが供給される。前記発泡部101は、部材に多数の小孔を形成したものからなり、発泡部101の中央穴101bにオゾンが注入されると、発泡部101の多数の小孔を介してオゾンが前記螺旋状の通路103を流れている水道水などに混入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2607626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のガス混入装置は、オゾンが注入される発泡部101の中央穴101bと水道水などが供給される螺旋状の通路103との間に存在する発泡部101の部材厚さが一定ではないので、オゾンが通過する際に抵抗が少ない発泡部の部位(発泡部の部材厚さが最も薄い部位101c(図7の図(2)において一点鎖線で囲んだ部位))の小孔を介して、発泡部101の中央穴101bに注入されたオゾンの大半が通過しようとするため、螺旋状の通路103内を流れている水道水などにオゾンが均一に混入しない虞があった。
【0005】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、液体にガスを均一に混入させることができるガス混入装置およびこれを備えたオゾン含有ガス混入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係るガス混入装置は、外管と、この外管内に間隙を隔ててこの外管の軸芯に沿うように配設され、全体に亘って細孔が無数に形成された円管状の内管と、この内管内に挿入されこの内管の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路を形成する通路形成部材とを備えたものである。
【0007】
請求項2に記載した発明に係るガス混入装置は、請求項1に記載のガス混入装置において、前記外管を、複数の外管片を同軸に第1中間連結管を介して連結して構成し、前記内管を、複数の内管片を同軸に前記第1中間連結管を介して連結して構成し、前記通路形成部材を、複数の通路形成部材片を同軸に第2中間連結管を介して連結して構成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載した発明に係るガス混入装置は、請求項1または請求項2に記載のガス混入装置において、前記通路形成部材は、その長手方向に沿う軸回りに捩れた帯状に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載した発明に係るガス混入装置は、請求項1ないし請求項3のうち何れか一つに記載のガス混入装置において、前記内管は、多孔質セラミックスからなることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載した発明に係るオゾン含有ガス混入装置は、請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載のガス混入装置と、前記外管と前記内管との間の間隙にオゾンを含有するオゾン含有ガスを注入するオゾン含有ガス注入装置とを備え、前記内管内の螺旋状の通路に供給される水に前記内管の細孔を介して前記オゾン含有ガスを混入可能としたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、外管内に配設される内管を、全体に亘って細孔が無数に形成された円管状のものにしたので、外管と内管との間の間隙にガスを注入する一方、内管内に液体を供給することで、ガス側と液体側とを隔てる内管の部材厚さが一定となる。この結果、内管の一部の部位に偏ることなく広い領域に亘って均一にガスが内管内を通過するようになり、ガスが液体に均一に混入する。
【0012】
また、通路形成部材を内管内に挿入して内管の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路を形成したので、外管と内管との間の間隙を液体が流れるとした場合の旋回半径より小さな半径(内管の内周の半径に相当する半径)で旋回しながら螺旋状の通路を液体が流れる。このため、液体の流れる速度を一定とした場合に、外管と内管との間の間隙を液体が流れるとした場合と比較して旋回角速度を大きくすることができる。この結果、液体が効果的に攪拌されガスが液体に一層均一に混入する。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、外管片と内管片と通路形成部材片とを、混入したいガス量に応じて複数個ずつ単に連結してガス混入装置を構成するという単純な手段で、混入したいガス量に対応することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、通路形成部材は、その長手方向に沿う軸回りに捩れた帯状に形成されているので、内管内に挿入して螺旋状の通路を形成するための通路形成部材を単純な構造で構成することができる。
また、通路形成部材の帯状の壁面によって内管内が2つの通路に区画されることで、区画されたそれぞれの通路で液体が個別に攪拌されガスが液体に一層均一に混入する。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、内管を多孔質セラミックスで構成したので、全体に亘って均一に細孔が無数に形成された円管状の内管を容易に形成することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、外管と内管との間の間隙にオゾンを含有するオゾン含有ガスを注入するオゾン含有ガス注入装置をさらに備え、内管内の螺旋状の通路に供給される水に内管の細孔を介してオゾン含有ガスを混入可能としたので、オゾン含有ガスを水に均一に混入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態に係るガス混入装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2の図(1)は第1の実施の形態に係るガス混入装置に組み込まれた締結部材を示した断面図であり、図2の図(2)は締結部材を図(1)の矢視X線に沿う方向から見た状態の外観図である。
【0018】
【図3】図3の図(1)および図(2)は第1の実施の形態に係るガス混入装置に組み込まれた通路形成部材の外観を示した図であり、図(1)は通路形成部材を図(2)の矢視Y線に沿う方向から見た状態の外観図である。
【図4】図4の図(1)は本発明の第2の実施の形態に係るガス混入装置の構成を示す断面図であり、図(2)は同装置に組み込まれた中間締結部材を示した断面図である。
【0019】
【図5】図5は本発明の第1の実施の形態に係るガス混入装置を使用した汚染土壌の浄化装置の構成を示す図である。
【図6】図6は本発明の第1の実施の形態に係るガス混入装置を使用したクーラントの処理装置の構成を示す図である。
【図7】図7の図(1)は従来のガス混入装置の構成を示す断面図であり、図7の図(2)は図(1)の矢視Z−Z線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るガス混入装置の第1の実施の形態を図1ないし図3によって詳細に説明する。
【0021】
図1において符号1で示すものは、ガス混入装置であり、このガス混入装置1は、1本の円筒状の外管3と、この外管3の両端部の内周面に刻設された雌ねじ部3aにそれぞれの雄ねじ部5aが螺合された略円環状の締結部材5と、それぞれの締結部材5の一端部の内周部に形成された段付き拡径部5bに両端部が嵌合された円筒状の内管7と、この内管7内に挿入された通路形成部材9とを備える。外管3の長手方向中途部には、外部から外管3内にガスを注入するための注入部3bが設けられている。図2に示すように、締結部材5の軸方向中途部には、締結部材5を螺合する際に工具により把持するための把持部5dが形成されている。
【0022】
図3に示すように、通路形成部材9は、その長手方向に沿う軸Q回りに捩れた帯状に形成されている。通路形成部材9を製造する方法としては、例えば、一対の対向する転動ローラ間で帯状の板材を挟持して転動ローラを回転させながら、帯状の板材をその長手方向に沿う軸回りに捩じることで通路形成部材9を形成する方法があげられる。また、通路形成部材9を製造する他の方法としては、鋳型による成型があげられる。通路形成部材9は、その長手方向に沿う方向から見た外形は、内管7の内径の寸法より僅かに小さい直径を有する円形となっている(図3の図(1)を参照)。
【0023】
前記各締結部材5,5の段付き拡径部5bが形成された部位とは反対側の端部には前記段付き拡径部5bの内径より小径の小径部5cが形成され、該小径部5c内に円筒状の内嵌管11がそれぞれ嵌合されている。小径部5cと内嵌管11との軸方向の長さは略同一とされ、内嵌管11の略全体が小径部5c内に嵌合されている。なお、各締結部材5,5の小径部5cの内径を内嵌管11の内径と同一の寸法にして内嵌管11を省略することもできる。
【0024】
前記内管7と各内嵌管11,11とのそれぞれの内径は同一の寸法に形成され、内管7と各内嵌管11,11との対向するそれぞれの端部どうし内には内管7と内嵌管11とに跨って支持管13が嵌合されている。通路形成部材9の両端部は長さLに亘って、通路形成部材9の長手方向から見て中央部9bの外径の寸法より小径に形成され(図3の図(1)および図(2)を参照)、この小径に形成された通路形成部材9の両端部の各小径部9a,9aが各支持管13,13内に嵌合され、各支持管13,13の長手方向の中途部までそれぞれ嵌合されている。
【0025】
通路形成部材9が内管7内に挿入されることで内管7の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路8,8が内管7内に形成される。すなわち、通路形成部材9の帯状の壁面によって内管7内が2つの通路8,8に区画され、これらの2つの通路8,8は共に螺旋状の通路とされる。
【0026】
外管3の各雌ねじ部3a,3aと各締結部材5,5の雄ねじ部5aとはテーパねじ構造とされ、互いに強固に螺合することによって両ねじ部どうしの締結が緩み難くされると共に螺合部が気密状態に保持される。前記外管3、各締結部材5,5、通路形成部材9、各内嵌管11,11および各支持管13,13はステンレス製の部材、または表面が亜鉛メッキ,クロムメッキ,ニッケルメッキ,もしくはニッケル−クロムメッキ等の表面処理で被覆された鉄製の部材で構成され、内管7は多孔質セラミックスで構成されている。
【0027】
多孔質セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ムライト、コーディエライト、シリコンナイトライド等を挙げることができる。
なお、内管7は、細孔が無数に形成されたものであれば多孔質セラミックスでなくてもよく、例えば、ガラス,シリコン,発泡塩化ビニールまたはテフロン(登録商標、正確にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン))系発泡体等の材料で形成してもよい。
【0028】
(ガス混入装置1の組立工程)
前記ガス混入装置1は、以下のような工程によって組み立てられる。
(1)通路形成部材9の両端部の各小径部9a,9aにそれぞれ支持管13を嵌合したものを内管7内に挿入する。このとき、各支持管13,13と内管7との嵌合部にはエポキシ接着剤を予め塗布した状態で挿入する。塗布したエポキシ接着剤が固化することで、支持管13と内管7との嵌合部の隙間が気密状態に保持される。
【0029】
(2)次に、一対の締結部材5,5の小径部5c内に内嵌管11をそれぞれ嵌合する。このとき、締結部材5の小径部5cと内嵌管11との嵌合部にはエポキシ接着剤を予め塗布した状態で嵌合する。塗布したエポキシ接着剤が固化することで、締結部材5と内嵌管11との嵌合部の隙間が気密状態に保持される。
【0030】
(3)次に、一対の締結部材5,5のうちの一方の締結部材5の小径部5c内に嵌合された内嵌管11内に、前記(1)の工程で組み立てられた組立体の一端側の支持管13の端部を内嵌管11の長手方向中途部まで嵌合すると共に締結部材5の段付き拡径部5b内に前記組立体の内管7を該段付き拡径部5bの長手方向中途部まで嵌合する。このとき、内嵌管11と支持管13との嵌合部および締結部材5の段付き拡径部5bと内管7との嵌合部にはそれぞれエポキシ接着剤を予め塗布した状態で嵌合する。この嵌合作業は、外管3の一方の雌ねじ部3aに前記一方の締結部材5の雄ねじ部5aを螺合しながら行なう。塗布したエポキシ接着剤が固化することで、それぞれの嵌合部の隙間が気密状態に保持される。
【0031】
(4)最後に、一対の締結部材5,5のうちの他方の締結部材5の段付き拡径部5b内に前記組立体の内管7を嵌合すると共に当該他方の締結部材5の小径部5c内に嵌合された内嵌管11内に前記組立体の他端側の支持管13の端部を嵌合しながら、当該他方の締結部材5の雄ねじ部5aを注入部3bが予め組み付けられた外管3の他方の雌ねじ部3aに強固に螺合する。螺合する際は、一対の締結部材5,5の把持部5dをそれぞれ工具により把持しながら螺合することで強固に螺合することができる。
【0032】
このとき、前記他方の締結部材5に嵌合した内嵌管11と前記組立体の他端側の支持管13との嵌合部および同締結部材5の段付き拡径部5bと内管7との嵌合部にはそれぞれエポキシ接着剤を予め塗布した状態で嵌合する。塗布したエポキシ接着剤が固化することで、それぞれの嵌合部の隙間が気密状態に保持される。
以上で、ガス混入装置1の組立が完了する。
【0033】
上述したようなガス混入装置1によれば、外管3内に配設される内管7を、全体に亘って細孔が無数に形成された円管状のものにしたので、外管3と内管7との間の間隙にガスを注入する一方、内管7内に液体を供給することで、ガス側と液体側とを隔てる内管7の部材厚さが一定となる。この結果、内管7の一部の部位に偏ることなく広い領域に亘って均一にガスが内管7の部材内部を通過するようになり、ガスが液体に均一に混入する。
【0034】
また、通路形成部材9を内管7内に挿入して内管7の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路8,8を形成したので、外管3と内管7との間の間隙を液体が流れるとした場合の旋回半径より小さな半径(内管7の内周の半径に相当する半径)で旋回しながら螺旋状の通路8,8を液体が流れる。このため、液体の流れる速度を一定とした場合に、外管3と内管7との間の間隙を液体が流れるとした場合と比較して旋回角速度を大きくすることができる。この結果、液体が効果的に攪拌されガスが液体に一層均一に混入する。このとき、内管7の内壁面に細かな気泡の状態でガスが付着したとしても、付着したガスは液体の攪拌によって効果的に剥離させられる。
【0035】
また、通路形成部材9は、その長手方向に沿う軸Q回りに捩れた帯状に形成されているので、内管7内に挿入して螺旋状の通路8を形成するための通路形成部材を単純な構造で構成することができる。
また、通路形成部材9の帯状の壁面によって内管7内が2つの通路8,8に区画されることで、区画されたそれぞれの通路8,8で液体が個別に攪拌されガスが液体に一層均一に混入する。
【0036】
また、内管7内を2つの通路8,8に区画する通路形成部材9が帯状のものからなるので、内管7内の空間が通路形成部材9によって無用に占有されないため、通路8,8の断面積を十分確保しつつ螺旋状の通路8,8を形成することができると共に内管7の内周面側の細孔を通路形成部材9の側縁部によって遮る領域を可及的少なくすることができる。この結果、通路8,8に液体を十分供給することができると共に内管7の細孔を介して内管7の通路8,8にガスを十分注入することができる。
さらにまた、内管7を多孔質セラミックスで構成したので、全体に亘って細孔が無数に形成された円管状の内管を容易に形成することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
以下、本発明に係るガス混入装置の第2の実施の形態を図4の図(1)および図(2)によって詳細に説明する。なお、図4の図(1)において、前記第1の実施の形態で説明したものと同一または同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0038】
上述した第1の実施の形態におけるガス混入装置1では、外管3と内管7と通路形成部材9とを1個ずつ備えている例を示したが、本実施の形態におけるガス混入装置10では第1の実施の形態におけるガス混入装置1の外管3と内管7と通路形成部材9と同一または同等のものをそれぞれ2個ずつ使用している。
【0039】
2個の通路形成部材9,9をそれらの一端部どうしを間隙を隔てて同軸上に対向させた状態で、それらの一端部の各小径部9a,9aが1個の第2支持管15内に嵌合されて2個の通路形成部材9,9が第2支持管15によって連結されている。また、2個の外管3,3と、それら外管3,3内に間隙を隔ててそれぞれ配設された2個の内管7,7との一端部どうしを間隙を隔てて同軸上に対向させた状態で中間締結部材17によって連結されている。第2支持管15および中間締結部材17は、ステンレス製の部材、または表面が亜鉛メッキ,クロムメッキ,ニッケルメッキ,もしくはニッケル−クロムメッキ等の表面処理で被覆された鉄製の部材で構成されている。
【0040】
詳述すると、中間締結部材17の両端の外周部にそれぞれ形成された雄ねじ部17a,17aに一対の外管3,3の各一端部の内周面に刻設された雌ねじ部3aが螺合され、中間締結部材17の両端の内周部にそれぞれ形成された段付き拡径部17b,17b内に各内管7,7の一端部がそれぞれ嵌合されている。中間締結部材17の軸方向中央部には、中間締結部材17を螺合する際に工具により把持するための把持部17cが形成されている。各内管7,7と第2支持管15との嵌合部および各内管7,7と中間締結部材17との嵌合部にはエポキシ接着剤を予め塗布した状態で嵌合する。塗布したエポキシ接着剤が固化することで、それぞれの嵌合部の隙間が気密状態に保持される。
【0041】
各外管3,3、各内管7,7、各通路形成部材9,9、中間締結部材17、第2支持管15は本発明の「外管片」、「内管片」、「外通路形成部材片」、「第1中間連結管」、「第2中間連結管」をそれぞれ構成する。
而して、本実施の形態に係るガス混入装置10は、第2支持管15および中間締結部材17による連結によって、前記第1の実施の形態における外管3と内管7と通路形成部材9とがそれぞれ単一の長尺の部材として構成された長尺のガス混入装置と実質上同等であると言える。
【0042】
また、本実施の形態に係るガス混入装置10では、第1の実施の形態における外管3と内管7と通路形成部材9と同一または同等のものをそれぞれ2個ずつ使用する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、外管3と内管7と通路形成部材9と同一または同等のものをそれぞれ3個以上の個数ずつ使用して、その個数に応じた個数の第2支持管15および中間締結部材17で連結して外管等の各部材を実質上さらに長尺の部材とするようにしてもよい。
【0043】
上述したような本実施の形態に係るガス混入装置10によれば、外管3と内管7と通路形成部材9とを、混入したいガス量に応じて複数個ずつ単に連結してガス混入装置10を構成するという単純な手段で、混入したいガス量に対応することができる。
また、この実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏することができ、第1の実施の形態と同一または同等の構成部分については第1の実施の形態と同様の構造変更が可能であるのは言うまでもない。
【0044】
(汚染土壌の浄化装置)
次に、前記第1の実施の形態におけるガス混入装置1を使用して、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等を含む汚染物質によって土壌が汚染されている地中の汚染土壌を浄化する浄化装置の一例について図5により説明する。該浄化装置は、本発明の「オゾン含有ガス混入装置」を構成する。図5では、地中Mを浄化している状態を、一部を破断して示している。なお、図5については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0045】
図5において符号21で示すものは試錐管であり、該試錐管21は試錐装置(図示せず)により地面に穿った穴内に挿入される。該試錐管21は、汚染物質によって土壌が汚染されている地中Mの深さまで貫入する。試錐管21の下部から上方に一定の長さに亘って、その長手方向に所定の間隔を隔てて複数の貫通孔21a…が穿設されている。試錐管21には管継手を介してオゾン水供給管23の一端部が接続され、オゾン水供給管23の他端部はガス混入装置1の一方の締結部材5に接続されている。
【0046】
ガス混入装置1の他方の締結部材5には送水管25を介して給水装置27の一側部が接続され、給水装置27の他側部には、水が貯留された水槽29が給水管31を介して接続されている。給水装置27には、水を供給するためのポンプ(図示せず)および該ポンプを駆動するための電動モータ(図示せず)を備えている。給水装置27から送水管25を介してガス混入装置1に例えば1MPa(メガパスカル)の水圧で水が供給される。なお、水槽29に貯留された水に代えて、水道水や河川などの水をポンプでガス混入装置1に供給するようにしてもよい。
【0047】
ガス混入装置1の外管3に設けられた注入部3b(図1を参照)には、オゾン含有ガス供給管33を介してオゾン含有ガス注入装置35の一側部が接続され、オゾン含有ガス注入装置35の他側部には、酸素ガスが収容された酸素ボンベ37が酸素ガス供給管39を介して接続され、酸素ボンベ37内の酸素ガスがオゾン含有ガス注入装置35に導入される。
【0048】
オゾン含有ガス注入装置35の内部で放電管による無声放電によってオゾンが発生し、酸素に対してオゾンが所定の割合で混合されてオゾン含有ガスが生成される。オゾン含有ガスとしては、例えば、容積比でオゾンが1パーセントないし10パーセントで残りが酸素からなるガスをあげることができる。このようにして生成されたオゾン含有ガスは、例えば1.1MPa(メガパスカル)の圧力でオゾン含有ガス注入装置35からオゾン含有ガス供給管33を介してガス混入装置1の外管3内に注入される。
【0049】
給水装置27とオゾン含有ガス注入装置35とを作動させながら、水槽29に貯留された水を送水管25を介してガス混入装置1の内管7内に供給することで、内管7の一部の部位に偏ることなく広い領域に亘って均一にオゾン含有ガスが内管7内を通過するようになり、内管7内を流れている水にオゾン含有ガスが均一に混入する。また、内管7の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路8を通路形成部材9により形成しているので、内管7の内周の半径に相当する比較的小さな半径で旋回しながら螺旋状の通路8を水が流れるため、旋回角速度を大きくすることができる。
【0050】
この結果、水が効果的に攪拌されオゾン含有ガスが水に一層均一に混入し、このようにして生成されたオゾン水がオゾン水供給管23を介して試錐管21に供給され、試錐管21の複数の貫通孔21a…から地中Mの土壌にオゾン水が噴射される。これによって、汚染物質により汚染されている地中Mの土壌を浄化することができる。地中Mの広範の深度に亘って土壌が汚染されている場合は、試錐管21を上下方向に適宜移動させ、試錐管21に設けられている複数の貫通孔21a…の位置を汚染されている深度に合致させてオゾン水を供給するようにする。
【0051】
また、面積の広い領域に亘って地中Mの土壌が汚染されている場合は、汚染された領域に、適当な間隔を隔てて複数の試錐管21…を貫入したのち、それらの試錐管21…にそれぞれオゾン水供給管23を個別に接続してオゾン水を地中Mに供給するか、もしくは、全ての試錐管21の本数分に対応する本数の分岐管にオゾン水供給管23を分岐してそれらの分岐した分岐管を複数の試錐管21…にそれぞれ接続してオゾン水を地中Mに供給するようにする。
【0052】
または、ガス混入装置1,オゾン水供給管23,給水装置27およびオゾン含有ガス注入装置35等の個数およびオゾン水供給管23やオゾン水供給管23を分岐した分岐管の本数を適宜選定して、複数の試錐管21…を介してしてオゾン水を地中Mに供給するようにしてもよい。例えば、全ての試錐管21…を幾つかのグループに分けてそれらのグループごとにガス混入装置1やオゾン含有ガス注入装置35等を準備すると共に、前記各グループごとの試錐管21…の本数分に対応する本数の分岐管にオゾン水供給管23を分岐してそれらの分岐した分岐管を各試錐管21…に接続してオゾン水を地中Mに供給するようにする。
【0053】
なお、上述した汚染土壌の浄化方法では、前記第1の実施の形態におけるガス混入装置1を使用して浄化するようにしたが、これに代えて前記第2の実施の形態におけるガス混入装置10を使用して浄化するようにしてもよい。
【0054】
(クーラントの処理装置)
次に、前記第1の実施の形態におけるガス混入装置1を使用してクーラントを防腐処理する処理装置の一例について図6により説明する。該処理装置は、本発明の「オゾン含有ガス混入装置」を構成する。
金属部品などを機械加工するときに、その加工の最中に加工対象物に直接流し掛けるクーラントを一定の期間使用していると、該クーラントが腐敗する場合があるが、その腐敗する前にクーラントを防腐処理するものである。なお、図6において、前記(汚染土壌の浄化装置)で説明したものと同一または同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。また、図6については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0055】
ところで、クーラントは組成としてその大半を占めるベース基材となっているのは水である。水の性質として、細菌の繁殖により腐敗しやすいという問題があるが、クーラントにオゾンを混入させて殺菌することで防腐処理される。
【0056】
図6は、一定の期間使用したクーラントをオゾンにより防腐処理する処理装置を示している。図6において符号41で示すものは防腐処理する前のクーラントを貯留した貯留槽であり、この貯留槽41の上部と下部には循環管43の端部がそれぞれ接続され、該循環管43の中途部には、貯留槽41に貯留されたクーラントを循環管43を介して貯留槽41外に吸出したのち再び貯留槽41内に戻して循環させる循環装置45が配設されている。循環装置45には、クーラントを循環させるためのポンプ(図示せず)および該ポンプを駆動するための電動モータ(図示せず)を備えている。
【0057】
図6中の矢印Gは循環管43内をクーラントが流れる方向を示している。循環管43内をクーラントが流れる方向から見て、循環装置45より下流側には前記第1の実施の形態におけるガス混入装置1が配設され、該ガス混入装置1にオゾン含有ガス注入装置35がオゾン含有ガス供給管33を介して接続されている。
【0058】
オゾン含有ガス注入装置35と循環装置45とを作動させながら、貯留槽41内に貯留されたクーラントを循環管43を介してガス混入装置1の内管7内に供給することで、内管7の一部の部位に偏ることなく広い領域に亘って均一にオゾン含有ガスが内管7内を通過するようになり、内管7内を流れているクーラントにオゾン含有ガスが均一に混入する。また、内管7の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路8を通路形成部材9により形成しているので、内管7の内周の半径に相当する比較的小さな半径で旋回しながら螺旋状の通路8をクーラントが流れるため、旋回角速度を大きくすることができる。
【0059】
この結果、クーラントが効果的に攪拌されオゾン含有ガスがクーラントに一層均一に混入されてクーラントが殺菌され防腐処理される。
なお、上述したクーラントの処理方法では、前記第1の実施の形態におけるガス混入装置1を使用して処理するようにしたが、これに代えて前記第2の実施の形態におけるガス混入装置10を使用して処理するようにしてもよい。
【0060】
さらに、上述したクーラントの処理の目的はクーラントの防腐であったが、これとは異なり、クーラントの廃棄前の処理のために、図6に示す構成と同一または同等の構成を使用することもできる。
【0061】
長期間使用したクーラントには、防錆剤、界面活性剤、油などの難生物分解性の高分子化合物が含まれているが、このようなクーラントに前記第1の実施の形態におけるガス混入装置1または第2の実施の形態におけるガス混入装置10を使用してオゾン含有ガスを均一に混入させることで高分子化合物がオゾンにより効果的に分解されて低分子化が促進され、微生物により処理されやすくなる。オゾンにより分解処理されたクーラントは、さらに曝気処理装置による曝気処理により無害化した後、廃棄することができる。
【0062】
なお、上述した各実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、前記の各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後のガス混入装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0063】
例えば、上述した各実施の形態においては、ガスとしてオゾン含有ガスを使用する例を示したが、これに代えて、酸素ガスもしくは炭酸ガス等のガスまたは窒素ガスもしくはアルゴンガス等の不活性ガスを使用するようにしてもよい。例えば、オゾン含有ガスに代えて酸素または炭酸ガスを水に混入させて酸素水または炭酸水を製造する場合に、上述した各実施の形態に係るガス混入装置を利用することもできる。
【0064】
また、これ以外の例として、密閉された鉄製の容器に潤滑油等の油を長期間貯留する場合に、該容器の上部に溜まった空気中に存在する酸素および水分によって容器内が腐食するという問題があるが、上述した各実施の形態によるガス混入装置を使用して窒素ガスもしくはアルゴンガス等の不活性ガスを油中に混入させて油中から空気を除去する処理を行い、この処理後の油を密閉された容器に貯留するようにすれば、容器内の腐食を防止することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ガス混入装置
3 外管(外管片)
7 内管(内管片)
9 通路形成部材(通路形成部材片)
10 ガス混入装置
15 第2支持管(第2中間連結管)
17 中間締結部材(第1中間連結管)
35 オゾン含有ガス注入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、
この外管内に間隙を隔ててこの外管の軸芯に沿うように配設され、全体に亘って細孔が無数に形成された円管状の内管と、
この内管内に挿入されこの内管の軸芯回りに捩じれた螺旋状の通路を形成する通路形成部材とを備えたガス混入装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス混入装置において、
前記外管を、複数の外管片を同軸に第1中間連結管を介して連結して構成し、
前記内管を、複数の内管片を同軸に前記第1中間連結管を介して連結して構成し、
前記通路形成部材を、複数の通路形成部材片を同軸に第2中間連結管を介して連結して構成したことを特徴とするガス混入装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガス混入装置において、
前記通路形成部材は、その長手方向に沿う軸回りに捩れた帯状に形成されていることを特徴とするガス混入装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうち何れか一つに記載のガス混入装置において、
前記内管は、多孔質セラミックスからなることを特徴とするガス混入装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載のガス混入装置と、
前記外管と前記内管との間の間隙にオゾンを含有するオゾン含有ガスを注入するオゾン含有ガス注入装置とを備え、
前記内管内の螺旋状の通路に供給される水に前記内管の細孔を介して前記オゾン含有ガスを混入可能としたオゾン含有ガス混入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−86081(P2013−86081A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232311(P2011−232311)
【出願日】平成23年10月22日(2011.10.22)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】